トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 有核成型品の外層を薄層化する方法及びそれに用いる粉粒体
【発明者】 【氏名】尾関 有一
【住所又は居所】名古屋市東区東外堀町35番地 株式会社三和化学研究所内

【要約】 【課題】2重杵を用いた新有核打錠システムにおいて、有核成型品の外層を薄層化する方法を提供するとともに、当該方法により外層の薄層化がより顕在化する粉粒体を提供する。

【解決手段】2重杵を用いた新有核打錠システムにおいて、内核中心から外層方向への圧縮圧力により外層が薄層化する現象を見出し、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることで、好ましくは、内核用粉粒体の圧縮圧を限界圧力付近で行うことにより、外層の薄層化又は薄膜外層成型品の製造に成功した。更には、その外層用粉粒体にふさわしい粉粒体、即ち、流動性を担保した嵩密度の低い粉粒体として、圧縮度が33%以下でかつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下のヒドロキシプロピルメチルセルロースを主とする粉粒体、圧縮度が25%以下でかつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下のショ糖を主とする粉粒体をも提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
臼の上下両方向に杵を有し、上下の杵がいずれも、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなり、該中心杵と外杵がどちらも摺動可能であるとともに圧縮操作が可能である圧縮成型手段を用い、内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給工程と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程と、成型品全体の圧縮成型工程とを含む、有核成型品の製造方法において、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることにより、有核成型品の外層を薄層化する方法。
【請求項2】
内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給工程と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程と、成型品全体の圧縮成型工程とを含む、有核成型品の製造方法が、下外杵に囲まれる下中心杵上の空間に外層用粉粒体を供給する外層供給工程1、下外杵に囲まれ前工程で供給された外層用粉粒体上の空間に内核用粉粒体を供給する内核供給工程、前工程までに供給された外層用粉粒体と内核用粉粒体を圧縮成型する外層内核成型工程、更に、臼内の前工程で成型された外層内核成型品上及びその回りの空間に外層用粉粒体を供給する外層供給工程2、前記外層内核成型品と外層用粉粒体を圧縮成型する全体成型工程 を含む、有核成型品の製造方法である、請求項1に記載の有核成型品の外層を薄層化する方法。
【請求項3】
内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程において、圧縮操作を、更に圧縮圧を上げても内核の圧縮が進まない限界圧力付近で行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の有核成型品の外層を薄層化する方法。
【請求項4】
使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を使用する内核用粉粒体の最疎嵩密度より下げることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の有核成型品の外層を薄層化する方法。
【請求項5】
圧縮度が33%以下でかつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下である主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる粉粒体、又は、圧縮度が25%以下でかつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下である主としてショ糖からなる粉粒体を外層用粉粒体として使用することを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の有核成型品の外層を薄層化する方法。
【請求項6】
圧縮度が33%以下で、かつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下である、主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる粉粒体。
【請求項7】
圧縮度30%以下である、請求項6に記載の粉粒体。
【請求項8】
最疎嵩密度が0.15g/mL以下である、請求項6に記載の粉粒体。
【請求項9】
圧縮度が25%以下で、かつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下である、主としてショ糖からなる粉粒体。
【請求項10】
圧縮度が20%以下である、請求項9に記載の粉粒体。
【請求項11】
最疎嵩密度が0.6g/mL以下である、請求項9に記載の粉粒体。
【請求項12】
粉粒体粒子の形状が、球形であることを特徴とする請求項6〜11に記載の粉粒体。
【請求項13】
外層が、請求項6〜12のいずれかに記載の粉粒体から製造されることを特徴とする成型品。
【請求項14】
請求項6〜12のいずれかに記載の粉粒体の、有核成型品の外層用粉粒体としての使用。
【請求項15】
上下杵が、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなり、該中心杵と外杵がどちらも摺動可能であるとともに圧縮操作が可能な2重杵であり、当該2重杵の中心杵、外杵を動かす手段、及び、該中心杵、外杵の圧縮操作を可能とする手段を有し、同一回転盤上において、内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給部位と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型部位と、内核を含有する成型品全体の圧縮成型部位を備える、有核成型品を製造するための回転式圧縮成型機において使用する外層用粉粒体としての、請求項6〜12のいずれかに記載の粉粒体の使用。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、成型材料として、主として粉粒体を圧縮して製造する成型品に関する分野に属し、具体的には、有核成型品の外層を薄層化する方法及びそれに用いる粉粒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品や食品、電子部品等の分野において、粉粒体を圧縮して成型品を製造する場合に、ロータリー式打錠機と呼ばれる回転式粉末圧縮成型機を用いる製法が常用されている。また、主として医薬品分野においては、当該装置により調整された素錠に、糖衣、フィルム被膜で素錠を覆うフィルムコーティング、或いは、粉粒体そのもので素錠を覆う圧縮コーティング (いわゆる有核錠)を施すことが多い。一般に、これらコーティングの目的は、▲1▼悪味・悪臭・色のマスキング、▲2▼主薬の安定化、▲3▼刺激性又はアレルギー性を起こさせるような薬剤の発塵の防止、▲4▼腸溶性、徐放性の付与による薬効発現の調節、▲5▼外観の改善と商品価値の増加等であり、コーティングの方法、被膜の厚さ、被膜の特性等はその目的に応じて選択される。
【0003】
そのなかでも有核錠と呼ばれる圧縮コーティング錠(以下、「有核錠」とする)は、コーティング工程で水や有機溶媒を使用しないため、乾燥工程が不要であり、内核が溶媒の影響を受けない。また、内核と外層に異なる主薬成分を配合することが可能なため、配合変化が懸念される主薬成分を分離することが可能であり、更には、内核、外層の成分により主薬成分の放出制御(腸溶性、徐放性、タイムラグ等)を調節することも容易である。しかし、有核錠は、その製造方法から外層厚みを薄膜とすることが出来ず、錠剤の大型化を招き嚥下し難い錠剤となり易い等、大きな問題があり、これらを回避するため、薄膜化が可能なフィルムコーティングが多用されているのが現状である(粉体の圧縮成形技術 P298−299 粉体工学会・製剤と粒子設計部会編)。
【0004】
従来、このような有核錠を製造する場合、あらかじめ内核を成型品として調製し、その成型品としての内核を臼内に供給した後、さらに外層粉粒体を供給・圧縮成型する方法が取られていた。当該方法では、高速に回転する回転盤内の臼に正確に内核を導入する必要があるが、これには技術上の問題点も多く、又、内核を予め調整しておく必要性があるため、生産コストの面においても問題が多かった。そこで本発明者らは、新たな有核成型品の製造方法として、WO 01/98067 公報記載の、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなる圧縮成型手段を用いた有核錠の製造方法及び製造装置を考案した。当該製造装置は、従来型の内核を導入する方式では無く、2重構造の杵を用いて一連の工程で有核錠を製する方法であり、それまでの有核打錠機に比べると、外層を薄くすることが可能である。ところが、この新有核打錠システムにおいても、図1−J、Kに示すように、外層厚み(外層用金型先端部の厚み、肉厚と同意)がある程度の厚みを保持しているか、或いは外層用粉粒体に極めて流動性・充填性に優れる粉粒体を用いれば、内核周囲に外層用粉粒体を問題なく充填することができるが、外層が極めて薄い場合は問題がある。即ち、図2に示すように、外層用の空間への粉粒体の充填不良(図2−A)や、外層内への内核押し上げ時に外層用粉粒体も同時に押し上げられてしまう問題(図2−B)等が懸念される。そのため、外層用金型先端部の厚みを薄くすることによって外層を薄層化するには、限界がある。
【0005】
これらの問題を解決する方法として、外層に用いる粉粒体の物性を造粒等により改良し、粉粒体に流動性・充填性を付与することは一般的な方法である。また一般に流動性・充填性に優れた粉粒体の粒子形状は球形であることが多く、流動性悪化の原因となる粒子間の付着や摩擦が少ない。そこで、流動性の乏しい粉流体の粒子間摩擦や付着の改善を目的とした高分散性シリカ(日本薬局方軽質無水ケイ酸)やタルクの添加も汎用される方法である(医薬品添加剤要覧 P96−97星登他)。更には、より重質粒子を持つ粉粒体の方が、臼内への充填性に優れることから、粉粒体の嵩密度を上げることが望ましいとされており、実際の粉粒体においては、微粉の割合を減らすことで、付着や摩擦の顕著な微粉粒子による流動性悪化の防止と嵩密度の上昇(粒子の重質化と同意)による流動性の改善をとる方法が常用されている。その一例として、特開2001−114703号公報では、流動性の乏しい従来型L−HPCを、粒度を調節することで重質なものとし、流動性を改善している。更に同公報では、嵩密度の低いL−HPCで作られた顆粒は流動性が低いものとなり、その顆粒を打錠して錠剤を製造する工程においては、高速で打錠すると、その嵩高さや流動性の悪さから、錠剤の重量偏差が大きくなるとも報告している。つまり、粉粒体の嵩密度が小さいと、重力流動の効果よりも、粒子間付着力、ひっかかり、摩擦等による影響の方が大きくなり、流動性・充填性が損なわれやすいとしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来技術においては、薄膜外層を有する成型品を圧縮コーティング(いわゆる有核錠)で製造することは、従来の内核を外部から導入する方法では技術的に不可能であり、また、2重杵を用いた新有核打錠システムにおいても、ある程度の外層厚み(外杵先端部の厚み)及び/又は極めて流動性・充填性の良い粉粒体が必要であることから、困難であった。そこで、本発明においては、薄膜外層を有する成型品を簡易な直接打錠により製造することを最終目的として、2重杵を用いた新有核打錠システムにおいて、有核成型品の外層を薄層化する方法を提供するとともに、当該方法により外層の薄層化がより顕在化する粉粒体を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために、臼の上下両方向に杵を有し、上下の杵がいずれも、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなり、該中心杵と外杵がどちらも摺動可能であるとともに圧縮操作が可能である圧縮成型手段を用い、内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給工程と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程と、成型品全体の圧縮成型工程とを含む、有核成型品の製造方法において、成型品全体への圧縮力が、通常の圧縮加圧方向のみだけで無く、内核中心から外層方向にも加わることに着目した。つまり、内核中心から外層方向への圧縮圧力により、外層が薄層化する現象を見出し、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることにより、有核成型品の外層の薄層化を顕在化できることがわかった。また、内核用粉粒体の圧縮成型工程において、圧縮操作を、更に圧縮圧を上げても内核の圧縮が進まない限界圧力付近で行うことが好ましいことが判明した。
【0008】
本発明はまた、その外層用粉粒体としての使用にふさわしい粉粒体、即ち、流動性を担保した嵩密度の低い粉粒体をも提供する。それは、例えば、圧縮度が33%以下でかつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下である主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる粉粒体、圧縮度が25%以下でかつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下である主としてショ糖からなる粉粒体である。
【0009】
【発明の実施の形態】
本明細書において、粉粒体という用語は、湿式、乾式の両者を含む成型可能なあらゆる材料であり、粉末、顆粒、及びそれに類するものをすべて含めて使用している。また、本発明の基礎となった有核成型品の製造方法は、WO01/98067公報に記載された方法であり、詳細はそちらを参照されたい。
【0010】
本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法とは、臼の上下両方向に杵を有し、上下の杵がいずれも、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなり、該中心杵と外杵がどちらも摺動可能であるとともに圧縮操作が可能である圧縮成型手段を用い、内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給工程と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程と、成型品全体の圧縮成型工程とを含む、有核成型品の製造方法において、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることを特徴とする。ここで、内核用粉粒体と外層用粉粒体のそれぞれの供給工程と、内核用粉粒体又は内核用粉粒体と外層用粉粒体の圧縮成型工程と、成型品全体の圧縮成型工程とを含む、有核成型品の製造方法とは、例えば、下外杵に囲まれる下中心杵上の空間に外層用粉粒体を供給する外層供給工程1、下外杵に囲まれ前工程で供給された外層用粉粒体上の空間に内核用粉粒体を供給する内核供給工程、前工程までに供給された外層用粉粒体と内核用粉粒体を圧縮成型する外層内核成型工程、更に、臼内の前工程で成型された外層内核成型品上及びその回りの空間に外層用粉粒体を供給する外層供給工程2、前記外層内核成型品と外層用粉粒体を圧縮成型する全体成型工程 を含む、有核成型品の製造方法である。当該製造方法では、外層供給工程1の後に、当該外層用粉粒体を圧縮成型する外層成型工程を行うことが好ましい。
【0011】
本発明は、基本的には、現在使用している2重構造の杵を変えないで、いかにして成型品の外層部分を薄層化するかということである。即ち、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることにより、それが達成される。他方、本発明は、究極的には、前記2重杵を用いた新有核打錠システムを用いて、いかに薄膜外層を有する成型品を作るかということでもある。即ち、本発明は、薄膜外層を有する成型品の製造方法にまで言及する。
【0012】
本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法は、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることにより達成される。これは、既述のように、成型品全体への圧縮力が、通常の圧縮加圧方向のみだけで無く、内核中心から外層方向にも加わることから、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げることにより、内核(成型物)と外層用粉粒体の嵩密度の差をより顕著化し、前記内核中心から外層方向への圧縮圧力により外層方向へ内核を変形させることで、外層の薄層化を行うものである。本法においては、使用する外層用粉粒体の最疎嵩密度を内核用粉粒体の最疎嵩密度より下げることにより、更に薄層化効果を期待できる。即ち、外層用粉粒体の最疎嵩密度を内核用粉粒体の最疎嵩密度より下げることによって、内核(成型物)と外層用粉粒体の嵩密度の差をより顕著化し、外層方向への内核の変形を促進させるものである。尚、本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法においては、外層用粉粒体として、後述の本発明の粉粒体を使用することもできる。
【0013】
本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法においては、内核用粉粒体の圧縮成型を、それ以上圧縮圧を上げても内核の圧縮が進まない(内核空隙率が0に近づくことと同意味)限界圧力付近で行い、更に、全体成型工程における圧縮成型を、外層を薄膜化するため、内核を外層方向へ変形させるのに必要充分な圧力により圧縮成型を行うことが好ましい。
詳述すれば、内核用粉粒体の圧縮成型工程(後記外層内核成型工程)において、圧縮操作を、更に圧縮圧を上げても内核の圧縮が進まない(内核空隙率が0に近づく)限界圧力付近で行い、内核成型品の密度を上げた後に外層用粉粒体を充填し、次の全体圧縮工程において、内核と外層用粉粒体の嵩密度の差を利用して、既に圧縮加圧方向に圧縮が進まなくなった内核を更に圧縮することで、内核に比べ嵩密度の低い外層方向へ内核を変形させ、その圧力により外層を内核中心から外層方向に加圧することで外層を薄層化するという原理である。実際には、杵は、疲労折損を防止すべく、その形状、大きさに応じた許容圧縮圧力が設定されており、それ以下で圧縮するのが好ましい。
【0014】
臼の上下両方向に杵を有し、上下の杵がいずれも、中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなり、該中心杵と外杵がどちらも摺動可能であるとともに圧縮操作が可能である圧縮成型手段としては、回転式圧縮成型機のみならず、いわゆる単発式(片押し法、両押し法、フローティング・ダイ法、ウイズドロアル法等)の圧縮成型機でもよく、その使用機種、機械方式等は特に限定されない。又、言うまでも無いが、杵の摺動、圧縮等の動きは、自動及び/又は手動のいずれの方法を用いても構わない。そのため、杵とは、これらに使用するいずれのタイプであっても構わない。
【0015】
本発明にて使用する中心杵の大きさ(先端部直径;内核の大きさを規定する)は、特に限定されるものではないが、内核を成型する工程を円滑に行うためには、小さすぎるのは好ましくないので、3mmφ以上が適当である。例えば、医薬品又は食品に使用する錠剤(円形錠)とする場合には、成型品の嚥下しやすさ、あるいは咀嚼しやすさ等も考慮すると、3mm〜24mmφ程度であればよく、好ましくは5mm〜15mmφになるよう設計するのが好ましい。変形錠であっても、それに準ずる。
【0016】
本発明にて使用する外杵の厚さ (先端部肉厚;充填工程時の外層の厚さ)は、特に限定されるものではない。ただし、薄膜外層を有する成型品を製造するという観点からは、外杵の厚さは薄くすることが望ましい。しかし、あまり薄くしすぎると、外層用粉粒体の充填工程において、均一な充填が出来ない等の充填不良が懸念される。外層に用いる粉粒体の嵩密度が低い場合は、全体圧縮工程において、内核の外層方向への変形が充分に見込めることから、外層の厚さは、外層に用いる粉粒体の嵩密度、流動性を考慮して設定することもできる。これら要件を考慮すると、薄膜外層成型品を製造したい場合の外杵の厚さは2mm以下程度であればよく、2mm〜0.3mmφ、好ましくは1.5mm〜0.5mmφになるよう設計すればよい。
【0017】
本発明の方法により製造された成型品の形状は特に限定されないが、例えば、医薬品に使用する錠剤とする場合には、嚥下しやすさを考慮すると、円形、小判型あるいはフットボール型が好ましい。また、内核形状についても特に限定されず、いずれの形状を用いてもよいが、成型品の外層全体を薄膜とする場合には、必然的に内核形状は最終成型品と相似形状となる。また、内核と最終成型品の形状が異なる場合は、当然のことながら、部分的に外層の厚みが異なることとなる。
【0018】
次に、外層用粉粒体の最疎嵩密度を下げるための方法について説明する。粉粒体の最疎嵩密度を下げる方法としては様々な方法があるが、粉粒体の平均粒子径を下げることにより嵩密度を下げる方法が最も簡易である。粉粒体の平均粒子径を下げると粉粒体の相対表面積が大きくなり、その結果、粒子間同士の接触点数が増え、同時に粒子間に生じる空間も増えることから、粉粒体の最疎嵩密度を下げることができる。粉粒体の平均粒子径を下げる方法としては、粉粒体の粉砕・破砕が挙げられるが,その方法としては圧縮粉砕,衝撃圧縮粉砕,せん断粉砕,摩擦粉砕等があり,粉体の物理特性に適した粉砕方法を選択することができる。粉粒体の最疎嵩密度を下げる別の方法としては、個々の粒子内に空隙を持たせたり、個々の粒子を完全な中空構造にすることにより、粉粒体の嵩密度を下げる方法もある。このような粒子は、流動層造粒、噴霧乾燥造粒等の造粒方法により得ることができる。
ただし、一般に最疎嵩密度の低い粉粒体は流動性に乏しく、打錠に適さない場合が多いため、高分散性シリカ(日本薬局方軽質無水ケイ酸)やタルク等の、いわゆる流動化剤と呼ばれる賦形剤を適量添加することにより、最疎嵩密度が低く流動性に優れた外層用粉粒体を得ることができる。尚、これら流動化剤は少量で効果を発現することから、粉粒体の嵩密度が大きく変わることはない。
【0019】
尚、本明細書では、嵩密度として特に「最疎嵩密度」を使用している。最疎嵩密度は、いわゆる本分野で「ゆるめ嵩密度」と呼ばれるものと同意味で、粉粒体の疎充填状態での嵩密度をいい、実際の測定は、粉粒体を直径10 mmφ、高さ185mmの10mLメスシリンダー内にJISの12メッシュの篩いを通して上方から均一に供給した後、正確にその容積を読み取り、併せて、メスシリンダー内の粉粒体の重量を測定し、粉粒体の重量(g)を読み取った容積(mL)で除した値(g/mL)である。一方、「最密嵩密度」とは、「固め嵩密度」「タップ嵩密度」と呼ばれるものと同意味で、最疎嵩密度の測定条件に、更にタッピングを加えて密充填にした嵩密度である。実際の測定は、最疎嵩密度の測定のために疎充填されたメスシリンダーを、2cmの高さから100回繰り返し落下させて底部に軽い衝撃を与え、粉粒体を密充填した後、正確にその容積を読み取り、併せて、メスシリンダー内の粉粒体の重量を測定し、粉粒体の重量を読み取った容積で除することにより算出できる。
【0020】
本明細書においては、医薬品における活性成分(有効成分、主成分)や食品における主成分のみならず、成型品からの放出制御の対象となるあらゆる成分を便宜的に「有効成分」と表現し、有効成分以外の成分、即ち、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、凝集防止剤等、通常、製剤技術分野や成型品製造技術分野で常用される種々の添加剤をまとめて「賦形剤成分」と表現する。尚、本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法は、医薬品に限定されるものではなく、食品分野、サニタリー分野、電子部品、冶金等の幅広い分野における成型品に応用することができる。内核又は成型品全体の大きさ・形状、含有成分等は、それぞれの分野、目的に応じて決めればよい。また、経口摂取が可能なものに限定されるものではなく、様々な分野での応用が考えられる。
【0021】
本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法においては、通常は、外層用粉粒体には主として賦形剤成分を、内核用粉粒体には主として有効成分を含有させることが一般的であるが、このような態様に限定されるものではなく、有効成分は外層にも添加することができ、外層には内核と異なる有効成分を含有させるような特殊な形態も可能である。これら外層および内核用粉粒体としては、所望により、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、凝集防止剤等、通常製剤技術分野で常用される種々の添加剤(これらをまとめて賦形剤成分と定義済)を配合すればよい。その添加量は、製剤技術分野で常用されている知見に基づく範囲で、問題なく使用することができる。
【0022】
内核に主として有効成分を、外層に主として賦形剤成分を含有させる一般的な態様においては、外層に含有させるのに適した賦形剤成分としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
賦形剤としては、例えば、白糖、乳糖、ソルビトール、マルチトール、グルコース等の糖類、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、部分α化デンプン等のデンプン類、結晶セルロース、クエン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、硫酸カルシウム、他賦形剤として使用できる各種制酸剤などが挙げられる。
【0023】
結合剤としては、例えば、白糖、グルコース、乳糖、麦芽糖、ソルビトール等の糖もしくは糖アルコール類、デキストリン、デンプン、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン、グアーガム、アラビアゴム、寒天等の多糖類、トラガント、ゼラチン、グルテン等の天然高分子類、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のセルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリエチレングリコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、酢酸ビニル樹脂等の合成高分子が挙げられる。
【0024】
崩壊剤としては、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、コーンスターチ、ヒドロキシプロピルスターチ、部分α化デンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム等が挙げられる。
【0025】
滑沢剤、凝集防止剤としては、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ショ糖脂肪酸エステル、コロイダルシリカ、ステアリン酸、含水二酸化ケイ素、ワックス類、硬化油、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
【0026】
外層、内核に含有させる成分は、そのまま使用することができるが、一旦常法により造粒して造粒粒状物を調製し、必要に応じて整粒して使用することもできる。また、造粒粒状物は、医薬品活性成分、機能性食品成分、或いは一般食品成分を、不活性な担体上に結合剤とともにコーティングして調製することもでき、更には、造粒粒状物を徐放性被膜、タイムラグ被膜、腸溶性被膜、胃溶性被膜、水溶性被膜、糖衣等でコーティングしてもよい。
【0027】
本法においては、前述のように、通常、内核部分に有効成分を含有させることになるため、内核用粉粒体は有効成分と賦形剤成分の混合となり、成型品化したい有効成分によって変動する部分である。医薬品における当該内核用粉粒体の混合末の最疎嵩密度は、一般に0.45〜0.75g/mLであるため、最疎嵩密度がこれ以下の外層用粉粒体があれば、それが最も好ましいものではある。しかし、本発明方法においては、相対的に外層用粉粒体の最疎嵩密度を従来品に対して下げることが重要であり、目的用途に応じた外層用の各種賦形剤成分について、従来品より最疎嵩密度が低く、しかも流動性の失われていない、外層用粉粒体としてふさわしい粉粒体を提供することを考えた。例えば、糖衣錠を製造するという目的のもとで、主としてショ糖からなる外層用粉粒体を使用する場合、従来存在するショ糖の粉粒体の最疎嵩密度をより低くし、流動性のある新たなショ糖粉粒体を提供しようとするものである。
【0028】
本発明の粉粒体の特徴は、最疎嵩密度が低くかつ流動性に優れるため、前述の外層内核成型品上及びその回りの空間に外層用粉粒体を供給する外層供給工程2において、当該空間内に粉粒体を充分行き渡らせることにより、外層の成型不良等を防ぐことが出来るとともに、嵩密度が低いために、内核の変形により内核から外層方向へ容易に圧縮され、外層の薄層化が容易に達成されることである。即ち、前述の本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法において、本発明の外層用粉粒体を組み合わせて用いることで、外層の薄層化がより顕在化する。
ここで、流動性が問題になるのは、本発明の基礎となる2重杵を用いた有核型成型品の製造方法においては、図2に示すように、外杵先端部の厚み(外層厚み)が薄い場合に、外層用粉粒体の充填トラブルが発生する可能性があるためである。
【0029】
本発明の粉粒体は、具体的には、圧縮度が33%以下でかつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下である主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる粉粒体、又は、圧縮度が25%以下でかつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下である主としてショ糖からなる粉粒体である。
圧縮度が33%以下でかつ最疎嵩密度が0.3g/mL以下である主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる粉粒体においては、圧縮度は30%以下とすることが好ましく、また、最疎嵩密度は、0.15g/mL以下とすることが好ましい。
一方、圧縮度が25%以下で、かつ最疎嵩密度が0.75g/mL以下である主としてショ糖からなる粉粒体においては、圧縮度は20%以下とすることが好ましく、また、最疎嵩密度は0.6g/mL以下とすることが好ましい。
【0030】
ここで、「圧縮度」とは、先の最疎、最密嵩密度を利用して粉粒体の流動性を評価する方法である。通常行われている粉粒体の流動性評価は、安息角、圧縮度、Carr等によって提唱された流動性指数などの二次物性を測定して行われる。このうち、安息角の測定はバラツキが大きく、また個人差も生じやすい。これに対し圧縮度は、再現性のある結果が得られやすい。尚、最も流動性を正確に評価する方法としてCarr流動性指数があるが、測定が複雑な為、汎用されてはいない。そこで、三輪らは、Carrの流動性指数と種々の流動性特性値との関連性を調べた結果、Carrの流動性指数は、圧縮度により粗粒、微粉体を問わず完全に表現できることから、圧縮度は実用的な流動性評価法であると報告しており(粉体の圧縮成型技術 P48 粉体工学会編)、本明細書においても、流動性の指標(評価方法)として圧縮度を採用している。圧縮度は、嵩減りの度合いを示す値であり、以下の式で求められる。
圧縮度(%)={(最密嵩密度−最疎嵩密度)/最密嵩密度}×100
又、Carrの流動性指数表から見た、圧縮度と粉粒体の流動性の程度は、圧縮度が37以下であれば、流動性を改善する対策をとれば充填可能と言われるレベルである。
【0031】
本発明の粉粒体に用いるヒドロキシプロピルメチルセルロースは、セルロースのメチル及びヒドロキシプロピルの混合エーテルであり、セルロースのブドウ糖残基をメチルエーテル及びヒドロキシプロピルエーテルの形に置換したものである。又、その置換基の量の違いから、メトキシル基(−OCH)及びヒドロキシプロポキシル基(−OCOH)の含量が異なる、ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208、2906、2910があり、更にはこの3つの置換基含量の異なるヒドロキシプロピルメチルセルロースの中で、重合度の異なる(粘度が異なる)製品が市販されている。医薬品分野においては、フィルムコーティング剤、結合剤、保水剤、徐放性ゲル剤、懸濁化剤、乳化剤、増粘剤等に汎用されている成分である。
【0032】
本発明の粉粒体で用いるショ糖は、いわゆる砂糖であり、シロザラ、グラニュー糖として食用等に多用されている。又、純度や物理的形状の違いにより名称は異なるが、本質的には同一物である。医薬品においては、日本薬局方第13改正の精製白糖等がそれにあたる。医薬品分野においては、結合剤、糖衣錠のシロップ、甘味剤、賦形剤等に汎用されている成分である。
【0033】
本発明の粉粒体においては、「主としてヒドロキシプロピルメチルセルロースからなる」、或いは、「主としてショ糖からなる」と言う記載の中に、「主として」と言う表現があるが、これは、本発明の粉粒体に、適当な他の成分を添加しても良いことを示している。尚、添加可能な成分は、前述の有効成分、或いは賦形剤成分を1種類、或いは組み合わせて添加しても良いし、その添加量も本発明の粉粒体の基本特性(低嵩密度、高流動性)を満たせば特に限定されない。通常、嵩密度を下げた時に問題となる流動性を改善するために、流動化剤を添加することが多い。流動化剤としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルク等が挙げられる。しかしながら、これら他の成分の添加量は、45%以下、好ましくは30%以下、更に好ましくは20%以下に設計すれば良い。
【0034】
本発明の粉粒体は、通常、製剤技術分野や成型品製造技術分野で常用される種々の方法で製造することができ、例えば、転動造粒、押出造粒、圧縮造粒、解砕造粒、攪拌造粒、噴霧乾燥造粒、流動層造粒、転動流動層造粒法、溶融凝固造粒等あるいは、その組み合わせによる造粒方法により粉粒体を調節すればよい。又、調整された粉粒体を更に、篩により分級して粒度調節しても良い。尚、嵩密度を下げるには、流動層造粒、噴霧乾燥造粒が好ましく、同時に流動性を上げる(圧縮度を下げる)ためには、噴霧乾燥造粒が最も好ましい。造粒以外の方法としては,圧縮粉砕,衝撃圧縮粉砕,せん断粉砕,摩擦粉砕といった粉体の破砕・粉砕による調製法も利用することができる。
また、本発明の粉粒体は、流動性を確保するという観点から、含有する主たる成分の粒子形状が球形であることが好ましい。このような球形状とするためには、噴霧乾燥造粒法、転動流動層造粒法、転動造粒法により製造するのが好ましい。
【0035】
以下、本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法の1態様を、主に図1をもとに以下に詳細に説明する。尚、第一外層OP1用粉粒体、第二外層OP2用粉粒体等の表記は、異なる粉粒体を意味するために使用されているのではなく、部位を区別するために便宜的に用いている。ここで、外層用粉粒体としては、本発明の粉粒体、例えば、スプレードライ白糖等を用いることができる。内核用粉粒体としては、特に限定されるものではない。
【0036】
まず、下中心杵5Aを低下させた状態で(図1A)、下外杵5Bにより囲まれる下中心杵5A上の第一外層用空間201に、第一外層OP1用粉粒体を供給し(図1B)、必要に応じて下中心杵5Aを上昇させて、余剰の第一外層用粉粒体を臼外に排出した後、上中心杵4A及び下中心杵5Aを互いに相寄る向きに移動圧縮し(図1C)、第一外層を成型する。(外層成型工程)
【0037】
次に、第一外層OP1の仮成型品を、下中心杵5Aと下外杵5Bにより保持したまま、必要に応じて下中心杵5Aを低下させ、下外杵5Bにより囲まれる第一外層OP1仮成型品上の内核用空間202に内核NP用粉粒体を供給する(図1E、F)。その後、必要に応じて下中心杵5Aを上昇させて、余剰の内核用粉粒体を臼外に排出した後、上中心杵4A及び下中心杵5Aを互いに相寄る向きに移動、限界圧力付近で圧縮し(図1G)、第一外層成型品と内核を成型する。(外層内核成型工程)
【0038】
更に、第一外層と内核の成型品を、下中心杵5Aと下外杵5Bにより保持したまま、下杵(下中心杵5Aと下外杵5Bの両者もしくは下外杵5B)を低下させ(図1I)、臼3内の第一外層と内核の成型品上及びその回りの第二外層用空間203に第二外層OP2用粉粒体を供給する(図1J、K)。第一外層成型品上に保持していた内核の成型品が、外層用粉粒体と外層仮成型品で完全に包含された状態にし(図1K)、必要に応じて余剰の第二外層OP2用粉粒体を臼3内孔外に排出する(図1L)。尚、ここで、先に下外杵5Bを充分下げておいて、第一外層と内核の成型品を見かけ上押し上げた状態にしてから、第二外層OP2用粉粒体を供給することもできる。その後、上杵(上中心杵4Aと上外杵4B)及び下杵(下中心杵5Aと下外杵5B)を互いに相寄る向きに移動し、第一外層と内核と第二外層とからなる成型品全体を、必要に応じて予備圧縮(仮圧縮)を行い、最終的に、内核が外層方向に変形するように、外層核成型工程時の限界圧力付近と同等、或いはそれ以上の圧力にて本圧縮を実施する(図1M)。(全体成型工程)
図1Nは、完成した成型品を取り出す工程である。
【0039】
このようにしてできあがった有核成型品は、外層用粉粒体として、通常の粉粒体よりも更に最疎嵩密度の低い粉粒体を使用することによって、外層を薄層化することが可能となる。
【0040】
本発明はまた、内核が複数個である有核成型品の場合にも、容易に応用することができる。前記態様の成型品の製造方法は、その一部の工程を繰り返すことにより、容易に内核が複数個である有核成型品を製造することができる。即ち、内核用粉粒体を供給する内核供給工程の後に、更に、下外杵に囲まれ前工程までに供給された粉粒体上の空間に内核用粉粒体又は外層用粉粒体を供給する内核又は外層供給工程を1度以上実施する、外層内核繰り返し供給工程を実施することで、容易に内核を複数個とすることができる。ここで、外層用粉粒体を供給するか内核用粉粒体を供給するかは必要に応じて選択でき、外層内核繰り返し供給工程として内核用粉粒体の供給を1度実施すれば、2つの内核が連続して存在する複数核有核成型品を製造することができ、また、外層内核繰り返し供給工程として、外層用粉粒体の供給、内核用粉粒体の供給を順に実施すれば、2つの内核が外層により分離して存在する複数核有核成型品を製造することができる。本工程を更に何度も繰り返すことにより、容易に多核化することができる。言うまでもなく、本発明の有核成型品の外層を薄層化する方法は、このような複数核タイプの有核成型品にも適用され、複数核タイプの薄膜成型品も製造可能である。
【0041】
【実施例】
以下、実施例をもって、本発明について具体的に説明する。尚、試験例1では、医薬品分野で常用される一般的な賦形剤を用い、内核の圧縮圧を高くすることによる、本発明の外層の薄層化方法について、試験例2では本発明の粉粒体及びそれを用いた外層の薄層化方法について評価を実施した。
【0042】
試験例1
医薬品分野で常用される一般的な賦形剤を用いて、内核の圧縮圧が錠剤外層の薄層化度合いに及ぼす影響について評価した。尚、本評価においては、内核の外層方向への変形、外層の薄層化をより正確に調べる為、あえて内核全てを外層で覆う形態とはせず、圧縮面に接する外層を無くし、内核外周にのみ外層を有する錠剤とすることで、圧縮面から内核が観察できるようにした。
【0043】
[方法]
中心杵外径6.0mmφ、外杵外径10.0mmφの2重構造を持ち、押圧可能な平型フチ角の上下杵それぞれの杵表面に、少量のステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を塗布した。あらかじめ、内核成分としてグラニュー糖(台糖株式会社製)100gと食用赤色2号アルミニウムレーキ(SAN−KI社製)0.5gを秤取、ミクロV型混合機(筒井理化学機器社製) で500回転させ混合し、下中心杵を下外杵より12mm低下させた状態で、下中心杵と下外杵とにより囲まれる空間に、内核用粉粒体である前述の着色グラニュー糖を供給し、下外杵面上(臼面上)で擦り切りし余剰の着色グラニュー糖を排除した。次に、上中心杵及び下中心杵を互いに相寄る向きに移動し、油圧式ハンドプレス機(井内盛栄堂社製:3tハイプレッシャージャッキ)を用いて、約1000kg/杵の圧縮圧で内核を仮成型した。更に、下外杵を下げ、内核仮成型品を杵面上に保持した下中心杵のみを、内核上面が臼面と同一になるようにせり上げ、これにより生じた臼内壁と下外杵及び、内核仮成型品により囲まれる空間に、外層用粉粒体である乳糖・結晶セルロース造粒末(Cellactose:Meggle社製)を充填し、臼面上で擦り切りした後、余剰の乳糖・結晶セルロース造粒末を排除した。その後、下杵を2mm低下させた後、上中心杵及び下中心杵を互いに相寄る向きに移動し、油圧式ハンドプレス機(同上)を用いて、約1000kg/杵の圧縮圧で錠剤全体を成型した。できあがった成型品は、外層厚みと核断面積とにより評価した。外層厚みは、着色された内核と白色の外層との境界から錠剤外周面までの距離を、デジタル式ノギス(ミツトヨ社製)にて測定した。核断面積は、同様に測定した核直径からの計算値である。
比較対照としては、前記と同様の条件、方法にて、内核仮成型品の圧縮圧のみを約200kg/杵(通常の予圧に使用される程度の圧力)に変更して実施した。
中心杵外径6.0mmφ、外杵外径8.0mmφの2重構造を持つ杵についても、前記同様に、内核仮成型品の圧縮圧を変数とした評価を実施した。
【0044】
[結果及び考察]
結果は表1に示す。6+10mmφ(中心杵外径6.0mmφ、外杵外径10.0mmφと同意)の2重杵での打錠結果は、約200kg/杵の内核圧縮圧での外層厚み1.78mm、核断面積32.6mmに対し、約1000kg/杵の内核圧縮圧では、外層厚み1.05mm、核断面積49.0mmであった。このように、最終的な打錠圧力は1000kg/杵と同一であるにも係わらず、内核圧縮圧を高くすることにより、錠剤外層の薄層化、核断面積の増大が可能であることがわかった。
本試験においては、いわゆる一般的な普通錠の製造方法に近い仮圧縮圧力である約200kg/杵(普通錠では予圧に相当する)で成型した場合においても、杵金型から求められる理論外層厚み、核断面積に対して、多少の薄層化(理論値の89%)、核断面積の増大(理論値の115%)が観察された。一方、仮圧縮圧を限界付近に近い1000kg/杵(全体成型時圧力と同一)で成型した場合、外層厚みが理論値の53%、核断面積が理論値の173%と、顕著に外層の薄層化と核断面積の増大が認められた。これらの結果から、仮成型品が圧縮面に対して垂直方向に圧縮が進まなくなる程度に圧縮することで、全体圧縮工程では、内核中心から外層方向への圧縮圧力により外層が薄層化、換言すれば核断面積の増大が成されることが示唆された。又、杵径を6+8mmφ(中心杵外径6.0mmφ、外杵外径8.0mmφと同意)の2重杵に変えた場合においても、同様の傾向が認められた。但し、6+10mmφに比べ外層厚みの薄層化傾向が小さい結果であったが、外層の塑性変形される物理的な空間が少ないことに起因していると推察された。
【0045】
【表1】


【0046】
試験例2
本発明方法において、外層の薄層化がより顕著となる外層用の粉粒体について、精製白糖(グラニュー糖)を用いて検討を実施した。
【0047】
[方法]
(1)スプレードライによる製造
正確に秤取したグラニュー糖(台糖株式会社製)100gを精製水400mLに溶解し、正確に500mLにし、ショ糖溶液を調整した。調整したショ糖溶液を、スプレードライヤ(M−2:正栄工業社製)により乾燥し粉粒体を得た。得られた粉粒体は製造例1、2、3で、その物性を表2に示す。また、製造例1、2、3は、以下示すスプレードライヤ条件にて実施した。尚、製造例の違いは、乾燥給気排気温度のみの違いであり、他の条件は同一とした。
・  試料溶液固形分濃度:20%
・  試料溶液供給速度:15mL/min
・  試料溶液供給温度:20℃
・  噴霧方式:遠心式
・  アトマイザー回転数:12726rpm
・  気流条件:並流式
・  乾燥給気温度:105〜169℃
・  乾燥排気温度:70〜130℃
・  サイクロン差圧:約150mmAg
【0048】
(2)粉砕による製造
グラニュー糖(同上)20gを小型粉砕機(サンプルミルSK−M10:協立理工株式会社製)で約40秒程度粉砕した後、JIS規格の篩(ミクロ試験用ふるい:筒井理化学器械社製)にて所定の粒度に分級した。得られた粉粒体は、製造例4、比較製造例1、2、3で、その物性を表2に示す。
【0049】
(3)粉粒体の嵩密度(最疎嵩密度、最密嵩密度)、流動性の評価
粉粒体の最疎嵩密度は、粉粒体を直径10 mmφ、高さ185mmの10mLメスシリンダー内にJISの12メッシュの篩いを通して上方から均一に供給した後、正確にその容積を読み取り、併せて、メスシリンダー内の粉粒体の重量を測定し、粉粒体の重量(g)を読み取った容積(mL)で除した値(g/mL)から算出した。最密嵩密度は、最疎嵩密度の測定のために疎充填されたメスシリンダーを、2cmの高さから100回繰り返し落下させて底部に軽い衝撃を与え、粉粒体を密充填した後、正確にその容積を読み取り、併せて、メスシリンダー内の粉粒体の重量を測定し、粉粒体の重量を読み取った容積で除することにより算出した。また、流動性評価の指標となる圧縮度は、前述の最疎嵩密度、最密嵩密度の値を用いて以下の計算式より算出した。
圧縮度(%)={(最密嵩密度−最疎嵩密度)/最密嵩密度}×100
【0050】
(4)粉粒体の粒子の形状評価
粉粒体粒子の形状は、ビデオルーペ(VL−11SL:スカラ株式会社製)で、拡大倍率を150倍にして観察を行った。
【0051】
(5)外層の薄層化の評価
中心杵外径6.0mmφ、外杵外径10.0mmφの2重構造を持ち、押圧可能な平型フチ角の上下杵それぞれの杵表面に、少量のステアリン酸マグネシウム(太平化学産業社製)を塗布した。あらかじめ内核成分としてグラニュー糖(台糖株式会社製)100gと食用赤色2号アルミニウムレーキ(SAN−KI社製)0.5gを秤取、ミクロV型混合機(筒井理化学機器社製) で500回転させ混合し、下中心杵を下外杵より5mm低下させた状態で、下中心杵と下外杵とにより囲まれる空間に、内核用粉粒体である前述の着色グラニュー糖を供給し、下外杵面上(臼面上)で擦り切りし余剰の着色グラニュー糖を排除した。次に、上中心杵及び下中心杵を互いに相寄る向きに移動し、油圧式ハンドプレス機(井内盛栄堂社製:3tハイプレッシャージャッキ)を用いて、約500kg/錠の圧縮圧で内核を仮成型した。更に、下外杵を下げ、内核仮成型品を杵面上に保持した下中心杵のみを、内核上面が臼面と同一になるようにせり上げ、これにより生じた臼内壁と下外杵及び、内核仮成型品により囲まれる空間に、外層用粉粒体を充填し、臼面上で擦り切りした後、余剰の粉粒体を排除した。その後、下杵を2mm低下させた後、上中心杵及び下中心杵を互いに相寄る向きに移動し、油圧式ハンドプレス機(同上)を用いて、約1000kg/錠の圧縮圧で錠剤を成型した。本試験では、外層用粉粒体として、本発明の粉粒体(製造例1:スプレードライショ糖130℃、製造例4:粉砕ショ糖250−150M)と比較対照としてグラニュー糖(市販品)を使用した。できあがった成型品は、試験例1と同様に外層厚みと核断面積とにより評価した。測定結果を表3に示す。
【0052】
【表2】


※スプレードライショ糖の「℃」はスプレードライヤ排気温度を示す。粉砕ショ糖の「M」はJIS規格の篩の目開きを示す。
【0053】
【表3】


【0054】
[結果及び考察]
スプレードライ法、粉砕法、それぞれの方法で、最疎嵩密度が低く、流動性の確保されたショ糖の粉粒体を得ることができた。中でも、スプレードライ法により、最疎嵩密度が低くかつ流動性の良い、本発明の方法に特に適した粉粒体を得ることが出来た。ショ糖は真密度が高い為、一般的に嵩密度が高くなる傾向にあるが、表2から、概して、嵩密度と流動性の指標である圧縮度は反比例の関係にあることがわかる。つまり、最疎嵩密度が低くなると圧縮度が大きくなる。しかし、スプレードライショ糖においては、嵩密度が低いにも関わらず、圧縮度もそこそこ低く、粉砕ショ糖や市販の粉糖、グラニュー糖とは、やや異なる傾向を示していた。これは、スプレードライ法の製法が、微小な液滴を瞬時に乾燥させる方法であるため、粉粒体粒子が球形となり、さらには、ポーラスと成り易いといったことが要因によるものと考えられる。
【0055】
製造例1スプレードライショ糖130℃、製造例4粉砕ショ糖250−150M及び比較例2グラニュー糖(市販品)を外層に用いて、外層の薄層化を評価した結果は表3に示す。比較例2の外層厚み1.91mm、核断面積30.0mmに対して、製造例1スプレードライショ糖130℃の外層厚みが1.34mm、核断面積42.1mm、製造例4粉砕ショ糖250−150Mの外層厚みが1.65mm、核断面積35.3mmとなり、比較例2に比べ外層の薄層化が達成された。このように、同一圧力で打錠しているにも係わらず、本発明の粉粒体、特に製造例1スプレードライショ糖130℃は、比較例2の粉粒体を用いた場合に比べ顕著に錠剤外層の薄層化、核断面積の増大が達成されることがわかった。
【0056】
以上の結果から、最疎嵩密度が低く、かつ流動性もある粉粒体を充填した外層は、内核中心から外層方向への圧縮圧力により容易に塑性変形して薄層化し、更には、流動性があるため、ロータリー式打錠機のような高速打錠機においても、充填不良の問題が発生せず、錠剤外層の薄層化が可能であることが明らかとなった。
尚、製造したショ糖粉粒体の中で、最疎嵩密度が0.75g/mL以下かつ圧縮度が25%以下のものが、本発明に適した粉粒体ということで製造例とし、それ以外は比較製造例とした。
【0057】
試験例3
試験例2と同様の目的で、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを用い、スプレードライによる粉粒体製造を行った。
【0058】
[方法]
正確に秤取したヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC TC−5E:信越化学社製)75gを精製水400mLに溶解して正確に500mLにし、15% HPMC溶液を調整した。更に必要に応じ15% HPMC溶液に精製水を加え所望の濃度に調整した。調整したヒドロキシプロピルメチルセルロース溶液をスプレードライヤ(同上)により乾燥し、粉粒体を得た。又、粒度調整をする検体については、JIS規格200メッシュ篩により篩過を行い分級した。粉粒体物性の測定方法は、試験例2と同様の方法で実施した。スプレードライヤの各条件を以下に示した。尚、個別の製造例及び比較製造例のスプレードライヤ条件は、表.4の製造条件の欄に記載した。製造条件欄の各数値は、HPMC濃度/スプレードライヤ排気温度/アトマイザー回転数/ローター形状である。
・  試料溶液固形分濃度:5〜15%
・  試料溶液供給速度: 15mL/min
・  試料溶液供給温度:20℃
・  噴霧方式:遠心式
・  アトマイザー回転数:11110〜13206rpm
・  アトマイザー形状: 5孔ローター及び多孔ローター
・  気流条件:並流式
・  乾燥給気温度: 54〜99℃
・  乾燥排気温度: 40〜75℃
・  サイクロン差圧:約170mmAg
【0059】
[結果及び考察]
スプレードライ法によりヒドロキシプロピルメチルセルロースの粉粒体を調整した。その結果、最疎嵩密度が低く、かつ流動性の良い粉粒体を得ることが出来た。従来の市販ヒドロキシプロピルメチルセルロースは、最疎嵩密度が比較的低い(0.33g/mL)ものの、圧縮度は35.7%と粉粒体の流動性があまり良いとはいえない。しかし、本発明のヒドロキシプロピルメチルセルロースは、例えば、製造例5のHPMC 10%/40℃/11110rpm/5孔の検体の最疎嵩密度は0.28g/mL、圧縮度は29.3%と、従来品に比べ嵩密度も圧縮度も低く、本発明の目的とする、打錠に適する流動性を保持しながら、塑性変形に優れる嵩密度を保持した粉粒体としての特性を持っていることがわかった。又、製造例6のHPMC 10%/40℃/11110rpm/5孔/200M以下の検体は、流動性は従来品より若干改善された程度ではあるが、嵩密度が1/3以下であり、外層の薄層化に適していることがわかった。
尚、製造したヒドロキシプロピルメチルセルロース粉粒体の中で、最疎嵩密度が0.3g/mL以下かつ圧縮度が33%以下のものが、本発明に適した粉粒体ということで製造例とし、それ以外は比較製造例とした。
【0060】
【表4】


【0061】
【発明の効果】
本発明においては、2重杵を用いた有核型成型品の製造方法において、外層を薄層化するための技術的困難性を克服し、廉価で、簡便な製造工程である直接打錠法により、外層の薄層化、又は薄膜外層を有する成型品の提供を実現することができる。また、本発明の方法に適した、本発明の粉粒体を外層用粉粒体として用いれば、更に外層の薄層化効果が顕在化し、より薄層の外層を有する成型品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中心杵とその中心杵の外周を取り巻く外杵との2重構造からなる圧縮成型手段を用いた有核成型品の製造方法の一例(WO 01/98067 公報に記載の方法)を示す杵先作動説明図。
【図2】外杵先端部の厚み(外層厚み)が薄い場合に想定される、外層用粉粒体の充填トラブル例を示す杵先作動説明図。(A)臼内にある外層内核成型品上及びその周りに外層用粉粒体を充填する際に発生する、外層内核成型品側面の外層用粉粒体の未充填トラブル例 (B)臼内に外層用粉粒体を満たした状態で外層内核成型品をその中に押し上げる際に発生する、外層内核成型品側面の外層用粉粒体の未充填トラブル例。
【符号の説明】
3・・・臼
4A・・・上核用杵
4B・・・上外杵
5A・・・下核用杵
5B・・・下外杵
57・・・残留粉粒体
NP・・・核
OP1・・・第一外層
OP2・・・第二外層
【出願人】 【識別番号】000144577
【氏名又は名称】株式会社三和化学研究所
【住所又は居所】愛知県名古屋市東区東外堀町35番地
【出願日】 平成15年4月23日(2003.4.23)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−575(P2004−575A)
【公開日】 平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願番号】 特願2003−118004(P2003−118004)