| 【発明の名称】 |
スターリング機関及びそれを用いた貯蔵庫 |
| 【発明者】 |
【氏名】北村 義之 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】吉村 和士 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】高井 健二 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】山上 真司 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】安村 浩至 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
【氏名】坂元 仁 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】エネルギー損失を抑制するととともにコスト削減を図ることのできるスターリング機関及びそれを用いた冷蔵庫等の貯蔵庫を提供することを目的とする。
【解決手段】作動媒体を封入したシリンダ3と、シリンダ3に摺動可能に内嵌して軸方向に並設されるピストン1及びディスプレーサ2とを備え、ピストン1及びディスプレーサ2の往復運動によりシリンダ3内に圧縮空間9及び膨張空間10を形成するスターリング機関40において、ピストン1の外周面は研磨加工等の精密加工を施した第1外周面1bと精密加工が施されない第2外周面1cとを有する。また、ディスプレーサ2は材質及び径の異なる第1、第2部材2b、2cから成る。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストン及び前記ディスプレーサの一方または両方の外周面は精密加工を要する部分と精密加工を要さない部分とから成ることを特徴とするスターリング機関。 【請求項2】 作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストンは前記ディスプレーサに突設されたロッドを摺動可能に挿通する貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔の内周面は精密加工を要する部分と精密加工を要さない部分とから成ることを特徴とするスターリング機関。 【請求項3】 作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストン及び前記ディスプレーサの一方または両方の外周面は加工精度の異なる第1、第2外周面部から成ることを特徴とするスターリング機関。 【請求項4】 作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストンは前記ディスプレーサに突設されたロッドを摺動可能に挿通する貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔の内周面は加工精度の異なる第1、第2内周面部から成ることを特徴とするスターリング機関。 【請求項5】 前記加工精度は径の均一性または面粗さから成ることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のスターリング機関。 【請求項6】 加工精度の高い側の周面に機械的処理、化学的処理または電気的処理を施したことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載のスターリング機関。 【請求項7】 加工精度の異なる周面が異なる径から成ることを特徴とする請求項3〜請求項6のいずれかに記載のスターリング機関。 【請求項8】 加工精度の異なる周面を別部材により形成したことを特徴とする請求項3〜請求項7のいずれかに記載のスターリング機関。 【請求項9】 加工精度の異なる周面が異なる材質から成ることを特徴とする請求項3〜請求項8のいずれかに記載のスターリング機関。 【請求項10】 作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動によって前記ピストンに対向する前記ディスプレーサの一端側に圧縮空間を形成するとともに前記ディスプレーサの他端側に膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ディスプレーサは材質及び外径の異なる第1、第2部材から成ることを特徴とするスターリング機関。 【請求項11】 膨張空間側に配される第1部材の熱伝導率が圧縮空間側に配される第2部材の熱伝導率よりも低いことを特徴とする請求項10に記載のスターリング機関。 【請求項12】 請求項1〜請求項11のいずれかに記載のスターリング機関を備えたことを特徴とする貯蔵庫。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ピストン及びディスプレーサの往復運動によって、シリンダ内の作動媒体を圧縮・膨張させて低温、高温或いは動力を得るスターリング機関に関する。 【0002】 【従来の技術】 冷蔵庫に搭載される冷凍機は一般に冷媒の凝縮及び蒸発を利用した蒸気圧縮式の冷凍サイクルが採用されている。しかし、蒸気圧縮式の冷凍サイクルの冷媒として用いられるフロンは、オゾン層破壊による環境への悪影響が指摘され、近年使用及び生産が規制されてきている。 【0003】 このため、フロンを用いた冷凍サイクルに替えて、逆スターリングサイクルによる冷凍サイクルを運転するスターリング機関を用いた冷凍機が提案されている。逆スターリングサイクルは作動媒体としてヘリウムガス、水素ガス、窒素ガス等の自然媒体を使用するため、環境への悪影響を防止することができる。 【0004】 所謂フリーピストン型のスターリング機関は、特許文献1、2に開示されている。図16は、このスターリング機関を示す断面図である。スターリング機関40は金属から成るピストン1及びディスプレーサ2がシリンダ3内に同軸上に配設されている。ピストン1及びディスプレーサ2とシリンダ3の内壁との間にはこれらが移動可能なように微小な外部クリアランスが形成されている。これにより、ピストン1及びディスプレーサ2はシリンダ3の内周壁面を滑らかに往復運動可能になっている。 【0005】 ディスプレーサ2に突設されるディスプレーサロッド2aは、ピストン1の中心を軸方向に貫通する貫通孔1aに挿通されている。ディスプレーサロッド2aと貫通孔1aとの間にはディスプレーサロッド2aが移動可能なように微小な内部クリアランスが形成されている。これにより、ピストン1に対してディスプレーサ2が滑らかに往復運動可能になっている。 【0006】 シリンダ3は耐圧容器4に固定支持され、ディスプレーサ2はディスプレーサロッド2aを介してディスプレーサ支持ばね6によって耐圧容器4に弾性支持されている。また、ピストン1はピストン支持ばね7によって耐圧容器4に弾性支持されている。 【0007】 耐圧容器4とシリンダ3によって形成される空間はピストン1によって前後に分割されている。ピストン1よりもディスプレーサ2側には互いに連通する圧縮空間9及び膨張空間10を有する作動空間20が形成される。ピストン1よりもディスプレーサ2と反対側には背圧空間8が形成される。作動空間20及び背圧空間8には高圧のヘリウムガス等の作動媒体が充填されている。 【0008】 ピストン1はリニアモータ13によって所定の周期で往復運動する。ディスプレーサ2はピストン1に対して例えば90゜の位相差で往復運動する。これにより、作動媒体が圧縮空間9で圧縮されるととともに膨張空間10で膨張して膨張空間10側を低温にできるようになっている。 【0009】 また、特許文献3にはディスプレーサの他の構成が開示されている。図17はこのディスプレーサを示す断面図である。ディスプレーサ20は樹脂成形品から成る第1部材30bと、金属から成るとともに第1部材30bと同径の第2部材30cとを固着して構成されている。これにより、耐摩耗性を維持して金属単体によって構成するよりも熱伝導を抑制し、熱損失を低減してスターリング機関の冷却効率を向上することができるようになっている。 【0010】 【特許文献1】 特開2001−174087号公報(第3頁−第4頁、第1図) 【特許文献2】 特開平6−74588号公報(第3頁−第5頁、第1図) 【特許文献3】 特開平9−152214号公報(第3頁−第5頁、第1図) 【0011】 【発明が解決しようとする課題】 図16に示す上記従来のスターリング機関40によると、ピストン1とシリンダ3との間の外部クリアランスや、ピストン1の貫通孔1aとディスプレーサロッド2aとの間の内部クリアランスが大きいと圧縮効率が低下する。即ち、外部クリアランス及び内部クリアランスを介して作動空間20と背圧空間8の間を作動媒体が流通してエネルギー損失が発生する。 【0012】 一方、外部クリアランス及び内部クリアランスが小さいとピストン1及びディスプレーサ2が円滑に往復運動できなくなる。このため、ピストン1の外周面及び貫通孔1aの内周面は均一な径及び所定の面粗さを得るように精密加工が施されている。これにより、外部クリアランス及び内部クリアランスを最小限に抑制して圧縮効率の低下を防止している。 【0013】 しかしながら、ピストン1の外周面及び貫通孔1aの内周面に精密加工を施して高精度に加工すると加工コストがかかり、スターリング機関40のコストが増大する課題があった。 【0014】 また、上記特許文献3に開示されるディスプレーサ20は、第1部材30bと第2部材30cとの外径が一致しているため、一体化する際に同軸精度が低いとディスプレーサ20がシリンダ3の内壁と接触する。これにより、ディスプレーサ20がスムーズに移動できずスターリング機関の機械的損失が増加してエネルギー効率が低下する。 【0015】 このため、高い位置合せ精度で第1、第2部材30b、30cを組み立てる必要がありディスプレーサ20のコストを増大させる問題があった。特に、第1部材30cが樹脂成形品から成るので寸法精度が低く、寸法公差と同軸度の公差とを合わせて所定値以下にする必要があり、より高い位置合せ精度が要求される。 【0016】 本発明は上記問題を解決するためになされたものであり、コスト削減を図ることのできるスターリング機関及び及びそれを用いた冷蔵庫等の貯蔵庫を提供することを目的とする。 【0017】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために本発明は、作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストン及び前記ディスプレーサの一方または両方の外周面は精密加工を要する部分と精密加工を要さない部分とから成ることを特徴としている。尚、摺動とは直接摺動するものの他に油膜やガス膜を介して摺動するものを含む。 【0018】 この構成によると、ピストン及びディスプレーサが往復運動すると作動媒体を圧縮及び膨張してスターリングサイクルまたは逆スターリングサイクル運転が行われる。ピストンとディスプレーサの少なくとも一方は外周面の一部分に精密加工が施され、均一な径と所定の面粗さに仕上げられる。 【0019】 また本発明は、作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストンは前記ディスプレーサに突設されたロッドを摺動可能に挿通する貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔の内周面は精密加工を要する部分と精密加工を要さない部分とから成ることを特徴としている。この構成によると、ピストンは内周面の一部分に精密加工が施され、均一な径と所定の面粗さに仕上げられる。 【0020】 また本発明は、作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストン及び前記ディスプレーサの一方または両方の外周面は加工精度の異なる第1、第2外周面部から成ることを特徴としている。 【0021】 この構成によると、ピストンとディスプレーサの少なくとも一方は例えば第1外周面部に機械的処理、化学的処理または電気的処理を施して均一な径と所定の面粗さに仕上げるとともに、第2外周面部は上記各処理が行われずに第1外周面部よりも加工精度が低く不均一な径と粗い面粗さになっている。 【0022】 また本発明は、作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動により前記シリンダ内に圧縮空間及び膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ピストンは前記ディスプレーサに突設されたロッドを摺動可能に挿通する貫通孔が形成されるとともに、前記貫通孔の内周面は加工精度の異なる第1、第2内周面部から成ることを特徴としている。 【0023】 この構成によると、ピストンは例えば第1内周面部に機械的処理、化学的処理または電気的処理を施して均一な径と所定の面粗さに仕上げるとともに、第2内周面部は第1内周面部よりも加工精度が低く不均一な径と粗い面粗さになっている。 【0024】 また本発明によると、上記構成のスターリング機関において、第1外周面部と第2外周面部とが異なる径から成っている。また、第1内周面部と第2内周面部とが異なる径から成っている。 【0025】 また本発明によると、上記構成のスターリング機関において、第1外周面部と第2外周面部とが異なる部材から成っている。また、第1内周面部と第2内周面部とが異なる部材から成っている。 【0026】 また本発明によると、上記構成のスターリング機関において、第1外周面部と第2外周面部とが異なる材質から成っている。また、第1内周面部と第2内周面部とが異なる材質から成っている。 【0027】 また本発明によると、作動媒体を封入したシリンダと、前記シリンダに摺動可能に内嵌して並設されるピストン及びディスプレーサとを備え、前記ピストン及び前記ディスプレーサの往復運動によって前記ピストンに対向する前記ディスプレーサの一端側に圧縮空間を形成するとともに前記ディスプレーサの他端側に膨張空間を形成するスターリング機関において、前記ディスプレーサは材質及び外径の異なる第1、第2部材から成ることを特徴としている。 【0028】 この構成によると、ピストン及びディスプレーサが往復運動すると作動媒体を圧縮及び膨張してスターリングサイクルまたは逆スターリングサイクルが運転される。ピストン及びディスプレーサの少なくとも一方は例えば樹脂成形品から成る第1部材と、金属から成って第1部材よりも外径の大きい第2部材とを同軸に位置合せして組み立てられる。 【0029】 また本発明によると、上記構成のスターリング機関において、膨張空間側に配される第1部材の熱伝導率が圧縮空間側に配される第2部材の熱伝導率よりも低いことを特徴としている。この構成によると、ディスプレーサの熱損失を低減して高い冷却効率を得ることができる。 【0030】 また本発明の貯蔵庫は、上記各構成のスターリング機関を備えたことを特徴としている。 【0031】 【発明の実施の形態】 以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、従来例の図16と同一の部分については同一の符号を付している。図1は第1実施形態のスターリング機関を示す断面図である。スターリング機関40は、軸方向に分割された略円筒形状のシリンダー3内に、ピストン1及びディスプレーサ2が内嵌されている。ピストン1とディスプレーサ2とは圧縮空間9を介して同軸に配置されている。 【0032】 ピストン1は金属から成り、中心線上に貫通孔1aが形成されている。図2はピストン1の詳細を示す断面図である。ピストン1は一部材から成り、外径がそれぞれD1、D2から成る第1、第2外周面1b、1cを有している。これにより、第1外周面1bとシリンダ3の内周面との間に形成される外部クリアランスC1は、第2外周面1cとシリンダ3の内周面との間に形成される外部クリアランスC2よりも小さくなっている。 【0033】 また、第1外周面1bは研磨加工によって第2外周面1cよりも細かい面粗さに仕上げられるとともに、均一な外径になっている。これにより、ピストン1を円滑に往復運動可能にするとともに外部クリアランスC1を流通する作動媒体を最小限に抑制できるようになっている。第1外周面1bには上記のような研磨加工や研削加工等の機械的処理を施してもよく、メッキやコーティング等の電気的処理やエッチング等の化学的処理を施してもよい。 【0034】 ディスプレーサ2には貫通孔1aに挿通されるディスプレーサロッド2aが突設され、図3に示すように、樹脂成形品から成る第1部材2bと金属から成る第2部材2cとを固着して構成されている。 【0035】 第1部材2bを熱伝導率が低い樹脂により形成することでディスプレーサ2の熱損失を低減して高い冷却効率が得られるようにしている。第2部材2cを低熱伝導性を有する材料により形成するとより望ましく、圧縮空間9が高温になるため耐熱性を有した耐熱性樹脂やセラミック等を用いるとよい。 【0036】 また、シリンダ3と第2部材2cとのクリアランスは通常約10〜30μmに形成される。第1部材2bは第2部材2cよりも外径が小さく形成され、ディスプレーサ2の往復運動時の作動媒体のガス損失を増加させないためにシリンダ3とのクリアランスは300μm以下が望ましい。 【0037】 図1において、シリンダ3の先端にはディスプレーサ2との間に膨張空間10が設けられている。圧縮空間9と膨張空間10とはヘリウム等の作動媒体が流通する媒体流通路11により連通して作動空間20を構成している。媒体流通路11内には、作動媒体の熱を蓄積するとともに蓄積した熱を作動媒体に供給する再生器12が配されている。 【0038】 シリンダー3の略中間には鍔部3aが突設されている。鍔部3aにはドーム状の耐圧容器4が取り付けられ、背圧空間8が形成されている。ピストン1は後端でピストン支持バネ5と一体化され、ディスプレーサ2はロッド2aを介してディスプレーサ支持バネ6と一体化されている。ピストン支持バネ5とディスプレーサ支持バネ6はボルト22により連結されている。後述するように、ピストン1が往復運動するとディスプレーサ2はその慣性力によってピストン1に対して例えば90゜の位相差を有して往復運動を行うようになっている。 【0039】 シリンダ3の後部には内側ヨーク18が外嵌されている。内側ヨーク18には隙間19を介して外側ヨーク17が対峙している。外側ヨーク17には駆動用コイル16が内装され、隙間19には環状の永久磁石15が移動可能に配されている。永久磁石15はカップ状のスリーブ14を介してピストン1と一体化されている。これにより、駆動用コイル16に電圧を印加することによってピストン1を軸方向に移動させるリニアモータ13が構成されている。 【0040】 上記構成のスターリング機関40は、リニアモータ13によってピストン1が往復運動すると、ディスプレーサ2の慣性力によってピストン1に対して所定の位相差でディスプレーサ2が往復運動する。これにより、圧縮空間9と膨張空間10との間を作動媒体が移動して逆スターリングサイクル運転が行われる。即ち、作動媒体が圧縮されることによって高温側となる圧縮空間9で発生した熱は媒体流通路11を介して大気中へ放出され、更に作動媒体は再生器12に熱を蓄積して膨張空間10へ移動する。 【0041】 再生器12により冷却された作動媒体は低温側となる膨張空間10で膨張することによって更に冷却される。そして、作動媒体が媒体流通路11を通じて圧縮空間9へ移動する際に再生器12に蓄えられた熱を奪って再生器12を冷却する。この動作を繰り返して冷却が行われるようになっている。 【0042】 本実施形態によると、ピストン1の第1外周面1bに研磨加工等の精密加工を施し、第2外周面1cは精密加工を要しないので、従来よりもピストン1の加工工数を削減することができる。また、第1外周面1bよりも第2外周面1cの径を小さくしているので従来よりもピストン1の体積が減少して材料コストを削減できる。従って、スターリング機関40のコスト削減を図ることができる。 【0043】 尚、第1外周面1bの長さL1(図2参照)が短くなると作動空間20と背圧空間8との間を作動媒体が容易に流通してエネルギー損失が大きくなる可能性がある。図4はピストン1の全長L(図2参照)に対して第1外周面1bの長さL1を1/2にした時のピストン1の振幅に対するスターリング機関40のエネルギー損失量の変化を全長Lに精密加工を施した場合と比較して示している。縦軸はエネルギー損失量(単位:W)を示し、横軸はピストン1の振幅(単位:mm)を示している。 【0044】 同図から明らかなように、第1外周面1bの長さL1を1/2にした時に、スターリング機関40のエネルギー損失量はピストン1の全長Lに精密加工を施した場合と比較して1W以下である。従って、第1外周面1bにのみ精密加工を施しても充分な冷却効率を得ることができる。 【0045】 また、図3に示すようにディスプレーサ2の第1部材2bは第2部材2cよりも外径が小さいので、第2部材2cと一体化する際に同軸度の位置合せ精度が低くてもシリンダ3とのディスプレーサ2との接触を回避することができる。従って、冷却効率の低下を防止するとともに、組立工数削減によるコスト削減を図ることができる。特に、第1部材2bが樹脂成形品により形成して部品精度が低くても容易にディスプレーサ2を組み立てることができる。 【0046】 次に、図5は第2実施形態のスターリング機関のピストン1の断面図を示している。説明の便宜上、前述の図1〜図3に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。ピストン1は、外径の異なる第1、第2部材51、52から成っている。 【0047】 第1実施形態と同様に、第1部材51は外部クリアランスC1が小さくなるように大きな外径で形成され、第2部材52は第1部材51よりも小さな外径で形成され外部クリアランスC2が大きくなっている。そして、第1部材51から成る第1外周面1bには研磨加工等の精密加工が施され、外部クリアランスC1によるエネルギー損失を抑制するようになっている。 【0048】 従って、上記と同様に、従来よりもピストン1の加工工数を削減することができる。また、第1外周面1bよりも第2外周面1cの径を小さくしているので従来よりもピストン1の体積が減少して材料コストを削減できる。従って、スターリング機関40のコスト削減を図ることができる。 【0049】 また、第1、第2部材51、52はそれぞれ異なる材料から成っている。例えば、第1部材51に金属材料を用い、第2部材52に有機材料を用いることができる。プラスチック等の有機材料は一般的に金属材料よりも加工が容易で、かつ安価であるため、ピストン1の加工コスト及び材料コストを削減してスターリング機関40のコスト削減をさらに図ることができる。 【0050】 次に、図6は第3実施形態のスターリング機関のピストン1の断面図を示している。説明の便宜上、前述の図5に示す第2実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は、第1部材51に中空の中空部56を形成している。第1部材51の作動空間20側の端面には作動空間20と中空部56を連通する通気孔57が設けられる。第1部材51の外周には作動空間20側の端面から所定の距離を隔てて複数の微小孔55を設けている。通気孔57にはピストン1の内側に逆止弁58が設けられる。その他の構成は第2実施形態と同一である。 【0051】 シリンダ3内でピストン1が往復運動すると、作動媒体が作動空間20から逆止弁58を通過してピストン1の中空部56へ流入する。更に作動媒体は微小孔55を通ってピストン1の外部に噴出する。これにより、ピストン1の外周面とシリンダ3の内周面との間に作動媒体による層が形成され、気体軸受が形成される。従って、第2実施形態と同様の効果を得ることができるとともに、ピストン1とシリンダ3との接触を効果的に防止することができる。 【0052】 尚、図7に示すように、ピストン1の摺動性を向上させる潤滑材51aを第1部材51の第1外周面1bに蒸着等によりコーティングしてもよい。また、上記と同様に、研磨加工等の機械的処理、エッチング加工等の化学的処理或いはメッキ等の電気的処理を行ってもよい。 【0053】 次に、図8は第4実施形態のスターリング機関のピストン1の概略断面図を示している。説明の便宜上、前述の図6に示す第3実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は、通気孔57(図6参照)に替えて第1部材51周壁を貫通して作動空間20側から外周面に延びるガス流路53を設けている。また、シリンダ3には貫通孔3aが形成されている。その他の部分は第2実施形態と同様である。 【0054】 ピストン1が往復運動して所定位置(往復運動の中心位置)に配されると、ガス流路53の開口53aは瞬間的にシリンダ3の貫通孔3aに対向する。この時、ガス流路53を介して作動空間20と背圧空間8とが連通する。従って、所定の時期に作動空間20と背圧空間8との間で作動媒体の一部を流動させることにより作動空間20と背圧空間8とのガスバランスをとることができ、耐圧容器4の内部の全密閉系で効率の良い逆スターリングサイクルを実現できる。 【0055】 次に、図9は第5実施形態のスターリング機関のピストン1の断面図を示している。説明の便宜上、図1〜図8に示す第1〜第4実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。ピストン1は、貫通孔1aの孔径の異なる第1、第2部材51、52から成っている。 【0056】 第1部材51は、貫通孔1aとディスプレーサロッド2a(図1参照)との間に形成される内部クリアランスが小さくなるように、小さな内径d1を有しており、第2部材52は第1部材51の内径d1よりも大きな内径d2を有している。これにより、ピストン1には径の異なる第1、第2内周面1d、1eが形成されている。 【0057】 また、第1内周面1dはリーマ加工等によって第2内周面1eよりも細かい面粗さに仕上げられるとともに、均一な内径になっている。これにより、ディスプレーサ2がピストン1に対して円滑に往復運動できるとともに内部クリアランスを流通する作動媒体を最小限に抑制できるようになっている。第1内周面1dには上記のようなリーマ加工等の機械的処理を施してもよく、メッキやコーティング等の電気的処理やエッチング等の化学的処理を施してもよい。 【0058】 本実施形態によると、ピストン1の第1内周面1dに精密加工を施し、第2内周面1eは精密加工を要しないので、従来よりもピストン1の加工工数を削減することができる。また、第1内周面1dよりも第2内周面1eの径を大きくしているので従来よりもピストン1の体積が減少して材料コストを削減できる。従って、スターリング機関40のコスト削減を図ることができる。更に、ピストンが第1、第2部材51、52から成るので、加工精度及び径の異なる第1、第2内周面1d、1eを容易に形成することができる。 【0059】 尚、第1、第2部材51、52を異なる材料により形成してもよい。例えば、第1部材51に金属材料を用いて第2部材52に有機材料を用いることができる。プラスチック等の有機材料は一般的に金属材料よりも加工が容易で、かつ安価であるため、ピストン1を作製する際の加工コストと材料コストを低減できる。 【0060】 また、図10に示すように、第1部材51に径の異なる第1内周面1d及び第3内周面1fを設けて貫通孔1aを形成してもよい。この時、第2部材52の第2内周面1eと第3内周面1fの径は同じでもよく異なってもよい。 【0061】 尚、第1〜第4実施形態のピストンに本実施形態と同様の貫通孔1aを形成してもよい。例えば、図11は第6実施形態のスターリング機関のピストンを示しており、第1実施形態のピストンの貫通孔1aを第5実施形態と同一にしている。即ち、ピストン1はそれぞれ外径D1、D2から成る第1、第2外周面1b、1cを有するとともに、内径d1、d2、d2から成る第1、第2、第3内周面1d、1e、1fを有している。これにより、精密加工を要する第1内周面1d及び第1外周面1bを短くしてピストン1の加工コストを更に削減することができる。 【0062】 次に、図12は第7実施形態のスターリング機関のディスプレーサを示す断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図3に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、ディスプレーサ2の第1部材2bが先細りのテーパ形状になっている点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。 【0063】 第1実施形態によると、第1部材2bの加工精度が低く外径がばらつくとディスプレーサ2の先端がシリンダ3に接触する場合が生じるが、本実施形態によると係る接触を回避することができ組立工数をより削減することができる。 【0064】 次に、図13は第8実施形態のスターリング機関のディスプレーサを示す断面図である。説明の便宜上、前述の図1〜図3に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、ディスプレーサ2の第1部材2bを中空にして中空部2dを形成している点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。 【0065】 本実施形態によると、中空部2d内には空気や作動媒体が封入されるため、第1部材2bの熱伝導を低下させることができる。これにより、ディスプレーサ2の熱損失を低減してより高い冷却効率を得ることができる。尚、第2部材2cを中空にして中空部を設けてもよく、ピストン1(図1参照)を中空にしてもよい。 【0066】 次に、図14は第9実施形態のスターリング機関のディスプレーサを示す断面図である。説明の便宜上、前述の図13に示す第8実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第8施形態と異なる点は、第1部材2bの中空部2d内にガスの移動を規制する規制部材2eを設けている点である。その他の部分は第8施形態と同一である。 【0067】 本実施形態によると、規制部材2eによって中空部2d内のガスの対流による伝熱を規制できるため、第1部材2bの熱伝導が更に低下して熱損失を低減することができる。規制部材2eとして、セラミックファイバー、グラスファイバー、ロックウール等から成る綿状、帯状、粉末状の断熱材や、発泡スチロール等の成形品、等を用いると熱伝導率が低いためより望ましい。 【0068】 次に、図15は第10実施形態のスターリング機関のディスプレーサを示す断面図である。説明の便宜上、前述の図13に示す第8実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第8実施形態と異なる点は、第1部材2bの中空部2dとシリンダ3(図1参照)内との間を連通する連通路2fを第1部材2bに設けている点である。その他の部分は第8実施形態と同一である。 【0069】 本実施形態によると、低圧となる膨張空間に面した第1部材2bの外面側と、第1部材2bの内面側とが同じ圧力になるため、圧力差によって生じる第1部材2bの変形を防止することができる。これにより、ディスプレーサ2とシリンダ3(図1参照)との接触を更に防止することができる。 【0070】 尚、第1〜第10実施形態のスターリング機関を冷蔵庫、冷凍庫、自動販売機、ショーケース、携帯型冷温蔵庫等の貯蔵庫に搭載することによって、冷却効率の高い貯蔵庫を低コストで得ることができる。また、第1〜第10実施形態において、ピストン1及びディスプレーサ2がシリンダ3内に軸方向に並設された所謂フリーピストン型のスターリング機関について説明しているが、所定の位相差で往復運動するピストン及びディスプレーサがそれぞれ別のシリンダ内に配されて逆スターリングサイクルを運転するスターリング機関であってもよい。 【0071】 【発明の効果】 本発明によると、ピストンまたはディスプレーサの第1外周面に研磨加工等の精密加工を施し、第2外周面は精密加工を要しないので、従来よりもピストン等の加工コストを削減することができる。また、第1外周面よりも第2外周面の径を小さくしているので従来よりもピストン等の体積が減少して材料コストを削減できる。従って、スターリング機関のコスト削減を図ることができる。 【0072】 また本発明によると、ピストンの第1内周面にリーマ加工等の精密加工を施し、第2内周面は精密加工を要しないので、従来よりもピストンの加工コストを削減することができる。また、第1内周面よりも第2内周面の径を小さくしているので従来よりもピストンの体積が減少して材料コストを削減できる。従って、スターリング機関のコスト削減を図ることができる。 【0073】 また、本発明によると、シリンダ内を摺動するディスプレーサまたはピストンが材質及び外径の異なる第1、第2部材から成るため、第1、第2部材を一体化する際に同軸度の位置合せ精度が低くてもシリンダとディスプレーサ等との接触を回避することができる。従って、組立コスト削減によるコスト削減を図ることができる。特に、第1部材または第2部材が樹脂成形品から成って部品精度が低くても容易にピストンを組み立てることができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の第1実施形態のスターリング機関を示す断面図である。 【図2】本発明による第1実施形態のピストンを示す断面図である。 【図3】本発明による第1実施形態のディスプレーサを示す断面図である。 【図4】本発明による第1実施形態のスターリング機関のエネルギー損失量の変化を示す図である。 【図5】本発明第2実施形態のピストンを示す断面図である。 【図6】本発明による第3実施形態のピストンを示す断面図である。 【図7】本発明による第3実施形態のピストンの他の態様を示す断面図である。 【図8】本発明による第4実施形態のピストンを示す断面図である。 【図9】本発明による第5実施形態のピストンを示す断面図である。 【図10】本発明による第5実施形態のピストンの他例を示す断面図である。 【図11】本発明による第6実施形態のピストンを示す断面図である。 【図12】本発明による第7実施形態のディスプレーサを示す断面図である。 【図13】本発明による第8実施形態のディスプレーサを示す断面図である。 【図14】本発明による第9実施形態のディスプレーサを示す断面図である。 【図15】本発明による第10実施形態のディスプレーサを示す断面図である。 【図16】従来のスターリング機関を示す断面図である。 【図17】従来のスターリング機関のディスプレーサを示す断面図である。 【符号の説明】 1 ピストン 1a 貫通孔 1b 第1外周面 1c 第2外周面 1d 第1内周面 1e 第2内周面 1f 第3内周面 2、30 ディスプレーサ 2a ディスプレーサロッド 2b、51 第1部材 2c、52 第2部材 2d 空洞部 2e 規制部材 2f 連通路 3 シリンダ 9 圧縮空間 10 膨張空間 40 スターリング機関
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005049 【氏名又は名称】シャープ株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号
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| 【出願日】 |
平成15年1月23日(2003.1.23) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100085501 【弁理士】 【氏名又は名称】佐野 静夫
【識別番号】100111811 【弁理士】 【氏名又は名称】山田 茂樹
【識別番号】100121256 【弁理士】 【氏名又は名称】小寺 淳一
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| 【公開番号】 |
特開2004−3436(P2004−3436A) |
| 【公開日】 |
平成16年1月8日(2004.1.8) |
| 【出願番号】 |
特願2003−14777(P2003−14777) |
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