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【発明の名称】 釣竿
【発明者】 【氏名】菅谷 英二
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【氏名】西川 太
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号 ダイワ精工株式会社内

【要約】 【課題】握持したときに好適な感触を得ることができると共に、長時間にわたって使用する場合でも手が疲れ難く、滑り止め効果およびその耐久性の高い釣竿を提供すること

【解決手段】竿管16の表面に形成された塗装層32を備え、この塗装層は、樹脂で形成された母材34中に無数の滑り止め粒子36を混入させ、これらの滑り止め粒子36の一部を母材34から突出させた不規則形状の凹凸面で形成される外面を有する釣竿。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿の表面に形成された塗装層を備え、この塗装層は、樹脂で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入させ、これらの滑り止め粒子の一部を母材から突出させた不規則形状の凹凸面で形成される外面を有することを特徴とする釣竿。
【請求項2】
釣竿の表面に形成された塗装層を備え、この塗装層は、樹脂で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入し、これらの滑り止め粒子は、鋭くかつ不規則の凹凸状外形を有して塗装層の外面を凹凸面に形成することを特徴とする釣竿。
【請求項3】
釣竿の表面に形成された塗装層を備え、この塗装層は、樹脂層で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入し、母材中におけるこれらの滑り止め粒子の混入比率を、塗装層の外面側で竿管側よりも大きくしたことを特徴とする釣竿。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣竿に関し、特にその表面に形成された塗装層を備えた釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、釣竿の操作性を向上させるために、釣竿の握り部等の手で操作する部位に滑り止めを設けることが行われている。
このような釣竿の滑り止めとして種々の手段が採用されており、例えば合成樹脂系塗料に熱可塑性合成樹脂製細粒子の滑り止め材を混合して釣竿の所要部位に塗装し、釣竿の外周面と滑り止め材とを合成樹脂塗料で被覆するものがある(例えば特許文献1参照)。
また、釣竿の握り部表面に、互いに近似した特性値を有する弾性樹脂バインダー及び球状弾性樹脂性樹脂粒子からなる塗膜層を形成するものもある(例えば特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特公昭63−29421号公報 (第1,2頁、第2図)
【0004】
【特許文献2】
実開平1−149953号公報 (第1頁)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に記載の釣竿は、滑り止め材が合成樹脂塗料で被覆されているため、滑り止め効果は合成樹脂系塗料内で細粒子が形成する凹凸の程度によって大きく影響される。このような塗料内の細粒子の重なり状態あるいは細粒子の偏在状態を制御することは極めて困難であり、したがって、所要の滑り止め効果を得ることは困難である。
また、特許文献2に記載の釣竿の場合は、弾性樹脂バインダーと樹脂粒子との特性値が近似するとしても、優れた滑り止め効果を確実に得ることができるものでもない。
【0006】
特に、滑り易い釣竿を長時間にわたって握持する場合には、無用の力を作用させるために疲れやすく、また、操作性が悪い。
本発明は、このような事情に基づいてなされたもので、握持したときに好適な感触を得ることができると共に、長時間にわたって使用する場合でも手が疲れ難く、滑り止め効果およびその耐久性の高い釣竿を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の釣竿は、竿管の表面に形成された塗装層を備え、この塗装層は、樹脂で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入させ、これらの滑り止め粒子の一部を母材から突出させた不規則形状の凹凸面で形成される外面を有することを特徴とする。
更に、本発明によると、竿管の方面に形成された塗装層が、樹脂で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入し、これらの滑り止め粒子が、鋭くかつ不規則の凹凸状外形を有して塗装層の外面を凹凸面に形成し、あるいは、樹脂層で形成された母材中に無数の滑り止め粒子を混入し、母材中におけるこれらの滑り止め粒子の混入比率を、塗装層の外面側で竿管側よりも大きくした釣竿が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1の(A)は、本発明の好ましい実施形態による釣竿10の全体を示す。 本実施形態における釣竿10は、小径竿管を順に大径の竿管内に収容する例えば振出式の釣竿として形成してあり、図1に示すように、先端から順に穂先竿である小径竿管12と、例えば3本である複数本の中竿管14と、最も大径の元竿管16とを有し、釣人が握持する握り部18をこの元竿管16の竿尻側に形成してある。この釣竿10は、例えば海釣用に適した釣竿として形成してあり、元竿管16に形成したリールシート20に、釣糸を収容するスピニングリールを魚釣用リール8として取り付けてある。このスピニングリールに代えて、図示しない両軸リールを用いることも可能である。
【0009】
本実施形態の釣竿10は、炭素繊維等の強化繊維にエポキシ樹脂等の合成樹脂を含浸した繊維強化プリプレグ(以下の説明では、単にプリプレグと称する)を周方向、軸方向あるいは軸線に対して適宜角度に傾斜した偏向方向に引き揃えて巻回し、これらの複数の本体層を積層した中空竿管から形成してある。これに代え、特に小径竿管12については、このような中空構造に限らず、釣竿を大きく撓ませることが可能な中実構造に形成することもできる。勿論、このような竿管は、振出式の他にも、並継ぎ式あるいは印籠継ぎ式等の他の適宜の継合形式を採用することもできる。
【0010】
更に、この釣竿10には、竿管の外面に釣り糸が付着するのを防止する釣糸ガイド20が、魚釣用リール8と同じ側で、釣竿10の穂先に向けて所定間隔をおいて固定され、穂先竿12の先端には、トップガイド24が固定されている。これらの釣糸ガイド20には、各竿管の先端側に固定される固定ガイドと、竿管に遊嵌され、大径の竿管から振出したときに、その中間部のガイド止まり位置26(1つのみを示す)に保持可能な遊動ガイドとが設けられている。
【0011】
このような釣竿10の表面部には、操作する際に手で握持する部位に、滑り止めを施してある。
図1の(A)に示す釣竿10の場合には、握り部18、リールシート20の周部、各遊動ガイド22のガイド止まり位置26、及び、隣接する竿管の嵌合部28の前後部位すなわち大径竿管の先端側部位28aと小径竿管の後端側部位28bとに設けてある。図1の(B)に拡大して示すように、この釣竿10の握り部18は、元竿管16の竿尻部に例えば柔軟性部材を嵌合して形成したもので、この柔軟性部材の外周部に滑り止め30を形成してある。また、図1の(C)に示すように、竿管と一体に握り部18を形成した場合には、例えば元竿管16である竿管に滑り止め30を直接形成してもよい。この他にも、例えば尻栓17に形成することもできる。
【0012】
このような滑り止め30は、握り部18の握持性および釣竿10の操作性を高める。また、リールシート20の周部に設けた場合には魚釣用リール8の着脱を容易とし、ガイド止まり位置26に設けた場合には遊動ガイド22の回動および前後動を防止する。また、嵌合部28の前後部位に設けた滑り止め30は竿管の振出操作および収納操作を容易とし、尻栓17に設ける場合には、この尻栓17の着脱性を向上させる。特に、水で濡れた状態あるいは魚のヌメリで滑り易い状態にあっても、これらの各部位の操作を容易に行うことができる。
【0013】
図2および図3は、このような滑り止めのうち、元竿管16の握り部18に直接形成した滑り止め30を拡大して示す。
図2に示すように、滑り止め30の外面は、黒色で示す凸部と白色で示す凹部とを有する不規則形状の凹凸面を形成しており、この凹凸面は、図3に示すように、元竿管16の表面に形成した塗装層32の外面で形成される。凹凸面を形成するため、塗装層32は、天然ゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリルウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素樹脂、あるいは、ポリエチレン樹脂等の基材となる元竿管16との密着性の高い母材34中に無数の滑り止め粒子36を混入させて形成してあり、これらの滑り止め粒子36の一部が母材34の表面から突出して図2に示す凸部を形成する。
【0014】
これらの母材34中に混入する滑り止め粒子36は、エラストマー、ゴム(天然、合成)あるいはコルク等の母材34よりも硬度の低い柔らかな材質を有し、その外側に滑らかな面を持たない、例えば溶岩塊、ごつごつした岩石、あるいは千切れた木片のような鋭くかつ不規則な凹凸状外形を有するのが好ましい。また、これらの滑り止め粒子36の大きさは、ほぼ100μm〜500μmの範囲に形成するのが好ましい。滑り止め粒子36がこの範囲よりも小さすぎると母材34から突出する部分が少なり、滑り止め効果が小さく、逆に、大きすぎると、手に与える刺激が強すぎることになり、また、粒子のるためである。
【0015】
塗装層32を形成する場合は、このような滑り止め粒子36を混入した母材34を例えば元竿管16である基材の表面に、例えば100〜300μm程度の厚さに形成する。このように膜厚が厚くても滑り止め粒子36が緩衝材料的な役目もするので、塗膜が破壊しにくい。耐久性を向上する効果が得られる。
【0016】
母材34が硬化した後、この塗装層32の表面を研磨することにより、滑り止め粒子36の表面を覆う母材34を除去し、滑り止め粒子36が突出した凹凸面を形成する。滑り止め粒子36は、その外面が不規則な凹凸状であるため、母材34と噛合って強固なアンカー効果が得られる。このため、塗装層32の表面を研磨する際あるいは使用中に、これらの滑り止め粒子36が母材34から脱落することはない。なお、滑り止め粒子36が母材34から突出する場合の他、母材34の表面から凹設された状態に研磨してもよく、握持した際の手肌の食い込みによる握持性向上と、滑り止め粒子36とのなじみにより更に握持し易くなる。へこみの段差は、手の食い込み具合を考えると10〜150μm程度が好ましい。この場合でも、この塗装層32の外面が不規則形状の凹凸面に形成される。
【0017】
このような滑り止め30を形成する塗装層32の表面は、母材34よりも柔らかい滑り止め粒子36が露出しているため、手で触れた際に好適な感触を得ることができる。そして、このような凹凸面により、握持した手が確実に滑り止め30を保持するため、無用の力を加える必要がなく、長時間にわたって使用する場合でも手の疲れが抑制される。更に、不規則形状の外形を持つ滑り止め粒子36がこれよりも硬質の母材34中に保持されているため、これらの滑り止め粒子36が長期間にわたって滑り止め効果を維持する優れた耐久性を備える。そして、仮に、滑り止め粒子36が脱落した場合であっても、母材34中の凹部が塗装層32の外面の凹凸面を維持する。
【0018】
なお、塗装層32は、元竿管16等の基材に直接形成することに代え、この間に図示しない1層あるいは複数層の下地層を設けてもよい。このような下地層を設けることにより、密着性を向上させ、あるいは、デザイン上のバリエーションを拡大することができる。また、塗装層32の外面に図示しない撥水層を設けてもよい。この場合の撥水層は、塗装層32の凹凸を維持するものであれば適宜の材料を用いて適宜の方法で形成することができる。このような撥水層を設けることにより、滑り止め30に水滴が付着するのを防止し、凹凸面との相乗効果で滑り止め効果を更に向上させることができる。
【0019】
図4は、塗装層32の母材34を、元竿管16の表面に予め刷毛塗りし、この母材34の硬化前に滑り止め粒子36をこの母材34にまぶしたものである。刷毛塗りにより、母材34の表面に形成される大きな凹凸と、母材34の表面から突出する滑り止め粒子36の鋭く且つ不規則の凹凸状外形とが、滑り止め効果をさらに増大する。この場合も、母材34から露出した滑り止め粒子36が、密集した凸部を突出させることにより、手に好適な感触を与える。この際、エアー圧等を利用し、滑り止め粒子36を勢いよく母材に衝突させると、粒子がわずかに凹んで配設される。
【0020】
なお、滑り止め粒子36の外面の凹凸により、手が痛くなる程に鋭い凹凸面が形成される場合には、例えばシゴキ塗装等により、塗装層32の外面がある程度平滑になるようにして、滑り止め粒子36をまぶしてもよい。
【0021】
図5は、塗装層32の外面側に滑り止め粒子36を集中させて配置し、これらの滑り止め粒子36を母材34から露出させたものである。このような塗装層32は、母材34を塗布した後、滑り止め粒子36を振掛けることで、母材34の外面側に滑り止め粒子36を集中配置することができる。これとは逆に、層状に展開した滑り止め粒子36の集合体上に、塗装層32を押え付けあるいは転動させてもよい。
【0022】
母材34が硬化した後、この塗装層32の外面を研磨することにより、母材34の表面から滑り止め粒子36がほぼ均等に突出した滑り止め30を形成することができる。この場合、滑り止め粒子36の露出した頂面は平坦に形成することができる。
【0023】
図6は、元竿管16に嵌合した柔軟性部材等の拡径部材38に設けた滑り止め30を示す。このような拡径部材38は、例えば、コルク、発泡剤、合成樹脂、あるいは糸等の柔軟性部材の他にも、繊維強化樹脂、金属、硬質合成樹脂等の硬質部材で形成することができる。このような拡径部材38は、所定形状に成形されている場合には、接着等により基材に固定される。また、テープ状の長尺部材を基材に巻回して形成してもよい。
【0024】
図7は、基本的には図3に示す滑り止めと同様であるが、滑り止め粒子36の頂部すなわち母材34から露出した頂部に凹凸を形成したものである。このような滑り止め粒子36の頂部の凹凸は、例えば#100〜#800番程度の粗さのサンドペーパーで研磨することにより、形成することができる。滑り止め粒子36が母材34の外面に形成する凹凸と、各滑り止め粒子36の頂部に形成される微細な凹凸との組み合わせにより、滑り止め効果を向上させることができる。
【0025】
図8は、母材34内に混入された状態の滑り止め粒子36を示す。これらの滑り止め粒子36は母材34内に密集状態に配置されており、様々な外形形状を有する。これらの滑り止め粒子36は上述のような塊状のものだけでなく、不規則な外形形状を有するものであれば、平坦状のものであってもよい。いずれの場合も、比較的大きな粒径を有することにより、例えばシゴキ塗装する際、凸部あるいは角部が基材の表面から離隔する方向に立ち上げられ、これにより塗装層32の外面を凹凸面とする。
【0026】
このような滑り止め30を形成する滑り止め粒子36は、上述のように不規則な凹凸状外形を形成するものであれば、適宜の手段で形成することができる。例えば、上述のようなエラストマー、ゴムあるいはコルク等を磨り潰し、あるいは微細に圧壊するなどの手段で形成してもよい。また、冷凍して粉砕してもよい。
【0027】
なお、上述では、基材として元竿管16について説明したが、このような基材は、滑り止め30を設ける部位によって、元竿管16の他、中竿管14、リールシート20、あるいは尻栓17であることは明らかである。
【0028】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明によれば、好適な感触を与えることができると共に、長時間にわたって使用する場合でも手が疲れ難く、滑り止め効果およびその耐久性の高い釣竿が形成される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施形態による釣竿を示し、(A)は釣竿の全体図、(B)はその一部の拡大図、(C)は、(A)に示す釣竿の握り部の変形例の説明図。
【図2】図1の釣竿の滑り止めの表面を拡大した図。
【図3】図1の釣竿の滑り止めの拡大断面図。
【図4】母材が凹凸を形成した滑り止めの拡大断面図。
【図5】滑り止め粒子を母材の表面部に集中させた滑り止めの拡大断面図。
【図6】拡径部材に形成した滑り止めの拡大断面図。
【図7】滑り止め粒子の露出した頂部に凹凸を形成した滑り止めの拡大断面図。
【図8】種々の外形を持つ滑り止め粒子の説明図。
【符号の説明】
10…釣竿、32…塗装層、34…母材、36…滑り止め粒子。
【出願人】 【識別番号】000002495
【氏名又は名称】ダイワ精工株式会社
【住所又は居所】東京都東久留米市前沢3丁目14番16号
【出願日】 平成14年10月31日(2002.10.31)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100068814
【弁理士】
【氏名又は名称】坪井 淳

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100100952
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 鉄也

【公開番号】 特開2004−147581(P2004−147581A)
【公開日】 平成16年5月27日(2004.5.27)
【出願番号】 特願2002−317841(P2002−317841)