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【発明の名称】 土壌微生物の分離方法
【発明者】 【氏名】ガスパード ジェローム

【氏名】中園 和年

【氏名】山根 泉

【要約】 【課題】土壌微生物の分離方法の効率化

【解決手段】微生物を含む土壌懸濁液において、孔径50μm以下の篩を超音波照射下に用いて土壌微生物を篩分けする方法。および微生物を含む土壌懸濁液の2層遠心分離にあたり、緩衝器具を用いて乱れのない2層の界面を形成し土壌微生物を効率的に分離する方法を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌懸濁液から孔径50μm以下の篩を用いて超音波照射下に土壌微生物を篩分けする方法。
【請求項2】
請求項1において土壌微生物が線虫類、原生動物、糸状菌類、酵母、根コブ病菌胞子及びバクテリアである請求項1に記載する方法。
【請求項3】
孔径50μmから1μmのネットを用いた請求項1に記載する方法。
【請求項4】
緩衝器具を用いて土壌懸濁液と蔗糖液との2層の界面を形成する土壌微生物の2層遠心分離方法。
【請求項5】
プラスチック及び/又は布製の再利用可能な請求項4に記載する緩衝器具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、農業もしくは園芸における土壌および土壌微生物の分析に関する。
【0002】
【従来の技術】
作物栽培において土壌および土壌微生物の分析は重要な課題である。一般に地上部の病害に比べ土壌病害の防除は非常に困難であり、強力な農薬が多量に土壌に投与される傾向にある。特に連作障害に対してクロルピクリンやメチルブロマイド等の薫蒸消毒剤が多用されている現状は、人体及び環境への安全性が懸念されている。土壌病原菌の分析が充分には行なわれないため、その対策が土壌丸ごとの殺菌消毒という単純化した方法に頼らざるを得ないことが原因の一つである。これに対して土壌病原微生物の密度測定や天敵微生物の寄生度の測定など、より詳細な分析を通して農薬の使用法の削減を図ることや有機質資材および天敵微生物の防除効果を確認することが検討されており、更には土壌中の微生物相を豊かにして特定の病原微生物の占有を防ぎ、化学農薬に頼らない作物の栽培を行なうことも実施され、今日、土壌微生物分析法の効率化と詳細化はますます重要な課題となっている。
【0003】
土壌微生物の分析方法は対象微生物ごとに様々な方法が提唱されているが、一般的には微生物と土壌粒子とを比重差と粒径によって分離した後、微生物を直接分析するか培養してコロニーを形成した後分析する方法が広く行なわれている。最近では特定の病原菌に対する抗血清を作成しELISA、DIBA、TBIAなどの酵素免疫検定法で直接、土壌懸濁液中の微生物を検出する方法が検討されているが、土壌粒子の影響を排除する事は容易ではない。土壌粒子は国際土壌学会により粒径で砂、シルト、粘土に分類され、夫々2mm〜20μm、20μm〜2μm、2μm以下となっている。砂の分離は比較的容易であるが、シルトや粘土はサイズが微生物と似ている事や吸着性や凝集性がある事から分離は容易ではない。一般的には土壌に界面活性剤などの分散剤を添加しホモジナイザーや超音波処理を行なって水に良く分散させた後、数種類の孔径の篩で微生物や土壌粒子を順々に分級する方法と、微生物を含む土壌を調整した濃度の蔗糖液に懸濁して遠心分離するか又は蔗糖液に懸濁液を被せて行なう2層遠心分離法、を組み合わせた方法が広く用いられている。分析に先だって、土壌微生物を土壌粒子から効率良く分離する事が重要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
現在、土壌微生物の分離に使用しうる篩は孔径が最小でも数十μmが限界であり、孔径が数十μmから数μmの篩では孔径が小さいため及び篩の材質の表面張力などのために、粘土粒子や土壌中の挟雑物による目詰まりが起き、篩い分けが出来なかったり出来たとしても長時間を要するため実用的でない。
そのために篩い分けする懸濁液を予め前処理して挟雑物を除いたり、非常に希薄な溶液にして目詰まりを回避したりする事は可能ではあるが多大な処理量と労力を伴い、効率的でない。減圧や加圧による方法は目詰まりを増大させる。土壌粒子と微生物のサイズの違いを利用した分別は、分離効果の充分でない煩雑な方法となっている。
【0005】
比重差を利用した土壌微生物の分離方法では、調整した蔗糖液に土壌微生物を含む土壌の懸濁液を被せる2層遠心分離法や、異なる濃度に調整した蔗糖液を用いる蔗糖密度勾配法は広く知られているが、2層間の界面を、乱れることなく形成する事が分離効率に重要である。界面が乱れた場合には充分な分離効果が期待できず、微生物の回収率が低下したり再分離が必要になるため、操作の習熟と充分な時間が必要であり効率化の阻害要因となっている。
土壌病原菌は高密度の土壌中に存在するため地上部の病原菌と比較して非當に局所限定的である。そのため個々の農家圃場の現状を把握してより経済的な対策を建てることが望まれているが、土壌微生物の分離/分析に要するコストは高額であり、簡便で安価な分離/分析方法の開発が期待されている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
孔径が数十μmから数μmの篩であっても、土壌懸濁液を加えて超音波照射することにより懸濁液は非常に短時間で目詰まりすること無く篩を通過でき、微生物の回収率も高い事を見出した。
【0007】
遠心管に調整した蔗糖液を入れ、プラスチック及び/又は布で出来た緩衝器具で蔗糖液の上面を覆う。緩衝器具は周辺部が軟質で多孔質の材料で構成され、中心に軸を持った円盤形もしくは扁平な独楽形をしている。緩衝器具の直径は遠心管の内径と等しい。緩衝器具の上に土壌懸濁液を注ぎ、中心の軸を持ってゆるやかに緩衝器具を引き上げれば2層の界面を乱れることなく形成する事が出来る。
【0008】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態を試験例に基づき説明する。
【0009】
(試験例1)
土壌粒子と各種微生物の分離
被検土壌50gを無塩水200mlに加え1分間超音波処理して分散し、5分間1200×gで遠心分離した。遠心管に浮ぶ有機物及び植物根は5μm孔のナイロンメッシュを用いて超音波照射下に回収し、遠心管に沈殿した土壌は5%ヘキサメタリン酸ナトリウム溶解液200mlにより分散液に調整した。緩衝器具を用いて遠心管に分散液と50%蔗糖液の二層を形成し、90秒間50×gで遠心し、砂とシルトを沈殿させた。遠心管に浮ぶ微生物と有機物は10μm孔のナイロンメッシュを用いて超音波照射下に回収し、ろ過液を5分間1200×gで遠心し沈殿させた。遠心管の粘土、シルト及び微生物沈殿物は無塩水により分散液を調整した。分散液に対して1000ppmに相当する硫酸マグネシウム溶解液を加えて攪拌した。再び緩衝器具を用いて遠心管に分散液と50%蔗糖液の二層を形成し、2.5分間1200×gで遠心してシルトと粘土を沈殿させた。遠心管に浮ぶ微生物は別の遠心管に取り出し、5分間1200×gで遠心して沈殿させた。沈殿した微生物は無塩水に分散させた。遠心管に沈殿した砂、シルト及び粘土は20μm、と2μm孔のナイロンメッシュを用いて超音波照射下に篩い分けた。超音波処理を併用することによって20,10,5及び2μm孔のナイロンメッシュを使った篩い分けは夫々約1分で終了した。砂、シルト及び粘土を遠心でそれぞれ沈殿し、乾燥した。土性(砂、シルト、粘土の割合)は乾燥重量から計算した。5μmと10μm孔のナイロンメッシュから回収した微生物は主にダニ、線虫、ワムシ、原生動物と不完全菌類であった。最後に沈殿する微生物は主にパスツーリア菌、根コブ病菌胞子と酵母であった。
【0010】
【発明の効果】
土壌から土壌微生物を迅速かつ効率的に分離することができる。
【出願人】 【識別番号】502413821
【氏名又は名称】有限会社ネマテンケン
【出願日】 平成14年10月10日(2002.10.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−129634(P2004−129634A)
【公開日】 平成16年4月30日(2004.4.30)
【出願番号】 特願2002−331368(P2002−331368)