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【発明の名称】 医療用複室容器
【発明者】 【氏名】樫山 薫明

【氏名】田中 達也

【氏名】中田 賢三

【氏名】片岡 完

【要約】 【課題】混合前の薬剤が排出部から流出するのを確実に防止することができる医療用複室容器を提供する。

【解決手段】薬剤を収納可能な2つの収納室9,11と各収納室9,11間を仕切る仕切り用弱シール部13とを有する容器本体5と、この容器本体5に取り付けられ一方の収納室11から薬剤を排出可能とする薬剤排出部7とを備え、仕切り用弱シール部13が、使用に際して各収納室9,11を連通させるように開封可能に構成された医療用複室容器において、収納室11と薬剤排出部7との間を仕切り、使用に際して開封可能な排出用弱シール部15と、容器本体5の表面に取り付けられた把持部とを備え、この把持部を引っ張り容器本体5の対向する内壁面を離間することにより両弱シール部13,15の少なくとも一方が開封することを特徴とする医療用複室容器。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収納可能な複数の収納室及び前記各収納室間を仕切る仕切り用封止部を有する容器本体と、該容器本体に取り付けられ前記収納室から薬剤を排出可能とする薬剤排出部とを備え、前記仕切り用封止部が、使用に際して前記各収納室を連通させるように開封可能に構成された医療用複室容器において、
前記収納室と前記薬剤排出部との間を仕切り、使用に際して開封可能な排出用封止部と、
前記容器本体の表面に取り付けられた複数の把持部とを備え、
該把持部を引っ張って前記容器本体の対向する内壁面を離間させることにより、前記仕切り用封止部及び排出用封止部の少なくとも一方が開封することを特徴とする医療用複室容器。
【請求項2】
前記仕切り用封止部と前記排出用封止部とが連結されており、
前記把持部を引っ張ることにより、前記仕切り用封止部及び排出用封止部がともに開封することを特徴とする請求項1に記載の医療用複室容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同時に配合すると経時変化を起こすような不安定な各種薬剤を個別に封入する複数の収納室を備え、各収納室間を仕切っている仕切り用封止部を開封することにより、各収納室内に封入されている薬剤を無菌状態で且つ異物を発生させることなしに混合できる医療用複室容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
消化器手術等の術後の患者は、経口摂取ができない場合が多いため、患者の栄養管理は、一般に中心静脈投与用の高カロリー輸液(IVH)により行われている。IVHでは、通常、栄養源である糖質、アミノ酸、及び電解質が投与されるが、例えばブドウ糖とアミノ酸とを同一の容器に収納して保存すると、いわゆるメイラード反応によって混合液が褐変するため、これらは別々に収納しておく必要がある。そのため、これらの薬剤を個別に収納する医療用複室容器が近年普及している。
【0003】
このような医療用複室容器は、例えばアミノ酸を含む輸液とブドウ糖を含む輸液とがそれぞれ収納される2つの収納室と、一方の収納室に設けられて薬剤を排出可能な排出部とを備えている。このとき、例えば一方の収納室に抗生剤のような粉末又は固形の薬剤を収納するとともに、他方の収納室にその溶解液等を収納することもできる。2つの収納室は、薬剤が混合しないように仕切り用弱シール部により仕切られており、使用の際に液体を収納した収納室を押圧すると、この収納室内の圧力が高まって仕切り用弱シール部が開封するように構成されている。仕切り用弱シール部を開封すると2室が連通して薬剤が混合され、この状態で排出部に導管を接続すると、混合された薬剤を患者に投与することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような医療用複室容器は、排出部側の収納室に薬液を収納している場合が多いため、仕切り用弱シール部を開封する前に排出部に誤って導管を接続してしまうと、混合前の薬液が排出部から流れ出てしまうおそれがある。
【0005】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、混合前の薬剤が排出部から流出するのを確実に防止することができる医療用複室容器を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、薬剤を収納可能な複数の収納室及び前記各収納室間を仕切る仕切り用封止部を有する容器本体と、該容器本体に取り付けられ前記収納室から薬剤を排出可能とする薬剤排出部とを備え、前記仕切り用封止部が、使用に際して前記各収納室を連通させるように開封可能に構成された医療用複室容器において、前記収納室と前記薬剤排出部との間を仕切り、使用に際して開封可能な排出用封止部と、前記容器本体の表面に取り付けられた複数の把持部とを備え、該把持部を引っ張って前記容器本体の対向する内壁面を離間させることにより、前記仕切り用封止部及び排出用封止部の少なくとも一方が開封することを特徴とする医療用複室容器を提供するものである。
【0007】
前記医療用複室容器は、少なくとも1つの前記仕切り用封止部と前記排出用封止部とが連結されており、前記把持部を引っ張ることにより、前記仕切り用封止部及び排出用封止部がともに開封するものとすることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る医療用複室容器の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。図1は本実施形態に係る医療用複室容器の平面図であり、図2は図1のA−A線断面図である。
【0009】
図1に示すように、この医療用複室容器1は、2枚のフィルムの周縁部3を融着することにより矩形状に形成された容器本体5と、この容器本体5の下端部に接続され内部にゴム栓を有する薬剤排出部7とを備えている。容器本体5は、幅方向に並べて配置され薬剤が封入される第1収納室9及び第2収納室11を有しており、2つの収納室9,11は長手方向に延びる仕切り用弱シール部(仕切り用封止部)13で仕切られている。仕切り用弱シール部13の下端部には、幅方向に延びる排出用弱シール部(排出用封止部)15が形成されており、この弱シール部15により両収納室9,11と薬剤排出部7とが仕切られている。仕切り用弱シール部13と排出用弱シール部15とは容器本体5の2枚のフィルムの内壁面同士を融着することで形成されたものであり、連結されてT字状に形成されている。また、両弱シール部13,15は、後述するように、外力を加えると開封する程度の圧力で融着されている。
【0010】
容器本体5を構成するフィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂等、種々の樹脂材料を採用することができる。また、単層のフィルムに限られず、多層構造のフィルムを使用することもでき、例えば、内外層がポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンで、中間層が環状オレフィンコポリマーである3層構造のフィルムを使用することができる。
【0011】
図2に示すように、容器本体5を構成する両フィルムの表面には、外力を作用させてこれらを離間するための把持部17がそれぞれ取り付けられている。把持部17は、容器本体5の表面に融着により貼り付けられる貼着部17aと、指等で把持可能な把持片17bとから構成されており、把持片17bが仕切り用弱シール部13と排出用弱シール部15との連結部分に配置されるように貼着部17aが位置決めされている。また、把持部17は、上記した仕切り用弱シール部13及び排出用弱シール部15より強い融着強度で容器本体5に取り付けられている。なお、融着以外であっても、弱シール部13,15より強い強度を実現できるものであればよく、例えば接着剤により把持部17を容器本体5に取り付けることもできる。
【0012】
各収納室9,11には、隔離すべき各種薬剤a,bがそれぞれ封入されており、例えば一方の収納室にアミノ酸を含有する溶液、他方の収納室に還元糖を含有する溶液を収納することができる。このとき、一方の収納室に固形又は粉末の薬剤、他方の収納室に薬液を収納することもできる。また、必要に応じていずれか一方の収納室に電解質等を封入することもできる。
【0013】
次に、上記のように構成された医療用複室容器の使用方法について説明する。複室容器1内の薬剤を患者に投与するには、まず、容器本体5の両フィルムを離間するように、把持片17bを指で引っ張る。これにより、仕切り用弱シール部13及び排出用弱シール部15が、その連結部分付近から開封し、両収納室9,11及び薬剤排出部7が連通する。こうして両収納室9,11内の薬剤は混合され、排出部7から排出可能な状態となる。続いて、薬剤排出部7のゴム栓に導管(図示省略)が接続された刺栓針(図示省略)を刺入すると、混合された薬液が導管を介して患者に投与される。
【0014】
以上のように、本実施形態によれば、各収納室9,11と薬剤排出部7とが排出用弱シール部15により仕切られているため、例えば両収納室9,11内の薬液を混合する前に、誤って薬剤排出部7に刺栓針を刺入した場合であっても、混合前の薬液が排出部7から排出されるのが防止される。この場合、刺栓針を刺入しても排出部7からは薬液が排出されないため、使用者は、このことにより排出用弱シール部15及び仕切り用弱シール部13が開封していないことを認識することができる。したがって、排出用弱シール部15を設けることにより、適切な使用方法、つまり両弱シール部13,15を開封した後に、刺栓針を刺入するという正しい順序での使用を喚起することができる。
【0015】
また、把持部17を指で引っ張って両弱シール部13,15に直接力が作用するように構成されているため、比較的強い強度で融着しても両弱シール部13,15の開封が可能となる。このように強い強度で弱シール部13,15を融着すると、容器の運搬中に弱シール部が開封するのを未然に防止することができる。
【0016】
さらに、排出用弱シール部15と仕切り用弱シール部13とが連結され、この連結部分の近傍に把持部17が取り付けられているため、一回の引っ張り操作で両弱シール部13,15を同時に開封することができる。したがって、操作の迅速化を図ることができる。
【0017】
上記のような医療用複室容器は、種々の製造方法により製造することができるが、例えば次に示すような方法を一例として挙げることができる。
【0018】
図3に示すように、まず、容器本体5の周縁部3を融着する。このとき、上端部および下端部の中央に非融着部を形成する。これらは、それぞれ薬剤注入用の注入口3a、及び薬剤排出用の排出口3bとして作用する。次に、注入口3aと排出口3bとを結ぶように容器本体5の長手方向に延びる仕切り用弱シール部13、及び排出口3bを幅方向に塞ぐ排出用弱シール部15を形成する。これら弱シール部13,15はT字をなすように連結されており、1回の融着操作で同時に形成される。
【0019】
続いて、図4に示すように、ゴム栓で一端部が封止された薬剤排出部7を準備し、この排出部7の上端を2枚の把持部17で挟んで融着する。次に、容器本体5の排出口3bを挟むようにして2枚の把持部17をそれぞれ容器本体5のフィルム面に融着する。このとき、把持部17の一部を非融着として把持片17bを形成しておく。そして、注入口3aから各収納室9,11に薬液を注入した後、注入口3aを融着して封止すると、容器が完成する(図1)。
【0020】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記したものに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、両弱シール部13,15を把持部17によって開封するように構成しているが、これに限定されるものではなく、各弱シール部13,15を別々に開封するようにすることもできる。例えば、排出用弱シール部15のみが把持部17によって開封するようにし、仕切り用弱シール部13が収納室9,11を押圧して内部の圧力を高めることにより開封するように構成することもできる。或いは、仕切り用弱シール部13用の把持部をさらに設け、両弱シール部13,15を別々の把持部を引っ張ることで開封するようにすることもできる。
【0021】
上記実施形態では、仕切り用弱シール部13を容器本体5の長手方向に延びるように形成しているが、図5に示すように、容器本体5の幅方向に延びるように形成することもできる。この場合には、両弱シール部13,15が分離されているため、上記のように各弱シール部13,15を別々に開封できるように構成する必要がある。
【0022】
また、把持部17は、容器本体5のフィルムを離間させるように外力を作用させることができるものであれば、上記したもの以外にも種々の態様をとることができる。例えば、指を挿入可能な孔を設け、この孔に指を引っかけた状態で容器本体5のフィルムを離間させるようにすることもできる。また、上記説明では、把持部17は容器本体5及び薬剤排出部7の両方に亘って取り付けられているが、これ以外にも種々の構成を採ることができ、少なくとも容器本体5の表面に配置されていればよい。例えば、図6に示すように、容器本体5の表面に、仕切り用弱シール部15を覆う程度の大きさに形成して取り付けるようにすることもできる。
【0023】
また、上記実施形態では、容器本体5のフィルム内壁面を融着することで、両弱シール部13,15を形成しているが、これに限定されものではなく、外部からの力の作用によって開封するものであれば、種々の態様を採ることができる。例えば、容器本体5の対向する各フィルム面に凸条部及び凹条部をそれぞれ設け、これらを離脱可能に凹凸嵌合させることによってシール部(封止部)を構成することもできる。或いは、一部が他の部分より薄くなっている仕切り用の膜を容器の対向するフィルム間に設け、外力により開封しやすいように構成することもできる。
【0024】
また、収納室の数は、上記のように2つに限定されるものではなく、3つ以上にすることもでき、この場合、各収納室を上記のような仕切り用封止部で仕切っていればよい。
【0025】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、各収納室と薬剤排出部とが排出用封止部により仕切られているため、例えば両収納室内の薬液を混合する前に、誤って薬剤排出部に刺栓針を刺入した場合であっても、混合前の薬液が排出部から排出されるのが防止される。この場合、刺栓針を刺入しても排出部からは薬液が排出されないため、使用者は、このことにより排出用封止部及び仕切り用封止部が開封していないことを認識することができる。したがって、適切な使用方法、つまり両封止部を開封した後に、刺栓針を刺入するという正しい順序での使用を喚起することができる。
【0026】
また、把持部を引っ張ることで封止部が開封するように構成されているため、封止部に対して外力を作用させ易く、比較的強い強度で封止部が形成されていたとしても開封することができる。このように強い強度で封止部を形成すると、容器の運搬中に封止部が開封するのを確実に防止することができる。また、引っ張りによって封止部を開封できるため、押圧して封止部を開封する場合のように容器を置くための場所が不要になる。
【0027】
さらに、排出用封止部と仕切り用封止部とを連結し、把持部を引っ張ることで両封止部がともに開封するように構成すると、一回の引っ張り操作で両封止部が同時に開封し、操作の迅速化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る医療用複室容器の一実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のA−A線断面図である。
【図3】本発明に係る医療用複室容器の製造方法の一例を示す図である。
【図4】本発明に係る医療用複室容器の製造方法の一例を示す図である。
【図5】本発明に係る医療用複室容器の他の例を示す平面図である。
【図6】本発明に係る医療用複室容器の他の例を示す平面図及び断面図である。
【符号の説明】
1  医療用複室容器
5  容器本体
7  薬剤排出部
9,11 収納室
13 仕切り用弱シール部(仕切り用封止部)
15 排出用弱シール部(排出用封止部)
17 把持部
【出願人】 【識別番号】000149435
【氏名又は名称】株式会社大塚製薬工場
【出願日】 平成14年8月23日(2002.8.23)
【代理人】 【識別番号】100065215
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 英二

【識別番号】100076510
【弁理士】
【氏名又は名称】掛樋 悠路

【識別番号】100086427
【弁理士】
【氏名又は名称】小原 健志

【識別番号】100090066
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 博司

【識別番号】100094101
【弁理士】
【氏名又は名称】舘 泰光

【識別番号】100099988
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 健治

【識別番号】100105821
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 淳

【識別番号】100099911
【弁理士】
【氏名又は名称】関 仁士

【識別番号】100108084
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 睦子

【公開番号】 特開2004−81276(P2004−81276A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2002−243110(P2002−243110)