トップ :: A 生活必需品 :: A23 食品または食料品;他のクラスに包含されないそれらの処理




【発明の名称】 低カフェインの茶葉からの抗アレルギー成分含有機能性飲食品
【発明者】 【氏名】山本 万里

【氏名】永井 寛

【要約】 【課題】抗アレルギー飲食品用素材として、カフェインの量を低減させた多量にかつ継続して摂取可能な茶葉の提供。

【解決手段】「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「おくみどり」、「かなやみどり」、「するがわせ」、「べにひかり」、「やまかい」、「ゆたかみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」のいずれかの生葉を85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水し、慣行の蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経るか、もしくは精揉工程を省いて荒茶とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉から荒茶を製造する方法であって、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬する温水浸漬工程と、この温水浸漬工程を経てきた生葉の脱水を行う脱水工程を行うことを特徴とする脱カフェイン工程。
【請求項2】
請求項1記載の抗アレルギー成分を含有している茶葉から脱カフェインを行ってから、荒茶を製造する際の蒸熱工程を行うことを特徴とする荒茶の製造方法。
【請求項3】
抗アレルギー性食品素材製造用の荒茶の製造方法である請求項1または2記載の荒茶の製造方法。
【請求項4】
前記抗アレルギー成分を含有している茶葉が、アッサム雑種の茶の茶葉、中国種の茶の茶葉、台湾系統の茶の茶葉、もしくはこれらの混合物のいずれかである請求項1から3いずれか記載の荒茶の製造方法。
【請求項5】
前記抗アレルギー成分を含有している茶葉が、前記抗アレルギー成分を含有している茶葉が、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉である請求項1から4いずれか記載の荒茶の製造方法。
【請求項6】
前記抗アレルギー成分が、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下EGCG3”Meとする)、エピガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)、及びストリクチニンからなる群より選ばれる1以上のものである請求項1から4いずれか記載の荒茶の製造方法。
【請求項7】
荒茶を製造する際の蒸熱工程よりも前に、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水をして前記生葉から脱カフェインを行う脱カフェイン工程を含む、抗アレルギー成分を含有している茶葉の二番茶、三番茶、もしくは秋芽の改質方法。
【請求項8】
抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉に対して、荒茶を製造する際の蒸熱工程を行う前に、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後に脱水を行うことによって、前記抗アレルギー成分を含有している茶葉から脱カフェインが行われた、荒茶製造用の脱カフェイン原料茶。
【請求項9】
請求項8記載の脱カフェイン原料茶を原料にして得られた荒茶。
【請求項10】
請求項9記載の荒茶が再製されることによって得られた仕上げ茶。
【請求項11】
請求項8又は9記載の荒茶又は仕上げ茶の浸出液が含有されている機能性飲食品。
【請求項12】
請求項8又は9記載の荒茶又は仕上げ茶の粉砕物が含まれている機能性飲食品。
【請求項13】
請求項8又は9記載の荒茶又は仕上げ茶が封入されているティーバッグ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」等の抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉に含まれている抗アレルギー成分であるエピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下EGCG3”Meとする)、エピガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)、ストリクチニンの含有量を保持しながらカフェインの含有量を低減するようにして製造した荒茶/仕上げ茶、それらの茶抽出物や茶粉砕物を使用した機能性飲食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
アレルギー患者が潜在的な患者を含めて3000万人とも言われており、乳幼児では1/3が何らかのアレルギー症状を抱えているという現状にあって、抗アレルギー作用を有する成分を手軽にかつ安心して摂取しうることに対する消費者の期待や関心は高く、それに応じた形で飲食品の開発もなされるようになってきている。
【0003】
このためのものとしては、抗アレルギー作用を有する機能性飲食品を提供するために、アッサム雑種/中国種/台湾系統の茶葉を用いることが考えられるが、抗アレルギー成分であるメチルカテキン(EGCG3”Me、EGCG4”Me)やストリクチンを含むアッサム雑種/中国種/台湾系統の茶葉にはカフェインが含まれている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−245591号公報
【特許文献2】
特開平10−067771号公報
【特許文献3】
特開平08−109178号公報
【特許文献4】
特開平05−260907号公報
【特許文献5】
特開平08−070772号公報
【特許文献6】
特開平06−116258号公報
【非特許文献1】
日本農芸化学会誌,59,917−919,1985
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、これらの茶葉を抗アレルギー性飲食品として利用する場合には、これらを多量に継続して摂取する必要があるが、これは同時にカフェインを多量に継続して摂取することにもなるため、特に乳幼児や病人等に対しては問題である(図3)。
【0006】
ところが、これらの茶葉の抗アレルギー性を維持しながら低カフェインのものにする決定打となるような方法は提供されていない。
【0007】
本発明は以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、「べにふうき」や「べにふじ」等の抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉に含まれているエピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下EGCG3”Meとする)等の抗アレルギー成分の含有量を保持しながらカフェインの含有量を低減するのに有効な製法を開発し、それによって、抗アレルギー性でありながらにしてカフェインによる害が低減されている荒茶/仕上げ茶、それらの茶抽出物や茶粉砕物を使用した機能性飲食品を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上の問題を解決するために、本発明は、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」等アッサム雑種/中国種/台湾系統のいずれかの生葉を85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水し、慣行の蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経るか、もしくは精揉工程を省いて荒茶を製造することにより、EGCG3”Me、EGCG4”Me、ストリクチニンの含有量を減らすことなくカフェイン含有量を低減化するようにしている。
【0009】
具体的には、本発明は、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」のいずれかの生葉を85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水し、蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経るか、もしくは精揉工程を省いて製造した荒茶、その荒茶を再製した仕上げ茶、それらの茶の浸出液、茶の粉砕品を使用した機能性飲食品、並びに上記の製造方法で製造された荒茶又は仕上げ茶を封入したティーバッグである。
【0010】
より具体的には、本発明は以下のようなものを提供する。
【0011】
(1) 抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉から荒茶を製造する方法であって、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬する温水浸漬工程と、この温水浸漬工程を経てきた生葉の脱水を行う脱水工程を行うことを特徴とする脱カフェイン工程。
【0012】
(2) (1)記載の抗アレルギー成分を含有している茶葉から脱カフェインを行ってから、荒茶を製造する際の蒸熱工程を行うことを特徴とする荒茶の製造方法。
【0013】
(3) 抗アレルギー性食品素材製造用の荒茶の製造方法である(1)または(2)記載の荒茶の製造方法。
【0014】
(4) 前記抗アレルギー成分を含有している茶葉が、アッサム雑種の茶の茶葉、中国種の茶の茶葉、台湾系統の茶の茶葉、もしくはこれらの混合物のいずれかである(1)から(3)いずれか記載の荒茶の製造方法。
【0015】
(5) 前記抗アレルギー成分を含有している茶葉が、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」、もしくはこれらの混合物の茶葉である(1)から(4)いずれか記載の荒茶の製造方法。
【0016】
(6) 前記抗アレルギー成分が、エピガロカテキン−3−O−(3−O−メチル)ガレート(以下EGCG3”Meとする)、エピガロカテキン−3−O−(4−O−メチル)ガレート(以下EGCG4”Meとする)、及びストリクチニンからなる群より選ばれる1以上のものである(1)から(4)いずれか記載の荒茶の製造方法。
【0017】
(7) 荒茶を製造する際の蒸熱工程よりも前に、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水をして前記生葉から脱カフェインを行う脱カフェイン工程を含む、抗アレルギー成分を含有している茶葉の二番茶、三番茶、もしくは秋芽の改質方法。
【0018】
(8) 抗アレルギー成分を含有している茶葉の生葉に対して、荒茶を製造する際の蒸熱工程を行う前に、85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後に脱水を行うことによって、前記抗アレルギー成分を含有している茶葉から脱カフェインが行われた、荒茶製造用の脱カフェイン原料茶。
【0019】
(9) (8)記載の脱カフェイン原料茶を原料にして得られた荒茶。
【0020】
(10) (9)記載の荒茶が再製されることによって得られた仕上げ茶。
【0021】
(11) (8)又は(9)記載の荒茶又は仕上げ茶の浸出液が含有されている機能性飲食品。
【0022】
(12) (8)又は(9)記載の荒茶又は仕上げ茶の粉砕物が含まれている機能性飲食品。
【0023】
(13) (8)又は(9)記載の荒茶又は仕上げ茶が封入されているティーバッグ。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明に従えば、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「やえほ」、「するがわせ」、「ゆたかみどり」、「かなやみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」、「べにひかり」、「やまかい」、「やまとみどり」、「おくみどり」のいずれかの生葉を85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水し、慣行の蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経るか、もしくは精揉工程を省いて荒茶を製造することにより、EGCG3”Me、EGCG4”Me、ストリクチニンの含有量を減らすことなくカフェイン含有量を低減化しうる。
【0025】
EGCG3”Me、EGCG4”Me、ストリクチニンは上記の荒茶、もしくは荒茶を再製した仕上げ茶から水またはアルコールで抽出される。
【0026】
EGCG3”Me、EGCG4”Me、ストリクチニンは高温で抽出されてくる。
【0027】
EGCG3”Me、EGCG4”Me及びストリクチニンは以下のような化学構造式で表される。
【0028】
【化1】


【0029】
【実施例】
[実施例1]
「べにふうき」一番茶(4月27日摘採、出開き度57%:野菜茶業研究所製造)生葉を図2に示すそれぞれの温度の湯浴に30〜120秒浸漬し、ただちに脱水後、慣行の蒸熱(60秒蒸し)、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経て緑茶を製造した。その荒茶中のカフェイン、EGCG3”Me、ストリクチニン含量をHPLC法で測定した。水分含量は常法により求め、乾物%として表した。
【0030】
遊離アミノ酸量はアミノ酸自動分析機にて分析した。
【0031】
図1に示すように、EGCG3”Meおよびストリクチニン含量を保持したまま、カフェイン含量を約半減させるには、95℃で60秒、90℃で60秒、85℃で90秒処理すればよい。また、表1に示すように、各処理とも遊離アミノ酸含量に大きな違いはなかった。浸漬処理後の取り扱いのしやすさ、緑茶の品質からみて85℃で90秒処理するのが適当であった。
【0032】
【表1】


【0033】
[実施例2]
「べにほまれ」二番茶(7月3日摘採、出開き度90%:野菜茶業研究所製造)生葉を90℃の湯浴に30、60、90、120秒浸漬し、ただちに遠心脱水後、慣行の蒸熱(60秒蒸し)、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経て緑茶を製造した。対照の茶葉と本製法による茶葉3gを熱湯150ccで3分間抽出し、官能評価を実施した。その結果、本製法による香味変化は少なく、カフェインによる苦味が抜けたことで、飲みやすくなり、嗜好飲料としても十分な性能を有していることがわかった。図2に示すように、カフェインが激減しているのにも関わらず、EGCG3”Me含量はほとんど減少しておらず、本製法による緑茶は機能性飲食品素材として十分使用しうるものと判断された。
【0034】
[実施例3]
「べにふうき」一番茶(4月27日摘採、出開き度57%:野菜茶業研究所製造)生葉を90℃の湯浴に60秒浸漬し、ただちに脱水後、慣行の蒸熱(60秒蒸し)、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経て緑茶を製造した。本茶葉30gを60℃900mlの純水で5分間抽出し、アドバンテックNo.2ろ紙にて茶殻と抽出液に分離し800mlの抽出液を得た。その後アスコルビン酸ナトリウム、重曹を添加し、3kgに希釈し、138℃で30秒殺菌処理したものを透明容器に密封充填した。37℃にて1ヶ月間保存し、外観、香味品質を確認したところ、若干のオリ、沈殿が生じたものの著しく品質を損なうものではなく、その他の外観、香味変化はほとんど見られなかった。
【0035】
【発明の効果】
以上説明したように、「べにふうき」、「べにふじ」、「べにほまれ」、「おくみどり」、「かなやみどり」、「するがわせ」、「べにひかり」、「やまかい」、「ゆたかみどり」、「青心大パン」、「青心烏龍」、「大葉烏龍」等アッサム雑種/中国種/台湾系統のいずれかの生葉を85℃〜95℃の温水に30秒〜2分浸漬後、脱水し、蒸熱、粗揉、揉捻、中揉、精揉工程を経るか、もしくは精揉工程を省いて製造した荒茶・荒茶を再製した仕上げ茶は、抗アレルギー成分であるEGCG3”Me、EGCG4”Me、ストリクチニンの含有量を保持しながらカフェインの含有量が半減しており、この緑茶を使用すれば低カフェインで抗アレルギー作用を有する機能性飲食品を製造しうることが可能となった。
【0036】
このように製造した機能性飲食品は、一般消費者が常飲食することによりアレルギーの一次予防に、アレルギー疾患に悩む多くの患者には2次予防に有用である。また、医師の適切な指導のもとでは、ステロイド等の薬の減量も実現されて、増大する医療費の節約にもつながると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】浸漬条件による各成分値の変動を示すグラフを掲載した図である。
【図2】「べにほまれ」についての二番茶温水浸漬処理による抗アレルギー成分値の変動を示すグラフを掲載した図である。
【図3】人間の年齢別カフェイン半減期、並びに、病態とカフェイン半減期の相関を示す図である。
【出願人】 【識別番号】000195568
【氏名又は名称】生物系特定産業技術研究推進機構
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構
【識別番号】596126465
【氏名又は名称】アサヒ飲料株式会社
【出願日】 平成15年1月27日(2003.1.27)
【代理人】 【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之

【公開番号】 特開2004−222682(P2004−222682A)
【公開日】 平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願番号】 特願2003−18018(P2003−18018)