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【発明の名称】 フッ素樹脂被膜材および該フッ素樹脂被膜材からなる加熱調理用容器
【発明者】 【氏名】下辻 俊雄
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町大字野田950番地 住友電工ファインポリマー株式会社内

【氏名】永井 周造
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町大字野田950番地 住友電工ファインポリマー株式会社内

【氏名】長岡 康範
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町大字野田950番地 住友電工ファインポリマー株式会社内

【氏名】松下 信賢
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町大字野田950番地 住友電工ファインポリマー株式会社内

【要約】 【課題】金属板の表面を被覆する塗膜層が1層で耐腐食性を向上させる。

【解決手段】基材となる金属板の微細な凹凸表面に、一層の塗膜層が一体的に接合され、該塗膜層はフッ素樹脂に剛性を有する粉体が添加され、該粉体によりピンホールを多数生成させたものからなり、30Vのピンホール通電検査での通電量を60mA〜300mA/9000mmに設定している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材となる金属板の微細な凹凸表面に、一層の塗膜層が一体的に接合され、該塗膜層はフッ素樹脂に剛性を有する粉体が添加され、該粉体によりピンホールを多数生成させたものからなり、30Vのピンホール通電検査での通電量を60mA〜300mA/90000mmに設定していることを特徴とするフッ素樹脂被膜材。
【請求項2】
上記塗膜層のフッ素樹脂は、PTFE(4沸化エチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFEとPFAとの複合材あるいはFEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を用い、
上記金属板はアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鉄、鉄合金、銅、銅合金、これらのクラッド板からなり、
上記ピンホールを生成に用いる粉体は、マイカを含む鉱石粉、金属粉、ガラス粉、セラミック粉あるいは無機粉からなる請求項1に記載のフッ素樹脂被覆材。
【請求項3】
上記フッ素樹脂に添加する上記粉体として偏平状のものを用いている請求項1または請求項2に記載のフッ素樹脂被覆材。
【請求項4】
上記フッ素樹脂に添加する粉体のうち50%以上が偏平状の粉体である請求項1乃至請求項3のいずれか1項の記載のフッ素樹脂被覆材。
【請求項5】
上記フッ素樹脂に添加する上記偏平状の粉体は2〜3重量%である請求項1乃至請求項4のいずれか1項の記載のフッ素樹脂被覆材。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技衝分野】
本発明はフッ素樹脂被覆材および該フッ素樹脂被覆材からなる加熱調理用容器に関し、特に、マイコン制御ではなく、炊飯開始時から終了時まで電気ヒータがオンのままで、炊飯終了後に容器温度が過温となる設定温度に達するとオフされる加熱源を備えた炊飯器の内釜として好適に用いられるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、炊飯器の内釜は、アルミニウム等の金属板からなる基材の表面に、炊飯された米のこびりつきを防止するため、フッ素樹脂が塗布されている。該フッ素樹脂塗膜層と金属板との密着力を強めて接合強度を高めるため、金属板の表面にはエッチングやブラスト処理で微細な凹凸が設けられている。そのため、フッ素樹脂塗膜層が透明であると、微細な凹凸処理後の色むらが外面に現出することもあり、上記塗膜層を2〜3層設けて外観を高めている場合が多い。
また、塗膜層に生じるピンホールを通して炊飯時に蒸気が塗膜層に浸透し、金属板からなる基材と接触すると蒸気に含まれる塩素や有機物により基材の金属が腐食され、塗膜層にブリスターと呼ばれる剥離や膨れ(ピッティング)が生じる。このブリスターは塗膜と基材に溜まった水分が炊飯時等の急速加熱時にガスとして抜ける際に、塗膜層と基材との接着カを上回って塗膜層を押し上げるために発生すると認められている。
上記ブリスターの発生を抑制・防止する目的からも、塗膜層に複数層として、塩素イオンを含む蒸気がピンホールを通して基材と接触させないようにしている。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−239596号
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、比較的高価なフッ素樹脂で複数の塗膜層を設けると、材料費が高くなると共に塗布工程が増えてコスト高になり、炊飯器の内鍋を安価に提供できなくなる問題がある。
【0005】
コスト低下を図るために、フッ素樹脂に顔料を添加した場合、塗膜層を1層としても上記色むらを発生させないようにすることは可能である。しかしながら、塗膜層を1層とした場合に、塗膜層に生じるピンホールを通して浸透する蒸気が金属板からなる基材に接触しやすくなり、その結果、蒸気に含まれる塩素イオン等によりピッティング状の膨れや剥がれが発生しやくなる問題がある。
そのため、本発明者は、1層とする塗膜層に出来るだけピンホールを発生させない改良を種々試みたが、ピンホールの数を減少させてもピッティング現象の発生を抑制できないことを実験より知見した。
これは、炊飯時に蒸気に含まれる塩素イオンが一旦ピンホールに浸透すると、ピンホール数が少ないことより外部に抜け出しにくくなる。よって、基材と塗膜層との間に塩素イオン濃度が高まり基材の腐食が拡大し、その結果、ピンホール数を少なくすると、逆に広い範囲に亙って塗膜膚を突き上げることに起因すると認められる。
【0006】
特に、上記塗膜層を1層としたフッ素樹脂被覆材から内釜を形成し、熱源とし電気ヒータを用い、炊飯開始時から炊飯終了後までヒータがONのままで、炊飯終了後に内釜の温度が過温となる設定温度に達するとオフとなる電気ヒータを用いた電気炊飯器では、急速加熱炊飯時にヒータ温度が高くなるほど上記ピッティングが発生しやすくなり、かつ、ヒータが片当たりした際には、その部分のみピッティングが発生しやすくなることを本発明者の実験によって知見した。
【0007】
図5は炊飯時の電圧を変えることによりヒータ温度を変えて実験した結果を示す図表である。
上記図表に示すように、ヒータ最高温度が320℃、420℃の高熱に達すると膨れ箇所が多く、かつ、炊飯回数が増加するにしたがって膨れ個数が増加し、5段階評価(1→5になるにしたがって評価が下がる)で4、5の悪い評価となった。
【0008】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、金属板の表面を被覆する塗膜層が1層でも耐腐食性に優れているフッ素樹脂被膜材等を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、基材となる金属板の微細な凹凸表面に、一層の塗膜層が一体的に接合され、該塗膜層はフッ素樹脂に剛性を有する粉体が添加され、該粉体によりピンホールを多数生成させたものからなり、30Vのピンホール通電検査での通電量を60mA〜300mA/90000mmに設定していることを特徴とするフッ素樹脂被膜材を提供している。
【0010】
本発明は、発明者が鋭意実験を繰り返して得られたものであり、従来は出来る限り発生させないようにしていた塗膜層のピンホールを積極的に多数存在させ、炊飯時に蒸気がピンホールに侵入しても、内部に溜まらずに出やすいようにすると、塗膜層を1層としてもピッティングの発生が抑制できることを知見して、本発明を想到したものである。
【0011】
上記のように、本発明では、フッ素樹脂に剛性を有する粉体を混合して塗膜層を設け、粉体により塗膜層中に積極的に、蒸気透過用、塩素イオン透過用としてピンホールを多数存在させている。このようにピンホールを多数発生させると、塗膜層に蒸気等が浸透しても、その水分に含まれる塩素イオン等が上記ピンホールより外部へ透過して抜け易くなり、塗膜層と金属板との間に水分が溜まりにくくなるので、塗膜層のピッティング状の膨れが抑制され、耐腐食性能を向上させることができる。
【0012】
上記フッ素樹脂層に上記粉体が添加されることにより生成された上記塩素イオン透過用のピンホールの量は、30Vのピンホール通電検査での通電量が表面積90000mm当たりに60mA〜300mAとすると、ピッティング状態の膨れが抑制できることを実験より知見した。なお、上記通電量は100〜140mAが好ましい。
【0013】
上記ピンホール検査での通電量を300mA以下としているのは、300mAを超えるとフッ素樹脂への粉体の混入率を高くする必要があり、フッ素樹脂量が低下して非粘着性が低下するからである。また、60mA以上としているのは、通電量が60mAより小さいとピンホールが少なく、塩素イオンを十分に外部に透過させることができず、ピッティング状の膨れが発生しやすくなることによる。
【0014】
具体的には、上記塗膜層のフッ素樹脂は、PTFE(4沸化エチレン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン) PFA(テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)、PTFEとPFAとの複合材あるいはFEP(テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体)を用い、
上記金属板としてアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス、鉄、鉄合金、銅、銅合金、これらのクラッド板あるいはセラミックを用い、
上記ピンホール生成用として用いる粉体は、マイカを含む鉱石粉、金属粉、ガラス粉、セラミック粉を用い、
さらに、上記塗膜層に、酸化チタンおよびカーボン等を顔料として添加している。
【0015】
フッ素樹脂に混合する粉体は、ピンホールを発生させる点から剛性を有するものが用いられ、その形状は、偏平状、球状、棒状のいずれでもよく、粒径に応じて球状でも良いが、偏平状が好ましく、特に、鱗片状に偏平したものが最も好ましい。この粉体としては、マイカ等の鉱石粉、チタン等の金属粉、ガラス粉、セラミック粉あるいは無機粉を用いることができるが、粉体として鱗片状のマイカが最も好適に用いられる。即ち、マイカを混合すると塗膜層に光沢性を付与できると共に所要の大きさのピンホールを発生させやすい鱗片状であり、かつ、調理用容器の素材に混合する材質として適している。また、上記粉体は1μm〜100μmの大きさのものが好適に用いられる。
【0016】
フッ素樹脂塗膜材では、塗膜層の主成分となるフッ素樹脂に酸化チタン、マイカ、カーボン等が添加されているが、本発明では、フッ素樹脂に上記添加物を配合したフッ素樹脂被覆材において、全体重量に対する添加物の割合を殆ど増加させず、酸化チタンを減少させて上記マイカ等の偏平状粉体の割合を増加させている。この添加物の全体重量に対するマイカ等の偏平状粉体の割合は50重量%以上、より好ましくは60重量%、最も好ましくは80重量%以上としている。このように、酸化チタンを減少させることにより金属板に対する塗膜層の密着性を高めることができる。
【0017】
上記顔料として添加する酸化チタンは白色を呈すると共にカーボンは黒色を呈するので、上記顔料をフッ素樹脂に添加することで塗膜層を灰色に着色することができ、下地の金属板の金属模様を隠すことができ、外観上色むらを現出させない。なお、顔料は、上記酸化チタン、カーボンブラックに限定されず、チタン白、ベンガラ、群青等を用いてもよいが、マイカ量を増加させることにより、これら酸化チタン等の顔料の割合を低減している。
【0018】
上記塗膜層に配合する上記マイカ等の偏平状粉体は全体重量に対して2〜3重量%が好ましい。これは2重量%未満であると所要数のピンホールを発生できず、上記ピンホール試験で通電量が60m/Aに達せず、また、3重量%を越えるとフッ素樹脂量が低減して塗膜層の非粘着性が低下することによる。
【0019】
このように、フッ素樹脂層に添加される粉体を大きさ・形状・配合率を適宜に組み合わせることで、塗膜層に微小なピンホールを多数生成することができ、塗膜層の膨れや剥がれを抑制でき、耐食性能を向上させることができる。
【0020】
上記塗膜層の厚さは10〜40μm、上記金属板の厚さは0.5〜4.Ommとし、該金属板の表面を電気エッチング、化学エッチング、ブラスト法で上記微細な凹凸表面を形成し、該凹凸表面に上記フッ素樹脂組成物を塗布して上記塗膜層を形成している。
【0021】
上記のように、金属板の表面に微細な凹凸面を設けることで、フッ素樹脂が表面の凹凸に入り込み、非粘着性のフッ素樹脂の塗膜層を金属板に強固に接合することができる。
なお、フッ素樹脂を金属板にコーティングする手順は、フッ素樹脂を金属板に塗布して乾燥させた後、溶融焼結することにより行う。
また、金属板の微細な凹凸表面に予めプライマーを塗布して、フッ素樹脂製の塗膜層との密着性を高めてもよい。
【0022】
本発明は、上記したフッ素樹脂被覆材をプレス加工して形成した加熱調理用容器を提供している。
特に、急速加熱による腐食を発生させにくい点より、加熱源として電気ヒータを用い、炊飯開始時から炊飯終了までオンのままで、炊飯終了後に過温の設定温度に達するとオフとなるヒータ加熱炊飯器の内釜として好適に用いられる。
即ち、上記ヒータ加熱炊飯器では、炊飯時に急速高加熱されて、塗膜層に腐食が発生しやすいが、本発明の粉体を混合したフッ素樹脂塗膜層を用いると、該塗膜層が1層であっても腐食の抑制・防止を図ることができる。
【0023】
なお、本発明は炊飯器の内釜に限らず、フッ素樹脂塗膜層をそなえ高いホットプレート、グリルパン、オートベーカリー、餅つき器等の家電調理容器、鍋、釜、フライパン等の一般的な調理容器にも適用できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は本発明のフッ素樹脂被膜材1を示し、アルミニウムからなる金属板2と、該金属板2の表面を被覆する1層の塗膜層3とからなる。
塗膜層3は四沸化エチレン樹脂のPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)を主成分とし、粉体としてマイカ4、顔料として酸化チタンとカーボンを混合している。全体重量に対してマイカは2〜3重量%、酸化チタンは1.0〜1.2重量%、カーボンを0.03〜0.06重量%添加している。
これらマイカ、酸化チタン、カーボン等の添加物の合計重量に対するマイカの割合を90重量%以上としている。かつ、これら添加物を配合したPTFE組成物の全体重量に対して上記添加物の割合を5〜7重量%としている。
上記マイカからなる鱗片状の粉体4の粒径は1〜100μmで、塗膜層3の厚さは10〜40μmとしている。
【0025】
上記金属板2の厚さは0.5〜4.Ommとし、その表面は電気エッチング法により微細な凹凸2aを形成している。この凹凸2aを備えた金属板2の表面に、上記塗膜層3を形成する溶融した上記PTFE組成物を塗布し、乾燥後に溶融焼結させている。
【0026】
上記構成からなるフッ素樹脂被膜材1では、塗膜層を形成するPTFE組成物中の酸化チタンの割合を減少させ、PTFE組成物中のマイカの割合を2〜3重量%と、従来混合されている0.5〜1.5重量%よりも2倍〜6倍以上添加している。その結果、図2に拡大して示すように、イオン透過孔となるピンホール5を積極的に多数発生させている。
このピンホール量は、上記フッ素樹脂被覆材1に30Vの直流電圧を印加して、ピンホール通電検査した時に、通電量が60mA〜300mA/90000mmの範囲、好適には100〜120mA/90000mmの範囲となるように設定している。
【0027】
ピンホール通電検査によるマイカ量と通電量の関係を図3に示す。図3中においてマイカ量は、マイカと酸化チタンとカーボンを合計した混合物の合計重量に対するマイカの割合を示している。
図3に示すように、酸化チタンの割合を減少して、添加粉体中のマイカの占める割合を90重量%以上に増大させると、ピンホール(通電量)を高めることができる。
【0028】
図4に示すように、上記フッ素樹脂被覆材1をプレス絞り加工で電気炊飯器10の内釜11としている。電気炊飯器1は内釜11の底面にオン・オフ制御の電気ヒータ12を備えたもので、炊飯時にヒータ12をオンすると、炊飯終了まで急速加熱され、炊飯終了後に水分がなくなり内釜11が加熱されて過温となる設定温度に達するとオフするものである。
【0029】
上記本発明に係わる金属板の表面にフッ素樹脂を主成分としてマイカを多く配合した塗膜層を1層のみ設けたフッ素樹脂被覆材からなる内釜を用いた場合、炊飯時に発生する蒸気が塗膜層3のピンホール5を通して浸透するが、ピンホールの個数を多くしているため、浸透した蒸気が塗膜層3と金属板2との界面に残留せずにピンホールを通して放出される。よって、蒸気に含まれる塩素イオンにより金属板2に腐食を発生させることが低減でき、塗膜層3に発生するピッティングによる膨れの発生を抑制することができる。
【0030】
「実施例」
下記の表1に示すように、塗膜層のPTFEに添加するマイカ、酸化チタン、カーボンの添加量を変えた実験例1〜3、比較例1〜4を作成した。
マイカは酸化チタンで被覆されたメルク株式会社製の商品名イリオジン 221と111(粒度 5〜25μm)とを用いた。
金属板は1.2mInのアルミ合金からなり、該金属板の表面を電気エッチングして微細の凹凸を形成した後、表1に示す添加物をPTFEに配合した溶融PTFE組成物を金属板の表面に塗布して、厚さ30μmの塗膜膚を形成した。
上記金属板の表面に塗膜層を1層のみ設けたフッ素樹脂被覆材をプレス加工して図4に示す電気炊飯器の内釜として、炊飯試験を行い、内釜底面のピッティング(膨れ)個数をカウントした。
下記の表1中において、添加物(%)は比較例1を100%とした場合の割合を示している。
【0031】
【表1】


【0032】
表1に示すように、比較例1はマイカを添加していない。比較例2〜4は添加物に示すマイカの割合を31.4〜71.4としたのに対して、実施例1、2、3ではマイカの割合を91.4〜111.4と増加した。また、実施例1は酸化チタンを配合せず、実施例2、3も酸化チタンの割合を23%と低減した。これに対して、比較例1〜3は酸化チタンの割合を43〜99.2%とした。
【0033】
(炊飯試験)
8合の米を前記したヒータ加熱電気炊飯器により炊飯した。730回炊飯した後に、内釜の底面に発生したφ0.5mm以上のピッティング(膨れ)箇所をカウントした。発生したピッティング個数により5段階のレベルで判定した。判定レベルの1は最もピッティング発生個数が少なく耐食性が良いことを示し、5が最もピッティング発生個数が多く耐食性が悪いことをしめす。
【0034】
炊飯試験の判定結果は表1に示すように、実施例1〜3がレベル2と評価が良く、比較例1〜4はレベル3〜4で評価が低かった。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明によれば、炊飯器の内釜等として用いられるフッ素樹脂被膜材を、アルミニウム等の金属板の表面にフッ素樹脂塗膜層を1層だけ設けているため、コスト低減を大幅に図ることができる。
しかも、塗膜層を1層のみとしているが、フッ素樹脂に添加するマイカ等の粉体量を増加してピンホールを積極的に生じさせて、炊飯等の加熱調理時に蒸気が塗膜層に浸透しても、疫透した蒸気がピンホールを通して放出させることができるため、金属板に腐食を発生させず、かつ、塗膜層が膨れるピッティングが生じるのを減少あるいは防止することができる。
【0036】
かつ、塗膜層を1層としているが、添加しているマイカは光沢性の顔料ともなるため、下地の金属板の色むらも隠蔽でき、外観も優れたものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフッ素樹脂被覆材の断面図である。
【図2】図1の拡大断面図である。
【図3】ピンホール通電検査におけるマイカ量とピンホール量(通電量)の関係を示すグラフである。
【図4】図1のフッ秀樹脂被覆材を電気炊飯器の内釜としていることを示す概略図である。
【図5】電気ヒータ型の炊飯器における電圧変更炊飯試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 フッ素樹脂被覆材
2 金属板
2a 凹凸部
3 塗膜層
5 ピンホール
10 電気炊飯器
11 内釜
12 ヒータ
【出願人】 【識別番号】599109906
【氏名又は名称】住友電工ファインポリマー株式会社
【住所又は居所】大阪府泉南郡熊取町朝代西一丁目950番地
【出願日】 平成14年11月28日(2002.11.28)
【代理人】 【識別番号】100072660
【弁理士】
【氏名又は名称】大和田 和美

【公開番号】 特開2004−175015(P2004−175015A)
【公開日】 平成16年6月24日(2004.6.24)
【出願番号】 特願2002−345857(P2002−345857)