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【発明の名称】 魚釣用リール
【発明者】 【氏名】岡田 厚人

【要約】 【課題】本発明は、釣糸の巻取り操作の円滑化と噛合歯車の耐久性を向上すると共に、リール本体の大型化及び大きな重量の増大を招くことなく、しかも、歯車の加工精度がラフで組み込み作業の容易な釣糸平行巻き装置を備えた魚釣用リールを提供する。

【解決手段】本発明に係る魚釣用リールは、リール本体(1)に支持したハンドル軸(2)の回動により釣糸をスプールに巻回する釣糸巻取り機構と前記スプールに釣糸を均等に振分け巻回する釣糸平行巻き装置とを少なくとも一対の歯車列(4、12)で噛合連動するようにした魚釣用リールにおいて、前記噛合する歯車列の少なくとも一方の歯車が他方の歯車との少なくとも噛合方向に弾性手段(15)の弾性力を介して配設されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リール本体に支持したハンドル軸の回動により釣糸をスプールに巻回する釣糸巻取り機構と前記スプールに釣糸を均等に振分け巻回する釣糸平行巻き装置とを少なくとも一対の歯車列で噛合連動するようにした魚釣用リールにおいて、前記噛合する歯車列の少なくとも一方の歯車が他方の歯車との少なくとも噛合方向に弾性手段の弾性力を介して配設されていることを特徴とする魚釣用リール。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は魚釣用リールにおいて釣糸をスプールに均等に振分け巻回するための釣糸平行巻き装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
魚釣用リール釣糸平行巻き装置、例えばスピニングリールにおけるスプールのオシレート機構は、ハンドルの回動で釣糸巻取り機構と歯車列によって噛合連動するように構成されており、前記歯車列の歯車間にはその噛合いを良好かつスムーズにするために噛み合いガタ(所謂、クリアランス)が必ず設定されているのが現状である。
【0003】
ところがスピニングリールにおけるオシレート機構はスプールを設けたスプール軸を軸方向に往復動せしめてローターで係止した釣糸をスプールに振分け巻回するようにしたものであるから、スプール、スプール軸、摺動子等の往復動部材の総重量はかなりの重さを有し、この重量や釣糸巻取り中の張力によってオシレート機構の往復運動中に前記歯車列に作用する荷重はその往復動の切換作用点を境として往動作と復動作とでは異なる面に加わり、このときに前記クリアランスが原因となって前記荷重のかかる歯面から往復運動の切換わる都度にコトコトという異音と振動が発生する問題を生ずると共にこの切換時の歯車同士の歯面の衝接により歯部が傷み易く長期に亘り使用するとハンドルの回動時にゴリゴリ感を発生せしめ釣人に不快な違和感を与えたり、歯車の強度低下の原因となったりする問題があります。そして、このような問題は、両軸受型リールにおける釣糸平行巻き機構であるレベルワインド機構においても発生するのが現状です。
【0004】
特開2001−333671号公報には、前述の魚釣用リール釣糸平行巻き装置における問題の解決策として、前記歯車列の少なくとも一方の歯車にバネで円周方向に付勢された同形状のバックラッシュ除去歯車を重合し、両歯車の歯にて他方の歯車の歯を弾圧挟持することが提案されています。
【0005】
しかし、この提案の構成では、一方の歯車にバックラッシュ除去歯車を重合するものである為に、バックラッシュ除去歯車を設ける分だけ重量の増大を招くのみならず、この設置スペースの確保のためにリール本体の大型化、重量増を招き、かつ、このバックラッシュ除去歯車に付加及びこの加工の為のコストの増大を招くものでした。
【0006】
また、この提案の構成は、バネで円周方向に付勢された一方の歯車とバックラッシュ除去歯車との歯間に前記バネ力に抗して他方の歯車の歯を組み込まなければならない為に、組立作業が煩雑になる等の問題も生じるものでした。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前述のような魚釣用リールの釣糸平行巻き装置における問題を改善して釣糸の巻取り操作の円滑化と噛合歯車の耐久性を向上すると共に、リール本体の大型化及び大きな重量の増大を招くことなく、しかも、歯車の加工精度がラフで組み込み作業の容易な釣糸平行巻き装置を備えた魚釣用リールを提供することを目的とするものです。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、リール本体に支持したハンドル軸の回動により釣糸をスプールに巻回する釣糸巻取り機構と前記スプールに釣糸を均等に振分け巻回する釣糸平行巻き装置とを少なくとも一対の歯車列で噛合連動するようにした魚釣用リールにおいて、前記噛合する歯車列の少なくとも一方の歯車が他方の歯車との少なくとも噛合方向に弾性手段の弾性力を介して配設されていることを特徴とするものであり、スピニングリールのオシレート機構又は両軸受型リールのレベルワインド機構に適用することができ、特にスピニングリールにあってはオシレート機構にオシレート歯車を使用する場合とトラバースカム軸を使用する場合とがあります。
【0009】
また、弾性手段は、ハンドル側である釣糸巻取り機構側の駆動歯車に設けても、釣糸平行巻き装置側の従動歯車に設けても差支えなく、更に設ける歯車との間には作動不良を防止するためのスペーサーを介在せしめるようにしても良いものです。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面の実施例に基づいて説明すると、図1乃至図3は、オシレート歯車を使用したスピニングリールのオシレート機構に本発明に係る弾性手段を組込んだ第1の実施形態にかかわるもので、リール本体1に支持されたハンドル軸2にはリール本体1内において釣糸巻取り機構を作動するメインギヤ3と駆動歯車4とが固着され、前記メインギヤ3は公知のようにローター5を回動するピニオン5’を介してハンドル軸2の回転によりローター5に設けた釣糸係止部材6で図示しない釣糸を係止してスプール7に巻回するように構成されると共に、前記スプール7に設けられたスプール軸8の後端部には係合長溝9を有する摺動子10が固着され、リール本体1に軸支されかつ前記係合長溝9に係合する係合ピン11を有する従動歯車としてのオシレート歯車12が前記駆動歯車4に噛合しており、前記ハンドル軸2の回動に連動してスプール軸8を軸方向に往復動させ釣糸をスプール7に振分け巻回する釣糸平行巻き装置を形成しています。
【0011】
そして、前記オシレート歯車12をリール本体1に回転自在に支持する支持軸14には、内・外周面間にクリアランスを持たせて有底筒状のカラー16が外装され、該カラー16の外周に前記オシレート歯車12が回転自在に外装されています。
【0012】
また、該カラー16は、前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4とが噛合する方向にリール本体1に設けられた長溝1’に回り止め突起16’を係合させることによって前記支持軸14に回転不能に、しかも前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4との噛合方向に前記クリアランスの量だけ移動可能に設けられ、前記支持軸14の先端には、前記駆動歯車4との噛合方向に該噛合方向を開口させた長穴14’が穿設され、該長穴14’に内装した弾性手段であるコイルスプリング15にて前記カラー16の内周面に前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4との噛合方向に弾性力を付与しています。
【0013】
従ってハンドル軸2の回転により駆動歯車4とこれに噛合する従動歯車たるオシレート歯車12との間に形成されている噛み合いガタは弾性手段15の弾性力によって吸収され、オシレート機構の往復運動の切換時における駆動歯車4とオシレート歯車12との間の衝撃を吸収緩和してハンドル軸2の回転方向のガタを未然に防止し、釣糸の巻取り操作を円滑かつ軽快に行うことができると共に噛合部の衝撃による歯部の耐久性の低下も軽減することができ、駆動歯車4とオシレート歯車12と加工精度もラフにすることができます。
【0014】
また、この実施の形態では、一方の歯車であるオシレート歯車12を支持軸14にコイルスプリング15とカラー16を介して回転可能に装着するものである為に、重量の大幅な増大を招くことなく、この設置のための特別なスペースの確保も不要のためにリール本体の大型化、重量増を招くとなく実施でき、大幅なコストの増大も招くものではありません。
【0015】
また、この実施の形態は、支持軸14にコイルスプリング15とカラー16を介してオシレート歯車12を装着するものである為に組立作業も特別な困難性を伴うことなく簡単にできます。
【0016】
図4乃至図5は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を変形させた第2の実施形態であり、第1の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0017】
本実施形態においては、支持軸14には、内・外周面間にクリアランスを持たせて筒状のカラー16が外装され、該カラー16の外周に前記オシレート歯車12が回転自在に外装され、支持軸14にビス止めされた座板17にて抜け止め支持されています。
【0018】
また、前記支持軸14の先端の前記駆動歯車4との噛合方向に該噛合方向外周には、周方向に長溝14aが穿設され、該長溝14a内には、円弧状の弾性手段である板バネ15aが内装され、カラー16の内周面には前記板バネ15aにて前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4との噛合方向に弾性力が付与されています。
【0019】
従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用・効果を奏することができます。
【0020】
図6乃至図7は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を変形させた第3の実施形態であり、第1の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0021】
本実施形態においては、支持軸14には、内・外周面間にクリアランスを持たせて筒状のカラー16が外装され、該カラー16の外周に前記オシレート歯車12が回転自在に外装され、支持軸14にビス17aの大径頭部にて抜け止め支持されています。
【0022】
また、該カラー16は、前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4とが噛合する方向にリール本体1に設けられた長溝1’に回り止め突起16’を係合させることによって前記支持軸14に回転不能に、しかも前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4との噛合方向に前記クリアランスの量だけ移動可能に設けられ、支持軸14の軸心を中心として前記駆動歯車4との噛合方向と反対方向の長溝1’に内装したコイルスプリング15にて前記カラー16にこの回り止め突起16’を介して前記オシレート歯車12と前記駆動歯車4との噛合方向に弾性力を付与しています。
【0023】
従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用・効果を奏することができます。
【0024】
図8は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を変形させた第4の実施形態であり、第1の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0025】
本実施形態においては、支持軸14には、第1の実施形態と同様に内・外周面間にクリアランスを持たせて有底筒状のカラー16が外装され、該カラー16の外周に前記オシレート歯車12が回転自在に外装されています。
【0026】
また、前記支持軸14の先端の外周には、周方向に環状凹溝14bが穿設され、該環状凹溝14bには、ゴム等の弾性部材にて形成された弾性手段であるOリング15bが装着され、カラー16の内周面に弾性力が付与されています。
【0027】
従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用・効果を奏することができます。
【0028】
図9は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を変形させた第5の実施形態であり、第1の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0029】
本実施形態においては、支持軸14には、外周に環状凹溝16bを穿設した円筒状のカラー16’が回転自在に外装され、支持軸14にビス17aの大径頭部にて抜け止め支持され、前記環状凹溝16bに装着されたOリング15bの外周に外装されたオシレート歯車12に弾性力を付与するように構成されています。
【0030】
従って、本実施形態においても第1の実施形態と同様の作用・効果を奏することができます。
【0031】
図10は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を変形させた第6の実施形態であり、本実施形態においては、弾性手段であるOリング15bを駆動歯車4側に設けるようにしています。なお、本実施形態の説明においても第1の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0032】
本実施形態においては、支持軸14には、オシレート歯車12が回転自在に外装され、ビス17aの大径頭部にて支持軸14に抜け止め支持されています。
【0033】
ハンドル軸2の駆動歯車4の取付位置には環状凹溝2aを穿設すると共に、これに隣接させて係合凸部2bを併設しています。そして、環状凹溝2aには、Oリング15bを装着し、該Oリング15bの外周にハンドル軸2との間でクリアランスを持たせて形成した駆動歯車4を外装し、該駆動歯車4に弾性力を付与するように構成されています。
【0034】
また、前記係合凸部2bには、該係合凸部2bに対応させて駆動歯車4の内周面に形成した係合凹部4aを係合させることによってハンドル軸2と駆動歯車4とが供回り可能に形成されています。
【0035】
従って、本実施形態においてもハンドル軸2の回転により駆動歯車4とこれに噛合する従動歯車たるオシレート歯車12との間に形成されている噛み合いガタはハンドル軸2と駆動歯車4との間に装着されたOリング15bの弾性力によって吸収され、オシレート機構の往復運動の切換時における駆動歯車4とオシレート歯車12との間の衝撃を吸収緩和してハンドル軸2の回転方向のガタを未然に防止し、釣糸の巻取り操作を円滑かつ軽快に行うことができると共に噛合部の衝撃による歯部の耐久性の低下も軽減することができ、駆動歯車4とオシレート歯車12と加工精度もラフにすることができ、ハンドル軸2と駆動歯車4との間にOリング15bを装着するのみである為に組立作業も特別な困難性を伴うことなく簡単にでき、その他、第1の実施形態と同様にリール本体の大型化、重量増やコストの増大も招くことなく実施できます。
【0036】
図11及び図12は、第1の実施形態に係るスピニングリールの要部を更に変形させた第7の実施形態であり、本実施形態においては、駆動歯車4とオシレート歯車12との間に配置した中間歯車20とこの支持軸21との間に前述の第5の実施形態におけるオシレート歯車12とこの支持軸14と同様にして弾性手段であるOリング15bを設けるようにしています。なお、本実施形態の説明においても第1の実施形態及び第5の実施形態に係るスピニングリールと同一部材には、同一符号を付与することによって説明を省略します。
【0037】
本実施形態における中間歯車20は、駆動歯車4と噛合する大径歯車部20aとオシレート歯車12と噛合する小径歯車部20bとからなる減速機構を形成しております。そして、支持軸21には、外周に環状凹溝16bを穿設した円筒状のカラー16’が回転自在に外装され、該環状凹溝16bに装着されたOリング15bの外周に中間歯車20を外装することによって該中間歯車20に弾性力を付与するようにしています。
【0038】
従って、本実施形態においてもハンドル軸2の回転により駆動歯車4とこれに噛合する従動歯車たる中間歯車20及びオシレート歯車12との間の噛み合いガタは中間歯車に配置されたOリング15bの弾性力によって吸収され、オシレート機構の往復運動の切換時における駆動歯車4とオシレート歯車12との間の衝撃を吸収緩和してハンドル軸2の回転方向のガタを未然に防止し、釣糸の巻取り操作を円滑かつ軽快に行うことができると共に噛合部の衝撃による歯部の耐久性の低下も軽減することができ、駆動歯車4と中間歯車20及びオシレート歯車12の加工精度もラフにすることができ、しかも、中間歯車20とこの支持軸21との間にOリング15bを装着するのみである為に組立作業も特別な困難性を伴うことなく簡単にでき、その他、第1の実施形態と同様にリール本体の大型化、重量増やコストの増大も招くことなく実施できます。
【0039】
前述の実施形態においては、スピニングリールにおける釣糸平行巻き装置としてオシレート歯車12を採用した場合の実施例を示して説明しましたが、本発明は、これに限定されるものではなく、スピニングリールにおけるトラバースカム軸方式の釣糸平行巻き装置の場合には、ハンドル軸とトラバースカム軸との間を駆動連結する歯車列中の歯車にも適用することができることはもとより、両軸受型リールのレベルワインド装置におけるハンドル軸とトラバースカム軸との間を駆動連結する歯車列中の歯車にも採用することができます。
【発明の効果】
以上のように、本発明は釣糸の巻取り操作の円滑化と噛合歯車の耐久性を向上すると共に、リール本体の大型化及び大きな重量の増大を招くことなく、しかも、歯車の加工精度がラフで組み込み作業の容易な釣糸平行巻き装置を備えた魚釣用リールを提供するができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る魚釣用リールの平面一部断面図。
【図2】図1におけるA−A断面図。
【図3】図2におけるB−B断面図。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る魚釣用リールの図2対応図。
【図5】図4におけるB−B断面図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る魚釣用リールの図2対応図。
【図7】図6におけるB−B要部断面図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る魚釣用リールの図2対応図。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る魚釣用リールの図2対応図。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る魚釣用リールの図2対応図。
【図11】本発明の第7の実施形態に係る魚釣用リールの平面一部断面図。
【図12】図11におけるA−A断面図。
【符号の説明】
1     リール本体
2     ハンドル軸
4     駆動歯車
12    従動歯車
15    弾性手段
【出願人】 【識別番号】592262163
【氏名又は名称】株式会社 上州屋
【出願日】 平成14年8月9日(2002.8.9)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−65204(P2004−65204A)
【公開日】 平成16年3月4日(2004.3.4)
【出願番号】 特願2002−233079(P2002−233079)