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【発明の名称】 苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤
【発明者】 【氏名】斉藤 行弘

【氏名】宮地 建明

【要約】 【課題】経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤であって、服用時の苦味を抑えると共に、製剤から有効成分の放出性良好であり、製剤の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、配合変化に優れ、さらに抗菌活性の低下を起こさないカルバペネム系抗生剤についての経口投与製剤を提供すること。

【解決手段】有効成分として、ピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートを5〜80重量%含有し、胃溶性コーティング基剤によりコーティングしたことを特徴とする顆粒製剤であり、さらにこの顆粒剤を賦形剤、水溶性高分子化合物、および甘味料および/または香料と共に分散してなる苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分として、ピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートを5〜80重量%含有し、胃溶性コーティング基剤によりコーティングしたことを特徴とする、苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤。
【請求項2】
胃溶性コーティング基剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEまたはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートである請求項1に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤。
【請求項3】
胃溶性コーティング基剤中にさらに可塑剤を配合した、請求項1に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤。
【請求項4】
可塑剤が、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ショ糖脂肪酸エステルであり、その配合量が、0〜30重量%である請求項3に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の顆粒剤を賦形剤、水溶性高分子化合物、および甘味料および/または香料と共に分散してなる苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
【請求項6】
水溶性高分子化合物が、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSとカルメロースナトリウムとの10:1混合物(商品名:オイドラギットRD)からなるものである請求項5に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
【請求項7】
賦形剤が、マンニトール、乳糖、白糖、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトールから選択されるものである請求項5に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
【請求項8】
甘味料が、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸ジカリウムまたはステビオール配糖体含有物から選択されるものである請求項5に記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
【請求項9】
粒径が250μ以下である請求項1ないし8のいずれかに記載の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤に係り、詳細には、含有される有効成分である経口カルバペネム系抗生剤の服用時の不快な味を遮断し、服用後、胃中で速やかに有効成分を溶出すると共に、製剤の経時的安定性に優れた経口カルバペネム系抗生剤を含有経口製剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
経口カルバペネム系抗生剤の一つに、次式(I):
【0003】
【化1】


【0004】
で示されるピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートがある。
【0005】
この式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤は、極めて幅広い抗菌スペクトルと、強力な殺菌活性を有し、カルバペネム系抗生剤で問題とされている腎デヒドロペプチダーゼ(DHP−I)に対する抵抗性も強く、消化管からの吸収性が良好な抗菌剤であり、今後の開発が強く望まれている抗生物質である。しかしながら、このカルバペネム系抗生剤自身には、苦味および特異的な味があり、服用時に不快感を与え、服用者のコンプライアンスに影響を及ぼすことが懸念される。特にその苦味の閾値は、70μg/mlと微量なものである。
【0006】
上記の式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤は、3位のエステル基が加水分解された遊離カルボン酸化合物として抗菌活性を示す。したがって、例えば、抗菌活性を発揮する有効投与量として、活性体である遊離カルボン酸化合物100mg[経口カルバペネム抗生剤(I)として約130mg含有に相当する]を含有する1g顆粒製剤は、10mlの水で服用した場合には、約0.5%の経口カルバペネム抗生剤(I)の溶出で、すでに苦味の閾値に到達してしまうものである。
【0007】
また、上記式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤は、水分に対して不安定なものであり、製剤化に当たっては、一般的な湿式造粒法などにより製造した錠剤は保存安定性が悪い。そのため、乾式圧縮造粒法により、経時的な溶出遅延を軽減させた速崩壊性を示す経口製剤が提案されているが、短時間で錠剤を服用できない幼児、あるいは嚥下に障害をもつ患者に対しては、服用感およびコンプライアンスに対して考慮された錠剤ではない。
【0008】
さらに、上記式(I)で示される経口カルバペネム抗生剤は、他の成分との接触による失活も懸念されている。したがって、単に服用時の苦味等の不快感を抑制するために一般的な甘味料あるいは、香料、さらには調剤を目的とした粉末製剤もしくは顆粒製剤は、推奨しうるものではない。例えば、式(I)の経口カルバペネム抗生剤とクエン酸の混合物を40℃/75%湿度条件下に2週間保存したサンプルは、式(I)の経口カルバペネム抗生剤単独サンプルと比較して、大幅な失活が認められている。
【0009】
加えて、一般に、抗生物質の経口製剤化に際しては、製剤から有効成分の放出性が良好であり、消化管から有効成分である化合物が効率よく吸収され、早期の段階で有効血中濃度を維持し、原因菌に対する抗菌または殺菌活性を持続させることが必要とされる。したがって、上記の経口カルバペネム化合物についても、服用時の苦味を抑えた経口製剤を調製するに際しては、製剤の保存安定性に優れ、また副原料との配合変化がなく、かつ製剤からの有効成分の放出性が良好であり、消化管から効率よく吸収される経口製剤であることが必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の点に鑑み、式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤を含有する経口製剤であって、服用時の苦味を抑えると共に、製剤から有効成分の放出性良好であり、製剤の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、配合変化に優れ、さらに抗菌活性の低下を起こさないカルバペネム系抗生剤についての経口投与製剤を提供することを課題とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するための請求項1に記載の発明は、有効成分として、ピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレートを5〜80重量%含有し、胃溶性コーティング基剤によりコーティングしたことを特徴とする、苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤である。
【0012】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、胃溶性コーティング基剤が、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEまたはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテートである苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤である。
【0013】
すなわち、本発明の基本態様は、製剤の服用時にみられる苦味等による不快感を、胃溶性コーティング基剤、例えば、アミノアルキルメタクリレートコポリマーEまたはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート等によりコーティングを行うことでマスキングすると共に、胃内において速やかに製剤から有効成分である式(I)のカルバペネム化合物を放出させることを特徴とする経口顆粒製剤である。
【0014】
この場合において、胃溶性コーティング基剤中にさらに可塑剤を配合させることも可能であり、そのような可塑剤としては、ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル、ショ糖脂肪酸エステルであり、その配合量が、0〜30重量%である。
【0015】
上記により提供される本発明の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤は、さらに賦形剤、水溶性高分子化合物、および甘味料および/または香料と共に分散することにより、より効果的に苦味をマスキングすることができ、また少量の水で速やかに分散できることが判明した。
【0016】
したがって、本発明のより好ましい請求項5に記載の発明は、上記した請求項1ないし4のいずれかに記載の顆粒剤を賦形剤、水溶性高分子化合物、および甘味料および/または香料と共に分散してなる苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0017】
この場合において、水溶性高分子化合物としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSとカルメロースナトリウムとの10:1混合物(商品名:オイドラギットRD)が特に好ましいものであることが判明した。したがって、請求項6に記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、水溶性高分子化合物としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはアミノアルキルメタアクリレートコポリマーRSとカルメロースナトリウムとの10:1混合物(商品名:オイドラギットRD)からなるものである苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0018】
また、請求項7に記載の本発明は、請求項5に記載の発明において、賦形剤が、マンニトール、乳糖、白糖、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトールから選択されるものであり、請求項8に記載の本発明は、甘味料が、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸ジカリウムまたはステビオール配糖体含有物から選択されるものである苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0019】
さらに、服用時における口腔内で不快感を感じない顆粒剤の粒子経は一般的に100μ以下とされているが、本発明が提供する製剤は、少量の水でスラリー状に懸濁した場合には、粒径が250μ程度までの大きさでも、服用時に不快感が生じないものであることが判明した。したがって、請求項9に記載の本発明は、請求項1ないし8に記載の発明において、その粒子経が250μ以下の苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口製剤である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明が提供するカルバペネム系抗生剤を含有する経口顆粒製剤は、基本的には、有効成分として式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤を、製剤学上一般的に汎用されている賦形剤と共に5〜80重量%含有し、胃溶性コーティング基剤によりコーティングした顆粒製剤である。
【0021】
本発明者は、式(I)で示される経口カルバペネム系抗生剤を服用するにあたって、その苦味等の不快感を抑制するために、苦味抑制剤として甘味料を配合した製剤を調製したところ、服用後の口腔内のpH領域である中性領域で製剤からの有効成分の放出が即座に生じ、目的とする苦味等の不快感を抑えることはできなかった。
【0022】
一方、顆粒製剤の崩壊性を遅延させるために、一般的に使用されている徐放性基剤であるエチルセルロースなどの水不溶性の基材をアルコール溶液に溶解してスプレー造粒し、苦味の発現の遅延を試みたが、得られた顆粒剤は服用感で全くの改善が得られるものではなかった。
【0023】
そこで、口腔内(中性領域)で薬物の溶出を抑制し、胃中、すなわちpH5.5以下の領域で速やかに溶解する胃溶性コーティング基剤を選択し、検討した。その結果、胃溶性コーティング基剤としてアミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギッドE)またはポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート(AEA)をコーティングした場合には、口腔内での溶出が抑えられ、胃の中で速やかに有効成分である式(I)のカルバペネム経口製剤を溶出させる顆粒剤となることを確認した。
【0024】
その場合において、特に、顆粒剤の粒子径として250μ程度の大きさのものまで、服用時に不快感を与えるものではないことが判明した。さらに、胃溶性コーティング基剤の被覆量として、顆粒製剤の全重量を基準として、20重量%程度以上の被覆量であるときに、目的とする胃内での有効成分の放出性が良好なものであることが判明した。この胃溶性コーティング基剤の被覆量が20重量%に満たない場合には、服用後の有効成分の溶出が認められ、その溶出量は、苦味の閾値を超えるものとなる。
【0025】
本発明においては、この胃溶性コーティング基剤の被覆は、一般的なアルコール溶液あるいは50%以上のアルコール水溶液を用いて実施することができる。コーティングに際しては、製剤の製造に一般的に使用されている流動層造粒機を用いて行うことができる。また、この流動層造粒法にあたっては、粒子同士の凝集を回避するため、タルク、モノステアリン酸グリセリン等の付着防止剤を、10〜60%分散させたものが好ましく使用される。
【0026】
また、この流動層造粒法においては、可塑剤を添加することも可能であり、そのような可塑剤としては、製剤学上一般に使用されている可塑剤、例えば、ポリエチレングリコール(例えば、マクロゴール6000)、クエン酸トリエチル、ショ糖脂肪酸エステルなどであり、その配合量は0〜30重量%である。さらに、アルコール溶液を使用することから、静電気発生防止のため、アルコールに可溶性であり、かつ水溶性の化合物、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの水溶液を加えておくことも好ましい。
【0027】
以上のようにして製造された、本発明の顆粒剤は、服用時において式(I)の経口カルバペネム系抗生剤が所有する苦味を、口腔内において30分以上抑制することができ、胃内で速やかに式(I)の化合物を溶出するものであった。
【0028】
しかしながら、粒子が水に浮くような現象が生じ、服用時の口当たりがそれほどよいものとはいえない。そこで、服用時の口当たりを改善するために当該粒子にさらに製剤上の工夫を加え、少量の水でスラリー状になる賦形剤を使用し、水溶性高分子化合物によりスプレー造粒(2次造粒)をしたところ、得られた2次造粒物からなる製剤は、当初の服用時における口当たりの悪さが著しく改善され、しかも胃内で速やかに有効成分である式(I)のカルバペネム系化合物を溶出することができるものであった。
【0029】
使用しうる賦形剤としては、矯味を改善するために一般的に製剤原料として使用されている賦形剤としての、マンニトール、乳糖、白糖、還元麦芽糖、キシリトール、エリスリトール、マルチトール等を挙げることができる。また、この2次造粒に際しては、甘味料、香料を添加しておくこともできる。そのような甘味料としては、アスパルテーム、サッカリン、グリチルリチン酸ジカリウムまたはステビオール配糖体含有物等を挙げることができる。
【0030】
さらに、一般的に使用されている香料、着色料等を添加して更なる矯味改善を行うことができる。
【0031】
以上のようにして調製された本発明が提供する苦味をマスキングしたカルバペネム系抗生剤含有経口顆粒製剤等は、アルミニウム袋包装品として、その保存安定性は極めて良好なものであり、分包包装された製剤は、ごく少量の水で直接服用でき、口当たりもよく、服用時の苦味等の不快感が抑えられたものであった。
【0032】
【実施例】
以下に本発明を実施例に代え、具体的試験例を説明することにより、さらに詳細に説明する。
【0033】
実施例1:
ピバロイルオキシメチル (1R,5S,6S)−2−[(1−(1,3−チアゾリン−2−イル)アゼチジン−3−イル)チオ−6−[(R)−1−ヒドロキシエチル]−1−メチル−カルバペン−2−エム−3−カルボキシレート(以下、化合物(I)と記す)52gに乳糖を88gをPowrex製 MP−01流動層造粒機に仕込み、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(オイドラギッドE)51gをエタノール340gに一般的なプロペラ式攪拌機で溶解させ、さらにタルク9gを分散させたコーティング液を全量、7g/分の液速度、1.9kgの噴霧圧、風量3〜4Nm/分、品温度35℃でスプレー造粒し、コーティングの被覆量が30%となる、平均粒子径190μmの本発明の顆粒剤(30%品)を得た。
【0034】
実施例2:
実施例1と同様の仕込み量および装置を用い、コーティングの被覆量がそれぞれ5、10、15、20、25%となる発明の顆粒剤(それぞれ、5%品、10%品、15%品、20%品および25%品)を得た。
なお、コーティング液の被覆条件は、実施例1と同様であり、被覆量の%割合に応じて、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE(商品名:オイドラギッドE)51gをメタノール340gに一般的なプロペラ式攪拌機で溶解させ、さらにタルク9gを分散させたコーティング液を、全量の1/6、2/6、3/6、4/6および5/6量を使用した。
【0035】
溶出試験1:
上記の実施例1および実施例2で得た顆粒剤(1次造粒物)である5%品、10%品、15%品、20%品、25%品および30%品について、以下の条件で化合物(I)の顆粒製剤からの溶出試験を行った(3回実施)。
方法:日本薬局方パドル法
溶出液:精製水900mL/37℃
回転数:75rpm
溶出試験器:Vakel 7010型
検出:UV322nm(λmax)
【0036】
その結果を、図1に示した。
図中に示した結果からも判明するように、顆粒製剤からの有効成分である化合物(I)の初期溶出を抑え、苦味を感じさせなくするには、20%以上の胃溶性コーティング基剤の被覆、好ましくは、25%以上の被覆が必要であることが判明した。
【0037】
そこで、胃溶性コーティング基剤の被覆量が30%である、実施例1で得られた30%品の顆粒剤(1次造粒物)を使用して、2次造粒物の検討を行った。
【0038】
実施例3:
実施例1で得られた30%品の顆粒剤(1次造粒物)120gに、乳糖14.8g、D−マンニトール74g、アスパルテーム7.2gおよびクロスポピドン(Kollidon CL−M)12gを、Powrex製 MP−01流動層造粒機に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)12gおよび水溶性色素適量を水138gに一般的なプロペラ式攪拌機で溶解させ結合液とし、この結合液全量を、15g/分の液速度、1.9kgの噴霧圧、風量3〜4Nm/分、品温度35℃でスプレー造粒して、2次造粒物を得た。
この2次造粒物にスプレードライタイプの香料を微量添加し、本発明のドライシロップ剤(ドライシロップ剤A)を得た。このドライシロップ剤Aは、細粒剤の規格を満足するものであった。
【0039】
以上得られたドライシロップ剤Aの具体的処方を示せば、以下の表1に記載するようにまとめられる。
【0040】
【表1】


【0041】
以下に、上記実施例との対比で、マスキングを施さず、甘味料と香料で服用時の矯味を改善したものとして、化合物(I)を直接甘味料と一緒にスプレー造粒した造粒物を比較例として示す。
【0042】
比較例:
化合物(I)26g、乳糖23g、D−マンニトール115g、アスパルテーム6gおよびクロスポピドン(Kollidon CL−M)20gを、Powrex製 MP−01流動層造粒機に仕込み、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC−L)15gおよび水溶性色素適量を水172.5gに一般的なプロペラ式攪拌機で溶解させ結合液とし、この結合液全量を、15g/分の液速度、1.9kgの噴霧圧、風量3〜4Nm/分、品温度35℃でスプレー造粒して、比較例の造粒物を得た。
この造粒物にスプレードライタイプの香料を微量添加し、比較例のドライシロップ剤(ドライシロップ剤B)を得た。
【0043】
以上得られたドライシロップ剤Aの具体的処方を示せば、以下の表2に記載するようにまとめられる。
【0044】
【表2】


【0045】
以上で得られたドライシロップ剤Aとドライシロップ剤Bの溶出試験結果を以下に示す。
【0046】
溶出試験2:
実施例3で得られたドライシロップ剤Aについて、以下の条件でドライシロップ剤から化合物(I)の溶出を試験した(3回実施)。
方法:日本薬局方パドル法
溶出液:pH4.0(Mcllvaine緩衝液:すなわち、クエン酸−リン酸水素ニナトリウム緩衝液)およびpH6.8(日本薬局方崩壊試験法第2液);各900mL/37℃
回転数:75rpm
溶出試験器:Vakel 7010型
検出:UV322nm(λmax)
【0047】
その結果を、図2に示した。
図中に示した結果からも判明するように、ドライシロップ剤Aは、pH6.8で化合物(I)の溶出を抑え、pH4.0で速やかに化合物(I)を溶出させていることが判明した。
【0048】
溶出試験3:
比較例で得られたドライシロップ剤Bについて、以下の条件でドライシロップ剤から化合物(I)の溶出を試験した(3回実施)。
方法:日本薬局方パドル法
溶出液:pH4.0(Mcllvaine緩衝液:すなわち、クエン酸−リン酸水素ニナトリウム緩衝液)およびpH6.8(日本薬局方崩壊試験法第2液);各900mL/37℃
回転数:75rpm
溶出試験器:Vakel 7010型
検出:UV322nm(λmax)
【0049】
その結果を、図3に示した。
図中に示した結果からも判明するように、比較例であるドライシロップ剤Bは、pH6.8では化合物(I)の溶解速度に依存して溶出が下がるだけで、初期溶出を抑えることはできず、苦味をマスキングすることはできなかった。
【0050】
官能試験:
味覚感覚に異常のない10名のボランティアを対象に、ドライシロップ剤Aおよびドライシロップ剤Bの服用のし易さを判定した。
その結果、10名/10名中がドライシロップ剤Aのほうが服用しやすいとの判定であった。
また、7名/10名中が、服用時の苦味を感じないとの判定であった。
【0051】
経時的安定性試験:
実施例3で得られたドライシロップ剤Aを、ペットニウム(PET#12/PE15/AL9/PE40μ)袋に入れ、ヒートシールを行い、40℃/湿度75%の恒温恒湿下に6ヶ月保存させた。6ヵ月後にサンプル(ドライシロップ剤A)中の化合物(I)の定量値を、保存開始時(100%)と比較した。その結果は、下記の表3に示すとおりであり、定量値の劣化は認められなかった。
【0052】
【表3】


【0053】
【発明の効果】
以上記載したように、本発明はカルバペネム系抗生剤を含有する経口顆粒製剤であって、本発明により服用時の苦味を抑えると共に、製剤から有効成分の放出性良好であり、製剤の経時的安定性がよく、製剤中に分解物を生じることなく、配合変化に優れ、さらに抗菌活性の低下を起こさない経口投与顆粒製剤が提供される。
【0054】
また本発明により提供されるカルバペネム系抗生剤含有の経口顆粒製剤は、胃内での製剤からの有効成分の放出性が良好であり、消化管から有効成分である化合物が効率よく吸収され、早期の段階で有効血中濃度を維持し、原因菌に対する抗菌または殺菌活性を持続させること可能となり、医療上の利点は多大なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶出試験1の結果を示すグラフである。
【図2】溶出試験2の結果を示すグラフである。
【図3】溶出試験3の結果を示すグラフである。
【出願人】 【識別番号】000230478
【氏名又は名称】日本ワイスレダリー株式会社
【出願日】 平成14年7月8日(2002.7.8)
【代理人】 【識別番号】100083301
【弁理士】
【氏名又は名称】草間 攻

【公開番号】 特開2004−35518(P2004−35518A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−198196(P2002−198196)