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【発明の名称】 六方晶窒化硼素の簡易製造方法
【発明者】 【氏名】渡邊 明

【氏名】児玉 総治

【氏名】溝田 恭夫

【氏名】内田 一世

【氏名】吉川 正博

【要約】 【課題】本発明の目的は、含窒素有機化合物として天然高分子を用いることにより、結晶性の高いh−BNを製造する方法を提供することにある。

【解決手段】硼酸又は無水硼酸と含窒素高分子化合物の混合物を、窒素雰囲気中で加熱し、硼酸又は無水硼酸を還元・窒化することにより六方晶窒化硼素を合成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
含窒素高分子化合物を40%から80%含む硼酸又は無水硼酸と含窒素高分子化合物の混合物を、窒素雰囲気中、1400℃から1600℃の温度で加熱し、硼酸又は無水硼酸を還元・窒化することによる六方晶窒化硼素の製造方法
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、窯炉用耐火物など高温構造材料として用いることのできる六方晶窒化硼素の簡易な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
六方晶窒化硼素(以下h−BNと略)は、黒鉛と類似した結晶構造を有しており、黒鉛よりも耐酸化性が高く、溶銑やスラグに対する耐食性や耐熱性が良好なことから、窯炉などに用いる耐火物など高温構造材料として優れた材料であると思われるが、従来の製造方法は高コストのために、安価な製造方法の開発が必要とされている。
【0003】
h−BNの製造方法には、(1)硼素を窒素、アンモニア、亜硝酸などを用いて直接窒化する方法、(2)硼素酸化物(硼酸、無水硼酸、硼酸塩)を、アンモニア又は尿素、メラミンなど含窒素低分子有機化合物で還元・窒化する方法、(3)硼素の水素化物又はハロゲン化物とアンモニア又はアンモニウム塩と反応させる方法がある。
【0004】
これらのうちで、(2)の方法が工業的に採用されているが、1段階では高純度、高結晶化度のh−BNを製造することができないため、まず、原料混合物を1000℃以下で反応させてBNとし、さらに1600℃以上で再加熱して、結晶化させ、高結晶化度のh−BNとする2段階の工程で製造が行われている。また、アンモニアを用いる場合、反応促進のためにリン酸塩などを添加する必要があり、その除去も必要である。これらのことがh−BNの製造コストを上昇させる要因である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、含窒素有機化合物として安価な天然高分子を用いることにより、1段階の工程で、結晶性の高いh−BNを製造する方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
アンモニアを用いる方法ではリン酸塩を添加する必要があることから、含窒素有機化合物を用いる製造方法の方がコスト的に有利であるが、2段階の加熱が必要である。この原因に、尿素、メラミンなど低分子化合物は分解温度が200〜300℃と低いことが考えられる。したがって、高分子量の合窒素化合物を用いれば、加熱を1段階にすることができる可能性がある。しかしながら、合成高分子を用いたのでは、コスト低減効果は不十分である。そこで、高分子量含窒素化合物として、タンパク質を含む天然高分子を用いたところ、1段階の加熱のみで、高結晶性のh−BNが製造できることを見出し、本発明に至った。
【0007】
すなわち、硼酸又は無水硼酸とタンパク質含有天然高分子の混合物を、窒素置換し、窒素雰囲気を保った加熱炉中で加熱して、硼酸又は無水硼酸を還元・窒化し、h−BNを製造する方法である。
【0008】
硼酸又は無水硼酸量に対する含窒素高分子の量は乾燥質量で40〜80%、反応温度は、1400〜1600℃、好ましくは1500℃である。
【0009】
含窒素高分子化合物としては、コラーゲンやカゼインのようなタンパク質系天然高分子、ポリアミドやメラミン樹脂などの合成高分子も用いることができるが、好ましくは米ぬか、脱脂粉乳、ビール滓、コーヒー抽出滓のように、タンパク質以外に水分、糖質、繊維質を含む天然高分子である。
【0010】
【発明の実施の形態】
実施例1
硼酸(市販試薬1級)とおからとを乳鉢を用いて混合し、80℃で乾燥後、黒鉛製るつぼに混合物を入れ、窒素雰囲気下、電気炉で4時間加熱処理を行った。加熱温度は、1400℃、1500℃、1600℃とした。表1に合成結果を示す。なお、表1の結晶化指数(G.I.)は、X線回折ピークの面積を用いて、文献1)の方法で式(1)から計算した。
G.I.= {A(100)+A(101)}/A(102)  (1)A(100)、A(101)、A(102);それぞれ、(100)、(101)、(102)に帰属されるピーク面積
完全なh−BNではG.I=1.6であり、大きくなるほど結晶化度が低いことを示す。反応温度を1500℃とした場合に収率及び結晶化度とも良好な結果が得られている。無水硼酸を用いてもほぼ同様な結果であったことを確認している。
実施例2
含窒素高分子として、米ぬか、脱脂粉乳、コーヒー抽出滓、コラーゲン、カゼイン、ポリアミド6を用いて、1500℃で反応させた。結果は表2に示す。おからと比較すると結晶化度は良好でないが、米ぬか、脱脂粉乳、コーヒー抽出滓を用いた場合の収率は、おからよりわずかに低い。一方、コラーゲンなどのようなタンパク質のみからなる高分子では収率は低い。おからや米ぬかなどには、タンパク質以外に糖質や繊維質、水分が含まれており、これらが、高収率、高結晶化度をもたらしていると考えられる。
比較例1
窒素を含まない高分子として、ポリビニルアルコール(PVA)、サッカロースを用いた結果が表3である。BNはわずかに生成しているのみである。
比較例2(従来法)
硼酸と尿素の混合物を用いて、窒素雰囲気中850℃で4時間加熱、反応させた後、無水硼酸を添加して、1500℃で熱処理を行った。この例では、BNの収率は95%であったが、結晶化指数は25.2で、結晶化度は低くかった。
【0011】
【発明の効果】
本発明の含窒素天然高分子と硼酸又は無水硼酸を用いるh−BN製造方法は、1段階で高結晶性のh−BNが。1段階で合成することが可能となる。
【0012】
h−BNを含んだ高性能耐火物の低価格化が実現される。
1)J.Thomas,Jr.,N.E.Weston,T.E.O’conner:J.Amer.Chem.Soc.,84,4619(1963)
【0013】


【0014】


【0015】


【出願人】 【識別番号】591240722
【氏名又は名称】岡山セラミックス技術振興財団
【出願日】 平成14年6月3日(2002.6.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−10471(P2004−10471A)
【公開日】 平成16年1月15日(2004.1.15)
【出願番号】 特願2002−199284(P2002−199284)