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【発明の名称】 清掃車用皿型ブラシ
【発明者】 【氏名】和田 悟知

【要約】 【課題】平鋼線の腰を強くして折れにくくし、平鋼線を密に配置できる清掃車用皿型ブラシの提供。

【解決手段】隣り合って対になる取付孔20に嵌め込まれて対になった円筒状弾性部材34、34に2つ折にした複数の平鋼線31を跨らせて挿入する。円筒状弾性部材34の上端部と平鋼線31の2つ折り部分32とは、窪み部15に配置,収容される。4つの扇形片12に対して,円筒状弾性部材34と平鋼線31とを差し込んで、上側から塞ぎ円板11で塞いで皿型ブラシ2が完成する。平鋼線31の根元部分は、平鋼線31が8本厚さ方向に重ねてあることで根元部分自体の弾性強度が増し,しかも、円筒状弾性部材34により支えられて更に補強された状態なので、ブラシ回転による路面からの抵抗で根元部分が折れる事態を長期に亘って回避できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼線保持円盤を、円周方向に複数個に分割した扇形片から構成し、各扇形片に厚さ方向に沿って下方に向くにつれて半径方向外側に広がるように鋼線を取り付けてなる清掃車用皿型ブラシにおいて、前記各扇形片には、前記厚さ方向下方に向かうにつれて半径方向外側に傾斜する円形取付孔を、皿型ブラシの回転中心に対して同芯状で複数列設け,各取付孔列の取付孔は偶数個であって扇形片の円周方向中心線に対して左右対称に形成され、それらの取付孔は円周方向で隣り合って対になる取付孔間の円周方向ピッチが各取付孔列において全て同一となるように設けてあり、各取付孔に円筒状弾性部材を挿入してその円筒状弾性部材の下部が取付孔から下方に突出するようにし、隣り合って対になる取付孔に挿入した2つの円筒状弾性部材には、中間部で2つ折にした平鋼線を複数本重ねて跨らせるように挿通させたことを特徴とする清掃車用皿型ブラシ。
【請求項2】
各扇形片の上面には前記取付孔を形成した部分に窪み部を設け、その窪み部に平鋼線の2つ折り部分が収容されて扇形片の上面から上方に突出しないようにし、複数の扇形片の上面に塞ぎ円板を接合して窪み部を塞いで成る請求項1記載の清掃車用皿型ブラシ。
【請求項3】
扇形片には、塞ぎ円板とボルトで結合される結合部分が設けてあり,その結合部分を除いて,各取付孔列で隣り合って対になる取付孔対の間で隣り合っている取付孔のピッチを、対になっている取付孔間のピッチと等しくまたは略等しくしたことを特徴とする請求項2記載の清掃車用皿型ブラシ。
【請求項4】
扇形片の円周方向端面と、その端面に最も近い位置に設けられる取付孔とのピッチは、各取付孔列において、対になる取付孔間ピッチの略1/2であることを特徴とする請求項3記載の清掃車用皿型ブラシ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、路面清掃車用の皿型ブラシ(側ブラシ)に関する。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1では、鋼線保持円盤を、円周方向に4つに分割した扇形片から構成し、各扇形片に厚さ方向に沿って下方に向くにつれて半径方向外側に傾斜した鋼毛挿嵌溝孔を設けてその角孔部に鋼毛を2つ折にして半径方向に密接状態に挿入し、鋼毛挿嵌溝孔間には鋼毛の根元部分の折損を防止する鋼毛折損防止金具を配設している。特許文献2のものは、清掃車用の皿型ブラシではないが、束ねた鋼線を2つ折にして根元部に樹脂パイプを嵌め込んでいる円形のブラシである。この樹脂パイプは針金で円盤に鋼線を取り付けるときの損傷防止のものである。特許文献3では、鋼線ホルダーに鋼線を折り曲げて多数保持させてユニット化してそのユニットを円盤に取り付けるようにしている。
【0003】
【特許文献1】
実公平1−11074号公報
【特許文献2】
実公昭57−12909号公報
【特許文献3】
アメリカ特許3678530号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1では、鋼毛折損防止金具を鋼毛挿嵌溝孔間の全てに配置すると、隣り合う鋼毛挿嵌溝孔間隔が広くなり円周方向において鋼毛の間に多くの隙間が存在して路面に対する清掃作用が効果的に行なわれない。そのため、特許文献1に示される実施形態では、1つの扇形片について、その円周方向両端面近くの2箇所のみしか鋼毛折損防止金具が設けられておらず,これら2つの鋼毛折損防止金具の間の鋼毛は根元部分が支持されないので、鋼毛の大部分は依然として折れやすいおそれがある。また、鋼毛折損防止金具が沿わせてある鋼毛も、2つ折とした鋼毛を角孔部に通して扇形片の半径方向に密接配置しているので、それらの鋼毛の根元部は、鋼毛の一本ずつが鋼毛折損防止金具で夫々補強されているに過ぎず、補強度合いが大きいとは言えない。
特許文献2では、束ねた鋼線の根元部分の腰を強くする目的の円筒状弾性部材を開示していない。
特許文献3は、予め鋼線ホルダーとしてユニット化しているので円盤への取り付けは容易であるが、ホルダーが3つの部材からなるなど構成が複雑である欠点がある。
この発明が解決しようとする課題は、清掃車用皿型ブラシの鋼線の腰をより強くして折れにくくし、密に配置できる簡易な構成の鋼線の取付構造を提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題解決のため、本願では、鋼線保持円盤を、円周方向に複数個に分割した扇形片から構成し、各扇形片に厚さ方向に沿って下方に向くにつれて半径方向外側に広がるように鋼線を取り付けてなる清掃車用皿型ブラシにおいて、前記各扇形片には、前記厚さ方向下方に向かうにつれて半径方向外側に傾斜する円形取付孔を、皿型ブラシの回転中心に対して同芯状で複数列設け,各取付孔列の取付孔は偶数個であって扇形片の円周方向中心線に対して左右対称に形成され、それらの取付孔は円周方向で隣り合って対になる取付孔間の円周方向ピッチが各取付孔列において全て同一となるように設けてあり、各取付孔に円筒状弾性部材を挿入してその円筒状弾性部材の下部が取付孔から下方に突出するようにし、隣り合って対になる取付孔に挿入した2つの円筒状弾性部材には、中間部で2つ折にした平鋼線を複数本重ねて跨らせるように挿通させたことを特徴とする。これによれば、全ての取付孔において、平鋼線が厚さ方向で重ねらることにより根元部分の強度が高められている上に,その根元部部分に嵌め込まれた円筒状弾性部材によって根元部分が更に支持されるため、全ての平鋼線について回転による路面からの抵抗に効果的に対抗できて平鋼線の根元部分の折れが長期に亘って防止できる。また、取付孔は、隣り合って対になる孔相互の円周方向ピッチが全て同じであるので、対になった取付孔に嵌め込まれる2つ折にして重ねる平鋼線は寸法、形状をほぼ統一できる。
【0006】
各扇形片の上面には前記取付孔を形成した部分に窪み部を設け、その窪み部に平鋼線の2つ折り部分が収容されて扇形片の上面から上方に突出しないようにし、複数の扇形片の上面に塞ぎ円板を接合して窪み部を塞いで成る。窪みに平鋼線の2つ折り部分を収容させたので、塞ぎ板の扇形片上面への取り付け面を平坦にでき、塞ぎ板が単純な形状となり、簡易な構成につながる。
扇形片には、塞ぎ円板とボルトで結合される結合部分が設けてあり,その結合部分を除いて,前記各取付孔列で隣り合って対になる取付孔対の間で隣り合っている取付孔のピッチを、対になっている取付孔間のピッチと等しくまたは略等しくしてある。これによれば、対になる取付孔ピッチを小さくすることで,平鋼線が密に配置できる。
扇形片の円周方向端面と、その端面に最も近い位置に設けられる取付孔とのピッチは、各取付孔列において、対になる取付孔間ピッチの略1/2である。これによれば、分割されて隣り合う扇形片の端面部分においても、平鋼線の取付ピッチが対になる取付孔間のピッチとほぼ等しくなり,平鋼線が密に配置できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態について図面を参照して説明する。図1には空気還流式の路面清掃車1を示す。周知のように,側ブラシとしての皿型ブラシ2は、車両側方に張り出して路面Fに接地され、略垂直軸線回りに回転されて、路肩の塵埃を車両幅方向中央方向に掃き出し、車両中央方向に掃きだされた塵埃は,ピックアップヘッド3内でブロア4からの圧空により路面から吹き上げられて吸い込みダクト5を介して車両後部に配置されたごみホッパ6に回収されるようになっている。路面清掃車の形式はこれに限らず,主ブラシでエレベータを介して塵埃をホッパに掃き上げる形式のものでも、その他の形式のものでもよい。
【0008】
皿型ブラシ2について説明する。皿型ブラシ2は、鋼線保持円盤10と、その鋼線保持円盤10の上面に固着される塞ぎ円板11とを備えている。鋼線保持円盤10は、円周方向に複数個に分割した扇形片12から構成される。図2に、鋼線保持円盤10の平面図を示し,ここでは、扇形片12は、円周方向に4分割されている。図3には、そのうちのひとつを示すが,残りの扇形片12も全く同じである。扇形片12は、半径方向の内側縁部13と外側縁部14の間が厚さ方向で窪んだ窪み部15となっている。窪み部15には、円周方向の両端面16から一定角度位置にボス17が設けてあり,図5に示すように,そのボス17の裏面側にはナット18が埋設されて、塞ぎ円板11との結合部分を構成している。扇形片12の内側縁部13,外側縁部14、ボス17の上面は、塞ぎ円板11が接合する接合面19となっている。
【0009】
図3,図6に示すように,前記窪み部15分には、厚さ方向(上下方向)を下方に向かうにつれて半径方向外側に傾斜する円形の取付孔20が、皿型ブラシ2の回転中心Cに対して同芯状に、異なる半径(r1、r2、r3、r4、r5、r6)上に夫々複数個設けてある。各取付孔列21〜26において、取付孔20は偶数個設けてあり、それらの取付孔20は、扇形片12の円周方向中心線CLに対して線対称に形成され、それらの取付孔20は、端面16に最も近い取付孔20から2個づつが対になっており、その円周方向で隣り合って対になっている取付孔20間の円周方向ピッチLが各取付孔列21〜26において全て同一となるように設けてある。半径r3、r4、r5で形成されている取付孔列23〜25は、前記ボス17の存在により,列が円周方向に分断されている。
【0010】
各取付孔列21〜26において、塞ぎ円板11との結合部分を除いて,取付孔対とその隣の取付孔対の間で隣り合っている取付孔20間(図3では、理解しやすいように取付孔20a,20bとした)のピッチは、対となる取付孔20間の前記ピッチLと等しく(ほぼ等しくでもよい)になるように設定されている。また、各取付孔列21〜26においては、扇形片12の円周方向端面16と、その端面16に最も近い位置に設けられる取付孔20とのピッチは、対になる取付孔20間ピッチLの略1/2に設定してある。
こうした配置関係は,たとえば以下のように設定されると実現される。即ち,半径r1を最大の取付孔列21が明けられる半径とし、その半径r1のピッチ円上に形成される隣り合う取付孔20間のピッチを全てピッチLとし、半径r1のピッチ円上に開けられる取付孔20の総数をnとしたとき、
半径r2=r1(n−2)/n、半径r3=r1(n−4)/n、半径r4=r1(n−6)/n、半径r5=r1(n−8)/n、半径r6=r1(n−10)/n の各式に従って、取付孔列22〜26の形成されるピッチ円半径を設定し、半径r2〜r6のピッチ円上に、ボス17が存在しないとした場合において、半径r1での取付孔20の個数から順に2個ずつ少ない取付孔20を形成すればよい。
【0011】
図4、7に示すように,各扇形片12の各取付孔20には、その下部が扇形片12の下面より下方に所定長さ突出するように円筒状弾性部材34が挿入される。円筒状弾性部材34は、所定幅の弾性帯板をらせん状に巻いて中空形状(さや状)としたものである。円筒状弾性部材34は、取付孔20にしっくりと嵌まり込む外径を有している。上端は巻かれずに残されており、取付孔20に嵌め込んだ時に下方に抜け落ちないための引掛部35となっている。所定幅の平鋼線31が長手の中間部で2つ折にされ,円周方向で隣り合って対になる取付孔20に挿入された隣り合う2つの円筒状弾性部材34に跨るように8本づつ、厚さ方向に重ねられて円筒状弾性部材34の中空孔に挿入される(図8)。2つ折り部分32から伸びる平鋼線31の直線部33の根元部分外周は夫々円筒状弾性部材34内側に位置する。複数本の平鋼線31を厚さ方向で重ねて隣り合う2つの円筒状弾性部材34に跨るように挿入した状態においては、全ての平鋼線31の面が円周方向に向く。
【0012】
こうして隣り合って対になる取付孔20に嵌め込まれて対になった円筒状弾性部材34、34に2つ折にした複数の平鋼線31を跨らせて挿入すると、円筒状弾性部材34の上端部と平鋼線31の2つ折り部分32とは、窪み部15に配置,収容される。4つの扇形片12に対して,円筒状弾性部材34と平鋼線31とを差し込んで、上側から塞ぎ円板11で塞ぎ、ボルト40をボス17背面のナット18に締結して皿型ブラシ2が完成する。その塞ぎ円板11に駆動モータで回転される駆動軸が一体固着され、車両下方で側ブラシとして機能することになる。
【0013】
側ブラシとしてほぼ垂直な軸線回りに回転されると、その回転による路面からの抵抗で平鋼線31は回転方向と反対側に撓み、直線部33の根元部分も撓もうとするが,その根元部分は平鋼線31が複数本(8本)、厚さ方向に重ねてあることで根元部分自体の弾性強度が増しており,しかも、その根元部分は、各取付孔20に挿入した円筒状弾性部材34により支えられて更に補強された状態で撓むので、根元部分が折れる事態を長期に亘って回避できる。また、全ての取付孔20において、嵌め込まれた円筒状弾性部材34によってその中に挿入された平鋼線31の根元部分が支持されているため、全ての平鋼線31について根元部分の折れが防止できる。また、取付孔30は、隣り合って対になる孔相互の円周方向ピッチLが全て同じであるので、対になった取付孔30に嵌め込まれる2つ折にして重ねる平鋼線31は寸法、形状を統一できる。平鋼線31は、弾性を有する材質で構成されるものであるから、重ねられる8本の平鋼線31を全く同一寸法,形状で製作しておいても、対になる円筒状弾性部材34に重ねて跨らせていった場合には、容易に変形して図7の状態に問題なく組み付けできる。また、平鋼線31を対になる円筒状弾性部材34,34に跨るように挿入する作業だけで、平鋼線31の平らな面が全て円周方向に揃うため、側ブラシとして回転されたときに、路面に対してその清掃能力が高くなる。
【0014】
【発明の効果】
以上のように本願では、全ての取付孔に円筒状弾性部材を介して平鋼線を重ねて挿入するようにしたので、取付孔のピッチを小さくして平鋼線を密に配置しても全ての平鋼線の根元部分が弾性的に強化できて、路面からの回転抵抗に充分対抗できて根元部分の折れを防止でき、ブラシ寿命を長くできる。また、平鋼線の平らな面が取付状態では全て円周方向に揃うため,側ブラシとして回転させたときに路面に対する清掃効果が高い。
扇型片の窪み部に平鋼線の2つ折り部分を収容させたので、塞ぎ板の保持盤上面への取り付け面を平坦にでき、塞ぎ板を単純な平板にできて安価かつ構成容易になる。
また、各取付孔列で隣り合って対になる取付孔対の間で隣り合っている取付孔のピッチを、対になっている取付孔間のピッチと略等しくするようにしたため、対になる取付孔間ピッチを小さくすることで,鋼毛が密に配置でき、路面に対する清掃作用が効果的に行ない得る皿型ブラシとなるなどの効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】路面清掃車を示す図である。
【図2】平鋼線と円筒状弾性部材を省略した状態の鋼線保持円盤と塞ぎ円板とを結合した平面図である。
【図3】扇形片を示す平面図である。
【図4】平鋼線と円筒状弾性部材を取付孔に差し込んだ状態を示す扇形片の一部拡大平面図である。
【図5】塞ぎ円板で塞いだ状態の、図4のV−V線断面図である。
【図6】塞ぎ円板で塞いだ状態の、図4のVI−VI線断面図である。
【図7】取付孔に円筒状弾性部材と平鋼線を挿入した状態の縦断面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線断面図である。
【符号の説明】
1 路面清掃車
2 皿型ブラシ
10 鋼線保持円盤
11 塞ぎ円板
12 扇形片
15 窪み部
16 扇形片の円周方向端面
17 ボス(結合部分)
20 取付孔
21〜26 取付孔列
31 平鋼線
32 2つ折り部分
33 直線部
34 円筒状弾性部材
40 ボルト
C 皿型ブラシの回転中心
CL 扇形片の円周方向中心線
L 対となる取付孔間の円周方向ピッチ
【出願人】 【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
【出願日】 平成15年5月26日(2003.5.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−344536(P2004−344536A)
【公開日】 平成16年12月9日(2004.12.9)
【出願番号】 特願2003−147051(P2003−147051)