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【発明の名称】 液体口腔用組成物
【発明者】 【氏名】向笠 和夫
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内

【氏名】赤羽 康宏
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内

【氏名】菅野 秀明
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライオン株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】カチオン性殺菌剤、カプサイシン、非イオン界面活性剤及びアミノ酸を含有してなり、カチオン性殺菌剤が使用時に0.02〜0.1質量%、カプサイシンが使用時に0.1〜4ppmとなる割合で配合されていることを特徴とする液体口腔用組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カチオン性殺菌剤、カプサイシン、非イオン界面活性剤及びアミノ酸を含有してなり、カチオン性殺菌剤が使用時に0.02〜0.1質量%、カプサイシンが使用時に0.1〜4ppmとなる割合で配合されていることを特徴とする液体口腔用組成物。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カチオン性殺菌剤を失活させることなく、清涼感が高く、苦味の少ない優れた嗜好性の液体口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
液体口腔用組成物には、嗜好性向上のために香料が配合され、加えて香料の可溶化のため非イオン界面活性剤が必須成分として配合されている。
【0003】
一方、歯垢形成抑制に有効な塩化ベンゼトニウム、塩化セチルピリジニウム等のカチオン性殺菌剤も有効成分として口腔用組成物に配合されるが、この口腔用組成物に非イオン界面活性剤を同時に配合すると、殺菌力が低下する欠点が従来から知られていた(例えば特許文献1参照)。そこで、一般的には、非イオン界面活性剤の配合量を極力少なくする方法がとられるが、その場合、可溶化できる香料の量、中でもメントール量が限定され、清涼感、爽快感が不十分なものとなっていた。
【0004】
また、従来、トウガラシあるいはカプサイシンを口腔用組成物に配合することが特許文献2〜7等に提案され、特許文献8には、カプサイシンを特定量で配合することにより、カチオン性殺菌剤が失活することがなく、かつ、清涼感、爽快感の高い液体口腔用組成物が得られることが提案されている。
【0005】
しかしながら、カチオン性殺菌剤が配合された組成物中にカプサイシンを併用すると清涼感は向上するものの、同時に各々の成分のもつ苦味が増幅されて、この苦味により嗜好性に劣るものとなってしまうという欠点があり、より嗜好性の高い組成の開発が望まれる。
【0006】
【特許文献1】
特開昭59−101417号公報
【特許文献2】
特開平11−228370号公報
【特許文献3】
特開平3−251522号公報
【特許文献4】
特開平10−36277号公報
【特許文献5】
特開平10−53512号公報
【特許文献6】
特開2000−26260号公報
【特許文献7】
特開2000−290151号公報
【特許文献8】
特開2001−322921号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、カチオン性殺菌剤の殺菌作用が損なわれることなく、清涼感が高く、かつ苦味が少なく嗜好性に優れた液体口腔用組成物を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、カチオン性殺菌剤、カプサイシン、非イオン界面活性剤を含有する液体口腔用組成物に、アミノ酸を配合し、カチオン性殺菌剤、カプサイシンを特定量で配合することにより、カチオン性殺菌剤が失活することがなく、十分な殺菌効果が得られると共に、清涼感に優れ、しかも、カチオン性殺菌剤及びカプサイシンによる苦味が緩和され、嗜好性の高い口腔用組成物が得られることを知見し、本発明をなすに至った。
【0009】
従って、本発明は、カチオン性殺菌剤、カプサイシン、非イオン界面活性剤及びアミノ酸を含有してなり、カチオン性殺菌剤が使用時に0.02〜0.1%(質量%、以下同様)、カプサイシンが使用時に0.1〜4ppmとなる割合で配合されていることを特徴とする液体口腔用組成物を提供する。
【0010】
以下、本発明につき更に詳述すると、本発明の液体口腔用組成物は、液体歯磨剤、洗口剤、マウスウォッシュ等の液体口腔用組成物として調製されるもので、カチオン性殺菌剤、カプサイシン、非イオン性界面活性剤及びアミノ酸を含有する。
【0011】
ここで、カチオン性殺菌剤としては、例えばアルキルピリジニウム塩、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキルアンモニウム塩、モノ長鎖アルキルジ短鎖アルキルベンジルアンモニウム塩、アルキルフェニルエトキシエチルジ短鎖アルキルベンジルアンモニウム塩などが挙げられる。アルキルピリジニウム塩としては、ラウリルピリジニウム塩、ミリスチルピリジニウム塩、セチルピリジニウム塩などが挙げられ、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキルアンモニウム塩としては、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ミリスチルトリメチルアンモニウム塩、セチルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩などが挙げられる。モノ長鎖アルキルジ短鎖アルキルベンジルアンモニウム塩としては、ラウリルジメチルベンジルアンモニウム塩、ミリスチルジメチルベンジルアンモニウム塩(ベンザルコニウム塩)、セチルジメチルベンジルアンモニウム塩、ステアリルジメチルベンジルアンモニウム塩などが挙げられ、アルキルフェニルエトキシエチルジ短鎖アルキルベンジルアンモニウム塩としては、ベンゼトニウム塩が挙げられる。これらの塩の形態としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物が挙げられる。なお、これらカチオン性抗菌剤は1種類の単独使用又は2種類以上の混合物として用いることができる。
【0012】
カチオン性殺菌剤の配合量は、使用時濃度が0.02〜0.1%となる量であり、0.02%未満では充分な殺菌効果は得られず、0.1%を超えて配合するとカチオン性殺菌剤が有する苦みで嗜好性が悪くなる。
【0013】
カプサイシンはトウガラシの果皮中に含まれる辛み成分であり、口腔用組成物への配合に関する知見としては、例えば、口臭予防を目的とした特許文献3、苦み調整剤として含有することを特徴とした特許文献2、誤飲防止のための刺激付与を目的とした特許文献6などが挙げられるが、いずれの知見も記載されている配合量が10ppm以上と多いため、舌に刺激があり、本発明の課題解決をなし得るものではない。本発明において、カプサイシンの配合量としては、使用時濃度が0.1〜4ppmとなる量であり、0.1ppm未満では充分な清涼感・爽快感が得られず、4ppmを超えると舌に刺激があり嗜好性が悪くなる。
【0014】
また、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの1種又は2種以上の混合物が好ましい。ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、ポリオキシエチレンの付加モル数40〜80のものが良好であり、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマーとしては、総分子中のエチレンオキシドが60%以上のものが良好で、例えば旭電化工業(株)のプルロニックF127、プルロニックF108、プルロニックF88、プルロニックF68等が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、ポリオキシエチレン付加モル数が10〜60であるポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等が良好であり、これらの1種または2種以上の混合でもよい。
【0015】
また、非イオン性界面活性剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、アルキルグリコシド類、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アルキルジメチルアミンオキシドなどを使用することもできる。
【0016】
非イオン性界面活性剤の配合量は、使用時濃度が0.02〜0.5%、特に0.1〜0.3%が好適であり、0.02%未満では香料を可溶化できない場合があり、0.5%を超えるとカチオン性殺菌剤が完全に失活してしまう場合がある。
【0017】
アミノ酸としては、グリシン、DL−アラニン、L−アラニン、L−アスパラギン酸ナトリウム、DL−セリン、L−セリン、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−グルタミン酸ナトリウム等の1種又は2種以上の混合物が好ましい。
【0018】
アミノ酸の配合量としては、使用時濃度が0.005〜0.5%、好ましくは0.1〜0.3%が好適であり、0.005%未満では充分な苦味緩和効果が得られない場合があり、0.5%を超えて配合してもその効果が飽和し、それ以上の改善効果が得られない場合がある。
【0019】
なお、本発明において、使用時濃度は、液体口腔用組成物製品を上記使用時濃度に一致するように上記各成分を配合、含有させて調製したもののほか、使用時に希釈するように上記使用時濃度より高濃度に調製し、希釈倍率の指示通りに希釈した場合、上記使用時濃度になる製品をも含ませる意味を有する。
【0020】
本発明の液体口腔用組成物は、上記成分以外にその剤型に応じて適宜な任意成分を配合することができる。具体的には、粘稠剤としてソルビット、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、キシリット、マルチット、ラクチット等(通常使用時濃度1〜50%)を配合することができる。
【0021】
また、非イオン界面活性剤に加え、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル・ナトリウム、アルキルリン酸エステル塩などのアニオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの酢酸ベタイン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン塩などのイミダゾリン型両性界面活性剤、N−脂肪酸アシル−L−アルギネート塩等のアミノ酸型界面活性剤を本発明の効果を妨げない範囲で添加することができる。
【0022】
緩衝剤として、フタル酸、リン酸、クエン酸、コハク酸、酢酸、フマル酸、リンゴ酸及び炭酸並びにそれらのカリウム塩、ナトリウム塩及びアンモニウム塩、リボ核酸及びその塩類、更に水酸化ナトリウム、ホウ砂、塩酸炭酸水素塩などの1種又は2種以上を用いることができ、通常pH5〜9に調整される。
【0023】
更に、任意の成分として、例えばサッカリンナトリウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカルコン、グリチルリチン、ペリラルチン、タウマチン、アスパラチルフェニルアラニンメチルエステル、ショ糖、果糖、サクラミン酸ナトリウム等の甘味料、スペアミント油、ウインターグリーン油、サッサフラス油、チョウジ油、ユーカリ油、セージ油、カシア油、ウイキョウ油、タイム油、レモン油、オレンジ油、バニラアブソリュート、カルボン、アネトール、シネオール、シンナミックアルデヒド、p−メトキシシンナミックアルデヒド、エチルアセテート、エチルブチレート、ウンデカラクトン、ヘキサナール、アリルシクロヘキサンプロピオネート、ヘキセノール、パラメンタン−1,3−ジオール、メンチルラクテート、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド、ワニリン、エチルワニリン、エチルマルトール、エチルシクロペンテノロン等の香料、トリクロサン等の非カチオン性殺菌剤、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、カルボキシメチルヒドロキシメチルセルロースナトリウム、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カラギーナン、アルギン酸塩、カチオン化セルロース、ヒドロキシエチルセルロースジメチルジアリルアンモニウムクロリドなどの水溶性高分子化合物、トラネキサム酸、イプシロン−アミノカプロン酸などの抗炎症剤、デキストラナーゼ、アミラーゼ、プロテアーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム、溶菌酵素、リテックエンザイム等の酵素、クロロヘキシジン塩類、ヒドロコレステロール、グリチルレチン塩類、グリチルレチン酸、クロロフィル、カロペプタイド、ビタミン類、アズレン、塩化リゾチーム、歯石防止剤、歯垢防止剤、硝酸カリウム、乳酸アルミニウム、例えば青色1号、緑3号、黄色4号などの安全性の高い水溶性色素等を添加することができる。なお、これらの任意成分の添加量は、本発明の効果を妨げない範囲で通常量とすることができる。
【0024】
【発明の効果】
本発明の液体口腔用組成物は、カチオン性殺菌剤を失活させることなく殺菌力が高く、清涼感に優れ、しかも、苦味が少なく優れた嗜好性を有する。
【0025】
【実施例】
以下、実施例と比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。ここで、下記配合%はいずれも質量%である。なお、下記例で香料Aの組成は下記の通りである。
【0026】


【0027】
[実施例1〜6、比較例1〜4]
下記表1,2に示す組成の液体口腔用組成物を常法により調製し、下記方法で各評価を行った。結果を表1,2に示す。
【0028】
[殺菌力の評価]
唾液被覆ヒドロキシアパタイト粉体を表1,2に示すサンプル(液体口腔用組成物)で処理し、ヒドロキシアパタイト表面に滞留したカチオン性殺菌剤の殺菌活性をアクチノマイシス・ネスランディーT14V菌に対する増殖抑制効果として下記方法で評価した。
(1)歯のモデルとしてヒドロキシアパタイト粉体(旭光学工業社製)を用い、人の濾過唾液で37℃、1時間浸漬した。
(2)唾液除去後、表1,2に示すサンプルを加え、30秒間振盪後、粉体を回収し、蒸留水で3回洗浄した。表1,2中の配合量の数値は、カプサイシンはppmを示し、その他の全ての成分は%である。
(3)ヒドロキシアパタイト粉体10mgを採取し、液体培地(ブレインハートインフュージョン)200μlを添加した。
(4)上記分散液から100μlを分取し、これに液体培地100μlを添加し、2倍希釈液とした。この希釈工程を8回繰り返し、2の8乗(512倍)までの希釈分散液を作成した。
(5)各分散液に液体培地で前培養したアクチノマイシス・ネスランディーT14V菌を10μlづつ添加し、24時間嫌気培養した後、細菌増殖の有無を目視で確認し、何倍希釈まで抗菌力を示すかを求め、高い希釈倍率でも抗菌力が得られるサンプルを良好とした。
【0029】
[嗜好性の評価]
表1,2に示した液体口腔用組成物について、被検者10名で使用感について官能評価を行った。
(1)サンプル10mlを口に含み、30秒間ゆすいだ。
(2)使用感を苦味と清涼感について下記の3段階で評価し、10名の平均点を算出した。


【0030】
[総合評価]
◎:殺菌力、清涼感、苦味のなさ共に非常に優れた液体口腔用組成物。
○:殺菌力、清涼感、苦味のなさ共に良好な液体口腔用組成物。
△:殺菌力又は清涼感、苦味のなさの何れかが不十分な液体口腔用組成物。
×:殺菌力、清涼感、苦味のなさ共に不十分な液体口腔用組成物。
【0031】
【表1】


【0032】
【表2】


【0033】


【0034】


【0035】


【0036】


【0037】


【0038】


【0039】


【出願人】 【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
【住所又は居所】東京都墨田区本所1丁目3番7号
【出願日】 平成14年9月24日(2002.9.24)
【代理人】 【識別番号】100079304
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 隆司

【識別番号】100114513
【弁理士】
【氏名又は名称】重松 沙織

【識別番号】100120721
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 克成

【公開番号】 特開2004−115382(P2004−115382A)
【公開日】 平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願番号】 特願2002−277291(P2002−277291)