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【発明の名称】 粘着ロールクリーナ
【発明者】 【氏名】静野 聡仁
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【氏名】植松 武彦
【住所又は居所】栃木県芳賀郡市貝町赤羽2606 花王株式会社研究所内

【要約】 【課題】小径化しても、ダスト捕集性能や清掃持続面積を良好に維持でき、且つ隙間や部屋の隅を操作性よく清掃できるコンパクトな粘着ロールクリーナを提供すること。

【解決手段】一面が粘着面となっている粘着シート3を、その粘着面を外側に向けて巻芯上に巻回してなる粘着ロールクリーナ1において、前記粘着ロールクリーナ1は、使用中にわたり22〜40mmの範囲の外径Dが保たれるように前記粘着シート3が巻回されており、そのロール幅Wが180〜300mmであり、前記粘着シートの引き裂き強度が500mN以上である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一面が粘着面となっている粘着シートを、その粘着面を外側に向けて巻芯上に巻回してなる粘着ロールクリーナにおいて、前記粘着ロールクリーナは、使用中にわたり22〜40mmの範囲の外径が保たれるように前記粘着シートが巻回されており、そのロール幅が180〜300mmであり、前記粘着シートの引き裂き強度が500mN以上である粘着ロールクリーナ。
【請求項2】
前記粘着シートの粘着面の傾斜式ボールタックに基づく数値が11以上30以下の範囲である請求項1記載の粘着ロールクリーナ。
【請求項3】
粘着ロールを保持するローラ部と、該ローラ部を支持するアームと、該アームの後部から延出する把持部とを備え、前記ローラ部の径が20〜30mmで、幅が180〜300mmである清掃具における前記ローラ部に装着される粘着ロールとして用いられる請求項1又は2記載の粘着ロールクリーナ。
【請求項4】
フレームにロール状ブラシ体と駆動ロールとを並べて回動自在に支持し、該ブラシ体及び該駆動ロールの上にそれらに跨る粘着ロールを載せてなる清掃具における該粘着ロールとして用いられる請求項1又は2記載の粘着ロールクリーナ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、床やカーペットの清掃に用いられるロール式の粘着クリーナに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来汎用されている床やカーペットの清掃に用いられている粘着ロールクリーナは一般に最小径が40mm、最大径50〜60mm、ロール幅が160mm、巻回されている粘着シートの数が90〜100枚程度である(例えば特許文献1参照)。このような粘着ロールクリーナはそのロール外径が大きすぎるため、家庭での床掃除の際にアップライトピアノなどのキャスター付き家具や足元に隙間のある一部家具の下に入り難い。特に毛足の長いカーペット上では、これらの隙間は更に狭くなる。また入ったとしても、隙間内でうまく転がす事が容易でない。従って、何れの場合においても家具を移動させて清掃を行う必要があり部屋の隅々まで清掃するのが難しかった。
【0003】
このような不都合を解消するために粘着ロールを小径化することが考えられる。しかしその場合には、巻回されている粘着シート1周分(ロール表面分)の面積が減少して粘着シートの交換頻度が増加し、実使用に適さなくなってしまう。また、粘着ロールを小径化すると、小径ゆえに、捕集された髪の毛がロールに何回も巻きついて、粘着シートを剥がすときに髪の毛のところで破れてしまう問題もある。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−383号公報
【0005】
従って本発明は、小径化しても、ダスト捕集性能や清掃持続面積を良好に維持でき、且つ隙間や部屋の隅を操作性よく清掃できるコンパクトな粘着ロールクリーナを提供することを目的とする。
また本発明は、粘着シートを剥がすときに、該粘着シートがそれに巻き付いている髪の毛等の繊維状のごみによって破れることが防止された粘着ロールクリーナを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一面が粘着面となっている粘着シートを、その粘着面を外側に向けて巻芯上に巻回してなる粘着ロールクリーナにおいて、前記粘着ロールクリーナは、使用中にわたり22〜40mmの範囲の外径が保たれるように前記粘着シートが巻回されており、そのロール幅が180〜300mmであり、前記粘着シートの引き裂き強度が500mN以上である粘着ロールクリーナを提供することにより前記目的を達成したものである。特に、ロール表面の粘着力を後述する範囲に設定することで、従来にない小径ロールでも十分な清掃性能を達成することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明の粘着ロールクリーナ(以下、単にロールクリーナともいう)の一実施形態の斜視図が示されている。本実施形態の粘着ロールクリーナ1は、円筒状の巻芯2上に長尺帯状の粘着シート3が巻回されて構成されている、いわゆるレコード巻きのものである。粘着シート3は、その一面の全体に亘って粘着剤が塗布されており該面が粘着面となっている。粘着シート3の他面には、粘着剤に対する剥離処理が施されている。粘着シート3は、その粘着面が外側を向くように巻芯2上に巻回されている。粘着シート3には、その幅方向に全長に亘ってミシン目が入っており、ミシン目は、粘着シート3の長手方向に所定間隔を置いて入れられている。ミシン目に代えて、粘着シートを切り取るための切り欠きを側縁部に設けてもよい。
【0008】
ロールクリーナ1はその全幅に亘り、前記粘着面からなる粘着部を有している。そしてロールクリーナ1を清掃対象面に接触させて回転させることで、清掃対象面に存する埃を粘着部に転写させて除去する。埃の多量付着によって粘着部の粘着力が低下すると、最外粘着シート2をミシン目に沿って剥離し新たな粘着部を表出させる。従って、ロールクリーナ1はその使用中に亘りその外径が次第に小さくなっていく。本発明においては、ロールクリーナ1の使用中に亘ってその外径D(図1参照)が22〜40mmの範囲を保つように、好ましくは23〜38mmの範囲を保つように粘着シート3を巻回しておく。つまり、ロールクリーナ1の使用開始時から、粘着シート3を使い切るまでの間におけるロールクリーナ1の外径Dが前記範囲内を保つように、粘着シート3を巻回しておく。前記外径Dの範囲は通常のロールクリーナよりも小さい値であることに留意すべきである。
【0009】
更に、本発明においてはロールクリーナ1のロール幅W(図1参照)を、180〜300mm、好ましくは190〜250mmとしている。同図に示すように、本実施形態においてはロール幅Wは粘着部の幅に等しくなっている。つまり本実施形態においては粘着部の幅も180〜300mm、好ましくは190〜250mmとなっている。この粘着部の幅は、通常の粘着ロールクリーナの粘着部の幅よりも大きな値であることに留意すべきである。
【0010】
本実施形態においては図1に示すように、粘着部はロール幅の全域にわたって形成されていてもよいが、これに代えてロールクリーナ1の両サイドに各3〜6mmの粘着剤未塗工部が形成されるように粘着部が形成されてもよい。未塗工部には汚れが付着しないことから、該未塗工部を指で摘めば手を汚すことなく使用済みの粘着シートを剥がすことができる。
【0011】
また本実施形態においては図1に示すように、粘着部が粘着シート3の全域にわたって均一に形成されているが、これに代えてロール幅方向に延びる1〜3mm幅の粘着剤未塗工部又は低粘着部と高粘着部とが巻回方向に交互に配置されるように粘着剤がパターン塗工されていてもよい。このようなパターン塗工にすると、部分的には捕集性に優れた高粘着部を有しながら、ロールクリーナ1全体の粘着力を低減できるので、清掃対象面にロールクリーナ1が強く付着することによる操作性低下を抑制することができる。
【0012】
前記範囲内の外径Dと前記範囲内のロール幅Wとを組み合わせることで、ダスト捕集性能や清掃持続面積を良好に維持でき、且つ隙間や部屋の隅を操作性よく清掃できるコンパクトなロールクリーナとなる。二つの範囲の何れかが満たされないと、本発明の目的は達成し得ない。詳細には、ロールクリーナ1の外径Dが40mmを超えた場合やロール幅Wが300mmを超えた場合には、隙間や部屋の隅などの狭い場所の清掃が行いにくくなる。外径Dが22mm未満の場合ダスト捕集性能や清掃持続面積が低下して効率的に清掃を行えない。またロール幅Wが180mm未満の場合には、ロール径を大きくしないとダスト捕集性能が十分に発揮されず、また粘着シートの交換回数(切り取り回数)が多くなる。
【0013】
ロールクリーナ1の外径及び幅Wはノギスを用いて測定される。このとき、ノギスでロールクリーナ1を挟み込むとき、ロールクリーナ1が変形しないように気を付ける。
【0014】
前述の通りロール幅Wの範囲は通常のロールクリーナよりも大きい値となっている。従って、長い髪の毛などがロールクリーナ1の周方向に沿って付着している状態で粘着部の更新のために粘着シート3を引き剥がすとき、当該毛によって粘着シート3が引き裂かれることが、ロール幅Wが狭い場合に比べて起こり易くなる。また、ロールクリーナ1の外径を小さくすると、従来の大径ロールと比較して、特に髪の毛等の糸状ダストがロールに何重にも巻き付き易くなり、粘着シート3を剥がす時に糸状ダストのところで破けてしまい、うまく剥がせなくなる。これらを防止するために、粘着シート3は、エルメンドルフ型引裂試験機を用いJIS P8116に準じて測定された引き裂き強度を500mN以上となし、好ましくは600mN以上、更に好ましくは800mN以上となす。前記引き裂き強度は、特に、粘着シート3の長手方向において前記の値以上であると、付着した毛による粘着シート3の引き裂きが効果的に防止される。引き裂き強度の上限値に特に制限は無く、その値が高いほど、付着した毛による粘着シート3の引き裂きが防止される。しかし、粘着ロールクリーナ1の製造経費などを考慮すると、引き裂き強度の上限値は100N程度であることが好ましい。
【0015】
粘着シート3のエルメンドルフ引き裂き強度の具体的な測定方法は次の通りである。
(a)測定試料の作成及び測定方法
引き裂き強度は、JIS P8116(ISO1974)に準じて測定を行う。本測定では粘着シートの長さ方向(MD方向)の引き裂き強度を測定することを目的としており、幅方向(CD方向)75mm、長さ方向(MD方向)63mmの試験片を切り出し、エルメンドルフ引裂測定試験機の有効測定値範囲におさまるように複数枚重ねて測定を行う(本試験において測定範囲はエルメンドルフ引裂試験機の目盛りで0gf〜100gf、望ましくは25gf〜100gf)。重ね方は粘着面と剥離面が合わさるようにする。このときに粘着面と剥離面が貼りついてしまうことがある。JIS P8116では、試験片を重ね合わせる際に試験片は互いに分離して付着していてはならない、と規定しているので重ね合わせる際に粘着剤の粘着力を消去して前処理する必要がある。この前処理の手段として、粘着シートの粘着剤塗工面に信越化学(株)製のシリコーンパウダー(KMP590、Lot.712180)を30mm幅の刷毛を用いて一様に塗工する。刷毛を用いることでシリコーンパウダーを塗工する際に生じる表面凹凸をある程度抑制することができる。塗工するシリコーンパウダーの量は粘着シートの粘着面のタック性が指で感じられなくなる程度にする。この前処理は前述したように粘着シートの粘着面の粘着力消去が目的であり、特に前処理に用いたパウダーについては別の市販品のものでもよい。重ねた試験片の長さ方向(MD方向)が縦方向、幅方向(CD方向)が横方向になるようにエルメンドルフ引裂試験機の冶具に固定する。固定した試験片に対し、横方向(幅(CD)方向)中央部の下端より縦方向(長さ(MD)方向)に上方に向かって20mmの切込みを、エルメンドルフ引裂試験機に備えられたカッターを用いて入れる。次に、JIS P8116に準じてエルメンドルフ引裂試験機を作動させ、試験片が縦方向(長さ(MD)方向)に完全に引裂かれたことを確認し、引裂きに要した荷重(gf)を目盛りより読み取る。再現性を確認するために同じ測定を1種類の試料に対して4回行う。
【0016】
(b)データの解析方法
測定データは、JIS P8116に準じ、引き裂き強度値は試験片を16枚に重ねて測定したときの値に換算する。本発明で用いたエルメンドルフ引き裂き強度試験機においては次式を用いて、引き裂き強度値を算出する。
F(mN)=W(gf)/n×16×g(m/s) (1)
F:引き裂き強度(mN)
W(gf):エルメンドルフ引裂試験機の目盛りで読み取った荷重
n:試験片の重ね枚数
g:重力加速度(=9.8(m/s))
最終的な引き裂き強度値は4回の測定値の平均値とする。尚、上記に述べたように引き裂き強度値は試験片を16枚重ねて測定したときの値に換算しているので、試験片の重ね枚数が異なることは引き裂き強度値に関係しないと考えられる。
【0017】
JIS P8116では引き裂き強度の測定に用いられる試料の幅を63mmと規定しているが、実際の試料の幅が63mmに満たないときは、実際の引き裂き幅から換算して強度を求める。具体的には、JIS P8116では幅63mmの試料に切り込みを20mm入れ、引き裂き幅を43mmにすると規定している。これに対して、例えば実際の試料の幅が50mmである場合には、切り込みの長さ20mmを除いた実際の引き裂き幅は30mmとなり、JIS P8116の引き裂き強度の定義から、この30mmでの引き裂き強度の測定値を43/30倍することにより引き裂き強度を求めることができる。
【0018】
前記引き裂き強度を前述した値以上とするには、例えば粘着シート3を構成する基材シート及び粘着剤の材質や坪量などを適切に選択すればよい。基材シートに関しては、例えば紙、ポリエステルやポリプロピレンなどのプラスチックフィルム、不織布など各種のシート材を用いることができる。これらのうち、粘着剤の塗布の作業性、粘着シート3を巻回させるときの作業性、製造経費などを考慮すると、紙を用いることが好ましい。紙としては、グラシン紙、純白紙、クラフト紙などが使用できる。
【0019】
紙の引き裂き強度を高くする方法としては、(1)シートの破断に関与する繊維の総数を増やす、(2)パルプの種類(繊維の長さ、太さなど)を選択するなどの方法が挙げられる。(1)シートの破断に関与する繊維の総数は紙の坪量とシートの柔軟性とによって決まり、高坪量な紙ほど、あるいは柔軟な紙ほどシートの破断に関与する繊維の総数は高くなり、引き裂き強度が高くなる。紙の柔軟性を上げる方法としてはクルパック加工やクレープ加工などがある。(2)パルプの種類としては繊維長が長いパルプ、繊維径が太いパルプ、繊維壁が著しく厚いパルプなどを用いた紙ほど引き裂き強度は高くなる。紙を引き裂く時の仕事には紙から繊維を引き抜くのに必要な仕事と、繊維を破断するのに必要な仕事の2つが含まれる、繊維の破断に要する仕事に比べて繊維の引き抜きに要する仕事の方が遙かに大きい。従って、パルプとして繊維長が長い針葉樹パルプを用いることが好ましい。針葉樹パルプの中でも、より繊維長が長いパルプの種類を選択することで引き裂き強度をより高めることができる。また別法として、木材パルプにガラス繊維などの他の繊維を混ぜて抄紙したり、合成ゴムのような弾性ポリマーを添加することによっても引き裂き強度を向上させることができる。一方で、繊維長の長いパルプを用いたり、坪量を高くすると、紙の剛性が高くなり、小径に巻回しにくくなる。これらを考慮すると、基材シートとして用いられる紙は、特に巻回方向(粘着シートの長手方向)に屈曲性のある紙であることが好ましい。そのような紙としては前述のクルパック加工された伸張性のある伸張紙などが挙げられる。基材シートとして用いられる紙は、その坪量が40〜200g/m、特に50〜100g/mであることが好ましい。
【0020】
紙の引き裂き強度を高くする別法として、合成樹脂を紙にラミネートしたり、合成樹脂のフィルムを紙に貼り合わせる方法も挙げられる。この場合には、ラミネートの厚さやフィルムの厚さを大き目(例えば25μm以上)にしたり、或いは使用する樹脂の種類を適切に選定するなどの配慮が必要である。
【0021】
粘着シート3はその粘着面の傾斜式ボールタック(JIS Z0237−2000)に基づく数値が11以上30以下、特に12以上25以下、とりわけ14以上25以下であることが好ましい。これによって、埃を付着保持する力が十分に大きくなり、少量の埃の付着で粘着力が低下してしまうという不都合が解消される。特に、粘着シート3をある程度使用して埃が付着した状態となると、髪の毛等のダストを急激に捕集しなくなることから、前述の数値を11以上とすることが好ましい。従って、ロールクリーナ1の外径を小さくすることに起因して粘着シート一周分の面積が減少しても、清掃可能な床面積(清掃力持続面積)を十分に確保できる。また、粘着力が大きくなり過ぎることに起因するロールクリーナ1の操作性の低下を防止することができる。特に前記数値が30を超えると、後述する図2に示す直接接触タイプの清掃具にロールクリーナ1を装着して使用する場合に、カーペットパイルをむしりとってカーペットを傷める場合があり、また図3及び図4に示す間接接触タイプの清掃具に装着して使用する場合に、ロールクリーナ1が手にまとわりついたり、操作性が劣る場合がある。
【0022】
傾斜式ボールタックに基づく数値は、日本工業規格(JIS)のZ0237における粘着テープ・粘着シート試験方法に規定されている。測定方法は次の通りである。試験装置として球転装置を用いる。球転装置の傾斜板上に試験片として粘着シート3をその粘着面を上にして設置する。粘着シートの粘着面上において、JIS G4805に規定された材質で、JIS B1501に規定された“ボールの呼び”に基づく大きさのボールの1/16から1までの大きさのもののうち、5/64、7/64、9/64、15/64、及び17/64を除いた合計31種類のボールを、順次大きさを換えて角度30度で転がす。そして、傾斜板上における粘着シート上である測定領域内に停止するボールのうち最大のものを見い出す。同じ試験片を見出した最大のボールと、その前後の大きさのボール、計3個のボールを1回ずつ計3回転がし、見出したボールが測定規定に当てはまる最大のボールであることを確認する。そして、前記“ボールの呼び”の32倍の数値をボールナンバーといい、測定結果は見出した最大のボールのナンバーをもって表す。3枚の試験片の平均値を求め、そのボールナンバーをJIS Z0237に規定された傾斜式ボールタックに基づく数値とする。
【0023】
傾斜式ボールタックに基づく数値を前記範囲内とするためには、粘着シート3に塗布される粘着剤の種類や塗布量を適宜調整すればよい。粘着剤としては、ホットメルト系粘着剤、溶剤系粘着剤、水系粘着剤などを用いることが好ましい。ホットメルト系粘着剤としては、スチレン系やオレフィン系の粘着剤等が挙げられる。溶剤系粘着剤としては、スチレン系、オレフィン系、アクリル系の粘着剤等が挙げられる。水系粘着剤としてはアクリル系の粘着剤等が挙げられる。特に、スチレン系のホットメルト系粘着剤を用いると、傾斜式ボールタックに基づく数値を容易に前記範囲内とすることができる。
【0024】
前記ホットメルト系粘着剤は、ベースポリマー、粘着付与剤成分、軟化剤成分及び酸化防止剤を更に含有していることが好ましい。ベースポリマーとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン・エチレン・プロピレン・スチレンブロック共重合体(SEPS)等が挙げられ、粘着付与剤成分及び軟化剤成分の合計量を100重量部としたとき、10〜100重量部の範囲で用いられる。
【0025】
粘着付与剤成分としては、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂、ジシクロペンタジエン系石油樹脂、ロジン系石油樹脂、ポリテルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂等が挙げられ、粘着付与剤成分及び軟化剤成分の合計量100重量部中、50〜90重量部の範囲で用いられる。
【0026】
軟化剤成分としては、軟化点が10℃以下で平均分子量が200〜700のプロセスオイル、鉱油、各種可塑剤、ポリブテン及び液状粘着付与樹脂等が好ましく挙げられ、粘着付与剤成分及び軟化剤成分の合計量100重量部中、10〜50重量部の範囲で用いられる。
【0027】
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ペンズイミダゾール系酸化防止剤等が用いられ、粘着付与剤成分及び軟化剤成分の合計量を100重量部としたとき、0.5〜3重量部の範囲で用いられる。
【0028】
また、これらの成分の他、通常粘着剤に用いられる成分を適宜添加することもできる。
【0029】
粘着剤の塗布量は、15〜50g/m、特に25〜40g/mであることが、傾斜式ボールタックに基づく数値を容易に前記範囲内とし得る点から好ましい。また粘着剤がロール端部からはみ出すこと、特に30℃以上の高温で長期保存した場合に粘着剤がはみ出すことを防止し得る点から好ましい。
【0030】
粘着シート3の粘着面の背面にはシリコーン系剥離剤を塗布することが好ましい。この場合、基材シートの種類に応じ、目止めとして低密度ポリエチレンによってラミネートを行ない、その上に剥離剤を塗布することが好ましい。
【0031】
本発明に用いられる巻芯の径は、ロールクリーナ1の外径Dが前述した範囲を逸脱しないように適宜設定する。
【0032】
本実施形態のロールクリーナ1は、例えば図2に示すような、従来の片持ち式の清掃具に装着して使用することができる。この場合には、ロールクリーナ1の粘着部は清掃対象面と直接的に接触する。この清掃具5は、ロールクリーナ1を保持するローラ部6と、該ローラ部6を支持するアーム7と、該アーム7の後部から延出する把持部8とを備えている。ローラ部6の径は20〜30mm、特に20〜26mmであることが、ロールクリーナ1の外径に関する前述の範囲の数値との関係に鑑みて好ましい。またローラ部6の幅は180〜300mm、特に190〜250mmであることが、隙間や部屋の隅を操作性よく清掃できる点から好ましい。
【0033】
本実施形態のロールクリーナ1は、前述の通り隙間や部屋の隅の清掃に好適なものであるが、勿論通常の床清掃にも用いることができる。その場合には、図3及び図4に示すような清掃具に装着して使用することが好ましい。この清掃具を用いる場合には、ロールクリーナ1の粘着部は清掃対象面と間接的に接触する。図3及び図4に示す清掃具10は、フレーム15にロール状ブラシ体16と駆動ロール18とを並べて回動自在に支持し、該ブラシ体16及び該駆動ロール18の上にそれらに跨る粘着ロール21を載せてなるものであり、該粘着ロール21として本実施形態のロールクリーナが用いられる。以下、この清掃具について説明する。
【0034】
清掃具10は、柄11の先端部に継手部12を介して支持アーム13を左右方向に揺動自在に結合し、支持アーム13の両側アーム部13Aに支軸部14を介してフレーム15を前後方向に揺動自在に支持している。
【0035】
フレーム15の前部にはロール状ブラシ体16が回転軸17を介して回動自在に支持され、フレーム15の後部には駆動ロール18が回転軸19を介して回動自在に支持され、ブラシ体16と駆動ロール18とは平行に並べられて配置される。ブラシ体16は、ブラシ部16Aとタイヤ部16Bからなり、ブラシ部16Aのブラシ径をタイヤ部16Bのタイヤ径より大きくしている。駆動ロール18は、表面を弾性体により形成され、例えばシリコンロールにて構成される。駆動ロール18には、その表面にリブを設けてもよい。
【0036】
ブラシ体16と駆動ロール18との上には、それらに跨る粘着ロール21が乗せられ、粘着ロール21はブラシ体と駆動ロール18との回転に連れ回る。フレーム15の上部は粘着ロール21の出し入れ口とされ、取り外し可能な透明カバー22によって被覆される。
【0037】
フレーム15におけるブラシ体16の後部には塵取部23が支持されている。塵取部23は、床面に接する底面部23Aと、ブラシ体16に隙間無く(又は隙間を介して)相対する曲面状(又は平面状)のすくい面部23Bとを有し、両側の板状支軸部23Cをフレーム15の両側の鉛直方向に対して後屈する斜め状の矩形孔24に上下動可能に支持されている。塵取部23は、支軸部23Cを矩形孔24に対し上下動し、自重によって底面部23Aとすくい面部23Bの最下端部を床面に隙間無く接し、ブラシ体16のブラシ部16Aが掻き上げるダストを床面に沿う後方に逃すことなく、そのすべてのダストをすくい面部23Bによって粘着ロール21の側にガイドする。
【0038】
清掃具10による清掃動作は次の通りである。(1)先ず柄11の軸方向に加える操作力によって清掃具10を前進させ、ブラシ体16のタイヤ部16B及び接触ロール18を回動させ、同時に粘着ロールクリーナ21を連れ回り回転させる。(2)ブラシ体16のブラシ部16Aが床面上のダストを掻き上げると、ダストは塵取部23にガイドされて粘着ロール21の側に送り出され、粘着ロール21の粘着面に付着される。(3)粘着ロール21の粘着面に付着されたダストは、粘着ロールクリーナ21の回動と共に駆動ロール18の側に移動し、駆動ロール18によって粘着ロール21の粘着面に押しつけられて固定化される。(4)透明カバー22を通して、粘着ロール21の粘着面の全周に多量のダストが付着されたことが視認されたら、カバー22を開いて粘着ロール21を取り出し、最表層の粘着シートを剥がして粘着面を更新した後、粘着ロール21を再びブラシ体16と駆動ロール18との上に乗せ置き、カバー22を閉じる。尚、清掃具10は前進だけでなく後進もでき、後進時には駆動ロール18に付着した床面上のダストを粘着ロール21によって取り除ける。塵取部23は、底面部23Aの尾端部をアール状に跳ね上げ、後進時にこの尾端部が床面に引っかかるのを防止する。
【0039】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば前記実施形態のロールクリーナはいわゆるレコード巻きのものであったが、これに代えて図5に示すような、一面が粘着面となっている帯状の粘着シート3’をその粘着面を外側に向けて巻芯2’上に螺旋状に巻回させてなる粘着ロールクリーナ1’となしてもよい。このロールクリーナ1’においては、粘着シート3’は、その両側部が所定幅で重ね合わされた重ね合わせ部4’が形成されるように、巻芯2’の上に巻回されている。重ね合わせ部4’が形成されることで、粘着シート3’の側縁部に段差ができるので、粘着シート3’を剥がして粘着面を更新する際に該粘着シート3’の先端部Tを摘んで引き上げる操作が容易に行える。
【0040】
また図1に示すロールクリーナに代えて、図示していないが、1巻ごとの粘着シートが予め独立している枚葉の粘着シートを巻芯上にそれぞれ巻回し多層に積層してなる粘着ロールクリーナとなしてもよい。
【0041】
〔実施例1〕
晒しクラフト伸張紙(王子製紙製,坪量75g/m)にポリエチレンラミネート(15μm)を行い、その上にシリコーン系剥離剤を塗布し剥離層を形成して基材シートを得た。該基材シートにおける剥離面と反対側の面にスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体系ホットメルト粘着剤を14g/mの坪量で塗布して粘着面を形成し片面粘着シートを得た。この粘着シートは、幅195mmの長尺帯状のものであった。この粘着シートを、内径25.4mm(1インチ)、厚み1.4mmの紙管(つまり外径28.2mm)に、その粘着面が外側になるように巻回して、外径35mm、幅195mmの粘着ロールクリーナを得た。
【0042】
〔実施例2及び3〕
スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体系ホットメルト粘着剤の塗布量をそれぞれ23g/m及び32g/mとする以外は実施例1と同様にして外径35mm、幅195mmの粘着ロールクリーナをそれぞれ得た。
【0043】
〔実施例4〕
晒しクラフト紙(中越パルプ工業製,坪量50g/m)にポリエチレンラミネート(15μm)を行い、その上にシリコーン系剥離剤を塗布し剥離層を形成して基材シートを得た。該基材シートにおける剥離面と反対側の面にスチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体系ホットメルト粘着剤を37g/mの坪量で塗布して粘着面を形成し片面粘着シートを得た。これ以外は実施例1と同様にして外径35mm、幅195mmの粘着ロールクリーナを得た。
【0044】
〔比較例1〕
市販粘着ロールクリーナ(ニトムズ製、商品名:コロコロ)を商品仕様を変えずに用いた。
【0045】
〔比較例2〕
市販粘着ロールクリーナ(ニトムズ製、商品名:コロコロ)から粘着シートを繰り出し、外径35mm、幅160mmの粘着ロールクリーナを得た。
【0046】
〔比較例3〕
市販粘着ロールクリーナ(積水ライフテック製、商品名:ミセスロール)を商品仕様を変えずに用いた。
【0047】
〔比較例4〕
市販粘着ロールクリーナ(積水ライフテック製、商品名:ミセスロール)から粘着シートを繰り出し、外径35mm、幅160mmの粘着ロールクリーナを得た。
【0048】
〔性能評価〕
実施例及び比較例で得られた粘着ロールクリーナについて、外径D及び幅W、粘着面の傾斜式ボールタックに基づく数値、粘着シートのエルメンドルフ引き裂き強度(長手方向)を前述の方法で測定した。結果を以下の表1に示す。また以下の方法で隙間清掃性及び粘着シートの剥がし易さを評価した。更に以下の方法で髪の毛の捕集性を測定した。これらの結果も表1に示す。
【0049】
〔隙間清掃性〕
キャスター付ホワイトボード(松下電器産業、松下電送システム製造の電子黒板(Panaboard)UB−1280)をカーペット(市販のカットパイルカーペット〔サンゲツ製サンハーモニー(商品名)、繊維:アクリル85%、ナイロン15%、パイル長:8mm、密度:ゲージ1/10、ステッチ14.5〕)上に置き、カーペットとキャスターとの間の隙間を清掃した。詳細には、ロールクリーナを図2に示す清掃具に装着させ、ロールクリーナをカーペットに直接接触させながらキャスター(キャスター高さ50mm)とカーペットとの間(図6参照:高さ約43mm)を清掃できるかを以下の基準で評価した。この際、ロールクリーナの外径は表1記載の通りであった。市販粘着ロールについては上紙を剥離した最初の状態で評価した。
○:キャスターとカーペットとの間を通り抜けることができ、且つキャスター下のカーペットをスムーズに清掃できる。
×:キャスターとカーペットとの間を通り抜けることができず、キャスター下のカーペットをスムーズに清掃できない。
【0050】
〔髪の毛の捕集性〕
A)粘着面にモデル汚れの付着が無い場合、B)粘着面にモデル汚れが付着している場合の2つの状態における髪の毛の捕集性を測定した。測定は、ロールクリーナを図2に示す清掃具(直接接触タイプ)に装着させた場合と、図3及び図4に示す清掃具(間接接触タイプ)に装着させた場合とで行った。
【0051】
A)の場合
回転ブラシ付きの掃除機を用い、カーペットモードでカーペット(市販のカットパイルカーペット〔サンゲツ製サンハーモニー(商品名)、繊維:アクリル85%、ナイロン15%、パイル長:8mm、密度:ゲージ1/10、ステッチ14.5〕)上を清掃する。これによって50cm×50cmの清掃対象面を作る。次に、長さ10cmの髪の毛10本を清掃対象面上に均一に散布する。ロールクリーナを清掃具に装着し、清掃対象面上をこの清掃具で5往復させる。その後、ロールクリーナに付着した髪の毛の本数を数え、次式から捕集性(%)を求める。この操作を3回行ない、その平均値を髪の毛の捕集性とする。
捕集性(%)=髪の毛付着本数/髪の毛散布本数×100
【0052】
B)の場合
モデル汚れとして、アクリル繊維(繊維径20〜25μm)100%の毛糸を1〜2mmにカットしてほぐしたものを用いる。このモデル汚れをロールクリーナの表面に0.065g均一に散布する。この状態下に前記A)の測定を行なう。
【0053】
〔髪の毛が付着した状態での粘着シートの剥がし易さ〕
粘着ロールの周方向に沿って10cmの髪の毛(直径70〜100μm、直毛)を巻き付けた(図7参照)。髪の毛は20〜30mm間隔で5本巻き付けた。粘着ロールを24φ軸又は37φ軸の片持ち式の清掃具(図4参照)に装着して、前記カーペット上で5往復回転させることにより髪の毛を粘着シートに付着させた。ロール幅方向の左右何れかの端部を指で摘み上げて粘着シートを剥がした。粘着シートの剥がし易さを下記の基準で評価した。
○:粘着シートは切れることなく簡単に剥がせる。
×:粘着シートは髪の毛によって引き裂かれ、容易に剥がせない。
【0054】
【表1】


【0055】
表1に示す結果から明らかなように、実施例のロールクリーナ(本発明品)は比較例のロールクリーナに比べて、隙間清掃性に優れていることが判る。また髪の毛の捕集性も高いことが判る。更に、髪の毛が付着した状態で粘着シートを剥がしても、それに破れが生じないことが判る。
【0056】
【発明の効果】
本発明の粘着ロールクリーナは、コンパクトであるにもかかわらず、ダスト捕集性能や清掃持続面積を良好に維持でき、キャスター付き家具等の下の隙間や、部屋の床と壁とが接する角部にたまった埃を操作性よく清掃できる。特に、粘着シートのエルメンドルフ引き裂き強度を特定の範囲にすることで、粘着面の更新のために粘着シートを引き剥がすとき、該粘着シートが、粘着面に巻き付いている髪の毛などで引き裂かれることを防止できる。また、粘着面の傾斜式ボールタックに基づく数値を特定の範囲にすることで、ロールクリーナの外径を小さくして粘着面の面積を少なくしても、埃の捕集量を多くでき、また清掃持続面積を大きくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着ロールクリーナの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1に示す粘着ロールクリーナの一使用形態を示す斜視図である。
【図3】図1に示す粘着ロールクリーナの別の使用形態を示す斜視図である。
【図4】図3の側断面図である。
【図5】本発明の粘着ロールクリーナの他の実施形態を示す斜視図である。
【図6】隙間清掃性の評価方法の実施態様を示す概要図である。
【図7】粘着シートの剥がし易さの評価方法の実施に用いるロールクリーナの態様を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 粘着ロールクリーナ
2 巻芯
3 粘着シート
【出願人】 【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
【住所又は居所】東京都中央区日本橋茅場町1丁目14番10号
【出願日】 平成15年2月20日(2003.2.20)
【代理人】 【識別番号】100076532
【弁理士】
【氏名又は名称】羽鳥 修

【識別番号】100101292
【弁理士】
【氏名又は名称】松嶋 善之

【公開番号】 特開2004−237023(P2004−237023A)
【公開日】 平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願番号】 特願2003−43273(P2003−43273)