| 【発明の名称】 |
乳化組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】凉松 淳 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
【氏名】曽根 千晶 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
【氏名】佐々木 克己 【住所又は居所】東京都墨田区文花2−1−3 花王株式会社研究所内
|
| 【要約】 |
【課題】マイナスイオンを効率良く発生させ、優れた癒し効果が得られる乳化組成物の提供。
【解決手段】(A)SP値17〜22の油剤、(B)HLB11〜16の非イオン界面活性剤、及び(C)水を含有する組成物を、平均噴射粒径40〜60μm、かつ粒径分布上30μm以下の液滴粒子を10〜30%含む液滴粒子として噴霧し得る容器に充填してなる乳化組成物。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 (A)SP値17〜22の油剤、(B)HLB11〜16の非イオン界面活性剤、及び(C)水を含有する組成物を、平均噴射粒径40〜60μm、かつ粒径分布上30μm以下の液滴粒子を10〜30%含む液滴粒子として噴霧し得る容器に充填してなる乳化組成物。 【請求項2】 内袋型二重エアゾール容器に充填したものである請求項1記載の乳化組成物。 【請求項3】 メカニカルブレイクアップ機構を備えたボタンを有するエアゾール容器に充填したものである請求項1又は2記載の乳化組成物。 【請求項4】 組成物10gを噴霧したとき、噴霧1分後のマイナスイオンの発生量が、2000個/mL以上である請求項1又は2記載の乳化組成物。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、マイナスイオンを発生させ、優れた癒し効果を有する乳化組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 現在、人に対するストレスは増加しており、ストレスが交感神経を刺激するために、リラックスできない環境となっている。このストレスの緩和に対する化粧料からのアプローチとしては、特定の香料成分を吸引させる(特許文献1)等の技術が開発されている。 【0003】 近年、マイナスイオンの存在が注目を浴びており、通常数10μmから分子程度の大きさまでの電気を帯びた浮遊微粒子のなかで、特にマイナス極に帯電したものはマイナスイオンと呼ばれ、その癒し効果が確認されつつある。化粧料へのマイナスイオンの応用としては、トルマリンを用いた化粧料が知られているが、鉱物であるトルマリンは化粧料に使用するには限られた範囲となり、また、トルマリンのマイナスイオン発生量は少なく、十分な癒し効果は期待できない。 【0004】 また、自然界においては、空気中で水滴が分裂するときに水滴が陽極に、周囲の空気が陰極に帯電する空気のイオン化現象が起こることが知られており、この空気のイオン化現象はレナード効果と呼ばれている(非特許文献1)。さらに、森林浴による癒し効果もマイナスイオンによるものと考えられつつある(非特許文献2)。 【0005】 一方、エアコン等にコロナ放電方式、パルス放電方式によるマイナスイオン発生装置が実用化されているが、マイナスイオンの発生量と比例してオゾンが発生するため、対人使用、特に人に直接塗布又は噴霧するような化粧料への応用は好ましいとはいえない。 現在、オゾン発生のないレナード効果を利用したマイナスイオン発生装置は未だ研究段階で実用化には至らず、しかも高価になる問題は依然として残されている。このレナード効果を化粧料に応用した技術は知られていない。 【0006】 【特許文献1】 特開平11−343497号公報 【非特許文献1】 フィリップ エドアード アントン レナード(Philipp Eduard Anton Lenard),「滝の電気について(Uber die Electricitat der Wasserfalle)」,ヴィーデマンス アナーレン ディー フィジック(Wiedemanns Analen Der Physik),1892年,第46巻,p.585−636 【非特許文献2】 山野井昇著,「香りとイオン」,中央精版印刷,1998年,p.156−160 【0007】 【発明が解決しようとする課題】 本発明の目的は、安価にマイナスイオンを発生させ、優れた癒し効果を有する乳化組成物を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明者は、特定の油剤、非イオン界面活性剤及び水を含有する組成物を、特定の粒径の液滴粒子となるように噴霧すれば、安価で大量にマイナスイオンを発生させることができ、優れた癒し効果が得られることを見出した。 【0009】 本発明は、(A)SP値17〜22の油剤、(B)HLB11〜16の非イオン界面活性剤、及び(C)水を含有する組成物を、平均噴射粒径40〜60μm、かつ粒径分布上30μm以下の液滴粒子を10〜30%含む液滴粒子として噴霧し得る容器に充填してなる乳化組成物を提供するものである。 【0010】 【発明の実施の形態】 本発明で用いる成分(A)の油剤は25℃で液状の油性成分であり、SP値が17〜22、好ましくは17〜19のものである。ここで油剤のSP値とは、溶解度パラメーターδであって、液体の分子凝集エネルギーEと分子容Vからδ=(E/V)1/2で与えられる物質定数である。SP値は、篠田耕三著「溶液と溶解度 第3版」(丸善株式会社、1991年発行)78頁〜に記載の溶解度パラメーターの求め方で得られる。 【0011】 このような油剤としては、例えばdl−α−トコフェロール(SP値(25℃)19.4(以下同様))、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル(18.4)、リンゴ酸ジイソステアリル(18.2)、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール(17.7)、ジカプリン酸プロピレングリコール(17.5)、ジノナン酸プロピレングリコール(17.6)、テトライソステアリン酸ジグリセリル(17.4)、デシルテトラデカノール(17.9)、トリカプリル酸グリセリル(17.9)、トリアセチルリシノール酸グリセリル(17.9)、トリイソステアリン酸グリセリル(17.2)、トリイソステアリン酸ジグリセリル(18.0)、トリイソステアリン酸トリメチルプロパン(17.2)、トリオクタン酸グリセリル(17.7)、トリカプリン酸グリセリル(17.8)、ピログルタミン酸イソステアリン酸ポリオキシエチレン(25)グリセリルエーテル(20.5)、プロピオン酸ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル(17.3)、ミリスチン酸ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル(17.5)、ラウロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル(17.5)、リシノレイン酸セチル(18.0)、リシノレイン酸テトラヒドロフルフリル(19.3)、リノール酸dl−α−トコフェロール(17.5)、乳酸オクチルドデシル(18.5)、アジピン酸ジオクチル(18.5)、アセチルリシノレイン酸ブチル(17.3)、イソステアリン酸バチル(18.0)、イソステアリン酸ポリプロピレングリコール(18.6)、ポリオキシプロピレン(10)セチルエーテル(18.4)、オキシステアリン酸オクチル(18.3)、イソノナン酸イソトリデシル(17.0)、ジイソステアリン酸ポリグリセリル(19.4)等が含まれる。 【0012】 成分(A)としては、特にエステル油が好ましく、具体的には、モノイソステアリン酸モノミリスチン酸グリセリル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジノナン酸プロピレングリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、プロピオン酸ポリオキシエチレン(2)ミリスチルエーテル、ミリスチン酸ポリオキシエチレン(3)ミリスチルエーテル、リシノレイン酸セチル、乳酸オクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、アセチルリシノレイン酸ブチル、イソステアリン酸ポリプロピレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシルが好ましい。 【0013】 成分(A)は、2種以上を用いることができ、全組成中に0.001〜9重量%、特に0.1〜5重量%含有するのが、噴霧粒径を微細化できるので好ましい。 【0014】 本発明で用いる成分(B)の非イオン界面活性剤は、HLB11〜16、好ましくはHLB12〜14のものである。ここで、HLBは、界面活性剤の全分子量に占める親水基部分の分子量を示すものであり、ポリオキシエチレン系非イオン界面活性剤については、次に示すグリフィンの式により求められるものである。 【0015】 HLB価 = E/5 E:界面活性剤分子中に含まれるポリオキシエチレン部分の重量% 【0016】 このような非イオン界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのうち、特にポリオキシエチレン硬化ヒマシ油脂肪酸エステルが好ましい。 【0017】 成分(B)は、2種以上を用いることができ、全組成中に0.01〜9重量%、特に0.1〜5重量%含有するのが、優れた乳化安定性が得られるとともに、噴霧粒径を微細化できるので好ましい。 【0018】 また、成分(C)の水は、全組成中に90〜99重量%、特に92〜97重量%含有するのが好ましい。 【0019】 本発明の組成物には、さらに各種の有効成分、例えばセドロール;ヒバマタエキス、ボタンピエキス、ニンジンエキス、ユーカリエキス、ボダイジュエキス、カミツレエキス、ワレモコウエキス、アスナロエキス、ユズエキス、シャクヤクエキス、オオバクエキス、タイソウエキス、チョウジエキス、チャエキス、トウキエキス、オウゴンエキス、ヨクイニンエキス、アルテアエキス等の各種エキス類;各種生薬類;酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体、ビタミンC等の美白剤;フルクトース、トレハロース等の糖類;キサンタンガム、ヒアルロン酸、プルラン、ヒドロキシエチルセルロース、カラギーナン、マンナン等の多糖類なども適宜含有させることができる。特に、セドロールを含有することにより、癒し効果を向上させることができる。 【0020】 また、本発明の組成物には上記成分以外に、通常化粧品等の皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、エデト酸2ナトリウム、エデト酸3ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤;保湿剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、増粘剤、アルコール類、有機酸類、アルカリ類、色剤、水溶性成分、香料、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜含有させることができる。 【0021】 本発明の組成物は、前記成分を通常の方法で乳化することにより製造される。 また、本発明の組成物は、平均噴射粒径40〜60μm、好ましくは45〜55μmであり、かつ粒径分布上30μm以下の液滴粒子を10〜30%、好ましくは12〜25%含む液滴粒子として噴霧し得る容器に充填される。前記成分(A)〜(C)を含有する組成物を、このような粒径のミストとして噴霧することにより、マイナスイオンを効率良く発生させることができる。 【0022】 容器としては、前記粒径の液滴粒子として噴霧し得るものであれば特に制限されないが、エアゾール容器、特に内袋型二重エアゾール容器が好ましい。また、これらの容器は、例えば図1に示すように、ボタン噴霧口直前の組成物通路にチップ1が配置されており、チップ端面2、3の少なくともいずれか一方に螺旋状の溝が彫られているメカニカルブレイクアップ機構を備えたボタンを有するのが、ミストの粒径をより微細化できるので好ましい。具体的には、チップ端面2又は3のいずれか一方の端面に溝のあるシングルメカニカルブレイクアップボタン、または、両方の端面に溝を有するダブルメカニカルブレイクアップボタンを有するのが好ましい。また、ボタンの孔径は、0.2〜0.4mmであるのが好ましい。 【0023】 このような容器において、噴射剤として用いられる圧縮ガスとしては、特に制限されず、窒素ガス、炭酸ガス等を用いることができる。また、これらの圧縮ガスは、25℃での内圧が0.6MPa(ゲージ圧)以上、特に0.64±0.04MPa(ゲージ圧)となるように充填されるのが好ましい。 【0024】 本発明の乳化組成物10gを噴霧したとき、マイナスイオンの発生量は6,000〜70,000個/mL程度であり、噴霧1分後にも2000個/mL以上である。 前記成分(A)〜(C)を含有する組成物を、噴霧可能な容器、好ましくはエアゾール容器に充填し、平均噴射粒径40〜60μm、かつ30μm以下の液滴粒子を10〜30%含む液滴粒子として噴霧することにより、マイナスイオンの発生量の多いミストが得られる。本発明の組成物は、噴霧直後のマイナスイオンの発生量が高く、また、持続性のあることで、優れた癒し効果が得られる。 【0025】 本発明においては、マイクロエマルション化した組成物を、微細ミストとして噴射・噴霧させ、さらに微細化したミスト同士が衝突することで、またさらに小さなミストとなり、そのミストが分裂飛散し、分裂飛散したミストが再度他の噴射・噴霧された微細ミスト、あるいは衝突によって分裂飛散したミストと同一空間において再衝突、再々衝突を繰り返すことにより、レナード効果によって微細空気の一部分がマイナスイオンとなる。そして、空気の流れによる力や重力が働くため、プラスイオンに帯電している微細ミストの大きいものは、最初に肌へ吸着して保湿機能を発揮し、マイナスイオンは肌の近傍の空間に存在して心地よい癒し効果に働くものと考えられる。 【0026】 【実施例】 実施例1〜2、比較例1〜6 表1示す組成の乳化組成物を製造し、図2に示す内袋型二重エアゾール容器(シングルメカニカルブレイクアップボタン又はダブルメカニカルブレイクアップボタンを有する)に充填した。得られた乳化組成物を噴霧したときのミストの粒径及び粒度分布、噴霧直後及び1分後のマイナスイオン発生量、並びに癒し効果について評価した。結果を表1に併せて示す。 なお、図2の内袋型二重エアゾール容器は、170mL容量のポリエチレン製の内袋;アルミニウム製の外筒;ステム孔径0.4mm、ハウジング下孔径0.6mmのバルブ;噴射孔径0.3mmのメカニカルブレイクアップ機構付きのボタンからなるものである。 【0027】 (製法) 油相成分及び界面活性剤を70℃で加熱溶解し、同じく加熱した水相へ添加して乳化した後、冷却した。この組成物150gを図2に示す二重容器の内袋に充填し、内袋外部と容器内部の間(空間部)に窒素ガスを、内圧0.6MPaとなるよう噴入した。 【0028】 (評価方法) (1)ミストの粒径及び粒度分布: 図2に示す容器に充填した各乳化組成物を、測定部の光軸に対して垂直方向に15cm離して噴霧し、レーザー回折式粒度分布測定装置(SYMPATEC HELOS、JEOL社製)を用いてミストの粒径及び粒度分布を測定し、平均粒径及び30μm以下の液滴粒子の割合を求めた。 【0029】 (2)マイナスイオン発生量: 幅50cm、高さ50cm及び奥行き70cmの箱の両側に、マイナスイオン測定器(AIR ION COUNTER、神戸電気社製)と、図2に示す容器に充填した乳化組成物を設置し、10秒間噴霧した。噴霧直後及び1分後のマイナスイオン発生量を測定した。 【0030】 (3)癒し効果: 専門パネラー(20名)により、覚醒時と就寝前に各乳化組成物を5秒間、顔及び頭部に噴霧して使用したときの癒し効果を評価した。覚醒時には心地よさを;就寝前には入眠時までの早さ、起床時の心地よさを、効果あり、どちらともいえない、効果なしの3段階で評価し、全ての項目で効果ありと答えたパネラーが5名以上の場合に癒し効果「あり」とした。 【0031】 【表1】
【0032】 表1の結果より、本発明の乳化組成物はいずれも、マイナスイオンが効率良く発生し、優れた癒し効果が得られた。 【0033】 実施例3 実施例1〜2と同様にして、以下に示す組成の組成物を調製し、図1に示す容器(ダブルメカニカルブレイクアップボタン)に充填した。得られた乳化組成物を噴霧したとき、ミストの平均粒径は50μmであり、粒度分布上30μm以下の液滴粒子の割合は22%であった。 この乳化組成物を、実施例1〜2と同様に噴霧して用いたときのマイナスイオンの発生量は、直後65,500個/mL、1分後に10,200個/mLであり、効率良くマイナスイオンが発生され、心地よい使い心地で、優れた癒し効果が得られた。 【0034】 (組成) モノイソステアリン酸ポリオキシエチレン(60)硬化 ヒマシ油(HLB=13) 0.3(重量%) イソノナン酸イソトリデシル(SP値=17.0) 0.5 セドロール 0.01 グリセリン 1.0 香料 0.005 エタノール 2.0 アスナロエキス 0.2 ユーカリエキス 0.2 精製水 バランス 【0035】 【発明の効果】 本発明の乳化組成物は、安価で安全にマイナスイオンを効率良く発生させることができ、心地よい使い心地で、優れた癒し効果が得られるものである。 【図面の簡単な説明】 【図1】メカニカルブレイクアップ機構を備えたボタンの概略断面図である。 【図2】実施例で用いた内袋型二重エアゾール容器の概略断面図である。 【符号の説明】 1 チップ 2、3 チップ端面 4 内袋 5 外筒 6 バルブ 7 空間部(圧縮ガス) 8 ボタン
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000918 【氏名又は名称】花王株式会社 【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
|
| 【出願日】 |
平成14年9月13日(2002.9.13) |
| 【代理人】 |
【識別番号】110000084 【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
|
| 【公開番号】 |
特開2004−107226(P2004−107226A) |
| 【公開日】 |
平成16年4月8日(2004.4.8) |
| 【出願番号】 |
特願2002−269188(P2002−269188) |
|