|
|
【発明の名称】 |
冷菓用安定剤及び該安定剤を含有する冷菓 |
| 【発明者】 |
【氏名】西川 忠信 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内 【氏名】片岡 陽平 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1−1−11三栄源エフ・エフ・アイ株式会社内 |
【課題】乳固形分及び乳脂肪分が少ない冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、ボディ感、濃厚感、コク味を付与し、かつ乳化剤を使用しない系でも十分な保形性を与える冷菓を提供する。また、乳固形分および乳脂肪分が多い冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、油脂由来の粘りやぬめり、しつこさを抑え、後切れや口溶けのすっきり感を付与することができる冷菓を提供する。
【解決手段】冷菓用安定剤として、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉あるいはこんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を含有する。更には、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用することで冷菓の安定性を改良する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を含むことを特徴とするラクトアイス用安定剤。 【請求項2】 更に、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用する請求項1に記載の冷菓用安定剤。 【請求項3】 請求項1又は2に記載のラクトアイス用安定剤を、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉のラクトアイス中の添加量が0.1〜5重量%含むように添加することを特徴とするラクトアイス。 【請求項4】 更に、乳化剤を0.001〜0.5重量%含有する請求項3に記載のラクトアイス。 【請求項5】 こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を含むことを特徴とする冷菓用安定剤。 【請求項6】 タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用する請求項5に記載の冷菓用安定剤。 【請求項7】 請求項5又は6に記載の冷菓用安定剤を、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品の冷菓中の含有量が0.01〜0.3重量%となるように添加することを特徴とする冷菓。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、冷菓用安定剤に関する。詳細には、JAS(日本農林規格)でラクトアイスに該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、アイスクリーム(乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上)様のボディ感、濃厚感、コク味を付与し、かつ乳化剤を使用しない系でも十分な保形性を与える冷菓用安定剤及び該安定剤を含有してなるラクトアイスに関する。 また、JASでアイスクリームに該当するような乳固形分および乳脂肪分が多い冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、油脂由来の粘りやぬめり、しつこさを抑え、後切れや口溶けのすっきり感を付与することができる冷菓用安定剤及び該安定剤を含有してなる冷菓に関する。 【0002】 【従来の技術】 JAS(日本農林規格)でラクトアイスに該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、冷菓にボディ感、濃厚感、コク味を付与すること、かつ、それが乳化剤を使用しない系でも十分な保形性を与えることができるラクトアイスの開発が望まれている。 【0003】 また、冷菓の食感を改良するために、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉や未加工の澱粉を添加する方法は知られている。例えば「アイスクリーム類の製造法」(特許文献1)では化学的に未変性なタピオカ澱粉、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉又はそれらの混合物である澱粉と天然ゲル化剤を使用してプリン様又はカスタード様の食感を有するアイスクリーム類を製造する方法が、「冷菓及びその製造法」(特許文献2)では全固形分を30〜60%に調整し、かつ澱粉、好ましくはタピオカ澱粉を使用してもちのようにのびる新規な食感を有する冷菓を製造する方法が、「フローズンデザート」(特許文献3)では加工澱粉及び澱粉分解物を使用してアイスクリーム類にクリーミーな食感を付与する方法が、「アイスクリーム類の製造法」(特許文献4)では澱粉分解物を使用してアイスクリーム類にコク味を付与する方法が挙げられる。 【0004】 しかし、これらに記載されている加工澱粉や未加工の澱粉を添加しても、ラクトアイスのような乳固形分や乳脂肪分が少ない冷菓に対し、適度な口とけ感を維持しながらボディ感や濃厚感を付与することはできず、このような効果を有する安定剤が求められていた。なおかつ乳化剤を使用しなくても保形性に優れたアイスクリーム類を調製することができれば産業上の利用価値は大きい。 【0005】 一方、こんにゃく粉の主成分であるグルコマンナンが、食感改良(なめらかな舌触り付与)、乳化、気泡形成等の冷菓安定剤としての使用できることが知られている(特許文献5、特許文献6、特許文献7)。中でも、甘草またはステビアより抽出された高甘味度甘味物質及び膨潤して分散しているグルコマンナン微粒子を含有するアイスクリーム様食品が、コク感、ボディ感、風味、舌触り等においてアイスクリームに劣る低脂肪のアイスクリーム様食品を改良し、乳脂肪分が少なくてもアイスクリームらしい性状とおいしさを備えたものとなることが記載されている(特許文献8)。しかし、これらは、固形分が低くコクが出にくい処方でも、グルコマンナンを添加することでコク感やボディ感、濃厚感を付与する趣旨のものであり、使用量によっては、粘りが出過ぎたり、高甘味度甘味物質を併用して使用することが必須となっている。 【0006】 また、JAS規格で言うアイスクリームのような乳固形分や乳脂肪分が多い系の冷菓には、油脂由来の粘りやぬめりが生じたり、味がしつこくなる場合がある。このような場合に、後切れや口溶けのすっきり感を付与することができる冷菓用安定剤が求められていた。 【0007】 【特許文献1】第2725774号公報 【特許文献2】特開2002−272383号公報 【特許文献3】特開平11−332468号公報 【特許文献4】特開平7−50994号公報 【特許文献5】特開昭57−189644号公報、 【特許文献6】特公平3−46098号公報、 【特許文献7】特開平8−84561号公報 【特許文献8】特開平11−299426号公報 【0008】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、JASでラクトアイス(乳固形分3%以上10%未満、乳脂肪分3%未満)に該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、アイスクリーム(乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上)様のボディ感、濃厚感、コク味を付与し、かつ乳化剤を使用しない系でも十分な保形性を与える冷菓用安定剤及び該安定剤を含有してなるラクトアイスを提供することを目的とする。 【0009】 また、JASでアイスクリーム(乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上)に該当するような乳固形分および乳脂肪分が多い冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、油脂由来の粘りやぬめり、しつこさを抑え、後切れや口溶けのすっきり感を付与することができる冷菓用安定剤及び該安定剤を含有してなる冷菓を提供することを目的とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記従来技術の問題点に鑑み、鋭意研究を重ねていたところ、JASでラクトアイスに該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に、ラクトアイス用安定剤として、一定量のタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を配合することで、フレーバーリリースを低下させることなく、アイスクリーム様のボディ感、濃厚感、コク味が付与され、かつ乳化剤を使用しない系でも十分な保形性が得られることを見出した。 【0011】 また、JASでアイスクリームに該当するような乳固形分および乳脂肪分が多い冷菓に、冷菓用安定剤として、一定量のこんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を配合することで、フレーバーリリースを低下させることなく、油脂由来の粘りやぬめり、しつこさを抑え、後切れや口溶けのすっきり感が付与されることを見出した。 【0012】 更に、当該ラクトアイス又は冷菓用安定剤に、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用することにより、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を含むラクトアイス用安定剤は、より低濃度のタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉の添加で食感改良及び保形性改良が得られること、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を含む冷菓用安定剤は、ラクトアイスや氷菓に該当するようなコクやボディ感が感じられにくい冷菓に対して、すっきりした食感を維持したままコクやボディ感を付与することを見出し、最終的に本発明を完成させるに至った。 【0013】 すなわち本発明は、以下の態様を有する; 項1.タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を含むことを特徴とするラクトアイス用安定剤。 項2.更に、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用する項1に記載の冷菓用安定剤。 項3.項1又は2に記載のラクトアイス用安定剤を、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉のラクトアイス中の添加量が0.1〜5重量%含むように添加することを特徴とするラクトアイス。 項4.更に、乳化剤を0.001〜0.5重量%含有する項3に記載のラクトアイス。 【0014】 項5.こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を含むことを特徴とする冷菓用安定剤。 項6.タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用する項5に記載の冷菓用安定剤。 項7.項5又は6に記載の冷菓用安定剤を、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品の冷菓中の含有量が0.01〜0.3重量%となるように添加することを特徴とする冷菓。 【0015】 【発明の実施の形態】 まず、本発明のラクトアイス用安定剤は、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を含むことを特徴とする。 【0016】 本発明のラクトアイス用安定剤に使用するタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉は、タピオカ澱粉を原料とし、澱粉のヒドロキシル基をヒドロキシプロピル基等のエーテル基に変換して安定化するとともに、リン酸基やアジピン酸基を導入して架橋処理を施したものであり、化工の程度は特に制限されない。 【0017】 タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉は食品業界で用いられており、その製造方法も公知である(例えば、参考文献1:「加工澱粉の具体的使用方法について」食品技術加工 Vol. 18 No. 3 pp.30−35 (1998);参考文献2:Handbook of Water Soluble Gums and Resins, R.L. Davidson (Ed), Mc Grawhill, Inc., NY, 1980;参考文献3: Starch Chemistry and Technology, 2nd ed, Whistler et al. (Ed), Academic Press, Inc., Orlando, 1984;参考文献4:Modified Starch: Properties and Uses, Wurzburg, O.B., CRC Press, Inc., Florida, 1986等を参照のこと)。エーテル化処理により、糊化温度が低下するとともに老化耐性や冷凍・解凍耐性が高まることから、さらに架橋処理により機械耐性が高まることから、加工食品全般に用いられている。 【0018】 タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉の製造方法として、具体的には、原料澱粉をプロピレンオキサイドによりヒドロキシプロピルエーテル化処理し、安定化させた後、オキシ塩化リンを用いてリン酸架橋処理を施し、架橋化する方法を例示することができる。 【0019】 これらのタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉は商業上入手することができ、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のビストップ[商標]D−2501、日本エヌエスシー株式会社製のナショナルフリジェックス等を挙げることができる。 【0020】 本発明におけるタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉は、冷菓最終製品に対して、0.1〜5重量%、好ましくは、0.2〜3重量%、更に好ましくは0.5〜2重量%となるように添加することが好ましい。 【0021】 本発明におけるラクトアイス用安定剤では、かかるタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉の他に、タマリンド種子多糖類、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム等のガム質、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ペクチン等のゲル化剤、CMC、微結晶セルロース、大豆多糖類等を使用することも可能である。 【0022】 中でも、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用することが好ましい。更に好ましい組み合わせはグァーガム、ローカストビーンガム及びカラギナンであり、一般的に入手可能な製品として、例えば三栄源エフ・エフ・アイ社製のサンベスト[商標]NN−305を挙げることができる。かかる安定剤の添加量としては、最終製品中0.01〜0.5重量%、好ましくは0.05〜0.4重量%、更に好ましくは、0.1〜0.3重量%である。 【0023】 本発明では、前述のラクトアイス用安定剤の添加方法は特に制限されず、前記タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を含有する安定剤とその他の安定剤をそれぞれ別個に添加しても良いし、一剤化して添加しても良い。また、前述のタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉、安定剤の他にも、例えば、糖類、大豆や小麦や乳由来のタンパク質、油脂等を必要に応じて添加することができる。 【0024】 更に、本発明は前記ラクトアイス用安定剤を含有する、ラクトアイスに該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に関するものである。本発明でいうラクトアイスとは、具体的には、乳固形分が3%以上10%未満、乳脂肪分が3%未満である冷菓のことを言う。 【0025】 本発明の冷菓用安定剤をラクトアイスに使用することにより、フレーバーリリースを低下させることなく、アイスクリーム様のボディ感、濃厚感、コク味が付与される。 【0026】 ラクトアイスには、主にその保形性や起泡性を改良する目的で、例えば、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン等の乳化剤が配合される場合が多いが、好ましくはグリセリン脂肪酸エステル類である。しかし、最近では天然物志向の強まりにより、合成乳化剤の使用を低減する傾向がある。本発明のラクトアイス用安定剤をラクトアイスに配合することにより、乳化剤を使用しない系でも十分な保形性が得られるが、乳化剤を併用すると、より一層保形性を改良することが出来る。 また、ミックスの安定性を改良し、オーバーランを高めることができる。乳化剤の添加量としては、ラクトアイス中、前記例示した乳化剤から選ばれる1種又は2種以上を0.001〜0.5重量%添加することが出来る。 【0027】 本発明のラクトアイスには、前述のラクトアイス用安定剤を添加する以外は、本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の冷菓と同様の構成をとることができ、水、タンパク質、糖質、油脂、無脂乳固形、着香料、着色料等より選択された原材料が用いられる。 【0028】 ここで、タンパク質としては、通常、牛乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、全脂加糖練乳、脱脂加糖練乳或いは生クリームなどの乳由来のタンパク質や、卵由来のタンパク質が好適に用いられる。 【0029】 また、糖質としては、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類をあげることができる。また、サッカリンナトリウム、サイクラメート及びその塩、アセスルファムカリウム、ソーマチン、アスパルテーム、スクラロース、アリテーム、ステビア抽出物に含まれるステビオサイドなどの高甘味度甘味料等も添加してもよい。 【0030】 油脂としては、大豆油、菜種油、綿実油、コーン油、ひまわり油、オリーブ油、サフラワー油、パーム油、パーム核油及びヤシ油等の植物油脂あるいはこれらの分別油脂、硬化油脂、エステル交換油脂等の中から一種又は二種以上を併用することができる。 着香料や着色料は、公知のアイスクリーム生地に添加されるものが選択されて用いられる。 【0031】 本発明に係るラクトアイスは、前述のラクトアイス用安定剤を添加する以外は常法により製造することができる。具体的には、原料の秤量混合→加温(30〜80℃)→溶解・混合→濾過→ホモジナイズ→殺菌(68℃、30分以上またはHTST殺菌やUHT殺菌)→冷却(5℃以下)→熟成(殺菌冷却したミックスを0〜5℃に保持し、水和をはかる)→フレーバー添加→フリージング(オーバーラン80%)→充填の工程より必要な工程を適宜選択して製造することができる。本発明の冷菓用安定剤は、通常、原料の秤量混合工程中、他の原料と合わせて秤量混合することができる。 【0032】 次に、本発明は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて調製した乾燥こんにゃく加工品を含むことを特徴とする冷菓用安定剤に関する。 【0033】 本発明で使用する乾燥こんにゃく加工品は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて複合組成物としたものであり、粒状、糸状、粉末状等の任意形状を有するように加工されたものである。本発明の乾燥こんにゃく加工品に用いるこんにゃく粉は、通常用いられているこんにゃく粉や、生こんにゃく芋の乾燥粉砕品等を使用することが出来る。糖質は、例えば、ショ糖、乳糖、麦芽糖、ブドウ糖、果糖、転化糖、水飴、粉末水飴、還元麦芽水飴、蜂蜜、トレハロース、トレハルロース、ネオトレハロース、パラチノース、D−キシロース等の糖類;キシリトール、ソルビトール、マルチトール、エリスリトール等の糖アルコール類などを使用することが出来るが、好ましくは水飴である。澱粉は、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ等のトウモロコシ由来のでんぷん;タピオカでんぷん;サツマイモ由来のでんぷん、ジャガイモ由来のでんぷん、サゴヤシ由来のでんぷん等やそれらの加工澱粉を適宜選択して用いることができる。 【0034】 乾燥こんにゃく加工品の加工方法は、こんにゃく粉、糖質及び澱粉を合わせて複合物として乾燥加工品とすることができ、水中で膨潤できるようなものに加工できればどのような製法を採ってもよい。好ましい製造方法として、コンニャク芋から常法にてグルコマンナンを抽出して乾燥し、澱粉と混合し、水を添加して膨潤し、少量のアルカリを添加することによる脱アセチル化処理を行った後、成型、加熱ゲル化、中和、糖質溶液浸漬、乾燥することで製造する例を挙げることができる。更には、特許第2866609号或いは特許第3159104号に記載の方法で製造することができる。 【0035】 また、乾燥こんにゃく加工品中のこんにゃく粉、糖質及び澱粉の組成も、特に制限されないが、乾燥こんにゃく加工品中、こんにゃく粉5〜30重量%、水飴30〜90重量%、澱粉5〜30重量%の範囲となるように、任意に調整することができる。 【0036】 なお、乾燥こんにゃく加工品は、粉末状、粒状、糸こんにゃくのような糸状といった任意の形態をとることができるが、好ましくは、粉末状態のものである。 粉末の度合いとしては、50メッシュ篩過のものがよく、好ましくは、80メッシュ篩過、更に好ましくは、120メッシュ篩過である。このような粉末状態を採ることにより、更に冷菓の口溶けを改良することができる。 【0037】 このような製剤は、商業上入手することができ、例えば、アイレス株式会社製の乾燥こんにゃくや、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンスマート400等のサンスマートシリーズを挙げることができる。 【0038】 かかる乾燥こんにゃく加工品の添加量は、冷菓最終製品に対して、0.01〜0.3重量%、好ましくは、0.1〜0.2重量%となるように添加することが好ましい。 【0039】 本発明の冷菓用安定剤には、かかる乾燥こんにゃく加工品の他に、タマリンド種子多糖類、グァーガム、ローカストビーンガム、トラガントガム、タラガム、カラヤガム、キサンタンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、アラビアガム、マクロホモプシスガム等のガム質、カラギナン、寒天、ゼラチン、ペクチン、カードラン、グルコマンナン、アルギン酸類(アルギン酸、アルギン酸塩)、ペクチン等のゲル化剤、CMC、微結晶セルロース、大豆多糖類等を使用することも可能である。 【0040】 中でも、タマリンド種子多糖類、グァーガム、カラギナン、キサンタンガム、ローカストビーンガム、ジェランガム、ネイティブジェランガム、寒天、ゼラチン及びグルコマンナンから選ばれる1種又は2種以上を併用することが好ましく、更に好ましい組み合わせは、タマリンド種子多糖類及びグァーガムである。かかる安定剤の添加量としては、最終製品中0.01〜0.3重量%、好ましくは、0.2〜0.3重量%を挙げることができる。 【0041】 本発明の冷菓用安定剤の添加方法であるが、微粉末の乾燥こんにゃく加工品と安定剤をそれぞれ別に添加しても良いし、一剤化して添加しても良い。一剤化した製品も上市されており、例えば、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製のサンベストNN−579などを挙げることができる。 【0042】 本発明の冷菓用安定剤には、前述の乾燥こんにゃく加工品、安定剤の他にも、糖類、でんぷん、油脂、大豆や小麦や乳由来のタンパク質、油脂等を必要に応じて添加することができる。 【0043】 更に、本発明は乾燥こんにゃく加工品を含む冷菓用安定剤を含有する冷菓に関するものである。 本発明が対象とする冷菓は、目的とする製品により種々の構成をとることができ、例えば、アイスクリーム類(アイスクリーム(JAS規格にて乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上)、アイスミルク(同乳固形分8%以上、乳脂肪分3%以上)、ラクトアイス(同乳固形分3%以上、乳脂肪分規定なし);ソフトクリーム;アイスケーキ、クラッカーサンドアイス、不凍アイスケーキ、コーン入りアイス、カップ入りアイス、アイスもなか;シャーベット;アイスキャンデー、かき氷、みぞれ等の氷菓;フローズンヨーグルト、シェイク等があげられる。 また冷菓の形態について、コーティングアイスクリーム、アイスキャンデー、不凍アイスケーキ、コーン入り、カップ入り、もなかに内在させる等、どの様な形態を採っても良い。また、冷菓ボディ部だけでなく、冷菓の中にトッピングやソースを含有したような組合せ冷菓のトッピング部、ソース部にも使用することが出来る。 【0044】 中でも、JAS(日本農林規格)でアイスクリームに該当するようなクリームや油がリッチな冷菓で、クリームや油分由来の粘りやぬめり、しつこさが冷菓の食感に影響を与えるものや、JASでラクトアイスや氷菓に該当するようなクリームや油分の含有量が少ない冷菓で、コク感やボディ感を与えるために、別途冷菓用安定剤を添加するような系のものに有用である。 【0045】 本発明の冷菓には、前記冷菓用安定剤を添加する以外は本発明の効果に影響を与えない限りにおいて、通常の冷菓と同様に構成をとることができ、水、前述のタンパク質、糖質、油脂、乳化剤、無脂乳固形分、着香料、着色料、等より選択された添加材料を、所定の割合で混合させ溶融したものが用いられる。 【0046】 乳化剤としては、例えば、クエン酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド等の有機酸モノグリセリド類、グリセリン脂肪酸エステル類、ポリグリセリン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、プロピレングリコール脂肪酸エステル類、レシチン等の乳化剤が配合される場合が多い。 【0047】 本発明に係る冷菓は、前記冷菓用安定剤を添加する以外は常法により製造することができる。例えば、アイスクリーム類の場合、原料の秤量混合→加温(30〜70℃)→溶解・混合→濾過→ホモジナイズ→殺菌(68℃、30分以上またはHTST殺菌やUHT殺菌)→冷却(5℃以下)→熟成(殺菌冷却したミックスを0〜5℃に保持し、水和をはかる)→フレーバー添加→フリージング→充填の工程より必要な工程を適宜選択して製造することができ、本発明の冷菓用安定剤は、通常、原料の秤量混合工程中、他の原料と合わせて秤量混合することができる。 【0048】 本発明の乾燥こんにゃく加工品を含有する冷菓用安定剤を冷菓に添加することにより、JASでアイスクリームに該当するような乳固形分および乳脂肪分が多い冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、油脂由来の粘りやぬめり、しつこさを抑え、後切れや口溶けのすっきり感を付与することができる。また、JAS(日本農林規格)でラクトアイスに該当するような乳固形分および乳脂肪分が少ない冷菓に対しては、フレーバーリリースを低下させることなく、アイスクリーム(乳固形分15%以上、乳脂肪分8%以上)様のボディ感、濃厚感、コク味を付与し、かつ乳化剤を使用しない系でも十分な保形性を与えることができるようになった。 【0049】 【実施例】 以下、本発明の内容を以下の実施例、比較例等を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。なお、処方中、特に記載のない限り単位は重量部とし、文中*印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中※印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を示す。 【0050】 実施例1:ラクトアイス用安定剤(タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉含有)を添加したラクトアイス (1)ラクトアイスの調製 タピオカ由来エーテル化架橋澱粉である「ビストップ※D−2501」(タピオカ由来エーテル化架橋澱粉含量90%、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)と、冷菓用安定剤として「サンベスト※NN−305」(グァーガム71%、ローカストビーンガム8.8%、カラギナン2.7%を含有する混合製剤、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)、乳化剤として、「ホモゲン※DM」(グリセリン脂肪酸エステル100%、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を使用し、表1の処方に従って実施例1−a〜1−dのラクトアイス(乳固形分7.7%、乳脂肪分<0.1%)を調製した。 【0051】 具体的には、果糖ぶどう糖液糖、水あめ、および脱イオン水の混液を80℃まで加温後、乳化剤を加えて10分間攪拌して、液温を65℃に調整後、脱脂粉乳、グラニュー糖、冷菓用安定剤、およびタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を添加して10分間攪拌する。更に、やし油を加えて更に5分間攪拌、14.7Mpaで均質化し、80℃10分間加熱殺菌で加熱溶解後、脱イオン水を用いて重量補正し、得られたミックスを5℃まで冷却し、5℃でエージング後、フレーバーを添加し、80%オーバーランまでフリージングし、カップ充填し、−40℃で急速凍結し、ラクトアイスを調製した。 【0052】 比較例として、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を使用しない以外は実施例1−dと同様の方法で調製したラクトアイス(比較例1−a)、同じくタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉を使用せず、乳化剤を使用したラクトアイス(比較例1−b)、同じくタピオカ由来のエーテル化架橋澱粉の代わりにタピオカ由来の酸化澱粉を使用し、乳化剤を使用したラクトアイス(比較例1−c)を調製した。 【0053】 【表1】
【0054】 (2)評価 調製3日後に、食感(フレーバーリリース、口どけ、濃厚感、滑らかさ)および保形性について評価した。なお、−18℃で一晩保存して各種測定に供した。「食感」: 3名の熟練したパネリストにより、5段階(1: 悪い、2: やや悪い、3: やや良い、4: 良い、5: 非常に良い)で評価した。 「保形性」:試料100gを14mmメッシュサイズの金網上に載せ、25℃ 1時間放置した。保形性は、初期重量(100g)に対する融解した試料重量の比率より算出した(即ち、数値が大きいほど保形性が悪い)。結果を表2に示す。 【0055】 【表2】
【0056】 ラクトアイス中、タピオカ由来エーテル化架橋澱粉を配合することにより、フレーバーリリース、口どけ感を損なわず、濃厚感、滑らかさを付与することができた。乳固形分の少ないラクトアイスを、アイスクリーム類似の高級感のある、リッチな食感に改良することが可能であった。乳化剤を使用しない系でも、乳化剤使用品とほぼ同等の食感を再現することができた。 また、タピオカ由来のエーテル化架橋澱粉の配合により保形性を改良することができ、乳化剤共存系でより効果的であった。 【0057】 実施例2:冷菓用安定剤(乾燥こんにゃく加工品)含有バニラアイスクリーム 下記の処方通り原料の秤量を行い、混合、80℃で加熱溶解後、得られたミックスを濾過、殺菌(68℃、30分)、冷却し、5℃にてエージングし、約10分間フリージング後、充填してアイスクリーム(JAS規格でいうアイスクリームに相当、乳固形分16.2%、乳脂肪分8.0%)を調製した。 【0058】
【0059】 【表3】
【0060】 表3より、どの比較例と比べても、実施例の120メッシュ篩過粉末乾燥こんにゃく加工品及び冷菓用安定剤(タマリンド種子多糖類及びグァーガム)添加品は、フレーバーリリース、口溶けが良く、なおかつ、コクやボディ感が感じられる良好な食感となった。それに対し、粉末乾燥こんにゃく加工品を添加しない比較例2−aは、コクがあるが粘りが感じられ、口溶けが悪く、また、80メッシュ篩過グルコマンナンである比較例2−bは、フレーバーリリースが悪く、粘りが出過ぎていた。 【0061】 実施例3:冷菓用安定剤(乾燥こんにゃく加工品含有)を添加したラクトアイス下記の処方通り原料の秤量を行い、混合、80℃で加熱溶解後、得られたミックスを濾過、殺菌(68℃、30分)、冷却し、5℃にてエージングし、10分間フリージング後、充填してラクトアイス(乳固形分3.3%、乳脂肪分<0.1%)を調製した。 【0062】
【0063】 【表4】
【0064】 表4より、比較例と比べ、実施例の120メッシュ篩過粉末乾燥こんにゃく加工品及び冷菓用安定剤(タマリンド種子多糖類及びグァーガム)添加品は、口溶けが良く、さっぱりとしているにもかかわらず、コクが感じられ、良好な食感であった。それに対して、粉末乾燥こんにゃく加工品無添加の比較例3−bは、コク感は感じられるものの、口溶けが悪かった。 【0065】 実施例4:冷菓用安定剤(乾燥こんにゃく加工品)を添加したソフトクリーム 下記の処方通り原料の秤量を行い、混合、80℃で加熱溶解後、得られたミックスを濾過、UHT殺菌(130℃、3秒)後、無菌充填し、ソフトクリームミックスを調製した。このミックスを市販のフリーザーでフリージングして、ソフトクリームを調製した(乳固形分17.2%、乳脂肪分7.2%)。得られたソフトクリームは、コクがあり食べ応えのあるおいしいものとなった。 【0066】
【0067】 ※冷菓用安定剤配合 カラギナン2%、アルギン酸ナトリウム25%、メタリン酸ナトリウム14%、カルボキシメチルセルロースナトリウム7%、乾燥こんにゃく加工品(サンスマート400*)30%、グァーガム20%、ブドウ糖2% 【0068】 実施例5:乾燥こんにゃく加工品を添加した冷菓用ストロベリーソース 下記、ストロベリーソース処方のうち、予め冷菓用安定剤(サンベスト※NN−579*、乾燥こんにゃく加工品66.7%含有)と水飴とを混合し、水を加えて80℃10分間攪拌加熱溶解した後、イチゴ果汁、砂糖を加え、80℃5分間加熱したのち、香料、色素、研鑽を添加して、全量補正後、容器充填し80℃30分間殺菌した後、冷却して、冷菓用ストロベリーソースを作成した。 このソースをトッピングしたアイスクリームを調製したが、ソースの粘度やぬめりは感じられず、軽い口当たりとなった。 【0069】
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000175283 【氏名又は名称】三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 【住所又は居所】大阪府豊中市三和町1丁目1番11号
|
| 【出願日】 |
平成15年4月17日(2003.4.17) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2004−81197(P2004−81197A) |
| 【公開日】 |
平成16年3月18日(2004.3.18) |
| 【出願番号】 |
特願2003−113494(P2003−113494) |
|