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【発明の名称】 金属膜作製装置
【発明者】 【氏名】坂本 仁志
【住所又は居所】神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社先進技術研究センター内
【氏名】小椋 謙
【住所又は居所】神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社先進技術研究センター内
【氏名】大庭 義行
【住所又は居所】神奈川県横浜市金沢区幸浦一丁目8番地1 三菱重工業株式会社先進技術研究センター内
【氏名】西森 年彦
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内
【氏名】八幡 直樹
【住所又は居所】兵庫県高砂市荒井町新浜二丁目1番1号 三菱重工業株式会社高砂研究所内
【課題】被エッチング部材の交換を容易にした金属膜作製装置とする。

【解決手段】被エッチング部材18を天井板7に取り付け、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況にし、天井板7を外すことで構造物であるチャンバ1を分解することなく被エッチング部材18の交換を行ない、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減し、被エッチング部材18の交換を容易にした金属膜作製装置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に基板が収容されるチャンバと、
チャンバの構造に影響を及ぼさない状況でチャンバ内に配置される金属製の被エッチング部材と、
ハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
原料ガスプラズマを発生させ被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項2】
請求項1に記載の金属膜作製装置において、
チャンバは上部が開口する筒状をなすと共に上部開口部に絶縁材製の天井板が設けられ、被エッチング部材は天井板に支持されていることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項3】
請求項1に記載の金属膜作製装置において、
基板は支持台に載置されると共に支持台には絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持台の絶縁材製の支持部に支持されることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項4】
請求項1に記載の金属膜作製装置において、
チャンバの内部には構造に影響を及ぼさない状況で絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持部に支持されることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材は、格子状に形成されていることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材は、中心部材に対し複数の棒部材が放射状に設けられて形成されていることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項7】
請求項6に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心側から外側に向けて基板側に接近していることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項8】
請求項6もしくは請求項7に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心部材に対しそれぞれ回動自在に支持されて開閉可能とされ、中心部材は天井部材の一部を構成していることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材は、帯板部材が渦巻き状に巻かれて形成されていることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項10】
請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材には表面積を増加させる手段が設けられていることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
チャンバには被エッチング部材が通過できる搬出搬入口が設けられ、被エッチング部材は搬出搬入口を介して交換されることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項12】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
ハロゲンを含有する原料ガスは、塩素を含有する原料ガスであることを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項13】
請求項12に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を銅製とすることにより、前駆体としてCux Cly を生成することを特徴とする金属膜作製装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材は、ハロゲン化物形成金属であるタンタルもしくはタングステンもしくはチタンであることを特徴とする金属膜作製装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、気相成長法により基板の表面に金属膜を作製する金属膜作製装置に関する。
【0002】
【背景技術】
従来、気相成長法により金属膜、例えば、銅の薄膜を作製する場合、例えば、銅・ヘキサフロロアセチルアセトナト・トリメチルビニルシラン等の液体の有機金属錯体を原料として用い、固体状の原料を溶媒に溶かし、熱的な反応を利用して気化することにより基板に対する成膜を実施している。
【0003】
しかし、かかる従来技術は、熱的反応を利用した成膜のため、成膜速度の向上を図ることが困難であり、また原料となる金属錯体が高価であり、しかも銅に付随しているヘキサフロロアセチルアセトナト及びトリメチルビニルシランが銅の薄膜中に不純物として残留するため、膜質の向上を図ることが困難であるという欠点を有していた。
【0004】
これに対し、今回、本発明者等は次の知見を得た。すなわち、基板を収容する真空のチャンバ内に塩素ガスを供給し、この塩素ガスをプラズマ発生手段によりプラズマ化する一方、前記チャンバに配設した銅板からなる被エッチング部材を、塩素ガスプラズマでエッチングした場合、銅板と基板との温度の関係を適切に制御することにより、エッチングされた銅を基板に析出させて銅の薄膜を形成することができる、すなわちエッチング部材である銅板を高温(例えば300°C〜400°C)に、また基板を低温(200°C程度)にした場合、基板には銅薄膜を形成することができるというものである。
【0005】
したがって、相対的な高温雰囲気を形成する塩素ガスプラズマに臨んで銅板を配設する一方、このプラズマ雰囲気を挟んで銅板に対向する相対的な低温雰囲気に基板を配設するとともに、両者の温度を適切に制御することにより容易にCu薄膜の作製装置を提供することができる。ここで、被エッチング部材としては、Cuの他に、例えば、Ta、Ti、W等、高蒸気圧ハロゲン化物を作る金属であれば一般に用いることができ、また原料ガスとしてはCl2 の他に、ハロゲンガスであれば一般に用いることができる。
【0006】
かかる知見に基づく金属膜作製装置において、例えばCu薄膜を形成する場合には、先ずチャンバ内にArガスを供給してこのプラズマを形成することによりCuで形成した被エッチング部材を所定の温度にまで予備加熱し、この被エッチング部材が所定温度になった時点で、Cl2 ガスを供給してそのプラズマを形成する。この結果、被エッチング部材はCl2 ガスプラズマによりエッチングされてCuの前駆体(Cux Cly )を発生する。この前駆体(Cux Cly )は相対的な低温部である基板に搬送され、CuClとして基板の表面に吸着される。その後、基板に吸着された状態のCuClにCl が作用してClを引き抜き、基板の表面にCu薄膜を析出させる。
【0007】
すなわち、上記金属膜作製装置においては次の様な反応が起こっていると考えられる。
▲1▼プラズマの解離反応;Cl2 →2Cl* 
▲2▼エッチング反応;Cu+Cl* →CuCl(g)
▲3▼基板への吸着反応;CuCl(g)→CuCl(ad)
▲4▼成膜反応;CuCl(ad)+Cl* →Cu+Cl2 
ここで、Cl* はClのラジカルであることを、(g)はガス状態であることを、(ad)は吸着状態であることをそれぞれ表している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上述の如き金属膜作製装置では、銅板からなる被エッチング部材はチャンバに取り付けられた状態となっており、チャンバが導電体の場合には、絶縁材を介在させてチャンバに取り付けられている。このため、消耗部材である被エッチング部材を交換する場合には、構造物であるチャンバ及び絶縁材等を分解する必要があり、多大な労力と時間を要していた。
【0009】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、被エッチング部材の交換を容易にした金属膜作製装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明の金属膜作製装置は、
内部に基板が収容されるチャンバと、
チャンバの構造に影響を及ぼさない状況でチャンバ内に配置される金属製の被エッチング部材と、
ハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、
原料ガスプラズマを発生させ被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、
基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を基板に成膜させる温度制御手段と
を備えたことを特徴とする。
【0011】
そして、請求項1に記載の金属膜作製装置において、
チャンバは上部が開口する筒状をなすと共に上部開口部に絶縁材製の天井板が設けられ、被エッチング部材は天井板に支持されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項1に記載の金属膜作製装置において、
基板は支持台に載置されると共に支持台には絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持台の絶縁材製の支持部に支持されることを特徴とする。
【0013】
また、請求項1に記載の金属膜作製装置において、
チャンバの内部には構造に影響を及ぼさない状況で絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持部に支持されることを特徴とする。
【0014】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、格子状に形成されていることを特徴とする。
【0015】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、中心部材に対し複数の棒部材が放射状に設けられて形成されていることを特徴とする。
【0016】
また、請求項6に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心側から外側に向けて基板側に接近していることを特徴とする。
【0017】
また、請求項6もしくは請求項7に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心部材に対しそれぞれ回動自在に支持されて開閉可能とされ、中心部材は天井部材の一部を構成していることを特徴とする。
【0018】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、帯板部材が渦巻き状に巻かれて形成されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材には表面積を増加させる手段が設けられていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、チャンバには被エッチング部材が通過できる搬出搬入口が設けられ、被エッチング部材は搬出搬入口を介して交換されることを特徴とする。
【0021】
また、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、ハロゲンを含有する原料ガスは、塩素を含有する原料ガスであることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12に記載の金属膜作製装置において、
被エッチング部材を銅製とすることにより、前駆体としてCux Cly を生成することを特徴とする。
【0023】
また、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、ハロゲン化物形成金属であるタンタルもしくはタングステンもしくはチタンであることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
【0025】
本発明の金属膜作製装置は、金属製(Cu製)の被エッチング部材が収容されたチャンバ内にハロゲンとしての塩素を含有する原料ガスを供給し、塩素ガスプラズマを発生させ塩素ガスプラズマで被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれるCu成分と塩素ガスとの前駆体を生成し、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くすることで前駆体のCu成分を基板に成膜させるようにしたものである。
【0026】
【実施例】
以下図面に基づいて本発明の金属膜作製装置の実施例を説明する。
【0027】
図1乃至図3に基づいてに基づいて本発明の金属膜作製装置の第1実施例を説明する。
【0028】
図1には本発明の第1実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図2には被エッチング部材の斜視状況、図3には被エッチング部材の他の態様を表す斜視状況を示してある。
【0029】
図1に示すように、円筒状に形成された、金属製(例えば、アルミ製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。
支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0030】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0031】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0032】
原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0033】
尚、ガスノズル12から供給される原料ガスの角度は、上向きの90度に設定したり、円周方向で角度を変更して種々の角度で設定することが可能である。これにより、原料ガスの供給状況(プラズマの発生状況)を任意に設定することが可能である。
【0034】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材18が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材18はチャンバ1内に配置されている。図1、図2に示すように、被エッチング部材18は、天井板7の中心部に取り付けられる中心部材55を備え、中心部材55に対し複数(図示例では12本)の棒部材56が水平状態(基板3に対して平行状態)で放射状に設けられて形成されている。
【0035】
尚、基板3に対して所定の傾斜角度を持って棒部材56を中心部材55に設けることも可能である。また、棒部材56の間に棒部材56よりも放射方向に短い第2棒部材を設けることも可能であある。このようにすると、誘導電流を抑制しつつエッチング対象となる銅の面積を確保することができる。また、図3に示すように、表面積を増加させる手段として、棒部材56に多数のフィン17を設けることも可能である。表面積を増加させる手段としては、メッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0036】
天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ9にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。ガスノズル12からは天井板7に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。
【0037】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0038】
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0039】
被エッチング部材18は、複数の棒部材56が放射状に設けられて形成されているので、棒部材56の間に空間が存在した状態になっている。このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板7との間に棒部材56が配置された状態になっている。これにより、棒部材56に誘導電流が発生しても、基板3側から被エッチング部材18を見た場合、プラズマアンテナ9の電気の流れと同方向の電気の流れとなり、被エッチング部材18の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。
【0040】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材18(棒部材56)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材18はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0041】
尚、被エッチング部材18を構成する中心部材55に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材18を所定の温度に制御することも可能である。
【0042】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、被エッチング部材18よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0043】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0044】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材18のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0045】
また、被エッチング部材18の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等になる。
【0046】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材18よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
【0047】
また、被エッチング部材18は、天井板7に取り付けられてチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7を外すことで被エッチング部材18の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材18を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材18を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。従って、被エッチング部材18の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0048】
尚、天井板7に対する被エッチング部材18(中心部材55)の取付け取外しを自動的に行なえる構成とした場合、チャンバ1に被エッチング部材18が通過する搬出搬入口を設け、ロボット等を用いて被エッチング部材18を搬出搬入口を介して交換することも可能である。
【0049】
図4、図5に基づいてに基づいて本発明の金属膜作製装置の第2実施例を説明する。
【0050】
図4には本発明の第2実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図5には被エッチング部材の斜視状況を示してある。尚、図1乃至図3に示した部材には同一符号を付してある。
【0051】
図4に示すように、円筒状に形成された、金属製(例えば、アルミ製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。
支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0052】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0053】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0054】
原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0055】
尚、ガスノズル12から供給される原料ガスの角度は、上向きの90度に設定したり、円周方向で角度を変更して種々の角度で設定することが可能である。これにより、原料ガスの供給状況(プラズマの発生状況)を任意に設定することが可能である。
【0056】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材23が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材23はチャンバ1内に配置されている。図4、図5に示すように、被エッチング部材23は、天井板7の中心部に取り付けられる中心部材24を備え、中心部材24に対し複数(図示例では12本)の湾曲棒部材25が放射状に設けられている。湾曲棒部材25は中心部材24から放射先端側に向けて下向きに湾曲した状態に形成され、放射先端側が中心部材24側よりも基板3に近い距離となっている。
【0057】
尚、湾曲棒部材25の間に湾曲棒部材25よりも放射方向に短い第2湾曲棒部材を設けることも可能であある。このようにすると、誘導電流を抑制しつつエッチング対象となる銅の面積を確保することができる。また、表面積を増加させる手段として、湾曲棒部材25に多数のフィンを設けることも可能である(図3参照)。表面積を増加させる手段としては、メッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0058】
天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ9にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。ガスノズル12からは天井板7に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。
【0059】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0060】
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0061】
被エッチング部材23は、複数の湾曲棒部材25が放射状に設けられて形成されているので、湾曲棒部材25の間に空間が存在した状態になっている。このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板7との間に湾曲棒部材25が配置された状態になっている。これにより、湾曲棒部材25に誘導電流が発生しても、基板3側から被エッチング部材23を見た場合、プラズマアンテナ9の電気の流れと同方向の電気の流れとなり、被エッチング部材23の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。
【0062】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材23(湾曲棒部材25)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材23はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0063】
尚、被エッチング部材23を構成する中心部材24に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材23を所定の温度に制御することも可能である。
【0064】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、被エッチング部材23よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0065】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0066】
被エッチング部材23は放射状に湾曲棒部材25が設けられてチャンバ1内において放射先端側の金属の密度が低い状態となっているが、湾曲棒部材25の放射先端側が中心部材24側よりも基板3に近い距離となっているので、基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0067】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材23のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0068】
また、被エッチング部材23の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等になる。
【0069】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材23よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜23を生成することが可能になる。
【0070】
また、被エッチング部材23は、天井板7に取り付けられてチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7を外すことで被エッチング部材23の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材23を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材23を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。従って、被エッチング部材23の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0071】
また、被エッチング部材23は密度が低くなる湾曲棒部材25の放射先端側が中心部材24側よりも基板3に近い距離となっているので、基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0072】
尚、天井板7に対する被エッチング部材23(中心部材24)の取付け取外しを自動的に行なえる構成とした場合、チャンバ1に被エッチング部材23が通過する搬出搬入口を設け、ロボット等を用いて被エッチング部材23を搬出搬入口を介して交換することも可能である。
【0073】
図6乃至図8に基づいてに基づいて本発明の金属膜作製装置の第3実施例を説明する。
【0074】
図6には本発明の第3実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図7には被エッチング部材の斜視状況、図8には被エッチング部材を抜き外す状況の側面を示してある。尚、図1乃至図5に示した部材には同一符号を付してある。
【0075】
図6に示すように、円筒状に形成された、金属製(例えば、アルミ製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。
支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0076】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0077】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0078】
原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0079】
尚、ガスノズル12から供給される原料ガスの角度は、上向きの90度に設定したり、円周方向で角度を変更して種々の角度で設定することが可能である。これにより、原料ガスの供給状況(プラズマの発生状況)を任意に設定することが可能である。
【0080】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材27が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材27はチャンバ1内に配置されている。
【0081】
図6に示すように、天井板7の中心部には円形の穴19が設けられ、穴19には絶縁材製の中心部材28が取り付けられている。中心部材28は天井板7の一部を構成し、中心部材28の下部はチャンバ1の内部に臨んでいる。図6、図7に示すように、中心部材28の下部には中心部材28よりも径が小さい回動支持部29が設けられ、回動支持部29には複数の棒部材30の一端がそれぞれ回動自在に支持されている。
【0082】
棒部材30が水平状態に回動した際に棒部材30が放射状に形成された状態になる。また、棒部材30を下側に回動させた場合、中心部材28の径方向の範囲で棒部材30が垂直状態になり(図8参照)、中心部材28を天井板7の上側に抜くことにより棒部材30とともに被エッチング部材27を上側に取り外すことができる。
【0083】
尚、棒部材30として、図4、図5に示したように、湾曲棒部材を適用することも可能である。また、棒部材30の間に棒部材30よりも放射方向に短い第2棒部材を設けることも可能であある。このようにすると、誘導電流を抑制しつつエッチング対象となる銅の面積を確保することができる。また、表面積を増加させる手段として、棒部材30に多数のフィンを設けることも可能である(図3参照)。表面積を増加させる手段としては、メッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0084】
天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ9にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。ガスノズル12からは天井板7に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。
【0085】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0086】
上述した金属膜作製装置では、成膜時には、被エッチング部材27の棒部材30は放射状に開いた状態で開閉位置が固定されている。チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0087】
被エッチング部材27は、複数の棒部材30は放射状に開いた状態で開閉位置が固定されているので、棒部材30の間に空間が存在した状態になっている。このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板7との間に棒部材30が配置された状態になっている。これにより、棒部材30に誘導電流が発生しても、基板3側から被エッチング部材30を見た場合、プラズマアンテナ9の電気の流れと同方向の電気の流れとなり、被エッチング部材30の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。
【0088】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材23(湾曲棒部材25)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材23はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0089】
尚、被エッチング部材30を構成する中心部材28に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材30を所定の温度に制御することも可能である。
【0090】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、被エッチング部材30よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0091】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0092】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材23のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0093】
また、被エッチング部材30の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等になる。
【0094】
被エッチング部材30交換を行なう場合、図8に示すように、棒部材30を下側に回動させ、中心部材28の径方向の範囲で棒部材30を垂直状態にし、中心部材28を天井板7の上側に抜くことにより棒部材30とともに被エッチング部材27を上側に取り外す。
【0095】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材23よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜23を生成することが可能になる。
【0096】
また、被エッチング部材27は、中心部材28が天井板7の穴19に取り付けられることで天井板7側に支持され、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7から中心部材28を外すことで被エッチング部材27の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材27を交換する場合、構造物であるチャンバ1及び天井板7を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材27を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。従って、被エッチング部材27の交換を極めて容易にした金属膜作製装置となる。
【0097】
図9、図10に基づいてに基づいて本発明の金属膜作製装置の第4実施例を説明する。
【0098】
図9には本発明の第4実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図10には被エッチング部材の斜視状況を示してある。尚、図1乃至図8に示した部材には同一符号を付してある。
【0099】
図9に示すように、円筒状に形成された、金属製(例えば、アルミ製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。
支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0100】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0101】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0102】
原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0103】
尚、ガスノズル12から供給される原料ガスの角度は、上向きの90度に設定したり、円周方向で角度を変更して種々の角度で設定することが可能である。これにより、原料ガスの供給状況(プラズマの発生状況)を任意に設定することが可能である。
【0104】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材31が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材31はチャンバ1内に配置されている。図9、図10に示すように、被エッチング部材31は、天井板7の中心部に取り付けられる中心部材32を備え、中心部材32には帯板部材33が格子状で円盤状に形成された被エッチング部34が取り付けられている。
【0105】
尚、帯板部材33に表面積を増加させる手段を設けることが可能であり、表面積を増加させる手段としては、帯板部材33に多数のフィンやメッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0106】
天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ9にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。ガスノズル12からは天井板7に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。
【0107】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0108】
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0109】
被エッチング部材31は、帯板部材33が格子状となって被エッチング部34が形成されているので、帯板部材33の間に空間が存在した状態になっている。
このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板7との間に被エッチング部34が配置された状態になっている。これにより、被エッチング部34の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。
また、基板3の表面に対して被エッチング部34の金属の密度が均一状態になっている。
【0110】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材31(帯板部材33)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材31はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0111】
尚、被エッチング部材31を構成する中心部材32に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材31を所定の温度に制御することも可能である。
【0112】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、被エッチング部材31よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0113】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0114】
被エッチング部材31は基板3の表面に対して被エッチング部34の金属の密度が均一状態になっているので、基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0115】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材31のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0116】
また、被エッチング部材31の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ta,Ti, W等になる。
【0117】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材31よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
【0118】
また、被エッチング部材31は、天井板7に取り付けられてチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7を外すことで被エッチング部材31の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材31を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材31を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。従って、被エッチング部材31の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0119】
また、被エッチング部材31は被エッチング部34の金属の密度が基板3の表面にわたり略均一になっているので、基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0120】
尚、天井板7に対する被エッチング部材31(中心部材32)の取付け取外しを自動的に行なえる構成とした場合、チャンバ1に被エッチング部材31が通過する搬出搬入口を設け、ロボット等を用いて被エッチング部材31を搬出搬入口を介して交換することも可能である。
【0121】
図11、図12に基づいてに基づいて本発明の金属膜作製装置の第5実施例を説明する。
【0122】
図11には本発明の第5実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図12には被エッチング部材の斜視状況を示してある。尚、図1乃至図10に示した部材には同一符号を付してある。
【0123】
図11に示すように、円筒状に形成された、金属製(例えば、アルミ製)のチャンバ1の底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0124】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0125】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0126】
原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0127】
尚、ガスノズル12から供給される原料ガスの角度は、上向きの90度に設定したり、円周方向で角度を変更して種々の角度で設定することが可能である。これにより、原料ガスの供給状況(プラズマの発生状況)を任意に設定することが可能である。
【0128】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材37が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材37はチャンバ1内に配置されている。図11、図12に示すように、被エッチング部材37は、天井板7の中心部に取り付けられる中心部材38を備え、中心部材38には帯板部材39が渦巻き状に巻かれて形成された被エッチング部40が取り付けられている。
【0129】
尚、帯板部材39に表面積を増加させる手段を設けることが可能であり、表面積を増加させる手段としては、帯板部材39に多数のフィンやメッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0130】
天井板7の上方にはチャンバ1の内部をプラズマ化するためのプラズマアンテナ9が設けられ、プラズマアンテナ9は天井板7の面と平行な平面リング状に形成されている。プラズマアンテナ9にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。ガスノズル12からは天井板7に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。
【0131】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0132】
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ9から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0133】
被エッチング部材37は、帯板部材39が渦巻き状に巻かれて被エッチング部40が形成されているので、帯板部材39の板間に空間が存在した状態になっている。このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で誘導電流がなく基板3と天井板7との間に被エッチング部40が配置された状態になっている。これにより、被エッチング部40の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。また、基板3の表面に対して被エッチング部40の金属の密度が均一状態になっている。
【0134】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材37(帯板部材39)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材37はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0135】
尚、被エッチング部材37を構成する中心部材38に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材37を所定の温度に制御することも可能である。
【0136】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、被エッチング部材37よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0137】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0138】
被エッチング部材37は誘導電流が流れず基板3の表面に対して被エッチング部34の金属の密度が均一状態になっているので、エネルギー効率が良く基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0139】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材37のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0140】
また、被エッチング部材37の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等になる。
【0141】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材37よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
【0142】
また、被エッチング部材37は、天井板7に取り付けられてチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7を外すことで被エッチング部材37の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材37を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材31を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。従って、被エッチング部材31の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0143】
また、被エッチング部材37は誘導電流が流れず被エッチング部40の金属の密度が基板3の表面にわたり略均一になっているので、エネルギー効率を高くして基板3には均一な状態でCu薄膜16が生成される。
【0144】
尚、天井板7に対する被エッチング部材37(中心部材38)の取付け取外しを自動的に行なえる構成とした場合、チャンバ1に被エッチング部材37が通過する搬出搬入口を設け、ロボット等を用いて被エッチング部材37を搬出搬入口を介して交換することも可能である。
【0145】
図13、図14に基づいて被エッチング部材の支持の他の実施例を説明する。
図13には本発明の第6実施例に係る金属膜作製装置の概略側面、図14には本発明の第7実施例に係る金属膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図1乃至図12に示した部材と同一部材には同一符号を付して重複する説明は省略してある。
【0146】
第6実施例を説明する。
【0147】
図13に示すように、チャンバ1の上部の内壁には絶縁材製の支持部としての支持台51が取り付けられ、支持台51に被エッチング部材18(放射状の棒部材56)が載置されている。この場合、被エッチング部材18の中心部材55は省略される。支持台51はチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状態で設けられ、被エッチング部材18はチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況でチャンバ1内に配置されている。
【0148】
これにより、天井板7を外して被エッチング部材を搬出・搬入することで被エッチング部材18の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材18を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。従って、被エッチング部材18の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0149】
尚、被エッチング部材としては、図4に示した被エッチング部材23、図9に示した被エッチング部材31及び図11に示した被エッチング部材37を適用することも可能である。
【0150】
第7実施例を説明する。
【0151】
図14に示すように、支持台2の側部にはチャンバ1の上側に延びる絶縁材製の支持部としての支持枠体52が取り付けられ、支持枠体52に被エッチング部材18(放射状の棒部材56)が載置されている。この場合、被エッチング部材18の中心部材55は省略される。支持枠体52はチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で設けられ、被エッチング部材18はチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況でチャンバ1内に配置されている。
【0152】
これにより、天井板7を外して被エッチング部材を搬出・搬入することで被エッチング部材18の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材18を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。従って、被エッチング部材18の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0153】
尚、被エッチング部材としては、図4に示した被エッチング部材23、図9に示した被エッチング部材31及び図11に示した被エッチング部材37を適用することも可能である。
【0154】
図15に基づいて本発明の第8実施例に係る金属膜作製装置を説明する。
【0155】
図15には本発明の第8実施例に係る金属膜作製装置の概略側面を示してある。尚、図1乃至図14に示した部材と同一部材には同一符号を付してある。
【0156】
図に示すように、円筒状に形成された、例えば、セラミックス製(絶縁材料製)のチャンバ1にはの底部近傍には支持台2が設けられ、支持台2には基板3が載置される。支持台2にはヒータ4及び冷媒流通手段5を備えた温度制御手段6が設けられ、支持台2は温度制御手段6により所定温度(例えば、基板3が100℃乃至200℃に維持される温度)に制御されるようになっている。
【0157】
チャンバ1の上面は開口部とされ、開口部は絶縁材製(例えば、セラミックス製)の天井部材である円盤状の天井板7によって塞がれている。天井板7によって塞がれたチャンバ1の内部は真空装置8により所定の圧力に維持される。
【0158】
チャンバ1の上部における天井板7には金属製(Cu製)の被エッチング部材18が支持されている。つまり、チャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況で被エッチング部材18はチャンバ1内に配置されている。被エッチング部材18は、天井板7の中心部に取り付けられる中心部材55を備え、中心部材55に対し複数(図示例では12本)の棒部材56が水平状態(基板3に対して平行状態)で放射状に設けられて形成されている。
【0159】
尚、基板3に対して所定の傾斜角度を持って棒部材56を中心部材55に設けることも可能である。また、棒部材56の間に棒部材56よりも放射方向に短い第2棒部材を設けることも可能であある。このようにすると、誘導電流を抑制しつつエッチング対象となる銅の面積を確保することができる。また、図3に示すように、表面積を増加させる手段として、棒部材56に多数のフィン17を設けることも可能である。表面積を増加させる手段としては、メッシュ状の部材を設けたり、表面を凹凸状に形成することが可能である。
【0160】
チャンバ1の内部における支持台2の周囲には原料ガス供給手段としてのガスノズル12が設けられ、ガスノズル12には流量制御器13を介してハロゲンとしての塩素を含有する原料ガス(He,Ar等で塩素濃度が≦50% 、好ましくは10% 程度に希釈されたCl2 ガス)が送られ、ガスノズル12からは原料ガスがチャンバ1の内部に供給される。
【0161】
ガスノズル12からは被エッチング部材18に向けて、例えば、45度の角度で原料ガスが供給される。原料ガスに含有されるハロゲンとしては、フッ素(F)、臭素(Br)及びヨウ素(I)等を適用することが可能である。
【0162】
チャンバ1の筒部の外周には円筒コイル状のプラズマアンテナ26が設けられ、プラズマアンテナ26にはプラズマ発生手段としての整合器10及び電源11が接続されて給電が行われる。
【0163】
チャンバ1の下部には排気手段としての排気口21が設けられ、排気口21からは反応に関与しないガス及びエッチング生成物が排出される。
【0164】
上述した金属膜作製装置では、チャンバ1の内部にガスノズル12から原料ガスを供給し、プラズマアンテナ26から電磁波をチャンバ1の内部に入射することで、Cl2 ガスがイオン化されてCl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14が発生する。
【0165】
被エッチング部材18は、複数の棒部材56が放射状に設けられて形成されているので、棒部材56の間に空間が存在した状態になっている。このため、プラズマアンテナ9の電気の流れ方向に対して不連続な状態で基板3と天井板7との間に棒部材56が配置された状態になっている。これにより、棒部材56に誘導電流が発生しても、基板3側から被エッチング部材18を見た場合、プラズマアンテナ9の電気の流れと同方向の電気の流れとなり、被エッチング部材18の下側にCl2 ガスプラズマ14が安定して発生する。
【0166】
Cl2 ガスプラズマ14により、銅製の被エッチング部材18(棒部材56)にエッチング反応が生じ、前駆体(Cux Cly )15が生成される。このとき、被エッチング部材18はCl2 ガスプラズマ14により基板3の温度よりも高い所定温度(例えば、200℃乃至400℃)に維持されている。
【0167】
尚、被エッチング部材18を構成する中心部材55に冷却・加熱配線や冷媒・熱媒通路等を設け、被エッチング部材18を所定の温度に制御することも可能である。
【0168】
チャンバ1の内部で生成された前駆体(Cux Cly )15は、天井板25よりも低い温度に制御された基板3に運ばれる。基板3に運ばれる前駆体(Cux Cly )15は還元反応によりCuイオンのみとされて基板3に当てられ、基板3の表面にCu薄膜16が生成される。
【0169】
このときの反応は、次式で表すことができる。
2Cu+Cl2 →2CuCl→2Cu↓+Cl2 
反応に関与しないガス及びエッチング生成物は排気口21から排気される。
【0170】
尚、原料ガスとして、He,Ar等で希釈されたCl2 ガスを例に挙げて説明したが、Cl2 ガスを単独で用いたり、HCl ガスを適用することも可能である。HCl ガスを適用した場合、原料ガスプラズマはHCl ガスプラズマが生成されるが、被エッチング部材18のエッチングにより生成される前駆体はCux Cly である。従って、原料ガスは塩素を含有するガスであればよく、HCl ガスとCl2 ガスとの混合ガスを用いることも可能である。
【0171】
また、被エッチング部材18の材質は、銅(Cu)に限らず、ハロゲン化物形成金属、好ましくは塩化物形成金属であるAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等を用いることが可能である。この場合、前駆体はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等のハロゲン化物(塩化物)となり、基板3の表面に生成される薄膜はAg,Au,Pt,Ir,Ta,Ti,W等になる。
【0172】
上記構成の金属膜作製装置は、Cl2 ガスプラズマ(原料ガスプラズマ)14を用いているため、反応効率が大幅に向上して成膜速度が速くなる。また、原料ガスとしてCl ガスを用いているため、コストを大幅に減少させることができる。
また、温度制御手段6を用いて基板3を被エッチング部材18よりも低い温度に制御しているので、Cu薄膜16中に塩素等の不純物の残留を少なくすることができ、高品質なCu薄膜16を生成することが可能になる。
【0173】
また、被エッチング部材18は、天井板7に取り付けられてチャンバ1の構造に影響を及ぼさない状況になっているので、天井板7を外すことで被エッチング部材18の交換が行なえる。このため、消耗部材である被エッチング部材18を交換する場合、構造物であるチャンバ1を分解する必要がなく、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができる。また、チャンバ1が導電体製であっても被エッチング部材18を支持するための絶縁材が不要であるので、構成部材を簡素化することができる。また、円筒コイル状のプラズマアンテナ26を用いているので、チャンバ1の大型化に対応することができ、大きな基板3の成膜に適用可能である。従って、被エッチング部材18の交換を容易にした金属膜作製装置となる。
【0174】
尚、天井板7に対する被エッチング部材18(中心部材55)の取付け取外しを自動的に行なえる構成とした場合、チャンバ1に被エッチング部材18が通過する搬出搬入口を設け、ロボット等を用いて被エッチング部材18を搬出搬入口を介して交換することも可能である。
【0175】
上述した金属膜作製装置においては、被エッチング部材18に代えて、前述した図1乃至図12で示した被エッチング部材23,27,31,40を適宜使用することが可能である。
【0176】
【発明の効果】
本発明の金属膜作製装置は、内部に基板が収容されるチャンバと、チャンバの構造に影響を及ぼさない状況でチャンバ内に配置される金属製の被エッチング部材と、ハロゲンを含有する原料ガスを供給する原料ガス供給手段と、原料ガスプラズマを発生させ被エッチング部材をエッチングすることにより被エッチング部材に含まれる金属成分と原料ガスとの前駆体を生成するプラズマ発生手段と、基板側の温度を被エッチング部材側の温度よりも低くして前駆体の金属成分を基板に成膜させる温度制御手段とを備えたので、被エッチング部材は、チャンバの構造に影響を及ぼさない状況になる。
【0177】
この結果、構造物であるチャンバを分解することなく被エッチング部材の交換が行なえ、メンテナンスの労力と時間を大幅に低減することができ、被エッチング部材の交換を容易にした金属膜作製装置とすることが可能になる。
【0178】
そして、請求項1に記載の金属膜作製装置において、チャンバは上部が開口する筒状をなすと共に上部開口部に絶縁材製の天井板が設けられ、被エッチング部材は天井板に支持されているので、天井板を外すことで被エッチング部材の交換が可能になる。
【0179】
また、請求項1に記載の金属膜作製装置において、基板は支持台に載置されると共に支持台には絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持台の絶縁材製の支持部に支持されているので、支持台から被エッチング部材を外すことで被エッチング部材の交換が可能になる。
【0180】
また、請求項1に記載の金属膜作製装置において、チャンバの内部には構造に影響を及ぼさない状況で絶縁材製の支持部が設けられ、被エッチング部材は支持部に支持されているので、支持部から被エッチング部材を外すことで被エッチング部材の交換が可能になる。
【0181】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、格子状に形成されているので、プラズマの発生に影響を与えることなく、しかも、基板に対応する金属の密度を等しくした被エッチング部材とすることができる。
【0182】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、中心部材に対し複数の棒部材が放射状に設けられて形成されているので、プラズマの発生に影響を与えることがない被エッチング部材とすることができる。
【0183】
また、請求項6に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心側から外側に向けて基板側に接近しているので、金属の密度が低い放射外側の被エッチング部材を基板に接近させて均一な成膜を行なうことができる。
【0184】
また、請求項6もしくは請求項7に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材を構成する複数の棒部材は、中心部材に対しそれぞれ回動自在に支持されて開閉可能とされ、中心部材は天井部材の一部を構成しているので、棒部材を閉じて中心部材を外すことで、被エッチング部材の交換が可能になる。
【0185】
また、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、帯板部材が渦巻き状に巻かれて形成されているので、誘導電流が発生せずエネルギー効率を向上させることができる。
【0186】
また、請求項5乃至請求項9のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材には表面積を増加させる手段が設けられているので、表面積を増大させることができる。
【0187】
また、請求項1乃至請求項10のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、チャンバには被エッチング部材が通過できる搬出搬入口が設けられ、被エッチング部材は搬出搬入口を介して交換されるので、自動化に対応することができる。
【0188】
また、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、ハロゲンを含有する原料ガスは、塩素を含有する原料ガスであるので、安価な原料ガスを用いることができる。
【0189】
また、請求項12に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材を銅製とすることにより、前駆体としてCux Cly を生成するので、Cu薄膜を成膜することができる。
【0190】
また、請求項1乃至請求項11のいずれか一項に記載の金属膜作製装置において、被エッチング部材は、ハロゲン化物形成金属であるタンタルもしくはタングステンもしくはチタンであるので、タンタルもしくはタングステンもしくはチタンの薄膜を成膜することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図2】被エッチング部材の斜視図。
【図3】被エッチング部材の他の態様を表す斜視図。
【図4】本発明の第2実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図5】被エッチング部材の斜視図。
【図6】本発明の第3実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図7】被エッチング部材の斜視図。
【図8】被エッチング部材を抜き外す状況の側面図。
【図9】本発明の第4実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図10】被エッチング部材の斜視図。
【図11】本発明の第5実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図12】被エッチング部材の斜視図。
【図13】本発明の第6実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図14】本発明の第7実施例に係る金属膜作製装置の概略側面図。
【図15】本発明の第8実施例に係る金属膜作製装置の概略構成図。
【符号の説明】
1 チャンバ
2 支持台
3 基板
4 ヒータ
5 冷媒流通手段
6 温度制御手段
7 天井板
8 真空装置
9,26 プラズマアンテナ
10 整合器
11 電源
12 ガスノズル
13 流量制御器
14 Cl2 ガスプラズマ
15 前駆体
16 Cu薄膜
17 フィン
18,23,31,34,37 被エッチング部材
19 穴
21 排気口
24,28,32,38,55 中心部材
25 湾曲棒部材
29 回動支持部
30,56 棒部材
33,39 帯板部材
34,40 被エッチング部
【出願人】 【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
【住所又は居所】東京都港区港南二丁目16番5号
【出願日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【代理人】 【識別番号】100078499
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 俊郎

【識別番号】100074480
【弁理士】
【氏名又は名称】光石 忠敬

【識別番号】100102945
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 康幸

【識別番号】100120673
【弁理士】
【氏名又は名称】松元 洋

【公開番号】 特開2004−83947(P2004−83947A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2002−243256(P2002−243256)