| 【発明の名称】 |
血管疾患治療薬を含むリポソーム |
| 【発明者】 |
【氏名】相川 和広 【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地 富士写真フイルム株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】動脈硬化症やPTCA後の再狭窄等の血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患部位に対して選択的に該血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬やを集積させるための手段を提供する。
【解決手段】血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分(例えばマクロファージ泡沫化抑制作用を有するベンツイミダゾール誘導体を含む有効成分など)を膜構成成分として含むリポソーム、及び該リポソームを含む血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分を膜構成成分として含むリポソーム。 【請求項2】 該有効成分がマクロファージ泡沫化抑制作用を有するベンツイミダゾール誘導体を含む有効成分である請求項1に記載のリポソーム。 【請求項3】 ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンからなる群から選ばれる脂質を膜構成成分として含む請求項1又は2に記載のリポソーム。 【請求項4】 炭素数6以上のアルキルのジエステルであるリン酸ジアルキルエステルを膜構成成分として含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のリポソーム。 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のリポソームを含む血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬。 【請求項6】 動脈硬化症の予防及び/又は治療のための請求項5に記載の医薬。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分を動脈硬化巣などの血管疾患部位に集積させることができるリポソームに関する。 【0002】 【従来の技術】 近年、平均寿命の伸びに伴い、動脈硬化症、高血圧症、糖尿病などいわゆる成人病が増加し続けている。特に、高カロリー・高コレステロール食を多くとることによって高血圧症及びこれに起因する動脈硬化症が急増しており、大きな社会問題となってきている。現在、高脂血症及び動脈硬化症の薬物療法としては、血中コレステロールを低下させることが行われているが、動脈硬化巣そのものの退縮が期待できる薬物は現在のところ臨床上使用されていない。 【0003】 動脈硬化症は血管の内膜肥厚と脂質蓄積などの病変を特徴とする疾患であり、最近の生化学的知見から、マクロファージの泡沫化が動脈硬化巣の形成の中心的な役割をはたしていることが明らかとなって来ている。すなわち、マクロファージが泡沫化すると血管平滑筋細胞が異常に増殖をし、血管の内膜肥厚、脂質蓄積の病変が起こり、血流路が狭くなることで障害が発生する。従って、マクロファージの泡沫化を抑制することによって、動脈硬化巣の形成を阻害して動脈硬化を予防し、あるいは動脈硬化巣を退縮させて動脈硬化症を根治できる可能性がある。 【0004】 コレステロールの腸管での吸収や代謝に関わる酵素、ACATの阻害剤(例えば、Bio. Med. Chem. Lett., Vol.5(2), 167−172(1995)記載のイミダゾール誘導体)が動物実験において血中コレステロールを低下させ、マクロファージの泡沫化を抑制させることが提唱されているが(例えば、国際公開WO98/54153)に記載のピペラジン誘導体)、この化合物はACAT阻害活性を指向しており、マクロファージの泡沫化を必ずしも抑制できるわけではなく、その効果も不充分である。 【0005】 アミド化合物がACAT阻害作用を有することが報告されている(例えば、国際公開WO9925712に記載のアミド化合物)が、最近になってACAT阻害剤は種々の毒性及び副作用が認められてきており(例えば、Toxicol. Pharmacol., 22, 510−518(1994), Toxicol. Appl. Pharmacol., 140, 387−392(1996))、動脈硬化症薬に対してはこれらの副作用を伴うACAT阻害作用が無いことが有利であると考えられる。 【0006】 このような観点から、本発明者らは、先に、マクロファージの泡沫化を抑制することにより血管平滑筋細胞の異常増殖を抑制し、動脈硬化巣の進展を抑制あるいは退縮させる動脈硬化症治療薬を開発している。これらの薬剤ではACAT阻害効果が無いか、極めて弱いため上記副作用は大幅に軽減されることが期待される。(特開平6−48942号公報、特開平7−228530号公報、国際公開WO95/21160、特開平9−31062号公報、特開平9−40669号公報)。上記化合物はベンツイミダゾール誘導体であり、ニュージーランドホワイトウサギコレステロール負荷系の試験において、動脈硬化巣の形成阻害及び退縮が認められた。これら化合物をさらに動脈硬化巣に特異的に集積させることができれば、低投与量でも同様の薬理効果が期待でき、副作用の軽減など医薬の価値を高めることができると考えられる。 【0007】 【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】 本発明の課題は、動脈硬化症やPTCA後の再狭窄等の血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患部位に対して選択的に該血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬やを集積させるための手段を提供することにある。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行なった結果、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬を膜構成成分の一つとして含むリポソームが、動脈硬化巣の主構成成分である血管平滑筋細胞及び泡沫化マクロファージに集積することを見出し、本発明を完成するに至った。 【0008】 すなわち、本発明は、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分を膜構成成分として含むリポソームを提供するものである。この発明の好ましい態様によれば、該有効成分がマクロファージ泡沫化抑制作用を有するベンツイミダゾール誘導体を含む有効成分である上記のリポソーム;ホスファチジルコリン及びホスファチジルセリンからなる群から選ばれる脂質を膜構成成分として含む上記のリポソーム;炭素数6以上のアルキルのジエステルであるリン酸ジアルキルエステルを膜構成成分として含むリポソームが提供される。 【0009】 また、別の観点から、上記のリポソームを含む血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬、好ましくは動脈硬化症の予防及び/又は治療のための医薬が提供される。この医薬は、好ましくは、泡沫化マクロファージの存在下で異常増殖する血管平滑筋細胞の増殖抑制のために、例えば動脈硬化巣やPTCA後の血管平滑筋細胞の異常増殖を阻害するために投与することができる。 【0010】 さらに別の観点からは、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療方法であって、上記のリポソームの予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法、動脈硬化症の予防及び/又は治療方法であって、上記のリポソームの予防及び/又は治療有効量をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。 【0011】 【発明の実施の形態】 本発明のリポソームは、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分を膜構成成分として含むことを特徴としている。血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分の種類は特に限定されないが、例えば、マクロファージの泡沫化を抑制することができるものであることが好ましい。マクロファージの泡沫化を強力に抑制し、かつ副作用の少ないベンツイミダゾール誘導体が知られており、本発明のリポソームの製造のために特に好適に使用できる(特開平6−48942号公報、特開平7−228530号公報、国際公開WO95/21160、特開平9−31062号公報、特開平9−40669号公報)。 【0012】 ある物質が血管平滑筋細胞の増殖抑制作用を有するか否か、あるいは好ましくはマクロファージの泡沫化を抑制するか否かは、上記の特許文献に記載された方法に従って当業者が容易に判定可能である。従って、それらの方法に従って血管平滑筋細胞の増殖抑制作用を有すると判定された物質は、いずれも血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分として本発明のリポソームの製造に用いることが可能である。上記の医薬の有効成分としては、遊離形態の物質を用いてもよいが、塩の形態の物質を用いてもよい。 【0013】 本明細書において「医薬の有効成分を膜構成成分として含むリポソーム」とは、上記の医薬の有効成分はリポソームを構成する膜に局在化していることを意味しているが、リポソームを構成する膜に局在する該有効成分の形態は特に限定されない。例えば、脂質二重膜に埋め込また形態であってもよく、あるいは脂質二十膜の間に存在する水相に存在していてもよい。また、「医薬の有効成分を膜構成成分として含むリポソーム」という用語は、リポソームの内部の水相に該有効成分を溶液状態で含むことを排除するものではなく、医薬の有効成分をリポソームの膜構成成分として含み、かつ該リポソームの内部の水相に該有効成分を溶液状態で含むリポソームも本発明の範囲に包含される。上記の有効成分の重量は特に限定されないが、膜構成成分の全質量に対して10〜90重量%、好ましくは10〜80質量%程度であり、さらに好ましくは20〜80質量%程度である(本明細書において「〜」で表される数値範囲は下限及び上限の数値を含む範囲である)。 【0014】 リポソームの膜構成成分は特に限定されず、当技術分野で通常用いられている脂質化合物であればいかなるものを用いてもよい。例えば、Biochim. Biophys. Acta 150(4), 44 (1982)、Adv. in Lipid. Res. 16(1) 1 (1978)、”RESEARCH IN LIPOSOMES”(P.Machy, L.Leserman著、John Libbey EUROTEXT社)、「リポソーム」(野島、砂本、井上編、南江堂) 等に記載されているものを用いることができる。膜構成成分としてはリン脂質が好ましく、特に好ましいのはホスファチルジルコリン(PC)類である。PC類の中で好ましい例としては、eggPC、ジミリストリルPC(DMPC)、ジパルミトイルPC(DPPC)、ジステアロイルPC(DSPC)、ジオレイルPC(DOPC)等が挙げられるが、これに限定されるものではない。 【0015】 別の好ましい態様によれば、リポソームの膜構成成分として、PCとホスファチジルセリン(PS)とを組み合わせて用いることができる。この場合、PCとPSの好ましい使用モル比はPC:PS=90:10から10:90の間であり、さらに好ましくは、30:70から70:30の間である。 【0016】 さらに別の好ましい態様によれば、リポソームの膜構成成分として、PCおよびPSの組み合わせにリン酸ジアルキルエステルをさらに加えて用いてもよい。リン酸ジアルキルエステルを構成するそれぞれのアルキル基は同一でも異なっていてもよいが、同一であることが好ましい。アルキル基の炭素数は特に限定されないが、例えば6以上であり、10以上が好ましく、12以上がさらに好ましい。好ましいリン酸ジアルキルエステルの例としては、ジラウリルフォスフェート、ジミリスチルフォスフェート、ジセチルフォスフェート等が挙げられるが、これに限定されるものではない。PCとPSの合計質量に対するリン酸ジアルキルエステルの好ましい使用量は1から50質量%までであり、好ましくは1から30質量%であり、さらに好ましくは1から20質量%である。 【0017】 PC、PS、リン酸ジアルキルエステル、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分の4者をリポソームの膜構成成分として含むリポソームを調製する場合、好ましい重量比はそれぞれ5〜40質量%、5〜40質量%、1〜10質量%、15〜80質量%の間で選択することができる。 【0018】 本発明のリポソームの構成成分としては、上記に説明した以外の任意の成分を用いることができる。その例としては、コレステロール、コレステロールエステル、スフィンゴミエリン、FEBS Lett. 223, 42 (1987); Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 6949 (1988)等に記載のモノシアルガングリオシドGM1誘導体、Chem. Lett. 2145 (1989); Biochim. Biophys. Acta 1148, 77 (1992)等に記載のグルクロン酸誘導体、Biochim. Biophys. Acta 1029, 91 (1990); FEBS Lett. 268, 235 (1990)等に記載のポリエチレングリコール誘導体が挙げられるが、これに限られるものではない。 【0019】 本発明のリポソームは、当該分野で利用可能ないかなる方法で製造してもよい。例えば、先に挙げたリポソームの総説成書類の他、Ann. Rev. Biophys. Bioeng.9, 467 (1980)、”Liopsomes”(M.J.Ostro編、MARCELL DEKKER, INC.)等に記載された方法を用いることができる。より具体的には、超音波処理法、エタノール注入法、フレンチプレス法、エーテル注入法、コール酸法、カルシウム融合法、凍結融解法、逆相蒸発法等が挙げられるが、これに限られるものではない。 【0020】 本発明のリポソームのサイズは、上記の方法で作成できるサイズのいずれであっても構わないが、通常は平均が400nm以下であり、200nm以下が好ましい。リポソームの構造も特に限定されず、ユニラメラ、マルチラメラなどいかなるリポソームであってもよい。リポソームの内部に内包される溶液としては、水のほか、緩衝液、生理食塩水などを用いることができる。これらに水溶性有機溶媒(例えばグリセリンなど)を適宜の量加えて用いることも可能である。 【0021】 本発明のリポソームを有効成分として含む医薬は、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬として用いることができ、経口的又は非経口的にヒトを含む哺乳類動物に投与することができる。非経口投与としては、気道内、直腸内、皮下、筋肉内、動脈内、及び静脈内などの投与経路を挙げることができる。経口投与に適する製剤の例としては、例えば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、シロップ剤、溶液剤、カプセル剤、チュアブル剤、又は懸濁剤などを挙げることができ、非経口投与に適する製剤の例としては、例えば、注射剤、点滴剤、吸入剤、噴霧剤、坐剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、点眼剤、点耳剤、点鼻剤、又は貼付剤などを挙げることができる。注射剤や点滴剤などの液体製剤を、例えば凍結乾燥形態の粉末状組成物として提供し、用時に水又は他の適当な媒体(例えば生理食塩水、ブドウ糖輸液、緩衝液など)に再懸濁させて用いてもよい。 【0022】 本発明の医薬の投与量及び投与回数は特に限定されず、疾患の種類、患者の年齢、体重、症状などの種々の条件に応じて、適宜の投与量を決定することができる。経口投与の場合には、成人1日あたり有効成分の質量として0.1〜1000 mg/kgとなるように一回又は数回投与することができ、非経口投与の場合は、0.001〜100 mg/kgを一回又は数回に分けて投与するのが好ましい。 【0023】 動脈硬化やPTCA後の再狭窄等の血管疾患においては、血管の中膜を形成する血管平滑筋細胞が異常増殖をおこすと同時に内膜に遊走し、血流路を狭くすることが知られている。正常の血管平滑筋細胞が異常増殖を始めるトリガーはまだ完全に明らかにされていないが、マクロファージの内膜への遊走と泡沫化が重要な要因であることが知られており、その後に血管平滑細胞がフェノタイプ変換(収縮型から合成型)をおこすことが報告されている。以下の実施例に具体的に示したように、本発明のリポソームを用いると、泡沫化マクロファージの存在下で異常増殖を始めた血管平滑筋に上記の医薬の有効成分を選択的に取りこませることができる。その結果、血管平滑筋細胞の異常増殖を阻害し、動脈硬化病巣の進展を抑制し、及び/又は病巣を退縮させることができる。 【0024】 【実施例】 以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。 例1:泡沫化マクロファージにより増殖活性化する血管平滑筋細胞培養系の作成 マウス大動脈内皮より、血管平滑筋細胞を分離した(組織培養法改定大10版、講談社、1998年、日本組織培養学会編集)。分離した血管平滑筋細胞を10%FBSイーグルMEM培地(GIBCO社製 No.11095−080)に懸濁し、12穴マイクロプレート(FALCON社製、No.3503)に播種した。この時の各wellの細胞数は10,000個に調整した。この細胞を37℃、5% CO2の条件で3日間培養した。 【0025】 次に、Biochimica Biophysica Acta誌、1213巻、127−134頁(1994)記載の方法により、泡沫化したマウス腹腔マクロファージを調製した。この泡沫化マクロファージ200,000個を分離し、上記底面に血管平滑筋細胞を培養したマイクロプレートの各wellの上部にインサートセル(FALCON社製、No.3180)に播種した。この細胞を37℃、5% CO2の条件で5日間培養した。 【0026】 図1に、上記実験における血管平滑筋細胞の細胞数を示す。培養開始当初の増殖は緩やかであるが、3日後に泡沫化マクロファージを加えた後、約1日の誘導期を経て活発な増殖を示した。マクロファージを加えない場合の血管平滑筋細胞の増殖曲線を図2に示すが、図1との比較により泡沫マクロファージによる増殖活性化効果は明らかである 【0027】 例2:リポソームの調製 50 nmol egg PC(フナコシ社製、No.1201−41−0214)、50 nmol egg PS(フナコシ社製、No.1201−42−0226)、特願平11−260384号明細書に記載の方法で合成した化合物(25, 20 nmol)の混合物をそれぞれナス型フラスコ内でそれぞれクロロホルムに溶解して均一溶液とした後、溶媒を減圧で留去してフラスコ底面に薄膜を形成した。真空で乾燥後、0.9%整理食塩水(光製薬社製、No.512)を1.5 ml加え、超音波照射(Branson社製、No.3542プローブ型発振器、0.1mW)を氷冷下で5分実施することにより、均一なリポソーム分散液(以下、「製剤1」と呼ぶ。)を得た。得られた分散液の粒径をWBCアナライザー(日本光電社製、A−1042)で測定した結果、粒子径は40から65 nmであった。 【0028】 例3:血管平滑筋細胞の増殖抑制 例1で示した泡沫化マクロファージにより増殖活性化する血管平滑筋細胞培養系において、泡沫化マクロファージをインサートセルに播種して24時間後、化合物25の濃度が1μMとなるように例2の製剤1の形態で、又はDMSO(和光純薬社製、No. 043−07216)にて溶解して培地に添加した。同量のDMSOのみを添加した系をコントロールとし、コントロールの血管平滑筋細胞数を100とした場合の製剤1添加系、DMSO溶解系での血管平滑筋細胞数の経時変化を図3に示した。DMSO溶解系に比較して製剤1添加系では著しく血管平滑筋細胞の増殖が抑制された。なお、本実験において、細胞形態の観察により、マクロファージ及び血管平滑筋細胞に毒性の発現が認められないことを確認した。 【0029】 例4:ラット動脈硬化症病態モデルにおける動脈硬化巣形成阻害効果 SD系雄性ラット(6週齢、日本チャールスリバー)9匹を1週間馴化した。ネンブタール(田辺製薬株式会社製「ラボナール」)麻酔下で胸部を一部切開し、バルーンカテーテル(夏目科学社製、No. 21−2045)を挿入して大動脈弓部に1 cm程度の傷を作成した。傷の作成以後、以下の試験を同時に行なった(各n=3匹)。 試験1:0.5%コレステロール負荷食(オリエンタル酵母社製)で14日間飼育 試験2:0.5%コレステロール負荷食で14日間飼育。同時に製剤1(化合物(25)、1 mg/kg/day)を14日間連続投与(尾静注) 試験3:0.5%コレステロール負荷食で14日間飼育。同時に10% DMSO: 90% 生理食塩水(光製薬社製)で化合物(25)を溶解して1 mg/kg/dayで14日間連続投与(尾静注) 試験終了後、大動脈弓部を取り出し、血管内壁に蓄積しているコレステロールエステルを定量した(図4)。試験2におけるコレステロールエステルの蓄積量は試験3に比べて有意に減少していることが明らかである。 【0030】 【発明の効果】 本発明のリポソームは、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療のための医薬の有効成分を動脈硬化巣などの血管疾患部位に集積させることができる。本発明のリポソームを含む医薬は、血管平滑筋細胞異常増殖に起因する血管疾患の予防及び/又は治療において優れた効果を発揮できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】マウス泡沫化マクロファージの存在下でマウス血管平滑筋細胞の増殖が誘導される結果を示した図である。 【図2】マウス泡沫化マクロファージを加えない場合のマウス血管平滑筋細胞の増殖曲線を示した図である。 【図3】化合物(25)を膜構成成分として含むリポソームと化合物(25)のDMSO溶液をそれぞれ添加した場合の血管平滑筋細胞の増殖曲線を示した図である。 【図4】ラット動脈硬化症病態モデルにおける本発明のリポソーム(化合物(25)を膜構成成分として含む)の動脈硬化巣形成抑制効果を示した図である。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000005201 【氏名又は名称】富士写真フイルム株式会社 【住所又は居所】神奈川県南足柄市中沼210番地
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| 【出願日】 |
平成14年9月25日(2002.9.25) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000109 【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
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| 【公開番号】 |
特開2004−115397(P2004−115397A) |
| 【公開日】 |
平成16年4月15日(2004.4.15) |
| 【出願番号】 |
特願2002−278287(P2002−278287) |
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