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【発明の名称】 子宮操作具
【発明者】 【氏名】山辺 悦朗
【住所又は居所】秋田市土崎港相染町字中島下27−4 秋田住友ベーク株式会社内

【氏名】柴田 稔
【住所又は居所】秋田市土崎港相染町字中島下27−4 秋田住友ベーク株式会社内

【要約】 【課題】内視鏡外科手術において、たとえば子宮内に挿入して子宮を手術しやすい位置に移動させたり、子宮卵管内に造影剤や色素を注入するための子宮操作具を提供する。

【解決手段】子宮内に挿入される先端側棒状部、及び前記先端側棒状部の後端に位置する操作把持部から構成される子宮操作具において、前記先端側棒状部の先端部に子宮内壁に密着可能な子宮固定手段を設けた子宮操作具であり、好ましくは子宮固定手段が子宮内壁の形状と相似に形成された断面が略逆三角形形状のバルーン及び/又は子宮内壁の形状と相似に形成された線状部材を有する子宮操作具。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮内に挿入される先端側棒状部、及び前記先端側棒状部の後端に位置する操作把持部から構成される子宮操作具において、前記先端側棒状部の先端部に子宮内壁に密着可能な子宮固定手段を設けたことを特徴とする子宮操作具。
【請求項2】
子宮固定手段が子宮内壁の形状と相似に形成され、断面が略逆三角形形状のバルーンを含む請求項1記載の子宮操作具。
【請求項3】
子宮固定手段が子宮内壁の形状と相似に形成された線状部材を含む請求項1又は2記載の子宮操作具。
【請求項4】
先端棒状部が1つ以上の内腔を設けた筒状である請求項1〜3いずれか記載の子宮操作具。
【請求項5】
先端棒状部が上下方向及び回転方向に可動である請求項1〜4いずれか記載の子宮操作具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡外科手術において例えば子宮内に挿入して子宮を手術し易い位置に移動させたり、子宮卵管内に造影剤や色素を注入するための子宮操作具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、内視鏡下外科手術が広く実施されている。内視鏡下の手術は内視鏡から見た映像を画面で見ながら遠隔操作で手術を行う方法である。婦人科の内視鏡外科手術の場合、腹腔内からのアプローチの他に膣内からのアプローチも利用される。膣内へ挿入する器具の一つとして、子宮卵管内への造影剤などの薬液の投与や、腹腔鏡下手術の補助のため子宮周囲を処置し易いように子宮を上下左右に位置させる目的で子宮操作具が使用されている。
【0003】
子宮操作は当初、卵管色素テストに使用するユテリンインジェクタが使用された。ユテリンインジェクタは柔軟な材質からなり先端にバルーンの付いた薬液注入管と硬質プラスチック製の湾曲したスリーブからなり、薬液注入管を子宮内に挿入し先端のバルーンを膨らませ、薬液注入管の外から外子宮口入口までスリーブを進めて子宮を操作する。この場合、薬液注入管は柔軟なため実質的にスリーブの剛性のみで子宮操作が行われるが、子宮操作が難しかった。また、シュレーデル(シュレーデル氏子宮頸管拡張器)で、子宮を操作することも行われているが、シュレーデルは子宮に対して固定されていないため術中手で把持しておく必要があった。これらに対する対応策として、シュレーデルなどの身体挿入用棒状体にバルーンを装着し外子宮口を2個のバルーンで挟み込んで固定し、シュレーデルを動かして子宮を操作する方法が提案されている(例えば特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。この場合、シュレーデルを外子宮口に固定することは確実に行われるが、外子宮口でのみ固定されているため、シュレーデルの先端側で子宮体部を操作することになり、シュレーデルから子宮が滑る現象が起き、腹腔側からの腹腔鏡を用いた処置に支障が生じることがあった。
【0004】
また、子宮内及び膣内で子宮ゾンデに取り付けられた2つのバルーンを膨張させて子宮及び膣の内壁に弾性的に密着固定でき、子宮側を動かして子宮を操作する方法が提案されている(例えば特許文献4、特許文献5参照)。この場合は、子宮を内側から把持固定することは可能であるが、子宮を滑らずに操作させるにはバルーンと子宮の間に強い密着強度が必要であり、密着が強すぎると組織の損傷などの危険があり、緩すぎると子宮を思い通りの方向に操作できない欠点があった。
【0005】
また、子宮操作器具の子宮側可動部が少なくとも1つのウイングを備えたロッドを有した構造を提案している(特許文献6)。この場合、ウイング部分が平面になり子宮に方向付けがされる点が良いが、開閉時に子宮組織を巻き込んだり、金属製のために子宮内壁を傷つけたりする危険があった。
【0006】
【特許文献1】特開平7−275256号公報
【特許文献2】特開昭58−146356号公報
【特許文献3】特開昭53−70598号公報
【特許文献4】特開平9−38105号公報
【特許文献5】特表平10−507384号公報
【特許文献6】特表平8−500990号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、内視鏡外科手術において例えば子宮内に挿入して子宮を安全に素早く手術し易い位置に移動させることができ、子宮卵管内に造影剤や色素を注入することができる子宮操作具を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、
(1)子宮内に挿入される先端側棒状部、及び前記先端側棒状部の後端に位置する操作把持部から構成される子宮操作具において、前記先端側棒状部の先端部に子宮内壁に密着可能な子宮固定手段を設けたことを特徴とする子宮操作具、
(2)子宮固定手段が子宮内壁の形状と相似に形成され、断面が略逆三角形形状のバルーンを含む(1)記載の子宮操作具、
(3)子宮固定手段が子宮内壁の形状と相似に形成された線状部材を含む(1)又は(2)記載の子宮操作具、
(4)先端棒状部が1つ以上の内腔を設けた筒状である(1)〜(3)いずれか記載の子宮操作具、
(5)先端棒状部が上下方向及び回転方向に可動である(1)〜(4)いずれか記載の子宮操作具、
である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面により本発明を具体的に説明する。
【0010】
本発明による子宮操作具は、図1のように子宮に挿入される先端側棒状部(1)、先端側棒状部(1)の後端に位置する操作把持部(2)、及び先端側棒状部(1)に付設される子宮固定手段(3)から構成され、更に必要に応じて操作把持部(2)後方に設置され先端側棒状部(1)を上下に動かす先端側棒状部上下可変レバー(4)、及び操作把持部(2)後方に設置され先端側棒状部(1)を回転させる先端側棒状部回転レバー(5)が構成される。
子宮固定手段(3)は、図1の第一実施例のように線状部材操作部(6)を操作することにより、先端側棒状部(1)内の線状部材(7)を開閉させる機構を設けたり、図2の第二実施例のように子宮固定バルーン(7)を付設し、子宮固定バルーン(9)を拡張させるバルーン送気・送液ポート(8)を付設するように形成しても良い。また、図3の第三実施例のように子宮固定手段として線状部材(7)と子宮固定バルーン(9)と線状棒状部を同時に付設することがある。
さらに、先端側棒状部(1)の先端から薬液等を子宮内に注入するための気体・液体注入ポート(10)、図4のように気体・液体注入ポートより注入された薬液等が出てくる気体・液体通過孔(11)を付設することがある。
本発明は図5に示すように先端側棒状部上下可変レバー(4)を先端側棒状部可変ベルト(12)で先端側棒状部可変リング(13)と接続することで先端側棒状部上下可変レバー(4)を稼動させることで先端側棒状部可変リング(13)を支点として先端側棒状部(1)を上下に可変することができる。線状部材操作部(6)と線状部材(7)とを線状部材作動部材(14)で接続することにより線状部材(7)を子宮の形状に合わせて開いたり、先端側棒状部(1)の中に格納したりすることができる。
【0011】
(先端側棒状部)
先端側棒状部(1)及び線状部材(7)は、通常射出成形及び金属加工により作製される。先端側棒状部(1)の外径はφ1mm〜9mmが好ましい。これはφ1mm未満ではバルーン膨張用ルーメンや気体・液体注入用ルーメン、子宮固定手段(3)の線状部材(7)を効率よく作製し難く、子宮の保持力・固定力も弱くなるためである。また、φ9mmをこえると子宮口からの挿入が困難になり有効性が失われてしまう。先端側棒状部(1)の長さは30mm〜130mmが望ましい。これは30mm未満では子宮操作が難しくなる可能性があり、130mmを超えると子宮を貫通する恐れがあるためである。
先端側棒状部(1)は、バルーン固定用ルーメンと気体・液体注入用ルーメンを内蔵するか、いずれかのルーメンをチューブ状にして先端側棒状部(1)側壁に沿わせるように設置してもよいが、挿入操作性を考慮すれば内蔵した方がよい。
先端側棒状部(1)の線状部材(7)は、挿入操作性を考慮して先端側棒状部(1)と一直線上の棒状に収納でき、使用時には図5のように線状部材操作部(6)を押し込むなどして操作することにより、押し込み力が線状部材作動部材(14)に伝わり線状部材(7)を開くようにすると良い。線状部材(7)が開いた形状は逆三角形状や扇型に形成できると好ましい。また線状部材(7)を形成する部材の数は2〜6本が好ましい。2本未満では効率よく子宮を固定できない恐れがあり、6本を超えると太径になり先端側棒状部に効率よく収納できず、子宮口からの挿入が困難になるためである。また、先端側棒上部(1)の最先端には柔軟な可とう性の材料で先端柔軟部をインサート成形などで形成しても良い。先端側棒状部(1)及び線状部材(7)に使用される材質は塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。
【0012】
(操作把持部)
操作把持部(2)は通常、射出成形や金属加工で作製される。形状はストレートな棒状でも膣部に合わせて変形していても良い。操作把持部(2)の外径はφ5mm〜φ20mmが好ましい。φ5mm未満では2つのルーメンを内蔵した場合、設置が難しくなり、また子宮操作の際に変形する恐れがあるためである。またφ20mmを超えると膣内へ挿入しにくくなる可能性がある。形状は円柱でも多角柱でもよく、先端から後端に向かって緩やかなテーパー形状にしても良い。バルーン膨張用ルーメン、気体・液体注入用ルーメンを内蔵してもよく、チューブ形状として操作把持部(2)外壁に沿わせても良い。使用される材質は塩化ビニル、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。
【0013】
(子宮固定バルーン)
子宮固定手段(3)は、線状部材(7)の他に図2のような子宮固定バルーン(9)を使用しても良い。子宮固定バルーン(9)は押出成形、ブロー成形、圧縮成形、シート溶着等の方法で成形される。先端側棒状部(1)へは接着または溶着により設置される。図2のバルーン送気・送液ポート(8)より送入された流体は、操作把持部(2)のルーメンを通り、開孔部より子宮固定バルーン(9)内に流入してバルーンを膨張させる。形状は膨張時の断面が略逆三角形である略三角柱状が好ましいが限定されない。逆三角形の場合は、一辺の長さが10mm〜80mmであり、膨張時の厚みが最大の部分で5mm〜60mmが好ましい。また、挿入時には子宮固定用バルーン(9)は折畳まれて挿入されるため、折畳み時の太さが10mm以下好ましくは5mm以下に形成されるようにバルーン肉厚を調整すると良い。また、バルーン全体をバルーン膨張時には外れるカバーシートで覆うように形成しても良い。更に、図3のように線状部材(7)と組み合せて形成することにより、より子宮固定の操作が行ない易くなる。子宮固定バルーン(9)に使用される材料は、シリコーンゴムや天然ゴムなどのゴム系や軟質塩化ビニル樹脂、SEBS樹脂、ポリウレタン樹脂などの合成樹脂が使用される。
【0014】
(線状部材操作部)
線状部材操作部(6)は通常、射出成形や金属加工で作製される。形状は図1のように操作把持部(2)の後端に棒状で接続されても良いし、操作把持部(2)の中にレバーのように組み込まれても良い。線状部材操作部(6)を操作することで図5に示している線状部材作動部材(14)が駆動し、線状部材(7)が子宮固定形状に変形したり、先端側棒状部(1)と一体になる。線状部材(7)を作動させる線状部材作動部材(14)は、しなやかな板状部材であっても良いし、ベルトやワイヤー、シャフトでも良い。線状部材作動部材(14)に使用される材質は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。線状部材操作部(6)に使用される材質は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。
【0015】
(先端側棒状部上下可変レバー)
先端棒状部上下可変レバー(4)は通常、射出成形や金属加工で作製される。形状は操作把持部(2)に組み込んだ形状でも良いし、操作把持部(2)に対して垂直に形成しても良い。先端側棒状部上下可変レバー(4)を回転させることにより先端側棒状部(1)が先端棒状部可変リング(13)を支点として上下に駆動するように形成しても良い。この場合、一般的には2つの歯車の間に先端側棒状部可変ベルト(12)のような歯車に噛み合うベルトを通して駆動させたり、ワイヤーを引くことにより駆動させる方法を取るなど様々な方法がある。また、可変した先端側棒状部(1)を確実に固定させるためにストッパーを付設しても良い。使用される材質は、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。
【0016】
(先端側棒状部回転レバー)
先端側棒状部回転レバー(5)は通常、射出成形や金属加工等で作製される。形状は操作把持部(2)の後端に回転レバーのようにあっても良いし、操作把持部(2)に対して垂直に組み込まれていても良い。先端棒状部回転レバー(5)を操作することで、先端側棒状部(1)が回転するように形成しても良い。この場合、一般的には操作把持部(2)の内側に内筒を設置し、先端棒状部と内筒、先端棒状部回転レバーを連動させて駆動させたり、ベルトやシャフトを用いて駆動させる方式を取るなど様々な方法がある。また、確実に固定させるためにストッパーを付設しても良い。使用される材質は塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂等や、ステンレス鋼等の金属等の材料が使用される。
【0017】
(使用方法)
次に本発明による子宮操作具の実際の使用方法について図6、図7を用いて第三実施例について説明し、本発明の効果を明確にする。まず、先端側棒状部(1)、操作把持部(2)を真直ぐにして、先端側棒状部(1)へ線状部材(7)を収め、子宮固定バルーン(9)を収縮した状態で、膣から子宮まで挿入していく。次に、子宮固定バルーン(9)を膨張させ、更に線状部材(7)を開く。先端棒状部上下可変レバー(4)、先端棒状部回転レバー(5)を操作し、子宮を適切な位置へ移動させる。子宮の内腔形状と子宮固定バルーン(9)の形状が類似しているため、子宮内で子宮操作具がずれることなく子宮操作を確実に行なうことができる。
【0018】
【発明の効果】
本発明の子宮操作具によれば、婦人科手術で子宮操作を行う際に、子宮が子宮操作具からすべるという事が無くなり、思い通りに子宮操作を行なうことができ、術者のストレスの軽減、手術時間の短縮、ひいては患者の創器社会復帰、医療経済の削減効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一実施例となる子宮操作具の概略平面図である。
【図2】本発明の第二実施例となる子宮操作具の概略平面図である。
【図3】本発明の第三実施例となる子宮操作具の概略平面図である。
【図4】本発明の第三実施例となる子宮操作具の概略側面図である。
【図5】本発明の第三実施例となる子宮操作具の概略正面断面図である
【図6】本発明の子宮操作具の使用状態を示す概略正面図である。
【図7】本発明の子宮操作具の使用状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
1 先端側棒状部
2 操作把持部
3 子宮固定手段
4 先端側棒状部上下可変レバー
5 先端側棒状部回転レバー
6 線状部材操作部
7 線状部材
8 バルーン送気・送液ポート
9 子宮固定バルーン
10 気体・液体注入ポート
11 気体・液体通過孔
12 先端側棒状部可変ベルト
13 先端側棒状部可変リング
14 線状部材作動部材
【出願人】 【識別番号】000002141
【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社
【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号
【出願日】 平成15年3月31日(2003.3.31)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−298293(P2004−298293A)
【公開日】 平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願番号】 特願2003−93065(P2003−93065)