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【発明の名称】 二重カフ
【発明者】 【氏名】西林 秀郎
【住所又は居所】愛知県小牧市林2007番1 日本コーリン株式会社内

【要約】 【課題】

【解決手段】動脈48を駆血するための駆血用袋28と、駆血用袋28の内周面側に配置され、動脈48からの脈波を検出する脈波検出用袋26とを備えた二重カフ10において、脈波検出用袋26の内周面側に、水が充填された形状可変袋40を設ける。このようにすると、駆血用袋28および脈波検出用袋26内の圧力が高められると、脈波検出用袋26の内周面側に配置された形状可変袋40に体表面側への圧力が加わり、この圧力により、水が充填された形状可変袋40は、その体表面側の面が体表面の凹凸形状に対応して変形させられるとともに、脈波検出用袋26側の面が脈波検出用袋26の内周面の形状に対応して変形させられる。従って、脈波検出用袋26は形状可変袋40を介して体表面の凹凸形状に適合させられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の所定部位の動脈を駆血するための駆血用袋と、
該駆血用袋が前記生体に巻き付けられたときに該生体と該駆血用袋との間に位置するように、該駆血用袋の内周面側に配置され、前記動脈の脈波を検出する脈波検出用袋と
を備えた二重カフであって、
前記脈波検出用袋の内周面側に、液体またはゲルが充填された形状可変袋が配置されていることを特徴とする二重カフ。
【請求項2】
請求項1の二重カフであって、
該二重カフが前記生体の所定部位に巻き付けられた状態において、前記脈波検出用袋の体表面側の面と体表面との間の全ての部分に形状可変袋が存在するように、前記形状可変袋の大きさおよび位置が設定されていることを特徴とする二重カフ。
【請求項3】
請求項1の二重カフであって、
該二重カフが前記生体の所定部位に巻き付けられた状態で前記脈波検出用袋と前記形状可変袋とが略完全に重なるように、前記形状可変袋の大きさおよび位置が設定されていることを特徴とする二重カフ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生体の所定部位に巻き付けられて、その部位を圧迫するカフに関し、特に、駆血用袋と脈波検出用袋の2つの袋を内部に備えている二重カフに関する。
【0002】
【従来の技術】
カフは、生体の所定部位を圧迫するためにその部位に巻き付けられる。カフ内には膨脹袋が備えられており、カフが生体の所定部位に巻き付けられた状態で、膨脹袋内に気体または液体が供給されて膨脹袋が膨脹させられることにより、カフ装着部位が圧迫される。
【0003】
カフは、生体を圧迫するだけでなく、圧迫と同時に、動脈から発生する脈波を検出する役割を有していることがある。たとえば、オシロメトリック方式による血圧測定では、一般的に、生体の所定部位に装着したカフの圧迫圧力を徐速降圧させており、その徐速降圧中にカフに伝達される脈波を逐次検出している。そして、逐次検出される脈波の振幅の立ち上がり点すなわち振幅が急激に大きくなる時点の膨張袋の静圧を最高血圧値としている。
【0004】
しかし、カフ内に設けられた膨張袋が一つだけであると、膨張袋内の圧力変動から逐次弁別される脈波の振幅の立ち上がり点が不明確なために、決定される最高血圧値が不正確となってしまう場合がある。
【0005】
上記問題点を解決するために、動脈を駆血するための駆血用袋と、その動脈からの脈波を検出するための脈波検出用袋の2つの膨脹袋を備えたカフが提案されている。たとえば、特許文献1に記載されたカフがそれである。上記特許文献1に記載されたカフは、脈波検出用袋であるインナーカフが、駆血用袋であるアウターカフの内周面側(生体側)の略中央に配置されており、アウターカフの上流端付近で動脈の脈動が再開しても、その脈動はインナーカフに直接的には伝達されない。そのため、インナーカフにより検出される脈波の振幅の立ち上がりが明確になり、最高血圧値の精度が向上する。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−269089号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
足首など体表面の凹凸形状が大きい部位にカフを巻き付ける場合、カフをその体表面の凹凸形状に適合させることが比較的困難である。特に、特許文献1に記載されたカフのように、駆血用袋と脈波検出用袋とを備えたカフの場合、脈波検出用袋が体表面の形状に十分に適合していないと、脈波検出用袋により検出される脈波の形状が不正確となり、決定される血圧値の精度が低下するという問題があった。
【0008】
本発明は以上の事情を背景として為されたもので、その目的とするところは、駆血用袋と脈波検出用袋とを備えたカフであって、脈波検出用袋を体表面の凹凸形状に十分適合させることができるカフを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明は、生体の所定部位の動脈を駆血するための駆血用袋と、その駆血用袋が前記生体に巻き付けられたときにその生体とその駆血用袋との間に位置するように、その駆血用袋の内周面側に配置され、前記動脈の脈波を検出する脈波検出用袋とを備えた二重カフであって、前記脈波検出用袋の内周面側に、液体またはゲルが充填された形状可変袋が配置されていることを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
この発明によれば、二重カフが生体の所定部位に巻き付けられて、駆血用袋および脈波検出用袋内の圧力が高められると、脈波検出用袋の内周面側に配置された形状可変袋に体表面側への圧力が加わり、この圧力により、液体またはゲルが充填された形状可変袋は、その体表面側の面が体表面の凹凸形状に対応して変形させられるとともに、脈波検出用袋側の面が脈波検出用袋の内周面の形状に対応して変形させられる。従って、脈波検出用袋は、形状可変袋を介して体表面の凹凸形状に適合させられていることになるので、脈波検出用袋により検出される脈波の形状が正確となり、精度の良い血圧値を得ることができる。
【0011】
【発明の他の態様】
ここで、好ましくは、前記二重カフが前記生体の所定部位に巻き付けられた状態において、前記脈波検出用袋の体表面側の面と体表面との間の全ての部分に形状可変袋が存在するように、前記形状可変袋の大きさおよび位置が設定される。このようにすれば、脈波検出用袋は、形状可変袋を介して体表面の凹凸形状に十分に適合させられるので、脈波検出用袋により検出される脈波の形状がより正確になる。
【0012】
ただし、形状可変袋の振動が脈波検出用袋を介さずに駆血用袋に伝達されてしまうほどに形状可変袋が大きいと、生体からの脈波が、形状可変袋から脈波検出用袋に伝達されるだけでなく、形状可変袋から駆血用袋にも伝達され、駆血用袋に伝達されたその脈波がさらに脈波検出用袋に伝達されてしまう。そのように駆血用袋を介して脈波検出用袋に伝達される脈波は、その伝達の間に歪みが生じるので、脈波検出用袋により検出される脈波の形状の正確性が低下してしまう。従って、さらに好ましくは、前記二重カフが前記生体の所定部位に巻き付けられた状態で前記脈波検出用袋と前記形状可変袋とが略完全に重なるように、前記形状可変袋の大きさおよび位置が設定される。このようにすれば、脈波検出用袋は、形状可変袋を介して体表面の凹凸形状に十分に適合させられ、且つ、脈波が形状可変袋から駆血用袋には伝達されないので、脈波検出用袋により検出される脈波の形状が最も正確となる。
【0013】
【発明の好適な実施の形態】
以下、本発明の一実施例を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明が適用された足首血圧測定用の二重カフ10の外周面側を展開した状態で示す図であり、図2は、図1に示す二重カフ10の内周面側を展開した状態で示す図である。
【0014】
図1の二重カフ10は、やや扇状に湾曲させられている帯状の形状を有し、幅方向長さが約14cmである。二重カフ10の長手方向の一方の端には、二重カフ10の幅方向に2つに分けられた細帯部12が形成されている。この細帯部12側が足首に巻き付けられる際の先端側となる。この細帯部12の内周面側には面ファスナ14が貼り付けられており、また、他方の端すなわち足首に巻き付けられる際の基部となる端側の外周面には、上記面ファスナ14と係合する面ファスナ16が貼り付けられている。二重カフ10が図示しない足首に巻き付けられると、内周面に貼り付けられた面ファスナ14と外周面に貼り付けられた面ファスナ16とが係合することにより、二重カフ10は足首に固定される。
【0015】
二重カフ10の内周面側の表面には、長手方向の略中央から基部側の端にかけて内周表面を形成する表布18が配置されており、その表布18と、二重カフ10の外形と略等しい形状を有する基布20とが、二重カフ10の外縁を一周する外縁布22とともに縫い合わせられることにより収容袋24が形成されている。脈波検出用袋26および駆血用袋28は、脈波検出用袋26が駆血用袋28の幅方向の末梢側(すなわち動脈血流の下流側)に位置して相互に重ねられた状態でこの収容袋24内に収容されている。
【0016】
駆血用袋28は、その内周側に位置する動脈内の血流を止血すなわち駆血するための袋であり、図1に示されるように、略矩形状であって、その幅方向の長さは、収容袋24の幅方向長さ(すなわち二重カフ10の幅方向長さ)よりもやや短い長さであり、長手方向長さも収容袋24の長手方向長さよりもやや短い長さである。また、図2に示されるように、脈波検出用袋26も略矩形状の袋であり、その幅方向長さは収容袋24の幅方向長さの1/3〜1/4程度であり、長手方向長さは収容袋24の長手方向長さよりもやや短い長さである。また、これら駆血用袋28および脈波検出用袋26は、柔らかい樹脂製である。
【0017】
図1に示されるように、二重カフ10の外周面には2つの接続管32、34が収容袋24の内部から突き出している。これら接続管32、34は、それぞれ脈波検出用袋26および駆血用袋28と一体化させられている。この接続管32、34に図示しない配管がそれぞれ接続され、その図示しない配管を介して脈波検出用袋26および駆血用袋28にそれぞれ空気が供給される。
【0018】
図3は図1のIII−III線断面図である。図2、図3に示すように、収容袋24内には、長手方向長さが表布18と略同じであり、幅方向長さが表布18の半分程度である矩形状のシート30が、その1対の長辺のうち足首に装着されたときに下流となる側の長辺が収容袋24の下流側の長辺と略重なるように配置されており、そのシート30の幅方向の両側の縁が表布18に接着させられることにより小収容室36が形成されている。脈波検出用袋26は、この小収容室36内に収容されている。なお、このシート30は柔らかい樹脂製である。
【0019】
小収容室36内には、さらに、脈波検出用袋26の外周面側に高密度ポリエチレン製の振動遮蔽板38が配置され、脈波検出用袋26の内周面側には形状可変袋40が配置されている。これら振動遮蔽板38および形状可変袋40の幅方向長さは、脈波検出用袋26と略同程度とされている。上記形状可変袋40は、伸縮性のない(あるいは少ない)材質により構成された袋内に、ゲルあるいは非圧縮性流体である液体が充填された構造であればよいが、本実施例では、袋内には水が充填されている。
【0020】
図4は、振動遮蔽板38、脈波検出用袋26および形状可変袋40の平面図である。図4に示されるように、上記振動遮蔽板38は長手矩形状とされている。また、形状可変袋40は、長手方向の長さが脈波検出用袋26の長手方向長さよりも少し短くされた長手矩形状であり、その水平位置は、脈波検出用袋26と平行であって、幅方向において脈波検出用袋26と略完全に一致し、長手方向の中心が脈波検出用袋26の長手方向の中心と一致する位置とされている。
【0021】
図5は、振動遮蔽板38、脈波検出用袋26および形状可変袋40の正面図である。図5に示されるように、振動遮蔽板38、脈波検出用袋26および形状可変袋40は、脈波検出用袋26の長手方向両端(図5のA点)において互いに縫い合わせられることにより一体化させられている。
【0022】
形状可変袋40の長手方向長さが脈波検出用袋26の長手方向よりも少し短くされているのは、二重カフ10が足首に巻き付けられたときに、脈波検出用袋26と形状可変袋40とが略完全に重なるようにするためであり、二重カフ10が足首に巻き付けられた状態では、形状可変袋40および脈波検出用袋26はともに筒状とされるが、内側に配置されている形状可変袋40の半径の方が脈波検出用袋26の半径よりも短いので、その半径の差が考慮されて形状可変袋40の長手方向が決定されている。
【0023】
図3に戻って、駆血用袋28は、収容袋24内においてシート30よりも外周面側に収容されている。また、収容袋24内には、駆血用袋28の外周面側にさらに第1付勢板42および第2付勢板44が収容されている。これら第1付勢板42および第2付勢板44は、二重カフ10が筒状となるように付勢するためのものであり、たとえば硬質樹脂により構成される。
【0024】
図6は、このように構成された二重カフ10が血圧測定に際して足首46に巻き付けられ、駆血用袋28および脈波検出用袋26の内圧が、ともに、動脈48の最高血圧値よりも高い予め定められた駆血圧力(たとえば250mmHg)とされることにより、動脈48が駆血されている状態を示す図である。なお、図6では、振動遮蔽板38、第1付勢板42および第2付勢板44は省略してある。
【0025】
前述のように、形状可変袋40は、幅方向長さが脈波検出用袋26の幅方向長さと略同じ長さとされ、また、長手方向長さが、図6のように二重カフ10が足首46に巻き付けられた状態で形状可変袋40と脈波検出用袋26とが略完全に重なるように設定されているので、この状態では、形状可変袋40と脈波検出用袋26とは幅方向及び長手方向の両方向において略完全に重なっている。
【0026】
図6に示すように、本実施例の二重カフ10が足首46に巻き付けられて、駆血用袋28および脈波検出用袋26内の圧力が高められると、脈波検出用袋26の内周面側に配置された形状可変袋40に体表面側への圧力が加わり、この圧力により、水が充填された形状可変袋40は、その体表面側の面が体表面の凹凸形状に対応して変形させられるとともに、脈波検出用袋26側の面が脈波検出用袋26の内周面の形状に対応して変形させられる。従って、脈波検出用袋26は、形状可変袋40を介して体表面の凹凸形状に適合させられていることになるので、脈波検出用袋40により検出される脈波の形状が正確となり、精度の良い血圧値を得ることができる。
【0027】
特に、本実施例では、二重カフ10が足首46に巻き付けられた状態で脈波検出用袋26と形状可変袋40とが略完全に重なるように、形状可変袋40の大きさおよび位置が設定されていることから、脈波検出用袋26は、形状可変袋40を介して体表面の凹凸形状に十分に適合させられ、且つ、脈波が形状可変袋40から駆血用袋28には伝達されないので、脈波検出用袋26により検出される脈波の形状が最も正確となる。
【0028】
以上、本発明の一実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は他の態様においても適用される。
【0029】
たとえば、前述の実施例では、形状可変袋40の長手方向長さは、二重カフ10が足首46に巻き付けられたときに、形状可変袋40が脈波検出用袋26と略完全に重なるような長さとされていたが、形状可変袋40の長手方向長さは、前述の実施例よりも長くても短くても良い。また、形状可変袋40の幅方向長さも脈波検出用袋26よりも長くても短くてもよい。なお、形状可変袋40が小さすぎると、脈波検出用袋26が形状可変袋40を介さず体表面と対向させられる部分が生じるが、その場合にも、脈波検出用袋26に形状可変袋40を介して体表面の凹凸形状に適合させられている部分があるので、脈波検出用袋26により検出される脈波の正確さは向上する。
【0030】
以上、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその主旨を逸脱しない範囲においてその他種々の変更が加えられ得るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用された足首血圧測定用の二重カフの外周面側を展開した状態で示す図である。
【図2】図1に示す二重カフの内周面側を展開した状態で示す図である。
【図3】図1のIII−III線断面図である。
【図4】振動遮蔽板、脈波検出用袋および形状可変袋の平面図である。
【図5】振動遮蔽板、脈波検出用袋および形状可変袋の平面図である。
【図6】図1の二重カフが足首に巻き付けられ、駆血用袋および脈波検出用袋により動脈が駆血されている状態を示す図である。
【符号の説明】
10:二重カフ
26:脈波検出用袋
28:駆血用袋
40:形状可変袋
【出願人】 【識別番号】504019054
【氏名又は名称】コーリンメディカルテクノロジー株式会社
【住所又は居所】愛知県小牧市林2007番1
【出願日】 平成15年3月20日(2003.3.20)
【代理人】 【識別番号】100085361
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 治幸

【公開番号】 特開2004−283320(P2004−283320A)
【公開日】 平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願番号】 特願2003−77974(P2003−77974)