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【発明の名称】 外科用処置具
【発明者】 【氏名】飯塚 修平
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

【氏名】小賀坂 高宏
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号 オリンパス光学工業株式会社内

【要約】 【課題】処置部の回動角度を大きくして操作性を向上させた外科用処置具を提供する。

【解決手段】挿入部2の他端部と操作部4とは、互いに当接する突き当て面が挿入部2の軸方向に対して所定の角度をもって形成されている。そして、操作部4を左右方向に最大に回動操作させたときに、挿入部2の他端部と操作部4とが互いの突き当て面で当接されるとともに、挿入部2の軸方向に対する操作部4の回動角度が規定されて、処置部3の左右方向の回動角度が規定される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
体内に挿入される細長い挿入部と、
この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、
前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、
この操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達して処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなる駆動手段と
を備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具において、
前記挿入部の他端部と前記操作部とには、互いに当接する突き当て部が挿入部の軸方向に対して所定の角度をもって形成され、
前記操作部を左右方向に最大に回動操作したときに、前記挿入部の他端部と前記操作部とが互いの突き当て部で当接されるとともに、前記挿入部の軸方向に対する操作部の回動角度が規定されて、前記処置部の左右方向の回動角度が規定されることを特徴とする外科用処置具。
【請求項2】
体内に挿入される細長い挿入部と、
この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、
前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、
それぞれ両端部に枢軸対を有し、前記処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなり、前記操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達する駆動手段と
を備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具において、
前記第1のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対と、第2のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対との少なくとも一方は、それぞれ第2のリンク棒と、第1のリンク棒とに近接する側に偏りをもって設けられ、
前記第1および第2のリンク棒を互いに逆方向に進退させたときに、前記処置部の回動角度を増すようにしていることを特徴とする外科用処置具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、外科用処置具に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、特願2001−119904号明細書には、2方向に回動可能な処置部203を有する外科用処置具201が示されている。図41に示すように、この外科用処置具201の挿入部202は、細長い支持部208と、この支持部208に沿って2つの駆動棒206,207とが配設されている。これらの駆動棒206,207は、破損防止のため、操作部204を回動させて処置部を回動させたときにも互いに接触することなく配設されている。駆動棒206,207間の距離aは、常に0よりも大きい。
【0003】
また、この外科用処置具201の処置部203は、上下方向、すなわち、第1および第2の処置片212,214が互いに対して開閉する方向の上下方向の面内での最大回動角が約90°である。この面に直交した左右方向の最大回動角は、水平状態に対して±50°から±60°程度となっている。
【0004】
また、例えば内視鏡下で冠状動脈血行再建術(以下、CABGという)を行うには、把持鉗子268を用いている。図42に示すように、鉗子268を用いて直径が2ないし3mm程度の血管270の縫合などを行う場合について説明する。この鉗子268では、湾曲針273の先端を斜めに切断した血管270の内壁側から外側に向けて貫通させるには、鉗子268を血管270の内部に入れて、湾曲針273の先端から外側に貫通させる。そして、一旦湾曲針273を離した後、湾曲針273の先端を再把持して上側に引っ張って湾曲針273の基端に接続された糸を血管270の内壁から外方に向かって通している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような鉗子268を用いて血管を縫合するには、鉗子268の先端が回動しないので、鉗子268を大きく傾けたり、上下方向に鉗子268全体を動かしたりして縫合を行う必要がある。このため、2mmないし3mm程度の径が小さい血管270を縫合するなどの細かい処置を行うには不向きとなっている。また、上述のように鉗子268の先端は回動しないので、湾曲針273の湾曲度合に沿って鉗子268を微細に動かす必要があり、術者にとって大きな負担となっていた。このため、手術に時間がかかり、患者に対しても負担をかけることとなっていた。
【0006】
また、図41に示す特願2001−119904号明細書に記載された外科用処置具201では、処置部を回動させることができるので図42に示す鉗子268よりもスムーズにこのような処置を行うことができるが、最大回動角度が所望の角度よりも小さい。このため、多数回の湾曲針273の持ち替えなどの作業が必要で、血管を縫合するには時間がかかってしまう。
【0007】
さらに、この外科用処置具201は処置部203の回動位置によって湾曲針273の把持力が変化する可能性がある。例えば心臓血管外科用などの繊細な湾曲針273を把持して処置を行うと、湾曲針が思わぬ方向に回転する可能性があり、使い勝手が悪かった。
【0008】
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、操作性を向上させて手術時間を短縮することができる外科用処置具を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、この発明の、体内に挿入される細長い挿入部と、この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、この操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達して処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなる駆動手段とを備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具においては、前記挿入部の他端部と前記操作部とには、互いに当接する突き当て部が挿入部の軸方向に対して所定の角度をもって形成され、前記操作部を左右方向に最大に回動操作したときに、前記挿入部の他端部と前記操作部とが互いの突き当て部で当接されるとともに、前記挿入部の軸方向に対する操作部の回動角度が規定されて、前記処置部の左右方向の回動角度が規定されることを特徴とするものである。
【0010】
また、体内に挿入される細長い挿入部と、この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、それぞれ両端部に枢軸対を有し、前記処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなり、前記操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達する駆動手段とを備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具においては、前記第1のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対と、第2のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対との少なくとも一方は、それぞれ第2のリンク棒と、第1のリンク棒とに近接する側に偏りをもって設けられ、前記第1および第2のリンク棒を互いに逆方向に進退させたときに、前記処置部の回動角度を増すようにしていることを特徴とするものである。
【0011】
このような構成とすることによって、処置部の左右方向の回動角度が増して回動角度を大きくとることが必要な手技について操作性を向上させて手術時間の短縮が図れる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながらこの発明の実施の形態について説明する。
【0013】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態について図1ないし図25を用いて説明する。
【0014】
(構成)
図1に示すように、この実施の形態にかかる外科用処置具1は、細長い挿入部2と、この挿入部2の先端に配設された処置部3と、挿入部2の基端に配設され、処置部3を操作する操作部4とを備えている。
【0015】
挿入部2には、細長く、剛性を有する支持部8が配設されている。この支持部8の中央部は、細長の略平板状に形成されている。さらに、この支持部8の軸方向に沿って、開閉リンク機構を構成する第1の駆動棒5と、回動リンク機構を構成する第2および第3の駆動棒6,7(第1および第2のリンク棒)とが平行または略平行に設けられている。第1の駆動棒5は支持部8に対して図1中の下側に設けられている。また、第2および第3の駆動棒6,7は、支持部8に対して図1中の上側に設けられている。なお、第2および第3の駆動棒6,7は、挿入部2の長手方向中心軸に対して対称的に配置されるとともに、軸方向に独立して進退可能となっている。
【0016】
図2ないし図4に示すように、支持部8の先端部にはすり割部8aが設けられている。このすり割部8aには、挿入部2の軸方向と直交する枢支軸9によって左右方向に回動可能な第1の回動板10が連結されている。この第1の回動板10には枢支軸9と直交する方向に第1の枢支ピン11が固定されている。この第1の枢支ピン11には第1の処置片12の基端部が回動自在に枢支されている。また、第1の枢支ピン11の近傍に位置する第1の処置片12の部位は屈曲部12aとして形成されている。この屈曲部12aには後述する手段によって第2および第3の駆動棒6,7が連結されている。
【0017】
第1の処置片12の中間部には、第1の開閉枢支ピン13によって第2の処置片14が回動自在に連結されている。これにより、第1および第2の処置片12,14は、第1の開閉枢支ピン13を支点として、互いに回動可能となっている。第2の処置片14の基端部には、左右方向(挿入部2の軸方向と直交する方向)に延びる第1の連結ピン15を介して、第1の連結部材16の一端が回動自在に連結されている。第1の連結部材16の他端は、挿入部2の軸方向と直交する第2の連結ピン17を介して、第2の連結部材18に連結されている。また、第2の連結部材18の他端は、左右方向に延びる第3の連結ピン19を介して、第1の駆動棒5の先端部に回動自在に連結されている。
【0018】
また、第1の処置片12の屈曲部12aには、左右方向に延びる第2の枢支ピン20を介して、T字状の第2の回動板21が連結されている。この第2の回動板21の基端側は左右方向に幅広であり、第2の回動板21の基端側には、挿入部2の軸方向と直交する第1の回動ピン(枢軸)22と第2の回動ピン(枢軸)23とが左右方向に離間して設けられている。また、この第2の回動板21は、幅広部に対して直交して所定の軸方向に延びる直交部を有する。この直交部の先端には、上述した第2の枢支ピン20が配設されている。そして、第1の回動ピン22は第2の駆動棒6に連結され、第2の回動ピン23は第3の駆動棒7に連結されている。
【0019】
また、図4に示すように、第1の処置片12は把持面12bを有する。また、第2の処置片14は把持面14bを有する。この場合、第1および第2の処置片12,14が互いに閉じたときには、これらの把持面12b,14bは、互いに略平行に対向して位置しており、協働して把持対象物を把持可能となっている。なお、これらの把持面12b,14bには、必要に応じて例えば放電加工やエッチングなどにより微細な粗面が形成される凹凸加工が施されている。これにより、把持対象物である縫合針、縫合糸、生体組織等を確実に把持することができるようになっている。
【0020】
次に、図5ないし図7を参照しながら、操作部4について説明する。
これらの図5ないし図7に示すように、挿入部2の基端部においても、第1の駆動棒5はその基端部が挿入部2の長手中心軸より下側に偏って配置されている。また、第2および第3の駆動棒6,7はその基端部が挿入部2の長手中心軸より上側で左右対称的に配置されている。そして、第1の駆動棒5は、後述する構成を介して、第3の連結部材41に接続される(図6参照)。また、第2および第3の駆動棒6,7は、後述する構成を介して、第4の回動板46に接続されている(図6参照)。
【0021】
図5ないし図7に示すように、支持部8は、挿入部2の基端部では、後方(基端側)に向かって突出している。また、図6および図7に示すように、支持部8には、挿入部2の軸方向と直交する第2の枢支軸32を有する第1の枢支部33が設けられている。この第1の枢支部33には、第2の枢支軸32を中心に左右に回動可能な第3の回動板34が設けられている。
【0022】
この第3の回動板34には、左右方向に延びる第3の枢支ピン35を有する第2の枢支部36が設けられている。この第2の枢支部36には、第3の枢支ピン35を中心に上下に回動可能な第1の操作部としての第1のハンドル37が連結されている。
【0023】
図1および図8に示すように、第1のハンドル37には、第2の開閉枢支ピン38によって、第2の操作部としての第2のハンドル39が上下に回動自在に連結されている。
【0024】
また、図6に示すように、第1の駆動棒5の基端部には、挿入部2の軸方向と直交する(上下方向に延びる)第4の連結ピン42が設けられており、この第4の連結ピン42には第3の連結部材41が左右方向に回動可能に接続されている。この第3の連結部材41は、第4の連結部材43の一端に設けられた左右方向に延びる第5の連結ピン40を介して第4の連結部材43に連結されており、第5の連結ピン40を中心に上下に回動できるようになっている。また、第4連結部材43の他端には、左右方向に延びる第6の連結ピン44を介して、第2のハンドル39が上下に回動可能に接続されている。
【0025】
第1のハンドル37の第3の枢支ピン35の近傍には、左右方向に延びる第4の枢支ピン45が位置されている。この第4の枢支ピン45は第4の回動板46の一端に設けられており、この第4の枢支ピン45には、第3の枢支ピン35を中心に上下に回動する第1のハンドル37が回動可能に連結している。第4の回動板46の他端部には、挿入部2の軸方向と直交する(上下方向に延びる)第3および第4の回動ピン(枢軸)47,48が左右に離間して設けられている。そして、第3および第4の回動ピン47,48にはそれぞれ、互いに左右に位置する第2の駆動棒6の基端部および第3の駆動棒7の基端部が回動自在に連結されている(図7参照)。
【0026】
さらに、図1に示すように、第1のハンドル37には、術者が操作時に親指以外の指を用いて把持する第1のグリップ37aが設けられている。この第1のグリップ37aには、例えば中指で保持するラウンド部37bが形成されている。さらに、この第1のグリップ37aの第2の開閉枢支ピン38に対して遠位側には、手の腹部に当てる支柱100が形成されている。この支柱100の手の腹部に当たる部分は、好ましくは、球状の球部100aが形成されている。
【0027】
また、第2のハンドル39の第2の開閉枢支ピン38の近位側は、親指の先端側の腹部を当てるように、平面状に形成されている。遠位側は、親指の腹部に沿って円弧状に親指置き部(膨部)39aが形成されている。さらに、この第2のハンドル39の親指置き部39aには、第1のハンドル37の内部の図示しない歯部に噛合わせられるラチェット82が形成されている。このため、第1のハンドル37に対する第2のハンドル39の回動角度を所定の位置で留めることが可能となっている。
【0028】
なお、ラチェット82の噛合わせは、第1のハンドル37のラウンド部37bの近傍に設けたレバー83で解除自在となっている。
【0029】
図8(A)および図9(A)は、第1および第2のハンドル37,39をともに上下方向に最大に回動させた状態を示している。すなわち、第1の駆動棒5を処置部3側に押出した状態である。また、第2および第3の駆動棒6,7は、互いに平行に、かつ、進退していないニュートラル状態にある。この状態では、第2および第3の駆動棒6,7間の距離は、例えばaである。また、第1のハンドル37には、第1の突き当て面60が形成されている。この第1の突き当て面60に対して、支持部8の長手方向は略直交している。
【0030】
また、支持部8の後端部、すなわち、操作部4との連結部側には、2つの第2の突き当て面61が形成されている。これらの第2の突き当て面61の間の角度θは、支持部8の長手方向軸に沿って例えば40°に形成されている。すなわち、ハンドル37,39は、左右方向にそれぞれ70°ずつ回動可能となっている。
【0031】
図9(B)は、図9(A)の状態から第2の枢支軸32を支点としてハンドル37,39を左右方向の一方向に最大(70°)に回動させた状態を示している。すなわち、第1の駆動棒5を処置部3側に押出した状態である。さらに、第2の駆動棒6を操作部4側に引っ張り、第3の駆動棒7を処置部3側に押出した状態である。また、第2および第3の駆動棒6,7は、互いに平行な状態を維持しながら互いに対して当接した状態である。すなわち、上述した距離aはゼロである。そして、第1の突き当て面60と、一方の第2の突き当て面61とは、互いに当接するようになっている。このとき、支持部8の軸方向に対する処置部3の回動角度は、70°となる。すなわち、第2の回動板21の幅広部の長手方向と支持部8の軸方向とのなす角は、20°であり、幅広部と処置片12,14とのなす角度は90°であるので、支持部8の軸方向と処置部3とがなす角度は70°となる。このとき、第2の回動板21の第2の枢支ピン20が配設される直交部の先端部に対して遠位側の端部と、第1の突き当て面60とは、互いに平行となっている。したがって、この実施の形態の外科用処置具1は、ハンドル37,39の回動量に比例して処置部3も回動する。
【0032】
また、図10は、第2の回動板21と、第2および第3の駆動棒6,7との位置関係を示している。図10に示すように、例えば第3の駆動棒7の第2の回転ピン23は、第3の駆動棒7の長手方向に対して直交した方向に対して第2の駆動棒6側に近接する側に配置されている。すなわち、図10中の第3の駆動棒7の幅をLとし、この第3の駆動棒7の外方から第2の回転ピン23までの距離L1とし、第2の回転ピン23から駆動棒7の内方までの距離L2とすると、
L=L1+L2
で、
L1−L2>0
に形成されている。すなわち、第3の駆動棒7の距離L2を小さくすると、第2の回転ピン23と第3の駆動棒7の側部との距離が近づけられる。このため、回動角度を大きくすることが可能となっている。そして、第3の駆動棒7は、第2の回転ピン23を設けた部分の強度が弱くなるのを反対側の距離L1を大きくすることによって強度を保つようになっている。
なお、説明を省略するが、第2の駆動棒6についても第3の駆動棒7と同様に形成されていることが好ましい。
【0033】
したがって、第2および第3の駆動棒6,7を進退させると、L1=L2のときよりも第1および第2の回転ピン22,23と第3および第2の駆動棒7,6との間の距離が小さいので、第2の回動板21の回動角が増す。このため、処置部3をより大きい角度に回動させることができるようになっている。
【0034】
(作用)
次に、上述のように構成された外科用処置具1の動作について説明する。
【0035】
図2および図3に示される状態から、第2および第3の駆動棒6,7を同時に前進させると、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが前方に押し出される。このため、第1の開閉枢支ピン13を介して第1の処置片12と連結する第2の処置片14も、第1の処置片12と同一の方向に回動する。その結果、第1および第2の処置片12,14は、挿入部2の長手中心軸と直交する第1の枢支ピン11を中心として略水平まで回動する。
【0036】
次に、第2の駆動棒6を後退させて第3の駆動棒7を前進させると、第1の枢支軸9を支点として第1の回動板10が右方向(操作部4側から見て)に回動する。このため、第1および第2の処置片12,14(処置部3全体)が第1の枢支軸9を支点として右向に回動する。
【0037】
逆に、第2の駆動棒6を前進させて第3の駆動棒7を後退させると、第1の枢支軸9を支点として第1の回動板10が左方向(操作部4側から見て)に回動する。このため、第1および第2の処置片12,14(処置部3全体)が第1の枢支軸9を支点として左方向に回動する。
【0038】
また、いずれの回動状態においても、第1の駆動棒5を前進させると、第1の連結部材16および第2の連結部材18を介して、第2の処置片14の基端部が前方に押される。このため、第1の処置片12に対して第2の処置片14が第1の開閉枢支ピン13を支点として回動される。これによって、処置部3が開く。逆に、この開放状態から第1の駆動棒5を後退させると、第1の連結部材16および第2の連結部材18を介して、第2の処置片14の基端部が後方へ引き戻される。このため、第1の処置片12に対して第2の処置片14が第1の開閉枢支ピン13を支点として回動される。これによって、処置部3が閉じる。
【0039】
このように、この実施の形態によれば、開閉可能な第1および第2の処置片12,14を備えた処置部3全体を上下方向および左右方向に回動させることができる。このため、第1および第2の処置片12,14を目的部位に容易にアプローチすることができ、処置の自由度を向上させることができる。
【0040】
実際の操作においては、まず、図1に示される操作部4の第1のハンドル37の第1グリップ37aのラウンド部37bに親指以外のいずれかの指で把持する(かける)。これとともに、第2のハンドル39の第2のグリップ(親指置き部)39aに親指を添える。そして、図8(B)に示す水平状態から、操作部4の第1および第2のハンドル37,39を第3の枢支ピン35を支点として同時に下方へ90°回動させる。すると、第4の回動板46を介して第2および第3の駆動棒6,7が同時に挿入部2に沿って後退する。これとともに、これに連動するように、第4の連結部材43と第3の連結部材41とを介して第1の駆動棒5が処置部3側に前進する。したがって、第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が先端側へ突出されるとともに、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが後方に引き戻される。このため、第1および第2の処置片12,14は、相対的に回動することなく、閉じた状態を維持したまま、第1の枢支ピン11を支点として90°上向きになるまで回動する。その状態が図1および図8(A)に示されている。
【0041】
また、逆に、図1および図8(A)に示す状態から、第1のハンドル37および第2のハンドル39を第3の枢支ピン35を支点として上方へ回動させ、第1および第2のハンドル37,39を水平にする。すると、第4の連結部材43と第3の連結部材41とを介して第1の駆動棒5が操作部4側に後退するとともに、第4の回動板46を介して第2および第3の駆動棒6,7が同時に挿入部2に沿って前進する。したがって、第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が操作部4側に引き寄せられるとともに、第2の回動板21を介して第1の処置片12の屈曲部12aが前方に押し出される。このため、第1および第2の処置片12,14は、相対的に回動することなく、閉じた状態を維持したまま、第1の枢支ピン11を支点として略水平まで回動する(真っ直ぐになる)(図8(B)参照)。
【0042】
このように、この実施の形態の外科用処置具1では、操作部4側の第1および第2のハンドル37,39を第3の枢支ピン35を支点として上下方向に回動することにより、処置部3を挿入部2の軸方向に沿って真っ直ぐに位置させたり、あるいは、挿入部2の軸方向に対して角度を持たせることができる。
【0043】
また、第1の操作ハンドル37と第2の操作ハンドル39とを相対的に回動させれば、第1および第2の処置片12,14が相対的に回動して、処置部3を開くことができる。すなわち、第1のハンドル37に対して第2のハンドル39を第2の開閉枢支ピン38を支点として回動させると(第1のハンドル37と第2のハンドル39とを開くと)、第4の連結部材43および第3の連結部材41を介して第1の駆動棒5が前後に進退する。したがって、第1の駆動棒5に連結された処置部3側の第1の連結部材16を介して第1の連結ピン15が前後に移動する。このため、第1の開閉枢支ピン13を支点として第2の処置片14が第1の処置片12に対して回動し、処置部3が開閉する。
【0044】
図9(B)は、第1および第2のハンドル37,39を共に左横方向(操作部4側から見て)に例えば70°回動した状態を示している。この状態では、第1および第2のハンドル37,39の回動に伴って、第1および第2の処置片12,14も閉じた状態で右横方向へ70°回動される。すなわち、第1のハンドル37と第2のハンドル39とを同時に第2の枢支軸32を支点として左方向に回動すると、第4の回動板46を介して第2の駆動棒6が後退し、第3の駆動棒7が前進する。したがって、処置部3における第1の回動ピン22が後退し、第2の回動ピン23が前進する。このため、第2の回動板21を介して第1の処置片12が第1の枢支軸9を支点として右方向に回動し、その結果、処置部3全体が右方向に回動する。
【0045】
逆に、第1および第2のハンドル37,39を同時に第2の枢支軸32を支点として右方向に回動すると、第4の回動板46を介して第2の駆動棒6が前進し、第3の駆動棒7が後退する。したがって、処置部3における第1の回動ピン22が前進し、第2の回動ピン23が後退する。このため、第2の回動板21を介して第1の処置片12が枢支軸9を支点として左方向に回動する。その結果、処置部3全体が左方向に回動する。
【0046】
このように、この実施の形態の外科用処置具1では、第1および第2のハンドル37,39の右方向の回動に連動して第1および第2の処置片12,14がハンドル37,39と略平行状態を保ったまま左方向に回動する。また、第1および第2のハンドル37,39の左方向の回動に連動して第1および第2の処置片12,14がハンドル37,39と略平行状態を保ったまま右方向に回動する。すなわち、第1および第2のハンドル37,39の上下左右の回動操作によって処置部3を任意の方向に向けることができる。
【0047】
次に、このような作用を有する外科用処置具1を用いて例えばCABG手術を行う場合の手技について説明する。なお、この実施の形態では、右手で外科用処置具1を操作する場合について説明する。もちろん、左手で操作する場合には、以下に説明する操作を左右逆にして行えばよい。なお、この手術を行うには、例えば体外循環装置を使って心停止下で行っても良い。または、別のポートから血管吻合を行いたい部位の心拍動を部分的に止めるスタビライザ(例えば特開2000−116663号公報参照)を挿入し、心拍動下で行っても良い。
【0048】
図11は、この実施の形態にかかる外科用処置具1の持ち方を示し、かつ、この外科用処置具1を体腔内に挿入して使用する様子を示している。また、図11に示すように、内視鏡下のCABG手術においては、上下方向の回動角度を挿入部2に対して略直角に保持した状態で用いられることが多い。以下に説明するCABG手術では、略直角に保持した状態で使用される。
【0049】
図11に示すように、親指113は、第2のハンドル39の親指置き部39aに載置される。人差指114は、挿入部2と操作部4との接続部付近を保持する。中指115は、第1のハンドル37のラウンド部37bを保持する。薬指116および小指117は、第1のハンドル37の第2の開閉枢支ピン38に対して遠位側、もしくは、支柱100を支える。
【0050】
図12は、心臓がある部位の胸部を下側から見た断面図を示している。トロッカー118が挿入されると、胸腔内は陽圧となるので、肺65は虚脱される。左前下行枝64と称されている冠状動脈の真上にトロッカー118を介して硬性鏡67を挿入する。すなわち、術部の真上から観察しながら手術を行う。また、硬性鏡67が挿入されるトロッカー118に隣接した位置に2つの他のトロッカー118が挿入される。そして、このトロッカー118の一方には、図11に示すように保持した状態で外科用処置具1の処置部3から体腔内に挿入する。また、トロッカー118の他方には、把持鉗子68などの処置具を挿入する。
なお、この実施の形態で説明する左前下行枝64や内胸動脈70の血管径は、例えば2mmないし3mm程度である。
【0051】
図13は、血管吻合を行う前段階が終了した状態を示している。図13に示すように、内視鏡的に図示しない胸部側方に開けたポートを用いて、図12に示す胸壁66から内胸動脈70が剥離されている。そして、左前下行枝64内に狭窄を起こした部位の下流側にはさみ鉗子69を用いて切開口71を形成している。
【0052】
図14ないし図25は、内視鏡下で行う血管吻合(縫合)手技の流れを順に示している。なお、径が2mmないし3mm程度の血管を縫合することができる非常に微細な第1および第2の湾曲針73,74の先端は鋭利に形成され、適当な湾曲度合を持って湾曲されて、基端には両者を繋ぐ縫合糸75が配設されている。
【0053】
まず、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の右横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で把持しておく。そして、図14(A)に示すように、把持鉗子68で胸壁66から剥離させた内胸動脈70を把持する。この状態で、湾曲針74が内胸動脈70の切断部(端部)近傍の内壁部に向かうように、ハンドル37,39を左横方向に回動操作する。処置部3は右横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は内胸動脈70に刺し入れられる。すなわち、内壁部から外側に向かって湾曲針74の先端部を押し込む。ここで、図18はこのような状態になるまでの内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図14(A)の14A−14A断面に沿って示している。
【0054】
図18(A)に示すように、ハンドル37,39を右横方向に最大(例えば、+70°)に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を左横方向に最大(例えば、+70°)に回動させる。この状態で湾曲針74の先端を内胸動脈70内に刺す。
次に、図18(B)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の最大回動位置から左横方向に略中央の位置まで回動させる。つまり、ハンドル37,39を略ニュートラル状態に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が右横方向に向かって略中央のニュートラル位置まで回動し、湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁部の任意の位置に刺し入れる。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図18(C)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の適当な角度に回動させて処置部3を右横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の右横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動操作(例えば、−70°)して、処置部3を図18(A)に示す方向に対して反対側の右横方向に最大(例えば、−70°)に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら内胸動脈70から抜き取る。すなわち、図18(D)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で内胸動脈70に縫合糸75を通す。
【0055】
そして、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図14(B)に示すように、湾曲針74の先端部が左前下行枝64の切開口71近傍の外壁部に向かうように、ハンドル37,39を右横方向に回動操作する。処置部3は左横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は左前下行枝64の外壁部から内側に向かって刺し入れられる。すなわち、処置部3の回動によって左前下行枝64の外壁部から内側に向かって湾曲針74の先端部を引っ掛ける。ここで、図19はこのような状態になるまでの左前下行枝64に対する処置部3の一連の動きを図14(B)に示す14B−14B断面に沿って示している。
【0056】
図19(A)に示すように、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を右横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針74の先端を左前下行枝64の外壁部の任意の位置に刺す。
次に、図19(B)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の最大回動位置から右横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が左横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁部に刺し入れる。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図19(C)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の適当な角度に回動させて処置部3を左横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を図19(A)に示す方向に対して反対側の左横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら左前下行枝64から抜き取る。すなわち、図19(D)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0057】
この状態では、湾曲針74の先端部は、内胸動脈70と左前下行枝64とを貫通している。すなわち、縫合糸75は、内胸動脈70と左前下行枝64とを通っている。
【0058】
次に、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の右横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図14(C)に示すように、湾曲針74の先端部が内胸動脈70の端部の内壁部に向かうように、ハンドル37,39を左横方向に回動操作する。処置部3は右横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は内胸動脈70の内壁部から外側に向かって刺し入れられる。すなわち、内壁部から外側に向かって湾曲針74の先端部を押し込む。ここで、図20はこのような状態になるまでの内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図14(C)に示す14C−14C断面に沿って示している。
【0059】
図20(A)に示すように、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を左横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁に刺す。
図20(B)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の最大回動位置から左横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が右横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁部に刺し入れる。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図20(C)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の適当な角度に回動させて処置部3を右横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の右横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動操作して、処置部3を図20(A)に示す方向に対して反対側の右横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら内胸動脈70から抜き取る。すなわち、図20(D)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で内胸動脈70に縫合糸75を通す。
【0060】
次に、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の右横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図15(A)に示すように、湾曲針74の先端部が左前下行枝64の切開口71近傍の外壁部に向かうように、ハンドル37,39を右横方向に回動操作する。処置部3は左横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は左前下行枝64の外壁部から内側に向かって刺し入れられる。すなわち、外壁部から内側に向かって湾曲針74の先端部を引っ掛ける。ここで、図21はこのような状態になるまでの左前下行枝64に対する処置部3の一連の動きを図15(A)に示す15A−15A断面に沿って示している。
【0061】
図21(A)に示すように、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を左横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁に刺す。
図21(B)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の最大回動位置から左横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が右横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁部に刺し入れる。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図21(C)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の適当な角度に回動させて処置部3を右横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の右横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動操作して、処置部3を図21(A)に示す方向に対して反対側の右横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を左前下行枝64の切開口71から抜き取る。すなわち、図21(D)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0062】
そして、図15(B)に示すように、左前下行枝64を術者が見たときに反時計回り方向に12時方向から9時方向付近まで、内胸動脈70に対して時計回り方向に同様にして順次縫合する。この後、左前下行枝64および内胸動脈70の両血管の1/4程度を縫合した時点で、図15(C)に示すように、縫合糸75を引っ張って血管64,70同士の吻合位置を規定する。
【0063】
次に、第2の湾曲針74が一端に取り付けられた縫合糸75の他端に配設された第1の湾曲針73を用いて縫合を開始する。すなわち、図16(A)に示すように、図14(A)ないし図14(C)、並びに図15(A)および図15(B)に示した位置から左前下行枝64の長手方向に対して対称的な方向に縫合を行う。第1の湾曲針73の先端部が処置部3の右横側に配設されるように湾曲針73の基端側を処置部3で把持しておく。また、把持鉗子68で内胸動脈70を把持しておく。この状態で、湾曲針73の先端部が内胸動脈70の外壁側から左前下行枝64の内壁側に向かって刺し入れられる。ここで、図22および図23はこのような状態になるまでの左前下行枝64および内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図16(A)の16A−16A断面に沿って示している。
【0064】
図22(A)に示すように、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を左横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針73の先端部を内胸動脈70の外壁部に刺す。
図22(B)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の最大回動位置から左横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が右横方向に向かって回動し、湾曲針73の先端部を内胸動脈70の外壁部に刺し入れる。
さらに、図22(C)に示すように、この状態で、湾曲針73の先端部を左前下行枝64の内壁部から外側に向かって刺し入れる。すなわち、湾曲針73の先端は、内胸動脈70と左前下行枝64とが接触した状態で、両者70,64に貫通する。そして、この状態で一旦、湾曲針73を放す。
なお、図22(B)および図22(C)で示すように、内胸動脈70と左前下行枝64とを縫合するには、2回の回動操作を行っているが、1回の回動操作のみで済む場合もあり得る。すなわち、1回の回動操作で2つの血管70,64に湾曲針73を貫通させてもよい。
【0065】
そして、図23(A)に示すように、ハンドル37,39を略ニュートラル位置に回動させて処置部3を略ニュートラル位置にする。この後、湾曲針73の先端部が処置部3の右横側を向くように湾曲針73の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動操作して、処置部3を図22(A)に示す方向に対して反対側の右横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針73の基端部を内胸動脈70および左前下行枝64から抜き取る。すなわち、図23(B)に示すように、第1の湾曲針73を把持した状態で内胸動脈70および左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0066】
そして、図16(B)に示すように、左前下行枝64を術者が見たときに時計回り方向に12時方向から3時方向付近まで内胸動脈70および左前下行枝64を順次縫合する。
【0067】
次に、第1の湾曲針73の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針73の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図16(C)に示すように、湾曲針73の先端部が内胸動脈70の外壁側から左前下行枝64の内壁側に向かって刺し入れられる。ここで、図24および図25はこのような状態になるまでの左前下行枝64および内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図22および図23とは反対側から図16(C)の16C−16C断面に沿って示している。
【0068】
図24(A)に示すように、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を右横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針73の先端部を内胸動脈70の外壁に刺す。
図24(B)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の最大回動位置から右横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が左横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を内胸動脈70の外壁部に刺し入れる。
さらに、図24(C)に示すように、この状態で、湾曲針73の先端部を左前下行枝64の内壁部から外側に向かって刺し入れる。すなわち、湾曲針73の先端は、内胸動脈70と左前下行枝64とが接触した状態で、両者70,64に貫通する。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図25(A)に示すように、ハンドル37,39を略ニュートラル位置に回動させて処置部3を略ニュートラル位置にする。この後、湾曲針73の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を図24(A)に示す方向に対して反対側の左横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針73の基端部を内胸動脈70および左前下行枝64から抜き取る。すなわち、図25(B)に示すように、第1の湾曲針73を把持した状態で内胸動脈70および左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0069】
そして、図16(D)に示すように、左前下行枝64の切開口71を術者が見たときに時計回り方向に3時方向から6時方向まで順次縫合する。
【0070】
次に、第1の湾曲針73の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針73の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図17(A)に示すように、湾曲針73の先端部が内胸動脈70の外壁側から左前下行枝64の内壁側に向かって刺し入れられる。このようにして、左前下行枝64の切開口71を術者が見たときに時計回り方向に6時方向から9時方向まで順次縫合する。すなわち、左前下行枝64の切開口71に対する内胸動脈70の端部の全周に渡る縫合(吻合)を終了する。
【0071】
そして、図17(B)に示すように、処置部3を操作して縫合糸75を任意の位置で結んで、数回結び目を形成して縫合糸75を留める。
その後、図17(C)に示すように、縫合糸75の結び目近くで縫合糸75を切り、湾曲針73,74を体外に取り出す。
【0072】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態にかかる外科用処置具1は、処置部3の回動角度を±70°程度など、従来の外科用処置具の処置部の回動角度よりも大きくすることができる。このため、CABG手術時には、湾曲針73,74の湾曲度合に応じて処置部3を回動させることができる。このため、径が2mmないし3mm程度の左前下行枝64や内胸動脈70などの血管に無理な力を与え難くして縫合することができる。また、内胸動脈70などの移植血管と左前下行枝64などの冠状動脈などからなる被移植血管とを一度の回動操作によっても湾曲針の先端部を刺し入れることができる。このため、外科用処置具1の操作部4を持ち替える回数や回動させる回数を減らすことができる。また、この外科用処置具1を上下動させる回数を減らすことができる。このため、手術時間の大幅な短縮を図ることができる。
【0073】
すなわち、処置部3の回動角度を±70°など、従来の技術にかかる外科用処置具の処置部の回動角度よりも大きくすることができるので、CABGにおける複雑な運針操作(押し込み、引っ掛け、反時計回り、時計回りの回動操作)に対して持ち替えなしで対応することができる。このため、手術時間の短縮を図ることができ、患者に対する侵襲の低下、手術室のランニングコストの削減など、様々に寄与することができる。
【0074】
なお、この実施の形態では、外科用処置具1の左右方向の回動角度は、ハンドル37,39を±70°、処置部3を±70°としたが、このような角度は一例であって、他の角度であってももちろん構わない。
【0075】
また、冠状動脈としての左前下行枝64や、胸壁から剥離させた内胸動脈70は一例であって、他の血管同士を縫合(吻合)させるときにも適用しても構わない。
【0076】
[第2の実施の形態]
次に、図26ないし図35を用いて第2の実施の形態について説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0077】
(構成)
図26に示すように、支持部8に沿って設けられた第2および第3の駆動棒6a,7aは、それぞれ第2の回動板21および第4の回動板46の近傍で支持部8の内方に向かってL字状に屈曲した屈曲部が形成されている。すなわち、第2のおよび第3の駆動棒6a,7aの両端部は、それぞれの端部で同一の方向に向かってL字状に屈曲されている。
【0078】
また、支持部8の後端部側、すなわち、支持部8の操作部4側の第2の枢支軸32の近傍は、支持部8の中央部よりも細く、かつ、互いに対して平行な第2の突き当て面61aが形成されている。
【0079】
また、第2の回動板21の第2の枢支ピン20が配設される直交部の先端部に対して遠位側の端部と、この端部から第1および第2の回転ピン22,23中心との間の距離をL3とする。また、第4の回動板46の第1の突き当て面60側の端部と、この端部から第3および第4の回動ピン(枢軸)47,48中心との間の距離もL3に形成されている。
【0080】
第2の駆動棒6aの中央部の側部と、第1の回転ピン22、第3の回動ピン47を結ぶ線との間の距離をL4とする。同様に、第3の駆動棒7aの中央部の側部と、第2の回転ピン23、第4の回動ピン48を結ぶ線との間の距離もL4に形成されている。このとき、
L4−L3≧0
に形成されている。第2および第3の駆動棒6a,7aと、第2および第4の回動板21,46とは干渉し難くなっている。すなわち、第1の突き当て面60と第2の突き当て面61とが当接した状態で、第2および第3の駆動棒6a,7aと第2および第4の回動板21,46とが当接もしくは離れた状態となる。このため、ハンドル37,39および処置部3は直角になるまで回動可能となっている。
【0081】
図26(A)は、上下方向に最大に回動させた状態を示している。すなわち、第1の駆動棒5を処置部3側に押し込んだ状態である。また、第2および第3の駆動棒6a,7aは、互いに平行に、かつ、進退していないニュートラル状態にある。また、第1の突き当て面60に対して、支持部8の長手方向は略直交している。
【0082】
図26(B)は、図26(A)の状態から第2の枢支軸32を支点としてハンドル37,39を左右方向の左横方向に最大(90°)に回動させた状態を示している。このとき、処置部3は、右横方向に最大(90°)に回動される。すなわち、第1の駆動棒5を操作部4側に引っ張った状態である。第2の駆動棒6を操作部4側に引っ張り、第3の駆動棒7aを処置部3側に押出した状態である。また、第2および第3の駆動棒6a,7aは、互いに平行な状態を維持しながら互いに対して屈曲部の分だけ離間した状態である。そして、第1の突き当て面60と、一方の第2の突き当て面61とは、互いに当接している。
【0083】
また、図27に示すように、第1および第2の処置片12,14のそれぞれの把持面12b,14bには、必要に応じて例えばタングステンカーバイドなどの超硬素材が貼り付けてあり、その表面にはローレット目による滑り止めが施されている。これにより、把持対象物である縫合針、縫合糸、生体組織等を確実に把持することができるようになっている。
【0084】
(作用)
このような外科用処置具1の動作については、第1の実施の形態とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0085】
次に、このような作用を有する外科用処置具1を用いて例えばCABG手術を行う場合について説明する。この実施の形態で説明する手技は、第1の実施の形態とは異なり、左前下行枝64に対して側方からアプローチするものである。なお、この実施の形態では、右手で外科用処置具1を操作する場合について説明する。もちろん、左手で操作する場合には、以下に説明する操作を左右逆にして行えばよい。
【0086】
図28(A)は、心臓がある部位の胸部を下側から見た断面図を示している。左前下行枝64と称されている冠状動脈の側方にトロッカー118を介して硬性鏡67を挿入する。すなわち、術部の側方から観察しながら手術を行う。すなわち、左前下行枝64に対して側方からトロッカー118を介して硬性鏡67で観察しながらアプローチすることを示している。
【0087】
また、図28(B)は血管吻合を行う前段階が終了した状態を示している。図28(B)に示すように、内視鏡的に胸部側方に開けたポートを用いて、図28(A)に示す胸壁66から内胸動脈70が剥離されている。そして、左前下行枝64内に狭窄を起こした部位の下流側にはさみ鉗子69を用いて切開口71を形成している。また、硬性鏡67が挿入されるトロッカー118に隣接した位置に2つの他のトロッカー118が挿入される。そして、このトロッカー118の一方には、図11に示すように保持した状態で外科用処置具1の処置部3から体腔内に挿入する。また、トロッカー118の他方には、把持鉗子68などの処置具を挿入する。
【0088】
図29ないし図35は、内視鏡下で行う血管吻合(縫合)手技の流れを順に示している。
【0089】
まず、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で把持しておく。そして、図29(A)に示すように、把持鉗子68で胸壁66から剥離させた内胸動脈70を把持する。この状態で、湾曲針74が内胸動脈70の切断部(端部)近傍の内壁部に向かうように、ハンドル37,39を右横方向に回動操作する。処置部3は左横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は内胸動脈70に刺し入れられる。すなわち、術者から見て、内壁部から外側に向かって処置部3を下側に回動して湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁部に引っ掛ける。そして、さらに回動させて、湾曲針74の先端部を内壁部から外側に向かって貫通させる。この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、ハンドル37,39を左横方向の適当な角度に回動させて処置部3を右横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を左横方向に最大もしくは最大付近まで回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら内胸動脈70から抜き取る。すなわち、第2の湾曲針74を把持した状態で内胸動脈70に縫合糸75を通す。
【0090】
そして、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、湾曲針74の先端部が左前下行枝64の切開口71近傍の外壁部に向かうように、ハンドル37,39を右横方向に回動操作する。処置部3は左横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は左前下行枝64の外壁部から内側に向かって刺し入れられる。すなわち、術者から見て、外壁部から内側に向かって処置部3を下側に回動して湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁部に引っ掛ける。そして、さらに回動させて、湾曲針74の先端部を外壁部から内側に向かって貫通させる。この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、ハンドル37,39を左横方向の適当な角度に回動させて処置部3を右横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、図29(B)に示すように、湾曲針74の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を左横方向に最大もしくは最大付近まで回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら左前下行枝64から抜き取る。すなわち、第2の湾曲針74を把持した状態で左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0091】
次いで、内胸動脈70の内壁部から外側へ、そして、左前下行枝64の外壁部から内側に湾曲針74を通して内胸動脈70と左前下行枝64とを縫合していく作業を順次実施していく。
【0092】
この作業においては、まず、第2の湾曲針74の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で再把持しておく。この状態で、図29(C)に示すように、湾曲針74の先端部が内胸動脈70の切断部の内壁部に向かうように、ハンドル37,39を右横方向に回動操作する。処置部3は左横方向に回動して第2の湾曲針74の先端部は内胸動脈70の切断部の内壁部から外側に向かって刺し入れられる。さらに、この操作で、左前下行枝64の外壁部から内側に向かって刺し入れられる。すなわち、処置部3の回動によって内胸動脈70の内壁部から外側を通り、さらに、左前下行枝64の外壁部から内側に向かって湾曲針74の先端部を引っ掛ける。ここで、図31はこのような状態になるまでの内胸動脈70および左前下行枝64に対する処置部3の一連の動きを図29(C)に示す29C−29C断面に沿って示している。
【0093】
図31(A)に示すように、ハンドル37,39を左横方向に最大(例えば、−90°)に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を右横方向に最大(例えば、−90°)に回動させる。この状態で処置部3を左前下行枝64の切開口71と内胸動脈70の端部との間に挿入し、湾曲針74の先端を内胸動脈70の内壁部の任意の位置に刺す。
次に、図31(B)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の最大回動位置から右横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が左横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁部を貫通して、左前下行枝64の外壁部から内側に刺し入れる。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図31(C)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の適当な角度に回動させて処置部3を左横方向に適当な角度に回動させた状態にする。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を図31(A)に示す方向に対して反対側の左横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を湾曲針74の湾曲度合にほぼ沿わせながら左前下行枝64から抜き取る。すなわち、図31(D)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で内胸動脈70および左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0094】
このような操作を繰り返し行って、図29(D)に示すように、術者から見て左前下行枝64の切開口71の3時から9時まで反時計回り方向に順次縫合する。
【0095】
次に、第2の湾曲針74が一端に取り付けられた縫合糸75の他端に配設された第1の湾曲針73を用いて縫合を開始する。すなわち、図30(A)に示すように、図29(A)ないし図29(D)に示した位置から左前下行枝64の長手方向に対して対称的な方向に縫合を行う。第1の湾曲針73の先端部が処置部3の左横側に配設されるように湾曲針73の基端側を処置部3で把持しておく。また、把持鉗子68で内胸動脈70を把持しておく。この状態で、湾曲針73の先端部が内胸動脈70の外壁側から左前下行枝64の内壁側に向かって刺し入れられる。ここで、図32および図33はこのような状態になるまでの左前下行枝64および内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図30(A)に示す30A−30A断面に沿って示している。
【0096】
図32(A)に示すように、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を右横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針73の先端部を内胸動脈70の外壁部に刺す。
図32(B)に示すように、ハンドル37,39を左横方向の最大回動位置から右横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が左横方向に向かって回動し、湾曲針73の先端部を内胸動脈70の外壁部に刺し入れる。
さらに、図32(C)に示すように、この状態で、湾曲針73の先端部を左前下行枝64の内壁部から外側に向かって刺し入れる。すなわち、湾曲針73の先端は、内胸動脈70と左前下行枝64とが接触した状態で、両者70,64に貫通する。そして、この状態で一旦、湾曲針73を放す。
そして、図33(A)に示すように、ハンドル37,39をやや右横方向に回動させて、処置部3をやや左横方向に回動させる。この後、湾曲針73の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針73の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動操作して、処置部3を図32(A)に示す方向に対して反対側の左横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針73の基端部を内胸動脈70および左前下行枝64から抜き取る。すなわち、図33(B)に示すように、第1の湾曲針73を把持した状態で内胸動脈70および左前下行枝64に縫合糸75を通す。
【0097】
このような操作を繰り返し行って、図30(A)に示すように、術者から見て左前下行枝64の切開口71の3時から6時まで時計回り方向に順次縫合する。
【0098】
次に、第2の湾曲針74を用いて縫合を開始する。すなわち、図30(B)に示すように、図29(A)ないし図29(D)に示した位置から左前下行枝64の長手方向に対して対称的な方向に縫合を行う。第2の湾曲針74の先端部が処置部3の右横側に配設されるように湾曲針74の基端側を処置部3で把持しておく。また、把持鉗子68で内胸動脈70を把持しておく。この状態で、湾曲針74の先端部が左前下行枝64の外壁側から内胸動脈70の内壁側に向かって刺し入れられる。ここで、図34および図35はこのような状態になるまでの左前下行枝64および内胸動脈70に対する処置部3の一連の動きを図30(B)に示す30B−30B断面に沿って示している。
【0099】
図34(A)に示すように、ハンドル37,39を右横方向に最大に回動させて、処置部3の左右方向の回動角度を左横方向に最大に回動させる。この状態で湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁部に刺す。
図34(B)に示すように、ハンドル37,39を右横方向の最大回動位置から左横方向に向かって回動させる。つまり、ハンドル37,39をニュートラル方向に戻す。すると、処置部3の回動角度が小さくなる方向、すなわち、処置部3が右横方向に向かって回動し、湾曲針74の先端部を左前下行枝64の外壁部に刺し入れる。
さらに、図34(C)に示すように、この状態で、湾曲針74の先端部を内胸動脈70の内壁部から外側に向かって刺し入れる。すなわち、湾曲針74の先端は、左前下行枝64と内胸動脈70とが接触した状態で、両者64,70に貫通する。そして、この状態で一旦、湾曲針74を放す。
そして、図35(A)に示すように、ハンドル37,39をやや左横方向に回動させて、処置部3をやや右横方向に回動させる。この後、湾曲針74の先端部が処置部3の左横側を向くように湾曲針74の先端側を処置部3で再把持する。
さらに、ハンドル37,39を左横方向に最大に回動操作して、処置部3を図34(A)に示す方向に対して反対側の右横方向に最大に回動させる。このようにして、湾曲針74の基端部を左前下行枝64および内胸動脈70から抜き取る。すなわち、図35(B)に示すように、第2の湾曲針74を把持した状態で左前下行枝64および内胸動脈70に縫合糸75を通す。
【0100】
このような操作を繰り返し行って、図30(B)に示すように、術者から見て左前下行枝64の切開口71の9時から6時まで反時計回り方向に順次縫合する。すなわち、左前下行枝64の切開口71に対する内胸動脈70の端部の全周に渡る縫合(吻合)を終了する。
【0101】
そして、図30(C)に示すように、処置部3を操作して縫合糸75を任意の位置で結んで、数回結び目を形成して縫合糸75を留める。その後、縫合糸75の結び目近くで縫合糸75を切り、第1および第2の湾曲針73,74を体外に取り出す。
【0102】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態の外科用処置具1は、左右方向に例えば±90°回動することができる。このため、内胸動脈70を剥離させるのに使用したポートをそのまま使用して吻合を行うことができる。すなわち、様々な方向から目的部位の処置を行うのにアプローチすることができる。したがって、患者の負担を低減させることができる。
【0103】
また、処置片12,14に設けた滑り止めが長持ちするので、取り替え頻度を減らすことができる。また、処置片12,14自体は取り替えることは少なくて済み、超硬チップを付け替えるだけで済む。このため、外科用処置具1の使用者の負担を減らすことができる。
【0104】
[第3の実施の形態]
次に、図36を用いて第3の実施の形態について説明する。この実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であって、同一の部材には同一の符号を付し、詳しい説明を省略する。
【0105】
(構成)
図36は、処置部3の第1および第2の処置片12,14の変形例を示している。図36に示すように、第1および第2の処置片12,14の把持面12b,14bには、必要に応じて例えばダイヤモンド、ルビー、サファイアなどの微小粒が吹き付けられて微細な粗面が形成されて滑り止めが施されている。これにより、把持対象物である縫合針(湾曲針)、縫合糸、生体組織等を確実に把持することができるようになっている。さらに、第1および第2の処置片12,14の先端には、血管等の傷つけ防止を図る略球形部12c,14cが形成されている。
【0106】
そして、第1の回転ピン22と第2の回転ピン23とが異なる高さに枢支されている。また、第3の回転ピン47と第4の回転ピン48とが異なる高さに枢支されている。さらに、第1の回転ピン22と第3の回動ピン47とは同一の高さに枢支されている。また、第2の回転ピン23と第4の回動ピン48とは同一の高さに枢支されている。すなわち、第2および第3の駆動棒6b,7bは第2および第4の回動板21a,46aで互いに異なる高さに平行を維持しながら配設されている。
【0107】
第2および第3の駆動棒6b,7bの高さが異なるので、互いに干渉せず、もしくは干渉し難くなる。このため、例えば、回動の程度によっては、第2の駆動棒6aの下側に第3の駆動棒7bが配設されることも可能である。したがって、処置部3の左右方向の回動角度を大きく取ることができる。
【0108】
(作用)
このような外科用処置具1の動作、作用等については、第1の実施の形態とほぼ同様であるので、説明を省略する。
【0109】
(効果)
以上説明したように、この実施の形態の外科用処置具1は、左右方向に任意の角度に回動させることができる。
【0110】
ところで、第1および第2の処置片12,14の把持面12b,14bの変形例について図37ないし図40を用いて説明する。
【0111】
図37に示すように、把持面12b,14bは、基端部が幅広に、先端部が細く形成されている。また、ゴム材などの高分子材からなるゴムパッド87が配設されて滑り止めが施されている。
このため、縫合針(湾曲針)、縫合糸、生体組織等を確実に把持することができるようになっている。
【0112】
図38(A)に示すように、ゴムパッド87が把持面12b,14bに配設されていないときには、例えば湾曲針73を把持するときには、図38(A)中のa,b,a’の3点支持である。このため、充分な把持力が得られない可能性がある。
【0113】
しかし、図38(B)に示すように、この実施の形態のように、ゴムパッド87を把持面12b,14bに配設すると、例えば第1の湾曲針73を把持するときには、ゴムパッド87が弾性変形する。このため、充分な把持力を得ることができる。また、湾曲針73に過大な力が加えられたときのクッションとしても作用する。
【0114】
さらに、図39に示すように、第1の処置片12は把持面12b’を有する。また、第2の処置片14は把持面14b’を有する。把持面12b’,14b’は、例えば湾曲針73の形状に合わせて形成されている。すなわち、第1の把持面12bが凹面状に形成され、第2の把持面14bが凸面状に形成されている。このため、特に縫合針(湾曲針73)を把持するときには、縫合針の湾曲具合に合わせて充分な把持力を得ることができる。したがって、湾曲針73が外力により、容易には回転しない。
【0115】
また、図40に示すように、第1の処置片12は把持面12b”を有する。また、第2の処置片14は把持面14b”を有する。第1および第2の把持面12b”,14b”が共に湾曲針73の湾曲度合に沿って凸面状に形成されている。このため、特に縫合針(湾曲針)を使用するときには、一方の側の把持面12bに密着し、他方の側の把持面14bの最も凸部、すなわち頂点で押さえられるので、確実に把持することができるようになっている。したがって、湾曲針73が外力により、容易には回転しない。
【0116】
したがって、図40(A)に示すように、湾曲針73を第2の処置片14側に当接するように把持する場合と、図40(B)に示すように、湾曲針73を第1の処置片12側に当接するように把持する場合とで、それぞれ充分な把持力を得ることができる。
【0117】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、この発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0118】
上記説明によれば、下記の事項の発明が得られる。また、各項の組み合わせも可能である。
【0119】
[付記]
(付記項1) 体内に挿入される細長い挿入部と、
この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、
前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、
この操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達して処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなる駆動手段と
を備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具において、
前記挿入部の他端部と前記操作部とには、互いに当接する突き当て部が挿入部の軸方向に対して所定の角度をもって形成され、
前記操作部を左右方向に最大に回動操作したときに、前記挿入部の他端部と前記操作部とが互いの突き当て部で当接されるとともに、前記挿入部の軸方向に対する操作部の回動角度が規定されて、前記処置部の左右方向の回動角度が規定されることを特徴とする外科用処置具。
【0120】
(付記項2) 体内に挿入される細長い挿入部と、
この挿入部の一端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な処置部と、
前記挿入部の他端部に設けられ、少なくとも2つの軸を中心として回動可能かつ、開閉可能な操作部と、
それぞれ両端部に枢軸対を有し、前記処置部を動作させる第1のリンク棒とこの第1のリンク棒に平行に配置された第2のリンク棒とからなり、前記操作部と処置部とを連結し、操作部の操作力を処置部に伝達する駆動手段と
を備え、前記処置部の開閉方向に沿った面内を回動する上下方向とこの上下方向に直交した面内を回動する左右方向との少なくとも2つの平面内で前記操作部および処置部が連動して回動可能な外科用処置具において、
前記第1のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対と、第2のリンク棒の両端部に設けられた前記枢軸対との少なくとも一方は、それぞれ第2のリンク棒と、第1のリンク棒とに近接する側に偏りをもって設けられ、
前記第1および第2のリンク棒を互いに逆方向に進退させたときに、前記処置部の回動角度を増すようにしていることを特徴とする外科用処置具。
【0121】
(付記項3) 前記第1および第2のリンク棒は、前記操作部を左右方向にそれぞれ最大に回動操作したときにそれぞれ互いに当接することを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の外科用処置具。
【0122】
(付記項4) 前記挿入部の突き当て部は、挿入部の軸方向に対して対称的に形成されていることを特徴とする付記項1ないし付記項3のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0123】
(付記項5) 前記処置部の最大回動角度は、略±70°であることを特徴とする付記項1ないし付記項4のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0124】
(付記項6) 前記操作部を左方向と右方向とのそれぞれの最大回動位置の中間部に位置させたときに、前記第1および第2のリンク棒の端部は、互いのリンク棒の近接する端部の方向に屈曲されて形成されていることを特徴とする付記項1もしくは付記項2に記載の外科用処置具。
【0125】
(付記項7) 前記第1のリンク棒の駆動軸対と前記第1のリンク棒との間の距離と、前記操作部の突き当て部と、前記第1および第2のリンク棒の近接する端部に設けられた枢軸との間の距離とは、前者の距離が後者の距離以上に形成されていることを特徴とする付記項1、付記項2および付記項6のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0126】
(付記項8) 前記処置部の最大回動角度は、略±90°であることを特徴とする付記項1、付記項2、付記項6および付記項7のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0127】
(付記項9) 付記項1もしくは付記項2に記載の外科用処置具の操作部を操作して、縫合糸をそれぞれの基端部に備えて互いに接続した任意の湾曲度合を有する湾曲針を処置部で把持して被移植血管(左前下行枝)の吻合口に移植血管(内胸動脈)の吻合口を吻合する外科用処置具を術部の上方で操作して行う血管吻合手術方法であって、
前記湾曲針の先端部が前記被移植血管および/もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部に向かうように、操作部を左右方向に回動操作して処置部を操作部に対して反対側方向に回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管および/もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部に刺し入れて、2つの湾曲針の先端部を被移植血管および移植血管のそれぞれの吻合口の内壁部から延出し、
前記湾曲針同士を接続する縫合糸に沿って前記被移植血管および移植血管の吻合口同士を一致させて前記被移植血管および移植血管の吻合位置を規定し、
操作部を左右方向の最大回動位置に回動させて、処置部の操作部に対して反対側方向の回動角度を最大回動位置に回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の外壁部から内側に向かうように位置させ、
操作部を左右方向の最大回動位置から反対側方向に向かって回動させて、操作部を左方向の最大回動位置と右方向の最大回動位置との間の中間位置に戻して処置部を左右方向の回動位置から反対側方向に向かって回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の外壁部に刺し入れるとともに、湾曲針の先端部を前記被移植血管および移植血管のいずれか一方に湾曲針が刺された以外の血管の内壁部から外側に向かって刺し入れ、
前記操作部を開閉操作して処置部を開き、湾曲針を処置部から解放し、
操作部を最大回動位置と中間位置との間の任意の位置に回動させて処置部を最大回動位置と中間位置との間に位置させ、
湾曲針の先端部が処置部で把持していた方向と同一の方向を向くように操作部を開閉操作して湾曲針の先端側を処置部で再把持し、
操作部を反対側方向の最大回動位置に回動させて、処置部を操作部に対して反対側方向の最大回動位置に回動させて、湾曲針の基端部を前記被移植血管および移植血管の吻合口近傍から抜き取って糸を通し、
前記被移植血管および移植血管の吻合口同士を前記湾曲針を延出した位置から時計回り方向もしくは反時計回り方向に順次縫合する。
【0128】
(付記項10) 付記項1もしくは付記項2に記載の外科用処置具の操作部を操作して、処置部に糸を有する任意の湾曲度合を有する湾曲針を把持させて被移植血管(左前下行枝)の吻合口に移植血管(内胸動脈)の吻合口を吻合する外科用処置具を術部の側方で操作して行う血管吻合手術方法であって、
前記湾曲針の先端部が前記被移植血管および/もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部に向かうように、操作部を左右方向に回動操作して処置部を操作部に対して反対側方向に回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管および/もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部に刺し入れて、2つの湾曲針の先端部を被移植血管および移植血管のそれぞれの吻合口の内壁部から延出し、
前記湾曲針同士を接続する縫合糸に沿って前記被移植血管および移植血管の吻合口同士を一致させて前記被移植血管および移植血管の吻合位置を規定し、
操作部を左右方向の最大回動位置に回動させて、処置部の操作部に対して反対側方向の回動角度を最大回動位置に回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部から外側に向かうように位置させ、
操作部を左右方向の最大回動位置から反対側方向に向かって回動させて、操作部を左方向の最大回動位置と右方向の最大回動位置との間の中間位置に戻して処置部を左右方向の回動位置から反対側方向に向かって回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の内壁部に刺し入れるとともに、湾曲針の先端部を前記被移植血管および移植血管のいずれか一方に湾曲針が刺された以外の血管の外壁部から内側に向かって刺し入れ、
前記操作部を開閉操作して処置部を開き、湾曲針を処置部から解放し、
操作部を最大回動位置と中間位置との間の任意の位置に回動させて処置部を最大回動位置と中間位置との間に位置させ、
湾曲針の先端部が処置部で把持していた方向と同一の方向を向くように操作部を開閉操作して湾曲針の先端側を処置部で再把持し、
操作部を反対側方向の最大回動位置に回動させて、処置部を操作部に対して反対側方向の最大回動位置に回動させて、湾曲針の基端部を前記被移植血管および移植血管の吻合口近傍から抜き取って糸を通し、
前記被移植血管および移植血管の吻合口同士を前記湾曲針を延出した位置から時計回り方向もしくは反時計回り方向に順次縫合して、前記被移植血管および移植血管の略半周を縫合し、
操作部を左右方向の最大回動位置に回動させて、処置部の操作部に対して反対側方向の回動角度を最大回動位置に回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の外壁部から内側に向かうように位置させ、
操作部を左右方向の最大回動位置から反対側方向に向かって回動させて、操作部を中間位置に戻して処置部を左右方向の回動位置から反対側方向に向かって回動させて湾曲針の先端部を前記被移植血管もしくは移植血管の吻合口近傍の外壁部に刺し入れるとともに、湾曲針の先端部を前記被移植血管および移植血管のいずれか一方に湾曲針が刺された以外の血管の内壁部から外側に向かって刺し入れ、
前記操作部を開閉操作して処置部を開き、湾曲針を処置部から解放し、
操作部を最大回動位置と中間位置との間の任意の位置に回動させて処置部を最大回動位置と中間位置との間に位置させ、
湾曲針の先端部が処置部で把持していた方向と同一の方向を向くように操作部を開閉操作して湾曲針の先端側を処置部で再把持し、
操作部を反対側方向の最大回動位置に回動させて、処置部を操作部に対して反対側方向の最大回動位置に回動させて、湾曲針の基端部を前記被移植血管および移植血管の吻合口近傍から抜き取って糸を通し、
前記被移植血管および移植血管の吻合口同士を前記湾曲針を延出した位置から時計回り方向もしくは反時計回り方向に順次縫合して、前記被移植血管および移植血管の残りの略半周を縫合する。
【0129】
(付記項11) 前記処置部の開閉操作により目的対象を把持可能な互いに対向した把持面対を備え、この把持面対の一方の把持面は凸面円筒状であり、他方の把持面は凹面円筒状に形成されていることを特徴とする付記項1ないし付記項6のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0130】
(付記項12) 前記処置部の開閉操作により目的対象を把持可能な互いに対向した把持面対を備え、この把持面対の両方の把持面はそれぞれ凸面円筒状に形成されていることを特徴とする付記項1ないし付記項6のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0131】
(付記項13) 前記把持面には、放電加工またはエッチングにより表面が微細に荒らされていることを特徴とする付記項11もしくは付記項12に記載の外科用処置具。
【0132】
(付記項14) 前記把持面は、超硬素材からなり、ローレット目が形成されていることを特徴とする付記項11もしくは付記項12に記載の外科用処置具。
【0133】
(付記項15) 前記把持面には、ダイヤモンド、ルビー、サファイアなどの微小粒が吹き付けられて微細な粗面が形成されていることを特徴とする付記項11もしくは付記項12に記載の外科用処置具。
【0134】
(付記項16) 前記把持面の先端部には、略球形部が形成されていることを特徴とする付記項11ないし付記項15のいずれか1に記載の外科用処置具。
【0135】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、操作性を向上させて手技時間を短縮することができる外科用処置具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】処置部を上方に上げた状態の第1の実施の形態にかかる外科用処置具の側面図。
【図2】図1に示す外科用処置具の処置部を上方から見た斜視図。
【図3】図1に示す外科用処置具の処置部を下方から見た斜視図。
【図4】外科用処置具の処置部の処置片が開いた状態を上方から見た斜視図。
【図5】図1に示す外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図。
【図6】ハンドルのカバーを外した状態で図1に示す外科用処置具の操作部を下方から見た斜視図。
【図7】ハンドルのカバーを外した状態で図1に示す外科用処置具の操作部を上方から見た斜視図。
【図8】(A)はハンドルを下方に回動させて処置部を上方に回動させたことを示す側面図、(B)は(A)の状態からハンドルを上方に回動させて処置部を挿入部の軸方向に対して水平にしたことを示す側面図。
【図9】(A)は第1の実施の形態にかかる外科用処置具のハンドルおよび処置部を上下方向に回動させたときの概略的な上面図、(B)は(A)に示す外科用処置具のハンドルを左側に最大に回動して処置部を右側に最大に回動させた状態を示す概略的な上面図。
【図10】第2の回動板と第2および第3の駆動棒との接続状態を示す概略的な上面図。
【図11】第1の実施の形態にかかるトロッカーを介して術部の上方向からアプローチさせた外科用処置具を示す概略図。
【図12】心臓がある部位の胸部を下側から見た断面図。
【図13】心臓と剥離後の内胸動脈との位置関係を示すとともに、左前下行枝を切開して手術を行うことを説明する概略図。
【図14】(A)ないし(C)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図15】(A)ないし(C)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図16】(A)ないし(D)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図17】(A)ないし(C)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図18】図14(A)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は湾曲針を内胸動脈の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図、(C)および(D)は刺し入れた湾曲針を内胸動脈から抜く操作を説明する概略図。
【図19】図14(B)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は湾曲針を左前下行枝の外壁部から内側に向かって刺し入れることを説明する概略図、(C)および(D)は刺し入れた湾曲針を左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図20】図14(C)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は湾曲針を内胸動脈の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図、(C)および(D)は刺し入れた湾曲針を内胸動脈から抜く操作を説明する概略図。
【図21】図15(A)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は湾曲針を左前下行枝の外壁部から内側に向かって刺し入れることを説明する概略図、(C)および(D)は刺し入れた湾曲針を左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図22】図16(A)に示す手技を説明する図であって、(A)ないし(C)は湾曲針を内胸動脈の外壁部から内側に向かって刺し入れるとともに左前下行枝の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図。
【図23】図16(A)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は、図22(C)で刺し入れた湾曲針を内胸動脈および左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図24】図16(C)に示す手技を説明する図であって、(A)ないし(C)は湾曲針を内胸動脈の外壁部から内側に向かって刺し入れるとともに左前下行枝の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図。
【図25】図16(C)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は、図24(C)で刺し入れた湾曲針を内胸動脈および左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図26】第2の実施の形態にかかる外科用処置具であって、(A)は外科用処置具のハンドルおよび処置部を上下方向に回動したときの概略的な上面図、(B)は(A)に示す外科用処置具のハンドルを左側に最大に回動して処置部を右側に最大に回動させた状態を示す概略的な上面図。
【図27】外科用処置具の処置部の先端部を上方から見たときの概略的な斜視図。
【図28】(A)は心臓がある部位の胸部を下側から見た断面図を示し、トロッカーを介して術部の側方から内視鏡をアプローチさせた状態を示す概略図、(B)は心臓と剥離後の内胸動脈と、内視鏡などの処置装置との位置関係を示すとともに、左前下行枝を切開して手術を行うことを説明する概略図。
【図29】(A)ないし(D)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図30】(A)ないし(C)は、内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【図31】図29(C)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は湾曲針を内胸動脈の内壁部から外側に向かって刺し入れるとともに左前下行枝の外壁部から内側に向かって刺し入れることを説明する概略図、(C)および(D)は刺し入れた湾曲針を内胸動脈および左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図32】図30(A)に示す手技を説明する図であって、(A)ないし(C)は湾曲針を内胸動脈の外壁部から内側に向かって刺し入れるとともに左前下行枝の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図。
【図33】図30(A)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は図32(C)で刺し入れた湾曲針を内胸動脈および左前下行枝から抜く操作を説明する概略図。
【図34】図30(B)に示す手技を説明する図であって、(A)ないし(C)は湾曲針を左前下行枝の外壁部から内側に向かって刺し入れるとともに内胸動脈の内壁部から外側に向かって刺し入れることを説明する概略図。
【図35】図30(B)に示す手技を説明する図であって、(A)および(B)は図34(C)で刺し入れた湾曲針を左前下行枝および内胸動脈から抜く操作を説明する概略図。
【図36】第3の実施の形態にかかる外科用処置具の処置部の処置片が開いた状態を上方から見た斜視図。
【図37】外科用処置具の処置部の処置片が開いた状態を上方から見た斜視図。
【図38】(A)は従来の技術にかかる外科用処置具の処置部の処置片で湾曲針を把持した状態を示す概略的な側面図、(B)は図37に示す外科用処置具の処置部の処置片で湾曲針を把持した状態を示す概略的な側面図。
【図39】外科用処置具の処置部の処置片の変形例であって、これらの処置片で湾曲針を把持した状態を示す概略的な側面図。
【図40】(A)および(B)は外科用処置具の処置部の処置片の変形例であって、これらの処置片で湾曲針を把持した状態を示す概略的な側面図。
【図41】(A)は従来の技術にかかる外科用処置具のハンドルおよび処置部を上下方向に回動したときの概略的な上面図、(B)は(A)に示す外科用処置具のハンドルを左側に最大に回動して処置部を右側に最大に回動させた状態を示す概略的な上面図。
【図42】(A)ないし(C)は従来の技術にかかる内視鏡下で行う血管吻合手技の流れを示す概略図。
【符号の説明】
1…外科用処置具、2…挿入部、3…処置部、4…操作部、6…第2の駆動棒、7…第3の駆動棒、21…第2の回動板、22…第1の回転ピン、23…第2の回転ピン、37…第1のハンドル、38…第2の開閉枢支ピン、39…第2のハンドル、46…第4の回動板、47…第3の回動ピン、48…第4の回動ピン、60…第1の突き当て面、61…第2の突き当て面、64…左前下行枝(冠状動脈)、67…硬性鏡(内視鏡)、70…内胸動脈、71…切開口(吻合口)、73…第1の湾曲針、74…第2の湾曲針、75…縫合糸
【出願人】 【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
【住所又は居所】東京都渋谷区幡ヶ谷2丁目43番2号
【出願日】 平成14年6月19日(2002.6.19)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100068814
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 淳

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也

【公開番号】 特開2004−16662(P2004−16662A)
【公開日】 平成16年1月22日(2004.1.22)
【出願番号】 特願2002−178967(P2002−178967)