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【発明の名称】 釣り用バケツ
【発明者】 【氏名】八木 啓之
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【要約】 【課題】持運びの際に内部の水がこぼれ難い釣り用バケツを提供すること

【解決手段】バケツ本体12の開口14に、柔軟性を有する合成樹脂材料で一体成型したトレー16を着脱自在に配置し、この開口14を閉塞可能とした釣り用バケツ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バケツ本体の開口に、柔軟性を有する合成樹脂材料で一体成型したトレーを着脱自在に配置し、前記開口を閉塞可能としたことを特徴とする釣り用バケツ。
【請求項2】
前記トレーは、合成樹脂製シート材から熱プレスにより成型されることを特徴とする請求項1に記載の釣り用バケツ。
【請求項3】
前記トレーは、バケツ本体の開口に嵌合するときに、変形可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の釣り用バケツ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣行に携行するのに適した釣り用バケツに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、釣行に携行する釣用容器には、例えば釣上げた魚を保管する保冷容器、種々の釣用小物類を収容する釣具用容器、更に、例えば用具入れ、餌の調合、水汲みあるいは釣上げた魚の保管等の種々の用途に用いられる釣り用バケツ等の種々のものがある。
【0003】
このような釣用容器のうちでも、保冷容器には、容器本体の上部開口部の周囲を覆うスカートを一体形成した天板部分を有する蓋と、この上部開口部を開閉する内蓋とを有し、この内蓋の周部と上部開口の周部とをジッパーファスナで閉じ、冷気の漏れを防止したものがある(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、釣具用容器には、容器本体の開口部を覆うトレーに、浅底の収納部を回動自在に取付け、トレーを開けたときに、この収納部に収納した小物の出し入れを容易に行うことができるようにしたものがある(例えば特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−177782 (第2頁、図4)
【0006】
【特許文献2】
特開2002−218887 (第3頁、図2、図4、図5)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、釣り用バケツは、バケツ本体が体に当っても痛くないような柔軟性を有する材料で形成され、内部に水を入れた状態で持運ぶこともある。このような柔軟なバケツ本体で水を運ぶ場合には、バケツ本体が水の重さで変形し、水が外部に零れやすい。しかも、従来の保冷容器の内蓋、あるいは、釣具用容器のトレーに設けられる収納部の構造では、内部に収容した水が揺れると、トレーを閉じた状態であっても、開口から零れやすい。
【0008】
本発明はこのような事情に基づいてなされたもので、持運びの際に内部の水がこぼれ難い釣り用バケツを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の釣り用バケツは、バケツ本体の開口に、柔軟性を有する合成樹脂材料で一体成型したトレーを着脱自在に配置し、前記開口を閉塞可能としたことを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1から図5は、本発明の好ましい実施形態による釣り用バケツ10を示す。本実施形態では、釣り用バケツ10を持運びの際に内部の水がこぼれ難い構造に形成してあり、主に撒き餌を入れ、その中で撒き餌を作成し、釣具を収納し、あるいは魚入れとして好適に用いることができる。
【0011】
図1から図3に示すように、本実施形態の釣り用バケツ10は、底壁部と4つの側壁部とを有する角形の箱状バケツ本体12を有し、このバケツ本体12の上方開口14(図3)をトレー16で開閉することができる。更に、この釣り用バケツ10は、上方開口14をトレー16で閉塞したときに、このトレー16の上方からバケツ本体12の開口14を覆う蓋体18を備えている。これらのトレー16と蓋体18とは、それぞれヒンジ17,19によりそれぞれバケツ本体12の側壁部20に取付けられ、開口14を開閉することができる。なお、ヒンジ17,19の双方を同じ側に配置することに代え、それぞれ異なる側に配置してもよい。
【0012】
更に、本実施形態の釣り用バケツ10は、バケツ本体12の対向する側壁部20の外側で、上方開口14の近部に携帯用の一対のハンドル22を取付けられている。このハンドル22は、それぞれ可撓性を有する合成樹脂により略コ字状形状に形成し、バケツ本体12の側壁部20に固着した補強材を兼ねる保持具24を介して、取り付けられている。このハンドル22は、図1に示すようにバケツ本体12から上方に突出する起立位置と、図2および図3に示すようにバケツ本体12の外側に倒した倒伏位置との間を移動することができる。
【0013】
このようなハンドル22と共に、あるいは、ハンドルに代えて図示しないショルダーベルトを設けてもよい。勿論、バケツ本体12の側壁部20以外にも、このような携帯用のハンドル22およびショルダーベルトの一方あるいは双方をトレー16あるいは蓋体18に設けることも可能である。また、図示しない帯状部材を、バケツ本体12の底壁部26から両側壁部20に沿って延設し、側壁部20の上縁部から突出する部分で、ハンドルあるいはショルダーベルトを形成することも可能である。
【0014】
バケツ本体12は、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂が好ましく、防水性を有する材料から形成し、バケツ本体12を通して外部からの水の浸入を防止すると共に、バケツ本体12に入れた水が漏れるのを防止する。この防水性合成樹脂材料は、バケツ本体12の縦、横、深さのそれぞれの寸法がほぼ50cm以下の大きさに形成する場合、側壁部20の肉厚をほぼ0.5〜2.0mm程度に形成する板材で、柔軟性あるいは可撓性を有するようにする。バケツ本体12をこのように形成することにより、十分な強度を確保しつつ持ち運びが容易な軽量構造とすることができる。
【0015】
図4および図5に示すように、本実施形態のバケツ本体12は、側壁部20と底壁部26とを縫目あるいは接合部のない一体の板材で形成するか、又は複数の板材を溶着して形成してある。このような板材は、複数のシートを貼り合わせて形成したものでもよい。この側壁部20には、上方開口14の周縁部を形成する上縁部の外側に沿って断面円形の金属製が好ましい剛性フレーム28を延設し、側壁部20を形成する板材の延長部を、この剛性フレーム28に沿って外方に折り返し、この折返し部30を側壁部20の外面に固定してある。これにより、側壁部20の上縁部は、滑らかな平面状の内側から、剛性フレーム28および折り返し部30を外方に突出させた湾曲断面を形成する。なお、このフレーム28は、バケツ本体12の底部や側壁を形成する材料よりも剛性が大きく、このバケツ本体12の形状を保持できるものであれば、金属に限らず合成樹脂であってもよい。
【0016】
更に、この折り返し部30と側壁部20との間の折り返し部30には、止め具としてのジッパーファスナ32の一方を形成する布テープ32bを取付けてある。この布テープ32bを、上記トレー16の上端部に取付けた対応するジッパーファスナ32の他方を形成する布テープ32aと噛合わせることで、上方開口14を閉塞したトレー16がバケツ本体12に固定される。
【0017】
本実施形態のトレー16は、底壁部34とこの底壁部の周縁部から外方に広がりつつ上方に突出する傾斜した周壁部36とを有し、この周壁部36とバケツ本体12とを上述のヒンジ17で連結してある。このトレー16は、バケツ本体12の上方開口14に対応した形状を有し、周壁部36の上縁部を覆う補強あるいは縁取り部材38と周壁部36との間に上述の布テープ32aを縫着あるいは接着等で固定してある。これにより、トレー16が開口14を閉塞するときに、周壁部36の外側が開口14の内側に添接し、バケツ本体12の側壁部20とトレー16の周壁部36とが嵌合する。そして、トレー16の周壁部36の上端から外側に突出する上述の布テープ32aは、バケツ本体12の開口14の縁部に当接し、トレー16がバケツ本体12内に落下するのを防止する突片あるいはストッパとして作用する。トレー16の周縁部36が、その上縁部を開口14から突出させた状態を保持する場合には、布テープ32aおよび縁取り部材38に手あるいは指を係止させてトレー16を開閉することができ、把持部を設けることを要しない。
【0018】
なお、このような布テープ32aをストッパとして作用することに代え、適宜の突部を周壁部36の外側に設けてストッパとしてもよい。また、後述するように周壁部36の上端側を開口14よりも僅かに大きくした傾斜面に形成し、トレー16の周壁部36を開口14の内側に添接したときに、このトレー16をバケツ本体12に対して保持する場合には、これらの周壁部36と開口14を規定する側壁部20との係合がストッパとして作用する。このような全周にわたるファスナ32の他にも、例えばヒンジ17の反対側の部位等の適宜個所を部分的に連結する締結具を用いることも可能である。
【0019】
このようなトレー16は、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂の発泡体やゴム等の発泡体で形成し、または、このような発泡体の少なくとも片面に、ナイロン、ポリプロピレン等の合成樹脂の繊維からなる織布を貼着等した外層体を有するシート、あるいは、エチレン酢酸ビニル、ポリウレタン等の合成樹脂シート(又は板材)等を熱プレスにより、凹部を有する皿状あるいはトレー状の一体構造に成形し、その全体を防水構造とすることが好ましい。織布を表面に貼着することにより、熱プレスの際に角部に皺が形成されるのを防止することができる。
【0020】
図6および図7は、このような熱プレスによる製造工程の一部を示す。
トレー16を形成する上述の剛性樹脂の板材48を一対の金型50a,50b間に配置し、この板材48に熱と圧力とを同時に作用させる。このように板材48から成型されたトレー16は、凹部を有する皿状の防水構造に形成される。そして、周壁部36が底壁部34から離隔する方向に広がる傾斜面で形成され、この周壁部36と底壁部34との遷移部が湾曲状に形成される。
【0021】
このように形成されたトレー16は可撓性を有し、その周壁部36が底壁部34から上方に向けて外方に広がる傾斜面を形成し、更に、底壁部34と周壁部36との間が湾曲部を形成するため、開口14に嵌合するときに、先ず底壁部34側がバケツ本体12の側壁部20と干渉することなくこの開口14内に入る。このトレー16を更に開口14内に押し込むと、次第に周壁部36がバケツ本体12の側壁部20の内面に接触し、僅かに凹む状態に変形する。これにより、トレー16の周壁部36がバケツ本体12の側壁部20の特に上縁部により、その周囲から押圧あるいは支持された状態に嵌合する。トレー16はがたつくことなく上部開口14を閉じる。更に、バケツ本体12が変形しても、トレー12の周壁部36がバケツ本体12の側壁部20で支持されているため、バケツ本体12の変形特に側壁部20の変形に追従してトレー16が変形する。これにより、バケツ本体12が変形しても、脱落しあるいは破損することなく、上部開口14を確実に閉ることができる。
【0022】
このトレー16が開口14を閉塞したときに、このトレー16の上方からバケツ本体12の開口14を覆う蓋体18は、ヒンジ19の反対側に設けた帯状の係合片40を、開口14の近部で側壁部20の外面に設けた止め具42に、着脱自在に係合させることで、閉塞位置に保持することができる。なお、図示の実施形態とは逆に、側壁部20に帯状の係合片40を取り付け、トレー16に板あるいはシート状の止め具42を設けてもよく、複数組の係合片40と止め具42とを設けてもよい。更に、トレー16と同様なジッパーファスナを設けてもよい。
【0023】
この蓋体18は、開口14およびトレー16を覆う天板44と、この天板の周縁部から延びてバケツ本体12の開口14の外側に沿って垂下するスカート46とを有する。本実施形態では、スカート46は天板44の全周にわたってこの天板と一体に形成してあり、トレー16と同様の合成樹脂シートあるいは板材を熱プレスで成形することが好ましい。また、天板44は、蓋体18を閉じたときすなわちトレー16の上方からバケツ本体12の開口を覆ったときに、トレー16の周壁部36を上から押えることが好ましい。これにより、トレー16の周壁部36で囲まれた凹部に、釣具等の適宜の釣用具を置くことができる。この凹部の内面は底壁部34から周壁部36にかけて湾曲状に形成されているため、凹部からの取出しが容易である。
【0024】
このように形成された釣り用バケツ10は、バケツ本体12の開口14を閉塞する際、トレー16の周壁部36の外側をバケツ本体12の開口14の内側に添接することができる。これにより、バケツ本体12の側壁部20とトレー16の周壁部36とが、その深さ方向に比較的大きな範囲で向かい合わせとなって容器本体12の開口14を閉塞する。このため、バケツ本体12内で水が揺れても、これらの側壁部20と周壁部36との間を水が通過し難くなる。又、トレー16が開口14を閉塞すると、バケツ本体12の側壁部20の折り返し部30に剛性フレーム28が設けられているために、折り返し部30がトレー16の傾斜した周壁部36を押圧し、変形させた状態で当接する。これにより、より水が通過し難く、また、トレー16が開口14から脱落し難い。
【0025】
更に、蓋体18を閉じた場合には、この蓋体18の天板44がトレー16の上縁部を押え、トレー16と開口14との嵌合が緩むのを防止するため、水がこぼれ難くなる。また、蓋体18のスカート46が天板44の周縁から開口14の外側に被るように垂下するため、外部の水は、天板44からスカート46を伝ってバケツ本体12の外側に落下する。これにより、バケツ本体12内に水と魚とをいれて持運ぶ際、バケツ本体12が揺れても、内部の水が外に零れるのを防止することができる。更に、釣り場で撒き餌を入れた状態で使用している最中に雨が降りあるいは波を被った場合であっても、バケツ本体12内に水が浸入して撒き餌が不要な水で薄められる等の不都合が生じることもない。
【0026】
なお、周壁部36で規定される凹部の上方を覆うカバー体をトレー16に設けてもよい。このようなカバー体は網目状シートで形成し、トレー16の一端にヒンジ部材等を介して取付け、周壁部36で囲まれたトレー16の凹部を自在に開閉可能とすることが好ましい。このようなカバー体を設けることにより、蓋体18を動かしたときに、凹部から釣用具が落下するのを防止することができ、また、凹部内の状態を容易に把握することができる。
【0027】
なお、上記各釣り用バケツについて、トレー16と蓋体18との双方をバケツ本体12に取付けた実施形態を説明したが、蓋体18は省略することも可能である。この場合には、釣り用バケツの全体が持ち運びに便利な軽量構造とすることができる。また、トレー16および蓋体18をバケツ本体12に取付けるヒンジ17,19は、バケツ本体12に対して着脱自在としてもよい。トレー16および蓋体18の双方をバケツ本体12から取外すことにより、バケツ本体12を用いて容易に水を汲みあげることが可能となる。
【0028】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明によると、持運びの際に内部の水がこぼれ難い極めて簡単な構造の釣り用バケツが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による釣り用バケツの全体構造を示す斜視図。
【図2】図1の釣り用バケツの蓋体を開いた状態の斜視図。
【図3】図1の釣り用バケツのトレーと蓋体とを開いた状態の斜視図。
【図4】図1の釣り用バケツの断面図。
【図5】図1の釣り用バケツのトレーと蓋体とを開いた状態の断面図。
【図6】板材からトレーを熱プレスする工程を示す図。
【図7】熱プレスにより、成型された状態のトレーを示す図。
【符号の説明】
10…釣り用バケツ、12…バケツ本体、14…開口、16…トレー、18…蓋体、36…周壁部。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
【出願日】 平成15年1月28日(2003.1.28)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也

【公開番号】 特開2004−229510(P2004−229510A)
【公開日】 平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願番号】 特願2003−18925(P2003−18925)