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【発明の名称】 液状化タマネギの製造方法。
【発明者】 【氏名】前田 幸俊
【住所又は居所】大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡績株式会社技術研究所内

【氏名】守屋 宏毅
【住所又は居所】大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡績株式会社技術研究所内

【氏名】山本 良平
【住所又は居所】大阪府寝屋川市下木田町14番5号 倉敷紡績株式会社技術研究所内

【氏名】金子 忠司
【住所又は居所】京都府宇治市大久保町田原1番地 日本ジフィー食品株式会社内

【氏名】山根 清孝
【住所又は居所】京都府宇治市大久保町田原1番地 日本ジフィー食品株式会社内

【要約】 【課題】タマネギをまるごと液状化し、臭み、苦みの減少した、旨みを増強する方法を提供する。

【解決手段】タマネギを、ブランチングする工程、糖質分解酵素および核酸分解酵素からなる群から選択される1以上の酵素を用いて処理する工程、および酵素組成物を不活化させる工程を含む、タマネギを液状化する方法を提供する。本発明の方法によれば、タマネギの臭み、苦みが減少し、旨みが増強した液状化タマネギを得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外皮を除いたタマネギをブランチング処理に付し、次いで糖質分解酵素から選択される1以上の酵素を作用させる工程を含む、液状化タマネギの製造方法。
【請求項2】
ブランチング処理が、タマネギの品温60〜120℃にて3〜10分間、蒸気または湯浴にて加熱するものである、液状化タマネギの製造方法。
【請求項3】
糖質分解酵素としてセルロース分解酵素を用いる、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
糖質分解酵素としてペクチン分解酵素を用いる、請求項1〜3いずれかに記載の方法。
【請求項5】
さらに核酸分解酵素および蛋白質分解酵素から選択される1以上の酵素を用いて処理する工程を含む、請求項1〜4いずれかに記載の方法。
【請求項6】
タマネギの旨みが増強されることを特徴とする、請求項1〜5いずれかに記載の方法。
【請求項7】
タマネギの刺激臭が減少されることを特徴とする、請求項1〜6いずれかに記載の方法。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかの方法により得られる、液状化タマネギ。
【請求項9】
請求項8記載の液状化タマネギを含有する、加工食品。
【請求項10】
請求項8記載の液状化タマネギを凍結乾燥させて得られる、乾燥タマネギエキス。
【請求項11】
請求項10記載の凍結乾燥されたタマネギエキスを含有する、加工食品。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タマネギを丸ごと液状化して、タマネギ特有の刺激臭が減少した液状化タマネギを提供する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酵素、微生物の働きによる植物材料の加工は、様々な場面で行われている。かかる加工には、植物に含まれる成分を強化したり、香りを制御したり、消化吸収性を改変したりするものも知られている。また、植物中の成分をエキス分として抽出する加工も知られている。
【0003】
タマネギを微生物や酵素を用いて加工する方法としては、タマネギの破砕物をペクチナーゼまたはセルラーゼにて処理してタマネギの甘みを増す方法(特開昭56−18563号)や、タマネギを含む植物にペクチナーゼを作用させて、その香りを改変する方法(特開昭52−47962号)などが知られている。また、本発明者らは糸状菌等の微生物によりタマネギを含む植物の好ましくない刺激臭を除去または軽減する方法について先に出願している(特願2000−179815号)。
【0004】
野菜等をブランチングすることによって、野菜に付着する微生物の殺菌、野菜貯蔵中の品質の低下や変色の防止、野菜凍結保存時の氷結膨張に耐える、解凍時のドリップ量減少の効果が得られることが公知の事実として認められている。さらにタマネギ中の成分を熱水により抽出し、エキス分とする方法(特公2001−269148)も知られている。
【0005】
しかしながら現在まで、タマネギをまるごと液状化させる方法は知られていなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、タマネギを丸ごと液状化し、特有の刺激臭を減少させるタマネギの液状化方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、外皮を除いたタマネギをブランチング処理に付し、次いで糖質分解酵素から選択される1以上の酵素を作用させる工程を含む、液状化タマネギの製造方法を提供する。本発明の方法において、糖質分解酵素としてはセルロース分解酵素およびペクチン分解酵素が好適に用いられる。
【0008】
本発明の方法によれば、タマネギ特有の刺激臭が減少した液状化タマネギを提供することができる。本発明はブランチング処理に付したタマネギを糖質分解酵素に加えてタンパク質分解酵素および核酸分解酵素からなる群から選択される酵素にて処理してもよい。
本発明はさらに、上記処理により得られる液状化タマネギ、該液状化タマネギを含有する加工食品も含まれる。また、該処理により得られる液状化タマネギを常套の方法にて凍結乾燥することを含む、タマネギの加工方法も提供する。
【0009】
なお本明細書および請求の範囲において、「液状化」とは、処理したタマネギを東洋ろ紙製定性ろ紙No.2にて濾過し、濾紙上に残存する残渣の湿重量を最初に用いたタマネギの全湿重量から差し引いた値が、タマネギの湿重量の90%以上であることを言うものとする。
【0010】
本明細書および請求の範囲において、「旨み」とは、タンパク質、ペプチド、アミノ酸および核酸、又はタンパク質、ペプチド、アミノ酸および核酸の分解物の呈味をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明で使用するタマネギとしては、任意の品種のタマネギが使用でき、具体的には、もみじ3号、ターボ、北もみじ、札幌黄、泉州黄等の黄タマネギ、愛知白等の白タマネギ等が例示されるが、これらに限定されるものではない。タマネギは収穫直後のものであっても、収穫後しばらく置いたものであってもよい。タマネギの外皮を剥皮し、芽及び根を除去したものを用いるのが好ましい。
【0012】
タマネギはその表面に付着している微生物の繁殖を防ぐため、必要に応じて適当な手段により滅菌する。滅菌方法としては、例えば約100℃という高温下で一定時間処理する滅菌方法が一般的であるが、その他の従来から知られている方法で滅菌してもよい。なお、ブランチング温度を80℃以上とする場合には、ブランチング処理により滅菌が達成されるため、別途滅菌処理を行う必要は無い。
【0013】
本発明の方法において、外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギをブランチング処理に付す。ブランチング処理の条件は使用するタマネギの性質、製造工程等の条件によって適宜定めればよい。ブランチングの処理温度としては、タマネギの品温が60〜120℃となる条件下において、処理時間1〜30分間、好ましくは3〜10分間となるよう加熱処理を行えばよい。タマネギの品温が60℃以下、例えば40℃としてブランチング処理をしても、その後の酵素処理により液状化可能であるが、タマネギ特有の刺激臭、辛味および苦味を軽減させ、旨みを引き出すためには60℃以上とするのが好ましい。
【0014】
ブランチング処理は、蒸気または湯浴によって行う。蒸気によるブランチングは、高温の水蒸気をタマネギに当てることによって行っても、高温の水蒸気雰囲気中にタマネギを置いて行ってもよい。湯浴の場合には、所望の温度とした熱湯中にタマネギを所望の時間浸漬すればよい。
また、タマネギを油浴により、例えば180℃までの温度で短時間処理することによって、ブランチング処理と同様の効果を得ることができる。
【0015】
タマネギはブランチング処理の前または後、酵素処理の前に適当な大きさに細断もしくは破砕する。細断もしくは破砕することによって、ブランチング処理および酵素処理の効率が良くなる。ブランチング処理の前後それぞれに、2段階で破砕してもよい。タマネギの細断にあたっては、包丁、スライサー、フードプロセッサ等の従来から植物材料の細断に用いられている装置を適宜用いれば良い。細断の大きさとしては特に限定的ではなく、例えば直径1cm以下、好ましくは直径0.001mm〜5mmとなるよう細断すればよい。
【0016】
ブランチング処理に付したタマネギを次いで糖質分解酵素から選択される1以上の酵素を用いて処理する。
本発明の方法において用いられる糖質分解酵素としては、市販の酵素を用いても、糖質分解酵素を産生する微生物の培養物から公知の方法で得たものであっても、糖質分解酵素を含有する微生物の抽出物を用いてもよい。本発明に用いられる糖質分解酵素としてはセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、ペクチナーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、インベルターゼ、ラクターゼが例示され、特に好適にはペクチナーゼ、セルラーゼが用いられる。糖質分解酵素を産生する微生物としては例えばAspergillus acuieatusTrichoderma virideAspergillus nigerMyrothecuim verrucariaIrpex lacteusTrametes sanguineaが例示される。
【0017】
本発明の方法においては、糖質分解酵素に加えて核酸分解酵素および蛋白質分解酵素からなる群から選択される酵素によってタマネギを処理してもよい。
【0018】
核酸分解酵素としては、市販の酵素を用いても、核酸分解酵素を産生する微生物の培養物から公知の方法で得たものであっても、核酸分解酵素を含有する微生物の抽出物を用いてもよい。核酸分解酵素としてはデアミナーゼ、RNase、DNaseが例示され用いられる。核酸分解酵素を含有することが知られている微生物として例えばPenicillium citrinum,Strptmyces aureusBacillus subtilisAspergillus meleusが例示される。
【0019】
タンパク質分解酵素としては、市販の酵素を用いても、タンパク質分解酵素を産生する微生物の培養物から公知の方法で得たものであっても、タンパク質分解酵素を含有する微生物の抽出物を用いてもよい。タンパク質分解酵素としては例えばプロテアーゼ、ペプチダーゼ等が例示され、好ましくはプロテアーゼが用いられる。またタンパク質分解酵素を多く含む事が知られている微生物として例えば、Aspergillus oryzaeRhizopus niveusBacillus subtilisAspergillus meleusが挙げられる。
【0020】
本発明の方法において、糖質分解酵素を作用させる量は限定的ではなくタマネギの性質や糖質分解酵素の種類により適宜選択すればよい。糖質分解酵素として例えばセルラーゼを用いる場合、その使用量は典型的には、タマネギ1gに対して15〜15000ユニット、より好ましくは150〜1500ユニットを作用させる。ここでセルラーゼの1ユニットとは、50mM酢酸緩衝液pH4.5mlにセルラーゼを溶解し、40℃で60分間に0.2mmの東洋濾紙製ロ紙(No.51−A特)を崩壊させる酵素量をいう。
【0021】
本発明の方法において、核酸分解酵素の使用量は限定的ではなくタマネギの性質や核酸分解酵素の種類により適宜選択すればよい。典型的にはタマネギ1gに対して10〜100000ユニット、より好ましくは100〜1000ユニットを作用させる。ここで核酸分解酵素の1ユニットとは、5’−アデニル酸0.1%を含む50mMリン酸緩衝液pH5.6に核酸分解酵素を溶解し、37℃で60分間に265nmの紫外吸光度を0.0001減少させる酵素量をいう。
【0022】
本発明の方法において、タンパク質分解酵素の使用量は限定的ではなくタマネギの性質やタンパク質分解酵素の種類により適宜選択すればよい。典型的にはタマネギ1gに対して1〜1000ユニット、より好ましくは10〜100ユニットを作用させる。ここでタンパク質分解酵素の1ユニットとは、ミルクカゼイン(メルク社製ハマーステインNo.2242)1.5%を含む20mMリン酸緩衝液pH6.0にタンパク質分解酵素溶液を溶解し、37℃で60分間に反応液1ml中にチロシン100μgに相当するアミノ酸を生成させる酵素量をいう。
【0023】
微生物からの抽出物を用いる場合、酵素の抽出には公知の方法いずれを用いてもよい。例えばこれに限定されないが。麹を用いる場合には麹へ適当な量の水、例えば重量比で5倍量程度の水を加え、4℃で30分間撹拌した後、フィルターを通して使用すればよい。
【0024】
本発明の方法において微生物の抽出物や微生物の培養上清等を用いる場合、微生物菌体を除いた状態で用いる。微生物菌体を除去する方法としては、フィルターで濾過する、遠心分離するなどの常套の手段を用いればよい。
【0025】
本発明の方法において酵素を組み合わせる場合、使用するタマネギの性質、製造工程等の条件によって適宜好ましい比率を選択すればよい。好適には、糖質分解酵素10〜50ユニットに対して、タンパク質分解酵素1〜5ユニット、核酸分解酵素50〜250ユニットの比率で用いられるのが良い。
【0026】
本発明の方法において酵素を作用させる条件は、使用するタマネギの性質、製造工程等の条件によって適宜決められるのが良いが、処理時間30分間〜24時間、好ましくは9〜18時間、処理温度20〜60℃、好ましくは30〜50℃、pH3〜7、好ましくはpH4〜5の条件下で酵素を作用させるのが良い。
【0027】
本発明の方法において酵素を組み合わせて用いる際の使用順序に関しては、タマネギの性質、製造工程等の条件によって適宜決められるのが良いが、好ましくは糖質分解酵素、タンパク質分解酵素、核酸分解酵素を同時に用いて酵素処理を一度に行うのが良い。
【0028】
本発明の方法において、酵素による処理が終了した後、酵素を不活化させる。酵素の不活化は従来知られたいずれの方法を用いて行っても良く、例えばこれに限定されないが加熱、加圧のごとき手段が例示される。
【0029】
本発明の方法によりタマネギを処理すると、タマネギが液状化すると共に、タマネギに特有の刺激臭や辛味、苦味が減少し、さらにその旨みが増強される。一方でタマネギの好ましい作用、即ち摂取すると温熱感がもたらされ、さらに抗菌作用も維持されることから、本発明の方法によって得られる液状化タマネギ中、健康に良い機能的成分は維持されているものと推測される。
【0030】
従って本発明方法で得られる液状化タマネギは、従来はタマネギ特有の刺激臭等のため飲料用としての製品化が困難であったタマネギジュースとして、単独で、あるいは果物や他の野菜由来の液体成分、牛乳、豆乳等様々な成分と混合して提供することができる。ジュースには甘味料、酸味料、香料等の通常ジュースに添加されるような添加剤を加えてもよく、また、安定化剤、防腐剤、酸化防止剤等を添加してもよい。
【0031】
本発明の方法で得られる液状化タマネギはさらに、液状品である特徴を生かして様々な加工食品の材料に練り込んで好適に用いることができる。例えば麺類、スナック菓子等の穀紛加工食品、ちくわ、かまぼこ等の魚介類練り製品等に練り込む為の材料として好適に用いることができる。
【0032】
本発明の方法で得られる液状化タマネギはさらに、様々な料理の調味料として好適に用いることができ、例えばドレッシング、カレーやシチューの素、スープの素等に好適に配合することができる。
【0033】
本発明の方法にて処理されたタマネギは、次いで凍結乾燥してもよい。凍結乾燥方法としては限定的ではなく、従来知られている方法、条件に沿って行えばよい。
本発明の方法によって得られるタマネギの凍結乾燥物は調味料、香辛料、インスタント麺、カップ麺、シリアル、菓子などの加工食品の材料としても好適に用いられる。
【0034】
【実施例】
実施例1
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、フードプロセッサにてさらにこれを粉砕した。得られた粉砕タマネギに、ナガセ生化学製セルラーゼXP425をタマネギ1kgに対して1g(10000ユニット)、およびノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−L(ペクチナーゼ)をタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0035】
実施例2
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、ステンレス容器に投入し、雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した。次に、室温まで冷却した後、プロセッサにてさらにこれを粉砕した。得られた粉砕タマネギに重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、ナガセ生化学製セルラーゼXP425をタマネギ1kgに対して1g(10000ユニット)、およびノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−Lをタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0036】
実施例3
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、ステンレス容器に投入し、雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した。室温まで冷却した後、プロセッサにてさらにこれを粉砕した。タマネギに重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、ノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−Lをタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0037】
コントロール1としては、以下のように調製したものを用いた。実施例1と同様にしてカットし、さらに粉砕して得られた粉砕タマネギに、重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、タマネギには何も添加せず、40℃にて18時間静置した。静置後ステンレス容器中のタマネギ滲出物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過した。
【0038】
コントロール2としては、以下のように調製したものを用いた。実施例1と同様にカットし、粉砕処理して得た粉砕タマネギに、重量比で10分の1倍量の水を添加し、直後に東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過した。
【0039】
コントロール3としては、以下のように調製したものを用いた。実施例2と同様にカットし、ブランチング処理を施した後に粉砕処理して得た粉砕タマネギに、重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、タマネギには何も添加せず、40℃にて18時間静置した。静置後ステンレス容器中のタマネギ滲出物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過した。
【0040】
コントロール4としては、以下のように調製したものを用いた。実施例2と同様にしてカットし、ブランチング処理を施した後に粉砕処理して得られた粉砕タマネギに、重量比で10分の1倍量の水を添加し、直後に東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過した。
【0041】
実施例1、実施例2および実施例3、コントロール1、2、3および4のタマネギの、液状化率について測定した。使用したタマネギの全湿重量から、液状化処理後ろ過した残渣の湿重量を引いた値をタマネギの分解重量とし、タマネギの分解重量をタマネギの全湿重量で割った値の百分率を液状化率として定義した。結果を表1に示す。
【0042】
【表1】


【0043】
実施例1、実施例2および実施例3で処理したタマネギは、明らかに液状化していた。一方、コントロール1、2、3および4で示すように、酵素未処理タマネギはほとんど液状化していなかった。またPECTINEX ULTRA SP−L単独で酵素処理した実施例3でも、実施例1および実施例2と同様に液状化していたことから、PECTINEX ULTRA SP−Lで処理することによって、タマネギが液状化したことがわかる。
【0044】
実施例1、実施例2および実施例3、コントロール1、2、3および4のタマネギの官能について評価した。評価は8名からなるパネラーによって5段階で行った。表中の−は全く感じられない、±は知覚できる下限である。+は少し感じられる、++は強く感じられる、および+++はかなり強く感じられることを示す。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】


【0046】
実施例1、実施例2および実施例3で処理したタマネギは、明らかにタマネギ臭および刺激臭および辛みおよび苦みが減少し、旨みが増加していた。次にコントロール3およびコントロール4で処理したタマネギも明らかにタマネギ臭および刺激臭および辛みおよび苦みが減少していた。また、旨みが増加していた。また実施例の各液状化タマネギは飲用後の温熱感が増加した。一方、コントロール1またはコントロール2で示すように、非加熱タマネギは旨みを示さない事から、加熱またはセルラーゼXP425およびPECTINEX ULTRA SP−Lにて処理することによって、タマネギ自身の味およびにおいが変化したことがわかる。
【0047】
実施例1、実施例2および実施例3、コントロール1、2、3および4のタマネギの、抗菌性について評価した。評価は、財団法人発酵研究所より分譲を受けたBacillus subtilisIFO3007、Escherichia coliIFO3301、Staphyllococcus aureusIFO、以上3種の細菌のハローテストにより行った。ハローテストはメルク社製CASO寒天培地4%を水に溶かし、121℃、20分間溶融、滅菌した液状培地を60℃に冷却し、これに上記3種の細菌が102個/mlになるよう、細菌をそれぞれ混合した後、直径10cmの平板プレートに20ml滴下し、冷却固化させた混釈平板培地を用いた。処理タマネギ30μLを混釈平板培地の中央部分に置いた、内径3mmのガラスリングの内側に滴下し、37℃、16時間培養した後、ガラスリングを中心とした、細菌の増殖しない部分=ハローの大きさで抗菌性を測った。また、実施例1で得た液状化タマネギを段階的に希釈して、その抗菌作用を調べた。
結果を表3、表4に示す。枠内の数字をハローの直径(単位ミリメートル)で示す。
【0048】
【表3】


【0049】
実施例1、実施例2および実施例3で処理したタマネギは、コントロール1,2,3および4のタマネギと比較して、同等以上の抗菌性を有していた。
【0050】
【表4】


【0051】
実施例1で処理したタマネギは元の0.3倍以上の濃度において、コントロール1、2、3および4のタマネギと比較して同等以上の抗菌性を有していた。
【0052】
実施例4
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、ンチング処理を施した。室温まで冷却した後、プロセッサにてさらにこれを粉砕した。得られた粉砕タマネギに重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレ3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、ステンレス容器に投入し、60℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が40℃の状態を3分間保持するブラス容器に投入し、ナガセ生化学製セルラーゼXP425をタマネギ1kgに対して1g(10000ユニット)、およびノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−Lをタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0053】
実施例5
雰囲気温度60℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が60℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例4と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0054】
実施例6
雰囲気温度100℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が100℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例4と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0055】
実施例7
1.2気圧に加圧された雰囲気温度120℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が120℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例4と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0056】
実施例8
1.3気圧に加圧された雰囲気温度130℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が130℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例4と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0057】
実施例2、実施例4、実施例5、実施例6、実施例7および実施例8で得た液状化タマネギの官能を評価した。評価は8名からなるパネラーによって5段階で行った。表中の−は全く感じられない、±は知覚できる下限である。+は少し感じられる、++は強く感じられる、および+++はかなり強く感じられることを示す。結果を表5に示す。
【0058】
【表5】


【0059】
実施例2、実施例5および実施例6で処理したタマネギは、明らかにタマネギ臭および刺激臭および辛みおよび苦みが減少していた。また、旨みが増加していた。しかし実施例4で処理したタマネギは、旨みを示さなかった。さらに、実施例7で処理したタマネギは、旨みが実施例2、実施例5および実施例6より減少し、実施例8で処理したタマネギは実施例7より旨みが更に減少した。この事から、ブランチング処理に適した処理温度は60〜100℃であることがわかる。
【0060】
実施例9
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、ステンレス容器に投入し、雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を1分間保持するブランチング処理を施した。次に、室温まで冷却した後、プロセッサにてさらにこれを粉砕した。得られた粉砕タマネギに重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、ナガセ生化学製セルラーゼXP425をタマネギ1kgに対して1g(10000ユニット)、およびノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−Lをタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0061】
実施例10
雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を10分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例9と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0062】
実施例11
雰囲気温度80℃の蒸気で47分間蒸してタマネギの品温が80℃の状態を20分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例9と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0063】
実施例12
雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を30分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例9と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0064】
実施例13
雰囲気温度80℃の蒸気で蒸してタマネギの品温が80℃の状態を40分間保持するブランチング処理を施した以外は、実施例9と同様の方法により液状化タマネギを得た。
【0065】
実施例2、実施例9、実施例10、実施例11、実施例12および実施例13のタマネギの官能について評価した。評価は8名からなるパネラーによって5段階で行った。表中の−は全く感じられない、±は知覚できる下限である。+は少し感じられる、++は強く感じられる、および+++はかなり強く感じられることを示す。結果を表6に示す。
【0066】
【表6】


【0067】
実施例9および実施例10で処理したタマネギは、実施例2と同等に明らかにタマネギ臭および刺激臭および辛みおよび苦みが減少していた。また、旨みが増加していた。しかし実施例11および実施例12で処理したタマネギは、実施例2、実施例8および実施例9よりも旨みが減少していた。さらに、実施例13で処理したタマネギは、旨みをほとんど示さなかった。この事から、ブランチング処理に適した処理時間は1〜10分間であることがわかる。
【0068】
実施例14
外皮を剥皮し、芽及び根を除去したタマネギ(品種:もみじ3号)を洗浄し、3mm×3mm×5mmの大きさにカット処理した後、ステンレス容器に投入し、温度80℃の湯中で湯浴してタマネギの品温が80℃の状態を3分間保持するブランチング処理を施した。次に、室温まで冷却した後、プロセッサにてさらにこれを粉砕した。得られた粉砕タマネギに重量比で10分の1倍量の水を添加し、ステンレス容器に投入し、ナガセ生化学製セルラーゼXP425をタマネギ1kgに対して1g(10000ユニット)、およびノボノルディスク製PECTINEX ULTRA SP−Lをタマネギ1kgに対して3g(78000ユニット)添加し、40℃にて18時間静置し、分解した。分解物を東洋ろ紙製定性ろ紙No.2でろ過し、液状化タマネギを得た。
【0069】
実施例2および実施例14のタマネギの、官能について評価した。評価は8名からなるパネラーによって5段階で行った。表中の−は全く感じられない、±は知覚できる下限である。+は少し感じられる、++は強く感じられる、および+++はかなり強く感じられることを示す。結果を表7に示す。
【0070】
【表7】


【0071】
実施例14で処理したタマネギは、実施例2と同等に明らかにタマネギ臭および刺激臭および辛みおよび苦みが減少していた。また、旨みが増加していた。このことから、ブランチング処理は湯浴でも蒸気中と同等に行えることがわかる。
【0072】
実施例15
実施例1,2および3で得られたタマネギにクエン酸0.1%、トレハロース0.1%を加え、ジュースとした。得られたジュースはクエン酸の酸味、トレハロースの甘み、トレハロースの臭気マスキングの効果により実施例1,2,3よりもさらに飲みやすく、爽やかな味、匂いとなった。
【0073】
実施例16
実施例1,2および3で得られたタマネギを−80℃、0.1気圧で凍結乾燥処理した。得られたタマネギパウダーは、旨みが有り、タマネギ特有の苦み、臭みが減少していた。
【0074】
【発明の効果】
本発明によれば、タマネギを酵素処理で液状化することにより、タマネギ中の成分を飲用により手軽に摂取し、あるいは該成分を食品素材の形態、食感に左右されず添加することが可能になる。本発明の方法によって得られる液状化たまねぎは、タマネギ特有の臭み、苦みが減少し、旨みが増加されることから、従来、不可能であると思われていた飲用による摂取が可能となり、また、様々な食品へ添加することが可能である。
【出願人】 【識別番号】000001096
【氏名又は名称】倉敷紡績株式会社
【住所又は居所】岡山県倉敷市本町7番1号
【識別番号】390000664
【氏名又は名称】日本ジフィー食品株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区久太郎町2丁目4番31号
【出願日】 平成14年6月28日(2002.6.28)
【代理人】 【識別番号】100062144
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 葆

【識別番号】100086405
【弁理士】
【氏名又は名称】河宮 治

【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子

【公開番号】 特開2004−33022(P2004−33022A)
【公開日】 平成16年2月5日(2004.2.5)
【出願番号】 特願2002−190650(P2002−190650)