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【発明の名称】 超音波医療システム
【発明者】 【氏名】望月 剛
【住所又は居所】東京都三鷹市牟礼6丁目22番1号 アロカ株式会社内

【要約】 【課題】組織位置に関する適切な情報を出力する超音波医療システムを提供する。

【解決手段】超音波診断装置12はホストコントローラ20へエコーデータを出力し、組織座標演算部48は3次元探触子10を原点とする腫瘍30の座標情報を演算し、探触子座標演算部52は基準位置であるX線照射装置18を原点とする3次元探触子10の座標情報を演算し、総合組織座標演算部54は、3次元探触子10を原点とする腫瘍30の座標情報、およびX線照射装置18を原点とする3次元探触子10の座標情報に基づいて、X線照射装置18を原点とする腫瘍30の座標情報を演算し、X線照射装置18に出力する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標組織を含む空間内に超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波器と、
前記受信信号に基づいて、前記送受波器を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算する第1相対座標演算手段と、
基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算する第2相対座標演算手段と、
前記第1相対座標情報と前記第2相対座標情報とに基づいて、前記基準位置を原点とした前記目標組織の総合相対座標情報を演算し、その総合相対座標情報を出力する総合相対座標演算手段と、
を有することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記送受波器は、前記目標組織を含む3次元空間内に超音波を送受波し、
前記第1相対座標情報、前記第2相対座標情報および前記総合相対座標情報はそれぞれ3次元座標情報であることを特徴とする超音波医療システム。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波医療システムであって、
前記第2相対座標情報は、前記基準位置を原点とした前記送受波器の位置情報および前記送受波器の方向情報を含むことを特徴とする超音波医療システム。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記基準位置との位置関係が既知の測位原点、または、前記送受波器のうちの一方に設けられ、測位信号を発生する発生器と、
前記測位原点または前記送受波器のうちの他方に設けられ、前記測位信号を検出する検出器とをさらに有し、
前記第2相対座標演算手段は、前記検出器の検出結果に基づいて、前記基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波医療システムであって、
前記発生器は磁場を発生する磁場発生器であり、
前記検出器は前記磁場を検出する磁場検出器であることを特徴とする超音波医療システム。
【請求項6】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記第1相対座標演算手段は、前記受信信号に基づいて形成された超音波画像を利用して検査者が指定する座標情報に基づいて、前記送受波器を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項7】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記送受波器を保持する保持機構と、
前記保持機構によって保持された前記送受波器についての測位情報を出力する測位情報演算器とをさらに有し、
前記第2相対座標演算手段は、前記測位情報に基づいて、前記基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項8】
請求項7に記載の超音波医療システムであって、
前記測位情報は、前記基準位置との位置関係が既知の測位原点に対する前記送受波器の座標情報であることを特徴とする超音波医療システム。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波医療システムであって、
前記保持機構は多関節ロボットであり、
前記測位情報は、前記多関節ロボットにおける各可動部位の長さデータおよび角度データに基づく情報であることを特徴とする超音波医療システム。
【請求項10】
請求項7に記載の超音波医療システムであって、
前記送受波器は患者の体表に当接され、
前記保持機構は、前記送受波器による前記患者への当接圧力を計測する圧力センサを含み、前記圧力センサの出力に基づいて前記当接圧力を所定値に制御することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項11】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記総合相対座標情報に基づいて照準を制御し放射線照射を行う放射線照射装置をさらに有することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波医療システムであって、
前記放射線は陽子線であることを特徴とする超音波医療システム。
【請求項13】
請求項11に記載の超音波医療システムであって、
前記放射線照射装置は、前記総合相対座標情報に基づいて前記目標組織の動きに追従して照準を制御することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項14】
請求項1に記載の超音波医療システムであって、
前記総合相対座標情報に基づいて穿刺位置を制御する穿刺装置をさらに有することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項15】
位置方向情報を出力する探触子保持機構により保持されて患者体表に当接され、目標組織を含む3次元空間内に超音波を送受波する超音波探触子と、
前記3次元空間を構成する各ボクセルごとのエコーデータを前記超音波探触子を介して取得する超音波診断装置と、
前記エコーデータのエコーレベルに基づいて前記目標組織に対応するボクセルを抽出して、前記超音波探触子を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算し、前記位置方向情報に基づいて、基準位置を原点とした前記超音波探触子の第2相対座標情報を演算し、前記第1相対座標情報と前記第2相対座標情報とに基づいて、前記基準位置を原点とした前記目標組織の総合相対座標情報を演算して、その総合相対座標情報を出力するホストコントローラと、
を有することを特徴とする超音波医療システム。
【請求項16】
請求項15に記載の超音波医療システムであって、
前記総合相対座標情報に基づいて前記目標組織の動きに追従して照準を制御し治療線照射を行う治療線照射装置をさらに有することを特徴とする超音波医療システム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、超音波医療システムに関し、特に超音波の送受波により目標組織を検出し、検出した目標組織の位置に関する情報を演算する超音波医療システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
超音波診断装置は、診断のみならず治療の際にも積極的に利用されている。治療すべき組織位置を特定するために超音波診断装置が利用される医療方法の一例として放射線照射による腫瘍の治療が挙げられる。
【0003】
放射線治療は、強力な放射線を腫瘍組織に照射することで腫瘍組織を死滅させるものである。放射線治療では、腫瘍以外の正常組織に対する放射線照射をできる限り抑えることが望ましい。したがって放射線治療では、腫瘍組織の位置を確認した上で、腫瘍組織に向け的確に放射線を照射することが重要である。放射線治療における腫瘍組織の位置確認方法として、放射線治療前にレントゲン撮影、CT(Computed Tomography)あるいはMRI(Magnetic Resonance Imaging)による画像診断を行い、腫瘍組織の位置確認を事前に行った上で、放射線照射位置あるいは放射線照射範囲を決定する方法がある。しかしこの様な事前位置確認方法では、位置確認の後、患者の体位の移動や呼吸などの影響により腫瘍組織が移動した場合に、腫瘍組織への的確な放射線照射が不可能であった。
【0004】
この問題を解決するために、超音波診断装置を利用した組織位置確認による放射線治療が考えられる。つまり超音波診断装置により腫瘍組織の位置を確認しながら、腫瘍組織に向け放射線を照射する方法である(例えば、特許文献1には超音波画像を利用して衝撃波を照射する装置が示されている)。
【0005】
しかしながら従来の超音波診断装置により得られる組織の位置に関する情報は、超音波探触子を基準としたものであるため、超音波探触子の使用状況によっては適切な組織位置に関する情報の取得が困難であった。例えば、超音波探触子を医師または検査者が保持して利用する状況下において、超音波診断装置による表示画面において腫瘍組織の動きを検出した場合、検出した動きが、腫瘍組織自体の移動により生じた動きなのか、腫瘍は静止しているものの超音波探触子の移動により生じた動きなのか、あるいは両方の動きを含んだ動きによるものなのかの判断が不可能であった。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−24263号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、従来の超音波診断装置により得られる組織位置に関する情報は、超音波探触子を基準としたものであるため、目標組織位置に関する情報は超音波探触子の位置に依存していた。
【0008】
そこで本発明は、組織位置に関する適切な情報を出力する超音波医療システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る超音波医療システムは、目標組織を含む空間内に超音波を送受波し、受信信号を出力する送受波器と、前記受信信号に基づいて、前記送受波器を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算する第1相対座標演算手段と、基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算する第2相対座標演算手段と、前記第1相対座標情報と前記第2相対座標情報とに基づいて、前記基準位置を原点とした前記目標組織の総合相対座標情報を演算し、その総合相対座標情報を出力する総合相対座標演算手段とを有するものとする。
【0010】
上記構成によれば、所望の基準位置を原点とした目標組織の座標情報が得られるため、送受波器の座標に依存しない目標組織の座標特定が可能となる。例えば、送受波器が動きを伴う状況下において、あるいは、送受波器の座標が不特定な状況下においても、既知の基準位置に対する相対座標として目標組織の座標が確認できる。
【0011】
望ましくは、前記送受波器は、前記目標組織を含む3次元空間内に超音波を送受波し、前記第1相対座標情報、前記第2相対座標情報および前記総合相対座標情報はそれぞれ3次元座標情報とする。さらに望ましくは、前記第2相対座標情報は、前記基準位置を原点とした前記送受波器の位置情報および前記送受波器の方向情報を含むものとする。
【0012】
望ましくは、前記基準位置との位置関係が既知の測位原点、または、前記送受波器のうちの一方に設けられ、測位信号を発生する発生器と、前記測位原点または前記送受波器のうちの他方に設けられ、前記測位信号を検出する検出器とをさらに有し、前記第2相対座標演算手段は、前記検出器の検出結果に基づいて、前記基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算するものとする。上記構成によれば、発生器と検出器による非接触型の座標検出構成のため、送受波器の動きに制約を与えない座標検出が可能となる。なお、上記の測位信号とは送受波器の位置などの座標を測定するための信号である。
【0013】
望ましくは、前記発生器は、磁場を発生する磁場発生器であり、前記検出器は、前記磁場を検出する磁場検出器とする。上記構成によれば、磁場検出器が人体に遮られることなく磁場を検出できるため、医師または検査者の身体位置によらず、送受波器の座標演算の精度を維持することができる。さらに磁場と超音波は相互作用をしないので、磁場発生器の磁場による送受波器の超音波への影響、あるいは、超音波による磁場への影響も無視できる。
【0014】
望ましくは、前記第1相対座標演算手段は、前記受信信号に基づいて形成された超音波画像を利用して検査者が指定する座標情報に基づいて、前記送受波器を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算するものとする。
【0015】
望ましくは、前記送受波器を保持する保持機構と、前記保持機構によって保持された前記送受波器についての測位情報を出力する測位情報演算器とをさらに有し、前記第2相対座標演算手段は、前記測位情報に基づいて、前記基準位置を原点とした前記送受波器の第2相対座標情報を演算するものとする。さらに望ましくは、前記測位情報は、前記基準位置との位置関係が既知の測位原点に対する前記送受波器の座標情報とする。さらに望ましくは、前記保持機構は多関節ロボットであり、前記測位情報は、前記多関節ロボットにおける各可動部位の長さデータおよび角度データに基づく情報とする。望ましくは、前記送受波器は患者の体表に当接され、前記保持機構は、前記送受波器による前記患者への当接圧力を計測する圧力センサを含み、前記圧力センサの出力に基づいて前記当接圧力を所定値に制御するものとする。
【0016】
望ましくは、前記総合相対座標情報に基づいて照準を制御し放射線照射を行う放射線照射装置を有するものとする。上記構成によれば、目標組織に的確に放射線照射を行うように照準を制御することで、目標組織以外の組織にできる限り放射線を照射せず、目標組織に放射線を集中して照射できるため、正常組織への照射を抑えつつ腫瘍のみを死滅させることができる。なお、放射線としては、X線やガンマ線などの電磁波や、陽子線や重陽子線などの粒子線が利用できる。
【0017】
望ましくは、前記放射線照射装置は、前記総合相対座標情報に基づいて前記目標組織の動きに追従して照準を制御するものとする。上記構成によれば、目標組織が移動を伴う場合においても、目標組織に的確に放射線照射を行うように照準を制御することで、目標組織以外の組織にできる限り放射線を照射せず、目標組織に放射線を集中して照射できるため、正常組織への照射を抑えつつ腫瘍のみを死滅させることができる。
【0018】
なお、放射線照射装置に換えて、前記総合相対座標情報に基づいて穿刺位置を制御する穿刺装置を有するものでもよい。上記構成によれば、目標組織に穿刺を行うよう照準を制御し穿刺針を発射することで、目標組織に対して的確に穿刺針を到達させることができる。
【0019】
また、上記目的を達成するために、本発明に係る超音波医療システムは、位置方向情報を出力する探触子保持機構により保持されて患者体表に当接され、目標組織を含む3次元空間内に超音波を送受波する超音波探触子と、前記3次元空間を構成する各ボクセルごとのエコーデータを前記超音波探触子を介して取得する超音波診断装置と、前記エコーデータのエコーレベルに基づいて前記目標組織に対応するボクセルを抽出して、前記超音波探触子を原点とした前記目標組織の第1相対座標情報を演算し、前記位置方向情報に基づいて、基準位置を原点とした前記超音波探触子の第2相対座標情報を演算し、前記第1相対座標情報と前記第2相対座標情報とに基づいて、前記基準位置を原点とした前記目標組織の総合相対座標情報を演算して、その総合相対座標情報を出力するホストコントローラとを有するものとする。
【0020】
望ましくは、前記総合相対座標情報に基づいて前記目標組織の動きに追従して照準を制御し治療線照射を行う治療線照射装置をさらに有するものとする。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
[実施形態1]図1には、本発明に係る超音波医療システムの第1の実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す構成図である。図1に示す超音波医療システムは、大別すると、送受波器である3次元探触子(3次元エコーデータ取込用探触子)10、超音波診断装置12、磁場発生器14、磁場検出器16、放射線照射装置であるX線照射装置18、および、第1相対座標演算手段と第2相対座標演算手段と総合相対座標演算手段とを有するホストコントローラ20で構成されている。
【0023】
3次元探触子10は、アレイ振動子22、アレイ振動子22を駆動する駆動用モータ24、および、アレイ振動子22の位置を検出する振動子位置検出器26を有している。3次元探触子10は、超音波28を送受波するアレイ振動子22を、駆動用モータ24で揺動することで、3次元空間内への超音波28の送受波を可能としている。駆動用モータ24により所定位置に揺動されたアレイ振動子22は、電子走査を行って走査面Sを形成し、走査面内の受波データを取得する。アレイ振動子22が取得した受波データ、および、振動子位置検出器26が検出する振動子位置データは、超音波診断装置12へ出力される。アレイ振動子22が電子走査により送受波を行いつつ、駆動用モータ24によりアレイ振動子22が揺動されて走査面Sを移動させることで、走査空間内に亘って超音波28の送受波が行われる。
【0024】
3次元空間内への超音波28の送受波の様子を示したのが図2である。図2は、アレイ振動子22が、深さ方向rおよび電子走査方向θに、超音波28を送受波することで走査面Sを形成し、揺動方向φにアレイ振動子22を揺動することで、目標組織である腫瘍30および腫瘍の重心点Pを含む走査空間Vを形成する様子を示している。ただし、本実施の形態における3次元エコーデータ取得用探触子は2次元アレイ振動子、つまり走査空間V内に亘って電子走査を行う振動子を有する探触子でもよい。3次元エコーデータ取得用探触子に限らず、2次元エコーデータ取得用探触子、つまり図2において走査面S内のみへ超音波28の送受波を行う探触子でもよい。
【0025】
図1において、超音波診断装置12における送信用ビームフォーマ32は、アレイ振動子22へ供給する送信駆動信号を制御することで、3次元探触子10を介して超音波28を形成する。受信用ビームフォーマ34は、アレイ振動子22が出力する受波データを収集し、エコーデータを形成している。またコントローラ(モータ位置および送受信制御部)36は、モータドライバ38を介して、アレイ振動子22の駆動用モータ24を駆動するとともに、振動子位置検出器26から出力されるアレイ振動子22の揺動位置データを取得することで、アレイ振動子22の揺動位置制御を行う。さらにコントローラ36は、送信用ビームフォーマ32と受信用ビームフォーマ34を制御することで、アレイ振動子22の各揺動位置における超音波28の形成および受波データの収集を行っている。つまりコントローラ36は、送信用ビームフォーマ32、受信用ビームフォーマ34、アレイ振動子駆動用モータ24を制御することで、所望の3次元空間内に超音波28を送波し、その3次元空間を構成する各ボクセルごとのエコーデータを取得する。各ボクセルごとのエコーデータは、3次元探触子10を基準とする相対座標に対応したアドレスが付され、3次元メモリ40に書き込まれる。3次元メモリ40に書き込まれたエコーデータは、ホストコントローラ20へ出力される。またエコーデータは、超音波診断装置12内部の画像形成部42にも出力され、画像形成部42にて超音波画像が形成され、画像表示部44において3次元超音波画像などが表示される。
【0026】
ホストコントローラ20は、第1相対座標演算手段である組織抽出部46及び組織座標演算部48、第2相対座標演算手段である磁場送受信制御部50及び探触子座標演算部52、並びに、総合相対座標演算手段である総合組織座標演算部54を有している。ただし、ホストコントローラ20の構成要素は、その全てが、あるいはその一部が、超音波診断装置12あるいはX線照射装置18に組み込まれてもよい。
【0027】
組織抽出部46は、3次元メモリ40に書き込まれた3次元空間内のエコーデータに基づき、目標組織である腫瘍30を抽出する。抽出方法としては、例えば、エコーデータとしてエコーレベルを取得しておき、このエコーレベルの強弱により、腫瘍30とその他の正常組織との分別を行う方法がある。つまり3次元メモリ40に書き込まれた各エコーデータのエコーレベルを、腫瘍30のエコーレベルと正常組織のエコーレベルとの境界となる既定レベルと比較して、腫瘍30のエコーレベルに相当するエコーデータ部分を腫瘍30と判断する方法である。前述したように、エコーデータは3次元メモリ40に書き込まれる際、3次元探触子10を基準とする相対座標に対応したアドレスが付されているため、腫瘍30に相当するエコーデータの相対座標が判定できる。腫瘍30を抽出する方法はその他の方法でもよく、例えばテクスチャー解析等の画像解析手法の利用も可能である。
【0028】
組織座標演算部48では、腫瘍30に対応する抽出されたエコーデータ部分の、3次元探触子10を基準とした相対座標に基づいて、3次元探触子10を基準とした目標組織座標を演算する。目標組織座標としては、抽出された腫瘍30部分の外表面座標から、腫瘍30の重心位置を演算して、重心点のみを目標組織座標としてもよい。あるいは、腫瘍30と判断された複数のエコーデータの相対座標全てを目標組織座標として出力してもよい。さらに、画像表示部44に表示される目標組織の超音波画像を見ながら検査者が指定する位置を、目標組織座標としてもよい。いずれの場合も、超音波28の送受は3次元探触子10を基準に行われているため、抽出された目標組織の座標は、3次元探触子10を原点としたものである。以下においては、腫瘍30の重心点のみを目標組織座標として出力した場合について説明する。
【0029】
磁場送受信制御部50は、X線照射装置18に取り付けられる磁場発生器14を制御して、3次元探触子10の位置に関する情報を計測するための磁場分布を室内に形成する。また磁場送受信制御部50は、3次元探触子10に取り付けられる磁場検出器16を制御して、室内に形成した磁場分布を検出する。磁場発生器14および磁場検出器16による、位置情報と方向情報の検出は、公知の手法を利用できる。つまり、磁場発生器14は、その軸方向がそれぞれ互いに直交する3方向に対応した、3つの磁場発生コイルを有しており、これにより磁場分布を形成している。また磁場検出器16にも、その軸方向がそれぞれ互いに直交する3方向に対応した、3つの磁場検出コイルが設けられている。そして、磁場発生器14および磁場検出器16は、磁場発生器14に対する磁場検出器16の位置情報のみならず、磁場検出器16の方向情報も検出可能な構成になっている。このように、磁場発生器14および磁場検出器16を利用して、3次元探触子10の位置に関する情報(座標情報)を計測する。
【0030】
3次元探触子10の座標情報の検出方法は、磁場発生器14と磁場検出器16による検出方法に限定されるものではなく、その他の座標情報の検出方法を利用してもよい。例えば磁場に変えて、光や音波や電波を利用することも可能である。光検出を利用する場合、磁場発生器14に変えて光信号発生器を利用し、磁場検出器16に変えて光検出器を用いる。光信号発生器は、室内の異なる位置において異なる光量となる光量分布を形成し、光検出器が形成された光量分布を検出する。この際、3角測量の原理により、光検出器を3次元探触子10の異なる3点に固定して、3点の位置を検出することで、3次元探触子10の位置情報のみならず方向情報も演算できる。また、発生器を3次元探触子10に取り付け、検出器を基準位置に取り付けることでも、同様の原理により、基準位置に対する3次元探触子10の位置情報および方向情報が演算可能であることは明らかである。
【0031】
探触子座標演算部52は、磁場送受信制御部50から出力される検出結果に基づいて、磁場発生器14を基準にした磁場検出器16の位置情報および方向情報を演算する。磁場送受信制御部50から出力される検出結果は、磁場発生器14に対する磁場検出器16の位置情報および方向情報に基づいているため、磁場発生器14を所望の位置、例えばX線照射装置18の原点位置に配置し、磁場検出器16を3次元探触子10の原点位置に配置することで、X線照射装置18の原点位置に対する3次元探触子10の位置情報および方向情報が直接検出できることになる。ただし、設計の都合上、磁場発生器14をX線照射装置18の原点位置に配置できない場合、あるいは磁場検出器16を3次元探触子10の原点位置に配置できない場合も有り得る。図3はこの様子を示したものである。
【0032】
図3において、差分ベクトルa56は、X線照射の際の基準位置となるX線照射装置の原点位置58と、3次元探触子の位置や方向を測定する際の測位原点となる磁場発生器位置60とのずれを示している。また、差分ベクトルb62は、3次元探触子の原点位置64と磁場検出器位置66のずれを示している。磁場送受信制御部(図1の符号50)から出力される検出結果は、磁場発生器位置60に対する磁場検出器位置66の相対位置ベクトルである測位ベクトル70である。また組織座標演算部(図1の符号48)から出力される座標情報は、3次元探触子の原点位置64に対する腫瘍の位置68の相対位置ベクトルである超音波検出ベクトル(第1相対座標情報)72である。
【0033】
したがって、X線照射装置の原点位置58を基準とした腫瘍の位置68の座標を示す総合ベクトル(総合相対座標情報)69を算出するためには、測位ベクトル70に対して、差分ベクトルa56および差分ベクトルb62を加えて得られる探触子位置ベクトル(第2相対座標情報)71を算出した後、算出した探触子位置ベクトル71に超音波検出ベクトル72を加算する必要がある。ただし、磁場発生器14はX線照射装置18に固定され、また磁場検出器16は3次元探触子10に固定されるため、差分ベクトルa56および差分ベクトルb62はともに固定ベクトルとなり、従って、目標組織である腫瘍の位置68の計測の前に、あらかじめ差分ベクトルa56および差分ベクトルb62を計測しておくことが可能である。
【0034】
腫瘍の位置68の座標を演算する場合、これら事前に計測済みの差分ベクトルa56および差分ベクトルb62に基づいて座標変換処理を施すことで、X線照射装置の原点位置58と磁場発生器位置60を等価に、また、3次元探触子の原点位置64と磁場検出器位置66を等価に、それぞれ扱うことが可能となる。以下においては、X線照射装置の原点位置58を原点とする座標系と、磁場発生器位置60を原点とする座標系が同一になるように座標変換処理が済んでおり、また、3次元探触子の原点位置64を原点とする座標系と、磁場検出器位置66を原点とする座標系が同一になるように座標変換処理が済んでいるものとして説明する。
【0035】
図1に戻り、総合組織座標演算部54は、組織座標演算部48から出力される3次元探触子10を原点とした目標組織の座標情報と、探触子座標演算部52から出力されるX線照射装置18の原点に対する3次元探触子10の位置情報および方向情報とに基づき、X線照射装置18の原点に対する目標組織の座標を演算する。ただし前述したとおり、磁場発生器14とX線照射装置18との間の座標変換処理および磁場検出器16と3次元探触子10との間の座標変換処理は、探触子座標演算部52で既に済んでいるものとする。つまり、磁場発生器14を原点とする座標系とX線照射装置18を原点とする座標系は一致しており、磁場検出器16を原点とする座標系と3次元探触子10を原点とする座標系は一致しているものとする。
【0036】
総合組織座標演算部54における演算方法を図4に基づいて説明する。図4において、座標系(X,Y,Z)は磁場発生器位置60を原点とし、磁場発生器に固定された座標系であり、X線照射装置を基準とする座標系と一致している。座標系(x,y,z)は磁場検出器位置66を原点とし、磁場検出器に固定された座標系であり、3次元探触子を基準とする座標系と一致している。ここで、座標系(X,Y,Z)を基準とした磁場検出器位置66つまり座標系(x,y,z)の原点座標をSo(Xo,Yo,Zo)とする。点eは目標組織である腫瘍の位置であり、座標系(x,y,z)を基準とした座標をe(xe,ye,ze)とする。さらに、X軸、Y軸、Z軸のそれぞれに平行なX´軸、Y´軸、Z´軸を有し、その座標原点が点Soである座標系を座標系(X´,Y´,Z´)とする。
【0037】
座標系(x,y,z)と座標系(X´,Y´,Z´)の位置関係は、座標系(X´,Y´,Z´)をX´軸、Y´軸、Z´軸の順にそれぞれα度、β度、γ度回転すると、X´軸がx軸に、Y´軸がy軸に、Z´軸がz軸にそれぞれ重なる位置関係にあるものとする。前述したとおり、探触子座標演算部において磁場発生器を基準にした磁気検出器の位置情報および方向情報が演算されている。つまり座標系(X,Y,Z)に対する座標系(x,y,z)の原点位置情報(Xo,Yo,Zo)および方向情報(α,β,γ)の6次元情報は、探触子座標演算部において演算される。このとき、座標系(x,y,z)から座標系(X´,Y´,Z´)への座標変換が、次のように表現される。
【数1】


また、座標系(X´,Y´,Z´)から座標系(X,Y,Z)への座標変換は、次のように表現される。
【数2】


数1、数2により、座標系(x,y,z)から座標系(X,Y,Z)への座標変換は、次のように表現される。
【数3】


したがって、上記座標変換行列[T]により、座標系(x,y,z)から座標系(X,Y,Z)への変換、つまり磁場検出器を基準とする座標系から、磁場発生器を基準とする座標系へ座標変換できる。
【0038】
図1に戻り、総合組織座標演算部54は、探触子座標演算部52から出力される磁場発生器14(X線照射装置18)を原点とした磁場検出器16(3次元探触子10)の位置情報および方向情報に基づき、変換行列[T]を設定する。そして、組織座標演算部48から出力される磁場検出器16(3次元探触子10)を原点とした、目標組織である腫瘍の位置68の座標情報を、上記変換行列により、磁場発生器14つまりX線照射装置18を基準とした座標系における座標情報に変換する。このように演算された、X線照射装置18を基準とした目標組織の位置情報が、ホストコントローラ20からX線照射装置18に出力される。
【0039】
図5は、図1の超音波医療システムを利用した治療方法を示す図である。超音波診断装置12、探触子10、磁場発生器14、磁場検出器16、ホストコントローラ20については前述したとおりの動作を行い、X線照射装置18を基準とする腫瘍30の位置情報が、ホストコントローラ20からX線照射装置18に出力される。X線照射装置18は腫瘍30の位置情報に基づき、アーム部76、照射部78を制御して、X線を患者Mの内部にある腫瘍30に集中照射する。さらに、照準を腫瘍30の動きに追従して制御することで、腫瘍30に動きが伴う場合であっても、正常組織への照射を極力抑えて、腫瘍30のみに集中してX線照射を行うことができる。照準を腫瘍30の動きに追従して制御する場合、X線照射を行っている間、探触子10により腫瘍30の検出を継続することが望ましい。この場合、図示しない医師あるいは検査者が探触子10を保持しているか、あるいは探触子10の固定装置を別途設けて探触子10を固定してもよい。医師あるいは検査者が保持してX線照射を行う際は、X線防護服を着用するなどの対策が必要である。また、図5では磁場発生器14がX線照射装置のベース部74に設置されているが、例えば室内の他の位置に固定配置するなど、使用状況に応じて設置場所を適宜選択してもよい。
【0040】
[実施形態2]図6には、本発明に係る超音波医療システムの第2の実施形態が示されており、図6はその全体構成を示す構成図である。図6に示す超音波医療システムは、大別すると、送受波器である3次元探触子(3次元エコーデータ取込用探触子)10、多関節ロボット80、超音波診断装置12、陽子線照射装置90、および、第1相対座標演算手段と第2相対座標演算手段と総合相対座標演算手段とを有するホストコントローラ20で構成されている。
【0041】
3次元探触子10および超音波診断装置12は、実施形態1(図1参照)に示したものと同じものを利用する。つまり、超音波診断装置12は、3次元探触子10を介して患者体内の3次元空間へ超音波28を送受波して、受波データを収集することでエコーデータを取得し、取得したエコーデータに基づいて形成される3次元超音波画像を画像表示部に表示する。また、取得されたエコーデータはホストコントローラ20へも出力される。
【0042】
多関節ロボット80は、3次元探触子10を保持して、患者体表の診断位置に移動するとともに、3次元探触子10の方向を変化させる。3次元探触子10は探触子取付部82に取り付けられ、駆動部84(a〜d)が駆動することで、3次元探触子10の位置や方向が変化する。駆動部84(a〜d)の内部には駆動用モータ(図示せず)が設けられており、各駆動用モータがアーム85(a〜d)を駆動している。各駆動用モータの動作はモータ制御部86により制御される。多関節ロボット80に保持される3次元探触子10は、患者体内の腫瘍を含む3次元空間内へ超音波28を送受波する。
【0043】
モータ制御部86は、ユーザ操作に基づいて、駆動部84(a〜d)内部の各駆動用モータを制御する。モータ制御部86は、腫瘍の動きに自動追従するように各駆動用モータを制御してもよい。また、探触子取付部82には圧力センサ(図示せず)が設けられており、3次元探触子10が患者体表に当接される際の患者体表への圧力を検出してモータ制御部86に出力している。これにより、モータ制御部86は患者体表への圧力を、例えば一定値に保つように、各駆動用モータを制御し、患者へ過剰な圧力がかかることを防止している。多関節ロボット80は、駆動部84(a〜d)の駆動状況を示すモータ駆動情報をホストコントローラ20へ出力する。
【0044】
ここで、多関節ロボット80から出力されるモータ駆動情報について説明する。多関節ロボット80の設置位置(例えば、多関節ロボット80の底部重心点)を測位原点とすると、駆動部84aは測位原点に対する固定位置に存在する。駆動部84aにはアーム85aの一方端が接続されており、駆動部84aはアーム85aを旋回運動あるいは上下運動させて、アーム85aの角度を設定する。アーム85aの他方端には駆動部84bが設けられている。したがって、駆動部84bの測位原点に対する位置は、アーム85aの長さおよび角度によって決定する。そこで、多関節ロボット80は、駆動部84aに対応するモータ駆動情報(アーム85aの角度データ)に基づいて、測位原点座標(Xr,Yr,Zr)から、測位原点に対する駆動部84bの位置座標(Xb,Yb,Zb)を導出する変換行列Taを出力する。
【0045】
駆動部84bにはアーム85bの一方端が接続されており、駆動部84bはアーム85bを上下運動させる。アーム85bの他方端には駆動部84cが設けられている。したがって、駆動部84cの駆動部84bに対する位置は、アーム85bの長さおよび角度によって決定する。そこで、多関節ロボット80は、駆動部84bに対応するモータ駆動情報(アーム85bの角度データ)に基づいて、駆動部84bの位置座標(Xb,Yb,Zb)から、測位原点に対する駆動部84cの位置座標(Xc,Yc,Zc)を導出する変換行列Tbを出力する。
【0046】
また、駆動部84dの駆動部84cに対する位置は、アーム85cの長さおよび角度によって決定する。そこで、多関節ロボット80は駆動部84cに対応するモータ駆動情報(アーム85cの角度データ)に基づいて、駆動部84cの位置座標(Xc,Yc,Zc)から、測位原点に対する駆動部84dの位置座標(Xd,Yd,Zd)を導出する変換行列Tcを出力する。さらに、駆動部84dが回転することで3次元探触子10が回転するため、多関節ロボット80は駆動部84dに対応するモータ駆動情報に基づいて、駆動部84dの位置座標(Xd,Yd,Zd)から、測位原点に対する3次元探触子10の原点位置座標(Xs,Ys,Zs)を導出する変換行列Tdを出力する。このように、3次元探触子10の保持状態を表す変換行列Ta,Tb,Tc,Tdが、ホストコントローラ20の探触子座標演算部52へ出力される。
【0047】
探触子座標演算部52は、多関節ロボット80から出力されるモータ駆動情報に基づいて、測位原点(多関節ロボット80の設置位置)に対する3次元探触子10の位置および方向を演算する。測位原点に対する3次元探触子10の位置座標(Xs,Ys,Zs)は次式で算出される。
【数4】


ここで、Ta,Tb,Tc,Tdは多関節ロボット80が出力するモータ駆動情報に基づいた変換行列であり、(Xr,Yr,Zr)は測位原点座標である。
【0048】
なお、3次元探触子10の方向は、駆動部84dの位置座標(Xd,Yd,Zd)と3次元探触子10の位置座標(Xs,Ys,Zs)とから算出できる。つまり、座標(Xs,Ys,Zs)および座標(Xd,Yd,Zd)の二点を結ぶ直線の方向として、3次元探触子10の方向を算出することができる。このようにして、探触子座標演算部52は、測位原点に対する3次元探触子10の位置および方向を演算する。
【0049】
ホストコントローラ20内の組織抽出部46、組織座標演算部48は、実施形態1(図1参照)に示したものと同様な動作を行う。つまり、組織抽出部46は、超音波診断装置12から出力される3次元空間内のエコーデータに基づいて腫瘍を抽出し、腫瘍に相当するエコーデータの相対座標を判定する。組織座標演算部48は、3次元探触子10を基準とした腫瘍の重心点の座標を演算する。
【0050】
総合組織座標演算部54は、組織座標演算部48から出力される3次元探触子10を原点とした腫瘍の重心点の座標情報と、探触子座標演算部52から出力される測位原点に対する3次元探触子10の位置情報および方向情報とに基づいて、陽子線照射装置90の原点に対する腫瘍の重心点の座標を演算する。ここで、総合組織座標演算部54における演算について説明する。
【0051】
図7は、総合組織座標演算部における演算を説明するための図である。陽子線照射の際の基準位置を陽子線照射装置90の原点位置92とし、3次元探触子の位置および方向を測定する際の測位原点を多関節ロボット80の底部重心点94とする。そして、原点位置(基準位置)92に対する底部重心点(測位原点)94の位置ベクトルを差分ベクトルa´96とする。探触子座標演算部(図6の符号52)から出力される座標情報は、底部重心点94に対する3次元探触子の原点位置64の相対位置ベクトルである測位ベクトル98であり、組織座標演算部48から出力される座標情報は、3次元探触子の原点位置64に対する腫瘍の位置68の相対位置ベクトルである超音波検出ベクトル(第1相対座標情報)72である。
【0052】
したがって、陽子線照射装置90の原点位置92を基準とした腫瘍の位置68の座標を示す総合ベクトル(総合相対座標情報)69を演算する場合、測位ベクトル98と差分ベクトルa´96とを加えて得られる探触子位置ベクトル(第2相対座標情報)71を算出して、算出した探触子位置ベクトル71と超音波検出ベクトル72とを加算する必要がある。多関節ロボット80および陽子線照射装置90は、既知の配置状態にあるため(例えば、ともに室内に固定配置される)、差分ベクトルa´96は既知ベクトルであり、従って、目標組織である腫瘍の位置68の計測の前に、あらかじめ差分ベクトルa´96を計測しておくことが可能である。
【0053】
図6に戻り、総合組織座標演算部54で算出された、基準位置に対する腫瘍の座標情報、例えば腫瘍の重心点の座標は、陽子線照射装置90に出力され、陽子線照射装置90は、腫瘍の重心点の座標に向けて陽子線を照射する。
【0054】
図8は、図6の超音波医療システムを利用した治療方法を示す図である。超音波診断装置12、多関節ロボット80およびホストコントローラ20については図6を利用して説明した動作を行い、基準位置に対する腫瘍30の位置情報が、ホストコントローラ20から陽子線照射装置90に出力される。陽子線照射装置90は腫瘍30の位置情報に基づき、アーム部104および照射部106を制御して陽子線102を、患者Mの内部にある腫瘍30に集中照射する。さらに陽子線照射装置90は、照準を腫瘍30の動きに追従して制御することで、腫瘍30に動きが伴う場合であっても、正常組織への照射を極力抑えて、腫瘍30のみに集中して陽子線照射を行うことができる。なお、図6および図8に示す例では基準位置を陽子線照射装置90の原点位置としたが、治療が行われる室内の所定位置を基準位置にするなど、使用状況に応じて基準位置を適宜選択してもよい。
【0055】
その他、本発明に係る超音波医療システムを利用した医療方法として、X線照射装置18や陽子線照射装置90に変えて、結石破壊装置を含むその他の放射線照射装置を利用することも可能である。もちろん、放射線以外の治療線を利用してもよい。また、穿刺針を目標組織に向け発射する穿刺装置等を利用した医療方法も考えられる。いずれの場合においても、ホストコントローラから出力される所望の基準位置を原点とした目標組織の位置情報に基づき、各種治療線の照射制御あるいは穿刺針発射制御を行う。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る超音波医療システムにより、組織位置に関する適切な情報を出力することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波医療システムの構成図である。
【図2】3次元空間内への超音波の送受波を示す図である。
【図3】本発明における各位置ベクトル間の関係を示す図である。
【図4】本発明における各座標系間の関係を示す図である。
【図5】本発明に係る超音波医療システムを利用した治療方法を示す図である。
【図6】本発明に係る超音波医療システムの構成図である。
【図7】本発明における各位置ベクトル間の関係を示す図である。
【図8】本発明に係る超音波医療システムを利用した治療方法を示す図である。
【符号の説明】
10 3次元探触子、12 超音波診断装置、14 磁場発生器、16 磁場検出器、18 X線照射装置、20 ホストコントローラ、28 超音波、30腫瘍、46 組織抽出部、48 組織座標演算部、50 磁場送受信制御部、52 探触子座標演算部、54 総合組織座標演算部、80 多関節ロボット、90 陽子線照射装置。
【出願人】 【識別番号】390029791
【氏名又は名称】アロカ株式会社
【住所又は居所】東京都三鷹市牟礼6丁目22番1号
【出願日】 平成15年3月7日(2003.3.7)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純

【公開番号】 特開2004−499(P2004−499A)
【公開日】 平成16年1月8日(2004.1.8)
【出願番号】 特願2003−61120(P2003−61120)