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【発明の名称】 血液流動性改善剤
【発明者】 【氏名】大多和 利彦
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香料株式会社技術研究所内

【氏名】稲波 治
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香料株式会社技術研究所内

【氏名】山本 直人
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香料株式会社技術研究所内

【氏名】中村 明朗
【住所又は居所】神奈川県川崎市中原区苅宿335 長谷川香料株式会社技術研究所内

【要約】 【課題】血液の流動性を改善し、各種飲食品に配合、使用することができる血液流動性改善剤の提供を目的とする。

【解決手段】γ−アミノ酪酸を有効成分として含有する血液流動性改善剤とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ−アミノ酪酸を有効成分として含有する血液流動性改善剤。
【請求項2】
請求項1記載の血液流動性改善剤を含有する飲食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、血液の流動性を改善し、各種飲食品に配合、使用することができる血液流動性改善剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
血液は、全身の血管内を循環し、酸素と栄養素をからだの隅々まで運ぶと共に、いろいろな組織、臓器から出された老廃物や二酸化炭素を腎臓、肝臓等に運ぶなど、生命を維持するために種々の重要な働きをしている。一般に、血液の血流速度は、大動脈では速いが、毛細血管では遅く、正常の人の場合、大動脈で17ml/秒、腸骨動脈で8ml/秒、大腿、下腿、足動脈で5〜8ml/秒といわれている。血液の流動性が低下すると、血管に血液の凝塊である血栓が形成されやすくなる。
【0003】
血液は、赤血球、白血球、血小板等を含み、血漿中に血漿蛋白を含むため粘性がある。この粘性により、血管横断面の中央部は血流が速く、血管壁に近いところでは、血流は遅くなる。また、血液が急速に流れている時は、赤血球、白血球、血小板等の血液の細胞成分は、主として血管腔の中央部分を流れるが、種々の原因により血流が遅くなると、血小板が中央の流れから離れて、血管内壁の近くを流れるようになる。そのため、血管内壁に傷害箇所があると、血小板がその傷害箇所に付着して、そこから血栓が形成されていく。
そして、血栓が形成されて、血管の内腔が完全あるいは不完全に詰まると、必要な酸素や栄養素が充分に補給されなくなり、その結果、脳血栓、脳梗塞、肺血性塞栓症、心筋梗塞、心房内出血、腸間膜血栓、下肢動静脈血栓等の症状が誘発されることになる。
【0004】
従来、血液の流動性を改善させる血液流動性改善剤としては、数多く報告されており、例えば、ヒドロキシメチルフルフラール誘導体(特許第2979305号)、5−ヒドロキシメチルフラン誘導体(特開平9−216821号公報)、γ―リノレン酸単独又はγ―リノレン酸と脂溶性抗酸化剤(特開平10−147523号公報)、カテキン(特開平10−72460号公報)、魚類胆汁及び/又はその極性溶媒抽出物(特開平7−138168号公報)、カルバクロール及び/又はチモール(特開平11−255636号公報)、サフランまたはサフランの組織培養物(特開平10−287576号公報)、シトラール(特開2000−44467号公報)、アガチン酸エステル又はその塩(特許第2835881号)、エラブウミヘビの内臓周囲脂質(特許第2801990号)、安息香酸、安息香酸のアルカリ金属塩、ベンズアルデヒド、クミンアルデヒド、ミルテナール及びヒドロキシシトロネラール(特開2000−169326号公報)のほか、各種飲食品に配合されるものとして、コラーゲンペプチド(特許第3197547号)やテアニン(特開2001−316256号公報)等が報告されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、血液の流動性を改善し、脳梗塞、心筋梗塞等の生活習慣病の予防、治療に利用することができ、かつ、各種飲食品に配合、使用することができる血液流動性改善剤の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、血液流動性改善効果を示し、かつ、各種飲食品への配合、使用が可能な物質を探索した結果、γ−アミノ酪酸がそれら条件を満たすことを見出し、かかる知見に基づき、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、γ−アミノ酪酸を有効成分として含有する血液流動性改善剤である。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の血液流動性改善剤は、上記したように、γ−アミノ酪酸(GABA)を有効成分とするものであるが、このγ−アミノ酪酸は、生体内で、主としてグルタミン酸からグルタミン酸デカルボキシラーゼの作用を受けて生合成されるアミノ酸の1種として知られており、哺乳類の脳や脊髄等に多く存在する抑制性神経伝達物質として重要な役割を果たしている。
従来、γ−アミノ酪酸の生理作用としては、神経伝達物質としての作用のほか、血圧降下作用、精神安定作用、腎機能活性化作用、肝機能改善作用、肥満防止作用、アルコール代謝促進作用、消臭効果等が知られているが、本発明を創作する上で基礎となったγ−アミノ酪酸の血液流動性改善作用は、今回、本発明者らによって新たに発見された作用である。
本発明の血液流動性改善剤の作用機序は、明らかではないが、GABAは、副交感神経を刺激し、生体に対し、沈静効果を与えることと、血圧降下作用も有していることから、神経系に働きかけ、血管を拡張するとともに、血液に対しては、流動性を高める物質を放出することにより血液流動性を改善するものと考えられる。
【0008】
また、γ−アミノ酪酸は、色、臭いとも、無に近い状態のものが得られるため、ビタミン剤、アミノ酸、ミネラル等の各種物質を任意の割合でブレンドすることができ、さらには、水溶性で、生体内への吸収性も高いので、各種飲食品への配合、使用が可能である。
【0009】
本発明の血液流動性改善剤の主成分であるγ−アミノ酪酸は、種々の方法により製造することができる。
具体的なγ−アミノ酪酸の製造方法としては、例えば、乳酸菌ラクトバチルスブレビスTY414(FERMP−16910)等の微生物を用いて、これらの発酵作用によりγ−アミノ酪酸を製造する方法が挙げられる(特開2000−210075号公報)。
その他、米胚芽、胚芽を含む米糠、胚芽米、小麦胚芽及び小麦胚芽を含む麩の中の少なくとも1種を一定条件下で水に浸漬し、内在性酵素の作用により、γ−アミノ酪酸の含量を飛躍的に高めた食品素材を調製し、該食品素材を酸で抽出し、得られた抽出物をイオン交換クロマトグラフィーにより精製、濃縮するγ−アミノ酪酸の製造方法が知られている(特許第2813771号)。
【0010】
本発明の血液流動性改善剤は、血液流動性を改善するための有効成分であるγ−アミノ酪酸を含有していればよく、そのため、本発明の血液流動性改善剤を製造するために、γ−アミノ酪酸として、その精製品を必ずしも用いる必要はなく、γ−アミノ酪酸の粗精製品やγ−アミノ酪酸を富化した食品素材等を用いても何ら差し支えない。
γ−アミノ酪酸を富化した食品素材としては、例えば、麦若葉を、10分〜24時間、嫌気処理及び/又は20〜50℃で保温処理することにより、γ−アミノ酪酸の含量を高めた麦若葉(特許第3131423号)、摘葉した茶葉を嫌気状態に置き、茶葉中にγ−アミノ酪酸を強化したギャバロン茶(日本農芸化学学会誌、61、No11、p1449−1451、1987)、コーヒー生葉を無酸素状態で処理後110℃以上の高温で熱処理、乾燥処理する方法でγ−アミノ酪酸を強化したコーヒー葉茶(特開平8−173111号公報)、赤外線を照射した茶葉(特開平9−205989号公報)等が挙げられる。
【0011】
本発明の血液流動性改善剤は、特に形態は限定されず、γ−アミノ酪酸をそのまま、あるいは製薬上許容される担体、添加物と混合し、公知の方法により、散剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、液剤、乳剤、懸濁剤、シロップ剤、トローチ剤、坐剤、注射剤、エリキシル剤等の任意の形態に製剤化することができる。これらの中では、顆粒剤、液剤等の経口投与製剤の方が、他の非経口投与製剤に比べて、血液流動性改善効果が、より顕著に発現するため好ましい。
【0012】
製薬上許容される担体、添加物としては、賦形剤(澱粉、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乳糖、ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム等)、結合剤(アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、澱粉、ショ糖等)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、澱粉、ヒドロキシプロピルセルロース等)、滑沢剤(ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム、タルク等)、希釈剤(水、食塩水、大豆油、ゴマ油、オリーブ油等)、矯味・矯臭剤(乳糖、ブドウ等、マンニトール、ショ糖、単シロップ、ハッカ油、オレンジ油等)、保存剤(パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸、安息香酸ナトリウム等)、安定化剤(アスコルビン酸、亜硫酸水素ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、グリセリン、ブドウ糖、マンニトール等)、着色剤(水溶性食用色素、レーキ色素等)、界面活性剤(ポリオキシエチレン硬化ひまし油、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリソルベート類、ラウリル硫酸ナトリウム、マクロゴール類、ショ糖脂肪酸エステル等)、可塑剤(クエン酸トリエチル、トリアセチン、セタノール等)が例示される。
また、本発明の血液流動性改善剤には、必要に応じて、他の生理活性成分、生薬、ミネラル、ビタミン、ホルモン、アミノ酸、栄養成分等を任意の割合で配合することができる。
【0013】
本発明の血液流動性改善剤は、投与方法は特に限定されないが、前記したように、経口的に投与する方が好ましい。本発明を経口的に摂取すると、胃・腸の酵素により分解されるが、γ−アミノ酪酸は分子量が小さいため、体内への吸収性がよい。また、本発明の投与量は、症状、体重、年齢等を考慮して、適宜決定すればよい。一般的には、20mg〜300 mg/日の範囲の量を使用する。大量に摂取しても尿中に排泄され、副作用も認められない。
【0014】
本発明の血液流動性改善剤は、飲食品に含有させることにより、血液流動性向上機能を付与した栄養ドリンク、栄養補助食品等とすることができる。血液流動性改善剤を含有させる飲食品の種類、形態は特に制限はない。また、飲食品中における血液流動性改善剤の添加量は、特に限定されないが、γ−アミノ酪酸は、水に易溶であり、ゲル化性、増粘性が少ないため、飲食品に多量に添加することができる。
本発明の血液流動性改善剤を含有する飲食品を得るには、飲食品原料に該血液流動性改善剤を所定量加えて、通常の製造方法により加工製造すればよい。
【0015】
【実施例】
次に、本発明について実施例により具体的に説明する。なお、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実施例)
20代から50代までの健常男子8名に対し、座位安静状態で肘正中皮静脈より真空採血管(ベネジェクトII;テルモ社製)を用いて採血を行い、得られた鮮血500μlにヘパリン(1000単位/ml:ノボヘパリン、ノボルディスクA/S)処理(全血に対し5%添加)を施し、以下のコントロールに供した。
一方、γ−アミノ酪酸(GABA)100mgを飲用させ、1時間後に、座位安静状態で肘正中皮静脈より真空採血管(ベネジェクトII;テルモ社製)を用いて採血を行い、得られた鮮血にヘパリン(1000単位/ml:ノボヘパリン、ノボルディスクA/S)処理(全血に対し5%添加)を施し、以下の測定サンプルに供した。採血は主に朝食後、2〜3時間経過後に行った。なお、後述する血液通過時間の測定は、採血後、遅くとも30分程度以内で終えるようにした。
上記コントロール及び測定サンプルの血液流動性について、血液レオロジー計測装置を使用して調べた(薬理と臨床、6(8)1469−1472(1996)参照)。この装置は、15mm×15mm×500μmのシリコン基板の表面中央部に設けられたウエルの4辺を囲む土手(チャネルバンク)の上面に微細な溝(チャネル)を横断方向に多数刻んで形成し、このシリコン基板の表面にガラス基板を圧着させて溝を流路とした装置である。なお、ガラス基板は光学研磨したものを使用する。また、血液の流れは、顕微鏡により観察する。
この装置の貫通孔より100μlの上記コントロール及び測定サンプルをそれぞれ注入し、これらに圧力差20cm水柱の圧力をかけ、この一定圧の下に、溝(幅7μm、深さ4.5μm、長さ30μm、8736本並列)を通過する時間(秒)を測定した。その結果を図1に示す。
【0016】
(評価)
図1に示した結果からわかるように、実施例のin vivo試験において、採血を行った健常男子8名中、No.2、No.3を除く、6名に対し、γ−アミノ酪酸の摂取により、優れた血液流動性改善効果が認められた。
【0017】
【発明の効果】
本発明は、血液流動性を改善させるのに有効であり、脳梗塞、心筋梗塞等の生活習慣病の予防、治療に利用することができる。また、γ−アミノ酪酸は、色、臭いとも、無に近い状態のものが得られるため、ビタミン剤、アミノ酸、ミネラル等の各種物質を任意の割合でブレンドすることができ、また、生体内への吸収性も高いので、本発明は、各種飲食品への配合、使用が可能であるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例の結果を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000214537
【氏名又は名称】長谷川香料株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋本町4丁目4番14号
【出願日】 平成14年7月4日(2002.7.4)
【代理人】 【識別番号】100093735
【弁理士】
【氏名又は名称】荒井 鐘司

【識別番号】100105429
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 尚孝

【識別番号】100108143
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋崎 英一郎

【公開番号】 特開2004−35478(P2004−35478A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−195546(P2002−195546)