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【発明の名称】 ヒトシクロオキシゲナーゼ−2cDNA及びシクロオキシゲナーゼ−2の阻害を評価するアッセイ
【発明者】 【氏名】ワンダ・アー・クロムリシユ
【氏名】ブリアン・ピー・ケネデイ
【氏名】ギヤリ・オニール
【氏名】フイリツプ・ジ・ビツケル
【氏名】エリザベート・ウオン
【氏名】ジヨゼフ・アー・マンシーニ
【課題】シクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性の強力な阻害剤である薬理物質を同定及び評価するアッセイ及び物質を提供する。また、シクロオキシゲナーゼ−1及びシクロオキシゲナーゼ−1活性よりもシクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性を優先的もしくは選択的に阻害する薬理物質を同定及び評価するアッセイ及び物質を提供する。

【解決手段】シクロオキシゲナーゼ−2の阻害をシクロオキシゲナーゼ−1と比較して測定するアッセイを開示する。本発明は、ヒトシクロオキシゲナーゼ−2cDNA及びヒトシクロオキシゲナーゼ−2も包含する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料のシクロオキシゲナーゼ−2活性を測定するアッセイであって、
(a)(1)ヒト骨肉腫143.98.2細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸
を添加するステップ、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
E2の量を測定するステップ
を含むアッセイ。
【請求項2】
ヒト骨肉腫143.98.2細胞調製物の細胞部分が骨肉腫143.98.2の全細胞から成ることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ。
【請求項3】
ヒト骨肉腫143.98.2細胞調製物の細胞部分が骨肉腫143.98.2ミクロソームから成ることを特徴とする請求項1に記載のアッセイ。
【請求項4】
ミクロソームが内因性アラキドン酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項3に記載のアッセイ。
【請求項5】
ミクロソームを、ミクロソーム中の内因性アラキドン酸の量を少なくとも約2倍減少させるのに有効な量の脱脂質化血清タンパク質と接触させることを特徴とする請求項3に記載のアッセイ。
【請求項6】
(a)(1)ヒト骨肉腫143.98.2細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸
を添加するステップ、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
E2の量を測定するステップ
を含み、
前記細胞調製物に調製物1cc当たり10〜10個のヒト骨肉腫143.98.2全細胞かまたは調製物1ml当たり50〜500μgのヒト骨肉腫143.98.2ミクロソームを含有させ、
アラキドン酸は細胞調製物1ml当たり0.1〜50μlの量で用いる
ことを特徴とする請求項1に記載のアッセイ。
【請求項7】
(a)細胞調製物1cc当たり10〜10個のヒト骨肉腫143.98.2細胞かまたは50〜500μgのヒト骨肉腫143.98.2ミクロソームを含有するヒト骨肉腫143.98.2細胞調製物と、
(b)細胞調製物1cc当たり0.1〜50μlのアラキドン酸と
を含有する組成物。
【請求項8】
細胞調製物1cc当たり8×10個から2×10個の骨肉腫143.98.2全細胞かまたは100〜400μgの骨肉腫143.98.2ミクロソームと、細胞調製物1cc当たり10〜20μlの、ペルオキシドを有しないアラキドン酸とを含有する請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
ミクロソームが内因性アラキドン酸を実質的に含有しないことを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
試料のシクロオキシゲナーゼ−1活性を測定するアッセイであって、
(1)COX−1細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−1阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
E2の量を測定するステップ
を含むアッセイ。
【請求項11】
COX−1細胞調製物の細胞部分が実質的にU−937の全細胞から成ることを特徴とする請求項10に記載のアッセイ。
【請求項12】
COX−1細胞調製物の細胞部分が実質的にU−937ミクロソームから成ることを特徴とする請求項10に記載のアッセイ。
【請求項13】
(1)COX−1細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−1阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
E2の量を測定するステップ
を含み、
前記細胞調製物に調製物1cc当たり105〜108個のU−937全細胞かまたは調製物1ml当たり1〜10mgのU−937ミクロソームを含有させ、
アラキドン酸は細胞調製物1ml当たり0.1〜50μlの量で用いる
ことを特徴とする請求項10に記載のアッセイ。
【請求項14】
細胞調製物に調製物1cc当たり8×10個から1.5×10個のU−937全細胞かまたは調製物1ml当たり1〜5mgのU−937ミクロソームを含有させることを特徴とする請求項13に記載のアッセイ。
【発明の詳細な説明】【0001】
(発明の背景)
本発明は、ヒトシクロオキシゲナーゼ−2cDNA、並びにシクロオキシゲナーゼ−1及びシクロオキシゲナーゼ−2活性を評価するアッセイに係わる。
【0002】
非ステロイド性の抗炎症薬は、シクロオキシゲナーゼとしても知られるプロスタグランジンG/Hシンターゼの阻害によってその抗炎症、鎮痛及び下熱活性の大部分を発揮し、かつホルモン誘発性の子宮収縮及び或る種の癌増殖を抑制する。最近まで、シクロオキシゲナーゼは一つの形態のものしか特性を解明されておらず、その形態は最初にウシの精嚢腺において同定された構成酵素のシクロオキシゲナーゼ−1に対応した。最近、誘導形態のシクロオキシゲナーゼ(シクロオキシゲナーゼ−2)をコードする遺伝子がニワトリ、マウス及びヒト由来の遺伝子源からクローン化され、配列決定され、かつ特性解明された。このシクロオキシゲナーゼ−2は、これもヒツジ、マウス及びヒト由来の遺伝子源からクローン化され、配列決定され、かつ特性解明されたシクロオキシゲナーゼ−1とは区別される。第二の形態のシクロオキシゲナーゼであるシクロオキシゲナーゼ−2は、マイトジェン、内毒素、ホルモン、サイトカイン及び成長因子を含めた幾つかの物質によって急速かつ容易に誘導され得る。プロスタグランジンには生理学的役割と病理学的役割とが有ることから、本発明者は、構成酵素であるシクロオキシゲナーゼ−1は主としてプロスタグランジンの内因性基礎放出の要因であり、従ってプロスタグランジンの、胃腸統合性及び腎血流量の維持などの生理機能において重要であると結論した。これに対して、炎症誘起物質、ホルモン、成長因子及びサイトカインなどの物質に応答して急速に誘導された誘導形態のシクロオキシゲナーゼ−2は主にプロスタグランジンの病理作用の要因となると結論した。即ち、シクロオキシゲナーゼ−2の選択的阻害剤は通常の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)のものに類似の抗炎症、下熱及び鎮痛特性を有し、加えてホルモン誘発性の子宮収縮を抑制し、かつ潜在的抗癌作用を有するが、当該機構に基づく副作用の幾つかを起こす恐れは少ない。このような化合物は特に、胃腸に有毒である恐れ、また腎性副作用を起こす恐れが少なく、出血時への影響が小さく、かつアスピリン感受性の喘息患者において喘息発作を惹起する恐れが可能なかぎり少ないものであるべきである。
【0003】
従って本発明は、シクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性の強力な阻害剤である薬理物質を同定及び評価するアッセイ及び物質を提供することを目的とする。
【0004】
本発明はまた、シクロオキシゲナーゼ−1及びシクロオキシゲナーゼ−1活性よりもシクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性を優先的もしくは選択的に阻害する薬理物質を同定及び評価するアッセイ及び物質の提供も目的とする。
【0005】
(図面の簡単な説明)
図1はヒトシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質の完全長アミノ酸配列を示す説明図である。
図2はヒト骨肉腫細胞から得たクローン化ヒトシクロオキシゲナーゼ−2相補的DNAの完全長ヌクレオチド配列を示す説明図である。
【0006】
(発明の概要)
本発明は、ヒト骨肉腫細胞シクロオキシゲナーゼ−2cDNA及びヒトシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質を包含する。
【0007】
本発明はまた、シクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性の強力な阻害剤である薬理物質を同定及び評価するアッセイを包含する。本発明は、シクロオキシゲナーゼ−1よりもシクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−2活性を優先的もしくは選択的に阻害する薬理物質を同定及び評価するアッセイも包含する。
【0008】
(発明の詳細な説明)
一具体例において本発明は、試料のシクロオキシゲナーゼ−2活性を測定するアッセイであって、
(a)(1)ヒト骨肉腫細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−2阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸
を添加するステップ、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
E2の量を測定するステップ
を含むアッセイを包含する。
【0009】
本明細書の趣旨において、ヒト骨肉腫細胞は骨肉腫143B(ATCC CRL 8303)及び骨肉腫143BPML BK TK(ATCC CRL 8304)などの、ATCC Rockville, MDから入手可能なヒト骨肉腫細胞系を非限定的に含むものとする。本発明者は、本来McArdle Laboratory for Cancer Research, University of Wisconsin−MadisonのDr. William Sugdenから得られた骨肉腫143.98.2が有用であることを発見した。本発明者は1992年12月22日付でATCCに骨肉腫143.98.2を、“ヒト骨肉腫143.98.2”という登録名の下にブダペスト条約に基づいて寄託した(付与された受託番号はATCC CRL 11226)。
【0010】
本明細書の趣旨において、骨肉腫細胞調製物を、その一部がPGEの合成を触媒するヒト骨肉腫細胞の水性単層または浮遊液として定義する。この調製物はハンクスの平衡塩類溶液などの緩衝液も含有する。
【0011】
この第一の具体例の中にはヒト骨肉腫細胞を、骨肉腫143B及び143B PML BK TKを含めた一群の骨肉腫143型細胞から得るものが存在する。本発明者は骨肉腫143.98.2を用いた。
【0012】
本明細書の趣旨において、骨肉腫細胞調製物はその一部がPGEの合成を触媒するヒト骨肉腫ミクロソームも含有する。ミクロソームは、本明細書に開示したうちのいずれかの骨肉腫細胞系から後述のようにして得ることができる。
【0013】
第二の具体例では本発明は、
(a)細胞調製物1cc当たり10〜10個の骨肉腫細胞を含有する骨肉腫細胞調製物と、
(b)細胞調製物1cc当たり0.1〜50μlの、ペルオキシドを有しないアラキドン酸と
を含有する組成物を包含する。
【0014】
典型的には、細胞調製物は単層として増殖させ、後出の“手順”に述べるように(作業容量約1ccの)ウェル1個当たり8.2×10個から2×10個の細胞を含有するアリコートの形態で用いる。アラキドン酸は典型的には、作業容量約1ccのウェル1個当たり1〜20μlの量で用いる。
【0015】
全細胞の替わりに骨肉腫ミクロソームを用いる場合は細胞調製物に、典型的には細胞調製物1cc当たり50〜500μgのミクロソームタンパク質を含有させる。アラキドン酸は典型的には、細胞調製物1cc当たり酸1〜20μlの量で用いる。
【0016】
第三の具体例では本発明は、試料のシクロオキシゲナーゼ−1活性を測定するアッセイであって、
(a)(1)シクロオキシゲナーゼ−1は発現させ得るがシクロオキシゲナーゼ−2は発現させ得ない細胞の細胞調製物、
(2)推定シクロオキシゲナーゼ−1阻害剤を含有する試料、及び
(3)アラキドン酸
を添加するステップ、並びに
(b)ステップ(a)で産生されたプロスタグランジン
の量を測定するステップ
を含むアッセイを包含する。
【0017】
本明細書の趣旨において、シクロオキシゲナーゼ−1は発現させ得るがシクロオキシゲナーゼ−2は発現させ得ない細胞にU−937(ATCC CRL 1593)などのヒト組織球リンパ腫細胞が含まれる。上記のような細胞を以後“COX−1細胞”と呼称する。
【0018】
本明細書の趣旨において、細胞調製物を、典型的には8×10個/mlから1×10個/mlの細胞濃度を有する水性細胞浮遊液として定義する。この浮遊液は先に規定した緩衝液を含有する。
【0019】
第四の具体例では本発明は、第1図に示したヒトシクロオキシゲナーゼ−2を包含する。このシクロオキシゲナーゼ−2は配列番号10としても同定される。
【0020】
第五の具体例では本発明は、第2図に示したヒトシクロオキシゲナーゼ−2cDNAまたはその縮重変種(degenerate variation)を包含する。このシクロオキシゲナーゼ−2cDNAは配列番号11としても同定される。
【0021】
この具体例の範囲内に、第2図に示した配列の、第1図に示したシクロオキシゲナーゼ−2をコードする読み取り枠部分が有り、この部分は塩基97〜1909である。
【0022】
当業者には理解されようが、特定のアミノ酸に翻訳されるコドンの組には相当量の重複(redundency)が存在する。従って本発明は、(1個以上の)コドンが別のコドンに替わっているがDNA配列によって翻訳されるアミノ酸配列には変化を生じない代替塩基配列も包含する。本明細書の趣旨において、1個以上の代替コドンを含む配列を“縮重変種”として定義する。発現されるタンパク質に重大な影響を及ぼさない変異体(個々のアミノ酸を交換)も包含される。
【0023】
第六の具体例では本発明は、第2図に示したシクロオキシゲナーゼ−2cDNAまたはその縮重変種の安定発現のための系であって、
(a)ワクシニアウイルス発現ベクターpTM1、バキュロウイルス発現ベクターpJVETLZ、pUL941及びpAcmP1、INVITROGENベクターpCEP4及びpcDNAIといった発現ベクター、及び
(b)ヒトシクロオキシゲナーゼ−2をコードする第2図に示した塩基配列またはその縮重変種
を含む系を包含する。
【0024】
この第六の具体例の一類型において、シクロオキシゲナーゼ−2はSf9またはSf21細胞(INVITROGEN)において発現される。
【0025】
哺乳動物細胞における組み換えシクロオキシゲナーゼ−2の発現には様々な哺乳動物発現ベクターを用い得る。組み換えシクロオキシゲナーゼ−2の発現に適し得る市販の哺乳動物発現ベクターには、pMC1neo(STRATAGENE)、pXT1(STRATAGENE)、pSG5(STRATAGENE)、EBO−pSV2−neo(ATCC 37593)、pBPV−1(8−2)(ATCC 37110)、pdBPV−MMTneo(342−12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC 37119)、pRSVneo(ATCC 37198)、pSV2−dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及びgZD35(ATCC 37565)が非限定的に含まれる。
【0026】
シクロオキシゲナーゼ−2をコードするDNAを、組み換え宿主細胞において発現するように発現ベクターに挿入してクローン化することも可能である。組み換え宿主細胞は原核細胞であっても真核細胞であってもよく、その例には細菌、酵母、ヒト、ウシ、ブタ、サル及び齧歯類由来の細胞系を非限定的に含めた哺乳動物細胞、並びにショウジョウバエ由来の細胞系を非限定的に含めた昆虫細胞が非限定的に含まれる。適当であり得る市販の哺乳動物種由来細胞系には、CV−1(ATCC CCL 70)、COS−1(ATCC CRL 1650)、COS−7(ATCC CRL 1651)、CHO−K1(ATCC CCL61)、3T3(ATCC CCL 92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658)、HeLa(ATCC CCL 2)、C127I(ATCCCRL 1616)、BS−C−1(ATCC CCL 26)及びMRC−5(ATCC CCL 171)が非限定的に含まれる。
【0027】
発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合及びエレクトロポレーションを非限定的に含めた幾つかの技術のうちのいずれか一つを介して宿主細胞に導入し得る。発現ベクター保有細胞をクローン増殖させ、得られたクローン細胞を個々に分析して当該細胞がシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質を産生するかどうか決定する。シクロオキシゲナーゼ−2発現宿主細胞クローンの同定は、抗シクロオキシゲナーゼ−2抗体との免疫反応性、及び宿主細胞関連のシクロオキシゲナーゼ−2活性の存在を非限定的に含めた幾つかの手段によって行ない得る。
【0028】
シクロオキシゲナーゼ−2DNAの発現は、in vitroで製造された合成mRNAを用いても実現可能である。合成mRNAは、小麦胚抽出物及び網状赤血球抽出物を非限定的に含めた様々な無細胞系においても、またカエル卵母細胞内へのマイクロインジェクションを非限定的に含めた細胞主体系においても効率的に翻訳可能であるが、好ましいのはカエル卵母細胞内へのマイクロインジェクションである。
【0029】
最適レベルの酵素活性及び/またはシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質をもたらす(1種以上の)シクロオキシゲナーゼ−2cDNA配列を決定するべく、シクロオキシゲナーゼ−2cDNAの完全長読み取り枠(塩基97から塩基1909まで)を非限定的に有するシクロオキシゲナーゼ−2cDNA分子を構築し得る。いずれの構築物も、シクロオキシゲナーゼ−2cDNAの3′側非翻訳領域(塩基1910〜3387)を全く有しないか、またはその全部もしくは一部を有するように設計できる。
【0030】
シクロオキシゲナーゼ−2活性及びタンパク質発現レベルは、適当な宿主細胞に上記構築物を単独で導入しても、また幾つか組み合わせて導入しても測定し得る。過渡的アッセイにおいて最適発現を実現するシクロオキシゲナーゼ−2cDNAカセットを決定した後、このシクロオキシゲナーゼ−2cDNA構築物を、哺乳動物細胞、バキュロウイルス感染昆虫細胞、大腸菌及び酵母S. cerevisiaeを非限定的に含めた様々な発現ベクターに移入する。
【0031】
哺乳動物細胞トランスフェクト体(transfectants)、昆虫細胞、及びマイクロインジェクションを行なった卵母細胞を、シクロオキシゲナーゼ−2酵素活性のレベルとシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質のレベルとの両方に関し次の方法で評価する。シクロオキシゲナーゼ−2酵素活性を評価する第一の方法は、細胞を20μMのアラキドン酸の存在下に10分間インキュベートし、PGE産生量をEIAによって測定することを含む。
【0032】
シクロオキシゲナーゼ−2活性を検出する第二の方法は、シクロオキシゲナーゼ−2cDNAでトランスフェクトした哺乳動物細胞かまたはシクロオキシゲナーゼ−2mRNAを注入した卵母細胞から調製した細胞溶解物またはミクロソームのシクロオキシゲナーゼ−2活性を直接測定することを含む。このアッセイは、溶解物にアラキドン酸を添加し、PGE産生量をEIAによって測定することにより行ない得る。
【0033】
宿主細胞内のシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質のレベルは免疫アフィニティー及び/またはリガンドアフィニティー技術によって測定する。シクロオキシゲナーゼ−2特異的アフィニティービーズまたはシクロオキシゲナーゼ−2特異的抗体を用いて、35S−メチオニンで標識したかまたは標識していないシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質を単離する。標識したシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質はSDS−PAGEによって分析する。標識していないシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質は、シクロオキシゲナーゼ−2特異的抗体を用いるウェスタンブロッティング、ELISAまたはRIAアッセイによって検出する。
【0034】
組み換え宿主細胞におけるシクロオキシゲナーゼ−2発現後、シクロオキシゲナーゼ−2タンパク質を回収して、PGEの産生に関与し得る活性形態のシクロオキシゲナーゼ−2を得ることができる。幾つかのシクロオキシゲナーゼ−2精製操作が有効で、かつ使用に適する。シクロオキシゲナーゼ−2の天然源からの精製に関して先に述べたのと同様に、組み換えシクロオキシゲナーゼ−2は細胞溶解物及び抽出物から、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト吸着クロマトグラフィー及び疎水的相互作用クロマトグラフィーを様々に組み合わせて、または単独で適用することによって精製し得る。
【0035】
加えて、組み換えシクロオキシゲナーゼ−2は、完全長の新生シクロオキシゲナーゼ−2に特異的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体を用いて製造した免疫アフィニティーカラムの使用によって他の細胞タンパク質から分離することも可能である。
【0036】
全部細胞アッセイ
シクロオキシゲナーゼ−2及びシクロオキシゲナーゼ−1アッセイのためにヒト骨肉腫細胞を培養し、典型的には8×10個/ウェルから2×10個/ウェルの細胞を含有するアリコートの形態で用いた。本発明者は、24ウェルのマルチ培養皿(NUNCLON)に収容した1mlの培地中で細胞を、実質的に集密となるまで培養すると都合が好いことを発見した。アッセイ毎の細胞数は、標準的な操作を用いて事前に同型培養プレートから決定し得る。アッセイ前に細胞を、好ましくは予め37℃に加温したハンクスの平衡塩類溶液(HBSS; SIGMA)などの適当な緩衝液で洗浄する。その後、各ウェルに約0.5〜2mlずつ添加する。
【0037】
アッセイ前に適当数(10〜10個/ml)のCOX−1細胞を培養物から取り分け、300×gで10分間行なう遠心などによって濃縮する。上清をデカンテーションによって除去し、細胞を適当な緩衝液で洗浄する。好ましくは、細胞を300×gで10分間行なう遠心などによって再び濃縮し、かつ好ましくは予め加温したHBSS中に再浮遊させて最終細胞密度を約1.5×10個/mlとする。
【0038】
ヒト骨肉腫細胞またはCOX−1細胞を適当な緩衝液中でインキュベートした後、試験化合物試料及び/または(DMSOなどの)賦形剤試料を添加し、得られた組成物を穏やかに混合する。好ましくは、アッセイは3回行なう。次に、アラキドン酸を先に述べた比率で添加する。本発明者は、HBSSなどの適当な緩衝液で稀釈した、ペルオキシドを有しないアラキドン酸(CAYMAN)を添加する前に細胞を30〜40℃で約5分間インキュベートすることが好ましいと考える。対照試料にはアラキドン酸の替わりにエタノールまたは他の賦形剤を含有させるべきである。総反応インキュベーション時間は、37℃までの温度において5〜10分で十分であると判明した。骨肉腫細胞を用いた場合の反応は、HClまたは他の酸を添加し、好ましくは更に混合することによってか、または培地を細胞単層から直接、かつ急速に除去することによって停止させ得る。U−937細胞を用いた場合の反応は、マルチウェル培養皿またはマイクロ遠心管内で生起させ、かつHClまたは他の無機酸の添加によって停止させることが有利である。典型的には、24ウェル−マルチ培養皿内でアッセイした試料をその後マイクロ遠心管に移し、総ての試料をドライアイス上で凍結させる。同様に典型的には、PGEレベル分析前の試料は−20℃以下で保存する。
【0039】
PGE濃度の測定
保存していた骨肉腫143試料及びU−937試料を、凍結していれば解凍し、酸中に保存したのであれば中和する。その後、好ましくは試料を渦動(vortexing)などによって混合し、CAYMANから市販されているようなPGEエンザイムイムノアッセイを用いてPGEレベルを測定する。本発明者は平板培養、洗浄及び発色ステップを、BIOMEK 1000(BECKMAN)を用いて自動操作で有利に実施した。本発明者が行なった好ましい操作では、エルマン試薬添加後に発色を、MICROPLATE MANAGER/PCDATA ANALYSISソフトウェアを具えたBIORAD 3550型マイクロプレートリーダーを用いて415nmで監視する。PGEのレベルは標準曲線から算出するが、場合によってはBECKMAN IMMUNOFIT
EIA/RIA分析ソフトウェアを用いて決定してもよい。
【0040】
外因性アラキドン酸を添加しない場合、ヒト骨肉腫細胞及びCOX−1細胞のいずれに由来する試料のPGEレベルも典型的には細胞10個当たり約0.1〜2.0ngである。アラキドン酸を存在させると、上記2細胞系由来の試料のPGEレベルは骨肉腫細胞では約5〜10倍、COX−1細胞では50〜100倍に上昇する。本明細書の趣旨において、各細胞系の細胞シクロオキシゲナーゼ活性はアラキドン酸の不在下にインキュベートした試料のPGEレベルとアラキドン酸の存在下にインキュベートした試料のPGEレベルとの差として定義され、その際検出レベルは1試料当たり約10pgとなる。試験化合物によるPGE合成の抑制は、アラキドン酸の不在下にインキュベートした試料のPGEレベルとアラキドン酸の存在下にインキュベートした試料のPGEレベルとの差として計算する。
【0041】
ミクロソームシクロオキシゲナーゼアッセイ
ヒト骨肉腫細胞は先に述べたように増殖させ、かつ培養状態に維持し得る。10〜10個の細胞を、NUNCLONから入手可能であるような組織培養プレートに植え込み、2〜7日間培養状態に維持する。細胞はpH7.2のリン酸塩緩衝液(PBS)などの適当な緩衝液で洗浄し得る。次に細胞を、好ましくはPBS中への掻き取りによってプレートから取り除く。得られた試料は、4℃において10分間400×gで遠心するなどして濃縮し得る。細胞ペレットまたは他の濃縮物を−80℃などの適当な低温で保存するか、または直ちに処理する。以後の細胞の取り扱いは総て、好ましくは0〜4℃において行なう。二つの組織培養プレートから得られた細胞ペレットまたは濃縮物を、10mMのEDTA、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド、2μg/mlのロイペプチン、2μg/mlのアプロチニン及び2μg/mlのダイズトリプシンインヒビターを含有するpH7.4のトリス塩酸塩などの標準的な保護緩衝液中に再懸濁させ、かつ仕事サイクル75%、パワーレベル3に設定した4710シリーズ超音波ホモジナイザー(COLE−PARMER)を用いて5秒間の音波処理を3回実施することなどによりブレンドまたはホモジナイズする。次に、濃厚ミクロソーム調製物をもたらす分画遠心などによって濃厚ミクロソーム調製物を調製する。本発明者の行なった好ましい操作の第一ステップは、細胞ホモジネートを4℃において10分間10,000×gで遠心する作業を逐次4回行なうことから成る。10,000×gでの各遠心後に上清を取り置き、再遠心する。4回目の遠心後、上清を4℃において60〜90分間100,000×gで遠心して、ミクロソーム画分をペレット化する。100,000×g上清を廃棄して100,000×gミクロソームペレットを、10mMのEDTA及び0.25mg/mlの脱脂ウシ血清アルブミン(COLLABORATIVE RESEARCH INCORPORATED)を含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩などの適当な緩衝液中に再懸濁させる。得られたミクロソーム懸濁液を4℃において90分間100,000×gなどで再遠心してミクロソームを回収する。この遠心後、ミクロソームペレットを約2〜5mg/mlのタンパク質濃度で、10mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩などの安定化緩衝液中に再懸濁させる。骨肉腫ミクロソーム調製物のアリコートは、−80℃などの低温で保存して使用前に解凍することが可能である。
【0042】
当業者には理解されようが、BSAの代替物としてヒトその他の血清アルブミンまたは他のアルブミンを用いることも可能である。本発明者は、上述の操作は標準的なBSAまたは他のアルブミンを用いても行ない得るが脱脂BSAを用いる方が好ましいことを発見した。特に、脱脂BSAを用いれば内因性ミクロソームアラキドン酸を、アッセイ中に生成するアラキドン酸が全体の少なくとも90%を成すよう、半分以下に減少させることができる。当業者には理解されようが、他の脂質吸着剤または清澄剤を用いることも可能である。本明細書の趣旨において、含有する内因性アラキドン酸がほぼ半分以下に減少したミクロソームは内因性アラキドン酸を実質的に含有しないミクロソームであると看做される。
【0043】
COX−1細胞を先に述べたように増殖させ、かつ培養状態に維持し、PBSなどの適当な緩衝液で洗浄し、細胞ペレットまたは濃縮物を好ましくは−80℃で保存する。約10〜1010個の細胞に対応する細胞ペレットまたは濃縮物を、10mlのpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩などの適当な緩衝液中に再懸濁させ、かつ仕事サイクル75%、パワーレベル3に設定した4710シリーズ超音波ホモジナイザー(COLE−PARMER)を用いて5秒間の音波処理を2回、10秒間の音波処理を1回行なうことなどによりブレンドまたはホモジナイズした。得られた細胞ホモジネートを濃縮し、再懸濁させた。本発明者の行なった好ましい操作では、細胞ホモジネートを4℃において10分間10,000×gで遠心する。次に、上清画分を4℃において2時間100,000×gで再遠心し、得られたミクロソームペレットをタンパク質濃度が約1〜10mg/mlとなるようにして、1mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩などの適当な緩衝液中に再懸濁させる。骨肉腫ミクロソーム調製物のアリコートは、低温で保存して使用前に解凍することが可能である。
【0044】
アッセイ操作
ヒト骨肉腫細胞及びCOX−1細胞由来のミクロソーム調製物を、10mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩(緩衝液A)などの緩衝液で稀釈してタンパク質濃度を50〜500μg/mlとする。2〜50μlの緩衝液Aに、10〜50μlの試験化合物またはDMSOもしくは他の賦形剤を添加する。次いで50〜500μlのミクロソーム懸濁液を添加し、好ましくはその後混合し、かつ室温で5分間インキュベートする。典型的には、アッセイは2回または3回行なう。次に、緩衝液A中の、ペルオキシドを有しないアラキドン酸(CAYMAN)を添加して最終アラキドン酸濃度を20μMとし、その後好ましくは室温で10〜60分間インキュベートする。対照試料にはアラキドン酸の替わりにエタノールまたは他の賦形剤を含有させた。インキュベーション後、HClまたは他の無機酸の添加によって反応を停止させた。PGEレベルの分析前に試料を中和した。試料のPGEレベルは、全細胞シクロオキシゲナーゼアッセイの説明で述べたようにして測定し得る。
【0045】
試験化合物を存在させない場合のシクロオキシゲナーゼ活性を、アラキドン酸の存在下にインキュベートした試料のPGEレベルとエタノール賦形剤の存在下にインキュベートした試料のPGEレベルとの差として測定し、タンパク質1mg当たりのPGEのng数として報告した。試験化合物によるPGE合成の抑制は、アラキドン酸の不在下にインキュベートした試料のPGEレベルとアラキドン酸の存在下にインキュベートした試料のPGEレベルとの差として計算する。
【0046】
(実施例1)
全細胞シクロオキシゲナーゼアッセイ
ヒト骨肉腫143.98.2細胞を、3.7g/lのNaHCO(SIGMA)、100μg/lのゲンタマイシン(GIBCO)、25mMのpH7.4のHEPES(SIGMA)、100IU/mlのペニシリン(FLOW LABS)、100μg/mlのストレプトマイシン(FLOW LABS)、2mMのグルタミン(FLOW LABS)及び10%のウシ胎児血清(GIBCO)を含有するダルベッコ改質イーグル培地(SIGMA)中で培養した。細胞を複数の150cm組織培養フラスコ(CORNING)内で温度37℃、CO6%の下に維持した。事後の継代培養のため、細胞の集密培養物から培地を除去し、次いで前記培養物を0.25%のトリプシン/0.1%のEDTA(JRH BIOSCIENCES)と共に室温で約5分間インキュベートした。その後、トリプシン溶液を吸引し、細胞を新鮮培地中に再浮遊させて新しいフラスコに1:10または1:20の比で分配した。
【0047】
U−937細胞(ATCC CRL 1593)は、50IU/mlのペニシリン(FLOW LABS)、50μg/mlのストレプトマイシン(FLOWLABS)及び2g/lのNaHCO(SIGMA)を含有する、89%がRPMI−1640(SIGMA)で10%がウシ胎児血清(GIBCO)である培地中で培養した。細胞を、温度37℃、CO6%の下に複数の1l容攪拌(spinner)フラスコ(CORNING)内で密度0.1〜2.0×10個/mlに維持した。事後の継代培養のため、細胞を新鮮培地で稀釈して新しいフラスコに移した。
【0048】
アッセイ手順
シクロオキシゲナーゼアッセイのために骨肉腫143.98.2細胞を、24ウェルのマルチ培養皿(NUNCLON)に収容した1mlの培地中で集密となるまで培養した。アッセイ毎の細胞数は、標準的な操作を用いて事前に同型培養プレートから決定した。シクロオキシゲナーゼアッセイ直前に培地を細胞から吸引し、細胞を、予め37℃に加温した2mlのハンクスの平衡塩類溶液(HBSS; SIGMA)で1回洗浄した。その後、予め加温したHBSSを各ウェルに1mlずつ添加した。
【0049】
シクロオキシゲナーゼアッセイ直前に適当数のU−937細胞を攪拌培養物から取り分け、10分間300×gで遠心した。上清をデカンテーションによって除去し、細胞を、予め37℃に加温した50mlのHBSSで洗浄した。細胞を、300×gで10分間行なう遠心によって再びペレット化し、かつ予め加温したHBSS中に再浮遊させて最終細胞密度を約1.5×10個/mlとした。細胞浮遊液の1mlアリコートを1.5ml容のマイクロ遠心管または24ウェルのマルチ培養皿(NUNCLON)に移した。
【0050】
骨肉腫143細胞及びU−937細胞を洗浄し、かつ1mlのHBSS中に再浮遊させた後1μlの試験化合物またはDMSO賦形剤を添加し、これらの試料を穏やかに混合した。いずれのアッセイも3回行なった。次に、試料を37℃で5分間インキュベートしてから、HBSSで1μMに稀釈した、ペルオキシドを有しないアラキドン酸(CAYMAN)を10μl添加した。対照試料にはアラキドン酸の替わりにエタノール賦形剤を含有させた。試料を再び穏やかに混合し、かつ37℃で更に10分間インキュベートした。骨肉腫細胞の場合は次に反応を、100μlの1N HClを添加して混合するか、または培地を細胞単層から直接、かつ急速に除去することによって停止させた。U−937細胞の場合は、マルチウェル培養皿またはマイクロ遠心管内で生起させた反応を、100μlの1N HClを添加して混合することにより停止させた。24ウェル−マルチ培養皿内でアッセイした試料をその後マイクロ遠心管に移し、総ての試料をドライアイス上で凍結させた。PGEレベル分析前の試料は−20℃で保存した。
【0051】
PGE濃度の測定
骨肉腫143.98.2試料及びU−937試料を解凍し、凍結前に1N HClを添加した試料には100μlの1N NaOHを添加した。その後、試料を渦動によって混合し、PGEエンザイムイムノアッセイ(CAYMAN)を製造元の指示どおりに用いてPGEレベルを測定した。この操作の平板培養、洗浄及び発色ステップはBIOMEK 1000(BECKMAN)を用いて自動化した。エルマン試薬添加後に発色を、MICROPLATE MANAGER/PC DATA ANALYSISソフトウェアを具えたBIORAD 3550型マイクロプレートリーダーを用いて415nmで監視した。PGEのレベルは、BECKMAN IMMUNOFIT EIA/RIA分析ソフトウェアを用いて決定した標準曲線から算出した。
【0052】
結果
外因性アラキドン酸を添加しなかった場合、骨肉腫143細胞及びU−937細胞のいずれに由来する試料のPGEレベルも通常細胞10個当たり2ngであった。アラキドン酸を存在させると、上記2細胞系由来の試料のPGEレベルは骨肉腫細胞では約5〜10倍、U−937細胞では50〜100倍に上昇した。
【0053】
表Iに、一連の非ステロイド性抗炎症化合物が外因性アラキドン酸に応答してヒト骨肉腫143細胞及びU−937細胞によるPGE合成に及ぼす影響を示す。
【0054】
【表1】


【0055】
(実施例2)
ミクロソームシクロオキシゲナーゼアッセイ
骨肉腫143.98.2細胞を先に述べたように増殖させ、かつ培養状態に維持した。3×10個の細胞を245×245×20mmの組織培養プレート(NUNCLON)に植え込み、5日間培養状態に維持した。細胞を100mlのpH7.2のリン酸塩緩衝液(PBS)で2回洗浄し、次いで滅菌ゴムスクレイパーでプレートからPBS中へと掻き取った。得られた試料を4℃において10分間400×gで遠心した。細胞ペレットを使用時まで−80℃で保存し、または直ちに処理した。以後の細胞の取り扱いは総て0〜4℃で行なった。二つの組織培養プレートから得られた細胞ペレットを、10mMのEDTA、1mMのフェニルメチルスルホニルフルオリド、2μg/mlのロイペプチン、2μg/mlのアプロチニン及び2μg/mlのダイズトリプシンインヒビターを含有する5mlのpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩中に再懸濁させ、かつ仕事サイクル75%、パワーレベル3に設定した4710シリーズ超音波ホモジナイザー(COLE−PARMER)を用いて5秒間ずつ3回音波処理した。次に、細胞ホモジネートに分画遠心操作を施すことによって濃厚なミクロソーム調製物を得た。第一のステップは、細胞ホモジネートを4℃において10分間10,000×gで遠心する作業を逐次4回行なうことから成った。10,000×gでの各遠心後に上清を取り置き、再遠心した。4回目の遠心後、上清を4℃において60〜90分間100,000×gで遠心して、ミクロソーム画分をペレット化した。100,000×g上清を廃棄して100,000×gミクロソームペレットを、10mMのEDTA及び0.25mg/mlの脱脂ウシ血清アルブミン(COLLABORATIVE RESEARCH INCORPORATED)を含有する8mlのpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩中に再懸濁させた。得られたミクロソーム懸濁液を4℃において90分間100,000×gで再遠心してミクロソームを回収した。この遠心後、ミクロソームペレットを約2〜5mg/mlのタンパク質濃度で、10mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩中に再懸濁させた。骨肉腫ミクロソーム調製物の500μlアリコートを−80℃で保存し、使用直前に氷上で解凍した。
【0056】
U−937細胞を先に述べたように増殖させ、かつ培養状態に維持し、PBSで洗浄し、細胞ペレットを−80℃で凍結させた。約4×10個の細胞に対応する細胞ペレットを10mlのpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩中に再懸濁させ、これに、仕事サイクル75%、パワーレベル3に設定した4710シリーズ超音波ホモジナイザー(COLE−PARMER)を用いて5秒間の音波処理を2回、10秒間の音波処理を1回施した。得られた細胞ホモジネートを4℃において10分間10,000×gで遠心した。次に、上清画分を4℃において2時間100,000×gで再遠心し、得られたミクロソームペレットをタンパク質濃度が約4mg/mlとなるようにして、1mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩中に再懸濁させた。骨肉腫ミクロソーム調製物の500μlアリコートを−80℃で保存し、使用直前に氷上で解凍した。
【0057】
アッセイ手順
骨肉腫143細胞及びU−937細胞由来のミクロソーム調製物を、10mMのEDTAを含有するpH7.4の0.1Mトリス塩酸塩(緩衝液A)で稀釈してタンパク質濃度を100μg/mlとした。試験化合物のストック溶液の稀釈を含めた以後のアッセイステップは総て、BIOMEK 100(BIORAD)を用いて自動処理した。96ウェルのミニチューブプレート(BECKMAN)に収容した20μlの緩衝液Aに、5μlの試験化合物またはDMSO賦形剤を添加して混合した。次いで200μlのミクロソーム懸濁液を添加し、その後混合し、かつ室温で5分間インキュベートした。アッセイは2回または3回行なった。次に、緩衝液A中の、ペルオキシドを有しないアラキドン酸(CAYMAN)25μlを添加して最終アラキドン酸濃度を20μMとし、その後混合し、続いて室温で40分間インキュベートした。対照試料にはアラキドン酸の替わりにエタノール賦形剤を含有させた。上記インキュベーション期間後、25μlの1N HClを添加して混合することにより反応を停止させた。PGEレベルの分析前に、25μlの1N NaOHの添加によって試料を中和した。試料のPGEレベルを、全細胞シクロオキシゲナーゼアッセイの説明で述べたエンザイムイムノアッセイ(CAYMAN)によって測定した。
【0058】
【表2】


【0059】
(実施例3)
逆転写酵素/ポリメラーゼ連鎖反応
骨肉腫143.98.2細胞内に存在するシクロオキシゲナーゼmRNAの種類を確認するべく、逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)分析技術を用いた。培養物が集密状態に到達した1〜2日後に収穫した骨肉腫細胞から全RNAを調製した。細胞ペレットを、10mMのEDTA、50mMのpH7.4のトリス塩酸塩、及び8%(w/v)のβ−メルカプトエタノールを含有する6mlの5Mグアニジンモノチオシアネート中に再懸濁させた。42mlの4MLiClの添加によってRNAを選択的に沈澱させ、溶液を4℃で16時間インキュベートしてから、RNAを4℃において90分間10,000×gで遠心することにより回収した。得られたRNAペレットを、1mMのEDTA及び0.1%のSDSを含有するpH7.5の10mMトリス塩酸塩中に4μg/mlの濃度で再懸濁させ、これを直接、RT−PCRによるCOX−1及びCOX−2 mRNAの定量に用いた。
【0060】
定量的RT−PCR技術では、COX−1、COX−2、または対照のグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ(G3PDH)のmRNAからcDNA断片を特異的に増幅する合成オリゴヌクレオチド対を用いる。合成オリゴヌクレオチドは、Maier、Hla及びMaciag(J. Biol. Chem. 265, pp.10805−10808, 1990); Hla及びMaciag(J. Biol. Chem. 266, pp.24059−24063, 1991); 並びにHla及びNeilson(Proc. Natl. Acad.Sci.(USA) 89, pp.7384−7388,1992)が開示しており、次の順序で合成した。
【0061】
ヒトCOX−1特異的オリゴヌクレオチド
5′−TGCCCAGCTCCTGGCCCGCCGCTT−3′ (配列番号1)
5′−GTGCATCAACACAGGCGCCTCTTC−3′ (配列番号2)
ヒトCOX−2特異的オリゴヌクレオチド
5′−TTCAAATGAGATTGTGGGAAAATTGCT−3′ (配列番号3)
5′−AGATCATCTCTGCCTGAGTATCTT−3′ (配列番号4)
ヒトグリセルアルデヒド3−リン酸デヒドロゲナーゼ特異的オリゴヌクレオチド
5′−CCACCCATGGCAAATTCCATGGCA−3′ (配列番号5)
5′−TCTAGACGGCAGGTCAGGTCCACC−3′ (配列番号6)
【0062】
CETUS−PERKIN ELMERから入手したRT−PCRキットを製造元の指示どおりに用いてRT−PCR反応を生起させた。即ち、逆転写酵素と、プライマーとしてのランダムヘキサマーとを23℃で10分間、42℃で10分間用いて4μgの骨肉腫全RNAをcDNAに逆転写し、続いて99℃での5分間のインキュベーションを行なった。骨肉腫cDNA試料を三つの等量アリコートに分割し、これらを、COX−1、COX−2またはG3PDHに特異的なオリゴヌクレオチド対を10pmol用いるPCRによって増幅した。PCRサイクルプログラムは、94℃で1分間、55℃で1分間、及び72℃で1分間とした。第20、第25及び第30サイクル後に反応混合物からアリコートを取り出し、5mMのEDTAの添加によって反応を停止させた。対照反応体は、RNAを含有しないRT−PCR反応体、及びRNAは含有するが逆転写酵素は含有しない反応体などとした。
【0063】
RT−PCR後、反応体を、トリス−酢酸ナトリウム−EDTA緩衝系を用いた1.2%アガロースゲル中で110Vで電気泳動させた。上記ゲルをまずエチジウムブロミドで染色することにより、PCRで生じたDNA断片の位置を確認した。増幅したDNA断片が、COX−1、COX−2またはG3PDHをコードするDNA断片と同等であることをサザンブロッティングで、標準的な操作を用いて確認した。ニトロセルロース膜を、放射性標識したCOX−1、COX−2またはG3PDH特異的プローブとハイブリダイズさせた。プローブとのハイブリダイゼーションはオートラジオグラフィーによって検出し、またニトロセルロースから切片を得、これを液体シンチレーション計数により計数して結合放射能を測定することによっても検出した。
【0064】
RT−PCR/サザンハイブリダイゼーション実験は、COX−2 mRNAが骨肉腫細胞の全RNA中に容易に検出されることを明示した。G3PDHに関するものなど、他のmRNA種も検出されるが、COX−1 cDNA断片は骨肉腫細胞全RNAからPCRによって生じ得なかった。このような結果は、RT−PCRの感度レベルにおいて骨肉腫細胞は、COX−2 mRNAは発現させるがCOX−1 mRNAは発現させないことを明示している。
【0065】
U−937及び143.98.2細胞RNAのウェスタンブロッティング
本発明者は、ヒトシクロオキシゲナーゼ−2のアミノ酸589からアミノ酸600までに対応するペプチドのチログロブリン複合体に対するウサギポリクローナル抗ペプチド抗血清(“MF−169”と呼称)を開発した。上記アミノ酸の配列:
Asp−Asp−Ile−Asn−Pro−Thr−Val−Leu−Leu−Lys−Glu−Arg
(本明細書中では配列番号7によっても同定)はヒトシクロオキシゲナーゼ−1のいずれのペプチド配列にも類似しない。1:150の稀釈比において上記抗血清は、骨肉腫143細胞由来のミクロソーム調製物中に、シクロオキシゲナーゼ−2に対応する分子量のタンパク質をイムノブロッティングにより検出する。このような研究に用いるイムノブロッティング操作は以前に開示されている(Reid等,J. Biol. Chem. 265, pp.19818−19823, 1990)。抗血清の採取に用いたウサギに由来する免疫前血清の1:150稀釈液を用いた場合には、シクロオキシゲナーゼ−2の分子量に対応するバンドは観察されない。シクロオキシゲナーゼ−2の分子量に対応するバンドは、シクロオキシゲナーゼ−2に対する市販のポリクローナル抗血清(CAYMAN)の1:150稀釈液を用いて骨肉腫143細胞由来のミクロソーム調製物においてイムノブロッティングを行なっても観察される。上記抗血清はシクロオキシゲナーゼ−1と交叉反応しないことが報告されている。このような結果は明らかに、骨肉腫143細胞がシクロオキシゲナーゼ−2を発現させることを証明している。そのうえ、これらの抗血清を用いるイムノブロット分析、及びCOX−2特異的プローブを用いるノザンブロット分析から、骨肉腫143細胞内のシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質及び対応するmRNAのレベルは前記細胞が集密状態を過ぎて増殖するにつれて上昇することが明らかとなった。3時間の期間内に、かつ1%の血清の存在下にヒト組み換えIL1−α(10pg/ml; R and D systems Inc.)、ヒト組み換えIL1−β(10pg/ml; R andD systems Inc.)、ヒトEGF(15ng/ml; CALBIOCHEM)、及び集密状態を越えて増殖した細胞から得た馴らし培地も、骨肉腫143細胞によるアラキドン酸に応答してのPGE合成のレベルをこれらの物質の不在下に増殖した細胞のものより上昇させた。
【0066】
(実施例4)
COX−1またはCOX−2を排他的に発現させる細胞系のノザンブロット分析による同
ノザンブロット分析を用いて、U−937細胞がCOX−1 mRNAのみを発現させ、一方骨肉腫143.98.2細胞はCOX−2 mRNAのみを発現させることを確認した。上記分析の実施ではまず、ヒト骨肉腫143細胞系の全RNAに由来するヒトCOX−2 cDNAをクローン化した。全RNAは約1×10個の骨肉腫143細胞から、4Mのグアニジニウムイソチオシアネートを用いて調製した(Maniatis等, MolecularCloning, Cold Spring Harbor, 1982)。公表されているCOX−2 cDNA配列(Hla及びNeilson, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, pp.7384−7388, 1992)の5′及び3′末端部に対応するオリゴヌクレオチドプライマーを調製した。これらのプライマーは次のとおりである。
【0067】
HCOX−1 5′CTGCGATGCTCGCCCGCGCCCTG3′
5′プライマー
HCOX−2 5′CTTCTACAGTTCAGTCGAACGTTC3′
3′プライマー
【0068】
これらのプライマー(以後配列番号8及び配列番号9としてもそれぞれ同定)を、骨肉腫143細胞全RNAの逆転写酵素PCR反応に用いた。反応体に1μgの骨肉腫143細胞全RNAを含有させ、この全RNAをまずランダムヘキサマー及び逆転写酵素を用いて逆転写した(Maniatis等, Molecular Cloning,Cold Spring Harbor, 1982)。次に、上記反応からの生成物を上述のHCOX−1及びHCOX−2プライマー及びTaqポリメラーゼ(Saiki等, Science 239, pp.487−488, 1988)を用いて増幅した。増幅に用いた条件は、94℃で30秒間、55℃で30秒間、及び72℃で2分15秒間のサイクルが30回というものであった。増幅生成物を1%低融点アガロースゲル上に流し、ヒトCOX−2 cDNAの予測した大きさに対応する1.9kbのDNA断片を切り取り(excised)、回収した。回収したCOX−2 cDNAのアリコートを上述のようにして(逆転写酵素反応は生起させず)再増幅し、増幅生成物を再び1%低融点アガロースゲル上に流し、回収した。
【0069】
Maniatis等, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor, 1982に教示されている標準的操作により、上記1.9kb DNA断片をpBluescript KS(STRATAGENEから入手)のEcoRV部位に挿入してクローン化し、これをコンピテント細菌DH5α(BRLから入手)に導入して該細菌を形質転換し、一晩LB寒天/アンピシリン上でコロニーを選択した。ヒトCOX−2 cDNAにとって適正なPstI及びHincII制限消化を実現する3個のクローンを完全に配列決定し、これらのクローンが適正であることを証明した。これは、ヒト骨肉腫143細胞系がCOX−2 mRNAを発現させることの最初の示唆であった。
【0070】
ノザン法分析
先に述べたグアニジニウムイソチオシアネート法(Maniatis等, Molecular Cloning,Cold Spring Harbor,1982)を用いて、様々な細胞系及び組織に由来する全RNAを調製した。オリゴdTセルローススピンカラムを用いてポリA+RNAを調製した(Maniatis等, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor, 1982)。RNA、即ち10μgの全RNAまたは5μgのU−937ポリA+RNAを、2.2Mのホルムアルデヒドを含有する0.9%アガロースゲル上で電気泳動させた(Maniatis等, Molecular Cloning, Cold SpringHarbor, 1982)。電気泳動後、ゲルを蒸留水で10分間ずつ3回洗浄し、次いで10倍SSC(1倍SSC=0.15MのNaCl及び0.015Mのクエン酸ナトリウム)で30分間ずつ2回洗浄した。10倍SSC中で一晩、毛管移動を利用してRNAをニトロセルロースに移した(Maniatis等, MolecularCloning, Cold Spring Harbor, 1982)。翌日、フィルターを真空乾燥器において80℃で1.5時間加熱し、それによってRNAをニトロセルロース上に固定した。次に、フィルターをプレハイブリダイゼーション緩衝液(50%のホルムアミド、6倍SSC、50mMのpH6.5のリン酸ナトリウム緩衝液、10倍Denhardt溶液、0.2%のSDS、及び250μg/mlの剪断し、かつ変性させたサケ精子DNA)中で、40℃で約4時間平衡化(equilibriate)した。市販キット(PHARMACIA)を用い、32P dCTPと、T7 DNAポリメラーゼでプライミングするランダムヘキサマーとを用いてCOX−2 cDNAプローブを調製した。プレハイブリダイゼーションで用いたのと同じ緩衝液に1〜3×10cpm/mlの変性COX−2 cDNAプローブを加えたものを用いて、40℃で一晩ハイブリダイゼーションを実施した。ブロットを50℃において1倍SSC及び0.5%のSDSで30分間ずつ2回洗浄し、これをサランラップに包んだもので、スクリーンを伴ったKodak XARフィルムを−70℃において1〜3日間露光した。同じブロットを沸騰水に入れ、かつ室温まで冷却することによって該ブロットからCOX−2プローブを剥ぎ取った。このブロットでフィルムを再露光してハイブリダイゼーションシグナルが総て除去されたことを確認し、その後このブロットを、プローブとしてヒトCOX−1 cDNAを用いて先に述べたのと同様にプレハイブリダイズ及びハイブリダイズさせた。ヒトCOX−1 cDNAはVanderbilt大学のDr. Colin Funkから得たが、その配列は当業者に公知である。C. D. Funk, L. B.Funk, M. E. Kennedy, A. S.Pong andG. A. Fitzgerald,FASEB J. 5, pp.2304−2312, 1991を参照されたい。
【0071】
このノザンブロッティング操作を用いて、本発明者は、ヒト骨肉腫143細胞系RNAがCOX−2プローブにのみハイブリダイズし、COX−1プローブにはハイブリダイズしないことを確認した。COX−2プローブを用いて得られたハイブリッドバンドの大きさはCOX−2 mRNAの正確な値(約4kb)に対応し、骨肉腫143細胞がCOX−2 mRNAのみを発現させ、COX−1mRNAは発現させないことを示唆した。このことは先に述べたRT−PCRによって確認したところである。同様に、ヒトU−937細胞系ポリA+RNAはCOX−1プローブにのみハイブリダイズし、COX−2プローブにはハイブリダイズしなかった。ハイブリダイゼーションシグナルはCOX−1 mRNAの正確な値(約2.8kb)に対応し、U−937がCOX−1 mRNAのみを発現させ、COX−2 mRNAは発現させないことを示唆した。このこともRT−PCRによって確認したが、なぜならCOX−2プライマーを用いた場合U−937ポリA+RNAからは生成物が得られなかったからである(上段参照)。
【0072】
(実施例5)
ヒトシクロオキシゲナーゼ−2 cDNA及びCOX−2 cDNAの発現を明示する例でのシクロオキシゲナーゼ−2活性を評価するアッセイ
ヒト骨肉腫全RNAのRT−PCRによって得られたCOX−2 cDNA配列を公表されている配列(Hla及びNeilson, Proc. Natl. Acad.Sci. USA 89, pp.7384−7388,1992)と比較したところ、コドン165の2番目の塩基が相違していることが判明した。公表配列のコドン165はGGAで、アミノ酸のグリシンをコードするとされているが、骨肉腫COX−2 cDNAのコドン165はアミノ酸のグルタミン酸をコードするGAAである。
【0073】
骨肉腫COX−2 cDNAが165位においてグルタミン酸をコードすることを証明するべく本発明者は、骨肉腫COX−2 mRNAのRT−PCR増幅を繰り返し、ヒトゲノムDNAから得た上記塩基変化の周囲の領域を増幅、クローン化及び配列決定し、かつ部位特異的変異処理を用いてCOX−2glu165をCOX−2gly165に変化させ、これらの活性をCOS−7細胞のトランスフェクション後に比較した。
【0074】
1. ヒト骨肉腫全RNA由来のCOX−2 mRNAのRT−PCR
コドン165を含む300bpのCOX−2 cDNA断片を、ヒト骨肉腫143全RNAを用いるRT−PCRによって増幅した。上記領域に跨る2個のプライマー
HCOX−13 5′CCTTCCTTCGAAATGCAATTA3′(配列番号12)及び
HCOX−14 5′AAACTGATGCGTGAAGTGCTG3′(配列番号13)
を調製し、PCR反応に用いた。即ち、ランダムプライミング及び逆転写酵素を用いて1μgの骨肉腫143全RNAからcDNAを調製した(Maniatis等, Molecular Cloning, Cold Spring Harbor, 1982)。調製したcDNAを、HCOX−13及びHCOX−14プライマー並びにTaqポリメラーゼ(Saki等, Science 238,pp.487−488, 1988)を用いる増幅のための鋳型として用いた。用いた反応条件は、94℃で30秒間、52℃で30秒間、及び72℃で30秒間のサイクルが30回というものであった。反応体を2%低融点アガロースゲル上で電気泳動させた後、予測した300bpの増幅生成物を得、これをゲルから切り取り、かつ融解、フェノール抽出及びエタノール沈澱によってアガロースから回収した。300bp断片をTAIIクローニングベクター(INVITROGEN)中に連結して大腸菌(INVαF′; INVITROGEN)に導入し、該大腸菌を形質転換した。コロニーが得られ、300bp挿入断片を含むクローンを5個任意に取り出して配列決定した。5個のクローンのいずれにおいても、コドン165の配列はGAA(グルタミン酸)であった。増幅したDNA配列の大きさが僅か300bpであり、一方Taqポリメラーゼは比較的小型の断片の増幅に関しきわめて高い確実性を有するので、コドン165としてGAAが得られた前記配列の第二の増幅反応は、骨肉腫由来のCOX−2 mRNAがコドン165としてGAAを有することを確証している。
【0075】
2. ゲノムDNA由来のCOX−2コドン165領域の増幅
骨肉腫COX−2配列が骨肉腫細胞系の産物(artefact)でなく、正常細胞内に存在することを確認するべく、正常血から調製したヒトゲノムDNAからコドン165を含むDNA配列を増幅した。増幅反応に用いたプライマーはHCOX−13及びHCOX−14であった。ヒトCOX−2遺伝子のゲノム構成は未だ決定されていない。ヒトCOX−2遺伝子のエキソン−イントロン配置のためのモデルとしてマウスCOX−2遺伝子構成を用いれば、プライマーのHCOX−13はエキソン3に、HCOX−14はエキソン5に配置されよう。増幅生成物の大きさは、マウスCOX−2遺伝子構成に基づき2000bp前後となろう。PCR反応体は1μgのヒトゲノムDNA、HCOX−13及びHCOX−14プライマー並びにTaqポリメラーゼを含有した。用いた反応条件は、94℃で30秒間、52℃で30秒間、及び72℃で45秒間のサイクルを35回というものであった。反応生成物のアリコートを1%低融点アガロースゲル上で分離した。しかし、反応生成物は幾つか存在し、適正断片を同定するべくDNAをサザンブロッティングによってナイロン膜に移し、32Pで標識したヒトCOX−2内部オリゴ
HCOX−17 5′GAGATTGTGGGAAAATTGCTT3′(配列番号14)
で探索した。
【0076】
ハイブリダイゼーションは1.4kbのDNA断片に対して生起し、この断片をPCR反応体の残部から、先に述べた0.8%低融点アガロースゲル上での電気泳動によって回収した。得られた断片をTAIIクローニングベクター(INVITROGEN)中に連結して、(先に述べた)細菌の形質転換に用いた。上記挿入断片を含むクローンを回収し、配列決定した。コドン165の配列はGAA(グルタミン酸)で、この配列はヒトCOX−2遺伝子に由来したが、なぜならコーディング領域がイントロンによって中断されたからである。(ヒトにおけるイントロン4の3′スプライシング部位はマウスのものと同じである)。このことは、165位にグルタミン酸を有するヒトCOX−2が存在することの非常に確実な証拠である。
【0077】
3. トランスフェクトしたCOS−7細胞におけるCOX−2glu165とCOX−2gly165の活性の対比
COX−2glu165がシクロオキシゲナーゼ活性を有するかどうか決定し、かつその活性をCOX−2gly165と比較するべく、両cDNA配列を真核発現ベクターpcDNA−1(INVITROGEN)に挿入してクローン化し、これをCOS−7細胞に導入して該細胞をトランスフェクトした(下記参照)。トランスフェクションの48時間後、細胞を20μMのアラキドン酸と共にインキュベートし、かつEIA(CAYMAN)によってPGE産生を測定することによって活性を測定した。COX−2gly16配列はCOX−2glu165の部位特異的変異処理によって得た。即ち、100mlのLBアンピシリン(100μg/ml)に1mlの一晩細菌培養物[COX−2プラスミドを含有するXL−1 Blue(STRATAGENE)]を添加することによって、多クローニング領域のEcoRV部位に挿入してクローン化されたCOX−2glu165配列を含む一本鎖KSプラスミド(STRATAGENE)DNAを調製し、37℃で1時間増殖させた。その後、1mlのヘルパーファージM13K07(PHARMACIA)を添加し、培養物を更に7時間インキュベートした。細菌を10,000×gでの10分間の遠心によってペレット化し、上清に1/4体積量の20% PEG、3.5M酢酸アンモニウムを添加し、4℃で一晩ファージを沈澱させた。翌日、17,000×gで15分間の遠心を行なって一本鎖ファージを回収し、付加的なPEG沈澱後に前記ファージから一本鎖DNAを、フェノール及びフェノール:クロロホルム抽出並びにエタノール沈澱によって調製した。COX−2glu165配列を含む一本鎖DNAを、U.S.Biochemicalから入手したT7−GEN in vitro変異処理キットを用いる部位特異的変異処理のための鋳型として用いた。上記一本鎖DNA(1.6pmol)を、コドン165をGAAからGGAに変化させるホスホリル化オリゴHCOX−17(16pmol)にアニールし、5−メチル−dCに他の標準的なデオキシヌクレオシド三リン酸を加えたもの、T7 DNAポリメラーゼ及びT4 DNAリガーゼの存在下に第二鎖の合成を行なった。合成後、親の鎖に制限エンドヌクレアーゼMspIを用いてニックを形成し、その後エキソヌクレアーゼIII消化によって前記鎖を除去した。メチル化した変異鎖を大腸菌mcAB−の形質転換によって回収した。コロニーを取り出して配列決定し、今やコドン165としてGAAの替わりにGGAを有する幾つかのクローンを得た。このCOX−2gly165配列をBluescript KSベクターからEcoRI−HindIII消化により切り離して回収し、やはりEcoRI−HindIIIで消化した真核発現ベクターpcDNA−1(INVITROGEN)に挿入してクローン化した。COX−2glu165配列も厳密に同じ方法でpcDNA−1ベクターに挿入してクローン化した。得られた2個のプラスミドは、コドン165の1個の塩基が変化している点でのみ相違した。
【0078】
COX−2 pcDNA−1プラスミドを用い、かつChen及びOkayamaが述べている改良リン酸カルシウム法(C. A. Chen及びH. Okayama,Biotechniques 6, pp.632−638, 1988)を用いてCOS−7細胞をトランスフェクトした。即ち、5×10個のCOS−7細胞を、10mlの培地を収容した10cm培養皿内に植え込んだ。翌日、トランスフェクションの1時間前に培地を交換した。プラスミドDNA(1〜30μl)を0.5mlの0.025M CaCl及び0.5mlの2倍BBS(50mMのN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−2−アミノ−エタンスルホン酸、280mMのNaCl、1.5mMのNaHPO)と混合し、室温で20分間インキュベートした。次に、混合物を細胞に、プレートに渦を生じさせながら滴下し加え、CO3%のインキュベーター内で35℃で一晩(15〜18時間)インキュベートした。翌日培地を除去し、細胞をPBSで洗浄し、10mlの新鮮培地を加え、細胞を5%のCO下に37℃で更に48時間インキュベートした。
【0079】
上記細胞を、2.5、5または10μgのCOX−2glu165/pcDNA−1もしくはCOX−2gly165/pcDNA−1でトランスフェクトした。各DNA濃度に関して2個のプレートを用い、また対照として細胞をpcDNA−1プラスミドでトランスフェクトした。48時間後に細胞から培地を除去し、プレートをハンクス培地で3回洗浄し、その後20μMのアラキドン酸を含有する2mlのハンクス培地を細胞に添加した。37℃で20分間インキュベートした後、プレートから培地を取り出し、培地中に放出されたPGEの量をEIAによって測定した。PGEEIAは、市販キット(CAYMAN)を製造元の指示どおりに用いて行なった。表IIIに、pcDNA−1でトランスフェクトしたCOS−7細胞、COX−2glu165/pcDNA−1でトランスフェクトしたCOS−7細胞、及びCOX−2gly165/pcDNA−1でトランスフェクトしたCOS−7細胞から培地中に放出されたPGEの量を示す。COS−7細胞をトランスフェクトしたDNAの量にもよるが、COX−2glu165はCOX−2ly165の1.3〜2.3倍高活性である。
【0080】
【表3】


【0081】
【配列表】
【0082】
【化1】





















【図面の簡単な説明】
【図1A】ヒトシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質の完全長アミノ酸配列を示す説明図である。
【図1B】ヒトシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質の完全長アミノ酸配列を示す説明図である。
【図1C】ヒトシクロオキシゲナーゼ−2タンパク質の完全長アミノ酸配列を示す説明図である。
【図2A】ヒト骨肉腫細胞から得たクローン化ヒトシクロオキシゲナーゼ−2相補的DNAの完全長ヌクレオチド配列を示す説明図である。
【図2B】ヒト骨肉腫細胞から得たクローン化ヒトシクロオキシゲナーゼ−2相補的DNAの完全長ヌクレオチド配列を示す説明図である。
【図2C】ヒト骨肉腫細胞から得たクローン化ヒトシクロオキシゲナーゼ−2相補的DNAの完全長ヌクレオチド配列を示す説明図である。
【出願人】 【識別番号】599086618
【氏名又は名称】メルク フロスト カナダ アンド カンパニー
【出願日】 平成15年6月27日(2003.6.27)
【代理人】 【識別番号】100062007
【弁理士】
【氏名又は名称】川口 義雄

【識別番号】100113332
【弁理士】
【氏名又は名称】一入 章夫

【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠

【識別番号】100103920
【弁理士】
【氏名又は名称】大崎 勝真

【公開番号】 特開2004−81211(P2004−81211A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2003−184084(P2003−184084)