| 【発明の名称】 |
水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 克巳 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリングセンター内
【氏名】劉 社田 【住所又は居所】神奈川県横浜市磯子区新中原町1番地 石川島播磨重工業株式会社横浜エンジニアリングセンター内
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| 【要約】 |
【課題】室温(25℃)から100℃までの温度範囲においても、高容量の水素の吸蔵が可能な水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池を提供する。
【解決手段】本発明の水素吸蔵材料は、炭素系材料の少なくとも一部に、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、銅、銀、金、亜鉛、クロムの群から選択された少なくとも1種を含む金属または合金を担持してなることを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 炭素系材料の少なくとも一部に、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、銅、銀、金、亜鉛、クロムの群から選択された少なくとも1種を含む金属または合金を担持してなることを特徴とする水素吸蔵材料。 【請求項2】 前記金属または合金に加えて、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムの群から選択された少なくとも1種を含む酸化物を担持してなることを特徴とする請求項1記載の水素吸蔵材料。 【請求項3】 前記炭素系材料はカーボンナノチューブまたはフラーレンであることを特徴とする請求項1または2記載の水素吸蔵材料。 【請求項4】 前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブであることを特徴とする請求項3記載の水素吸蔵材料。 【請求項5】 前記金属または合金の担持量は、前記炭素系材料の0.1〜30重量%であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の水素吸蔵材料。 【請求項6】 前記金属または合金の平均粒子径は、1〜100nmであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載の水素吸蔵材料。 【請求項7】 前記酸化物の平均粒子径は、1〜500nmであることを特徴とする請求項2ないし5のいずれか1項記載の水素吸蔵材料。 【請求項8】 0.1〜50MPaの圧力下における水素の吸収・放出の温度範囲は、25℃以上かつ500℃以下であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれか1項記載の水素吸蔵材料。 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれか1項記載の水素吸蔵材料を備えてなることを特徴とする燃料電池。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、電気自動車等の二次電池として好適に用いられ、しかも、室温(25℃)から100℃までの温度範囲においても高容量の水素の吸蔵が可能な水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 近年、大気汚染の虞のないクリーンなエネルギー源として水素を用いた燃料電池が注目されており、例えば、定置型分散電源、自動車搭載用電源等としては、水素の吸着・脱離を利用した固体高分子燃料電池が提案されている。 これらの燃料電池では、水素を吸蔵して貯蔵・輸送するための材料として、水素吸蔵材料が用いられている。 この水素吸蔵材料としては、例えば、排ガスを放出しないクリーンなエネルギーを用いた電気自動車等の二次電池に用いられるLaNi合金等の水素吸蔵合金、アルミナ、マグネシア、ジルコニア等のセラミックス多孔質体の内部に、カーボンナノチューブ、フラーレン等の炭素系材料を高密度に充填した水素吸蔵体等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。 これらの水素吸蔵材料は、単位体積当たりの水素吸蔵量が高容量であることから、近未来のエネルギー貯蔵材料として注目され、研究されている。 【0003】 【特許文献1】 特開2000−281324号公報 【0004】 【発明が解決しようとする課題】 ところで、従来の水素吸蔵材料では、水素吸蔵量の目標値は、水素吸蔵合金、セラミックス多孔質体等の吸蔵物質の5重量%以上とされているが、実際にはその目標値の半分程度に止まっており、水素吸蔵量を更に高めなければ、実用化が難しいという問題点があった。 また、従来のカーボンナノチューブ等の炭素系材料を用いた水素吸蔵体は、物理吸着により水素を吸蔵するものであるから、水素吸蔵量の絶対値が小さく、室温(25℃)以上での吸蔵量に限界がある等の問題点があった。 この水素吸蔵体においては、水素吸蔵を0℃以下、特に液体窒素の沸点(−195.8℃)以上の温度、例えば−170℃で行うのは、冷却用のエネルギーが余分に必要となり、保冷装置等も必要となるので、実用的ではない。 【0005】 本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、室温(25℃)から100℃までの温度範囲においても、高容量の水素の吸蔵が可能な水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 上記課題を解決するために、本発明は次の様な水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池を提供した。 すなわち、本発明の水素吸蔵材料は、炭素系材料の少なくとも一部に、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、銅、銀、金、亜鉛、クロムの群から選択された少なくとも1種を含む金属または合金を担持してなることを特徴とする。 【0007】 本発明の水素吸蔵材料では、前記金属または合金に加えて、セリウム、ジルコニウム、アルミニウムの群から選択された少なくとも1種を含む酸化物を担持してなることとしてもよい。 【0008】 本発明の水素吸蔵材料では、前記炭素系材料はカーボンナノチューブであることが好ましい。 前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブまたは多層カーボンナノチューブであることが好ましい。 【0009】 本発明の水素吸蔵材料では、前記金属または合金の担持量は、前記炭素系材料の0.1〜30重量%であることが好ましい。 前記金属または合金の平均粒子径は、1〜100nmであることが好ましい。 前記酸化物の平均粒子径は、1〜500nmであることが好ましい。 0.1〜50MPaの圧力下における水素の吸収・放出の温度範囲は、25℃以上かつ500℃以下であることが好ましい。 【0010】 本発明の燃料電池は、本発明の水素吸蔵材料を備えたことを特徴とする。 【0011】 【発明の実施の形態】 本発明の水素吸蔵材料及びそれを備えた燃料電池の一実施形態について説明する。 本実施形態の水素吸蔵材料は、炭素系材料の少なくとも一部に、白金(Pt)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)、銅(Cu)、銀(Ag)、金(Au)、亜鉛(Zn)、クロム(Cr)の群から選択された少なくとも1種を含む金属または合金を担持したものである。 【0012】 この炭素系材料としては、カーボンナノチューブ、フラーレン、ナノグラファイトのいずれかが好適であり、特に、金属または合金の担持し易さの点で、カーボンナノチューブが好適に用いられる。 このカーボンナノチューブとしては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブのいずれでもよいが、水素吸蔵能力の点から、多層カーボンナノチューブの場合は、層の厚みの薄いものが好ましく、直径の小さいものが好ましい。カーボンナノチューブの場合、その表面(外側の面)、または内面(内側の面)、または表面及び内面、の少なくとも一部に担持されていればよいが、全面に担持されていてもよい。 【0013】 前記金属または合金の担持量は、前記炭素系材料の0.1〜30重量%が好ましい。 その理由は、担持量が0.1重量%未満であると、担持した金属または合金の作用が明確に現れず、また、30重量%を超えると、担持した金属または合金の作用が飽和してしまい、これ以上担持量を増やしてもさらなる効果が期待できないからである。 【0014】 前記金属または合金の平均粒子径は1〜100nmが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。 その理由は、平均粒子径が1nm未満であると、還元の際や水素吸蔵の際に凝集して活性が失われ易くなるからであり、また、100nmを超えると、水素の吸蔵能力が低下するからである。 【0015】 この水素吸蔵材料は、前記金属または合金に加えて、セリウム(Ce)、ジルコニウム(Zr)、アルミニウム(Al)の群から選択された少なくとも1種を含む酸化物を担持してもよい。 これらの酸化物は、その大きな比表面積のために前記金属または合金の微粒子の担持量を増加させるという作用を有するので、これらの酸化物を炭素系材料に担持することにより、前記炭素系材料と前記金属または合金との接触及び接合を容易にし、前記炭素系材料への前記金属または合金の担持量を増加させることができる。 これらの酸化物の比表面積は、100〜400m2/gが好ましい。 【0016】 これらの酸化物としては、例えば、酸化セリウム(セリア:Ce2O3)、酸化ジルコニウム(ジルコニア:ZrO2)、酸化アルミニウム(アルミナ:Al2O3)等が好適に用いられる。 この場合、前記金属または合金の微粒子と前記酸化物の微粒子とを混合した混合微粒子を炭素系材料に担持してもよく、前記金属または合金の微粒子を炭素系材料に担持し、その後、前記酸化物の微粒子を担持してもよい。 【0017】 また、前記金属または合金と前記酸化物の合計の担持量は、前記炭素系材料の0.1〜30重量%が好ましい。 これらの合計の担持量が0.1重量%未満であると、水素吸蔵能力を示さず、また、30重量%を超えると、前記金属または合金の担持量が多くなり過ぎてしまい、その結果、水素吸蔵能力が低下するからである。 【0018】 また、この酸化物の平均粒子径は1〜500nmが好ましく、より好ましくは10〜50nmである。 その理由は、平均粒子径が1nm未満であると、前記金属または合金の微粒子より小さくなってしまうために、前記金属または合金の担持量を増加させることができなくなってしまうからであり、また、500nmを超えると、この酸化物と炭素系材料との接触面積が小さくなり、この酸化物が炭素系材料に担持し難くなるからである。 この水素吸蔵材料の0.1〜50MPaの圧力下における水素の吸収・放出の温度範囲は、室温(25℃)以上かつ500℃以下、好ましくは室温(25℃)以上かつ300℃以下である。 【0019】 次に、本実施形態の水素吸蔵材料の製造方法について説明する。 (1)白金(Pt)担持カーボンナノチューブ 直径が10〜20nmのカーボンナノチューブ(CNT)を用意し、このカーボンナノチューブに表面処理を施すことにより、不純物やキャップ(CNTの端部)を取り除く。 表面処理としては、上記のカーボンナノチューブを、大気中、500℃にて2時間、焼成する方法、あるいは、上記のカーボンナノチューブを、例えば、塩酸、硝酸、酢酸等の酸性の溶液中に浸漬して表面を酸化させ、その後、水、あるいはエタノール、2−プロパノール等の有機溶媒を用いて洗浄し、乾燥させる方法等がある。 【0020】 この様にして得られた清浄なカーボンナノチューブに白金(Pt)を担持させる。 上記のカーボンナノチューブ0.6gに、ヘキサクロロ白金酸六水和物等の白金化合物の水溶液10ml(Ptとして0.06g含有)を混ぜて、カーボンナノチューブにヘキサクロロ白金酸六水和物等の白金化合物を浸漬させる。上記の水溶液を作製する場合、ヘキサクロロ白金酸六水和物等の白金化合物が微粒子として均一に分散するように溶解する。溶解時に酸を少々加えると、白金化合物中の白金イオンは微粒化し易くなる。また、この水溶液の替わりに、ヘキサクロロ白金酸六水和物等の白金化合物を有機溶媒中に均一に分散した溶液を用いてもよい。 その後、この水溶液からカーボンナノチューブを取り出し、80℃にて乾燥させる。 【0021】 次いで、このカーボンナノチューブを、例えば、5v/v%H2−Ar混合ガス等の還元性雰囲気中、N2ガス等の不活性雰囲気中、あるいは大気中、500℃にて2時間、焼成し、カーボンナノチューブの表面に白金(Pt)を担持させる。この焼成の間に、ヘキサクロロ白金酸六水和物等の白金化合物は分解して白金(Pt)となる。 【0022】 上記の焼成時の雰囲気は、還元性ガス雰囲気→不活性ガス雰囲気→酸化性ガス雰囲気の順に、水素吸蔵活性に影響を及ぼす。したがって、水素吸蔵活性を高めるには、還元性ガス雰囲気中にて焼成を行うのが好ましい。 なお、この白金(Pt)の担持量は、カーボンナノチューブ0.6gに対して0.06gであるから、カーボンナノチューブの10重量(w/w)%となる。 このようにして、白金(Pt)担持カーボンナノチューブを作製することができる。 【0023】 (2)パラジウム(Pd)担持カーボンナノチューブ 上記(1)にて得られた清浄なカーボンナノチューブにパラジウム(Pd)を担持させる。 上記のカーボンナノチューブ0.6gに、硝酸パラジウム等のパラジウム塩の水溶液10ml(Pdとして0.06g含有)を混ぜて、カーボンナノチューブに硝酸パラジウム等のパラジウム塩を浸漬させる。上記の水溶液を作製する場合、硝酸パラジウム等のパラジウム塩が微粒子として均一に分散するように溶解する。溶解時に酸を少々加えると、パラジウム塩は微粒化し易くなる。また、この水溶液の替わりに、硝酸パラジウム等のパラジウム塩を有機溶媒中に均一に分散した溶液を用いてもよい。 その後、この水溶液からカーボンナノチューブを取り出し、80℃にて乾燥させる。 【0024】 次いで、このカーボンナノチューブを、例えば、5v/v%H2−Ar混合ガス等の還元性雰囲気中、N2ガス等の不活性雰囲気中、あるいは大気中、500℃にて2時間、焼成し、カーボンナノチューブの表面にパラジウム(Pd)を担持させる。この焼成の間に、硝酸パラジウム等のパラジウム塩は分解してパラジウム(Pd)となる。 【0025】 この焼成においても、Pt担持カーボンナノチューブと同様、水素吸蔵活性を高めるには、還元性ガス雰囲気中にて焼成を行うのが好ましい。 このパラジウム(Pd)の担持量は、カーボンナノチューブ0.6gに対して0.06gであるから、カーボンナノチューブの10重量(w/w)%となる。 このようにして、パラジウム(Pd)担持カーボンナノチューブを作製することができる。 【0026】 この様にして得られた白金(Pt)担持カーボンナノチューブ、パラジウム(Pd)担持カーボンナノチューブ等を用いて本実施形態の水素吸蔵材料を具備した燃料電池を作製することができる。 この燃料電池では、水素吸蔵材料の0.1〜50MPaの圧力下における水素の吸収・放出の温度範囲が室温(25℃)以上かつ500℃以下であるから、燃料電池の作動条件もそのようになる。 【0027】 図1は、金属担持カーボンナノチューブの水素吸着特性を示す図であり、Ptの担持量が10w/w%のPt担持カーボンナノチューブ、Pdの担持量が10w/w%のPd担持カーボンナノチューブ、金属を担持していないカーボンナノチューブそれぞれを、5v/v%H2−Ar混合ガス中に放置した場合の水素吸着の温度特性を示している。図中、AはPt担持カーボンナノチューブを、BはPd担持カーボンナノチューブを、Cは金属を担持していないカーボンナノチューブを、それぞれ示している。 【0028】 この図によれば、Pt担持カーボンナノチューブでは、約70℃に約−0.4/mol・m−3の水素吸着ピークがあり、Pd担持カーボンナノチューブでは、約40℃に約−0.5/mol・m−3の水素吸着ピークがあるが、金属を担持していないカーボンナノチューブでは、室温(25℃)〜100℃の間に水素吸着ピークが認められないことが分かった。また、Pd担持カーボンナノチューブは、Pt担持カーボンナノチューブに比べて低温で吸着し、その吸着量も多いことが分かった。 【0029】 図2は、Pt担持カーボンナノチューブの水素放出特性を示す図であり、Pt担持量が20w/w%のPt担持カーボンナノチューブを、70℃にて3時間、水素(H2)を吸蔵させ、その後、アルゴン(Ar)中にて水素(H2)を放出させた場合の温度特性を示している。 この図によれば、70〜150℃の間に水素放出のピークがあることが分かった。 【0030】 【発明の効果】 以上説明したように、本発明の水素吸蔵材料によれば、炭素系材料の少なくとも一部に、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、銅、銀、金、亜鉛、クロムの群から選択された少なくとも1種を含む金属または合金を担持したので、室温(25℃)から100℃までの温度範囲においても、高容量の水素の吸蔵を行うことができる。 【0031】 本発明の燃料電池によれば、本発明の水素吸蔵材料を備えたので、室温(25℃)から100℃までの温度範囲においても、高容量の水素の吸蔵を行うことができ、水素の吸着・放出特性に優れた水素吸蔵材料を具備した燃料電池を提供することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本実施形態の水素吸蔵材料の水素吸着特性を示す図である。 【図2】本実施形態の水素吸蔵材料の水素放出特性を示す図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000000099 【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社 【住所又は居所】東京都千代田区大手町2丁目2番1号
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| 【出願日】 |
平成15年5月22日(2003.5.22) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064908 【弁理士】 【氏名又は名称】志賀 正武
【識別番号】100089037 【弁理士】 【氏名又は名称】渡邊 隆
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| 【公開番号】 |
特開2004−344775(P2004−344775A) |
| 【公開日】 |
平成16年12月9日(2004.12.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−144813(P2003−144813) |
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