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【発明の名称】 二枚貝挟持具
【発明者】 【氏名】小坂 善信

【氏名】竹内 忠一

【要約】 【課題】耳部に穴を開けずに耳吊り法による二枚貝養殖を行うことのできる、二枚貝垂下養殖用の二枚貝挟持具を提供すること。

【解決手段】二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間にそれぞれ挿入されて蝶番を挟持するための二のフック部31、31と、ロープ等の固定手段に固定することができる本体構造である本体部33とからなり、本体部33は可撓性または弾性を備えた線状構造または棒状構造を有し、これにより前記二のフック部31、31は蝶番を両端部から挟持してこれに固定することができる構成の、二枚貝挟持具とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間にそれぞれ挿入されて蝶番を挟持するための二のフック部と、ロープ等の固定手段に固定することができる装着部を有する本体部とからなり、各フック部は該本体部の両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする、二枚貝挟持具。
【請求項2】
前記本体部は可撓性または弾性を備えた線状構造または棒状構造を有し、これにより前記二のフック部は蝶番を両端部から挟持してこれに固定することができることを特徴とする、請求項1に記載の二枚貝挟持具。
【請求項3】
一本の線状材料または棒状材料が折り曲げられてなる請求項1または2に記載の二枚貝挟持具であって、前記本体部は略V字状または略山型に形成されて、前記各フック部にそれぞれつながる脚部が形成されていることを特徴とする、二枚貝挟持具。
【請求項4】
前記二のフック部は、前記本体部の含まれる平面から突出して同一の側に曲げられて形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の二枚貝挟持具。
【請求項5】
本二枚貝挟持具の用いられる二枚貝の大きさに合わせて、必要な場合は前記脚部を内側に折り曲げて本体部形状を略五角形状に成形し、前記両フック部間の距離を調節することができることを特徴とする、請求項3または4に記載の二枚貝挟持具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は二枚貝挟持具に係り、特にホタテガイ等の二枚貝の養殖において、ホタテガイの前耳殻の基部(以下、「耳部」という。)に穴を開けることなく耳吊りによる垂下養殖を行うことを可能とする、二枚貝挟持具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来広く行われているホタテガイ等二枚貝の垂下養殖方法の一つに、耳吊り法がある。これは、稚貝や半成貝の耳部にドリルで穴を開けて、この穴にナイロン製のテグスやピン等の係止具を通し、該係止具を専用の装置によって化学繊維製ロープ等の固定用資材に等間隔に固定する。これによって稚貝や半成貝を等間隔に固定用資材に固定し、これを海中に垂下して稚貝や半成貝を育成するものである。(非特許文献1、2、3参照。)。
【0003】
しかし、耳吊り法の一連の作業には多くの労力を要するため、これを軽減するための提案が、従来種々なされている。このうち、特開平10−52190号公報に開示された「養殖貝類の係止具」には、略棒状を呈する係止具本体の両端に備える稚貝係止部の一方を二又の銛状に構成することにより、係止具の形状を簡素化し、取扱いの容易化を図る方法が示されている(特許文献1参照。)。
【0004】
また、実開平6−84846号公報に開示された「養殖稚貝の係止ピン」には、ホタテガイを係止するためのストッパーに段差または突起を形成することにより引掛かり部を構成し、これにより耳部に開けた穴が小さくても稚貝係止作業が容易にできる方法が示されている(特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−52190号公報 (文献全体)
【特許文献2】
実開平6−84846号公報 (文献全体)
【非特許文献1】
株式会社青森ともや、“ほたての話”のうち“ほたての養殖”、[online]、[平成14年9月3日検索]、インターネット<URL:http://aomoritomoya.co.jp/scallop/youshoku.html>
【非特許文献2】
電子メールID:ookatou、“漁網のページ”のうち“養殖ほたてがい”、[online]、[平成14年9月3日検索]、インターネット<URL: http://www4.justnet.ne.jp/ ̄ookatou/net602/y210.htm>
【非特許文献3】
東奥日報社、“Web東奥・ニュース20020318_3 2002年3月18日(月)陸奥湾ホタテの耳吊り作業最盛期”、[online]、[平成14年9月3日検索]、インターネット<URL: http://www.toonippo.co.jp/news_too/nto2002/0318/nto0318_3.html>
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の各先行技術はいずれも、耳部に穴の開けられた二枚貝の稚貝や半成貝において、これにピン等の係止具を付ける作業の効率を向上させるための提案であって、その作業効率化の効果は限定されたものにとどまると考えられる。すなわち、そもそも二枚貝の耳部に穴を開けることを不要とすることができれば、ドリル等の特別の装置を用いた主要工程の一つを省くことができ、作業効率を大きく改善することができるのであるが、従来このような提案は、一切なされていない。
【0007】
稚貝や半成貝の耳部の穴開け工程は他にも幾多の問題点を有している。それらを列挙すると次のとおりである。
1.高価な穴開け用のドリルと、係止具をロープ等の固定用資材に固定するための装置が必要となり、コストがかかる。
2.穴開け作業には多くの労力を必要とし、時間、コストがかかる。
3.耳部への穴開けにより、二枚貝の外套膜を損傷することによって、その後の成長に悪影響を及ぼすことがあり、生産量、品質を低下させるおそれがある。
4.耳部に穴を開けて係留するためには、ホタテガイの場合は殻長4〜5cm以上の稚貝・半成貝でなくてはならず、作業対象となる生育ステージが限定されている。
5.穴開け作業は上記装置を使用するため、作業場所は限定される。
6.出荷の際には、穴に通したピン等の係止具を除去する作業が必要となる。
【0008】
このように従来の耳部に穴を開ける方法では、コスト、作業性、貝の生産量・品質などの点で数々の問題点があり、これらを解決するために、耳部に穴を開けずに耳吊りによる垂下養殖を行うことのできる方法が求められていた。
【0009】
本発明の課題は、このような従来技術の欠点を解決して、耳部に穴を開けずに耳吊り法による二枚貝養殖を行うことのできる、二枚貝垂下養殖用の二枚貝挟持具を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明者が鋭意検討した結果、ホタテガイ等二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間を利用することにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明に至った。すなわち、本願において特許請求される発明は以下のとおりである。
【0011】
(1)二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間にそれぞれ挿入されて蝶番を挟持するための二のフック部と、ロープ等の固定手段に固定することができる装着部を有する本体部とからなり、各フック部は該本体部の両端部にそれぞれ設けられていることを特徴とする、二枚貝挟持具。
【0012】
(2)前記本体部は可撓性または弾性を備えた線状構造または棒状構造を有し、これにより前記二のフック部は蝶番を両端部から挟持してこれに固定することができることを特徴とする、(1)の二枚貝挟持具。
【0013】
(3)一本の線状材料または棒状材料が折り曲げられてなる(1)または(2)の二枚貝挟持具であって、前記本体部は略V字状または略山型に形成されて、前記各フック部にそれぞれつながる脚部が形成されていることを特徴とする、二枚貝挟持具。
【0014】
(4)前記二のフック部は、前記本体部の含まれる平面から突出して同一の側に曲げられて形成されていることを特徴とする、(3)の二枚貝挟持具。
【0015】
(5)本二枚貝挟持具の用いられる二枚貝の大きさに合わせて、必要な場合は前記脚部を内側に折り曲げて本体部形状を略五角形状に成形し、前記両フック部間の距離を調節することができることを特徴とする、(3)または(4)の二枚貝挟持具。
【0016】
すなわち本発明は典型的には、ホタテガイ等二枚貝の蝶番の両端の隙間から、両端にフック部を有する線状部材のフック部を差し込むことにより二枚貝を挟持して耳吊りすることができるようにするものであり、もって耳部への穴開けを不要とし、上述した穴開け工程の有する問題点をすべて解決するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面により詳細に説明するが、本発明はこれら図面に示されたものにのみ限定されるものではない。
図1は、本発明の二枚貝挟持具の構成を示す概念図である。図において本二枚貝挟持具10は、二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間にそれぞれ挿入されて蝶番を挟持するための二のフック部1、1と、ロープ等の固定手段に固定することができる装着部7を有する本体構造である本体部3とからなり、各フック部1、1は該本体部3の両端部にそれぞれ設けられていることを、主たる構成とする(請求項1)。
【0018】
図において本二枚貝挟持具10は、前記本体部3が、可撓性または弾性を備えた線状構造または棒状構造を有し、これにより前記二のフック部1、1は、二枚貝の蝶番を両端部から挟持してこれに固定することができる構成とすることができる(請求項2)。
【0019】
【作用】
図において本発明の二枚貝挟持具10は上述のように構成されるため、前記本体部3の両端部にそれぞれ設けられている前記二のフック部1、1は、二枚貝の蝶番の長手方向両端部の隙間にそれぞれ挿入され、これによって蝶番が挟持される。そして、該本体部3においてロープ等の固定手段に固定することができる(請求項1)。さらに、前記本体部3が可撓性または弾性を備えた線状構造または棒状構造を有する構成をとることにより、該二のフック部1、1は、二枚貝の蝶番を両端部から挟持してこれに固定されることができる(請求項2)。
【0020】
すなわち、本体部3は可撓性または弾性を有する材料で形成することができるため、本体部3を内側から外側へ押圧して押し広げることにより両フック部1、1間を二枚貝蝶番の長手方向長さを超えた長さに広げ、それから蝶番の隙間に各フック部1、1を挿入して、本体部3の押圧を解除することにより、本体部3はその可撓性(または弾性)故に押圧前のサイズに復帰し、これにより両フック部1、1による二枚貝蝶番の挟持は強固になされて、該フック部1、1は蝶番に固定される。
【0021】
図2は、本発明の二枚貝挟持具の別の構成を示す平面図である。図において本二枚貝挟持具30は、図1に示した構成を有する二枚貝挟持具であって、かつ一本の線状材料または棒状材料が折り曲げられてなる構成を有し、本体部33は略V字状または略山型に形成されて、また各フック部31、31にそれぞれつながる脚部35、35が形成されている構成を有する(請求項3)。すなわち図において本二枚貝挟持具30は、たとえば、金属製、樹脂製、その他適宜の材質により形成された線状材料または棒状材料を、要所要所で折り曲げ加工することにより形成することができる。
【0022】
用いられる線状材料または棒状材料は、強度、曲げ性、可撓性または弾性、耐食性等、垂下養殖における海中での長期間使用に耐えるものであれば、金属製、樹脂製等適宜のものを用いることができる。金属の場合、たとえば適宜の鋼種(規格)のステンレス鋼を用いることができる。また線状材料または棒状材料の太さは、ホタテガイ等二枚貝の蝶番両端部の隙間に差し込める程度のものであれば、特に限定されない。したがって、線状材料または棒状材料としては、たとえば、ステンレス鋼製の針金を用いることができる。また図において本二枚貝挟持具30は、両フック部31、31を両端とする線対称に形成されているが、本発明は必ずしも対称形であることに限定されない。もっとも図示した対称形の二枚貝挟持具は、これを耳吊り作業に用いた場合に良好な作業性が得られることが確認済みである。
【0023】
図において本二枚貝挟持具30は、本体部33が、両フック部31、31間が最も広がった略V字状または略山型に形成される。本体部33は可撓性または弾性を有する材料で形成することができるため、両脚部35、35間を押圧して押し広げることにより両フック部31、31間を二枚貝蝶番の長手方向長さを超えた長さに広げ、それから蝶番の隙間に各フック部31、31を挿入して、両脚部35、35の押圧を解除することにより、両脚部35、35間の長さは本体部33の可撓性(または弾性)故に押圧前のサイズに復帰し、これにより両フック部31、31による蝶番の挟持は強固になされ、該フック部31、31は蝶番に固定される。
【0024】
したがって、ホタテガイ等二枚貝の蝶番の挟持には、両脚部35、35が有する可撓性または弾性による内側方向への圧力に基づく押圧が用いられるため、本二枚貝挟持具30における両フック部31、31間距離は、二枚貝の蝶番長手方向距離(蝶番線の長さ)よりも短くなるよう形成される。
【0025】
図において、前記本体部33の略V字状または略山型の屈曲部は、本二枚貝挟持具30をロープ等の固定用資材に装着するための装着部37とすることができる。本二枚貝挟持具30は該装着部37において、垂下養殖用のロープ等にテグス等によって装着することができる。
【0026】
図3は、図2に示した二枚貝挟持具30の使用例を示す平面図である。図において本二枚貝挟持具30は上述のように構成されるため、両脚部35、35間を押圧して押し広げることにより両フック部31、31間を二枚貝蝶番90の長手方向長さを超えた長さに広げ、それから蝶番90の隙間に各フック部31、31を挿入して、両脚部35、35の押圧を解除することにより、両脚部35、35間の長さは本体部33の可撓性(または弾性)故に押圧前のサイズに復帰し、これにより両フック部31、31による蝶番90の挟持は強固になされ、該フック部31、31は蝶番90に固定される。図において両フック部31、31は、二枚貝蝶番90の隙間に挿入されているため、その部分は図示されていない。
【0027】
図4は、本発明の二枚貝挟持具の別の構成を示す側面図である。図において本二枚貝挟持具40は、図2に示した二枚貝挟持具30の構成を有する二枚貝挟持具であって、かつ二のフック部41は、前記本体部43の含まれる平面から突出して同一の側に曲げられて形成されていることを特徴とする構成を有する(請求項4)。すなわち、本二枚貝挟持具40を側面から見た場合に、該フック部41は該本体部43の含まれる平面から曲げられており、これを図のA方向から見た場合は、該フック部41、41は手前側に曲げられて形成されている構成をとる。
【0028】
係る構成をとることにより本二枚貝挟持具40を用いれば、ホタテガイ等二枚貝は該フック部41、41により蝶番を挟持され、略平面状をなす貝殻本体は曲げられた該フック部41、41の延長線上に位置するように保持、固定される。
したがって本二枚貝挟持具40をロープ等固定用資材に鉛直方向に複数個固定した場合、これらにそれぞれ挟持される二枚貝は相互に適当な間隔を維持して離間させることができ、貝殻の先端部・周縁部が他の貝殻に接触しにくくなり、係る接触や衝突によって相互に生じる貝殻の破損等を防止することができる(後掲の図5、6参照。)。
【0029】
図5は、図4に示した二枚貝挟持具40の使用例を示す説明図であり、ホタテガイ等二枚貝の耳吊りがされている状態を示す。図において本二枚貝挟持具40にはホタテガイ等二枚貝がその蝶番90において挟持される。垂下養殖用ロープ80には、樹脂製等の輪状の係留具70(以下、「樹脂製輪」という。)が、ロープの長さ方向に等間隔で付設されている。該二枚貝挟持具40は装着部37において、該樹脂製輪70に通されて固定され、ホタテガイ等二枚貝の耳吊りが行われる。
【0030】
図6は、図4に示す二枚貝挟持具40の別の使用例を示す説明図であり、ホタテガイ等二枚貝の耳吊りが図5とは異なる方法でなされている状態を示す。図において本二枚貝挟持具40にはホタテガイ等二枚貝がその蝶番90において挟持される。垂下養殖用ロープ80には、樹脂製等の輪状の係留具70(以下、「樹脂製輪」という。)が、ロープの長さ方向に等間隔で付設され、これらの樹脂製輪70の輪を通してロープの長さ方向に、一本のテグス等の紐60が設けられている。該二枚貝挟持具40は装着部37において、該テグス等の紐60に通されて固定され、ホタテガイ等二枚貝の耳吊りが行われる。
【0031】
図7は、本発明の二枚貝挟持具の別の構成を示す平面図である。図において本二枚貝挟持具50は、図2または図4に示す構成を備える二枚貝挟持具であって、本二枚貝挟持具の用いられる二枚貝の大きさに合わせて、必要な場合は脚部55を内側に折り曲げて本体部53の形状を略五角形状に成形し、両フック部51、51間の距離を調節することができる構成をとる(請求項5)。係る構成をとることにより本二枚貝挟持具50は、よりサイズが小さく蝶番線が短いホタテガイ等二枚貝の稚貝、半成貝であっても、脚部55を内側に折り曲げられることにより、処理対象の貝のサイズに合わせて両フック部51、51間の幅を調整し、蝶番の隙間へのフック部51の確実な挿入、蝶番の確実な挟持を行うことができる。したがって、本二枚貝挟持具50を用いれば、フック部間の幅よりも蝶番線が短い小さな貝であっても、外套膜等を損傷することなく垂下養殖を行うことができる。
【0032】
本二枚貝挟持具50には、可撓性または弾性を有するとともに、折り曲げることのできる材料が用いられるが、係る条件を備える材料として、たとえば上述のステンレス鋼製の針金等を用いることができる。
【0033】
図8は、図7に示す二枚貝挟持具50の使用例を示す平面図である。図に示すように、脚部55の略中央部を内側に折り曲げることにより、サイズの小さな貝をも確実に挟持し、これに固定されることができる。
【0034】
すなわち従来の耳吊り方法では、ホタテガイ等二枚貝の耳部に穴を開ける必要があるため、貝の外套膜が損傷を受けて成長が悪くなるなど、その後の成長に悪影響を及ぼすことがあり、さらに場合によっては異常貝となることもあった。またホタテガイの場合殻長4〜5cm以上のサイズのものでなくてはその穴開けも不可能であった。しかし本発明によれば、外套膜損傷を起こすことがないために異常貝の発生はなくなり、成長もよくなる。しかも貝のサイズに合わせて本体部の脚部を折り曲げることによって、耳吊りできる貝のサイズの範囲を拡張することができるため、耳吊り作業を大きく効率化することができる。さらに、貝を挟持する作業は特に熟練を要しない簡便なものであるため、誰にでも簡単に行うことができる。
【0035】
また、本発明の二枚貝挟持具によれば、蝶番の隙間に挿入されて固定されたフック部の周囲には、貝の成長に伴って新たに貝殻の層が形成されていくため、挟持具は時間の経過と共に貝殻の中に埋設される状態が進行し、貝に対してより強固に固定され、したがって育成途中で貝が挟持具から脱落してしまうこともなく、生産量低下を防止することができる。
【0036】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>ホタテガイの飼育試験
殻長77.2±3.64mmのホタテガイを、2月から7月までの132日間(平成14年2月22日〜同年7月4日)、海中にて、(P)パールネットを用いた方法、(E)本発明の二枚貝挟持具を用いた耳吊り法、の二通りの方法で飼育し、その成長状況を、殻長、全重量、軟体部重量、および軟体部割合の測定により評価した。軟体部割合は、全重量に対する軟体部重量の比により表した。測定結果を表1に示す。
【0037】
【表1】


【0038】
表に示されるように、本発明の二枚貝挟持具を用いた耳吊り法による飼育は、殻長、全重量、および軟体部重量の各項目において、パールネットによる飼育に勝る成長を示した。すなわち、本発明によれば、ホタテガイ等二枚貝の成長も早くなる効果が得られることが示された。
【0039】
【発明の効果】
本発明の二枚貝挟持具は上述のように構成されているため、下記のような各効果を得ることができる。
1.高価な穴開け用のドリルと、係止具をロープ等の固定用資材に固定するための装置は不要となり、コスト低減を図ることができる。
2.多くの労力、時間、コストを要する穴開け工程を省くことができる。
3.耳部への穴開けによる二枚貝の外套膜の損傷、およびそれによるその後の成長への悪影響を防止し、生産量、品質の低下を防止することができ、また、異常貝の発生を防止することができる。
4.特にサイズ(生育ステージ)に限定されずに、貝を耳吊り作業の対象とすることができる。
5.特に従来のような装置を用いる必要がないため、耳吊り作業場所は限定されず、たとえば船上においても作業することができる。
6.出荷の際に、係止具を除去する作業を軽減することができる。
【0040】
またさらに、本発明の二枚貝挟持具によれば、下記のような各効果を得ることもできる。
7.貝を挟持する作業は特に熟練を要しない簡便なものであるため、誰にでも簡単に行うことができる。
8.蝶番の隙間に挿入されて固定されたフック部の周囲には、貝の成長に伴って新たに貝殻の層が形成されていくため、挟持具は時間の経過と共に貝に対してより強固に固定され、育成途中で貝が挟持具から脱落してしまうこともなく、生産量低下を防止することができる。
9.全重量、軟体部重量など、養殖するホタテガイ等二枚貝の成長を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の二枚貝挟持具(請求項1、2)の構成を示す概念図である。
【図2】本発明の二枚貝挟持具の別の構成(請求項3)を示す平面図である。
【図3】図2に示す二枚貝挟持具の使用例を示す平面図である。
【図4】本発明の二枚貝挟持具の別の構成(請求項4)を示す側面図である。
【図5】図4に示す二枚貝挟持具の使用例を示す説明図である。
【図6】図4に示す二枚貝挟持具の別の使用例を示す説明図である。
【図7】本発明の二枚貝挟持具の別の構成(請求項5)を示す平面図である。
【図8】図7に示す二枚貝挟持具の使用例を示す平面図である。
【符号の説明】
1、31、41、51…フック部、 3、33、43、53…本体部、 10、30、40、50…二枚貝挟持具、 7、37、57…装着部、 35、55…脚部、 60…テグス等の紐、 70…樹脂製輪、 80…垂下養殖用ロープ、90…二枚貝の蝶番
【出願人】 【識別番号】591005453
【氏名又は名称】青森県
【識別番号】501271251
【氏名又は名称】竹内 忠一
【出願日】 平成14年9月17日(2002.9.17)
【代理人】 【識別番号】100119264
【弁理士】
【氏名又は名称】富沢 知成

【公開番号】 特開2004−105037(P2004−105037A)
【公開日】 平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願番号】 特願2002−269902(P2002−269902)