| 【発明の名称】 |
振出式釣竿 |
| 【発明者】 |
【氏名】谷川 尚太郎 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内
【氏名】松本 聖比古 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内
【氏名】谷口 一真 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内
【氏名】塩谷 幸信 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地 株式会社シマノ内
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| 【要約】 |
【課題】いわゆる中子落ち現象が起こった場合であっても、各節に損傷を与えることなく各節が復帰される釣竿の提供。
【解決手段】この釣竿20は、振出式5本継ぎに構成されている。第2番節22の先端開口部33の近傍に緩衝部29が形成されている。緩衝部29は、第2番節22と一体的に形成されている。緩衝部29は、第2番節22を構成するプリプレグと同様のプリプレグが所定形状に裁断され、巻回されて構成される。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 振出式に組み立てられた4本以上の節と、 中間節の先端開口部近傍に当該中間節と一体的に形成され、当該先端開口部近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備える振出式釣竿。 【請求項2】 振出式に組み立てられた3本の節と、 第1番節の先端近傍に当該第1番節と一体的に形成され、当該第1番節の先端近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備える振出式釣竿。 【請求項3】 振出式に組み立てられたn本(n≧5)の節と、 第2番節から第(n−3)番節までのそれぞれの先端開口部近傍に当該各節と一体的に形成され、当該先端開口部近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備え、 第2番節の長さ寸法は、第n番節から第(n−1)番節が引き出された状態における当該第n番節の内底面から当該第(n−1)番節の後端までの距離よりも大きく設定されている振出式釣竿。 【請求項4】 上記緩衝部は、 上記先端開口部近傍の周方向に沿って形成された凸条からなり、 当該凸条は、その高さ寸法が当該中間節の先端から後端側へ向かう方向に沿って漸次拡大されることにより形成された傾斜面を備えている請求項1に記載の振出式釣竿。 【請求項5】 上記緩衝部は、 上記先端近傍の周方向に沿って形成された凸条からなり、 当該凸条は、その高さ寸法が第1番節の先端から後端側へ向かう方向に沿って漸次拡大されることにより形成された傾斜面を備えている請求項2に記載の振出式釣竿。 【請求項6】 上記緩衝部は、 上記先端開口部近傍の周方向に沿って形成された凸条からなり、 当該凸条は、その高さ寸法が当該中間節の先端から後端側へ向かう方向に沿って漸次拡大されることにより形成された傾斜面を備えている請求項3に記載の振出式釣竿。 【請求項7】 上記凸条は、 予め所定形状に裁断されたプリプレグが当該中間節の先端開口部近傍に巻回されることにより形成されている請求項4に記載の振出式釣竿。 【請求項8】 上記凸条は、 予め所定形状に裁断されたプリプレグが第1番節の先端近傍に巻回されることにより形成されている請求項5に記載の振出式釣竿。 【請求項9】 上記凸条は、 予め所定形状に裁断されたプリプレグが当該中間節の先端開口部近傍に巻回されることにより形成されている請求項6に記載の振出式釣竿。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術の分野】 この発明は、釣竿、特にいわゆる振出式に構成された釣竿の構造に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 一般に、釣竿は、複数の釣竿構成部材を備えている。通常、各釣竿構成部材は、外径及び内径が異なる筒状に形成され、これらが軸方向に連結される(継がれる)ことによって、所定長さの釣竿が構成される。各釣竿構成部材の連結構造は、従来から種々提案されているが、各釣竿構成部材は、振出式に連結される場合が多い。 【0003】 各釣竿構成部材は、「節」と称され、外径の細い節から順に第1番節、第2番節と称される。また、最も外径の大きい節は、元節と称され、元節に連結される節は、元上節と称される。さらに、本明細書では、第1番節、元上節及び元節を除く節は、特に、中間節と称される。したがって、例えば3つの節からなる釣竿では、中間節は存在しないことになる。 【0004】 図7は、渓流用の釣竿1の正面図である。この釣竿1は、いわゆる7本継ぎタイプのものであり、第1番節2〜第7番節8が振出式に連結されている。つまり、第1番節2の後端部が第2番節3の先端部内側に嵌合されており、これにより、第1番節2が第2番節3から伸長した状態で当該第2番節3によって保持されている。なお、他の隣り合う2つの節についても同様である。 【0005】 ところで、釣りの最中に、隣り合う節同士の嵌合が緩くなること等が原因となって、例えば、第2番節3と第3番節4との嵌合が外れてしまうことがある。その場合、各節2〜8は振出式に連結されているから、第2番節3及び第1番節2は、第7番節8の内部まで落下してしまう。なお、このように中間節が元節8の内部に落下する現象は、「中子落ち現象」と称される。 図8は、釣竿1の一部断面要部拡大正面図であり、第7番節8の内部に第2番節3及び第1番節2が落下した状態を示している。 第2番節3及び第1番節2が第7番節8内に落下した場合には、釣人は、釣りを続行するために当該第2番節3及び第1番節2を各節4〜8から引き出す必要がある。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】 しかし、同図が示すように、第2番節3及び第1番節2が第7番節8内に落下したときには、第2番節3の先端9は、第6番節7の後端10よりも後方に位置することになるため、この状態から第2番節3及び第1番節2が強引に各節4〜8から引き出された場合には、第2番節3の先端9が第6番節7の後端10に激しく衝突し、両者が損傷を受けるおそれがあるという問題がある。特に、渓流用に構成された釣竿1は、各節2〜8の肉厚がきわめて薄く、そのため、第2番節3の先端9及び第6番節7の後端10が損傷を受ける可能性は高い。 【0007】 なお、第7番節8の軸方向寸法A、第7番節8と第6番節7とのオーバラップ寸法B又は第2番節3の軸方向寸法Cが適当に調整されることによって、第2番節3の先端9と第6番節7の後端10との衝突が回避され得るが、仮にそうであったとしても、中子落ち現象が生じた場合には、第2番節3の先端9と第5番節6の後端との衝突が起こり得る。 【0008】 そこで、本発明の目的は、いわゆる中子落ち現象が起こった場合であっても、各節に損傷を与えることなく各節が復帰される釣竿を提供することである。 なお、従来では、中子落ち現象が生じたことにより上記問題が発生することは既に知られており、中子落ち現象が生じた場合には、釣人は、各節に損傷を与えないように各節を引き出す作業を慎重に行っていた。ただし、本発明に関連する先行技術文献については、本願出願時において本願出願人が知るものは存在しない。 【0009】 【課題を解決するための手段】 (1) 上記目的を達成するため、本願に係る振出式釣竿は、振出式に組み立てられた4本以上の節と、中間節の先端開口部近傍に当該中間節と一体的に形成され、当該先端開口部近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備えることを特徴とするものである。 【0010】 釣人は、いわゆる中子落ち現象が発生した場合には、落下した中間節及び第1番節を元節等から引き出す作業(復帰作業)を行う。 釣竿は振出式に構成されているから、第1番節の後端部が第2番節の先端部内側に嵌合保持され、第2番節の後端部が第3番節の先端部内側に嵌合保持される。他の隣り合う節についても同様に、一般に、第n番節の後端部が第(n+1)番節の先端部内側に嵌合保持される。このため、第(n+1)番節の先端部内側において、第n番節の後端位置に当該第n番節の肉厚寸法に相当する段差が内側に生じる。 【0011】 一方、中子落ち現象によって第m番節が落下した場合には、第1番節〜第m番節までが一体となって元節等まで落下する。そして、落下した各節についても振出式に構成されているから、第1番節と第2番節との境界部分に当該第2番節の肉厚寸法に相当する段差が外側に形成され、他の隣り合う節同士についても同様に段差が形成される。 したがって、復帰作業の際に、落下した中間節及び第1番節が元節等の内部から引き出されるときには、上記外側に形成された段差部分が上記内側に形成された段差部分と衝突する傾向にある。 【0012】 しかし、中間節の先端開口部近傍に緩衝部が当該中間節と一体的に形成されているから、上記段差部分同士が直接に衝突することなく、上記内側に形成された段差部分と緩衝部とが接触する。これにより、当該中間節の先端開口部近傍に大きな衝撃が伝達されることはない。 言い換えると、上記緩衝部によって上記段差部分同士の衝突が回避され、この緩衝部が上記内側に形成された段差部分と接触し、これを滑らかに乗り越える。 しかも、上記緩衝部は、上記中間節と一体的に形成されているから、当該緩衝部の剛性がきわめて高いという利点がある。 【0013】 (2) また、上記目的を達成するため、本願に係る振出式釣竿は、振出式に組み立てられた3本の節と、第1番節の先端近傍に当該第1番節と一体的に形成され、当該第1番節の先端近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備えることを特徴とするものである。 【0014】 この構成では、当該釣竿は、いわゆる3本継ぎである。この場合、中子落ち現象は生じ得ないが、第1番節が第3番節内に落下する可能性がある。その場合であっても、第1番節の先端近傍に緩衝部が当該第1番節と一体的に形成されているから、第1番節が復帰される際に、第1番節の先端は、第2番節と第3番節との間の内側に形成される段差部分と直接に衝突することはなく、当該段差部分は、上記緩衝部と接触する。これにより、第1番節の先端近傍に大きな衝撃が伝達されることはない。 言い換えると、上記緩衝部によって上記段差部分と第1番節の先端との衝突が回避され、この緩衝部が上記内側に形成された段差部分と接触し、これを滑らかに乗り越える。 しかも、上記緩衝部は、第1番節と一体的に形成されているから、当該緩衝部の剛性がきわめて高いという利点がある。 【0015】 (3) さらに、上記目的を達成するため、本願に係る振出式釣竿は、振出式に組み立てられたn本(n≧5)の節と、第2番節から第(n−3)番節までのそれぞれの先端開口部近傍に当該各節と一体的に形成され、当該先端開口部近傍に加えられる衝撃を緩和し得る緩衝部とを備え、第2番節の長さ寸法は、第n番節から第(n−1)番節が引き出された状態における当該第n番節の内底面から当該第(n−1)番節の後端までの距離よりも大きく設定されていることを特徴とするものである。 【0016】 前述と同様に、いわゆる中子落ち現象が発生した場合には、復帰作業が行われるが、落下した節(すなわち、第1番節〜当該節)が第n番節等の内部から引き出されるときには、上記外側に形成された段差部分が上記内側に形成された段差部分と衝突する。ただし、第2番節の長さ寸法が上記のように設定されているので、当該第2番節が中子落ちし、これが復帰される場合であっても、当該第2番節の先端部が第(n−1)番節、すなわち元上節の後端部と衝突することはない。 【0017】 しかし、第3番節から第(n−2)番節までの先端開口部近傍に緩衝部が一体的に設けられているから、この緩衝部と上記内側に形成された段差部分とが衝突する。これにより、第3番節から第(n−2)番節までの先端開口部近傍に大きな衝撃が伝達されることはない。 言い換えると、上記緩衝部によって上記段差部分同士の衝突が回避され、この緩衝部が上記内側に形成された段差部分と接触し、これを滑らかに乗り越える。 しかも、上記緩衝部は、当該節と一体的に形成されているから、当該緩衝部の剛性がきわめて高いという利点がある。 【0018】 (4) 上記緩衝部は、上記先端開口部近傍の周方向に沿って形成された凸条からなり、当該凸条は、その高さ寸法が当該中間節の先端から後端側へ向かう方向に沿って漸次拡大されることにより形成された傾斜面を備えているのが好ましい。 この構成では、上記復帰作業の際に、上記内側に形成された段差部分は、緩衝部の傾斜面と当接する。この傾斜面は、先端から後端側へ向かう方向に漸次傾斜した面であるから、上記段差部分と緩衝部との衝突は、より緩やかなものとなる。 【0019】 また、上記凸条は、予め所定形状に裁断されたプリプレグが当該中間節の先端開口部近傍に巻回されることにより形成されているのが好ましい。 この構成では、中間節が製造工程において上記凸条(すなわち緩衝部)が同時に形成される。したがって、凸条の形成が簡単であり、中間節の製造コストが大幅に上昇することはない。 【0020】 【発明の実施の形態】 以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。 【0021】 図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿20の正面図である。 この釣竿20は、5つの釣竿構成部材21〜25からなり、いわゆる振出式に組み立てられている。各釣竿構成部材21〜25は、「節」と称され、外径の細い順に第1番節21〜第5番節25と称される。第4番節24は、特に「元上節」と称され、第5番節25は、特に「元節」と称される。本実施形態では、釣竿20は、いわゆる延べ竿と称されるもので、例えば渓流用として使用される。 【0022】 各節21〜25は、既知の要領で構成される。例えば、カーボンプリプレグが所定形状に裁断され、これが筒状に巻回されることによって、円筒状の節21〜25が形成される。 第1番節21は、第2番節22の内部に引き出し自在に収容されている。この第1番節21の先端には、釣糸が連結されるトップ部材26が設けられている。このトップ部材26の構成は、既知であるので、その詳しい説明は省略される。 【0023】 第1番節21は、全体としてテーパー状に形成されており、その先端部の外径よりも後端部の外径の方が大きくなるように形成されている。また、第1番節21の後端径は、第2番節22の先端径よりも大きく設定されている。したがって、第1番節21が第2番節22から引き出された際に、第1番節21の後端部分が第2番節22の先端部分と所定寸法だけオーバーラップした状態でかみ合って(内嵌して)おり、これにより、両者が固定されるようになっている。 なお、第2番節22と第3番節23との関係、第3番節23と元上節24との関係、及び元上節24と元節25との関係も同様である。 【0024】 元節25の後端部には、尻栓27が設けられている。尻栓27は、既知の構成であり、元節25の後端部に螺合されている。この尻栓27の端面28は、元節25の内底面を構成している。したがって、釣竿20が収納状態とされたとき(すなわち、第1番節21〜元上節24が元節25内に収容されたとき)は、第1番節21〜元上節24のそれぞれの後端面は、内底面28に当接するようになっている。 また、各節21〜25は、所定の長さ寸法に設定されており、特に、第2番節22は、後述の長さ寸法L1に設定されている(図5参照)。さらに、隣り合う各節22〜25のオーバラップ寸法も所定の長さに設定されており、特に、元上節24と元節25とのオーバーラップ寸法は、後述の寸法L2に設定されている(図5参照)。 【0025】 第2番節22の先端部には、図1が示すように緩衝部29が取り付けられている。 図2は、第2番節22の先端部の要部拡大斜視図であり、図3は、第1番節21と第2番節22との連結部分の要部拡大断面図である。これらの図は、上記緩衝部29の構造を詳細に図示している。 【0026】 図2及び図3が示すように、緩衝部29は、第2番節22と一体的に形成されている。緩衝部29は、第2番節22の先端開口部33の近傍に設けられており、本実施形態では、凸条により構成されている。つまり、凸条からなる緩衝部29は、第2番節22の先端開口部33の近傍において当該第2番節22の周方向に沿って形成されている。 緩衝部29は、長さ寸法S1が10mm〜100mmの範囲で適宜設定される。また、緩衝部29の高さ寸法S2(すなわち、凸条の高さ)は、0.5mm〜5mmの範囲で適宜設定され得る。緩衝部29の高さ寸法S2がかかる寸法に設定されることによる作用効果については、後述される。 【0027】 また、緩衝部29は、傾斜面30が構成されている。この傾斜面30は、緩衝部20を構成する凸条の前面側壁面により形成されている。そして、この傾斜面30が形成されることによって、緩衝部29の高さ寸法S2(外径寸法)は、第2番節22の先端から後端側へ向かう方向に沿って漸次拡大されている。 傾斜面30の傾斜は、1/1000〜150/1000程度に設定され得る。この傾斜面30が設けられていることによる作用効果については、後述される。 【0028】 図4は、上記緩衝部29の材料となるシート部材の正面図である。 上記緩衝部29は、前述のように第2番節22と一体的に形成されているが、この緩衝部29は、同図示すシート部材31が第2番節22に巻回されることによって形成されている。 シート部材31は、第2番節22を構成するプリプレグと同様のプリプレグであって、同図が示すように異形を呈する。具体的には、シート部材31は、本体部32aと枝部32bとを有する。本体部32aの寸法e1は、30mm〜150mm、寸法e2は、30mm〜300mmの範囲で適宜設定される。また、枝部32bの寸法e3は、30mm〜300mm、寸法寸法e4は、2mm〜150mm、寸法e5は、0mm〜10mmの範囲で適宜設定される。 【0029】 このシート部材31は、第2番節22の製造時において当該第2番節22の先端部に巻き付けられる。具体的には、シート部材31の本体部32aが第2番節22の先端部に周方向に沿って巻回され、続いて、枝部32bが本体部32aの上にさらに巻き付けられる。本実施形態では、本体部32aは、図3が示すように、第2番節22の先端から距離dだけずれた位置に巻き付けられる。 枝部32bは、前述のように寸法e4及び寸法e5に設定されているから、枝部32bが巻回されることによって、自動的に上記傾斜面30が形成される。なお、枝部32bの寸法e4及び寸法e5が適宜変更されることによって、上記傾斜面30の傾斜角度が自在に変更される。 また、本実施形態では、シート部材31は、単一の部材として構成されているが、上記本体部32aと枝部32bとが別々の部材として構成され、枝部32bが本体部31aの外側に巻回されるものであってもよい。 【0030】 本実施形態に係る釣竿20は、前述のように渓流釣りに使用されるが、釣竿20が使用されている際中に、いわゆる中子落ち現象が生じる場合がある。例えば、本実施形態では、第2番節22と第3番節23との嵌合が解除され、第2番節22及び第1番節21が元節25内に落下してしまうことがある。この場合、釣人は、釣りを続行するために、落下した第2番節22及び第1番節21を再び引き出す作業(復帰作業)を行う。 【0031】 図5は、中子落ち現象が生じた状態での釣竿20の要部拡大断面図である。 本実施形態に係る釣竿20では、第2番節22の長さ寸法L1は、元節25から元上節24が引き出された状態において、元節25の内底面28から元上節24の後端までの距離L3よりも大きく設定されている。なお、この距離L3は、元節25の軸方向長さから、元上節24と元節25とのオーバーラップ寸法L2を差し引いた距離である。 【0032】 釣竿20は振出式に構成されているから、第1番節21の後端部が第2番節の先端部内側に嵌合保持され、第2番節22の後端部が第3番節23の先端部内側に嵌合保持される。第3番節23と元上節24との関係、元上節24と元節25との関係も同様である。そのため、各隣り合う節のうち、一方の節の後端部と他方の節の先端部内側との間に段差が生じる。また、一方の節の後端部と他方の節の先端部外側との間に、段差が生じる。 具体的には、第3番節23と元上節24の内側との間には、段差44が生じ、元上節24と元節25の内側との間には、段差45が生じる。また、第1番節21と第2番節22の外側との間には、段差46が生じる。 【0033】 仮に上記緩衝部29が形成されていないとするならば、上記復帰作業の際に、上記段差46が上記段差44と直接に衝突し、両者のうち少なくとも一方が損傷する可能性がある。 ところが、上記緩衝部29が第2番節23に設けられているので、上記段差46と段差43とが直接に衝突することはなく、緩衝部29と上記段差44とが衝突する。 【0034】 図6は、図5における要部拡大図であり、段差44と段差46との位置関係が詳細に図示されている。 同図が示すように、上記復帰作業の際に、第2番節22及び第1番節21が第3番節23側へ(図中左方向へ)移動されると、上記段差44と緩衝部29とが衝突する。この緩衝部29は、当該衝突の衝撃をやわらげるから、第2番節22又は第3番節23が損傷を受けることはない。 よって、本実施形態に係る釣竿20では、第2番節22が落下するという中子落ち現象が生じ、釣人がこれを復帰させる場合に、第2番節22及び第3番節23のいずれもが、両者の衝突によって破損等することがない。 【0035】 また、本実施形態では、上記緩衝部29は、傾斜面30を備えている。したがって、上記復帰作業の際に、第2番節22及び第1番節21が第3番節23側へ移動されると、上記段差44の角部は、図中点線が示すように、緩衝部29の傾斜面30に当接する。傾斜面30は、前述のような傾斜角度に設定されているので、緩衝部29と上記段差44とが接触したときの衝撃は、一層緩和される。 すなわち、上記段差46は、上記段差44部分と衝突はするものの、上記段差44が上記緩衝部29に当接することから、結果として、上記段差46が上記段差44を滑らかに乗り越えることになる。 これにより、上記復帰作業の際に、第2番節22又は第3番節23が損傷を受けるということは、一層効果的に防止される。 【0036】 本実施形態では、上記段差46と、上記段差45との衝突については、起こり得ない(図5参照)。なぜなら、第2番節22の軸方向長さが上記寸法L1に設定されているから、第2番節22が落下した場合であっても、第2番節22の先端部の位置(上記段差46の位置)は、上記段差45よりも上方に(図中左方に)位置することになるからである。 【0037】 本実施形態では、釣竿20がいわゆる5本継ぎに形成されているが、5本以上であれば、節の数は何ら制限を受けることはない。すなわち、第2番節22の上記寸法L1が、上記寸法L2,L3との間に前述のような関係を備えることを前提として、釣竿がn本の節を備えて構成される場合は、一般に、第2番節から第(n−3)番節までの先端開口の近傍に緩衝部が形成されていればよい。そして、この緩衝部は、前述の緩衝部29と同様に形成される。 このように構成された場合には、第2番節に限らず、他のいずれの中間節が落下した場合であっても、上記復帰作業の際に、各節が損傷を受けることはない。 【0038】 ところで、本実施形態では、第2番節22の上記寸法L1が、上記寸法L2,L3との間に前述のような関係を備えることを前提としている。しかし、釣竿の用途によっては、各節の長さ寸法が小さく設定される場合もあり、その場合に、第2番節22の上記寸法L1が、上記寸法L2,L3との間に前述のような関係を有しないこともある。 すなわち、図5において、第2番節22が元節25の内底面28まで落下した状態で、第2番節22と第1番節21との間の段差46が、元上節24と元節との間の段差45よりも下方に(図中右方に)位置する場合もある。 【0039】 そのような場合において、中子落ち現象が生じたときの復帰作業の際に、各節が損傷を受けるおそれがあるのは、第2番節から元上節のそれぞれの先端部及び後端部であり、釣竿が4本継ぎ以上の場合である。 したがって、釣竿がn本(n≧4)の節を備えて構成される場合は、上記緩衝部が、すべての中間節の先端開口部の近傍に形成されていればよい。このように構成された場合には、第2番節に限らず、他のいずれの中間節が落下した場合であっても、上記復帰作業の際に、各節が損傷を受けることはない。 【0040】 加えて、中子落ち現象ではないが、第1番節、第2番節及び第3番節が振出式に組み立てられた釣竿の場合に、第1番節のみが元節(第3番節)の内部に落下してしまうことも想定される。 この場合にも、釣りが続行されるために第1番節が復帰されなければならないが、前述の緩衝部が第1番節の先端近傍に形成されていれば、当該第1番節及び第2番節が損傷を受けることはない。 この場合、緩衝部は、上記緩衝部29と同様に、所定形状に裁断されたプリプレグが第1番節の先端近傍に巻き付けられることにより構成される。 【0041】 本実施形態では、上記緩衝部29は、第2番節22を構成するプリプレグと同様のプリプレグにより構成されているが、これに限定されるものではなく、他の種類のプリプレグにより構成されていてもよい。また、上記緩衝部29は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体(ABS樹脂)等の樹脂やアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)やシリコーンゴム(SI)等ゴム等によっても構成され得る。 また、本実施形態では、渓流用の振出式延べ竿について開示されているが、本発明は、釣竿の種類に関係なく振出式釣竿に一般に適用され得る。また、釣竿のほか、いわゆるタモの柄についても、本発明が適用されることは勿論である。 【0042】 【発明の効果】 以上のように、本発明によれば、いわゆる中子落ち現象により落下した各節が復帰される際に、各節に一体的に形成された緩衝部は、他の節の内側部分(段差部分)と接触し、これを滑らかに乗り越えるので、当該復帰作業において、各節の相対的な衝突を原因とする各節の損傷等が防止される。 【図面の簡単な説明】 【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る釣竿の正面図である。 【図2】図2は、本発明の一実施形態に係る釣竿の第2番節の先端部の要部拡大斜視図である。 【図3】図3は、本発明の一実施形態に係る釣竿の第1番節と第2番節との連結部分の要部拡大断面図である。 【図4】図4は、本発明の一実施形態に係る釣竿の緩衝部の材料となるシート部材の正面図である。 【図5】図5は、本発明の一実施形態に係る釣竿の第3番節と元上節との連結部分の要部拡大断面図である。 【図6】図6は、図5における要部拡大図である。 【図7】図7は、従来の渓流用の釣竿の正面図である。 【図8】図8は、従来の釣竿の一部断面要部拡大正面図である。 【符号の説明】 20・・・釣竿 21・・・第1番節 22・・・第2番節 23・・・第3番節 24・・・第4番節 25・・・第5番節 28・・・内底面 29・・・緩衝部 30・・・傾斜面 31・・・シート部材 33・・・先端開口部 44・・・段差 45・・・段差 46・・・段差 S2・・・寸法
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002439 【氏名又は名称】株式会社シマノ 【住所又は居所】大阪府堺市老松町3丁77番地
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| 【出願日】 |
平成15年2月19日(2003.2.19) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100107940 【弁理士】 【氏名又は名称】岡 憲吾
【識別番号】100120318 【弁理士】 【氏名又は名称】松田 朋浩
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| 【公開番号】 |
特開2004−248566(P2004−248566A) |
| 【公開日】 |
平成16年9月9日(2004.9.9) |
| 【出願番号】 |
特願2003−41503(P2003−41503) |
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