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【発明の名称】 哺乳用乳首
【発明者】 【氏名】森藤 靖男
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区糸屋町2丁目4番6号 ジェクス株式会社内

【氏名】小林 勝義
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区糸屋町2丁目4番6号 ジェクス株式会社内

【氏名】志野木 達也
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区糸屋町2丁目4番6号 ジェクス株式会社内

【要約】 【課題】口唇口蓋裂乳児が、ホッツプレートを装着した場合に、快適に乳汁を飲むことのできる哺乳用乳首を提供する。

【解決手段】少なくとも乳頭部2が、可撓性を有する材質からなる哺乳用乳首1において、乳頭部2には、対向配置される1組の平面部5aと、この平面部同士を連結する連結部6aとが備えられており、連結部6aが、平面部5aよりも可撓性が大きいことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも乳頭部が、可撓性を有する材質からなる哺乳用乳首において、
乳頭部には、対向配置される1組の平面部と、この平面部同士を連結する連結部とが備えられており、連結部が、平面部よりも可撓性が大きいことを特徴とする哺乳用乳首。
【請求項2】
乳頭部の先端部が、平面部よりも外方に膨出していることを特徴とする請求項1記載の哺乳用乳首。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、哺乳用乳首(以下、単に乳首という)、具体的には、口唇口蓋裂乳児用の乳首に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、口唇口蓋裂乳児に用いられる乳首としては、乳頭部が、健常児用の乳首の乳頭部よりも大径で、乳頭部における円筒状に形成された外周面の一部に、所定幅に形成された厚みのある扁平部が形成されているとともに、扁平部以外の外周面が、湾曲状に形成され、健常児用の乳首の乳頭部よりも薄く形成されているものが開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
この乳首は、扁平部の両端部を口唇口蓋裂部(以下、単に裂部という)に当接させて裂部を塞ぐことにより、口唇口蓋裂乳児の哺乳力の向上を図るものである。
【0003】
ところが、上記の乳首は、厚みのある扁平部の両端部を裂部に当てた状態で使用されるため、乳汁を吸う際に圧迫されると、扁平部を介して裂部に圧力がかかり、裂部が傷つくことがある。また、裂部の幅が広い場合などには、扁平部が裂部を塞ぎにくく、ともすると、扁平部が裂部に嵌り込んで裂部が傷ついてしまうこともある。そして、傷ついた裂部の炎症がひどくなると、褥創性潰瘍が生じることもある。
【0004】
一方、口腔外科医療においては、ホッツプレート(哺乳床)の装着が推奨されており、現在、先進諸国において90%以上の装着率となっている。
ホッツプレートとは、使用者個々の口腔内上鍔部の型を取って成型されたもので、口腔内上鍔部全体に取り付けて、裂部を塞ぐとともに保護するものである。ホッツプレートには、褥創性潰瘍を予防または改善する効果や、舌の圧力による破裂幅の拡大を予防または改善する効果がある上、口唇形成手術をよりよく行うための前段階としても効果的であるとも言われており、今後ホッツプレートの装着率は一層向上していくものと思われる。
【0005】
【特許文献1】特開昭60−182949号公報(第2−5頁、第1図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上述の公開公報に開示された乳首は、口唇口蓋裂乳児が容易に乳汁を飲むことができるように、乳頭部を健常児用の乳首の乳頭部よりも大径とし、乳頭部の外周面の一部に、所定幅に形成された厚みのある扁平部を設けるとともに、扁平部以外の外周面の厚さを、健常児用の乳首の乳頭部よりも薄く形成したものであるので、ホッツプレートの装着により、口唇口蓋裂乳児の口腔内が、健常児の口腔内とほぼ同様の状態となった場合においては、乳頭部を容易に圧迫できるため、必要以上に乳汁が出すぎてしまう。その結果、むせたり、口から漏れたりするという不具合が生じる。
【0008】
一方、健常児用の乳首は、乳頭部全体が丸いため、乳首をとらえにくい上、健常児の哺乳力に適した厚さ、具体的には、約1.3mmに形成されているので、乳頭部を強く圧迫しなければ乳汁が出にくく、ホッツプレートを装着した場合であっても、口唇口蓋裂乳児にとっては乳汁を飲みにくい。
【0009】
本発明は、上記問題点に鑑みて提案されたものであって、口唇口蓋裂乳児が、ホッツプレートを装着した場合に、快適に乳汁を飲むことのできる哺乳用乳首を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の目的を達成するために、本発明の乳首は、少なくとも乳頭部が、可撓性を有する材質からなる哺乳用乳首において、乳頭部には、対向配置される1組の平面部と、この平面部同士を連結する連結部とが備えられており、連結部が、平面部よりも可撓性が大きいことを特徴とするものである。
また、本発明の乳首は、乳頭部の先端部が、平面部よりも外方に膨出しているものであってもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
本実施形態の乳首1は、シリコーンゴム製で、射出成型してなるもので、図1、図2に示すように、乳頭部2と、乳頭部2に連続する椀状の胴部3と、胴部3の周縁部に形成される取り付け部4とを備えている。なお、乳首1は、押圧成型によって形成してもよい。
【0013】
乳頭部2は、胴部3の中央から突出する乳頭本体部21と、乳頭本体部21の先端に設けられた先端部としてのドーム部7とを備えている。乳頭本体部21は、対向配置される1組の平面部5a,5bと、この平面部5a,5bの端部同士を連結する連結部6a,6bとを備えている。平面部5a,5bは、図3、図4に示すように、略同じ形状で、ドーム部7と胴部3との間に略同一の幅で形成されている。そして、図10に示すように、健常児用の乳首の厚さよりも厚肉に形成されている。一方、連結部6a,6bは、平面部5a,5bに連続して設けられており、図10に示すように、外方に湾曲した形状で、健常児用の乳首の厚さよりも薄肉に形成されている。具体的には、平面部5a,5bは約2mm厚に形成されており、連結部6a,6bは約0.5mm厚に形成されている。
【0014】
ドーム部7は、図2、図10に示すように、平面部5a,5bとの連接部に、平面部5a,5bよりも外方に膨出する先端膨出部71a,71bを備えている。また、ドーム部7は、図7、図8、図10に示すように、平面部5a,5bの上方に連続する部分が厚肉に、連結部6a,6bの上方に連続する部分が薄肉に形成されている。さらに、図9、図10に示すように、薄肉部分は、連結部6a,6bとの連接部分からドーム部7の頂部に向かって、次第にその幅が狭くなるように形成されている。
【0015】
ドーム部7の頂部には、乳口8が設けられている。乳口8は、ドーム部7の頂部に十字に切込みを入れて形成されており、この乳口8の切込み方向は、図5に示すように、平面部5a,5bに対して約45度傾斜している。
また、図7から図10に示すように、ドーム部7の内面には、乳口8の周囲からドーム部7の内部空間に向かってリング状の補強リブ10が突設されている。
【0016】
胴部3は、椀状に形成されており、乳頭部2の根元部から連続して設けられている。
【0017】
取り付け部4は、胴部3の周縁部に形成されるフランジ部11と、フランジ部11の下面に凸状に形成されるリブ12と、フランジ部11の一部に設けられる空気弁13とを備えている。空気弁13は、図8に示すように、フランジ部11の下面に袋状に形成されており、一字状の切れ目を備えている。
【0018】
以上のように構成された乳首1の使用方法およびその作用について説明する。
まず、乳首1を哺乳瓶(図示せず)に取り付ける。つまり、哺乳瓶の開口部にリブ12を嵌め込み、フランジ部11を哺乳瓶とそのキャップ(図示せず)との間で固定する。
次に、ホッツプレートを装着した口唇口蓋裂乳児(以下、患児という)の口に乳首1をふくませる。このとき、一方の平面部5aが上顎側に、他方の平面部5bが舌側に配置されるように乳首1の向きを調整する。
【0019】
そして、乳首1が取り付けられた哺乳瓶の底部が、乳首1よりも上側に位置するように傾けた状態で、授乳を行う。
【0020】
ところで、口腔内上顎部には、その中央部にエクボ状の凹部がある。この凹部は、乳首の乳頭先端部が係止可能な形状であり、健常児は、母乳を吸啜する際、乳首が口腔内で移動すると吸いにくいので、この凹部に乳頭部の先端部を係止させた状態で乳首を吸っている。また、ホッツプレートの表面にも、健常児と同様に、凹部が形成されている。
【0021】
患児に乳頭部2をふくませると、患児は、下方に位置する平面部5bに舌を押し当てて、上方に位置する平面部5aをホッツプレートの表面に当接させる。このとき、平面部5aに連接する先端膨出部71aは、ホッツプレートに形成された凹部に係止されている。
次に、平面部5bを舌で押し上げると、平面部5a,5bよりも可撓性の大きい連結部6a,6bが撓み、乳頭部2は、平面部5a,5b同士が近接するように圧迫される。続いて、平面部5bを舌で前後にしごくと、乳口8から乳汁が出る。なお、哺乳瓶内の空気圧は、空気弁13から哺乳瓶内に空気を取り入れることにより一定に保たれる。
【0022】
以上のように、本実施の形態の乳首1は、対向配置される1組の平面部5a,5bと、この平面部5a,5bを連結する連結部6a,6bとを備えているので、患児は、舌を平面部5bに確実にフィットさせることができる。したがって、舌で押し上げる力が弱くても、平面部5bを確実に押し上げて、平面部5aをホッツプレートの表面に押し当てることができる。
【0023】
また、平面部5a,5bが、健常児用の乳首の厚さよりも厚肉に形成されているとともに、連結部6a,6bが、同じく健常児用の乳首の厚さよりも薄肉で、外方に湾曲した形状に形成されているので、平面部5bを舌で軽く押し上げるだけで、連結部6a,6bが容易に撓み、乳口8から乳汁が出る。したがって、哺乳力の弱い患児であっても、疲れることなく乳汁を快適に飲むことができる。
【0024】
また、乳頭部2のドーム部7には、平面部5a,5bよりも外方に膨出する先端膨出部71a,71bを備えているので、ホッツプレートの表面に平面部5aを当接させたときに、先端膨出部71aをホッツプレートの表面の凹部に係止させることができる。したがって、乳汁を飲んでいる最中に、乳頭部2が口から外れたり、口腔内で、乳頭部2が移動するのを防止できるため、哺乳動作が中断されることがなく、快適に乳汁を飲むことができる。
【0025】
また、乳口8の十字の切込みの切込み方向を、平面部5に対して約45度傾斜させているので、平面部5a,5bに互いに近接するように押圧力が作用した場合には、十字の切込みが均一に開口する。したがって、従来の十字の切込みのように、平面部5に対して略垂直方向に切り込まれた切込みが裂けてしまうのを防止できるため、乳首1の寿命を長くすることができる。さらに、補強リブ10が設けられているので、より切込みが裂けるのを防止できる。
【0026】
また、平面部5a,5bおよび先端膨出部71a,71bが対向配置されているので、患児に乳頭部2をふくませる際に、平面部5a側が上側であっても平面部5b側が上側であっても使用でき、利便性に優れている。
【0027】
なお、本実施の形態では、乳首の材質をシリコーンゴム製としたが、材質はこれに限定されるものではなく、例えば、イソプレンゴムや天然ゴムなど、可撓性を有する材質であればよい。
【0028】
また、平面部5a,5bと連結部6a,6bとの厚さは、上記の厚さに限られることはない。さらに、連結部6a,6bを容易に撓むようにするためには、薄肉に形成することに限られず、例えば、連結部6a,6bの部分を可撓性の大きい他の材質で形成してもよい。そして、平面部5a,5bを撓みにくくするためには、厚肉に形成することに限られず、例えば、平面部5a,5bに可撓性の小さい板状部材を介装させてもよいし、可撓性の小さい他の材質で形成してもよい。
【0029】
また、平面部5a,5bは、略同じ形状に形成されているが、幅や厚さ等が異なっていても構わない。
【0030】
【発明の効果】
以上のごとく本発明の乳首は、乳頭部に、対向配置される1組の平面部と、この平面部同士を連結する連結部とが備えられており、連結部が、平面部よりも可撓性が大きいので、平面部を舌で軽く押し上げるだけで、容易に連結部が撓む。したがって、哺乳力の弱い口唇口蓋裂乳児であっても、疲れることなく乳汁を快適に飲むことができる。
また、乳頭部の先端部が、平面部よりも外方に膨出しているので、先端部がホッツプレートの表面の凹部に係止される。したがって、乳汁を飲んでいる最中に、乳頭部が口から外れたり、口腔内で、乳頭部が移動するのを防止できるため、哺乳動作が中断されることがなく、快適に乳汁を飲むことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1実施形態の乳首の斜視図。
【図2】図1における乳首の正面図。
【図3】図1における乳首の左側面図。
【図4】図1における乳首の右側面図。
【図5】図1における乳首の平面図。
【図6】図1における乳首の底面図。
【図7】図2における乳首のA−A断面図。
【図8】図4における乳首のB−B断面図。
【図9】図2における乳首のC−C断面図。
【図10】図2における乳首のD−D断面図。
【符号の説明】
1       哺乳用乳首
2       乳頭部
5a,5b   平面部
6a,6b   連結部
7       ドーム部(先端部)
【出願人】 【識別番号】000107284
【氏名又は名称】ジェクス株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区糸屋町2丁目4番6号
【出願日】 平成14年9月27日(2002.9.27)
【代理人】 【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳

【公開番号】 特開2004−113549(P2004−113549A)
【公開日】 平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願番号】 特願2002−282407(P2002−282407)