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【発明の名称】 |
ゴム紐とそれを用いた衣服 |
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【氏名】矢澤 將之 【住所又は居所】埼玉県加須市大門町19番47号株式会社ガードナー内 |
【課題】高温水蒸気中で処理しても機械的性質等の低下が小さく、耐久性が良好なゴム紐と、それを具備した、繰り返し高温蒸気滅菌処理を受ける、クリーンルームなどで着用する衣服を提供する。
【解決手段】複数本の糸ゴムと通常伸長度の繊維より構成されるゴム紐において、糸ゴムの材質として、EPM,EPDM、HNBR,IIRおよびHSNより選ばれたものを使用する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 長手方向に配置した直径が0.3〜2.0mmである複数本の糸ゴムと、通常伸長度の繊維より構成され、長手方向に伸縮性を有するゴム紐において、糸ゴムの材質が、エチレンプロピレンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、水素化ニトリルゴム、ブチルゴム及びハイスチレンゴムより選ばれたゴムであることを特徴とするゴム紐 【請求項2】 4〜28本の糸ゴムと通常伸長度の合成繊維糸条の経糸及び緯糸より構成される織りゴムであることを特徴とする請求項1のゴム紐 【請求項3】 請求項1のゴム紐を生地末端の開口部あるいは途中部に使用することを特徴とする衣服 【請求項4】 請求項3の衣服を、121℃以上の高温水蒸気中で処理することを特徴とする衣服の滅菌方法
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】 この発明は、高温の水蒸気中で加熱処理しても機械的性質等の低下の少ないゴム紐、及びそのゴム紐を開口部の締め付け部位に使用した、クリーーン環境で着用され、繰り返し滅菌処理される衣服に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 半導体等のエレクトロニクス、及び薬品、食品、生物等の分野において、作業環境を清潔に維持する要求が強まっており、クリーンルーム内などで作業が行われている。この作業環境汚染の要因として、作業者のもたらす塵や細菌の影響が大きく、作業者の衣服内側より、汚染物が室内に漏洩しないよう、衣服の開口部の締め付け部位に、帯状のゴム紐を挿通した衣服が着用されている。 【0003】 この衣服は、クリーンルームなどを高度の清浄性に維持するため、着用期間中に繰り返し、高温水蒸気処理、いわゆるオートクレーブ処理により、滅菌が行われる。 一回のオートクレーブ処理は、一般的には、121℃、20〜30分程度で行う。 ゴム紐に使用する糸ゴムの材質として、天然ゴムやポリウレタンゴムがあるが、これらのゴム紐は、繰り返しオートクレーブ処理を行うと劣化が起こり、弾力性の低下、伸びきり、もろさの増大など耐久性に問題がある。 さらに、近年、滅菌処理を効率的に短時間で行うために、より高温の水蒸気処理の必要性が高まり、高温水蒸気に対する耐久性向上が強く望まれている。 【0004】 この耐久性を改良するために、ゴム材質の検討が行われている。 特許第3203221号(特開平11−152639号公報)において、シリコンゴムまたはフッ素ゴムを用いることが提案されている。しかし、シリコンゴムは、強度に難があり、耐久性も必ずしも十分ではなく、特に、123℃以上の高温では、機械的性質等の低下は無視できない。また、フッ素ゴムは、耐久性は良好であるが、価格が高価であるのが問題である。また、ゴム紐を製造する際、トラブルを起こしやすく、取扱性に難点がある。原因は明確ではないが、製織工程などでの油剤や製紐機との相互作用に起因するものと思われる。 【0005】 一方、いわゆる耐熱性の良いゴムとして、いくつかのゴムが知られている。 例えば、アクリルゴム(ISOによる分類記号はANM、化学構造はアクリル酸エステル・アクリロニトリル共重合体)、アクリルゴム(ACM、アクリル酸エステル・2−クロルエチルビニルエーテル共重合体)、クロルスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)などがある。しかし、これらのゴムは、高温の空気中で良好な機械的性質を有する、あるいは高温空気中で長時間加熱しても、性質の低下が小さいと言う意味では優れているが、この発明で目的とする高温水蒸気中での耐久性は不十分であり、全く別の観点からの検討が必要である。 【0006】 また、ゴム紐以外のいくつかの製品について、耐高温水蒸気性や滅菌対応性の検討が行われている。 登録実用新案第3005512号、実開平6−3308号公報、特開平9−111048号公報、特開平11−300890号公報、特開2002−81581号公報などである。 【0007】 しかし、これらの対象物は、製品の形状、ゴム材料の使用形態、耐久性が問題となる環境・処理条件、耐久性判定基準がゴム紐とは全く異なっている。この発明の対象であるゴム紐は、細い線状の糸状で、通常伸長度の繊維糸条に拘束されている。また、衣服に用いた場合、滅菌処理として、120℃以上の加熱を、頻度多く繰り返す特殊な処理条件を受ける。さらに、判定基準も、衣服の袖口などを適度に締め付けると言う、複雑で微妙なものである。 従って、他の製品の結果より、ゴム紐での適切なゴム材質を予測することは不可能である。実際、他の製品で良好とされたゴム材質でも、この発明では不適当なものがあり、この発明の目的にかなうゴム紐仕様は、さらなる検討が必要であった。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 この発明の目的は、このような従来の問題を解決して、高温の水蒸気中での耐久性が良好なゴム紐、及びこのゴム紐を開口部の締め付け部位等に使用し、繰り返し滅菌処理を行っても機械的性質などの低下のない、クリーン環境での着用に適した衣服を提供するにある。 【0009】 【課題を解決するための手段】 この発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、ゴム紐に用いる糸ゴムのゴム材質として、従来の耐熱性ゴムとは全く異なる特定のゴムを使用することが有効であることを見いだし、この発明を完成するに至った。 【0010】 すなわち、長手方向に配置した直径が0.3〜2.0mmである複数本の糸ゴムと、通常伸長度の繊維より構成され、長手方向に伸縮性を有するゴム紐において、糸ゴムの材質が、エチレンプロピレンゴム(EPM)、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、水素化ニトリルゴム(HNBR)、ブチルゴム(IIR)及びハイスチレンゴム(HSN)より選ばれたゴムを用いることによりこの発明の目的を達することを見いだしたものである。 これらのゴムは、従来の一般な意味での耐熱性は必ずしも良好ではなく、この発明の目的に好適であることは全く予想することは出来ず、この発明の検討により初めて見いだしたものである。 【0011】 また、この発明は、4〜28本の上記の材質よりなる糸ゴムと通常伸長度の合成繊維糸条の経糸及び緯糸より構成される織りゴムとすることにより、ゴム紐製造工程において特にトラブル無く、耐久性良好なゴム紐を提供するものである。さらに、この発明は、上記の材質よりなる糸ゴムを構成要素として含むゴム紐を生地末端の開口部あるいは途中部に使用することにより、作業者の衣服内部より汚染物が室内に漏洩しにくく、かつ、繰り返し高温水蒸気滅菌可能なクリーンルーム用の衣服を提供するものである。 また、従来、蒸気滅菌温度は、121℃が一般であるが、より高温の滅菌処理が可能となり、短時間で効率よく滅菌を行う方法を提供するものである。 【0012】 【発明の実施の形態】 以下、この発明の実施の形態について詳しく説明する。 【0013】 この発明においてゴム紐を構成する糸ゴムの材質としては、EPM,EPDM、HNBR、IIR及びHSNが用いられる。 これらは、いずれも高温水蒸気耐久性が良好であるが、材質名称は同一であっても、糸ゴムの仕様により耐久性やその他の性質が異なるのは当然である。これらのゴムは、常法により配合剤を添加し、架橋処理したものを用いる。 糸ゴムの仕様によっては、HSNはやや硬く、伸びにくく、IIRは弾性的性質が不足の傾向があり、HNBRは高価な点が問題となる可能性があるが、ゴム紐仕様などを適切に設定することにより、大きな難点を避けて用いることができる。 ゴム紐としての要求特性を総合的に考慮すると、最も推奨すべきものはEPM、EPDMであり、ついで、HNBR、次にIIR、さらにHSNの順である。 【0014】 EPMとはエチレン・プロピレン共重合体のゴムであり、エチレン成分が50〜76%程度のものを用いる。不飽和結合が無く、架橋は過酸化物などにより行う。 【0015】 EPDMとは、エチレン・プロピレン・ジエン三元共重合体のゴムであり、ジエン成分としては、ジシクロペンタジエン(DCPD)、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)などを用いる。 ジエン成分の含量は、1.5〜10%程度のものを用いる。 【0016】 HNBRとは、アクリロニトリル・ブタジエン共重合体であるニトリルゴム(NBR)のブタジエンの不飽和結合部分を水素化したものである。ニトリルゴムはこの発明での耐久性が不十分であるのに対し、水素化により良好となることを見いだしたものである。 結合アクリロニトリル量は、15〜45%、不飽和結合を表すヨウ素価は、60%以下、好ましくは30%以下を用いる。 【0017】 IIRとは、イソブチレン・イソプレン共重合体である。塩素化ブチルゴムや臭素化ブチルゴムは必ずしも良好ではなく、ハロゲンを含まないブチルゴムが好適である。 【0018】 HSNとは、SBRと同様スチレン・ブタジエン共重合体であるが、スチレン含有量の高いものを言う。スチレン含有量は、55〜70%が好適である。55%以下では、SBRと同様、耐久性が不良であり、70%以上ではゴムとしての性質が不十分であり好ましくない。 【0019】 糸ゴムの太さは、直径として0.3〜2.0mm、好ましくは、0.5〜1.6mmのものを用いる。0.3mmより細いものは、製造コストが高くなり、また製造工程中、衣服着用中、及び洗濯・滅菌時に切断しやすく、好ましくない。一方、2.0mmより太いものでは、ゴム紐の特性にばらつきを生じ易く、また紐表面の凹凸が大となり好ましくない。 断面形状は丸形が通常であるが、他の形でも良い。例えば、シート状ゴムをスライスした場合には、断面は角形となる。糸ゴムの断面が丸形でない異形の場合には、同一断面積の円に換算した値を直径とみなす。 【0020】 ゴム紐の形状は、帯状が一般的であるが、他の形状、例えば丸紐状でも良い。 ゴム紐は、糸ゴムと通常伸長度の繊維より構成する。 【0021】 糸ゴムの本数は、ゴム紐の幅によって異なるが、4〜28本、一般的には、6〜24本を使用する。この範囲の本数を用いることにより、機械的性質が均一で、美観的にも良好なゴム紐とすることが出来る。 通常伸長度の繊維とは、ポリエステル、ポリプロピレンなどの一般的織編物に用いる通常の強伸度特性を有する繊維であり、複数本の繊維よりなる糸状として、経糸や緯糸などを構成する。また、通常伸長度の繊維をカバーリング糸として用い、糸ゴムの周囲を囲む構造としても良い。 【0022】 ゴム紐の形態は、経糸と糸ゴムを緯糸で織った織りゴムが代表的である。経糸に糸ゴムを伸ばして織り込み、縮めることにより、長手方向に伸縮性を与えることが出来る。縦方向の糸と糸ゴムを絡めて作製した編みゴム、あるいは、芯に糸ゴムを伸ばした状態で入れ、皮糸で組んだ平ゴムでも良い。 【0023】 ゴム紐の形状は、衣服の開口部の締め付け部位に用いるには、帯状が一般的であり、その幅は、3〜35mm、なかでも5〜30mmの範囲で用いる。 【0024】 この発明のゴム紐は、衣服の衿部、裾部など、生地末端の開口部、あるいは途中部に用いて、適度に締め付ける効果を有する。特に、クリーンルーム用の作業衣に用い、衣服内の塵や細菌が開口部より室内へ漏洩して、汚染するのを防止するのに有効である。 【0025】 クリーンルームは高度の清浄度管理が必要であり、必然的に衣服の洗濯・滅菌の頻度は大となる。一回の滅菌時間は数十分であったとしても、数十回、あるいは百回以上となると、高温の水蒸気に曝される時間は大であり、耐久性が必須要件となり、この発明のゴム紐を用いた衣服が利点を発揮する。 特に近年は、一回の滅菌時間を短縮して、効率良く行うニーズが大となっている。滅菌時間は、温度を上げるほど短縮でき、従来は121℃が限界であったが、123℃以上、さらには125℃以上とすることができる。 【0026】 【実施例】 以下、本発明の具体的態様を、実施例により説明するが、本発明はこの実施例の記載のみに限定されるものではない。 【0027】 直径0.75mmの各種材質の糸ゴム13本を、経糸として、30本の150デニール/双糸、緯糸として、2本の300デニール/単糸のポリエステル糸条と共に織り込み、幅20mmの帯状で、長手方向に伸縮性を有するゴム紐を得た。このゴム紐に対して、高温水蒸気中、125℃で15分のオートクレーブ処理を100回行った。 処理後、ゴム紐の長さ方向における長さ変化(伸びきり)、伸長率、伸長回復率、強度などを総合的に判定して、劣化の程度をA,B,C,Dの4段階(Aが良、Dが不良)評価し、表1に示した。 【0028】 この発明のゴム紐は、いずれも耐久性評価は良好であった。 一方、この発明のゴム材質を用いない比較例1〜10は、耐久性が不十分であった。フッ素ゴムを使用した比較例11は、耐久性は良好であったが、製紐工程が順調ではなかった。また、シリコーンゴムを使用した比較例12は、処理温度が125℃では耐久性が劣っていた。 【0029】 実施例6 実施例2のEDPMを用いたゴム紐を、袖口と裾に使用したクリーンルーム用衣服を作製した。この衣服を着用のたびに、125℃で15分のオートクレーブ滅菌処理を行った。処理を100回繰り返しても、ゴム紐の状態は良好であり、開口部は身体に適度の緊張感を持って密着し、衣服内部からの汚染物の漏洩無く着用することができた。 【0030】 【表1】
【0031】 【発明の効果】 この発明のゴム紐は、高温水蒸気中での耐久性が良好である。このゴム紐を袖口や裾部に用いた衣服は、高温で繰り返しオートクレーブ滅菌処理を行っても劣化が小で伸縮性を保持しており、身体へのフィット感が良好で、かつ、衣服内の汚染物の漏洩が少なく、クリーンルーム用などの衣服として優れている。
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| 【出願人】 |
【識別番号】592003407 【氏名又は名称】株式会社ガードナー 【住所又は居所】埼玉県加須市大門町19番47号
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| 【出願日】 |
平成14年8月20日(2002.8.20) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2004−76245(P2004−76245A) |
| 【公開日】 |
平成16年3月11日(2004.3.11) |
| 【出願番号】 |
特願2002−280074(P2002−280074) |
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