トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学




【発明の名称】 画像再構成装置、画像再構成方法および放射線断層像撮影装置
【発明者】 【氏名】貫井 正健
【住所又は居所】東京都日野市旭が丘四丁目7番地の127 ジーイー横河メディカルシステム株式会社内

【要約】 【課題】金属等の放射線吸収率の高い物質が被検体に存在することにより再構成画像に発生するストリーク・アーチファクトを低減可能な画像再構成装置を提供する。

【解決手段】放射線検出素子の配列順に並ぶ投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域のデータ投影データから分離し、当該投影データを値が連続的に変化する連続データへ変換し(ステップST2)、連続データのみをフィルタリング処理し(ステップST3)、フィルタリング処理された連続データと非連続領域のデータとを合成し、画像再構成に用いる投影データとする(ステップST4)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過した放射線を複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成装置であって、
前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする非連続データ処理手段を有する
画像再構成装置。
【請求項2】
前記非連続データ処理手段は、前記非連続領域のデータを前記投影データから分離し、当該投影データを値が連続的に変化する連続データへ変換し、当該連続データのみを前記フィルタリング処理の対象にする分離手段と、
前記フィルタリング処理された前記連続データと前記非連続領域のデータとを合成し、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段と
を有する請求項1に記載の画像再構成装置。
【請求項3】
前記非連続データ処理手段は、前記フィルタリング処理されたのちの投影データと、前記フィルタリング処理されていない投影データとの差に基づいて、前記非連続領域を抽出する抽出手段と、
前記フィルタリング処理された投影データのうち、抽出された前記非連続領域のデータをフィルタリング処理前の投影データに置き換え、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段と
を有する請求項1に記載の画像再構成装置。
【請求項4】
前記放射線は、X線である
請求項1に記載の画像再構成装置。
【請求項5】
被検体を透過した放射線を複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成方法であって、
前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする
画像再構成方法。
【請求項6】
前記非連続領域のデータを前記投影データから分離し、当該投影データを値が連続的に変化する連続データへ変換し、当該連続データのみを前記フィルタリング処理の対象にし、
前記フィルタリング処理された前記連続データと前記非連続領域のデータとを合成し、画像再構成に用いる投影データとする
請求項5に記載の画像再構成方法。
【請求項7】
前記フィルタリング処理されたのちの投影データと、前記フィルタリング処理されていない投影データとの差に基づいて、前記非連続領域を抽出し、
前記フィルタリング処理された投影データのうち、抽出された前記非連続領域のデータをフィルタリング処理前の投影データに置き換え、画像再構成に用いる投影データとする
請求項5に記載の画像再構成方法。
【請求項8】
前記放射線にX線を用いる
請求項5に記載の画像再構成方法。
【請求項9】
被検体を挟むようにして相対向して配置される放射線照射手段および複数の放射線検出素子からなる放射線検出器と、
前記被検体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成装置とを有し、
前記画像再構成装置は、前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする非連続データ処理手段を有する
放射線断層像撮影装置。
【請求項10】
前記非連続データ処理手段は、前記非連続領域のデータを前記投影データから分離し、当該投影データを値が連続的に変化する連続データへ変換し、当該連続データのみを前記フィルタリング処理の対象にする分離手段と、
前記フィルタリング処理された前記連続データと前記非連続領域のデータとを合成し、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段と
を有する請求項9に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項11】
前記非連続データ処理手段は、前記フィルタリング処理されたのちの投影データと、前記フィルタリング処理されていない投影データとの差に基づいて、前記非連続領域を抽出する抽出手段と、
前記フィルタリング処理された投影データのうち、抽出された前記非連続領域のデータをフィルタリング処理前の投影データに置き換え、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段と
を有する請求項9に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項12】
前記放射線照射手段は、X線管を有する
請求項9に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項13】
前記X線管から放射されたX線を、扇状のX線ビームに成形するコリメータをさらに有する
請求項12に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項14】
前記放射線検出器は、複数のX線検出素子をアレイ状に配列して構成される
請求項9に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項15】
前記画像再構成手段は、フィルタード・バックプロジェクション(filtered back projection)法を用いる
請求項9に記載の放射線断層像撮影装置。
【請求項16】
前記放射線検出器は、シンチレータ(scintillator)とフォトダイオード(photo diode) の組み合わせによって構成される
請求項14に記載の放射線断層像撮影装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば、X線CT(Computed Tomography) 装置等の放射線断層像撮影装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線CT装置は、放射線出射系・検出系、すなわち、X線出射・検出系を被検体を挟んで相対向させた状態でX線を被検体に照射しながら被検体の回りで回転(スキャン(scan))させて、被検体の周囲の複数のビュー(view)方向で被検体を透過したX線を検出系により検出し、それぞれX線による被検体の投影データを測定し、この投影データに基づいて、被検体の断層像を再構成するように構成されている。
【0003】
また、被検体の断層像は、被検体の投影データに対して、所定の前処理を施し、この前処理を施した投影データを、たとえば、フィルタード・バックプロジェクション(filtered back projection)法により再構成される。
フィルタード・バックプロジェクションでは、被検体の投影データに対して画像再構成のために必要なフィルタリング処理を行ったのち、フィルタリング処理後の投影データを逆投影することにより、画像を再構成する。
上記のフィルタリング処理では、診断目的や対象部位に応じて各種のフィルタが選択される。このフィルタリング処理は、投影データを高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transfer) したのち、このデータに選択されたフィルタが乗算され、再び逆高速フーリエ変換(IFFT: Inverse FFT) される。フィルタリング処理では、投影データに含まれる高周波のノイズ成分も同時に除去される。なお、投影データに含まれる高周波のノイズ成分を除去する技術は、たとえば、特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−83946号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、金属等の人体とは異なる異物質が被検体に存在すると、検出された投影データのうち、この異物質に相当する部分の値が急峻に変化し、この部分は他の部分とは非連続な部分となる。金属は、X線の吸収率が非常に大きいからである。
金属等の異物質の像を含む投影データに上記のフィルタリング処理を施すと、異物質に対応する部分のデータは値が急峻に変化する高周波成分をもつので、この部分のデータ値が変化し、逆高速フーリエ変換したのちの投影データにはアンダーシュートやオーバシュートと呼ばれる歪みが発生することがある。
この歪みが発生した投影データを逆投影して画像再構成すると、金属等の異物質に対応する画像にいわゆるストリーク・アーチファクト(streak artifact) が発生するという不利益が存在した。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであって、その目的は、金属等の放射線吸収率の高い物質が被検体に存在することにより再構成画像に発生するストリーク・アーチファクトを低減可能な放射線断層像撮影装置、画像再構成装置および画像再構成方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の画像再構成装置は、被検体を透過した放射線を複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成装置であって、前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする非連続データ処理手段を有する。
【0008】
好適には、前記非連続データ処理手段は、前記非連続領域のデータを前記投影データから分離し、当該投影データを値が連続的に変化する連続データへ変換し、当該連続データのみを前記フィルタリング処理の対象にする分離手段と、前記フィルタリング処理された前記連続データと前記非連続領域のデータとを合成し、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段とを有する。
【0009】
前記非連続データ処理手段が、前記フィルタリング処理されたのちの投影データと、前記フィルタリング処理されていない投影データとの差に基づいて、前記非連続領域を抽出する抽出手段と、前記フィルタリング処理された投影データのうち、抽出された前記非連続領域のデータをフィルタリング処理前の投影データに置き換え、前記画像再構成手段に与える投影データとする合成手段と
を有する構成とすることも可能である。
【0010】
本発明の画像再構成方法は、被検体を透過した放射線を複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成方法であって、前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする。
【0011】
本発明の放射線断層像撮影装置は、被検体を挟むようにして相対向して配される放射線照射手段および複数の放射線検出素子からなる放射線検出器と、前記被検体を透過した放射線を前記複数の放射線検出素子によって検出して得られた投影データに基づいて、前記被検体の断層像を再構成する画像再構成装置とを有し、前記画像再構成装置は、前記放射線検出素子の配列順に並ぶ前記投影データのうち、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域を除くデータに対して所定のフィルタリング処理を施こし、前記非連続領域のデータと前記フィルタリング処理が施されたデータとを前記断層像を再構成するための投影データとする非連続データ処理手段を有する。
【0012】
本発明では、投影データから断層像を再構成する前に行うフィルタリング処理において、投影データに含まれる非連続データにはフィルタリング処理を施さずにそのまま画像再構成に用いる。これにより、非連続データのもつ高周波成分がフィルタリング処理によって歪むことがなく、この非連続部分の画像が正確に再構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の放射線断層像撮影装置の一実施形態としてのX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【0014】
図1に示すように、X線CT装置1は、走査ガントリ(gantry)2、操作コンソール(console) 3、および撮影テーブル(クレードル)4を有している。
【0015】
走査ガントリ2は、X線管21を有する。X線管21から放射された図示しないX線は、コリメータ(collimator)22により、たとえば、扇状のX線ビーム(beam)となるように成形され、X線検出器23に照射される。
【0016】
X線検出器23は、ファンビームX線の広がり方向にアレイ状に配列された複数のX線検出素子を有する。X線検出器23は、複数のX線検出素子をアレイ状に配列した、多チャネル(channel) の検出器となっている。
【0017】
X線検出器23は、全体として、円筒凹面状に湾曲したX線入射面を形成する。X線検出器23は、たとえば、シンチレータ(scintillator)とフォトダイオード(photo diode) の組み合わせによって構成される。なお、これに限られず、たとえば、カドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体X線検出素子またはXeガス(gas) を用いる電離箱型のX線検出素子であっても良い。
【0018】
X線検出器23にはデータ収集部24が接続されている。データ収集部24は、X線検出器23の個々のX線検出素子の検出データを収集する。X線管21からのX線の照射は、X線コントローラ(controller)25によって制御される。なお、X線管21とX線コントローラ25との接続関係およびコリメータ22とコリメータコントローラ26との接続関係については図示を省略する。コリメータ22は、コリメータコントローラ26によって制御される。
【0019】
X線管21、コリメータ22、X線検出器23、データ収集部24、X線コントローラ25およびコリメータコントローラ26が、走査ガントリ2の回転部27に搭載されている。ここで、被検体は、回転部27の中心に位置するボア(bore)29内のクレードル(cradle)上に載置される。回転部27は、回転コントローラ28により制御されつつ回転し、X線管21からX線を爆射し、X線検出器23において被検体の透過X線を、各ビューごとの投影情報として検出する。なお、回転部27と回転コントローラ28との接続関係については図示を省略する。
【0020】
操作コンソール6は、中央処理装置31、入力装置32、表示装置33および記憶装置34を有する。
なお、中央処理装置31および記憶装置34が、本発明の画像再構成装置を構成している。
【0021】
中央処理装置31は、たとえば、マイクロプロセッサ、メモリ等によって構成される。
この中央処理装置31は、記憶装置34に記憶されたソフトウエアにしたがって、走査ガントリ2の動作を制御し、被検体を透過したX線をX線検出器23で検出して得られる投影データを収集する機能と、収集したX線投影データに基づいて、被検体の断層像を再構成する機能とを少なくとも有する。
【0022】
中央処理装置31には、データ収集部24で収集されたデータが図示しないデータ収集バッファを介して入力され、中央処理装置31は、収集した投影データを用いて画像再構成を行う。この中央処理装置31による画像再構成処理については後述する。
【0023】
中央処理装置31には、また、表示装置33と入力装置32がそれぞれ接続されている。表示装置33は、中央処理装置31から出力される断層画像情報やその他の情報を表示する。入力装置32は、オペレータによって操作され、各種の指示や情報等を中央処理装置31に入力する。オペレータは表示装置33および入力装置32を使用してインタラクティブ(interactive) に本装置を操作する。
【0024】
上記構成のX線CT装置1では、走査ガントリ2において、X線管21およびX線検出器23とを相対的に移動させ、被検体の被検対象領域を走査することにり、データ収集部24に被検体の投影データが収集され、この投影データが中央処理装置31へ送られ、中央処理装置31において被検体の断層画像が再構成される。
【0025】
図2は、中央処理装置31による画像再構成処理手順の概略を示す図である。
中央処理装置31における画像再構成は、フィルタード・バックプロジェクション(filtered back projection)法によって行われる。なお、フィルタード・バックプロジェクション法については周知の方法であるので詳細な説明については省略する。
【0026】
図2に示すように、中央処理装置31による画像再構成処理は、大きく分けて、前処理(ステップST1)と、分離処理(ステップST2)、フィルタリング処理(ステップST3)および合成処理(ステップST4)からなる非連続データ処理と、バックプロジェクション処理(ステップST5)とからなる。
【0027】
前処理(ステップST1)では、正常な画像が再構成されるように、データ収集部24から得られた被検体の投影データに、物理的および電気的な補正処理を施す。
【0028】
ここで、図3は分離処理(ステップST2)の内容を説明するための図であり、(a)は、データ収集部24から得られた被検体の投影データの一例を示しており、(b)は分離処理後の投影データを示しており、(c)は分離された非連続データを示している。なお、これらのX線検出器23の各検出器アレイのチャンネル順(配列順)に並んでいる。
非連続データとは、他の連続的に変化するデータとは複数チャンネルにわたって値が異なるデータを含む部分的なデータである。
【0029】
たとえば、金属等の人体とは異なりX線の吸収率が高い異物質が被検体に存在すると、図3(a)に示すように、投影データdat_R中において、異物質に対応する部分のデータ値が急峻に変化する。投影データdat_Rの異物質が存在していない部分は、連続的に滑らかにデータ値が変化する。
【0030】
図3(a)に示す投影データdat_R中の、値が急峻に変化するデータを含む非連続領域のデータを非連続データdat_EXとすると、この非連続データdat_EXは、データ値を周波数領域でみたときに高周波成分を含んでいる。
非連続データdat_EX以外の部分には、データ値が滑らかに変化するため、このような高周波成分は存在していない。
【0031】
投影データdat_Rに含まれる高周波のノイズ成分を除去するために、投影データdat_Rの全てにフィルタリングを施すと、上記の非連続データdat_EXに含まれる高周波成分も除去される可能性がある。
このため、分離処理(ステップST2)においては、まず、図3(c)に示すように、投影データdat_Rから非連続データdat_EXを分離する。
【0032】
また、非連続データdat_EXを分離したのちの投影データdat_Rは、図3(b)に示すように、非連続データdat_EXが存在していた部分をデータdat_Cにより補完する。具体的には、非連続データdat_EXの周辺のデータを用いてフィッティングを行う。
これにより、すべての領域でデータ値が滑らかに変化する連続データdat_Sが得られる。
この連続データdat_Sは、次にフィルタリング処理される。
【0033】
フィルタリング処理(ステップST3)では、連続データdat_Sを、まず、高速フーリエ変換(FFT)する。
次いで、診断目的や対象部位に応じて選択されたフィルタによってフィルタリング処理される。
次いで、フィルタリング処理された連続データdat_Sを逆高速フーリエ変換(IFFT)して復元する。
【0034】
フィルタリング処理(ステップST3)におけるフィルタは、診断目的や対象部位に応じて適宜選択されるが、連続データdat_Sに含まれる高周波のノイズ成分も同時に除去する。
ここで、図4は、フィルタリング処理(ステップST3)におけるフィルタの特性を説明するためのグラフであり、(a)はFFT前のデータを示しており、(b)はIFFT後のデータを示している。
【0035】
図4(a)からわかるように、FFT前のデータにはノイズ成分が存在しているが、フィルタリング処理によってこれらのノイズは除去される。
また、データ中に値が急峻に変化する部分が存在すると、IFFT後のデータには、図4(b)の円A内に示すように、この部分周辺においてオーバシュートやアンダーシュートと呼ばれる歪みが発生する。
【0036】
本実施形態では、上記した分離処理(ステップST2)において、高周波成分をもつ非連続データdat_EXを分離してフィルタリング処理の処理対象から除外している。このため、連続データdat_Sは、フィルタリング処理によってノイズ成分だけが除去され、歪みが発生することがない。
【0037】
合成処理(ステップST4)では、分離された非連続データdat_EXと、フィルタリング処理された連続データdat_Sとを合成し、この合成されたデータをバックプロジェクション処理(ステップST5)の画像再構成に用いるデータとする。
【0038】
以上のように、本実施形態では、投影データdat_Rに含まれる非連続データdat_EXを分離して得られる連続データdat_Sのみにフィルタリング処理を施す。そして、フィルタリング処理を施した連続データdat_Sと非連続データdat_EXとを合成し、この合成したデータをバックプロジェクション処理に用いる。これにより、再構成された画像に、フィルタリング処理による高周波成分の除去に起因するストリーク・アーチファクトが発生しにくくなり、金属等のX線の吸収率の高い異物質の断層像を正確に再現することが可能となる。
【0039】
第2実施形態
図5は、本発明の放射線断層像撮影装置の他の実施形態に係る画像再構成処理手順の概略を示す図である。
なお、本実施形態は、上述した中央処理装置31における画像再構成処理手順以外は第1の実施形態の構成と同じである。
【0040】
図5に示すように、本実施形態に係る中央処理装置31による画像再構成処理は、大きく分けて、前処理(ステップST11)と、フィルタリング処理(ステップST12)、差分処理(ステップST13)、抽出処理(ステップST14)および合成処理(ステップST15)からなる非連続データ処理と、バックプロジェクション処理(ステップST16)とからなる。
【0041】
前処理(ステップST11)は、上述した第1の実施形態と同様の処理を行う。
【0042】
フィルタリング処理(ステップST12)は、上述した第1の実施形態と同様のフィルタリング処理を行う。すなわち、データ収集部24から得られた被検体の投影データに、まず、高速フーリエ変換(FFT)し、診断目的や対象部位に応じて選択されたフィルタによってフィルタリング処理し、フィルタリング処理されたデータを逆高速フーリエ変換(IFFT)して復元する。
【0043】
ここで、図6(a)は、フィルタリング処理前の投影データの一例であり、(b)はフィルタリング処理後の投影データの一例であり、(c)はフィルタリング処理前後の投影データの差分値を示している。
図6(a)に示すように、フィルタリング処理前の投影データdat_Bにはノイズが存在するとともに、非連続的に値が異なるデータを含む非連続領域Raが存在している。この非連続領域Raは、上述したように、金属等のX線吸収率の高い異物質の存在により発生する。
【0044】
図6(a)に示すような投影データdat_Bに対してフィルタリング処理を施すと、たとえば、図6(b)に示すデータdat_Aとなる。
図6(b)に示すフィルタリング後のデータdat_Aには、非連続領域Raにおけるデータ値が急峻に変化する位置で歪みstが発生しているのが分かる。
【0045】
次いで、差分処理(ステップST13)では、フィルタリング処理前の投影データdat_Bとフィルタリング処理後の投影データdat_Aとの差分を算出する。この差分値データは、図6(c)に示すように、投影データdat_Bに含まれるノイズと、フィルタリングによって発生した歪みstを含んでいる。
【0046】
次いで、抽出処理(ステップST14)では、図6(c)に示したような差分値データから、非連続領域Rb,Rcを抽出する。この非連続領域Rb,Rcは、投影データdat_Bのうち、フィルタリングによって歪みstが発生する領域である。
この非連続領域Rb,Rcは、たとえば、所定のしきい値を設けて、差分値データとこのしきい値とを比較することにより抽出することができる。なお、差分値データとしきい値とを比較する際に、ノイズ成分と歪みstとを区別する必要がある。歪みstは複数のチャンネルにわたって存在し、ノイズ成分は単一のチャンネルに存在する場合が多く、また、歪みstとノイズ成分のレベルは異なるので、両者の区別は容易である。
【0047】
合成処理(ST15)は、フィルタリング処理後の投影データdat_Aのうち、抽出処理(ステップST14)によって抽出された非連続領域Rb,Rcにおけるデータをフィルタリング処理前の投影データdat_Bに置き換える。すなわち、非連続領域Rb,Rcに歪みstの発生していないデータを用いる。この合成されたデータをバックプロジェクション処理(ステップST16)の画像再構成に用いるデータとする。
【0048】
以上のように、本実施形態では、投影データdat_Bに実際にフィルタリング処理を行って歪みstを発生させることにより、非連続領域Rb,Rcを特定し、この非連続領域Rb,Rcにフィルタリング処理を行っていないデータを用いて画像再構成に用いるデータとする。これにより、バックプロジェクション処理によって再構成された画像にフィルタリング処理に起因するストリーク・アーチファクトが発生するのを確実に防ぐことができる。
【0049】
なお以上に説明した各実施形態においては、放射線としてX線を用いた例について説明したが、放射線はX線に限るものではなく、たとえばγ線等の他の種類の放射線であっても良い。ただし、現時点では、X線がその発生、検出および制御等に関し実用的な手段が最も充実している点で好ましい。
【0050】
【発明の効果】
本発明によれば、金属等の放射線吸収率の高い物質が被検体に存在することにより再構成画像に発生するストリーク・アーチファクトを低減可能な放射線断層像撮影装置、画像再構成装置および画像再構成方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される放射線断層像撮影装置としてのX線CT装置の全体構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る中央処理装置の画像再構成処理手順を示す図である。
【図3】分離処理の内容を説明するための図である。
【図4】フィルターの特性を説明するためのグラフである。
【図5】本発明の画像再構成装置の他の実施形態に係る中央処理装置の処理手順を示す図である。
【図6】フィルタリング処理前、フィルタリング処理後および差分処理後の投影データの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1…X線CT装置
2…走査ガントリ
3…操作コンソール
4…撮影テーブル
21…X線管
22…コリメータ
23…X線検出器
24…データ収集部
25…X線コントローラ
26…コリメータコントローラ
31…中央処理装置
32…入力装置
33…表示装置
34…記憶装置
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【住所又は居所】アメリカ合衆国・ウィスコンシン州・53188・ワウケシャ・ノース・グランドヴュー・ブールバード・ダブリュー・710・3000
【出願日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【代理人】 【識別番号】100094053
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 隆久

【公開番号】 特開2004−305331(P2004−305331A)
【公開日】 平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願番号】 特願2003−100668(P2003−100668)