| 【発明の名称】 |
抗フケ菌組成物 |
| 【発明者】 |
【氏名】大嶋 悟士 【住所又は居所】大阪府泉大津市臨海町1丁目20番 阪本薬品工業株式会社研究所内
【氏名】山田 武 【住所又は居所】大阪府泉大津市臨海町1丁目20番 阪本薬品工業株式会社研究所内
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| 【要約】 |
【課題】天然物由来で抗フケ菌効果に優れ、しかも安全性が高い抗フケ菌剤を含有する、化粧料等の抗フケ菌組成物を提供する。
【解決手段】カピリンを含有する抗菌剤等を化粧料等の抗フケ菌組成物に配合することを特徴とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 下記の構造式(1)で表されるカピリンを0.1μg/g以上含有する抗フケ菌組成物。 【化1】
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【発明の詳細な説明】【0001】 【産業上の利用分野】 本発明は、抗フケ菌剤としてカピリンを含有してなる化粧料等の抗フケ菌組成物に関する。 【0002】 【従来の技術】 一般にフケは、頭皮の皮脂腺、汗腺などからの分泌物および角質層の剥離物によるとされている。これらの分泌や角質化は頭皮に存在するフケ原因菌が繁殖することにより助長されると言われている。代表的なフケ原因菌である好脂質性のPiryrosporum ovaleの繁殖がフケの発生に大きく関与すると言われている。 【0003】 このフケ菌に対しては、従来、殺菌成分であるジンクピリチオン、安息香酸、イルガサン、ヒノキチオール等を添加したものが知られており、フケ防止用化粧料として使用されてきた。しかしながら、これらの殺菌剤には使用面、安全面での問題が多く、例えばジンクピリチオン(ZPT)は非水溶解性であるため乳化、分散した系でしか使用できないという問題があり、ヒノキチオールは金属イオンとキレートを形成して着色するなど使用が難しいものであった。また、他の殺菌剤においても有効な濃度で使用するには安全性に問題が見られた。 【0004】 このため近年では、安全性の高い植物由来の抗フケ菌剤が求められており、特許においても提案されている。例えばヒノキ科植物(特開昭63−150208号)、ミカン科植物(特開平7−17835号)、ラン科エビネ属植物(特開平11−29489)等を用いたものが知られている。 【0005】 本発明者らは、先に、植物からの抽出物をスクリーニングし、カワラヨモギ抽出物に抗菌性があること、その抗菌成分が精油成分のカピリンでありカビ等の真菌類に対して、極めて強い抗菌性を有することを確認し、抗菌抗黴剤及びこれを含有する抗菌抗黴性組成物を開発して特許出願をした(特願2001−380299)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 今まで、カピリンのPiryrosporum ovaleに対する抗菌活性(以下、抗フケ菌活性という)については何ら報告されておらず、カピリンが他の殺菌剤と比べて格段に強い抗フケ菌活性を有していることは全く知られていなかった。 本発明は、天然物由来で安全かつ抗フケ菌活性が高く、フケ防止効果に優れた抗菌剤を含有する抗フケ菌組成物を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明者等は、カワラヨモギ等に含まれるカピリンが、Piryrosporum ovaleに対する最小発育阻止濃度が1ppmであり、上述の殺菌成分よりも極めて高い抗フケ活性を有するものであることを見出し、本発明に到達した。即ち、本発明は、構造式(1)で表されるカピリンを含有する抗菌剤を配合することを特徴とする抗フケ菌組成物である。 【0008】 【化1】
【0009】 以下、本発明を詳細に説明する。本発明のカピリンは、生薬インチンコウとして使用されているキク科のカワラヨモギ(学名:Artemisia capillaries Thumb.)等に含まれる精油成分である。カピリンは、カワラヨモギの地上部から抽出することができ、抽出溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類、メチルエーテル等のエーテル類等の有機溶媒、またこれらのうち水と混和する溶剤では水との混合溶剤を使用することができる。使用される用途で支障のない抽出溶媒を用いた抽出液であればそのまま使用しても良いが、カピリンの含有量が低く多量に配合する必要がある場合もあるため、溶剤を完全に留去してあるいは適度に濃縮して使用することが望ましい。その際、低級アルコールや含水アルコールでの抽出液の場合は単に常圧または減圧下に濃縮するとカピリンが共沸により留出するため、これを防止するために、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等を添加して濃縮することが好ましい。また、カワラヨモギから水蒸気蒸留により得たカピリン等を含有する精油成分をそのまま使用しても良い。更に、溶媒抽出物や水蒸気蒸留で得た精油成分を、カラムクロマトグラフィーや高速液体クロマトグラフィー等によりカピリンを分取あるいは含有量を高めて使用しても良い。 【0010】 本発明の抗フケ菌組成物中のカピリンの配合量は、任意に設定することができ、特に限定されるものではないが、化粧料等の抗フケ菌活性を付与する組成物にカピリンを0.1μg/g以上、好ましくは0.2〜100μg/g、更に好ましくは0.5〜20μg/g含有させるに足りる量を配合する。抗フケ菌組成物にカピリンを100μg/g以上配合しても効果は変わらず、経済的でない。 【0011】 カピリンはカビ等の真菌類には極めて強い抗菌性を示すが、本発明の抗フケ菌組成物の抗菌性を強めるために、必要に応じて酢酸ナトリウム等の有機酸塩やエタノール、グリシン、ポリリジン、プロタミン、リゾチーム、キトサン、ペクチン分解物、孟宗竹等の植物抽出物、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール等の抗菌性を有する多価アルコール、カプリル酸モノグリセライド等の中鎖脂肪酸のエステル類等の抗菌作用を有する物質を併用しても良い。 【0012】 また、本発明のカピリンを含有する抗フケ菌組成物に各種の化学合成系の殺菌剤や抗フケ菌剤を併用しても良く、これによりこれら安全性に問題のある化学合成系の殺菌剤や抗フケ菌剤の使用量を極力減らし、従来よりも安全性の高い抗フケ菌組成物を得ることもできる。 【0013】 また、本発明の抗フケ菌組成物にはカピリンを必須成分とするが、上述の抗菌性を有する物質の他、その使用目的に応じて各種成分を任意に配合することができる。化粧料に使用する場合に任意に配合しうる成分としては、化粧料に通常使用される成分であれば特に限定されるものではなく、溶剤としては水、グリセリン等の多価アルコール、ソルビトール等の糖アルコール、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素、イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のエステル油、中鎖脂肪酸トリグリセライド、各種動植物性油等の油類等を例示することができ、可溶化剤としてポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等の界面活性剤を例示することができる。 【0014】 本発明で言う抗フケ菌組成物とは、例えば頭髪用化粧料であり、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘアスタイリング剤、ヘアーリキッド、頭髪用乳液、養毛料、ヘアスプレー等が本発明の抗フケ菌組成物の範疇である。本発明の抗フケ菌組成物には、その製品形態に応じて、各種の原材料を使用することができる。 【0015】 以下、実施例により、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、以下の実施例中の数値の単位は、特に断りのない限り重量%である。 【0016】 【実施例1】 乾燥したカワラウヨモギの花穂1kgに水10kgを加えて加熱し、水と共に精油成分を留出させた。留出液をヘキサンにて抽出し、ヘキサンを留去してカワラヨモギの精油成分3.7gを得た。精油成分を下記条件の分取高速液体クロマトグラフィーによりカピリンを分取し、ヘキサン抽出後ヘキサンを留去してカピリン0.56gを得た。尚、このものがカピリンであることはGC−MSにより確認した。 分取高速液体クロマトグラフィーの条件 (株)島津製作所製 LC−8Aシステム カラム:信和化工(株)製 STR ODS−2 20.0mmI.D.×250mmL 移動相:80%メタノール、15mL/min 検出器:UV254nm 試 料:移動相により4.5%に希釈、毎回5.0mL注入 【0017】 【実施例2】 乾燥したカワラウヨモギの花穂100gにヘキサン500mLを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、ヘキサンを留去して油状物2.98gを得た。これをエタノールで100gに希釈して抗フケ菌剤(A)を得た。この抗フケ菌剤(A)のカピリンの含有量は591μg/gであった。尚、カピリンの含有量は、下記条件の高速液体クロマトグラフィーにて分析し、実施例1で得たカピリンを用いて作成した検量線から含有量を求めた。 高速液体クロマトグラフィーの分析条件 (株)島津製作所製 LC−10Aシステム カラム:信和化工(株)製 STR ODS−2 4.6mmI.D.×150mmL 移動相:0.5%酢酸水溶液55%+エタノール45%、0.8mL/min 検出器:UV254nm 試 料:移動相により10%に希釈、20μL注入 【0018】 【実施例3】 乾燥したカワラウヨモギの花穂100gにエタノール500mLを加えて常温にて24時間浸漬して抽出後、ロ過し、抽出液を得た。これに、1,3−ブチレングリコール160gを加えた後、エタノールを留去し、水を加えて全量を200gとすることにより、抗フケ菌剤(B)を得た。この抗フケ菌剤(B)のカピリンの含有量は417μg/gであった。 【0019】 【実施例4】 実施例1で得たカピリンを用い、フケ菌(Piryrosporum ovale IFO 0656)に対する最小発育阻止濃度を測定することにより、抗菌作用を調べた。フケ菌を表1に示すYM液体培地にて、28℃で5日間振盪培養し、菌数を1×108個/mlとして接種菌液を得た。 【0020】 【表1】
【0021】 次いで4.45mlのYM培地に試料0.5mlを加えて被検培地とした。このとき試料の希釈濃度は2倍希釈とし、試料は滅菌処理されたメンブランフィルターを用いて濾過除菌したものを用いた。前培養液の50μlを接種し、菌数を1×106個/mlとして28℃で5日間振盪培養した。新しく、YM培地に寒天を1.5%になるように加えて寒天プレートを作成した。培養試験液を白金耳で寒天プレートに画線し、28℃で2日間培養して残存菌を確認した。また、同時にヒノキチオール、ジンクピリチオンについて比較として調べた。結果を表2に示す。 【0022】 【表2】
【0023】 この結果から、フケ菌(Piryrosporum ovale)に対する最小発育阻止濃度は、カピリン1ppm、ヒノキチオール15.6ppm、ジンクピリチオン62.5ppmであり、カピリンの抗フケ活性はヒノキチオールやジンクピリチオンよりも格段に高いものであった。 【0024】 【実施例5〜7、比較例1】 表3に記載の組成のヘアートニックを製造し、実使用でフケの症状に対する効果を検討した。フケの症状を呈する男性パネラー10名(年齢26才〜48歳)に1日2回、2〜4mlずつ3ヶ月にわたって投与し、フケ防止効果を試験した。その結果を表3に示す。 【0025】 【表3】
【0026】 表3から明らかなように、本発明の抗フケ菌組成物は、優れたフケ防止効果を発揮した。また実使用において、頭皮の異常を訴えた者はなかった。 【0027】 以下に本発明化粧料の処方例を実施例として示す。なお、各実施例の化粧料は上記のような使用試験をフケについて行ったところ、いずれも優れた改善効果を確認した。 【0028】 【実施例8】 ヘアーローション(1)実施例3の抗フケ菌剤(B) 1.2%(2)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 1.0%(3)エタノール 50.0%(4)防腐剤 適量(5)精製水 残余 【0029】 【実施例9】 シャンプー(1)実施例3の抗フケ菌剤(B) 1.2%(2)ポリオキシエチレン(3EO)ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(30%液) 30.0%(3)ラウリル硫酸ナトリウム(95%) 3.2%(4)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 4.0%(5)グリセリン 0.1%(6)クエン酸 0.1%(7)防腐剤 適量(8)精製水 残余 【0030】 【実施例10】 リンス(1)実施例3の抗フケ菌剤(B) 1.2%(2)塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 3.0%(3)塩化ジステアリルジメチルアンモニウム2.0%(4)ベヘニルアルコール 2.5%(5)2−オクチルドデカノール 1.0%(6)ポリオキシエチレン(2EO)オレイルエーテル 2.0(7)シリコンオイル 0.2%(8)カチオン化セルロース(10%液) 2.0%(9)1,3−ブチレングリコール 3.0%(10)防腐剤 適量(8)精製水 残余 【0031】 【実施例11】 ヘアークリーム(1)実施例3の抗フケ菌剤(B) 1.2%(2)ミツロウ3.0%(3)流動パラフィン 20.0%(4)マイクロクリスタリンワックス 5.0%(5)ベヘニルアルコール 1.3%(6)イソオクタン酸セチル 10.0%(7)ポリオキシエチレン(20EO)ベヘニルエーテル 2.0%(8)ポリオキシエチレン(40EO)テトラオレイン酸ソルビット 1.0%(9)モノステアリン酸グリセリン 2.0%(10)酸化防止剤 適量(11)1,3−ブチレングリコール 4.0%(12)防腐剤 適量(13)精製水 残余 【0032】 また、本発明の実施例8〜11の化粧料使用中に皮膚異常、刺激は認められなかった。 【0033】 【発明の効果】 以上、詳述したように、カピリンを含有した抗フケ菌組成物は抗フケ菌作用に優れ、特に、ごく微量で優れた抗フケ菌活性を示すものであり化粧料などに使用できるものである。
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| 【出願人】 |
【識別番号】390028897 【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社 【住所又は居所】大阪府大阪市中央区淡路町1丁目2番6号
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| 【出願日】 |
平成14年7月1日(2002.7.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】300088360 【氏名又は名称】田村 克之
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| 【公開番号】 |
特開2004−35428(P2004−35428A) |
| 【公開日】 |
平成16年2月5日(2004.2.5) |
| 【出願番号】 |
特願2002−192261(P2002−192261) |
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