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【発明の名称】 Al−SiC複合材料の製造方法
【発明者】 【氏名】カン スク ボン
【氏名】エウ カン ジュン
【氏名】グイ マンチャン
【課題】 切断加工性が高く、低熱膨張係数・高熱伝導度・低密度・低生産費の特性を有するアルミニウム基地複合材料の製造方法を提供する。

【解決手段】 金属基地複合材料の製造方法において、Al粉末とSiC 粉末とを混合して溶射用粉末を作製する第一工程と、前記溶射用粉末を黒鉛基板にプラズマ溶射して薄板を形成する第二工程とを備えることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属基地複合材料の製造方法において、
 Al粉末とSiC 粉末とを混合して溶射用粉末を作製する第一工程と、
 前記溶射用粉末を黒鉛基板にプラズマ溶射して薄板を形成する第二工程と、
 を備えることを特徴とするAl-SiC複合材料薄板の製造方法。
【請求項2】
 前記溶射用粉末は、体積比で、30〜60%のAl粉末と、40〜70%のSiC粉末とが混合されてなる、
 ことを特徴とする請求項1に記載のAl-SiC複合材料薄板の製造方法。
【請求項3】
前記第一工程は、Al粉末とSiC粉末とをボールミルによって混合する工程である、
 ことを特徴とする請求項1に記載のAl-SiC複合材料薄板の製造方法。
【請求項4】
前記第二工程は、溶射ノズルから前記黒鉛基板までの距離を110〜130mmの範囲にし、溶射用粉末の移動速度を20〜30g/minの範囲に設定して、1次ガスの流速を45〜55l/minの範囲に調節した後、20〜40kWのプラズマアークでプラズマ溶射を行う工程である、
 ことを特徴とする請求項1に記載のAl-SiC複合材料薄板の製造方法。
【請求項5】
 前記黒鉛基板は、剥離を容易化するために表面がコーテイングされている、
 ことを特徴とする請求項1に記載のAl-SiC複合材料薄板の製造方法。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
 本発明は金属基地複合材料の製造に関するものであって、さらに詳しくは、プラズマ溶射を利用したSiC強化アルミニウム基地複合材料薄板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
 金属基地複合材料は強化材の種類と配合比率に従って熱伝達係数及び熱膨張係数の制御が容易であるという点で、電子パッケージ用ヒートシンク素材のような各種電子機器の熱管理素材として脚光を浴びており、種々な基地金属と強化材を利用した複合材料の製造方法に対する研究が活発に進行中である。
【0003】
 特に、電子機器の熱管理素材の場合には低熱膨張係数・高熱伝導度・低密度・低生産費の特性を有する材料の開発が核心的に行われている。アルミニウム基地複合材料の場合、低熱膨張係数を満足させるためには高い強化材配合比率が必須的に要求される。例えば、アルミニウム基地SiC強化複合材料の場合、40〜70%程度のSiC体積配合比率を要求する。40%未満のSiC強化複合材料の場合には熱膨張係数が過大であり(15.5×10-6/℃より大きい)、70%より多いSiC強化複合材料の場合には熱伝導度が過小であるので(149W/(m・K)未満)、電子パッケージ用熱管理素材として不適合であるためである。
【0004】
 強化材の体積配合比率が40%以上であるアルミ二ウム基地複合材料の製造方法として、米国のLanxide社等で開発した加圧含浸法や無加圧含浸法提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0005】
【特許文献1】US patent 6,228,453
【特許文献2】US patent 5,856,025
【0006】
 上記のような含浸法を用いた場合、予備成型体製造に相当な難さがあり、製造後、加工が殆ど不可能であり、後続工程が極めて制限的となる。従って、複雑な製造工程により製造原価が上昇されるばかりでなく、生産性が劣る短所がある。特に活用性の尺度となる薄板形状としての切断及び加工が非常に難しいので、EDM(elctrodischarge machining)、 レーザー切断、ダイヤモンド工具加工等の高価の切削加工費用が要求するという課題を有している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
 本発明は上述の従来技術の問題点を改善しようと提案されたものであって、その目的は電子機器の熱管理素子に適合な低熱膨張係数・高熱伝導度・低密度の複合材料、特に薄板形状の複合材料を簡単に製造し得る方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
 上述の目的を達成するための本発明によるAl-SiC複合材料の製造方法は、金属基地複合材料の製造方法において、アルミニウム粉末とSiC粉末を混合してAl粉末とSiC 粉末とを混合して溶射用粉末を作製する第一工程と、前記溶射用粉末を黒鉛基板にプラズマ溶射して薄板を形成する第二工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
 上記方法によると、高い強化材配合比率の複合材料薄板を、プラズマ溶射を利用した容易な方法によって製造することができる。また、製造される複合材料薄板の加工性が高く、レーザー切断、ダイヤモンド工具加工等の高価な加工法ではなく、通常の切断ホイールを利用して切断することができるので、製造コストを小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
 以下、本発明を実施するための最良の形態を詳しく説明する。
 本発明による複合材料の製造方法は、SiC粉末で強化されたアルミニウム基地複合材料の製造に適合である。特に、本発明の製造方法は、SiC粉末が高い体積配合比率で含有されたアルミニウム基地複合材料、好ましくは、アルミニウム基地に40〜70体積%のSiCが含有された薄板の複合材料の製造により適合である。このような複合材料は、電子パッケージ用熱管理素材として大変有用である。
【0011】
 本発明による複合材料の製造のためには、先ず、Al粉末とSiC粉末を混合して溶射用粉末を得る。前記溶射用粉末は上記範囲で混合するのが好ましい。粉末の混合は2種類の粉末を単純に混合する方式もよいが、機械的方式、例えば、ボールミルによって行なわれるのが好ましい。ボールミルによって混合をするときは、ステアリン酸のような工程調節剤を添加するのがよい。
【0012】
 このような溶射用粉末は適当に乾燥した後、大気プラズマ溶射を通じて薄板に積層させる。
【0013】
 図1は、プラズマ溶射を利用して前記薄板の製造過程を説明するための模式図を見せている。本発明の複合材料薄板1は図1に示したとおり、溶射銃3の先端側に供給部4を通じて前記溶射用粉末が供給され、前記溶射銃3と対向して一定距離を置いて離れて位置した基板2に溶射用粉末を火炎と共に吹き出しながら溶射させることにより製造される。
【0014】
 溶射に使用される基板2としては黒鉛基板が好ましい。これはアルミニウムと濡れ性が良くなく、また熱膨張係数の差異が大きいので、溶射後の剥離が容易であるためである。前記基板2はそのサイズを増して薄板のサイズを調節することができる。大きい寸法の薄板を製造するために溶射作業を行なうときは、基板から薄板の剥離がより容易となるように、例えば窒化硼素(BN)を噴射して基板の中央部位の表面をコーテイングすることにより、実際黒鉛基板に溶射される面積を一定に保持すると、溶射後、剥離が容易となる。
【0015】
 前記基板2は固定台(図示せず)に固定されており、前記プラズマ溶射銃3には移動台(図示せず)に設けられ、プログラムによって一定な速度で移動される。
【0016】
 本発明に係る製造方法において、プラズマ溶射をするとき、プラズマアークは20〜40kW程度が適当である。これはプラズマアークが20kW未満であれば粉末が十分な温度まで加熱されないので、基板に積層することが難しくなって回収率が減少し、他方プラズマアークが40kWより大きいと、高温での溶射により、酸化物等の欠陥が増加するようになり好ましくない。
【0017】
 又、溶射銃3の先端ノズルから基板までの距離は110〜130mmが適当である。これは距離が110mm未満であればプラズマアークによって基板の温度が必要以上に上昇するので工程の安定性が低下し、他方、距離が130mmより大きいと、基板に到達する前に溶融粉末が擬固し、回収率が減少するので好ましくない。
【0018】
 又、溶射用粉末の移動速度は20〜30g/minの範囲に設定し、1次ガスの流速を45〜55l/minの範囲に調節するのが好ましい。これは粉末の移動速度が20g/min未満であれば溶射される粉末の量が過小であるので、経済的に好ましくなく、移動速度が30g/minより大きいと、粉末の量が過大であり、粉末の流れが円滑とならない可能性があり、一様な溶射面を得ることが難しいからである。
 又、1次ガス流速が45l/min未満や55l/minより大きいと、粉末がプラズマアークの中心部ではなく外郭で移動し、均一な溶射が難しいので好ましくない。
【0019】
 このような条件の下にプラズマ溶射を利用すれば、従来の技術で製造することが難しい高い強化材配合比率の複合材料薄板を製造することができる。そして、このように製造される複合材料薄板は高い熱伝達係数と低い熱膨張係数を有するばかりでなく、切削性が大変良好であるので、電子機器の熱管理素材等に非常に適合である。特に、本発明ではこのような複合材料薄板を製造するとき、選ぶ強化材粉末の種類と体積配合比率により、望む物性を設計することができる。
【0020】
 以下、本発明を実施例を通じて具体的に説明するが、下記の実施例は専ら本発明を説明するためのものであって、本発明の要旨により本発明の範囲が下記の実施例に限定されない。
【0021】
 [実施例1]
 平均粒径約24μmの純アルミニウム粉末と平均粒径約17μmのSiC粉末を体積配合比率50:50として攪拌機で乾式混合して溶射用粉末を製造した。製造された溶射用粉末を150℃で1時間乾燥させ水分を除去した。 製造された溶射用粉末を約23kWのプラズマアークへ注入し、プラズマ溶射を行うことにより、300×200mmサイズの黒鉛基板に積層させた。プラズマ溶射操業条件は表1のとおりであった。
【0022】
【表1】


【0023】
 実施例1に係るAl-SiC複合材料薄板の形状を図2に、薄板の微細構造を図3に示す。図2から見られるように、本発明により長さ300mm、巾200mm、厚さ約1〜2mmサイズの薄板形状のAl-SiC複合材料を製造することができ、 図3からわかるように、SiC粒子の体積配合比率が約46%程度に一様に分布されていた。
【0024】
 又、表2に実施例1に係るAl-SiC複合材料の実際測定した熱膨張係数と熱伝導度を表した。複合材料の場合、熱膨張係数と熱伝導度は、強化材料と基地金属の配合比率により理論的に計算出来るので、実施例1に係る複合材料の熱膨張係数と熱伝導度の実測値と、理論的に算出された熱膨張係数と熱伝導度とを比較した。
【0025】
【表2】


【0026】
 表2から見られるように、実施例1に係る複合材料に対し実際測定した熱膨張係数と熱伝導度は、理論値とほぼ一致することが分かる。
【0027】
 [実施例2]
 平均粒径45μmの純アルミニウム粉末と平均粒径17μmのSiC粉末を体積配合比率30:70としてステンレス鋼壷に装入した後、ジルコニア(ZrO2)ボールを添加して単純回転方法で90rpmの速度で約7時間混合して溶射用粉末を製造した。この際、工程調節剤としてステアリン酸を前記溶射用粉末対比1.5重量%で添加し、ボールと粉末との重量比は10:1とした。ボールミル後、混合粉末を150℃で約4時間乾燥させて水分と調節剤を除去し、80meshサイズのふるいを利用して、粗大な粉末を除去した。前記方法で準備された溶射用粉末を利用して35kWのプラズマアークで溶射を実施し、100×100mmサイズの黒鉛基板を利用して厚さ約2mmの複合材料薄板を製造した。実施例2に係るAl-SiC複合材料薄板の微細構造を図4に示す。
【0028】
 図4からわかるように、実施例2に係る複合材料薄板は、SiCの体積配合比率が約66%程度に一様な分布を有していた。
【0029】
 又、前記複合材料の熱膨張係数を測定した結果、理論値(Kerner Model; 10.0×10-6/℃)より若干小さい9.1×10-6/℃を表し、熱伝導度は理論値(Maxwell Model;153W/(m・K))より小さい148W/(m・K)であった。理論値と差異が発生したのは、理論値は、強化材が独立的な粒子で存在するという仮定により算出しているが、実施例2においてはSiC体積配合比率が大きく、粒子等間の接触が多くなり、独立的な粒子で存在する割合が減ったからであると考えられる。
【0030】
 一方、図5に実施例2に係るAl-SiC複合材料薄板を、切断ホイールを利用して切断した形状を示す。既存の方法で製造した高体積分率SiC強化複合材料は加工および切断が難しいが、本発明で製造した複合材料の薄板は図5に示したとおり、厚さが薄いので従前の切断ホイールを利用して切断が可能であった。よって、本発明の薄板形状の複合材料はダイヤモンドやレーザー切断がなくても十分に切断が可能であり切削加工費用が減少するのが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
 前述のとおり、本発明の製造方法によれば、従来の技術で製造するのが難しい高い強化材配合比率の複合材料薄板を、プラズマ溶射を利用した容易な方法を用いて製造することが出来る。このようにして製造される複合材料薄板は、高い熱伝達係数と低い熱膨張係数を有しているので、電子機器の熱管理素材等に好適に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、本発明のAl-SiC複合材料薄板の製造過程を説明するための模式図である。
【図2】図2は、実施例1に基づいて製造されたAl-SiC複合材料薄板の形状を示す写真である。
【図3】図3は、実施例1に基づいて製造された複合材料の微細組織写真である。
【図4】図4は、実施例2に基づいて製造された複合材料の微細組織写真である。
【図5】図5は、実施例2に基づいて製造された複合材料薄板の切断された形状を示す写真である。
【符号の説明】
【0033】
1 薄板
2 基板
3 溶射銃
4 供給部
【出願人】 【識別番号】594058838
【氏名又は名称】コリア インスティチュート オブ マシーナリー アンド マテリアルズ
【出願日】 平成15年9月10日(2003.9.10)
【代理人】 【識別番号】100101823
【弁理士】
【氏名又は名称】大前 要

【公開番号】 特開2004−100045(P2004−100045A)
【公開日】 平成16年4月2日(2004.4.2)
【出願番号】 特願2003−318908(P2003−318908)