| 【発明の名称】 |
甲状腺ホルモン様物質 |
| 【発明者】 |
【氏名】大野 智弘 【住所又は居所】神奈川県横浜市戸塚区上品濃12番13号 株式会社ファンケル中央研究所内
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| 【要約】 |
【課題】安定性、安全性、価格に優れた甲状腺ホルモン受容体に関連する疾患、例えば肥満症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、皮膚疾患などに対する予防又は治療のための組成物を提供すること。
【解決手段】ケール又はその抽出物を含有する甲状腺ホルモンが関与する疾患、特に甲状腺ホルモン受容体に関する障害により引き起こされる疾患に有用な組成物及びそれらを含有する経口又は非経口組成物、食品、化粧料、医薬。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ケール又はその抽出物を含有することを特徴とする甲状腺ホルモン受容体作動又は拮抗剤。 【請求項2】 ケール又はその抽出物を含有することを特徴とする肥満症、高コレステロール血症、又はアテローム性動脈硬化症の予防又は治療剤。 【請求項3】 ケール又はその抽出物を含有することを特徴とする皮膚疾患予防又は治療剤。 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の剤を含有する経口用又は非経口用組成物。 【請求項5】 食品の形態である請求項4記載の経口用組成物。 【請求項6】 化粧料の形態である請求項4記載の非経口用組成物。 【請求項7】 医薬の形態である請求項4記載の組成物。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、甲状腺ホルモンが関与する疾患、特に甲状腺ホルモン受容体に関する障害により引き起こされる疾患に有用な組成物及びそれらを含有する経口又は非経口組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】甲状腺ホルモン(TH)には、3,3’,5−トリヨードチロニン(T3)及び3,3’,5,5’−テトラヨードチロニン(T4)があり、哺乳類動物の発生、分化、及び基本的代謝において重要な役割を有していることが知られている (Ann.N.Y.Acad. Sci.,758,p.366,1995)。THは、甲状腺ホルモンレセプター(THR)にリガンドとして結合して、標的遺伝子の転写活性化又は抑制を引き起こすことにより作用を発揮する(Nature,324,p.635,1986、 Nature, 324, p.641,1986)。 【0003】 THが増加すると血糖の増加、血中コレステロールの減少、動悸、下痢、月経過少などの症状を呈し、またTHが欠乏すると血中コレステロールの増加、むくみ(浮腫)、便秘、体重増加、月経過多などの症状が現れる。さらに、THが乳児期、幼少期に欠乏すると発育が停止し、甲状腺機能低下症の一つであるクレチン病になることが知られている。 【0004】 また、THの過不足と皮膚との関係についても、報告されている(British Journal of Dermatology,95,p.513,1976)。TH過剰状態は、平均表皮細胞数に反映される皮膚中の細胞層の数の増加、プロリン取込み増加を伴うタンパク質ターンオーバーの増加および表皮増殖の一般的増加が示される。TH不足状態では、皮膚は萎縮し、表皮の薄層化と細胞充実性の減少を引き起こす。 【0005】 これまでに、THとして作用する化合物が種々報告されているが、狭心症や心筋梗塞など心臓に対して重大な副作用を有することが知られており(Coronary Dru Project JAMA,220,p.996,1972、Prog. Cardiovasc.,25,p.435,1993)、優れた治療効果を示すものはわずかしか知られていない。また、線条、魚鱗癬、湿疹などの皮膚に関する疾患についても同様である。従って、臨床的に優れた治療効果を発揮することができ、かつ、副作用が軽減された、安全性、価格面において問題のないTH様作用物質の提供が望まれている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、安定性、安全性、価格に優れたTH受容体に関連する疾患、例えば肥満症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、皮膚疾患などに対する予防又は治療のための組成物を提供することである。 【0007】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、ケールがTH様作用を有することを見出し、本発明を完成させた。 【0008】 すなわち、本発明は、ケール又はその抽出物を含有することを特徴とする、TH受容体作動又は拮抗作用を有する剤、肥満症、高コレステロール血症、又はアテローム性動脈硬化症などの疾患、線条、魚鱗癬、乾癬、湿疹、脂漏性皮膚炎、強皮症、角質増殖性疾患などの皮膚疾患予防又は治療剤、これらを含有する経口用組成物、非経口用組成物、さらに、食品、化粧料、医薬の形態であるこれらの組成物に関する。 【0009】 【発明の実施の形態】本発明で使用されるケール(Brassica oleracea var. acephala DC.)には、キッチンケール、マローケール、ブッシュケール、ツリーケール、コラード、緑葉カンランなどがある。アブラナ科の植物でもともと南ヨーロッパ原産の野菜であり、キャベツの原種といわれている。葉など通常食用として供されているもので構わないし、栽培方法や栽培地も特に限定されるものでもない。 【0010】 ケール、その抽出物としては、ケール自身を乾燥させた乾燥物、その粉砕物、圧搾汁、水あるいはアルコール、エーテル、アセトンなどの有機溶媒による粗抽出物、および粗抽出物を分配、カラムクロマトなどの各種クロマトグラフィーなどで段階的に精製して得られた抽出物画分など、全てを含む。これらは単独で用いても良く、また2種以上混合して用いても良い。 【0011】 例えば、ケールの葉、茎、花や根などの乾燥物1Kgに99.5%エタノール抽出液3Lを加え、室温で一晩浸漬することにより得た抽出液を、そのまま使用しても良いし、その抽出液を各種クロマトグラフィーを組み合わせて、精製したものを使用しても良い。 【0012】 抽出されたケール抽出物の溶液中の抽出物濃度は特に制限はないが、15〜70質量%、好ましくは20〜60質量%程度が好ましい。この濃度が15質量%未満では、乾燥時に多量のエタノールや水などの溶液を蒸発させる必要があり、70質量%を超えると溶液の粘度が高くなり過ぎ、加工適性が悪くなる恐れがある。 【0013】 ケール又はその抽出物は、TH様作用を有しており、哺乳類動物の発生、分化、及び基本的代謝において利用されることによって、肥満症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症などの疾患、線条、魚鱗癬、乾癬、湿疹、脂漏性皮膚炎、強皮症、角質増殖性疾患などの皮膚疾患などの疾患に有効である。 【0014】 本発明のケール又はその抽出物を含有するTH様作用を有する組成物は、経口用の食品、経口用あるいは非経口用の医薬として製造することができる。また、皮膚外用の化粧料、医薬として製造することもできる。 【0015】 医薬としての適用方法は、経口投与又は非経口投与のいずれも採用することができる。投与に際しては、有効成分を経口投与、直腸内投与、注射などの投与方法に適した固体又は液体の医薬用無毒性担体と混合して、慣用の医薬製剤の形態で投与することができる。このような製剤としては、例えば、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤などの固形剤、溶液剤、懸濁剤、乳剤などの液剤、凍結乾燥製剤などが挙げられ、これらの製剤は製剤上の常套手段により調製することができる。医薬用無毒性担体としては、例えば、グルコース、乳糖、ショ糖、澱粉、マンニトール、デキストリン、脂肪酸グリセリド、ポリエチレングルコール、ヒドロキシエチルデンプン、エチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アミノ酸、ゼラチン、アルブミン、水、生理食塩水などが挙げられる。また、必要に応じて、安定化剤、湿潤剤、乳化剤、結合剤、等張化剤などの慣用の添加剤を適宜添加することもできる。 【0016】 食品としては、ケール乾燥物又は抽出物などをそのまま、又は種々の栄養成分を加えて、若しくは飲食品中に含有せしめて、THの関与する疾患の治療及び予防に有用な保健用食品又は食品素材として使用できる。例えば、澱粉、乳糖、麦芽糖、植物油脂粉末、カカオ脂末、ステアリン酸などの適当な助剤を添加した後、慣用の手段を用いて、食用に適した形態、例えば、顆粒状、粒状、錠剤、カプセル、ペーストなどに成形して食用に供してもよく、また種々の食品、例えば、ハム、ソーセージなどの食肉加工食品、かまぼこ、ちくわなどの水産加工食品、パン、菓子、バター、粉乳、発酵乳製品に添加して使用したり、水、果汁、牛乳、清涼飲料などの飲料に添加して使用してもよい。 【0017】 本発明の配合量は、当該食用組成物の種類や状態等により適宜設定される。本発明のケール又はその抽出物の有効投与量は、患者の年齢、体重、症状、患者の程度、投与経路、投与スケジュール、製剤形態などにより、適宜決定することができ、例えば、ケール抽出物の経口投与の場合、乾燥重量として、通常成人換算で0.1g/体重kg以上である。1日に数回に分けて投与してもよい。 【0018】 また、本発明のケール又はその抽出物を配合した化粧料素材、化粧料の形態で製造することができる。例えば、ケールの乾燥物又は抽出物などを小麦胚芽油あるいはオリーブ油に添加して、これを化粧料素材として使用することができる。 【0019】 また、ケール乾燥物又は抽出物などを直接、化粧料成分として使用し、化粧料を製造することができる。化粧料には、植物油のような油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、防腐剤、糖類、金属イオン封鎖剤、水溶性高分子のような高分子、増粘剤、粉体成分、紫外線吸収剤、紫外線遮断剤、ヒアルロン酸のような保湿剤、香料、pH調整剤等を含有させることができる。ビタミン類、皮膚賦活剤、血行促進剤、常在菌コントロール剤、活性酸素消去剤、抗炎症剤、美白剤、殺菌剤等の他の薬効成分、生理活性成分を含有させることもできる。 【0020】 化粧料としては、化粧水、乳液、クリーム、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップクリーム、乳液状又はクリーム状あるいは軟膏型のファンデーション、口紅、アイカラー、チークカラーといったメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ボディローション等の身体用化粧料等、入浴剤、口腔化粧料、毛髪化粧料とすることができる。本発明の方法で得られるTH様物質含有組成物を含有せしめた化粧料としては、機能面からは、例えば乳液、化粧液、フェイスクリーム、ハンドクリーム、ローション、エッセンスなどが好ましい。 【0021】 このような化粧料は、常法に従って製造することができる。化粧料における本発明の植物の乾燥物または抽出物の添加量は、特に限定されるものではないが、一例としてあげると、乾燥重量で、化粧料全重量の0.01〜20質量%程度が適当である。 【0022】 本発明のケール又はその抽出物は、天然物であるためその毒性は低く、有害な副作用など報告されていない。また、ケールは栽培により入手できる野菜類であるから、ケール、又はその抽出物を有効成分とする本発明の組成物は、安全であるとともに、価格面においても問題のない優れたものである。 【0023】 【実施例】以下に実施例を挙げて具体的に説明するが、これに限定されるものではない。 【0024】 [製造例1]ケール抽出物 ケールの葉を90℃で乾燥させ、苦みの渋味成分となる酵素を失活させた。なお、ケール葉乾燥方法については、特に限定されるものではない。その粉砕物4kgを電熱式水浴機で加熱還流しながら、99.5%エタノール(和光純薬工業)20Lを用いて抽出を行い、ケール抽出物80gを得た。 【0025】 [実施例1]TH受容体結合阻害試験 TH受容体結合阻害試験は、David R.Burtらの方法(Regulatory Peptides,7,p.399,1983)を参考に行った。ウィスター系ラットの脳から既存の方法により調製した粗シナプトソーム膜画分を20 mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に懸濁し(50 mg湿重量/ml)受容体膜標品とした。次に、製造例1で得られたケール抽出物(最終濃度:500μg/ml)とTH受容体の作動薬である[125I]T3 (最終濃度0.1 nM)及び受容体膜標品(100〜600μgの蛋白質を含む)を加えて反応液(総量500 μl)とし、反応の開始は膜標品の添加により行った。4℃、18時間のインキュベーションの後、受容体に結合した標識リガンドをセルハーベスター(ブランデル社製)を用いてワットマンGF/Bグラスファイバーフィルター上に吸引濾過して反応を停止し、直ちに、氷冷50 mMトリトリス−塩酸緩衝液(pH7.7)5 mlで3回洗浄した。次いで、フィルター上の放射能活性をγ−カウンターにより測定し、全結合量を求めた。また、同時に測定した1 μM T3存在下における結合量を非特異的結合量とし、これを全結合量から差し引くことにより特異的結合量を求めた。結果を表1に示す。ここで示す阻害率(%)は、次式により算出した。 阻害率(%)=100−〔(C1−B1)/(C2 −B1)〕×100 (式中、C1は、既知量のサンプルと[125I]T3が共存している状態での[125I]T3の膜画分に対する結合量を表わし、C2は、サンプルを除いた時の[125I]T3の膜画分に対する結合量を表わし、B1は、過剰のT3(1μM)存在下での[125I]T3の膜画分に対する結合量を表わす。)なお、本反応系におけるポジティブコントロールとして、T3のIC50値(TH受容体結合を50%阻害する濃度)は、0.21 nMであった。表1から、本発明のケール抽出物が、TH様作用を有することがわかる。 【0026】 【表1】
【0027】 以下に処方例を示す。 [ジュースの製造] 製造例1で得られたケールのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のジュースを製造した。
【0028】 [錠剤の製造] 製造例1で得られたケールのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成の錠剤を製造した。
【0029】 [フェイスクリームの製造] 製造例1で得られたケールのエタノール抽出物を用いて、常法に従って、下記の組成のフェイスクリームを製造した。
【0030】 【発明の効果】本発明のケール又はその抽出物は、TH様作用を有することから、肥満症、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症、皮膚疾患などの疾患に有効に使用される。これらは安全性、安定性、価格に優れており、経口又は非経口用組成物、食品、化粧料、医薬が提供される。
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| 【出願人】 |
【識別番号】593106918 【氏名又は名称】株式会社ファンケル 【住所又は居所】神奈川県横浜市栄区飯島町109番地1
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| 【出願日】 |
平成14年7月12日(2002.7.12) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2004−43377(P2004−43377A) |
| 【公開日】 |
平成16年2月12日(2004.2.12) |
| 【出願番号】 |
特願2002−204201(P2002−204201) |
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