| 【発明の名称】 |
活性化二酸化塩素による浴槽水および配湯管の除菌・滅菌法 |
| 【発明者】 |
【氏名】助川 征
|
| 【要約】 |
【課題】浴槽水のレジオネラ属菌を含む病原微生物菌の除菌・殺菌及び配湯管内等の生物膜(バイオフィルム)の除去に対して効率の高い除菌法を提供する。
【解決手段】二酸化塩素あるいは活性化二酸化塩素を含有する二酸化塩素剤を浴槽や配湯管に直接あるいは循環による連続接触でレジオネラ属菌等の病原微生物の除菌・殺菌や汚染微生物で構成されている生物膜(バイオフィルム)を除去させる方法である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 活性化二酸化塩素並びに二酸化塩素剤を主成分とする浴槽水の除菌・滅菌を特徴とする。 【請求項2】 活性化二酸化塩素並びに二酸化塩素を含有する水溶液であって、pH7.0以下、好ましくはpH6.0以下で使用することを特徴とする浴槽水の殺菌・滅菌法。 【請求項3】 前記活性化二酸化塩素並びに二酸化塩素剤は、溶存二酸化塩素ガス水溶液、亜塩素酸及びその塩を含有することを特徴とする請求項1及び2に記載する浴槽水の殺菌・滅菌法。 【請求項4】 前記活性化二酸化塩素並びに二酸化塩素は、安定剤により安定化された安定化二酸化塩素から発生することを特徴とする請求項1及び2に記載する浴槽水の殺菌・滅菌法。 【請求項5】 前記活性化二酸化塩素は前記二酸化塩素剤を有機酸類、鉱物酸類及び過酸化水素及びアルコール類から選択される賦活剤により、二酸化塩素の発生を活性化した二酸化塩素剤から発生することを特徴とする浴槽水の殺菌・滅菌法。 【請求項6】 前記活性化二酸化塩素は所定のpH値を一定に保持するため、有機酸類、鉱物酸類単独あるいは両者併用し、前記二酸化塩素及び二酸化塩素剤から二酸化塩素の発生を活性化することを特徴とする。 【請求項7】 前記二酸化塩素剤における前記活性化二酸化塩素の濃度は、0.1〜100ppmである事を特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載する除菌・滅菌法。 【請求項8】 アルカリ性浴槽水に対して、有機酸類、無機酸類単独あるいは両者併用、または請求項5で記載する酸類および賦活剤により酸性浴槽水とし、次いで請求項1から5に記載する活性化二酸化塩素で除菌・滅菌し、次いでアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属溶液を添加して、初期pHへ復元させることを特徴とする除菌・滅菌法。 【請求項9】 活性化二酸化塩素による浴槽および配湯管内に生着する生物膜(バイオフィルム)の除去・殺菌で、請求項1から請求項5に記載する除菌・殺菌法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、活性化二酸化塩素による浴槽水および配湯管の除菌・滅菌に関する。ここで言う浴槽水とは、温泉水、公衆浴場水、一般家庭用浴槽水及び24時間風呂浴槽水を包含し、活性化二酸化塩素並びに活性化した解離化合物による浴槽水の除菌・滅菌に関する。 尚、本明細書で開示する除菌・滅菌には「殺菌」、「消毒」等の概念をも包含する。 【0002】 【従来の技術】 最近、日本各地の保養所、特別養護施設あるいは病院等に附属する循環式浴場を汚染源とするレジオネラ肺炎の集団発症が連続して発生し、多数の死者も出て社会的な問題となっている。レジオネラ肺炎はレジオネラ属菌に起因し、呼吸窮迫症候群等を伴った多臓器障害の臨床症状を示し、劇症例では発症後1週間で死亡する。ヒトへの感染はこの菌を含むエアロゾルを吸引し、あるいはこの菌で汚染された水を誤飲した場合に発症する。このように経気道感染が主たる感染経路であるが、創傷感染をも報告されている。主要な標的臓器は肺ではあるが、羅患対象者は主として網内系の不完全者や不備者である新生児、エイズ患者や、悪性腫瘍患者、代謝異常者に多くみられる。 レジオネラ属菌は、自然界の土壌や淡水中で生育ないし増殖する自然生活菌であり、ヒトの皮膚・粘膜に偏在するが寄生することはない。しかし、生存は可能とされている。自然界や人口環境水中では、他の菌や藻類の代謝産物を栄養源として生育を特徴とし、また、アカンタアメーバ等の細菌捕食性原生動物に取り込まれると、細胞内で消化崩壊される事なく、逆に細胞内で増殖し、宿主を破壊・死滅させる。感染はヒトからヒトへと伝播する事はなく、常に集団感染は共通の汚染源から多数のヒトへ感染すると言われている。 【0004】 その感染源には、人工環境水、例えば給湯水、浴槽水、修景用水、冷却搭水、加湿器、シャワー水、渦流浴槽水、うたせ湯等が挙げられる。 【0005】 レジオネラ属菌は、水中で浮遊分散生育しているものもあれば、配管内壁や装置内面の水に触れる部分に形成される生物膜(バイオフイルム)の中でも棲息する事が認められている。生物膜(バイオフイルム)の内部の生育菌叢は紫外線や、薬剤等の殺菌作用を受けず、保護された状態で生存している。 【0006】 共通の感染源には上述したように冷却搭水、及び循環式浴槽が重要視されている。行政当局は、これら感染源に対してレジオネラ症防止指針を開示し「感染因子の点数化」という考え方を導入して、レジオネラ属菌の制御対策を図ろうとしている。 【0007】 レジオネラ症防止指針には、「公衆浴場における水質基準等に関する指針」に▲1▼大腸菌群は50ml中に検出されない事。▲2▼レジオネラ菌は10cfu/100ml未満であるとしており、即ち規定された方法で検出限界以下に抑えるよう指示を出している。 【0008】 さらに、健発第1029004号に「条例等にレジオネラ症発生防止対策を追加する際の指針について」で入浴施設におけるレジオネラ症発生防止対策の基本的な考え方の中に、浴槽、配管、循環濾過装置における生物膜(バイオフイルム)の発生防止及び、除去を行うための洗浄、消毒等の衛生管理上の措置が重要である事が謳われている。これらの生物膜(バイオフイルム)で保護されたレジオネラ属菌は、常用されている次亜塩素酸ナトリウム濃度では、遊離している有機物(汚濁物質)や、膜表層物質との接触により消費され、膜内在するレジオネラ属菌を含め微生物を滅菌・除去する事は不可能である。 【0009】 また、「公衆浴場における微生物管理要領」に浴槽水の消毒に当たっては、浴槽中の遊離残留塩素濃度を頻繁に測定して通常、1日2時間以上0.2〜0.4ppm程度に保つよう指導している。 【0010】 さらに、「循環式浴場におけるレジオネラ症防止対策マニュアル」には塩素薬剤の一覧表が示され、その代表薬剤として次亜塩素酸ナトリウムが表示されている。その薬剤濃度が1ppm以上にならないよう指導している。高濃度になれば発癌性の強いトリハロメタンの副成、有機物との結合による異臭の発生、塩素ガスの発生等によるヒト皮膚に対する皮膚炎症の惹起等が問題になる。 【0011】 レジオネラ属菌は、精製水中では0.5ppmの残留塩素濃度で5分以内で殺菌されるが(石井営次 環境管理技術 15 293 1997)、浴槽水の特質、即ち有機物汚染や塩素消費物質の存在、温度、pH、無機イオン濃度により著しく影響を受け、上記マニュアルでは充分に除菌・滅菌できないのが通例である。 【0012】 また、上記指導マニュアルで塩素系薬剤で消毒が不十分な場合、紫外線照射法、オゾン法を推奨しているが、紫外線照射法では照射管ガラス表面の汚れにより著しく殺菌効力が減退すると共に、可視光線を受ける事により光回復によって再生する事、またオゾン法の使用に際してはその発癌性のある残存オゾンを完全に分解除去する必要があり、実質面では使用困難である。 【0013】 濾過法による菌の除去は、現在多用されている砂式物ではその濾過限界が20〜50μであり、微生物を除去する事は不可能である。 【0014】 最近、随時入浴可能な24時間風呂の発展と共に、これらを汚染源とした非結核性抗酸菌による発症も報告され、一般細菌の除去をも考慮した規制が必要である。 【0015】 【発明が解決しようとする課題】 かかる点を考慮して活性化二酸化塩素による浴槽水の除菌・殺菌について鋭意検討を重ねてきた。浴槽水の二酸化塩素による滅菌法については、公開日、平成7年3月7日付「滅菌剤及びそれを用いる入浴液の滅菌方法に 特開平7−60259」で既に開示されているが、該発明は”白湯”における二酸化塩素とDL−リンゴ酸の併用による大腸菌除去を目的とした出願である。アルカリ性で高塩温泉浴槽水では、大腸菌はこのシステムでは全く除去・滅菌は出来ず、またレジオネラ属菌及び一般細菌も完全消毒することは困難である。本発明者はさらに検討を重ね、”白湯”のみならずアルカリ性高塩温泉浴槽水のアルカリ性温水でもレジオネラ属菌、大腸菌さらには一般細菌の完全除去に成功した。 【0016】 さらに、活性化二酸化塩素は浴槽あるいは配管内に生着する生物膜(バイオフイルム)の除去・殺菌にも顕著な効果がある事を始めて見出した。 【0017】 本発明での活性化二酸化塩素は濃度管理を施すことによりヒトに対して副作用は殆ど認められず、消毒剤に対する耐性獲得もなく、しかも細菌・カビあるいはウイルスに対しても殺菌・消毒を示す。 【0018】 アルカリ性高塩温泉浴槽水中での二酸化塩素による除菌・殺菌効果は、有機酸、鉱物酸、過酸化水素及びアルコール類及びそれらの併用した賦活剤(例えば助川化学(株)製MEシリーズ)から選択した化合物によりpHを5.5付近に調整した調整液で、所定の時間反応し、反応後炭酸塩、例えば重炭酸ナトリウム、あるいは炭酸ナトリウムで復元するか、または 【0019】 一定量のアルカリ性高塩温泉浴槽水に二酸化塩素を加え、上記酸類または賦活剤でpH5.5〜6.5好ましくはpH6.8〜6.0に調整し、42℃で0.5〜3時間、好ましくは1〜2時間反応し、次いで炭酸塩、好ましくは重炭酸ナトリウムあるいは炭酸ナトリウムで初期pH(7.0〜8.5好ましくは7.5〜7.8)に復元し、その溶液をアルカリ性高塩温泉浴槽水に添加する事により、著しい除菌・殺菌効果が認められる。 【0020】 【課題を解決するための手段】 濃度管理を施された活性化二酸化塩素はヒトの皮膚や目の粘膜に刺激性が弱いこと、微生物に対する広域殺菌活性を示すこと、活性が持続すること、トリハロメタンの生成が認められないこと、塩素ガスの発生や有機物と結合して異臭を提発生しないこと等活性化二酸化塩素の有用性の優れた特性に注目し、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、塩素剤で除菌が困難と思われていたアルカリ性高塩温水浴槽水でも活性化二酸化塩素によりレジオネラ属菌一般細菌に対しても除菌・滅菌させることに成功した。 【0021】 【発明実施の形態】 本願明細書における活性化二酸化塩素とは、二酸化塩素を含有するものをいい、例えば、亜塩素酸ナトリウム、亜塩素酸カリウム等の亜塩素酸塩に塩酸、硫酸等の無機酸を加えることにより発生することができる。また二酸化塩素は、二酸化塩素発生装置により発生することもできる。 【0022】 また、上記二酸化塩素は亜塩素酸塩を安定化剤により安定化させた安定化二酸化塩素剤から発生させても良い。ここで、安定化剤として2Na2CO3・3H2O2,NaHCO3、NaBO3等を挙げる事ができる。 【0023】 さらに、上記活性化二酸化塩素は、上記二酸化塩素剤を有機酸類、鉱物酸類、過酸化水素及びアルコール類から選択される活性化剤により、二酸化塩素の発生を活性化した二酸化塩素剤から発生させてもよい。 ここで言う有機酸類として、例えばクエン酸、酢酸等を代表例としてあげることができる。上記鉱物酸類として、例えば硫酸、塩酸を代表例として上げる事ができる。また、上記アルコール類として、エタノール、メタノールを代表例として挙げる事ができる。 【0024】 上記活性化二酸化塩素を浴槽水中のレジオネラ属菌、大腸菌(群)、一般細菌の除菌・殺菌作用に使用するために二酸化塩素をガス状に近い状態や、発生期の酸素や次亜塩素酸の生成を励起させるため、pHを7.0以下好ましくはpH5.8〜6.0に調整する必要がある。 【0025】 本発明において、活性化二酸化塩素の好ましい濃度は、0.1〜100ppmであり、より好ましい濃度は1.0〜10ppmで、さらに好ましくは1.0〜5.0ppmである。 【0026】 活性化二酸化塩素は浴槽あるいは配管内に生着する生物膜(バイオフイルム)の除去に対して次亜塩素酸ナトリウムよりも強い殺菌作用を呈し、生物膜(バイオフイルム)の剥離効果も認められる。即ち、実用レベルでは活性化二酸化塩素2ppmで次亜塩素酸ナトリウム5ppmよりも有効であった。 【0027】 活性化二酸化塩素の除菌・殺菌機序は微生物の細胞質膜の変性あるいは、崩壊をもたらすことによるものであり、一方次亜塩素酸ナトリウムは微生物細胞より遊離する有機物と結合し、消費されて、その殺菌効果は漸次減少する。一方、活性化二酸化塩素は有機物との結合が比較的緩慢なため、その有効性は持続し、特に生物膜(バイオフイルム)に対して、その有効性に顕著な差が認められた。 【0028】 活性化二酸化塩素の酸性域における強力な殺菌の発現機序として、酸性域では活性化二酸化塩素は二酸化塩素ガスの励起状態にあり、この励起状態である化合物は強力な殺菌作用を呈する。さらに、一部は(ClO−)+(O)と解離し、(ClO−)よりも10〜100倍の殺菌活性を有するHClOへと変化する。従って、酸性域での活性化二酸化塩素は殺菌力の強いガス状態の二酸化塩素と殺菌力の強いHClO及び殺菌力のある(O)の三者の作用により強力な殺菌性が発現するものと言える。 【0029】 以上の事実より、本発明は活性化二酸化塩素が有する浮遊微生物に対する強力な殺菌・消毒作用及び生物膜(バイオフィルム)に対する強力な除菌・剥離効果を合わせて人工環境水、特に浴槽水の殺菌・消毒に提供しようとするものである。 【0030】 【発明の実施形態】 以下の具体的な実験例、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれによって限定されるものではない。 【0031】 【実験例1】 浴槽水中のレジオネラ属菌の検出 公定書「レジオネラ防止指針」に準拠し、遠心法により分離した。検水200mlを400rpm、30分間遠心分離を行い、沈殿物を滅菌精製水1.0mlに懸濁した。 次いで、0.2M HCl−KCl緩衝液1.0mlを加え、10分間放置後、その酸処理液0.1mlをWYOα寒天培地(栄研化学(株)製)に添加し、コンラージ棒で塗布した。 次いで、37℃、5〜7日間培養を行い、コロニーを計測した。更に、得られたコロニーの性状とグラム染色検査と血液寒天培地(栄研化学(株)製)に接種して、その生育性からレジオネラ属菌の確認を行った。 【0032】 浴槽水中の大腸菌(群)の検出 公定書「衛生試験法」に準拠し、BGLB培地(日水製薬製)で確認試験、EMB培地(日水製薬製)で確認試験を行った。 【0033】 浴槽水中の一般細菌の検出 公定書「衛生試験法」に準拠し、標準寒天培地(日水製薬製)平板法で菌数を計測した。 【0034】 浴槽水中の二酸化塩素の定量 浴槽水中の二酸化塩素残留濃度の定量は、二酸化塩素分析キット(助川化学(株)製)により求めた。尚、定量に際しては、浴槽水の分析キットに対する発色性の影響については事前に検討を行った。 【0035】 浴槽水中の一般細菌に対する除菌・殺菌基礎試験 公衆浴場水あるいは温泉浴槽水には既に次亜塩素酸ナトリウムが添加されている危険性があるため、次亜塩素酸ナトリウムの影響を排除する目的で、浴槽水をメンブランフィルター(ミリポアー製、コアサイズ0.22μ)で濾過し、一般細菌を濾別した。メンブランフィルター表面に濾取した一般細菌を無菌生理食塩水で洗浄後、無菌的にフィルターを取出し、次亜塩素酸ナトリウムの含まれていない同量の原泉水(前記同様メンブランフィルターで除菌操作を行っている)に加え、攪拌分散して、一般細菌懸濁浴槽水とした。 【0036】 レジオネラ属菌の除菌・殺菌基礎試験 レジオネラ属菌で汚染された浴槽水より、前述した公定書法に準じ分離し、WYOα寒天培地(栄研株式会社製)で2〜3回純粋分離を繰り返し、確定試験で確認後、被検菌として使用した。 被検菌をWYOα培地(栄研株式会社製)で増殖後、数個のコロニーを白金耳で 釣菌し、 【0035】で調整した無菌原泉水あるいは一般細菌試験用検体に接種した。 【0037】 【実験例2】 特別養護施設附属の浴槽水“白湯”における活性化二酸化塩素による除菌・殺菌 【0035】および 【0036】で記述した同様の方法で調整した特別養護施設附属の浴槽水10mlに二酸化塩素5ppm(最終濃度)および賦活剤ME(助川化学(株)製)mlを添加し、42℃に保温して経時的に活性化二酸化塩素の残留濃度、レジオネラ属菌および一般細菌数を数計した。 【0038】 【表1】
この結果、特別養護施設附属浴槽水“白湯”中の一般細菌、レジオネラ属菌は活性化二酸化塩素5ppm濃度で、42℃、1時間の処理でほぼ完全に除菌・殺菌できる事を試験レベルで確認した。 【0039】 【実施例1】 活性化二酸化塩素による特別養護施設附属浴槽水“白湯”中の細菌増殖抑制浴槽水入替え初日に活性化二酸化塩素5ppmを添加し、1週間の菌の生育および活性化二酸化塩素残留濃度の推移を測定した。 ここで対象とする”白湯”は1週間連続使用する24時間風呂で、一日40名が入浴する。一般細菌、レジオネラ属菌、大腸菌(群)、緑膿菌、ブドウ球菌は前述の公定書法、および活性化二酸化塩素残留濃度は前述した方法に準じた。 【0040】 【表2】
この結果、対照群では経過日数と共に一般細菌、レジオネラ属菌数は増殖され、4日目では一般細菌数2.1x104(cfu/ml),レジオネラ属菌数6.3x103(cfu/100ml)が検出されたが、活性化二酸化塩素5ppm添加群(実施例)では経過日数4日目では一般細菌数2x10(cfu/ml)、レジオネラ属菌では8(cfu/100ml)が検出されたに過ぎない。但し、経過日数4日目では、活性化二酸化塩素残留濃度は初発添加濃度の約半分に減じていた。 【0041】 【実験例3】 活性化二酸化塩素による生物膜(バイオフィルム)の生着抑制 加熱滅菌(180℃、2時間)したステンレス鋼片(SUS 316 1.5x50cm5枚を1組)を3%トリプトソーヤブロス(日水製薬製 121℃、20分高圧滅菌)200ml30℃、24時間浸漬にして、コンディションニングを行い、ついで無菌的に乾燥を行った。乾燥後、滅菌した容器に移し、ステンレス鋼片5枚が互いに接触しないように5mm間隔に林立させた。次いで、ステンレス鋼片が完全に浸漬するよう滅菌生理食塩水200mlを注意深く加えた。この浸漬液に大腸菌(E.coli)(1x105cfu/ml)、緑膿菌(P.aeruginosa)(1x105cfu/ml)、およびブドウ球菌S.aureus)(1x105cfu/ml)濃度になるよう接種した。続いて、ペリスタポンプ(マスターフレックス製PA25A)を稼動させて、この浮遊菌体生理活性食塩水を2ml/分の割合で循環させた。この操作を30℃で24時間続けた。この際、被検薬剤として活性化二酸化塩素2.0ppm、比較薬剤として次亜塩素酸ナトリウム5.0ppm、対照群として生理食塩水のみとした。 30℃で5時間及び24時間培養後、各ステンレス鋼片を無菌的に取出し、無菌水に静かに浸して洗浄し、鋼片面をスワッブ法で菌体を採取して常法とおり生菌数を5枚の平均値で求めた。 【0042】 【表3】
この結果、活性化二酸化塩素の存在下でステンレス表面への生物膜(バイオフィルム)の生着が抑制される。 即ち、浴槽中や配管内の生物膜(バイオフィルム)形成が活性化二酸化塩素の除菌・殺菌作用により抑制され、レジオネラ症の集団感染の起因と成るレジオネラ属菌の棲息場所となり、薬剤、熱等に耐性の一因となる生物膜(バイオフィルム)形成が活性化二酸化塩素により抑制される事を認めた。 【0043】 【実験例4】 活性化二酸化塩素による生物膜(バイオフィルム)の除菌・殺菌活性 【0042】で記述した同様の方法でステンレス鋼片表面に生物膜(バイオフィルム)を形成させ、そのステンレス鋼片から生物膜(バイオフィルム)が二酸化塩素により離脱するかを検討した。 加熱滅菌(180℃、2時間)したステンレス鋼片(SUS316 1.5x50cm5枚を1組)を3%トリプトソーヤブロス(日水製薬製 121℃、20分高圧滅菌)200mlに30℃、24時間浸漬して、コンディションニングを行い、ついで無菌的に乾燥を行った。乾燥後、滅菌した容器に移し、ステンレス鋼片5枚が互いに接触しないように5mm間隔に林立させた。次いで、ステンレス鋼片が完全に浸漬するよう滅菌したPGP(ペプトン グルコース りん酸)液体培地200mlを加え、この培地に大腸菌(E.coli)、緑膿菌(P.aeruginosa)、およびブドウ球菌(S.aureus)を混合接種し、30℃、3日間培養した。 生物膜(バイオフィルム)を生着したステンレス鋼片を滅菌無菌水で洗浄後、ペリスタポンプ(マスターフレックス製PA25A)を稼動し、被検薬剤として活性化二酸化塩素2.0ppm、比較薬剤として次亜塩素酸ナトリウム5.0ppm、対照群として生理食塩水を2ml/分の割合で循環させた。この操作を42℃で24時間循環させた。次いで、鋼片面をスワッブ法で菌体を採取して常法とおり生菌数を5枚の平均値で求めた。 【0044】 【表4】
上記の結果より、生物膜(バイオフィルム)に内在する微生物も活性化二酸化塩素2ppm濃度で除菌・殺菌される事を認めた。 【0045】 【実施例2】 活性化二酸化塩素による温泉の浴槽・配管中の生物膜(バイオフィルム)の除去・殺菌 外湯、内湯の回収槽に活性化二酸化塩素濃度が0.2ppmになるよう、自動注入器で添加し、この湯を砂式濾過に通して浴槽に循環した。 循環水注入口付近で採湯し、その生菌数を前述の方法で検討した。 【0046】 【図1】
この結果、循環浴槽水の湯質、臭気には全く違和感が感ぜられず、原泉水の湯質と全く変わらない。浴槽水を取り換え時点では、湯水を流してもほとんど生菌数に変動は認められないが、完全に消失する事もない。しかし、活性化二酸化塩素を含む湯水を流した際、一時的に内湯・外湯とも生菌数は500cfu/mlの菌数が認められるが、以後急激に減少していた。この事実は、配湯管内に生着する生物膜(バイオフィルム)から剥離した生物膜(バイオフィルム)とそこに生育する微生物が遊離し、次いで活性化二酸化塩素により生菌は急激に減少し、やがて死滅していったものといえる。 【0047】 アルカリ性高塩温泉水に対する活性化二酸化塩素による除菌・殺菌作用 活性化二酸化塩素は、アルカリ性高塩温泉水中では塩素酸、亜塩素酸へと解離するため、その殺菌力は減弱すると考えるのが一般的である。 それを防ぐ対策法として、以下の方法を創考した。 【0048】 【実施例3】 アルカリ性高塩温泉水100mlに賦活剤(助川化学(株)製MEシリーズ)0.1mlの割合で添加してpH5.5〜6.0に調整した。この調製液に活性化二酸化塩素2.5ppm(最終濃度)になるよう加えた。次いで、42℃、1時間保存後、、初期のpHになるよう1M炭酸ナトリウムを加えた。次いで、この処理浴槽水中の一般細菌、レジオネラ属菌、大腸菌数および残量二酸化塩素量を計測した。 【0049】 【表5】
【0050】 【実施例4】 アルカリ性高塩温泉水100mlに賦活剤(助川化学(株)製MEシリーズ)0.1mlの割合で添加してpH5.5〜6.0に調整した。この調製液に活性化二酸化塩素100ppm(最終濃度)になるよう加え、次いで、42℃、2〜3時間保存後、、初期のpH7.5になるよう1M炭酸ナトリウムを加える。この調整液2.5mlをアルカリ性高塩温泉水97.5mlの割合(最終濃度 2.5ppm)で添加し、42℃、2時間に保存する。この浴槽水中の残留二酸化塩素、一般細菌数、レジオネラ属菌数および大腸菌数を数計した。 【0051】 【表6】
【0052】 アルカリ性高塩浴槽水をpH5.5〜6.0に調整し、この調整浴槽水に二酸化塩素を加え、2時間放置し、次いで、炭酸ナトリウムで初期のpHに復元し、これを除菌・殺菌剤としてアルカリ高塩温泉浴槽水に添加した。この結果、著しい除菌・殺菌効果が発現されるという驚異的な結果が得られた。 因みに、安定化二酸化塩素をアルカリ高塩温泉浴槽水に直接加えても、その殺菌効力は発現される事はない。 従って、アルカリ高塩温泉浴槽水の除菌・殺菌法には、先ず、アルカリ高塩温泉浴槽水あるいは回収槽の浴水を前述した酸類あるいは賦活剤等で一旦pH5.5〜6.0に調整し、この調整液を活性化二酸化塩素で除菌・殺菌した後、炭酸ナトリウムで初期のpHに復元する方法とアルカリ高塩温泉浴槽水と二酸化塩素を加え、pH5.5〜6.0で40℃、1〜2時間反応する。この溶液を初期のpHに戻した液を除菌・殺菌薬剤としてアルカリ高塩温泉浴槽に加えて除菌・滅菌する方法の2方策を創考した。 【0053】 一般的に、アルカリ性では二酸化塩素の除菌・殺菌効力が減弱するのが通例であるが、アルカリ高塩温泉浴槽水を一旦酸性化させ、それに二酸化塩素を加えることにより、二酸化塩素は励起されたガス状、発生期の酸素と次亜塩素酸に解離され、この混成状態がpH7・5のアルカリ高塩温泉浴槽水で保持され、相乗的な殺菌力が発揮されたものといえる。 【0054】 【発明の効果】 以上説明したように、”白湯”に対しては活性化二酸化塩素を直接浴槽水に添加することにより除菌・殺菌が可能であり、レジオネラ属菌の汚染源の一つである温泉・浴場配湯設備の生物膜(バイオフィルム)の生着阻止および剥離は活性化二酸化塩素を42℃で循環させることにより有効性が期待される。更には二酸化塩素による除菌・殺菌が困難といわれていたアルカリ高塩温泉浴槽水もpHを制御するこのとにより、アルカリ高塩温泉浴槽水でも除菌・滅菌が可能である事を見出した。 これにより活性化二酸化塩素は温泉・浴場水の特質に関らず、浴槽水全般的に除菌・殺菌が可能となり、社会的な問題となっている温泉・浴場におけるレジオネラ症の集団発生症の防止が可能となる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】397057692 【氏名又は名称】助川化学株式会社
|
| 【出願日】 |
平成15年1月24日(2003.1.24) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2004−224788(P2004−224788A) |
| 【公開日】 |
平成16年8月12日(2004.8.12) |
| 【出願番号】 |
特願2003−54949(P2003−54949) |
|