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【発明の名称】 魚礁
【発明者】 【氏名】三苫 達久
【住所又は居所】福岡市東区大岳1丁目10番14号 海浜公園振興株式会社内

【氏名】大谷 末夫
【住所又は居所】福岡市東区松田3丁目1番20号 ティーエヌビー株式会社内

【要約】 【課題】木材による半永久的な魚礁を迅速簡便形成し、プランクトンや魚類の繁殖を計ることを目的とする。

【解決手段】複数の木材1を海底又は水底7に沈降し、木材1の初期浮力により起立又は傾斜状態に定着させるための重錘2を木材1に付設し、水圧により、木材組織内の空隙又は気体部分に水を浸透させて木材1の見掛比重を水の比重より大としたことにより、重錘2又は木材1の一端部1’を海底又は水底7に設置又は埋設して定着することを特徴とする魚礁。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木材を海底又は水底に起立又は傾斜状態に定着させ、水圧により、木材組織内の空隙又は気体部分に水を浸透させて木材の見掛比重を水の比重より大としたことを特徴とする魚礁。
【請求項2】
木材を海底又は水底に沈降し、木材の初期浮力により起立又は傾斜状態に定着させるための重錘を該木材に付設した請求項1記載の魚礁。
【請求項3】
複数の木材を起立し又は交差状態に傾斜させた請求項1又は2記載の魚礁。
【請求項4】
木材の一端部を海底又は水底に埋設して定着させた請求項1〜3のいずれかに記載の魚礁。
【請求項5】
木材が間伐材又は廃材である請求項1〜4のいずれかに記載の魚礁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は木製魚礁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、海底定着形魚礁には金属、コンクリート等の重量物が使用されていた。一部試験的に間伐材を井桁状に積重ねて使用した魚礁があるが、流木のおそれがあったため普及していない。
【0003】
金属は廃船等であって規模が大であるため場所の選定に問題があり、かつ曳船、沈船工事が大規模であり、容易に入手し難く、かつ鉄鋼が腐蝕し易いという問題があった。
【0004】
コンクリートは重量が大であって、空間を設けるためにはその製造に型枠を要し、製造が複雑であり、製造に時間及び場所を要し、使用初期にはコンクリートが塩基性を呈し、海藻の附着に時間を要した。
【0005】
木製魚礁において心配される点は、木材の腐朽と長い年月の間に重りがはずれたりして浮き上がり、流木となって航海中の船や海岸に流れつきさまざまな障害を引き起こさないかの点にあった。
【0006】
しかし、樹木の空隙にある気体の量は20%前後といわれる。伐採直後の樹木の比重は上記により0.9前後である。海底に沈めた場合、圧力がかかり気体部分は海水が浸透する。乾燥し水分が減った仮導管、導管、柔細胞部はもともと水分の通道組織であり海水はスムーズに浸透する。
【0007】
又、その部分からの気体部分への浸透も樹木細胞は有孔壁でつながれている部分が多く早い速度で浸透する。その為樹木は浮き上がらない。又、長い年月の間に樹木の構成成分である、セルロースやリグニンは嫌気下において腐植化反応がおこり、凝集、高分子化して比重は益々重くなる(例として湖底の沈木やオダは浮上しない。又、海底の木造沈船も連結部が腐植しバラけても木材は浮上しない。)とともに腐敗分解はおこらない。木材は海底において腐敗しない点と時間がたつと比重が海水より重くなり浮上しない点、そのことの知見が木製魚礁の重要な点である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は間伐材や廃材等の木材に重錘を附して海底又は水底に沈降させることにより、半永久的な魚礁を迅速容易にかつ小規模又は大規模に沈降させ、プランクトンを活性化し魚類を迅速に集め、かつ小魚の安全な生活の場を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため本発明は
第1に木材を海底又は水底に起立又は傾斜状態に定着させ、水圧により、木材組織内の空隙又は気体部分に水を浸透させて木材の見掛比重を水の比重より大としたことを特徴とする魚礁、
第2に木材を海底又は水底に沈降し、木材の初期浮力により起立又は傾斜状態に定着させるための重錘を該木材に付設した上記第1発明記載の魚礁、
第3に複数の木材を起立し又は交差状態に傾斜させた上記第1又は第2発明記載の魚礁、
第4に木材の一端部を海底又は水底に埋設して定着させた上記第1〜第3発明のいずれかに記載の魚礁、
第5に木材が間伐材又は廃材である上記第1〜第4発明のいずれかに記載の魚礁、
によって構成される。
【0010】
【発明の実施の形態】
一定長に切断した間伐材又は家屋の廃材等の木材1の一端部1’(中央から一端までをいう)の両側面にコンクリートブロックによる重錘2,2を配置し、
重錘2,2の対向面に該重錘2,2に埋設固定した金具3,3を露出して接続部4を形成する。
【0011】
そして該金具3,3の直立面を上記一端部1’の両側面に接し、
該両側面に穿設した透孔5と、上記金具3,3の直立面に穿設した透孔とにボルト6を挿通し、ナット6’で締付けて固定し、海底又は水底7に投入沈降させる。
【0012】
又上記重錘2,2に横向透孔を穿設し、木材1にも横向透孔5を同一水準に穿設して接合部4を形成し、ボルト6を挿通してナット6’で締付けて木材1の下端両側に該重錘2を接続固定することができる。
【0013】
上記重錘2,2の合計重量は木材1の初期浮力よりも大となし、かつ重錘2,2の底面と木材1の下端面とを同一水準とすることによって図1に示すように木材1は上記浮力で海底又は水底7に沈降起立状態に定着する。
【0014】
又図4(イ)(ロ)図に示すようにコンクリートブロックによる1個の重錘2の上面に埋込金具3,3を露出して上端に透孔3’,3’を穿設して接合部4を形成し、中央部に木材1の下端部1’の両側面を挟持し、上記透孔3’,3’と同一水準に該両側面に横方向透孔5を穿設し、これらの透孔3’,3’,5にボルト6を挿通し、ナット6’で締付けて木材1と重錘2とを固定する。
【0015】
上記木材1の一端面1”の外周下部は上記重錘2,2の底面と同一水準即ち同一海底面7に接し、木材1は傾斜状態に定着する。傾斜角αは上記一端部1’における透孔5の水準位置によって調整することができる。
【0016】
上記木材1の下端部1’の重錘2,2は図2、図3及び図5に示すように海底又は水底7の泥土又は土砂8に埋設させることができ、図3及び図5では複数の木材1を起立又は交差状態に傾斜させて定着魚礁9とすることができる。
【0017】
上述のように定着すると、時間の経過と共に水圧により、木材組織内の空隙又は気体部分、例えば仮導管、導管、柔細胞部等の水分通道組織に水を浸透し、伐採直後の木材の見掛比重0.9は増加して水の比重よりも大となる。
【0018】
上記木材1はその主成分はリグニン、セルロース等からなり、木造沈船に見られるように嫌気下においては、その有機物は凝集、高分子化するところの、いわゆる腐植化反応が主体となり、分解、低分子化する腐敗反応はわずかでしかない木造沈船のように半永久的に魚礁としての役割を果たすことができる。
【0019】
また、木材1はその50%以上が炭素である、森林で吸収された二酸化炭素は炭素として木材1に蓄積される。
【0020】
一般に樹木は一定の成長期間を過ぎると成長はにぶる。常に効率よく使用され再生産されることが二酸化炭素の吸収効率には良い。
【0021】
木材1による上記魚礁9は図3に示す起立形或は図5に示す傾斜の形態をとることができる。
【0022】
起立形は複数の起立木材1に沿って上昇流aが起りプランクトンを活性化し魚類を集めることができる。
【0023】
図5に示す傾斜魚礁9では複雑な形状の魚礁9を形成し、小魚の安全な生活の場となり、魚類を増やすことができる。
【0024】
また、森林を育てる為の間伐材は需要がなく、切りっぱなしで放置されることが多く、それらは5〜10年で分解し、二酸化炭素として大気中に還元される。また、木造家屋の廃材も、焼却や埋立処分にすれば二酸化炭素として大気に戻される。
【0025】
水中の様に嫌気下で水分の量が多い状態では、樹木の主成分、セルロース、リグニンは、ほとんど腐植化(高分子化)の過程をたどる。
【0026】
腐植化の過程の1つとして微生物によってリグニン中のグアシル基が酸化分解し、メトキシル基が脱離し、芳香環が解裂するなどして、腐植物質が生成する経路が考えられているが水中においてはその進行は極端に遅い。
【0027】
また、リグニンやセルロースにフェノール又は、フェノール化合物を代謝する微生物が関与することによりキノンとなり重合して腐植物質の芳香環を形成する経路も重要な腐植物質の生成過程として考えられているが、これは水中においても速度が速い。
【0028】
フェノール又はフェノール化合物を代謝する微生物の関与による腐植物質の生成はそのスピードからいって木製魚礁には最適であり、それらの微生物を関与させる方法として腐植前駆物質(ヒューマス等)の存在が重要である。その為下記の方法を考案した。
1.腐植前駆物質を混入させた活性ケイ素の含有量の高い物質(軽石等)10とともに樹木(木材1)の穿孔12内に挿入する(図6)。
2.腐植反応が起こっている水溶液11中にひたし、その溶液を樹木(木材1)内に浸透させる(図7)。
3.1,2の併用
【0029】
【発明の効果】
本発明は上述のように構成したのでその機能は従来の魚礁と違い木材の初期浮力を利用した起立型や傾斜型の形態をとることができ、従来の魚礁にない優れた機能を発揮する。
【0030】
起立型は魚類の定置という点に関しては、ダム湖等に沈んだ立枯木に魚類は好んで定着する事がわかる様、魚類を集める為には効果がある。
【0031】
また、安価であり長さがあり砂に埋っても良い為、従来は設置しにくかった砂地の海底にも容易に設置できる。
【0032】
さらに本発明は木材を使用する海底定着型の魚礁であり、炭素を蓄積し二酸化炭素の削減に寄与する。また、その機能も従来にない独特のものがあり、環境循環型の製品であり安価につくることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1個の直立魚礁の正面図である。
【図2】砂地に直立させた状態の正面図である。
【図3】起立し下端部を土砂に埋めた木材による直立形魚礁の斜視図である。
【図4】(イ)図は傾斜木材の側面図である。
(ロ)図は(イ)図A−A線による背面図である。
【図5】交差した傾斜木材の斜視図である。
【図6】腐植前駆物質挿入状態の斜視図である。
【図7】腐植反応水溶液に木材を浸漬した状態図である。
【符号の説明】
1   木材
1’  一端部
2   重錘
3   金具
4   接合部
3’,5 透孔
6,6’ ボルト・ナット
7   海底又は水底
8   泥土又は土砂
9   魚礁
【出願人】 【識別番号】591223459
【氏名又は名称】海浜公園振興株式会社
【住所又は居所】福岡市東区大岳1丁目10番14号
【識別番号】598032483
【氏名又は名称】ティーエヌビー株式会社
【住所又は居所】福岡県福岡市東区松田3丁目1番20号
【出願日】 平成14年8月26日(2002.8.26)
【代理人】 【識別番号】100068973
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 信行

【識別番号】100108408
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 信孝

【識別番号】100114731
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 重男

【公開番号】 特開2004−81056(P2004−81056A)
【公開日】 平成16年3月18日(2004.3.18)
【出願番号】 特願2002−244720(P2002−244720)