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【発明の名称】 ジプロパルギルオキシ安息香酸、その誘導体およびそれらの製造方法
【発明者】 【氏名】小川 孟

【氏名】ミリアム・エフ・ベリスタイン

【要約】 【課題】高温でも配向性を失わず、非線形基の密度が極めて高く、しかも二次の非線形定数の高い、色素含有有機材料を提供する。

【解決手段】式:
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】




で示されるジ(プロパルギルオキシ)安息香酸。
【請求項2】
ジヒドロキシ安息香酸を溶媒中でハロゲン化プロパルギルと反応させることからなる請求項1に記載のジ(プロパルギルオキシ)安息香酸の製造方法。
【請求項3】
式:
【化2】




[式中、Rは、発色団および芳香環を有する一価の有機基である。]
で示されるジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステル。
【請求項4】
Rが、
【化3】




【化4】




【化5】


および


からなる群から選択された化合物からOH基を除いた基である請求項3に記載のジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステル。
【請求項5】
請求項3に記載のジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステルをモノマーとして含んでなる重合体。
【請求項6】
請求項3に記載のジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステルと、該ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステル以外の少なくとも1種のビスアセチレン系モノマーとを重合して成る共重合体。
【請求項7】
ビスアセチレン系モノマーが、ジ(プロパルギルオキシ安息香酸)エステルまたはジ(プロパルギルオキシ桂皮酸)エステルである請求項6に記載の共重合体。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導波路、光スイッチ等に用いられる色素含有光非線形有機材料に関する。さらに詳しくは、高温でも配向性を失わず、非線形基の密度が極めて高く、しかも二次の非線形定数の高い、色素含有有機材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
二次非線形光学性質を有する高分子材料に関しては、メタクリレート系のビニルポリマーの側鎖に芳香族系色素を結合させたものが多く研究されている。しかし、これらの高分子は色素の含量が低く、また、電場配向の効率も低く、電場を除くと色素の配向緩和を速やかに起こり、実用化にはほど遠いものである。配向を維持する目的で、ガラス転移点の高い高分子(例えば、ポリアミドやポリイミド)が使用されている例もあるが、これらは電場配向が容易でなく、測定されている二次非線形定数も極めて低く、実用に役立たないものである。従って、従来にない新規な高分子材料が要求されているのが現状である。
【0003】
Daltonらは、下記の如き高分子を過去に発表しているが、これらは本発明とは全く異なるものである(Chen.et.al.Macromolecules,vol.24,No.19,5421(1991))。
【0004】
【化6】


【0005】
【化7】


【0006】
本願の発明者は、以前に、プロパルギルオキシ安息香酸誘導体からなる高分子(特開2001−166347号公報)およびプロパルギルオキシ桂皮酸誘導体からなる高分子(特願2002−102748号)を提案した。これらの高分子は非常に優れた二次非線形定数を示した。その単量体の一例を以下に示す。
【0007】
【化8】


【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高温でも配向性を失わず、非線形基の密度が極めて高く、しかも二次の非線形定数の高い、色素含有有機材料を提供することにある。
本発明の別の目的は、多量の色素含量を有し、大きな二次の非線形光学性質を有する二次非線形光学材料を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、式:
【化9】




で示されるジ(プロパルギルオキシ)安息香酸を提供する。
さらに、本発明は、式:
【化10】




[式中、Rは、発色団および芳香環を有する一価の有機基である。]
で示されるジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステルを提供する。
【0010】
加えて、本発明はジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステルをモノマーとして含んでなる重合体を提供する。。
さらに加えて、本発明は、ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステルと、該ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸エステル以外の少なくとも1種のビスアセチレン系モノマーとを重合して成る共重合体を提供する。
【0011】
ジプロパルギルオキシ安息香酸は、ベンゼン環上のジプロパルギルオキシ基の位置によって6種類の同位体が存在する。ジプロパルギルオキシ安息香酸は、詳細には、2,3−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸、2,4−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸、2,5−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸、2,6−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸、3,4−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸、および3,5−ジ(プロパルギルオキシ)安息香酸である。
【0012】
ジプロパルギルオキシ安息香酸は、ジヒドロキシ安息香酸をハロゲン化プロパルギル(例えば、臭化プロパルギル、塩化プロパルギル)と反応させることによって製造することができる。反応は、有機溶媒、特に極性溶媒(例えば、アルコール類、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル)中、塩基性触媒の存在下で、20℃〜100℃程度の温度で行うことができる。反応時間は、一般に、5時間〜30日間である。塩基性触媒の例は、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムである。触媒の量は、ヒドロキシ安息香酸100重量部に対して、例えば0.1〜300重量部であってよい。ジヒドロキシ安息香酸1モルに対して、ハロゲン化プロパルギルの量は、例えば、0.5〜10モル、特に1.5〜3モルであってよい。
【0013】
この反応によって、ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルが生成することがある。このジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルは、媒体(特に、水)中で加水分解することによってジプロパルギルオキシ安息香酸とすることができる。この加水分解は、ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルを、塩基(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム)触媒の存在下で、20℃〜80℃程度の温度で、1時間〜10日反応させることによって行える。
【0014】
ジプロパルギルオキシ安息香酸を塩素化剤(例えば、塩化チオニルまたは塩化オキサリル)と反応させて、酸クロリドにする。この酸クロリドを芳香族系色素(例えば、アルコール化合物(R−OH))と反応させて、ジプロパルギルオキシ安息香酸エステルを得る。
【0015】
プロパルギルオキシ安息香酸と塩素化剤との反応は、溶媒中、20〜60℃で行うことができる。好ましい溶媒は、塩素系溶媒、例えば、塩化メチレン(ジクロロメタン)である。反応時間は、一般に、3〜10時間である。塩素化剤の量は、プロパルギルオキシ安息香酸1モルに対して1〜10モルであってよい。
【0016】
酸クロリドと芳香族系色素との反応は、溶媒中、20〜80℃で行うことができる。好ましい溶媒は、塩素系溶媒、例えば、塩化メチレンである。反応時間は、一般に、5〜15時間である。
【0017】
芳香族系色素は、発色団を有する。芳香族系色素は、例えば、式:
R−OH
[Rは、発色団および芳香環を有する一価の有機基である。]
で示されるアルコール化合物であってよい。Rにおける発色団の例は、窒素−窒素二重結合または炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合である。Rは、窒素−窒素二重結合または炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合および芳香環を有する一価の有機基であることが好ましい。
【0018】
Rは、例えば、−Ar−N=N−Ar、−Ar−C=C−Ar、−Ar−C≡C−Arであってよい。ここで、ArおよびArは、ベンゼン環を有する基であってよい。Arは、有機鎖(例えば、酸素原子または窒素原子を有していてもよいアルキレン鎖(アルキレン鎖の炭素数1〜10))およびフェニレン鎖からなることが好ましい。Arは、置換基で置換されていてよい芳香族基である。Arは、発色団(例えば、−N=N−、−C=C−および−C≡C−)に対してパラ位で置換した置換基(特に、電子吸引性基)を有するベンゼン環であってよい。置換基の例は、−NO、−CH=C(CN)、−C≡N、および―OSO−OR[Rは、有機基、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基である。]である。
【0019】
芳香族系色素としての、アゾベンゼン系色素、トラン系色素、スチルベン系色素等の色素類及びカルバゾール等の官能基を含むアルコール類と酸クロリド、すなわちジプロパルギルオキシ安息香酸クロリドとの反応によって、新たな有機材料を得ることが出来る。たとえば9−ヒドロキシエチルカルバゾールとの反応で光導電性高分子を得ることができる。また、アゾベンゼン系化合物との反応ではアゾベンゼンの光異性化によるメモリー材料を得ることができる。
【0020】
芳香族系色素(すなわち、アルコール化合物(R−OH))の具体例は、次のとおりである。
【化11】




【0021】
【化12】




【0022】
【化13】




【0023】
【化14】


および


【0024】
得られたジプロパルギルオキシ安息香酸エステルを重合して、
式:
【化15】


で示される重合体を得ることができる。
【0025】
ジプロパルギルオキシ安息香酸エステルモノマーを重合することによって、主鎖にジアセチレン結合を含みかつ側鎖に色素を含む重合体が得られる。重合は、例えば、酸化カップリング重合によって行える。
【0026】
ジプロパルギルオキシ安息香酸エステルモノマーを、他のビスアセチレン系モノマー(例えば、ジ(プロパルギルオキシ安息香酸)エステルおよびジ(プロパルギルオキシ桂皮酸)エステル)と共重合してもよい。
【0027】
他のビスアセチレン系モノマーの例は次のとおりである。
ジ(プロパルギルオキシ安息香酸):
【化16】


ジ(プロパルギルオキシ桂皮酸)エステル:
【化17】


[上記式中、Rは、発色団および芳香環を有する二価の有機基である。]
【0028】
ジ(プロパルギルオキシ桂皮酸)エステルの例は、特願2002−102748号に記載されている以下の化合物である。
【化18】


[式中、Rは、発色団および芳香環を有する有機基であり、XおよびXは水素原子または炭素数1〜6の脂肪族基である。]
【0029】
他のビスアセチレン系モノマーの量は、重合体に対して、80重量%以下、例えば50重量%以下、特に0.1〜40重量%であってよい。
得られた重合体、すなわち、ジプロパルギルオキシ安息香酸エステルモノマーの単独重合体および共重合体は、二次非線形光学性を示す。
【0030】
重合体の分子量(特に、重量平均分子量)は、約1000〜100000、特に2000〜20000であってよい。分子量は、ゲル透過クロマログラフィー(GPC)により測定されるものである(スチレン換算)。
重合体はDMFやN−メチルピロリドンのような極性溶媒に易溶であり、これらの溶媒の溶液の対数粘度を計ることによっても、重合体がどの程度の分子量を有するかを測定することが出来る。N−メチルピロリドン中25℃での対数粘度は一般に0.2〜0.8が普通である。
本発明の重合体は、均一なフィルムを基材上に与えることができる。
【0031】
モノマーの重合は、重合体が可溶な溶媒(DMF,N−メチルピロリドン(NMP)等)中で、触媒の存在下で、酸素を吹き込みながら、20℃〜70℃の温度で行う。触媒の例は、塩化第一銅およびアミン(特に、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)である。重合反応の時間は、一般に、5〜10時間である。
【0032】
重合系の粘度が上昇すると、内容物を過剰のメタノール(例えば、希塩酸酸性メタノール)中に沈殿させる。濾過、乾燥後、再び溶媒に溶かし、不溶物を濾過し、メタノール中に再沈殿させる。
【0033】
得られた重合体は、溶媒、特に極性溶媒、例えば、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)やN−メチルピロリドン(NMP)等に可溶である。重合体の溶液(例えば、DMF溶液)を用いて基板上にフィルム(特に、薄膜)を形成することができる。溶媒蒸発またはスピンコートによって、フィルムを形成できる。重合体フィルムの厚さは、例えば、0.1〜200μm、特に1〜15μmであってよい。
【0034】
本発明の高分子材は主鎖中にジアセチレン基を含んでいるので側鎖の色素を電圧をかけて配向させた後に光照射をおこない架橋することによって配向色素を固定化することが可能である。
【0035】
重合体フィルムを重合体のガラス転移点付近の温度(例えば、60〜120℃)に加熱し、電圧(例えば、4〜10KV)を印加しながら、重合体主鎖中のジアセチレン基による架橋させることによって、電圧を除いた後も配向された色素の配向緩和を防ぐことができる。電圧を加えることによって、重合体中の色素を電場配向させる。架橋は、光、特に紫外線によって行うことが好ましい。電場配向と同時に、紫外線ランプをフィルムに照射(照射量:例えば400Wの中圧水銀ランプで1分〜10時間、特に5分〜2時間)して架橋させて、可溶性フィルムを不溶不融の熱硬化性樹脂フィルムにすることができる。
【0036】
フィルムに電圧を印加し、芳香族系色素を一定方向に配向させ、同時に紫外線をフィルムに照射して重合体鎖を架橋させて、熱硬化性樹脂に変化させ、電場配向させた色素の配向緩和を防ぐことができる。
【0037】
重合体(例えば、架橋させたフィルム)は、フォトニクスの分野において、導波路、光スイッチ、レーザー発振等種々の用途に使用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
実施例において、次のようにして測定を行った。
二次非線形光学定数は、電気光学効果(EO効果)を測定することにより求めた。
DSC分析は、示差走査熱量計(デュポン製のDupont 2000)によって行った。
【0039】
実施例1
2,4−ジヒドロキシ安息香酸10g(0.065モル)、臭化プロパルギル21cc(80%トルエン溶液)および27gの炭酸カルシウムを100ccのアセトンおよび25ccのジメチルホルムアミド中に加え、攪拌しながら10時間加熱還流させて反応させた。その後1リットルの水中に内容物を加えて、白色沈殿物をろ過、乾燥することによって、融点が110℃の2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルが、収量80%で得られた。このエステル15gを150ccの水中に懸濁させた後、水酸化カリウムを4g加えて60℃で三日間加熱した。透明になった溶液に濃塩酸5ccを加えて、酸性にすると2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸が定量的に得られた。トルエンより再結晶させることによって純品を得た。このものの融点は153℃であった。生成物のプロトンNMRスペクトルを図1に示す。
【0040】
実施例2
500ccのフラスコに10gの3,4−ジヒドロキシ安息香酸10g、および実施例1と同じ試薬を同量加え25日間還流させた後、固形物をろ過し、濾液を蒸発させると薄褐色の固体(融点 75−76℃)を約60%の収率で得た。これは3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルであった。このエステル10gを3gの水酸化カリウムを含む水200ccに加えて四日間室温で反応させると、溶液は透明になった。この液に5ccの濃塩酸をふくむ水200ccを加えて、沈殿させ白色の固体を得た。トルエンより再結晶することによって、融点が179−180℃で無色の3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸を得た。生成物の赤外スペクトルを図2に示す。
【0041】
実施例3
200ccのフラスコに10gの2,5−ジヒドロキシ安息香酸10gを入れ、100ccのアセトンおよび50ccのDMFに溶解させた後、28gの炭酸カルシウムを加えた。20分後に21ccの臭化プロパルギルを加えて25日間常温で攪拌した後、1000ccの水中に加えた。固形物をろ過紙、褐色の2,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルを14g得た。融点は80−81℃で、収量は82%であった。このエステル14gを3.2gの水酸化カルシウムを含む水250ccに懸濁させて60℃にて24時間反応させ、系が透明になった時に5ccの濃塩酸を含む水200ccを加えた。得られた白色沈殿を濾過し乾燥後トルエンから再結晶すると11gの2,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸が得られた。その融点は143℃で、収量は79%であった。生成物のプロトンNMRスペクトルを図3に示す。
【0042】
実施例4
10gの3,5−ジヒドロキシ安息香酸を実施例3と同様な条件下で15日間60℃で反応させ97%の収率で3,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロパルギルエステルを得た。このエステルを上記の実施例3と同様にアルカリ水溶液で処理し、塩酸で酸性にして得られた3,5−ジプロパルギル安息香酸をトルエンから再結晶して、融点が175−175℃の白色結晶を13g得た。生成物のプロトンNMRスペクトルを図4に示す。
【0043】
実施例5
以上の方法で得られたジプロパルギルオキシ安息香酸は簡単にその塩化物に変えることが出来た。ジプロパルギルオキシ安息香酸5gを100ccのジクロルメタンに溶解させ3ccの塩化オキサリル(又は塩化チオニル)および約0.3ccのジメチルホルムアミドを加えて、20〜50℃で2〜3時間反応させ、それぞれの酸の塩化物を得た。溶媒および過剰の塩化剤を蒸発させた後、これらの塩化物をそのまま次の反応過程に使用した。
【0044】
実施例6
実施例1で得られた2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸から実施例5の方法で得た塩化物5gをジクロルメタン100ccに溶解させた後、6gの色素ジスパースレッド1:
【化19】


を加えてトリエチルアミン3ccを滴下した。24時間常温で反応させた後、溶媒を減圧下蒸発させて残った固体を酢酸エチルで抽出し、再結晶によって目的物のジスパースレッド1を含む2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸エステル(ジスパースレッド1と2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸とのエステル)を7.7g(収率80%)得た。生成物の赤外吸収スペクトルを図5に示す。
【0045】
実施例7
実施例2で得た3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸から実施例5の方法で塩化したものにジスパースレッド1を実施例6と同じ条件で反応させて得たもの2gを8ccのN−メチルピロリドン(NMP) に溶かし、0.05gの塩化第一銅および数滴(100mg)のN,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMED)を加え40〜50℃の温度で酸素を吹きこんで攪拌を10時間つづけた後内容物を150ccのメタノール中に注いでポリマーを沈殿させた。定量的収率でポリマーが得られた。得られたポリマークロロホルムに少量とけたが、ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセタミド(DMA) などに多量に溶けた。これらの溶液をスピンコートすることによって赤色の透明フイルムを得た。ただし溶液を放置するとポリマー中の色素の凝集によってポリマーが沈殿してきた。沈殿したポリマーはもはや加熱しても溶解しないが、N−メチルピロリドン(NMP)には溶けた。
【0046】
NMP溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させて、DMFなどに可溶なポリマーを回収することが出来た。このモノマーおよびポリマーの熱機械分析を図6に示す。これからこのポリマーのガラス転移点温度が78℃であることがわかる。
【0047】
実施例8
実施例3で得た2,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸から実施例5の方法で塩化したもの5gを100ccのジクロルメタンに溶かし10ccのトリエチルアミンを加えて後5gの9H−カルバソール−9−エタノールを加えて30−50℃で5時間反応させた。反応後溶媒を蒸発させた後残留物を水で洗浄し、乾燥後トルエンで再結晶させると淡緑色の結晶が得られた。この結晶2gをDMF 8 cc にとかし0.1gの塩化第一銅および数滴(100mg)のTMED を加えて50℃以下の温度で酸素を吹き込み反応させた。系の粘度の上昇が見られると反応系を150ccのメタノール中に注いでポリマーを沈殿させた。このポリマーのDMF中の対数粘度は0.4であった。
【0048】
実施例9
実施例5で得られた3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸の塩化物とジスパースレッド13と実施例7と同じ条件で反応させると下記に示すモノマーが得られた。これをNMP 中で実施例7と同様に重合させると定量的に、暗赤色のポリマーが得られた。このポリマーはガラス転移点120℃をもち、DMF 溶液からスピンコートすることによって濃赤色のフイルムを与えた。このフィルムを1064nmのレーザーで二次非線形定数を測定した結果290pm/V なる値が得られた。
【0049】
【化20】


【0050】
実施例10
2,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸の塩化物とニトロ基の代わりにシアノ基を含む色素を用いる以外は実施例9と同様にして得られたモノマーを、酸化カプリング重合して下記のポリマーを得た。このポリマーの対数粘度は0.25であった。これをDMFに溶解させて、スピンコートによってフイルムにして、電場印加によって実施例9と同様に二次非線形定数を測定した結果120pm/V なる値が得られた。
【0051】
【化21】


【0052】
【発明の効果】
本発明の材料は非常に高い密度で官能性基を導入することが出来、そのために要求される効果、たとえば、非線形光学効果が大きい。ジアセチレン基による架橋によって耐熱性に優れた材料が得られるとともに電場配向させられた色素の緩和を防ぐことができる。またこれらのポリマー中のアゾ色素の分布は均一でありメモリー材料としても有用である。
本発明に示されたジプロパルギルオキシ安息香酸の誘導体はアゾ色素以外の色素、たとえばトラン系やスチルベン系の色素を持つポリマーの合成に使用出来る。また他のビスアセチレンモノマーと共重合することによって色々な性質を有する高分子材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロトンNMRスペクトル。
【図2】3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸の赤外吸収スペクトル。
【図3】2,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸のプロトンNMRスペクトル。
【図4】3,5−ジプロパルギルオキシ安息香酸のジスパースレッド1とのエステルのプロトンNMRスペクトル。
【図5】2,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸のジスパースレッド1とのエステルの赤外スペクトル。
【図6】ジスパースレッド1を含む3,4−ジプロパルギルオキシ安息香酸の重合物の熱機械分析。
【出願人】 【識別番号】502121904
【氏名又は名称】ウニベルシダ・ナシオナル・アウトノマ・デ・メキシコ
【氏名又は名称原語表記】UNIVERSIDAD NACIONAL AUTONOMA DE MEXICO
【出願日】 平成15年5月26日(2003.5.26)
【代理人】 【識別番号】100086405
【弁理士】
【氏名又は名称】河宮 治

【識別番号】100100158
【弁理士】
【氏名又は名称】鮫島 睦

【識別番号】100107180
【弁理士】
【氏名又は名称】玄番 佐奈恵

【公開番号】 特開2004−346050(P2004−346050A)
【公開日】 平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願番号】 特願2003−147773(P2003−147773)