| 【発明の名称】 |
まな板及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】長崎 功 【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号 住友ベークライト株式会社内
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| 【要約】 |
【課題】高温殺菌・滅菌時に反り等の変形を起こさず、使用感も良好なポリエチレン製まな板、及び、その製造方法を提供する。
【解決手段】本発明に係るまな板は、HDPE及び/又はLLDPEを10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂からなる中間層の両面に、LDPEを含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層を積層してなることを特徴とする。このまな板は、共押出又は押出ラミネーション法により製造することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高密度ポリエチレン(HDPE)及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂からなる中間層の両面に、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層を積層してなることを特徴とするまな板。 【請求項2】 前記表皮層は、LDPEを60〜95質量%含有するポリエチレン樹脂からなる、請求項1に記載のまな板。 【請求項3】 まな板の総厚み(T)に対する個々の表皮層の厚み(t)の比が、0.1≦t/T≦0.3である、請求項1又は2に記載のまな板。 【請求項4】 高密度ポリエチレン(HDPE)及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂からなる中間層の両面に、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層を共押出又は押出ラミネーション法により積層することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のまな板の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、調理用まな板に関し、家庭、給食所、学校、保育所、外食産業その他で使用されるまな板の改良に関する。 【0002】 【従来の技術】 従来、調理用まな板として、木製やポリエチレンなどの合成樹脂製のまな板が広く用いられている。一般家庭用まな板、及び、外食産業や給食所、学校、保育所などの業務用まな板のいずれも、食肉、野菜、魚類などあらゆる食材の調理に使用され、匂いや雑菌の付着があるため、殺菌・減菌処理が必要である。 【0003】 従来は、薬液殺菌が主流であったが、最近のO−157対策などにより高温殺菌に移行しつつあり、熱風や熱湯等による高温に耐えるまな板の必要性が高くなってきた。 【0004】 しかし、従来の低密度ポリエチレンからなるまな板は、高温に耐えきれず反り、ゆがみ等の変形が発生し、使用上の支障となっている。高温殺菌・減菌時の変形を解決するために、合成樹脂の芯材として木材を内蔵した変形防止まな板が市販されているが、高温殺菌・滅菌による接着部の剥がれ等により反りや水浸入によるカビ発生などの不具合があった。また、加工に多大の工数が必要であるという欠点もあった。 【0005】 また、低密度ポリエチレンのまな板は、包丁により浅い切れ目が容易に入るため、ササクレ、毛羽立ち、削れが発生し、食品への混入や表面のへこみの原因となっている。低密度ポリエチレンよりも硬いポリプロピレン製のシート状まな板が市販されているが、包丁の刃先がポリプロピレンシートの硬い表面に当る感触が強いために使用感が悪く、作業時間が長くなると疲労感を招くため、特に業務用まな板としては不向きであり、主にアウトドア用途に限定されている。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、高温殺菌・滅菌時に反り等の変形を起こさず、使用感も良好なポリエチレン製まな板、及び、その製造方法を提供することを目的とする。 【0007】 【課題を解決するための手段】 本発明により提供されるまな板は、高密度ポリエチレン(HDPE)及び/又は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂からなる中間層の両面に、低密度ポリエチレン(LDPE)を含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層を積層してなることを特徴とする。 【0008】 HDPE及び/又はLLDPEの合計が10〜90質量%のポリエチレン樹脂からなる中間層をまな板の芯材とすることにより、高温殺菌・滅菌処理を行っても反りやゆがみ等の熱変形が発生しにくく、また、従来のポリエチレン製まな板と同様の切れ味と使用感が得られる。 【0009】 前記表皮層は、LDPEを60〜95質量%含有するポリエチレン樹脂で形成する場合には、優れた切れ味と使用感が失われずに、表面に適度な硬さと耐熱溶融性がさらに付与されるので、ササクレ等の表面損傷や高温殺菌・滅菌処理時の熱溶融を防ぐことができる。 【0010】 まな板の総厚み(T)に対する個々の表皮層の厚み(t)の比を0.1≦t/T≦0.3とする場合には、表皮層の耐熱性に優れるので、高温殺菌・滅菌処理時の溶融を防止する効果が高いと共に、中間層の耐熱性に優れるので、高温殺菌・滅菌処理時の熱変形を防止する効果が高い。 【0011】 本発明により提供されるまな板の製造方法は、HDPE及び/又はLLDPEを10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂からなる中間層の両面に、LDPEを含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層を共押出又は押出ラミネーション法により積層することを特徴とする。この方法によれば、中間層の両面に表皮層を効率良く積層することができる。 【0012】 【発明の実施の形態】 図1に、本発明に係るまな板の一例(101)について、断面を模式的に示す。まな板101は、中間層1の両面に、表皮層2(第一表皮層2a及び第二表皮層2b)を積層した多層構造である。まな板101の大きさ、厚み、形状等は従来のまな板と同様でよいが、特に限定されない。 【0013】 中間層1、表皮層2a、2bは、いずれもポリエチレン樹脂で形成される。本発明においてポリエチレン樹脂とは、低密度ポリエチレン(以下において「LDPE」という)、直鎖状低密度ポリエチレン(以下において「LLDPE」という)又は高密度ポリエチレン(以下において「HDPE」という)のうちの一種以上を含有する単独又は混合ポリエチレンであり、本発明の目的に反しない限り、ポリエチレン以外の樹脂、抗菌剤、着色剤等の他の成分を含んでいても良い。LDPEは通常0.91〜0.94(単位:g/cm2)程度の密度であり、LLDPEは通常0.91〜0.94程度の密度であり、HDPEは通常0.94〜0.97程度の密度である。 【0014】 中間層1は、HDPE及び/又はLLDPEを10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂で形成される。HDPE及び/又はLLDPEの合計が10〜90質量%のポリエチレン樹脂からなる中間層をまな板の芯材とすることにより、高温での殺菌・滅菌処理において変形を起こさない耐熱性が得られる。 【0015】 高温殺菌・滅菌処理時の熱変形を抑える効果を優れたものとするためには、HDPE及び/又はLLDPEの配合量を30質量%以上とすることが好ましく、50質量%以上とすることがさらに好ましい。また、LLDPEよりもHDPEを用いることが特に好ましい。 【0016】 中間層中のHDPE及び/又はLLDPEが10質量%未満となり、LDPEの配合量が増えると、高温殺菌・滅菌処理時の熱変形を抑える効果が不充分である。一方、この含有量が90質量%を超えると、まな板を製造する際にポリエチレン樹脂の成形性が悪くなり、押出し成形時に成型品の反りが発生し易くなるので、生産性が落ちる。 【0017】 表皮層2は、LDPEを含有するポリエチレン樹脂で形成される。表皮層を、LDPEを含有するポリエチレン樹脂で形成することにより、従来のポリエチレン製まな板と同様の切れ味及び使用感が得られる。すなわち、包丁の刃先がまな板表面に食い込み易いので優れた切れ味が得られ、包丁の刃先がまな板表面にあたる感触が柔らかいので優れた使用感が得られる。従って、長時間使用しても疲労感が少ない。 【0018】 表皮層を形成するポリエチレン樹脂中のLDPEの配合量は、60〜95質量%とすることが好ましく、60〜90質量%とすることが特に好ましい。表皮層中のLDPEの配合量を60〜95質量%とする場合には、LDPEのみの表皮層と比べて若干硬さが増し、表面が傷つきにくくなるので、ササクレ、毛羽立ち、削れ等が少なくなる。また、表皮層の耐熱性も向上するので、高温殺菌・滅菌処理時に、高温の熱源に直接さらされたり、高温に熱せられた周囲の金属部材等と接触しても、表面の溶融を防止することができる。さらに、このLDPEの配合量の範囲であれば、表皮層が適度な柔らかさを持っているので、優れた切れ味と使用感も失われない。 【0019】 表皮層中のLDPEが60質量%未満となり、HDPE及び/又はLLDPEの配合量が増えると、まな板の表面が硬くなりすぎるので、切れ味が落ち、使用感が落ち、長時間の使用では疲労感を来たし易くなり、刃こぼれも発生し易い。一方、この含有量が95質量%を超えると、従来のポリエチレン製まな板と同等の切れ味と使用感は得られるが、HDPE及び/又はLLDPEにより適度な硬さと耐熱溶融性を付与する効果が充分に得られない。 【0020】 まな板の総厚みTに対する個々の表皮層の厚みtの比は、0.1≦t/T≦0.3(図1では、0.1≦ta/T≦0.3,0.1≦tb/T≦0.3)であることが好ましく、0.15≦t/T≦0.25であることが好ましい。0.1≦t/Tとすることによって、表皮層の耐熱性が向上し、高温殺菌・滅菌処理時の溶融を防止する効果が高くなる。一方、t/T≦0.3とすることによって、中間層の耐熱性が向上し、高温殺菌・滅菌処理時の熱変形を防止する効果が高くなる。 【0021】 本発明のまな板は、一般的な押出ラミネーション法により製造することが可能である。押出ラミネーション法のなかで、中間層1の両面に表皮層2a及び2bを効率良く積層する方法としては、(1)中間層1を形成するためのHDPE及び/又はLLDPEを10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂と、中間層両面の表皮層2a、2bを形成するためのLDPEを含有するポリエチレン樹脂を、いずれも溶融状態で同時に押出す、共押出ラミネーション法か、或いは、(2)LDPEを含有するポリエチレン樹脂からなる表皮層2a用及び表皮層2b用連続シートを各々ラミネーターに供給し、その2枚の連続シートの間に、中間層1を形成するためのHDPE及び/又はLLDPEを10〜90質量%含有するポリエチレン樹脂を溶融状態で押出す押出ラミネーション法が好ましい。 【0022】 【実施例】 1.まな板の製造 各実施例及び比較例について、中間層用ポリエチレン樹脂及び両面の表皮層用ポリエチレン樹脂はいずれも実質的にポリエチレンのみからなり、表1に示す組成である。 【0023】 各表皮層のシートをラミネーターに供給し、それぞれの中間層用樹脂を押出して積層し、冷却後に裁断した。押出機の温度設定条件は、樹脂供給側から順にシリンダー1:150℃、シリンダー2:155℃、シリンダー3:160℃、シリンダー4:165℃及び、シリンダー5:170℃とした。 【0024】 以上の工程により、総厚20mm×短辺300mm×長辺600mm、中間層の厚み12mm及び、各表皮層の厚み4mmのポリエチレン製まな板を作製した。 【0025】 2.評価方法 各実施例及び比較例で作製したまな板(サイズ:20mm×300mm×600mm)を試料として用い、下記項目について評価した。評価結果は、ポリエチレン樹脂の組成、総厚に対する表皮層の厚みの比(t/T)と共に表1に示す。 【0026】 (1)加熱反り 図2に示すように、底部から20cmの高さにバー4aを備える治具4に、試料3を角度80度に傾けて立てかけ、その状態で指定温度(100℃又は110℃)に設定・昇温したエアーオーブン中に入れ、1時間加熱処理後、オーブンの電源を切り自然放冷する。冷却後に取り出し、反り度S(単位:mm)を測定し、下記基準に従って目視判定する。 【0027】 <反り度の評価基準> ◎:S≦2 ○:2<S≦10 △:10<S≦20 ×:20<S 【0028】 (2)表面の熱溶融 図3に示すように、短辺90mm×長辺100mm、550g、先端が直径5mmの球形の脚を4本備える金属製荷重治具5を試料3の上に載せ、その状態で指定温度(100℃又は110℃)に設定したエアーオーブンに入れ、1時間加熱後に取り出し、金属治具の足が接触した試料表面の溶融状態を、下記基準に従って目視判定する。 【0029】 <熱溶融の評価基準> ○:表面状態に変化なし △:金属製荷重治具の脚のわずかな痕跡が発生 ×:金属製荷重治具の脚による顕著な凹みが発生 【0030】 (3)ササクレ 試料の表面を、手に持った中華包丁で700回、無作為に全方位に叩き、ササクレの発生状態を下記基準に従って目視判定する。 【0031】 <ササクレの評価基準> ○:比較例よりも良好なもの △:LDPEのみからなる表皮層を有する比較例のササクレの発生状態 【0032】 【表1】
【0033】 【発明の効果】 本発明により提供されるポリエチレン製まな板は、100℃以上の高温殺菌・滅菌処理を行っても反りやゆがみ等の熱変形が発生しにくく、また、従来のポリエチレン製まな板と同様の切れ味と使用感が得られる。 【0034】 特に、表皮層のLDPE含有量を60〜95質量%とすることにより、優れた切れ味と使用感が失われずに、表面に適度な硬さと耐熱溶融性がさらに付与されるので、ササクレ等の表面損傷や高温殺菌・滅菌処理時の熱溶融を防ぐことができる。 【0035】 本発明のまな板は、高温殺菌・滅菌処理に対応できる耐熱性を有し、優れた切れ味と柔らかい感触により長時間使用した場合の疲労感が少なく、しかも、適度な硬さにより耐久性もあるので、特に業務用まな板として適している。 【0036】 また、本発明により提供される上記まな板の製造方法は、中間層の両面に表皮層を効率良く積層することができる。しかも、中間層のHDPE及び/又はLLDPEの含有量を90質量%以下とすることにより、押出ラミネーションを行う際の不良品発生が少ない。従って、生産性が高い。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明に係るまな板の一例についての模式的断面である。 【図2】加熱反りの評価試験に用いる治具の構成を説明する図である。 【図3】熱溶融の評価試験に用いる治具の構成を説明する図である。 【符号の説明】 1…中間層 2(2a、2b)…表皮層 3…試料 4…加熱反り評価の治具 5…熱溶融評価の治具
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002141 【氏名又は名称】住友ベークライト株式会社 【住所又は居所】東京都品川区東品川2丁目5番8号
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| 【出願日】 |
平成15年1月9日(2003.1.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100104499 【弁理士】 【氏名又は名称】岸本 達人
【識別番号】100108800 【弁理士】 【氏名又は名称】星野 哲郎
【識別番号】100101203 【弁理士】 【氏名又は名称】山下 昭彦
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| 【公開番号】 |
特開2004−215718(P2004−215718A) |
| 【公開日】 |
平成16年8月5日(2004.8.5) |
| 【出願番号】 |
特願2003−3734(P2003−3734) |
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