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【発明の名称】 ホタル飼育設備
【発明者】 【氏名】広瀬 満
【住所又は居所】千葉県習志野市谷津4丁目8番48号株式会社広瀬内

【要約】 【課題】ホタルの幼虫が育成する水を弱アルカリ性に維持し、かつ水の濾過が可能であるホタル育成設備の構成を提供すること。

【解決手段】ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域1と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域2とによって構成されるホタル育成設備において、当該水貯留領域1に、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子4を敷設するか、又は水貯留領域1に対する流入経路11に埋設することに基づき、水の弱アルカリ性の維持及び水の濾過を実現することができるホタル飼育設備。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域とによって構成されるホタル育成設備において、当該水貯留領域に、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子を敷設したことに基づくホタル飼育設備。
【請求項2】
ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域とによって構成されるホタル育成設備において、水貯留領域への水流入経路にアルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子を埋設し、流入する水を前記燒結土粒子の埋設領域を通過させることに基づくホタル飼育設備。
【請求項3】
設備の周囲に網及び当該網を支える基材による仕切を設けたことを特徴とする請求項1、2記載のホタル飼育設備。
【請求項4】
燒結土粒子として、火山灰土を主成分としていることを特徴とする請求項1、2記載のホタル飼育設備。
【請求項5】
陸上領域において、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子を敷設したことを特徴とする請求項1、2記載のホタル飼育設備。
【請求項6】
燒結土の粒子結合力が、1.0cmの厚さにて、2.6kg重/cm以上の圧力を加えた場合、粒子の結合が崩壊する程度である燒結土の粒子を陸上領域に敷設することを特徴とする請求項6記載のホタル飼育設備。
【請求項7】
燒結土粒子の下側に燻炭微粉末を敷設したことに基づく請求項7記載のホタル飼育設備。
【請求項8】
該基材によって流入経路を遮断し、該基材の外側、内側及び下側に燒結土粒子を埋設したことを特徴とする請求項2、3記載のホタル飼育設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ホタルが幼虫から成虫に至るまでの飼育を行う設備に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域とによって構成されるホタル育成設備においては、ホタルの幼虫が脱皮を繰り返しながら成長する水貯留領域の水質は、ホタルの成長環境を支配する要因である。
【0003】
即ち、当該水貯留領域の水は、カワニナなどが生息するために必要な安定した弱アルカリ性であることを必要とすると共に、カワニナ及びその他の生物などの生息に伴って排泄されるアンモニア、亜硝酸などの有害物質が少ない状態であることが好ましい。
【0004】
しかしながら、水を弱アルカリ性の状態にしながら、他方では有害物質を順次濾過するような素材を、水貯留領域において採用するホタル育成設備の構成はこれまで提唱されていない。
【0005】
因みに、特開2001−178309号公報においては、水貯留領域(水槽)において、砂礫層、フィルターによって水の濾過を行うも、水質を弱アルカリ性とする構成は提唱されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記の如き従来技術の状況に鑑み、ホタル育成設備において、育成に使用する水を弱アルカリ性に維持すると共に、濾過機能をも発揮し得る素材を使用した構成を提供することを課題としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の構成は、
(1).ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域とによって構成されるホタル育成設備において、当該水貯留領域に、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子を敷設したことに基づくホタル飼育設備、
(2).ホタルの幼虫が成長するための水貯留領域と、幼虫が上陸後、蛹化、産卵、孵化とを行う陸上領域とによって構成されるホタル育成設備において、水貯留領域への水流入経路にアルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子を埋設し、流入する水を前記燒結土粒子の埋設領域を通過させることに基づくホタル飼育設備、
からなる。
【0008】
【発明の実施の形態】
通常、ホタル育成設備において使用される水貯留領域は、外部の水源から水が流入し、かつ貯留したうえで一定の循環が行われた後、外部に放流されることが多い。
【0009】
即ち、単に貯留した水をポンプによって循環するだけでは、新鮮な水の鮮度を長期間にわたって維持することが困難であるが故に、前記流入及び放流が行われている。
【0010】
図3(a)、(b)に示すように、前記(1)の構成は、水貯留領域1において、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩を含有している燒結土粒子(以下「本発明粒子」と略称する。)4を敷設しており、前記(2)の構成では、水貯留領域1への流入経路11に本4発明粒子を埋設し、これによって水1を強制的に本発明粒子4の埋設領域を通過させている。
【0011】
前記(1)の構成では、本発明粒子4が水貯留領域1の底部に敷設することによって、アルカリ金属の炭酸塩又はアルカリ土類金属の炭酸塩の存在によって、水貯留領域1の水10は弱アルカリ性の状態を維持することができると共に、水貯留領域1内においてポンプによって水10を循環させることによって、底部に敷設されている本発明粒子4の敷設領域を通過することによって、水10の濾過機能を発揮することができる。
【0012】
前記(2)の構成では、水10が本発明粒子4を通過する際、弱アルカリ性に変化させることができると共に、前記(1)の場合と同様の濾過機能が実施されることになる。
【0013】
しかも、流入経路11の水10中に生息し、かつホタルの幼虫を餌食とする魚類、昆虫は、本発明粒子4の埋設領域を殆ど通過することができないことから、前記魚類、昆虫の侵入は防止されることが可能となる。
【0014】
図3(a)においては、陸上領域2に隣接して観察領域21が設けられているが、当該領域は必ずしも不可欠という訳ではない。
【0015】
アルカリ金属の炭酸塩としては、炭酸カリウム(KCO)、炭酸ナトリウム(NaCO)が典型例として使用され、アルカリ土類金属の炭酸塩としては、炭酸カルシウム(CaCO)、炭酸マグネシウム(MgCO)が典型例として使用される。
【0016】
アルカリ金属の水酸化物(NaOH、KOHなど)、アルカリ土類金属の水酸化物(Ca(OH)、Mg(OH)など)を使用せずに、前記のような炭酸塩を使用するのは、水酸化物の場合には、速やかに水10中に溶出し、かつ過度のアルカリ状態が生じ易いのに対し、炭酸塩の場合には、水10中に流出する速度が緩慢であり、しかも、弱アルカリ性を維持するのに適当であることに由来している。
【0017】
ホタルの幼虫が育成されるのに適切な弱アルカリ性とは、Ph値7.0〜7.4であるが、このような弱アルカリ性を実現するために必要は燒結土中における炭酸塩の相対量は、使用する燒結土の種類及び燒結土粒子が所定の期間内に濾過する水量によって左右され、一律に当該相対量を断定することができない。
但し、アルカリ金属炭酸塩の場合には、通常0.3〜1.6重量%の範囲内に設定する場合が多く、アルカリ土類金属炭酸塩の場合には、通常0.7〜3.8重量%の範囲内に設定する場合が多い。
但し、前記相対量は前記数値範囲に限定される訳ではない。
【0018】
前記(1)及び(2)の構成に基づき、水貯留領域1の水が弱アルカリ性に維持されるため、カワニナなどの主たる幼虫の餌が繁殖し易いと共に、燒結土が多孔質であることに基づく濾過機能によって、カワニナなどの水中の微生物による排泄物から生ずるアンモニア、亜硝酸などを順次濾過吸収することが可能となる。
【0019】
火山灰土は、燒結の結果多孔質となり、かつ比較的強固な燒結による結合が得られる点において、本発明の燒結土として使用するのに好適である。
【0020】
本発明の設備においては、図3(a)に示すように、トンボ、カゲロウ、蚊などのホタルの幼虫を餌食とする昆虫の侵入を防ぐために、通水、通光性を有する網31、及びコンクリート、プラスチック、レンガなどの当該網31を支える基材32による仕切3を設けることが好ましい。
【0021】
以下実施例に即して説明する。
【0022】
【実施例1】
実施例1においては、図1に示すように、陸上領域2において、本発明粒子4を敷設したことを特徴としている。
【0023】
このように、陸上領域2において本発明粒子4を使用した場合には、成長したホタルの幼虫が潜土した場合に、燒結土粒子4による通気性を確保し得ると共に、水貯留領域1と接続させた場合には、毛細管現象によって適度の湿度をも維持することができ、蛹化、又は羽化するための床土として優れた能力を発揮することができる。
【0024】
特に本発明粒子4の結合力が、植物の根が浸透し得る程度、具体的には1.0cmの厚さにて2.6kg重/cm以上の圧力を加えた場合、粒子の結合が崩壊する程度である燒結土4を陸上領域2に敷設した場合には、陸上植物の繁茂、特にホタルの幼虫が水貯留領域1から陸上領域2に上昇する際に利用することができる蘚9の繁茂に寄与することができる。
【0025】
図1においては、本発明粒子4の下側に、燻炭の微粉末5を敷設しているが、このような微粉末は、上側の本発明粒子4に過剰な水分が含有された場合、当該水分を吸収し、ひいては本発明粒子4におけるカビの発生の防止に寄与することができる。
【0026】
【実施例2】
実施例2は、図2に示すように、前記(2)の構成において、特に仕切3を設けることを前提としたうえで、仕切3を構成する基材32によって水貯留領域1への流入経路11を遮断し、該基材32の内側及び外側、及び下側に燒結土粒子4を埋設したことを特徴としている。
【0027】
前記(2)の構成において、仕切3を設けたとしても、水貯留領域1への流入経路11の部位につき、仕切3を設けない場合には、当該流入経路11を介して、ホタルを餌食としている昆虫が侵入する危険性を否定することができない。
【0028】
しかるに、実施例2の場合には、仕切3の基材32の両側において、前記(2)の構成を実現しているので、流入経路11と仕切3との間に隙間が形成される余地がなく、前記昆虫の侵入に基づくホタルの幼虫に対する食害を十分防止することが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
このように、本発明においては、ホタルの幼虫が育成する水の弱アルカリ性の維持及び濾過作用を発揮し得ると共に、特に実施例1においては、陸上においてホタルの幼虫が孵化及び羽化する場合に適切な環境を提供し、更には実施例2においては、外部からホタルの幼虫を餌食としている昆虫の侵入及びこれによる食害を十分防止することが可能となる。
【0030】
このように、本発明は、多面的な効果を有しており、その価値は絶大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の構成を示す側断面図である。
【図2】実施例2の構成を示す側断面図である(尚、矢印は、水の流動方向を示す。)。
【図3】本発明の基本構成を示しており、(a)は平面図であり、(b)は水の流入経路、及び放流経路を含む側面図である(尚、矢印は、水の流動方向を示す。)。
【符号の説明】
1 水貯留領域
10 水
11 流入経路
12 放流経路
13 循環経路
2 陸上領域
21 観察領域
3 仕切
31 網
32 基材
4 燒結土粒子
5 燻炭の微粉末
6 循環用ポンプ
7 プラスチックファイバーマット
8 循環用孔つきパイプ
9 蘚
【出願人】 【識別番号】593124406
【氏名又は名称】株式会社広瀬
【住所又は居所】千葉県習志野市谷津4丁目8番48号
【出願日】 平成15年2月18日(2003.2.18)
【代理人】 【識別番号】100084696
【弁理士】
【氏名又は名称】赤尾 直人

【公開番号】 特開2004−248527(P2004−248527A)
【公開日】 平成16年9月9日(2004.9.9)
【出願番号】 特願2003−39755(P2003−39755)