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【発明の名称】 診断支援システム、診断支援方法及び診断支援プログラム
【発明者】 【氏名】石 黒 正 揮

【氏名】村 瀬 一 郎

【氏名】井 上 信 吾

【氏名】森 山 紀 之

【氏名】関 口 隆 三

【要約】 【課題】複数の経時造影画像を用いて、被検体の特定部位の状態を、自動的に且つ容易に診断する。

【解決手段】被検体から、それぞれ相異なる時点で取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割し、前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成し、前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成し、前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出し、前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割する領域分割処理部と、
前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成する診断対象画像作成部と、
前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成する統合化処理部と、
前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出する特徴量算出部と、
前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する被検体状態決定部と、
を備えることを特徴とする診断支援システム。
【請求項2】
前記経時造影画像を構成する各画素は、2次元の位置情報及び被検体状態情報からなる3次元情報を有するものであり、前記領域分割部は、前記3次元情報の集合に対して階層的クラスタリングを適用することにより前記領域分割を行うことを特徴とする請求項1に記載の診断支援システム。
【請求項3】
前記被検体状態決定部は、前記特徴量を所定の条件式に適応して前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定することを特徴とする請求項1又は2に記載の診断支援システム。
【請求項4】
前記所定の条件式は、各前記経時造影画像間を構成する各画素における画素値の経時変化を考慮したものであることを特徴とする請求3に記載の診断支援システム。
【請求項5】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割し、
前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成し、
前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成し、
前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出し、
前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する、
ことを特徴とする診断支援方法。
【請求項6】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割する領域分割ステップと、
前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成する診断対象画像作成ステップと、
前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成する統合化ステップと、
前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、
前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する被検体状態決定ステップと、
をコンピュータに実行させることを特徴とする診断支援プログラム。
【請求項7】
前記領域分割ステップとして、前記経時造影画像を構成する各画素が有する3次元情報であって、2次元の位置情報及び被検体状態情報からなる3次元情報の集合に対して階層的クラスタリングを適用することにより前記領域分割を行うステップを、前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6に記載の診断支援プログラム。
【請求項8】
前記抽出された分割領域の重なり率に基づいて前記統合化ステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6又は7のいずれかに記載の診断支援プログラム。
【請求項9】
前記被検体状態決定ステップとして、前記特徴量を所定の条件式に適応することにより前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定するステップを、前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の診断支援プログラム。
【請求項10】
前記所定の条件式として、各前記経時造影画像間を構成する各画素における画素値の経時変化を考慮したものを用いることを特徴とする請求項9に記載の診断支援プログラム。
【請求項11】
前記経時造影画像としてCT画像を用いることを特徴とする請求項6乃至10のいずれかに記載の診断支援プログラム。
【請求項12】
造影剤を含まない状態で前記被検体から取得された画像をさらに用いて前記各ステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の診断支援プログラム。
【請求項13】
前記経時造影画像は、前記被検体の肝臓領域から撮影されたものであることを特徴とする請求項6乃至12のいずれかに記載の診断支援プログラム。
【請求項14】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割するステップをコンピュータに実行させる診断支援プログラムであって、
前記経時造影画像を構成する各画素が有する、2次元の位置情報及び被検体状態情報からなる3次元情報の集合に対して階層的クラスタリングを適用することにより前記経時造影画像を領域分割するステップを前記コンピュータに実行させることを特徴とする診断支援プログラム。
【請求項15】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割した画像から、診断対象となる分割領域が抽出された複数の診断対象画像を統合化して、統合画像を作成するステップをコンピュータに実行させることを特徴とする診断支援プログラム。
【請求項16】
前記統合画像を前記複数の経時造影画像に対応させて、前記複数の経時造影画像間において、各前記経時造影画像を構成する各画素値の経時変化を算出するステップをさらにコンピュータに実行させることを特徴とする請求項15に記載の診断支援プログラム。
【請求項17】
それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割し、診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出した複数の領域分割画像を統合化してなる統合画像を用いて、前記経時造影画像についての特徴量を算出し、前記特徴量を所定の条件式に適応して、前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定するステップ、をコンピュータに実行させることを特徴とする診断支援プログラム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療分野において用いられる、診断支援システム、診断支援方法及び診断支援プログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
被検体における特定部位(例えば肝臓)の診断方法としてCT(ComputerizedTomography)検査が広く用いられている。このCT検査は以下のようなものである。
【0003】
即ち、患者(被検体)の周りから患者に対してX線を照射し、患者を透過したX線の量をコンピュータで測定する。つまり、被検体に照射されたX線の透過率(あるいは吸収率)を算出する。そして、算出されたX線の透過率に基づいて上述の特定部位(例えば腹部)における断層画像(CT画像)を取得する(以上をCTスキャンと称する)。取得されたCT画像を構成する各ピクセル値(CT値)は、一般的に、空気が−1000、水が0、骨が+1000となるように設定される。医師は、このCT画像(例えば腹部断面画像)から腫瘍を抽出し、腫瘍の形状等に基づいて、腫瘍の種類を判別する。
【0004】
以上のCT検査を応用した診断方法としてダイナミックCT検査がある。このダイナミックCT検査は以下のようなものである。
【0005】
即ち、このダイナミックCT検査では、まず、被検体の静脈から造影剤を注入し、その後、例えば3回、それぞれ所定の間隔を開けて被検体の特定部位(例えば肝臓)をCTスキャンする。例えば、造影剤の注入後40秒後に1回目のCTスキャンを行い、1回目のCTスキャンの後2分後に2回目のCTスキャンを行い、2回目のCTスキャンの後3分後に3回目のCTスキャンを行い3つのCT画像を取得する。医師は、各CT画像を比較して、被検体の特定部位における腫瘍を抽出し、その種類を診断する。
【0006】
各CT画像の比較により腫瘍の種類を診断できる理由について述べると以下の通りである。
【0007】
例えば肝臓において腫瘍の存在する部位と正常な部位とでは血液の流れる速さは異なる。具体的には、腫瘍部では正常部位よりも血液の流れが遅くなる。つまり、腫瘍部では血液中の造影剤の留まる時間も長くなる。さらに、この造影剤はCT画像上では白く染まり、その染まり方は、腫瘍の種類により異なる。これらの特徴を用いることで各CT画像の比較により腫瘍の有無及び種類を判別できる。この際、特に、各CT画像の同一の腫瘍部分におけるCT値の経時変化が、腫瘍の種類の特定に当たり重要な特徴量となる。
【0008】
【非特許文献】
桝本 潤、 堀 雅敏、 佐藤 嘉伸、村上 卓道 ”X線CT画像からの肝腫瘤自動抽出の検討”,電子情報通信学会論文誌 2000, J83−D−II, number 1, pp.219−227
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、肝腫瘍の中には、X線の吸収値が時間によって複雑に変化するものもあり、その場合、各CT画像において同一腫瘍部分のCT値が大きく変動してしまう。また、肝腫瘍は、背景肝とのCT値の差が小さいため腫瘍の検出が難しく、また腫瘍の形状が多様であるという特徴を有する。
【0010】
これらのため、各CT画像での同一の腫瘍の対応付けは困難であった。つまり、経時造影像の各CT画像において同一の腫瘍部分を特定することは困難であった。このため、各CT画像において同一の腫瘍部分についてのCT値の経時変化を取得できず、腫瘍の種類を判別することは難しかった。
【0011】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、複数の経時造影画像を用いて、被検体の特定部位の状態を、自動的に且つ容易に診断することを支援する診断支援システム、診断支援方法、診断支援プログラムを提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の診断支援システムは、それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割する領域分割処理部と、前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成する診断対象画像作成部と、前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成する統合化処理部と、前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出する特徴量算出部と、前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する被検体状態決定部と、を備えるものとして構成される。
【0013】
本発明の診断支援方法は、それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割し、前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成し、前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成し、前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出し、前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定するものとして構成される。
【0014】
本発明の診断支援プログラムは、それぞれ相異なる時点で被検体から取得された複数の経時造影画像をそれぞれ領域分割する領域分割ステップと、前記複数の経時造影画像から診断対象となる分割領域をそれぞれ抽出して、抽出された前記分割領域を含む診断対象画像をそれぞれ作成する診断対象画像作成ステップと、前記複数の診断対象画像が統合された統合画像を作成する統合化ステップと、前記経時造影画像と前記統合画像を用いて、前記経時造影画像の特徴量を算出する特徴量算出ステップと、前記特徴量を用いて前記統合画像に対応する前記被検体の状態を決定する被検体状態決定ステップと、をコンピュータに実行させるものとして構成される。
【0015】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の実施の形態の特徴について簡単に述べると以下の通りである。
【0016】
即ち、本実施の形態では、肝臓の特定部位(同一断面部)から、単純CT画像及び各ダイナミックCT画像(早期像、門脈相、後期像)の4つのCT画像を順次取得する。これらの各CT画像を領域分割及び統合化処理し、各CT画像において同一腫瘍部分の領域を特定する。各CT画像において特定された領域について肝腫瘍診断に用いて有用な種々の特徴量(セグメント特徴量)(図11参照)を算出する。そして、これらのセグメント特徴量を、種々の肝腫瘍の特徴をとらえた診断ルール(例えば各CT画像間における同一腫瘍部分のCT値の経時変化等)(図13参照)に適応して、上述において特定された腫瘍のタイプを自動診断する。以下、本実施の形態についてさらに詳しく述べる。
【0017】
図1は、本発明の実施の形態としての診断支援システムによる処理の流れを簡単に示す図である。
【0018】
以下、図1を参照して、本診断支援システムによる処理の流れについて簡単に説明する。
【0019】
まず、図1に示すように、肝臓の特定部位が撮影された4種類のCT画像、即ち、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像を用意する。但し、ここに示す各CT画像は、撮影されたCT画像から肝臓領域を自動抽出したものである。肝臓領域の自動抽出に関しては、例えば、既存の研究結果(L. Gao, D.G. Health, B.S. Kuszyk, and E.K. Fishman. Automatic liver segmentation technique for three−dimensional visualization of ct data. Radiology, Vol. 201, No. 2, pp. 359−364, Nov. 1996.)を用いて行う。
【0020】
ここで、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像について説明すると以下の通りである。
【0021】
即ち、単純CT画像は、造影剤が被検体に注入される前の段階でX線CT装置により撮影されたCT画像である。一方、早期像、門脈相、後期像は、造影剤が被検体に注入された後の段階で撮影されたCT画像である。具体的には、早期像は、造影剤が被検体に注入された後、例えば40秒後に撮影されたCT画像、門脈相は、造影剤投与後、例えば2分後に撮影されたCT画像、後期像は、造影剤投与後、例えば5分後に撮影されたCT画像である。
【0022】
これら各CT画像を構成する各ピクセルは例えば−1000〜1000のCT値(被検体状態情報)を有する。一般に、空気が−1000、水が0、骨が1000となるように各ピクセルのCT値は設定される。なお、各CT画像がディスプレイ上に表示されるときは、各ピクセルは例えば256階調に変換される。
【0023】
図1のステップS1に示すように、図1に示す各CT画像から、診断対象となる必要なセグメント(診断対象セグメント)を抽出するセグメント抽出処理を行って、診断対象セグメントが抽出された個別セグメント画像をCT画像ごとに作成する。
【0024】
より詳しくは、各CT画像をそれぞれ複数の領域に分割処理(セグメンテーション)して、CT画像ごとに複数の領域(セグメント)からなる領域分割画像(全体セグメント画像)(図示せず)を取得する。そして、各全体セグメント画像を構成する各セグメントから、例えばノイズや背景肝等によるセグメント(診断対象外セグメント)を除去する。これにより、各全体セグメント画像から診断対象セグメントが抽出された個別セグメント画像がそれぞれ作成される。
【0025】
次に、ステップS2に示すように、各個別セグメント画像をそれぞれ並行移動して位置合わせた後(図8参照)、各個別セグメント画像を統合化処理して、複数の統合セグメントからなる統合セグメント画像作成する(セグメント対応付け処理)。この統合セグメント画像を構成する各統合セグメントは各CT画像における同一の腫瘍部分にそれぞれ対応するものである。
【0026】
次に、ステップS3に示すように、この統合セグメント画像、上述した各CT画像(単純CT画像、早期像、門脈相、後期像)及び各個別セグメント画像等を用い、統合セグメント画像を構成するセグメントごとに、肝腫瘍診断に用いて有用なセグメント特徴量(図12参照)を算出する(特徴量算出処理)。
【0027】
次に、ステップS4に示すように、各セグメントについて得られたセグメント特徴量を医学上の肝腫瘍診断知識に基づく診断ルール(判別ルール)(図13参照)に適応して、セグメントごとに腫瘍の種類等を特定した診断結果を出力する(診断ルール適用処理)。本診断支援システムの利用者(例えば医師等)は、この診断結果を用いて最終的な診断結果を下す。
【0028】
以上、本診断システムによる処理の流れについて簡単に説明した。
【0029】
以下、本診断支援システムついて詳しく説明する。
まず、本診断支援システムの構成について説明する。
図2は、本発明の実施の形態としての診断支援システムを示したシステム構成図である。
【0030】
図2に示すように、画像読込部1は、記憶部7内に格納されたCT画像、即ち、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像を読み込み、総合制御部3に送信するものとして構成されている。なお、各CT画像は、撮影直後のCT画像であり、肝臓領域の自動抽出処理が行われたものではない。
【0031】
記憶部7は、上述の各CT画像や、各機能部における処理の際に供されるパラメータデータを格納したパラメータファイルa、bを記憶保持する。パラメータデータは、例えば、パラメータ変数とその値とからなるものである。
【0032】
入力部2は、本診断支援システムの利用者が総合制御部3に各種の指示を与えるものである。
【0033】
総合制御部3は、各機能部間を適正に制御すると共に、上述した肝臓領域の自動抽出処理を行うものである。
【0034】
セグメンテーション部4は、肝臓領域の自動抽出処理が行われた各CT画像を総合制御部3から受信し、これらのCT画像をそれぞれ平滑化処理するものである。そして、セグメンテーション部4は、平滑化処理後の各CT画像に対しセグメンテーションをし、CT画像ごとに、複数のセグメントからなる全体セグメント画像を作成するものである。全体セグメント画像を構成する各セグメントには固有の値(ラベル)が設定される。
【0035】
セグメントフィルタリング部5は、セグメンテーション部4によって作成された各全体個別セグメント画像から、診断対象外となる不要なセグメントを除去して、診断対象外が除去された個別セグメント画像を作成するものである。即ち、セグメントフィルタリング5は、主として、腫瘍及び血管等のセグメント(診断対象セグメント)のみを抽出した個別セグメント画像を作成するものである。血管セグメント等を残すのは、血管セグメント等はその複雑性のために画一的に除去するのが困難だからである。セグメントフィルタリング部5は、上のようにして除去した診断対象外セグメントについての情報(フィルタリング情報)を総合制御部3にフィードバックするものとして構成されている。
【0036】
画像間セグメント対応付け部6は、セグメントフィルタリング部5によって作成された各個別セグメント画像を、後述するアルゴリズムに従ってそれぞれ位置合わせするものである。そして、画像間セグメント対応付け部6は、その位置合わせ状態において、各個別セグメント画像を後述するアルゴリズムに従って統合化し、複数の統合セグメントからなる統合セグメント画像を作成するものである(図1の統合セグメント画像を参照)。画像間セグメント対応付け部6は、作成した統合セグメント画像、及び統合セグメントの作成に用いた各個別セグメント画像を総合制御部3にフィードバックするものとして構成されている。
【0037】
特徴量算出部8は、総合制御部3から各CT画像、各個別セグメント画像、統合セグメント画像、フィルタリング情報を受信し、受信したこれらのデータを用いて、統合セグメント画像を構成する各統合セグメントについて、上述した種々のセグメント特徴量(図11参照)を算出するものである。
【0038】
腫瘍スコアリング診断部9は、特徴量算出部8によって算出された種々のセグメント特徴量データを所定の診断ルール(図13参照)に適応して、各統合セグメントに対応する被検体部分についての腫瘍の有無及びその種類等を診断するものである。そして、腫瘍スコアリング診断部9は、各統合セグメントごとに腫瘍の種類等を示した診断結果データを総合制御部3にフィードバックするものである。
【0039】
出力部10は、総合制御部3からセグメント診断結果データ、セグメント特徴量データ、個別セグメント画像を受信し、これらのデータを表示して、本診断支援システムの利用者(例えば医師等)に視認させるものである。
【0040】
次に、以上の構成を有する診断支援システムの動作について説明する。
図3は、この診断支援システムの動作を詳細に示したフローチャートである。
以下、図3及び図2を参照しながら、この診断支援システムの動作について説明する。
【0041】
図3に示すように、この診断システムの動作は次の3つの工程、即ち、各CT画像(単純CT画像、早期像、門脈相、後期像)から診断対象外セグメントを除去するセグメント抽出工程Aと、診断対象外セグメントが除去された各CT画像(各個別セグメント画像)をそれぞれを位置合わせ及び統合化して、複数の統合セグメントからなる統合セグメント画像を作成するセグメント対応付け工程Bと、統合セグメント画像を構成する各統合セグメントについてセグメント特徴量を算出し、このセグメント特徴量を所定の診断ルールに適応することにより、各統合セグメントについての診断結果を出力する診断工程Cとからなる。
【0042】
以下、セグメント抽出工程A、セグメント対応付け工程B、診断工程Cの各工程について順次説明する。
まず、セグメント抽出工程Aについて説明する。
図3に示すように、セグメント抽出工程Aは、ステップS11〜S16からなる。
【0043】
まず、ステップS11(マクロ視化フィルタ処理工程)について説明する。
図2に示すように、まず、入力部2から本診断システムの始動を指示する指示データを総合制御部3が受信すると、総合制御部3は画像読込部1に対して各CT画像(単純CT画像、早期像、門脈相、後期像)の読み込み指示をする。読み込み指示を受けた画像読込部1は、記憶部7内の各CT画像を読み込み([1])、読み込んだ各CT画像を総合制御部3に送出する([2])。一方において、総合制御部3は、入力部3から上述の指示データを受信すると、記憶部7内のパラメータファイルa,bを読み込む。([3])。これら各CT画像及びパラメータファイルa,bを受信した総合制御部3は、各CT画像に対して肝臓領域自動抽出処理を行う。なお、肝臓領域の抽出は、自動抽出処理によらず、例えば入力部2を介して、マニュアルで指定してもよい。肝臓領域が抽出された各CT画像及びパラメータファイルaを、総合制御部3は、セグメンテーション部4へ送信する([4])。セグメンテーション部4は、各CT画像に対して、例えばガウシアンフィルタを用いて、平滑化処理(マクロ視化フィルタ処理)を行う。
【0044】
このマクロ視化フィルタ処理は、種々の濃淡パターンが存在するCT画像においてCT値(濃度値)の微少な変動を少なくすると共に、各CT画像上に乗ったランダムな細かいノイズを除去するものである。これは、後述するセグメンテーションの際に各CT画像が必要以上に細かいセグメントに分割されることを防ぎ、組織としての単位を適切に抽出するために行われる。
【0045】
以上のようにして各CT画像を平滑化処理したら、次に、セグメンテーション工程(ステップS12)に進む。
【0046】
このセグメンテーション工程は、平滑化処理が施された各CT画像をセグメンテーション部4(図2)が複数の領域に分割(セグメンテーション)する工程である。複数のセグメントに分割された各CT画像(全体セグメント画像)を構成する各セグメントには各セグメントをそれぞれ識別するラベルが付される。
【0047】
本ステップのセグメンテーションを行うに当たっては種々の方法を用いることができるが、ここでは、3次元空間における階層的クラスタリングを用いたセグメンテーション方法を採り上げる。
【0048】
まず、この階層的クラスタリングの概念について簡単に説明しておく。
階層的クラスタリングでは、予め与えられたN個のサンプルに対して、要素数がN個のクラスタ(サンプルの集団)が存在すると仮定する。そして、クラスタ(サンプル)間の計算し、最短の距離にある2つのクラスタを併合して新たなクラスタとする。このときクラスタの数は1つ減りN−1となる。この操作を繰り返し、例えば、最も近いクラスタ間の距離がある値よりも大きくなったらクラスタの併合を停止する。
【0049】
このような階層的クラスタリングを3次元空間において適用して各CT画像をセグメンテーションを行う方法を以下に説明する。
【0050】
図4は、3次元空間における階層的クラスタリングによるセグメンテーションの概念を説明するための図である。
【0051】
図4に示すように、このセグメンテーション手法では、まず、2次元平面状のCT画像を構成する各ピクセルを、x軸、y軸、CT値軸を座標軸とする3次元座標系(3次元ベクトル空間)上に抽出する。3次元ベクトル空間内に抽出されたピクセル群に対して階層的クラスタリングを適用して、図4に示すように、クラスタを抽出する。抽出された各クラスタに対応する元のCT画像上のピクセル群が各セグメントとして抽出される。
【0052】
このセグメンテーション手法によれば、2次元平面上のCT画像における各ピクセル同士の距離のみならず、各ピクセル同士のCT値の近さをも考慮するので、類似するピクセル群をより適正にクラスタとして分離抽出することができる。
【0053】
これに対し、従来のセグメンテーション手法では、適正なクラスタの分離抽出は困難であった。即ち、従来のセグメンテーション手法では、CT値の範囲(閾値範囲)を例えば複数設定し、これらの閾値範囲をCT画像に適応することによりセグメントの抽出を行っていた。例えば、閾値範囲を、CT値301〜400、CT値401〜500として設定し、CT値301〜400を有する一連のピクセル群を1つのセグメント、CT値401〜550を有する一連のピクセル群を1つのセグメントなどとしてセグメントを抽出した。しかし、このようなグローバルな閾値範囲を適応することによるセグメンテーション手法では、例えば大きなCT値変動を有する単一組織をセグメントとして適正に抽出することは困難である。例えば、境界の内側付近で急峻にCT値が変動する特徴を有する肝腫瘍を、セグメントとして適正に抽出することが困難である。
【0054】
この点、上述した3次元空間における階層的クラスタリングを用いたセグメンテーションでは、3次元ベクトル空間上で相隣接するピクセル間の距離によるセグメント抽出、つまり2次元画像上のピクセルの距離とピクセル輝度の両方を融合した遠近によるセグメント抽出を行うため、局所的な条件も考慮したセグメント抽出(クラスタリング)となり、この結果、適正なセグメント抽出が可能となるのである。
【0055】
以上に述べた3次元空間における階層的クラスタリングを用いたセグメンテーションの詳細なステップ(アルゴリズム)を以下に示す。
【0056】
3次元階層型セグメンテーション・アルゴリズム
入力:CT画像、スケーリングファクタ、分割階層k
出力:全体セグメント画像(全体ラベル画像)
処理方法:
(1)CT画像を平滑化する。但し、図3のステップS11(マクロ視化フィルタ処理)のように既にCT画像に対して平滑化処理を行っている場合はこの限りではない。
【0057】
(2)CT画像の各ピクセルが有するx、y座標、及びCT値にそれぞれスケーリングファクタを掛け算した3次元ベクトルの集合Spを求める。従って、集合Spは、ピクセル数nと同じ数の3次元ベクトルp1,p2,p3、pi、pj・・・pnを有する。つまり集合Spは、要素数nの3次元ベクトルを有する。
【0058】
(3)集合Spにおける複数の3次元ベクトルの全対についてユークリッド距離を算出し、ユークリッド距離が最小となる3次元ベクトルの対pi,pjを探索する。探索された3次元ベクトルの対pi,pjの重心ベクトル(1/2(pi+pj))を算出し、算出された重心ベクトルpi,jを、ベクトル対pi,pjと置換する。このときのベクトル集合をS’pとする。従って、ベクトル集合S’pの要素数はn−1となり、集合Spよりも要素数が1減る。
【0059】
(4)ベクトル集合S’pの要素数が1になるまで、ステップ(3)を繰り返し、この結果統合階層木を取得する。図5に統合階層木の概念図例を示す。但し、図5は、本アルゴリズムの理解を容易にするためのものであり、ベクトルの数をp1〜p12の12個にして示してある。なお、図中の□は、上述した重心ベクトルを示す。
【0060】
(5)ステップ(3)、(4)により形成された統合階層木を頂点から辿り、分割階層kを頂点とする部分階層木を取得する。各部分階層木に対応するピクセル集合がクラスタとなる。例えば図5では、分割階層k=3の例を示している。この場合、図5に示すように、部分階層k=3に対応して、部分階層木は4つ取得される。即ち、ベクトルp1によるクラスタ、ベクトルp2〜p8によるクラスタ、ベクトルp9によるクラスタ、ベクトルp10〜p12によるクラスタの4つのクラスタが取得される。
【0061】
(6)各部分階層木に対応したクラスタにそれぞれ固有のラベル値を付する。つまり、同一のクラスタを構成する各ピクセルに同一の固有ラベル値をそれぞれ付する。
【0062】
以上のアルゴリズムに従って各CT画像をセグメンテーションしたら、次に、図3に示すように、ステップS13〜S16(肝境界セグメント除去工程、背景肝除去工程、CT値レンジ除去工程、微少セグメント除去工程)を順次行う。これらのステップS13〜S16は、ステップS12でセグメンテーションされた各CT画像(各全体セグメント画像)を構成する各セグメントから、例えばノイズ、背景肝等の不要なセグメント(診断対象外セグメント)をセグメントフィルタリング部5(図2参照)が除去する工程である。
【0063】
以下、各ステップS13〜S16について順次説明する。
まず、ステップS13(肝境界セグメント除去工程)について説明する。
【0064】
本ステップは、肝境界内側近傍に生成された細長いセグメントを各全体セグメント画像から除去する工程である。
【0065】
即ち、各CT画像において肝境界の内側付近ではCT値勾配の大小が連続する。このため、上のセグメンテーション工程(ステップS12)においては、CT値勾配の大小が連続する肝境界内側の近傍に細長いセグメントが生成される。そこで、本ステップでは、この肝境界の細長いセグメントを各全体セグメント画像から除去する。但し、肝境界の内側付近に存在し得る腫瘍の抽出洩れを防ぐため、肝境界から一定の幅を持たせた範囲内にあるセグメントのみを除去する。
【0066】
以上のようにして各全体セグメント画像から肝境界セグメントを除去したら、次に、背景肝除去工程(ステップS14)に進む。
【0067】
この背景肝除去工程は、腫瘍、血管等を除いた、肝内で広域にわたる、肝一般組織によるセグメント(背景肝セグメント)を各全体セグメント画像から除去する工程である。この背景肝セグメントの除去基準について具体的に述べると以下の通りである。
【0068】
まず、各全体セグメント画像を構成する各セグメントから任意のセグメントを選択し、そのセグメントの凸包領域の面積(ピクセル数)を求める。凸包領域とは、そのセグメント内の全ての領域である。この凸包領域の概念を図6に示す。図6では、選択された任意のセグメント31内にセグメント32が包括された状態を示している。この場合、セグメント31の包括領域とは、セグメント31内の全領域、つまり、セグメント32の領域をも含めた領域をいう。
【0069】
以上のように選択されたセグメントの凸包領域の面積を求めたら、次に、肝領域の全体の面積(ピクセル数)を求める。
【0070】
次に、上述した凸包領域の面積と肝領域全体の面積との比率を算出し、この比率が所定の基準値以上であるか否かを判断する。所定の基準値未満であると判断した場合は上で選択されたセグメントは背景肝でないと判断し残す。一方、所定の基準値以上であると判断した場合は、つまり凸包領域の面積が広いと判断した場合は以下のようにして背景肝を特定する。
【0071】
即ち、凸包領域を構成する各ピクセルのピクセル値(CT値)の合計を凸包領域内の全ピクセル数で割り算した値(平均ピクセル値)を求める。一方、肝領域全体について、例えば横軸をピクセル値、縦軸をピクセル数としたヒストグラムを作成し、ピクセル値のモード値(例えばヒストグラムにおいて最も大きい山を形成するピクセル値)を求める。上述した平均ピクセル値と、このピクセル値のモード値とのずれ(絶対値)を求め、ずれが所定の基準値以下であるか否かを判断する。
【0072】
平均ピクセル値と、このピクセル値のモード値とのずれが、所定の基準値以下であると判断した場合は、平均ピクセル値をモード値よりも背景肝の基準として優先採用し、この平均ピクセル値を有する上述した凸包領域(上で選択されたセグメント及びそのセグメント内の全セグメント)を背景肝とみなして除去する。例えば、図6に示す場合、選択されたセグメント31とその内側のセグメント32との両方を除去する。
【0073】
一方、平均ピクセル値と、このピクセル値のモード値とのずれが所定の基準値よりも大きいと判断した場合は、モード値を背景肝の基準として優先採用し、各全体セグメント画像内の各セグメントに対して次の判断を行う。即ち、各セグメントにおいて最小のCT値と最大のCT値、つまりCT値の範囲を求め、このCT値の範囲内に上述のモード値が含まれるか否かを判断する。このCT値の範囲内にこのモード値を含むセグメントを背景肝とみなして除去し、CT値の範囲内にモード値が含まれないセグメントについては残す。
【0074】
以上の処理を、各全体セグメント画像を構成する他の全てのセグメント、上で選択した任意のセグメント以外のセグメントについても行う。
【0075】
以上のようにして、各全体セグメント画像から背景肝セグメントを除去したら、次に、図3に示すように、CT値レンジ除去工程(ステップS15)に進む。
【0076】
前述したように各CT画像は肝臓自動抽出処理が施されているが、各CT画像には肝臓以外の領域が残っている場合もある。一般に、各CT画像(単純CT画像及びダイナミックCT画像)において、肝組織が採りうるCT値の範囲は、およそ30〜100であるとされている。そこで、本ステップでは、余裕を見て、各全体セグメント画像を構成する各セグメントが、CT値0〜200のピクセルを1つも有さない場合はそのセグメントを肝組織の一部ではないとみなして全体セグメント画像から除去する。
【0077】
以上のようにして各全体セグメント画像から肝領域以外のセグメントを除去したら、次に、図3に示すように、微少セグメント除去工程(ステップS16)に進む。
【0078】
本ステップは、上述のマクロ視化フィルタ処理工程(ステップS11)で取り除けなかった各CT画像中のノイズや、緊急性の低い小さな腫瘍などによるセグメントを各全体セグメント画像から除外する工程である。どの程度のサイズのセグメントを除去するかは、つまり、除去すべきセグメントのサイズの閾値は、上述したパラメータファイルa内のパラメータデータに基づき決定する。本診断支援システムの利用者は、腫瘍の検出洩れと過剰検出との観点から、本診断支援システムの実行に先立ち、記憶部7内のパラメータファイルaを適正なものにしておく必要がある。
【0079】
以上の各ステップS13〜S16により、各全体セグメント画像から診断対象外セグメントを除去したら、診断対象外セグメントが除去された各全体セグメント画像(各個部セグメント画像)を、セグメントフィルタリング部5(図2参照)は、図2に示すように、画像間セグメント対応付け部6に送出する([5−1])。また、このセグメントフィルタリング部5は、各ステップS13〜S16で各全体セグメント画像から除去したセグメントの情報(フィルタリング情報)を総合制御部3にフィードバックする([5−2])。
【0080】
以上により、セグメント抽出工程A(ステップS11〜S16)が終了する。
【0081】
以上のセグメント抽出工程Aの内容を要約すると以下の通りである。
即ち、単純CT画像、早期相、門脈相、後期相の各CT画像から肝臓領域を自動抽出する。肝臓領域の抽出された各CT画像(図1参照)に対して平滑化処理を行う。平滑化処理された各CT画像に対してセグメンテーションを行い、複数のセグメントからなる全体セグメント画像をCT画像ごとに作成する。各全体セグメント画像から不要なセグメントを除去して、診断対象セグメントからなる個別セグメント画像をそれぞれ作成する(図1参照)。
【0082】
以上のセグメント抽出工程Aが終了したら、次に、図3に示すように、セグメント対応付け工程Bに進む。
【0083】
このセグメント対応付け工程Bは、画像間セグメント対応付け部6(図2参照)が、上述のセグメントフィルタリング部5から受信した各個別セグメント画像を、位置合わせ処理及び統合化処理する工程である。即ち、セグメント対応付け工程Bは、各個別セグメント画像間で、同一腫瘍等に対応するセグメント群を対応付け、統合されたセグメント(各CT画像における同一の腫瘍部分に相当)を生成する工程である。
【0084】
具体的には、このセグメント対応付け工程Bは、次の2つの工程、即ち、画像間位置合わせ工程(ステップS17)と画像間セグメント総合化工程(ステップS18)とからなる。
【0085】
まず、画像間位置合わせ工程(ステップS17)について説明する。
【0086】
本ステップS17は、上述の診断対象セグメントが抽出された各個別セグメント画像をそれぞれ並行移動して、次ステップの統合化に当たっての位置合わせを行う工程である。
【0087】
まず、この位置合わせ処理の概念について説明し、その後、各個別セグメント画像の位置合わせ処理について具体的に説明する。
【0088】
図7は、位置合わせ処理の概念、及び次のステップで行われる画像間セグメント統合化処理の概念を説明するための図である。
【0089】
図7では、ある個別セグメント画像T1(例えば後期像に対応する個別セグメント画像)と、別の個別セグメント画像T2(例えば門脈相に対応する個別セグメント)とが位置合わせされた状態が示されている。この位置合わせは、各個別セグメント画像T1、T2間の垂直方向において肝臓領域の位置合わせを行うものであり、具体的には、以下に定義される「ピクセル値ずれ総和」が最小になるように行われる。
【0090】
【数1】


つまり、「ピクセル値のずれ総和」は、CT画像P1、P2(肝臓領域自動抽出後のCT画像)において対応するピクセル同士のピクセル値の引き算を各ピクセル同士について行い、それぞれの引き算の結果を二乗和したものとして定義される。この定義に従って個別セグメント画像T1、T2を位置合わせすることで、肝臓領域の合わせずれを効果的に低減することができる。
【0091】
本ステップでは、この定義に従って、つまり、「ピクセル値ずれ総和」が最小となるように、上述した4つの個別セグメント画像をそれぞれ位置合わせする。この状態を図8に示す。
【0092】
図8に示すように、この位置合わせ処理においては、門脈相に対応する個別セグメント画像R4を基準とし、これに対してピクセル値ずれ総和が最小になるように残りの個別セグメント画像R1〜R3を位置合わせする。
【0093】
門脈相に対応する個別セグメント画像R4を基準とするのは、門脈相は、4種類のCT画像の中で、撮影時間上の中間時点に最も近い時点で撮影されたものであるため、他のCT画像とのずれが平均して少ないと考えられるからである。
【0094】
以上のようにして各個別セグメント画像R1〜R4を位置合わせ状態にしたら(ステップS17)、次に、図3に示すように、画像間セグメント統合化工程(ステップS18)に進む。
【0095】
本ステップS18は、位置合わせ状態にされた各個別セグメント画像R1〜R4間でそれぞれ対応するセグメントを統合化する工程である。
【0096】
まず、上述と同様、統合化の概念を、上述した2つの個別セグメント画像T1、T2(図7参照)を用いて説明し、その後、各個別セグメント画像R1〜R4のセグメント統合化処理について具体的に説明する。
【0097】
図7に示すように、セグメントの統合化とは、簡単には、互いに位置合わせ状態にされた個別セグメント画像T1、T2間で互いに重なり合うセグメント同士を統合化して1つの統合セグメントとするものである。より詳しくは、互いに重なり合うセグメント同士の「重なり率」が所定の条件を満たす場合はそれらのセグメントを統合しようとするものである。図7では、例えばセグメントA1、A2が統合化されて統合セグメントA3が統合セグメント画像Iに作成されている。ここで、「重なり率」は、図7のセグメントA1、A2、及びセグメントA1、A2の重なり領域L(斜線部分)を用いると以下のように定義される。
【0098】
【数2】


この「重なり率」を用いて、セグメント統合化処理の詳細なステップ(アルゴリズム)について説明する。
【0099】
これに先立ち、このアルゴリズムの説明において用いられる「隣接率」についてさらに説明する。
【0100】
図9は、「隣接率」を説明するための図である。
図9において、セグメントX、Yは同じ個別セグメント画像上のセグメントであり、セグメントX、Yは互いに隣接している。このとき、これらセグメントX、Yの「隣接率」は以下のようにして定義される。
【0101】
【数3】


以上に定義した「隣接率」及び「重なり率」を用いたセグメント統合化処理のアルゴリズムを以下に示す。
【0102】
セグメント統合アルゴリズム
入力:個別セグメント画像T1、T2及び重なり率基準値
出力:統合セグメント画像(統合ラベル画像)I
処理方法:
(1) 個別セグメント画像T1、個別セグメント画像T2のそれぞれにおいて、隣接率(式(3))が所定の基準値以上のセグメント同士をそれぞれ統合して1つのセグメントとする。
【0103】
(2) 個別セグメント画像T1上のセグメントiについて
(i)セグメントiと重なり合うセグメントが個別セグメント画像T2上に存する場合:
(a)セグメントiと重なり合う個別セグメント画像T2上のすべてのセグメントjについて、セグメントiとの重なり率(式(2))を求め、重なり率が所定の基準値以上の場合はそれらのセグメントを統合する。
(b)(a)で統合された個別セグメント画像T2上のセグメントと重なり合う個セグメント画像T1上の他のセグメントを統合化(再帰的統合)する。
(c)(b)で統合された個別セグメント画像T1上のセグメントと重なり合う個別セグメント画像T2上の他のセグメントを再帰的に統合する。
(d)重なり合うセグメントが存在しなくなるまでステップ(b)(c)を繰り返す。
(ii)セグメントiと重なり合うセグメントが個別セグメント画像T2上に存在しない場合(重なり率が0の場合):
(a)セグメントiをそのまま残す。
【0104】
(3)ステップ(2)の各ステップにおいて統合化の判断に付されなかった個別セグメント画像T1上の他の全てのセグメントについてステップ(2)を行う。
【0105】
以上のアルゴリズムに従って、図7に示す個別セグメント画像T1、T2を統合化する手順を具体的に説明する
まず、上のアルゴリズムのステップ(1)を実行する。即ち、個別セグメント画像T1、T2のそれぞれにおいて相隣接するセグメント同士を統合する。しかし、図7に示すように、個別セグメント画像T1、T2のいずれにおいても相隣接するセグメント同士はない。従って、ステップ(1)は終了し、次のステップ(2)に進む。
【0106】
まず、個別セグメント画像T1上のセグメントiとしてセグメントA1に着目する(ステップ(2))。
【0107】
このセグメントA1は、個別セグメントT2上のセグメントA2と重なり合うため、ステップ(2)(i)に進み、セグメントA1とセグメントA2の重なり率を算出する(ステップ(2)(i)(a))。この重なり率は、所定の基準値以上であるので、図7中のパターン2に示すように、これらのセグメントA1、A2を統合化し、統合セグメント画像I上にセグメントA1、A2を転写する。個別セグメント画像T2上において統合化されたセグメントA2と重なり合うセグメントは個別セグメントT1に他に存在しない(ステップ(2)(i)(b))。以上の結果、ステップ(2)は終了し、統合セグメント画像I上には、セグメントA1、A2が統合された統合セグメントA3(A1とA2の論理和)が形成される。
【0108】
次に、個別セグメント画像T1上のセグメントB1aについて着目する(ステップ(3))。
【0109】
この、セグメントB1aは、個別セグメント画像T2上のセグメントB2a、B2bと重なり合うため、ステップ(2)(i)に進み、セグメントB1aとセグメントB2a、B2bの重なり率をそれぞれ算出する(ステップ(2)(i)(a))。これらの重なり率は、いずれも所定の基準値以上であるので、図7中のパターン3に示すように、これらのセグメントB1a、B2a、B2bを統合化し、統合セグメント画像Iに転写する(ステップ(2)(i)(a))。ここで、個別セグメント画像T2上のセグメントB2bは、さらに個別セグメント画像T1上のセグメントB1bと重なり合うのでセグメントB1bをさらに統合化し、このセグメントB1bを統合セグメント画像I上に転写する(ステップ(2)(i)(b))。このセグメントB1bに重なり合うセグメントは個別セグメント画像T1上に他に存在しない。以上の結果、ステップ(2)は終了し、統合セグメント画像T上には、セグメントB1a、B1b、B2a、B2bが統合された統合セグメントB3が形成される。
【0110】
次に、個別セグメントT1上のセグメントC1について着目する(ステップ(3))。
【0111】
このセグメントC1と重なり合うセグメントは個別セグメントT2上に存在しないため、ステップ(2)(ii)を実行する。この結果、セグメントC1はそのまま統合セグメント画像T上に転写され、統合セグメント画像I上には統合セグメントC3が形成される。
【0112】
以上により個別セグメントT1上の全てのセグメントについて統合化処理の判断がなされたのでセグメント統合化処理は終了する(ステップ(3))。
【0113】
本ステップS18では、以上のようなアルゴリズムに従ったセグメント統合化処理を、前述した各個別セグメント画像R1〜R4(図8参照)について行う。即ち、互いに位置合わせ状態にされた各個別セグメント画像R1〜R4(図8参照)を2枚ずつ順次統合化して、各個別セグメントR1〜R4のセグメントが統合化された統合セグメント画像を導出する。この処理を具体的に示したフローチャートを図10に示す。
【0114】
図10に示すように、まず、個別セグメント画像R1、R2(図8参照)を上述のアルゴリズムに従って統合化して第1の中間統合セグメント画像を作成する(ステップS21)。次いで、この第1の中間統合セグメント画像と個別セグメント画像R3とを統合化処理して第2の中間統合セグメント画像を作成する(ステップS22)。次いで、この第2の中間統合セグメント画像と個別セグメント画像R4とを統合化処理して最終的に統合セグメント画像(図1の統合セグメント画像を参照)を作成する(ステップS23)。
【0115】
以上のようにして統合セグメント画像を作成した画像間セグメント対応付け部6は、作成した統合セグメント画像、及び統合化処理において用いた各個別セグメント画像を、図2に示すように、総合制御部にフィードバックする([6])。
【0116】
以上によりセグメント対応付け工程B(ステップS17〜S18)は終了する。
【0117】
以上のセグメント対応付け工程Bの内容を要約すると以下の通りである。
即ち、診断対象セグメントが抽出された各個別セグメント画像R1〜R4をそれぞれ「ピクセル値ずれ総和」が最小となるように位置合わせ状態にする。そして、各個別セグメント画像R1〜R4間でそれぞれ同一の腫瘍に対応するセグメント群(例えば図7のA1、A2)を対応づけて、統合されたセグメント(例えば図7のA3)を生成する。
【0118】
以上のセグメント対応付け工程Bが終了したら、次に、図3に示すように、診断工程Cに進む。
【0119】
この診断工程Cは、統合セグメント画像(例えば図7のI)を構成する各統合セグメント(例えば図7のA3、B3、C3)について、後述する腫瘍診断に用いるセグメント特徴量を算出する。そして、このセグメント特徴量を、種々の腫瘍タイプを特定する診断ルールに適応して、各統合セグメントに対応する被検体の部分における腫瘍の種類等の診断結果を出力する工程である。
【0120】
具体的には、この診断工程Cは、次の2つの工程、即ち、特徴量算出工程(ステップS19)と診断ルール判別工程(ステップS20)とからなる。
【0121】
まず、特徴量算出工程(ステップS19)について説明する。
本ステップは、後述の腫瘍診断に当たって用いられるセグメント特徴量を算出する工程である。
【0122】
具体的には、図2に示すように、特徴量算出部8が総合制御部3から各CT画像、各個別セグメント画像、統合セグメント画像、フィルタリング情報を受信し([7])、これらのデータを用いて、各統合セグメントについてセグメント特徴量を算出する。なお、各CT画像は、図2から分かるように、肝臓領域自動抽出処理のなされていないものである。
【0123】
以下に、セグメント特徴量について詳しく説明する。
図11は、セグメント特徴量の種類及びその内容について示した図表である。
【0124】
図12(a)〜(c)は、図11に示すセグメント特徴量のうち、特に類円度、扁平度、断片数を説明するための図である。
【0125】
以下、図11及び図12を用いて、各セグメント特徴量について説明する。但し、これらのセグメント特徴量は一例であり、本発明の適用範囲はこれらに限定されるものではない。
【0126】
図11に示す「セグメント重心」は、統合セグメント(例えば図7のA3、B3、C3参照)の重心のx、y座標である。このセグメント重心は、上述した各CT画像、各個別セグメント画像、統合セグメント画像及びフィルタリング情報のうち、統合セグメント画像を用いて算出される。
【0127】
「セグメントサイズ(サイズ)」は、統合セグメントの面積(ピクセル数)である。このセグメントサイズは統合セグメント画像を用いて算出される。
【0128】
「類円度」は、統合セグメントの円形の度合いであり、以下の式(4)によって定義されるものである(図12(a)参照)。この類円度は、統合セグメント画像を用いて算出される。
【0129】
【数4】


「扁平度」は、統合セグメントの細長形の度合いであり、以下の式(5)によって定義されるものである(図12(b)参照)。この扁平度は、統合セグメント画像を用いて算出される。
【0130】
【数5】


「不整度」は、統合セグメントの辺縁の入り込み度合いを表し、以下の式(5)によって定義されるものである。この不整度は、統合セグメント画像を用いて算出される。
【0131】
【数6】


「CT値平均」は、統合セグメントに対応する、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメントにおいてそれぞれCT値の平均をとったものである。例えば、「門脈相のCT値平均」とは、統合セグメントに対応する門脈相のセグメント(統合セグメントを門脈相に転写したときの門脈相の領域)におけるCT値の平均をいう。このCT値平均は、各CT画像と統合セグメント画像とを用いて算出される。
【0132】
「CT相対値」は、統合セグメントに対応する、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメントのCT値の平均と、各CT画像の背景肝(図3の背景肝除去工程S14の説明参照)におけるCT値の平均との差である。例えば、「門脈相のCT相対値」とは、統合セグメントに対応する門脈相のセグメントにおけるCT値の平均と、この門脈相における背景肝セグメント(ステップS14で除去されたセグメント)のCT値の平均との差をいう。このCT相対値は、統合セグメント画像、各CT画像、フィルタリング情報を用いて算出される。
【0133】
「断片数」は、統合セグメント内にある単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメント(統合セグメントに跨る各CT画像のセグメントも含む)の数の合計である(図12(c)参照)。即ち、統合セグメント画像及び各個別セグメント画像をそれぞれ垂直方向に位置合わせした状態でこれらを平面的に見たときに、統合セグメントに包含される及び跨るセグメント数が断片数である。例えば、図12(c)に示す場合、断片数は5となる。この断片数は、統合セグメント画像及び各個別セグメント画像を用いて算出される。
【0134】
「CT値最大偏差」は、統合セグメントに対応する、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメントのCT値平均のうち、最大のCT値平均と、最小のCT値平均の差の絶対値である。このCT値最大偏差は、統合セグメント画像及び各CT画像を用いて算出される。
【0135】
「エントロピー」は、統合セグメントに対応する、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメントのエントロピーである。例えば、横軸をCT値、縦軸をピクセル数をするヒストグラムを描いたとき、このヒストグラムにおいてピクセル数の突出部があるときはそのセグメントのエントロピーは小さく、全体になだらかなときはそのセグメントのエントロピーは大きい。このエントロピーは、統合セグメント画像及び各CT画像を用いて算出される。
【0136】
「辺縁CT値」は、統合セグメントの外周辺から一定の範囲内に包含される、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像の各セグメントのCT値平均である。例えば、「辺縁早期CT値」とは、統合セグメントの外周辺から一定の範囲内に包含された早期像のセグメントのCT値平均をいう。この辺縁CT値は、統合セグメント画像、各CT画像、各個別セグメント画像を用いて算出される。
【0137】
以上の各種のセグメント特徴量を算出したら、特徴量算出部8は、図2に示すように、算出した各セグメント特徴量データを腫瘍スコアリング診断部9に送出し([8])、次に、図3に示すように、診断ルール判別工程(ステップS20)に進む。
【0138】
本ステップは、腫瘍スコアリング診断部9(図2参照)が、特徴量算出部8から受信したセグメント特徴量データを所定の診断ルールに当てはめて、各統合セグメントに対応する被検体の部分における腫瘍の種類等を判別する工程である。この腫瘍スコアリング診断部9は、本ステップの実行に当たって、図2に示すように、診断に用いる各種パラメータを含んだパラメータファイルbを総合制御部3から受け取る([9])。
【0139】
図13は、上述の診断ルールを示した図表である。この診断ルールは、肝癌診断に関連する医学知識に基づいて考案されたものである。この診断ルールについて簡単に説明すると以下の通りである。
【0140】
図13に示すように、この診断ルールは、肝のう胞(非悪性)、転移性癌(悪性)、血管種(非悪性)、肝細胞癌(悪性)、血管(非悪性)を判定するものである。即ち、この診断ルールは、統合セグメント画像(例えば図7のI)における各統合セグメント(例えば図7のA3、B3、C3)がこれらに該当する可能性を判断するものである。図13に示すように、各腫瘍タイプ及び血管にはそれぞれセグメント特徴量を用いた条件式が複数設定されており、各条件式にはそれぞれ重み付けが設定されている。重み付けはパラメータa1〜a5、b1〜b6、c1〜c5、d1〜d4、e1〜e6によって表されている。また、図中の肝細胞癌(悪性)における“HCC_TH1”、血管(非悪性)における“VES_TH”もパラメータである。これらのパラメータには、上述のパラメータファイルb内に格納されたパラメータデータ、あるいは所定の初期値が設定される。
【0141】
以下、この診断ルールに基づいて、腫瘍スコアリング診断部9が、各統合セグメントについての腫瘍の種類を判断する処理について詳しく説明する。
【0142】
まず、統合セグメント画像内の各統合セグメントについて、各腫瘍タイプ別のスコアを算出する。つまり、各統合セグメントについて、肝のう胞(非悪性)、転移性癌(悪性)、血管種(非悪性)、肝細胞癌(悪性)、血管(非悪性)のそれぞれのスコアを算出する。スコアの算出方法は以下の通りである。
【0143】
例えば、肝のう胞(非悪性)の場合を例にして説明する。図13に示すように、肝のう胞(非悪性)にはNo.1〜5までの5つの条件式がある。各条件式には上述したように重みがそれぞれ設定されている。これら5つの条件式を、各統合セグメントがそれぞれ満たすか否かを判断し、満たす場合には該当する条件式の重みを加算し、スコアを算出する。例えば、肝のう胞(非悪性)において、No.1〜5の内、No.1,2,4の条件を満たす場合は、スコアはa1+a2+a4となる。同様にして、肝のう胞(非悪性)以外の他の腫瘍タイプについてもそれぞれスコアを算出する。これにより、肝のう胞(非悪性)、転移性癌(悪性)、血管種(非悪性)、肝細胞癌(悪性)、血管(非悪性)のそれぞれについてのスコアが算出される。
【0144】
以上のようにして各統合セグメントについて各腫瘍タイプのスコアリングを行ったら、腫瘍スコアリング診断部9は、診断結果データ(各統合セグメントについて、腫瘍タイプごとのスコアを含んだもの)と、診断に当たって用いたセグメント特徴量データを、図2に示すように、総合制御部3に送出する([10])。そして、総合制御部3は、受信した診断結果データ及びセグメント特徴量データを、各個別セグメント画像と共に、出力部10に送出する([11])。本診断システムの利用者(例えば医師)は、出力部10に表示されたこれらのデータを用いて、最終的な診断結果を下す。
【0145】
より詳しくは、医師等は、腫瘍のスコアが大きい程、その腫瘍に該当する可能性が高いと判断する。例えば、ある統合セグメントについて、スコアの最も大きいものが肝のう胞(非悪性)である場合は、この統合セグメントに対応する被検体の部分は肝のう胞(非悪性)である可能性が高いと判断する。一方、最もスコアが大きいものが血管(非悪性)である場合は、その統合セグメントは単なる血管であり、何ら腫瘍がない可能性が高いと判断する。
【0146】
次に、本実施の形態を適用して実際に肝臓を自動診断した結果例を例えば3つ示す。
【0147】
図14は、肝細胞癌(悪性)(図13参照)が確認された例を示す図である。
【0148】
図14には、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像、識別結果(統合セグメント画像)が表示されている。但し、単純CT画像、早期像、門脈相、後期像は、肝臓領域自動抽出処理がなされていない状態のものである(後述する図15及び図16においても同様)。
【0149】
図14の識別結果に示すように、この肝細胞癌(悪性)の症例では、互いに隣接する肝細胞癌と血管とが、前述した画像間セグメント対応付けアルゴリズムによって適正に分離されていることが確認できる。また、各CT画像間におけるCT値の経時変化を用いることにより、各統合セグメントの種類(腫瘍及び血管)も正しく認識されたことが確認できる。なお、図14の識別結果において、矢印にて示される以外のセグメントは、血管やノイズ等のセグメントである(後述する図15及び図16においても同様)。
【0150】
図15は、血管種(非悪性)(図13参照)が確認された例を示す図である。
【0151】
この血管種(非悪性)の症例では、単純CT画像や後期像において目視で確認できない腫瘍も、上述の画像間セグメント対応付けアルゴリズム及びCT値の経時変化を用いることによって、識別結果に示すように、血管腫として正しく判別されたことが確認できる。
【0152】
図16は、膵臓転移性癌(悪性)(図13参照)が確認された例を示す図である。
【0153】
この症例においても、各CT画像間におけるCT値の経時変化を適正に把握することによって腫瘍タイプが正しく認識されたことが確認できる。
【0154】
さて、以上に説明した本診断システムの動作における各CT画像のセグメンテーション(ステップS12)においては、3次元空間における階層的クラスタリングを用いた。ここでは、別のセグメンテーション方法の一例について説明する。
【0155】
この別のセグメンテーション方法は、簡単には、CT画像(例えば肝臓領域自動抽出処理後のもの)の各ピクセルのx、y座標及びCT値を3次元空間上に抽出(図4参照)したときにおける単位体積当たりのピクセル数(ピクセル密度)に基づいて行うものである。より詳しくは以下の通りである。
【0156】
図17は、単位体積における全ピクセルのCT値の平均と、ピクセル密度との関係を示す分布図(平均CT値−ピクセル密度分布図)である。この分布図は、図14における肝細胞癌(悪性)の症例を示す各CT画像のうち、早期像を用いて作成したものである。
【0157】
図17に示すように、このグラフには、2つの大きなピークw1、w2があることが分かる。平均CT値が約70のところにあるピークw1は、背景肝のセグメントに基づくピークであり、平均CT値が約110のところにあるピークw2は、腫瘍、血管等のセグメント等に基づくピークである。つまり、この平均CT値−ピクセル密度分布図において、ピクセル密度のエントロピーは極めて低い。従って、平均CT値−ピクセル密度の関係はセグメントの境界を特定するために有効な指標になるといえる。即ち、本セグメンテーション方法によれば、効果的なセグメンテーションを行うことができる。
【0158】
本発明者らは、セグメントの境界を特定するための他の指標として、平均CT値−パワースペクトル、平均CT値−エッジ強度の関係を採り上げ、それぞれの指標についても、上述の肝細胞癌(悪性)を示す早期像を用いて、実際に調べて見た。その結果を、図18及び図19に示す。
【0159】
図18は、平均CT値−パワースペクトルの関係を示す分布図(平均CT値−パワースペクトル分布図)である。ここでの平均CT値は、CT画像の単位面積当たりにおける全ピクセルのCT値の平均である。一方、パワースペクトルは、単位面積当たりのパワースペクトルであり、値が大きいほど、ざらつき感が大きいことを示す。
【0160】
図19は、平均CT値−エッジ強度の関係を示す分布図(平均CT値−エッジ強度)である。ここでの平均CT値は、上の平均CT値−ピクセル密度分布図における平均CT値と同じものである。一方、エッジ強度は、簡単には、単位体積内におけるCT値の変動レベルを示すものである。つまり、エッジ強度が大きいほど、単位体積内におけるCT値の変動が大きいことを示す。
【0161】
これら図18及び図19に示すように、これらの分布図にはセグメントに対応するピークが現れないことが分かる。つまり、図18のパワースペクトル、図19のエッジ強度は、いずれも高エントロピーであるため、セグメントの正しい抽出は困難であることが分かる。このことからも、上述の平均CT値−ピクセル密度の関係が、セグメンテーションに極めて有効な指標であることが分かる。
【0162】
以上のように、本発明の実施の形態によれば、4種類のCT画像をそれぞれセグメンテーション及び統合化するようにしたので、各CT画像における同一の腫瘍部分を統合セグメントとして抽出することができる。従って、この統合セグメントを各CT画像に対応させることで、腫瘍判別の自動診断において重要な、同一の腫瘍部分におけるCT値の経時変化を自動取得することができる。
【0163】
また、本発明の実施の形態によれば、上述の統合セグメントの形状等の特徴や、統合セグメントに対応する各CT画像領域のCT値等を用いて腫瘍種別診断に有用な特徴量を算出し、この特徴量を、医学上の診断知識に基づく診断ルールに適応することによって各腫瘍の該当可能性の度合いを示すスコアを各腫瘍について算出するようにしたので、医師の医学知識に基づく腫瘍診断を自動化することができる。
【0164】
また、本発明の実施の形態によれば、CT画像中の各ピクセルをx座標、y座標、CT値による3次元ベクトルとして表し、全ピクセルによる3次元ベクトルの集合に対して3次元空間における階層的クラスタリングを行うようにしたので、各ピクセルの位置、CT値の尺度を融合した基準でのセグメンテーションが可能となり、人が見た目に近いセグメント抽出を行うことができる。
【0165】
【発明の効果】
本発明によれば、複数の経時造影画像を領域分割し、診断対象となる分割領域を抽出した診断対象画像を統合化するようにしたので、各経時造影画像における異常部を特定することができる。また、各経時造影画像における異常部の経時変化から、診断に用いて有用な特徴量を算出し、算出された特徴量を所定の診断ルールに適応するようにしたので、被検体の状態を自動診断することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての診断支援システムによる処理の流れを簡単に示す図である。
【図2】本発明の実施の形態としての診断支援システムの構成を示すブロック図である。
【図3】本診断支援システムの動作を詳細に示したフローチャートである。
【図4】3次元空間における階層的クラスタリングによるセグメンテーションの概念を説明するための図である。
【図5】統合階層木の概念図例を示す図である。
【図6】凸包領域の概念を説明するための図である。
【図7】位置合わせ処理の概念と、画像間セグメント統合化の概念を説明するための図である。
【図8】4つの各個別セグメント画像を互いに位置合わせした状態を示す図である。
【図9】隣接率を説明するための図である。
【図10】各個別セグメント画像R1〜R4を2枚ずつ順次統合化する処理を示すフローチャートである。
【図11】セグメント特徴量の種類とその説明を示した図表である。
【図12】セグメント特徴量のうち、特に類円度、扁平度、断片数をそれぞれ説明するための図である。
【図13】診断ルールを示した図表である。
【図14】肝細胞癌(悪性)が確認された例を示す図である。
【図15】血管種(非悪性)が確認された例を示す図である。
【図16】膵臓転移性癌(悪性)が確認された例を示す図である。
【図17】平均CT値−ピクセル密度の関係を示す分布図である。
【図18】平均CT値−パワースペクトルの関係を示す分布図である。
【図19】平均CT値−エッジ強度の関係を示す分布図である。
【符号の説明】
1 画像読込部
2 入力部
3 総合制御部
4 セグメンテーション部(領域分割処理部)
5 セグメントフィルタリング部(診断対象画像作成部)
6 画像間セグメント対応付け部(統合化処理部)
7 記憶部
8 特徴量算出部
9 腫瘍スコアリング診断部(被検体状態決定部)
10 出力部
R1〜R4、T1、T2 個別セグメント画像(診断対象画像)
I 統合セグメント画像(統合画像)
【出願人】 【識別番号】591115475
【氏名又は名称】株式会社三菱総合研究所
【識別番号】590001452
【氏名又は名称】国立がんセンター総長
【出願日】 平成15年1月21日(2003.1.21)
【代理人】 【識別番号】100075812
【弁理士】
【氏名又は名称】吉武 賢次

【識別番号】100088889
【弁理士】
【氏名又は名称】橘谷 英俊

【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和

【識別番号】100096921
【弁理士】
【氏名又は名称】吉元 弘

【識別番号】100103263
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 康

【公開番号】 特開2004−222864(P2004−222864A)
【公開日】 平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願番号】 特願2003−12654(P2003−12654)