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【発明の名称】 防草用シート
【発明者】 【氏名】澤登 丈夫

【氏名】古木 守靖

【要約】 【課題】環境に優しく且つ除草効果の高く、しかも、十分な強度を備え、敷設後の固定の際に破損することのない防草用シートを提供する。

【解決手段】生分解性ポリマーにて構成されたフイルム又はシートの少なくとも片面に生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布を積層して一体化して成る防草用シート。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生分解性ポリマーにて構成されたフイルム又はシートの少なくとも片面に生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布を積層して一体化して成ることを特徴とする防草用シート。
【請求項2】
フイルム又はシートを構成する生分解性ポリマーの、当該生分解性ポリマーのみで構成された厚さ50μmのシートのMD方向において測定した曲げ弾性率(JIS K 6781に準拠して測定した値)が00MPa以下で且つ伸度(JIS K 6781に準拠して測定した値)が400%以上の生分解性ポリマーである請求項1に記載の防草用シート。
【請求項3】
生分解性ポリマーにて構成されたフイルム又はシートが生分解性ポリマーの粉末を含有する請求項1又は2に記載の防草用シート。
【請求項4】
生分解性ポリマーにて構成されたフイルム又はシートが遮光性付与粉末を含有する請求項1〜3の何れかに記載の防草用シート。
【請求項5】
遮光率が90%以上である請求項1〜4の何れかに記載の防草用シート。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防草用シートに関し、詳しくは、生分解性ポリマーにて構成されたフイルム又はシートから成る防草用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】
防草用シートは、除草用シートとも呼ばれ、雑草の生育を抑えるために使用されるシートである。なお、本発明において、シートは、これより薄手のフイルムを含む概念として使用される。
【0003】
従来、防草用シートの形態としては、シート、織布、不織布が知られており、その材質としては、合成樹脂、金属、紙などが使用されている。また、近時、環境問題を考慮し、生分解性ポリマーを使用した防草用シートも提案されている(例えば特許文献1参照)。シート形態の防草用シートは、一般に除草効果が高く、通水性の織物または不織布から成る防草用シートは、植栽機能を兼ね備えている。なお、植栽機能を兼ね備えるため、シートに多数の通水用貫通孔を穿設した防草用シートもある。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−125484号公報
【0005】
除草は、除草すべき区画に防草用シートを敷設することにより行われるが、その固定は、シート端部に土を被せるか、または、固定具を打付ける方法によって行われる。後者の方法は、作業が容易であり、シートの固定が確実となるため、特に広い面積の防草用シートに推奨される。
【0006】
環境に優しく且つ除草効果の高い防草用シートは、生分解性ポリマーのシートによって実現することが出来るが、斯かる防草用シートは、強度が必ずしも十分ではないため、敷設後の固定の際に破損するという問題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記実情に鑑みなされたものであり、その目的は、環境に優しく且つ除草効果の高く、しかも、十分な強度を備え、敷設後の固定の際に破損することのない防草用シートを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明の要旨は、生分解性ポリマーにて構成されたフィルム又はシートの少なくとも片面に生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布を積層して一体化して成ることを特徴とする防草用シートに存する。
【0009】
【発明の実体の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の防草用シートは、生分解性ポリマーにて構成されたフィルム又はシートの少なくとも片面に生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布を積層して一体化して成る。
【0010】
本発明において、生分解性ポリマーの種類は、特に制限されず、従来公知の各種の生分解性ポリマーを使用することが出来る。具体的には、澱粉/ポリカプロラクトン(例えば日本合成社販売の「マスタービーZ」、ポリカプロラクトン(例えばダイセル化学社製の「セルグルーン」)、ポリエチレンサクシネート(日本触媒製の「ルナーレSE」)、ポリブチレンサクシネート(例えば昭和高分子社製の「ビオノーレ1001」)、ポリブチレンサクシネート・アジペート(例えば昭和高分子社製の「ビオノーレ3001」)、ポリエステルカーボネート(例えば三菱瓦斯化学社製の「ユーパック」)、芳香族ポリエステル(アジピン酸)(例えばBASF社の「エコフレックス」)等が挙げられる。
【0011】
上記の生分解性ポリマーは、「マスタービーZ」を除き、化学合成系のポリマーであるが、上記の他には、酢酸セルロース、(例えばダイセル化学社製の「セルグリーンPCA」)、化工澱粉(日本コーンスターチ社販売の「コーンポール」)等の天然物利用系の生分解性ポリマー等が挙げられる。
【0012】
そして、上記の各生分解性ポリマーは、適宜、フィルム、シート、織布、不織布などに加工して使用される。
【0013】
織布としては、上記の他、木綿、絹、麻などの天然素材の織布であってもよく、また、不織布としては、ユニチカ社から市販されているポリ乳酸系の各種不織布「テラマック」、例えば、長繊維不織布(スパンボンド)混綿不織布(スパーンレース)、短繊維不織布(サーマルスルー)等を利用することも出来る。不織布の目付量は通常10〜250g/mである。
【0014】
本発明において、フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマーとしては、軟質のポリマーが好ましい。具体的には、当該生分解性ポリマーのみで構成された厚さ50μmのシートのMD方向において測定した曲げ弾性率(JIS K 6781に準拠して測定した値)が300MPa以下で且つ伸度(JIS K 6781に準拠して測定した値)が400%以上である生分解性ポリマーが好ましい。上記の曲げ弾性率は、好ましくは150MPa以下であり、その下限は通常30MPaである。上記の伸度は、好ましくは600%以上であり、その上限は1500%である。
【0015】
すなわち、上記の様な軟質のポリマーでフィルム又はシートを構成する場合は、当該フィルム又はシートに安価な生分解性ポリマーの粉末を十分な量で配合することが可能となる。その結果、フィルム又はシートを構成する高価な生分解性ポリマーの使用量を低減させて防草用シートのコスト低減を図ることが出来る。
【0016】
生分解性ポリマーにて構成されたフィルム又はシートに配合させる生分解性ポリマーの粉末としては、代表的には木粉が挙げられるが、その他、竹粉、澱粉粉末なども使用出来る。
【0017】
上記の生分解性ポリマーの粉末の粒径は、通常0.1mm以下、好ましくは0.01mm以下である。粒径が余りに大きい場合は、生分解性ポリマーの粉末を配合したフィルム又はシートの機械的強度が低下するばかりか、フィルム又はシートへの加工が困難となる。なお、生分解性ポリマーの粉末の粒径の下限は、粉砕コストの観点から、通常0.001mmである。
【0018】
上記の生分解性ポリマーの粉末の、フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマー100重量部当たりの配合量は、通常40〜200重量部、好ましくは60〜150重量部である。生分解性ポリマーの粉末の配合量が余りに多い場合は、生分解性ポリマーの粉末を配合したフィルム又はシートの機械的強度が低下するばかりか、フィルム又はシートへの加工が困難となる。一方、生分解性ポリマーの粉末の配合量が余りに少ない場合は、高価な生分解性ポリマーの使用量を低減させる効果が十分に発揮されない。また、生分解性ポリマーの粉末の配合によりフィルム又はシートに後述する遮光性を付与せんとした場合は、その効果が不十分となる。
【0019】
フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマーには、除草効果を一層高めるため、遮光性付与粉末を配合することが好ましい。遮光性付与粉末としては、代表的にはカーボンブラックが挙げられるが、その他の顔料も使用できる。
【0020】
遮光性付与粉末の配合量は、目的とする遮光率によって適宜選択される。生分解性ポリマーで構成されるフィルム又はシートの遮光率は、好ましくは90%以上、更に好ましくは95%以上、特に好ましくは100%である。斯かる遮光率を達成するために必要なカーボンブラックの配合量は、フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマー100重量部当たり、通常0.3〜5重量部である。
【0021】
なお、上記の遮光率は、フィルム又はシートに光源を当てた際の照度(B)とブランクの照度(A)とから、以下の式で求められる値を意味する。
【0022】
【数1】
遮光率(%)=[(A−B)×100]/A
【0023】
フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマーには、通常、前記の配合成分の他に、グリセロースモノステアレート、ヒマシ油、グリセリン、ワセリン等の生分解性軟化剤が配合され、その割合は、生分解性ポリマー100重量部当たり、通常5〜20重量部、好ましくは10〜15重量部である。なお、生分解性ポリマーには、本発明の目的を損なわない限り、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、離型剤、防曇剤、核剤、可塑剤、着色剤などを適宜配合することが出来る。
【0024】
生分解性ポリマーにて構成されたフィルム又はシートと生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布の積層一体化手段は、特に制限されないが、一般的には、Tダイからキャストドラム上に溶融押出しされたフィルム又はシートの表面に織布または不織布を積層して案内ロール間を通過させる連続溶融積層法が採用される。その他、カレンダ加工、フィルム又はシートを織布または不織布とを接着剤によって積層一体化する方法なども採用し得る。
【0025】
生分解性ポリマーにて構成されたフィルム又はシートの厚さは、通常0.1〜2mm、好ましくは0.5〜1.5mmであり、生分解性ポリマーにて構成された織布または不織布の厚さは、通常100〜5000μm、好ましくは50〜2000μmである。
【0026】
本発明の好ましい態様に従い、防草用シートのコスト低減を図るため、フィルム又はシートを構成する生分解性ポリマーに安価な生分解性ポリマーの粉末(例えば木粉)を配合した場合は、フィルム又はシートの強度が低下する傾向にある。従って、織布または不織布の積層一体化により、フィルム又はシートの強度を高め、防草用シートの敷設固定時の破損防止を図った本発明は、特に、上記の好ましい態様において顕著な効果を発揮する。
【0027】
なお、本発明の防草用シートは、使用場所の被覆面において植栽物がある様な場合には、給水の目的で多数の貫通孔を穿設したものであってもよい。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例で使用した材料は次の通りである。
【0029】
(1)シート構成用の生分解性ポリマー:
芳香族ポリエステル(アジピン酸)(BASF社の「エコフレックス」)を使用した。このポリマーのみで作成した厚さ50μmのシートのMD方向において測定した曲げ弾性率(JIS K 6701に準拠して測定した値)は100MPaで且つ伸度(JIS K 6701に準拠して測定した値)は800%である。
【0030】
(2)生分解性ポリマーにて構成された不織布:
ポリ乳酸系長繊維不織布(ユニチカ社製「テラマック」G2002/WTO)を使用した。この不織布は、目付量200g/m、厚さ1200μm、幅1mである。
【0031】
(3)生分解性ポリマーの粉末および遮光性付与粉末:
平均粒径が約0.01mmの木粉および平均粒径が約50μmのカーボンブラック(三菱化学社製「ダイヤブラックG」)を使用した。
【0032】
実施例1
<シート原料の調製>
シート構成用の生分解性ポリマー100重量部当たり、100重量部の木粉と1重量部のカーボンブラックと20重量部の生分解性軟化剤(グリセロールモノステアレート:花王石鹸社製「エクセル」)を加えて溶融混合した後、押出成形してシート原料のペレットを得た。
【0033】
<防草用シートの作成>
溶融押出機にシート原料を連続的に供給し、Tダイからキャストドラム上に1.0mm厚さのシート状(1m幅)に押し出し、その表面に連続的に不織布を供給して積層し、案内ロール間を通過させて巻取り、防草用シートを製造した。溶融樹脂温度は150℃、キャストドラムの温度は45℃とした。得られた防草用シートの遮光率は100%であった。
【0034】
<生分解性の促進試験>
防草用シートから2×2cmの大きさの試験片を切り出し、リパーゼ(SIGMA社製「Rhizopus delemer」)5ユニット/mlと界面活性剤(第一工業製薬社製「プライサーフA210G)0.005重量%を加えた燐酸緩衝液に浸漬して一昼夜放置後、試験圃場の土壌中10cmの深さに埋め込み、3ヶ月後に試験片の分解・残存状況を確認した結果、試験片は生分解されており、その残存は殆ど確認することが出来なかった。
【0035】
<防草用シートの敷設固定時の破損試験>
1×1mに切り出した防草用シートを非舗装の道路面に載置し、その四隅に対し、直径5mmの金属製棒状体から成り且つ先端が鋭利なU字型固定具(長さ10cm)を打ち込み、防草用シートの破損の有無を確認した結果、四隅とも破損しなかった。
【0036】
比較例1
実施例1において、防草用シートの作成の際に不織布の積層化を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、防草用シートを作成し、防草用シートの敷設固定時の破損試験を行った。その結果、四隅のうちの2箇所での固定具の打ち込みの際に防草用シートに亀裂が生じた。
【0037】
【発明の効果】
以上説明した本発明によれば、環境に優しく且つ除草効果の高く、しかも、十分な強度を備え、敷設後の固定の際に破損することのない防草用シートが提供され、本発明の工業的価値は顕著である。
【出願人】 【識別番号】592069562
【氏名又は名称】日東化工株式会社
【出願日】 平成15年4月22日(2003.4.22)
【代理人】 【識別番号】100097928
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 数彦

【公開番号】 特開2004−321017(P2004−321017A)
【公開日】 平成16年11月18日(2004.11.18)
【出願番号】 特願2003−116538(P2003−116538)