| 【発明の名称】 |
アレロパシー物質吸着性能評価方法及び装置並びにアレロパシーの簡易判定キット |
| 【発明者】 |
【氏名】藤井 義晴
【氏名】元木 悟
【氏名】岡 准慈
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| 【要約】 |
【課題】従来技術に鑑みて、活性炭などの資材を使ったアレロパシー軽減技術を簡易に評価し、現場への普及の短縮化をはかること。
【解決手段】(イ)アレロパシー物質の滲透可能な媒体を被検資材の層によりもしくは同物質の透過可能な隔壁により2分し、その一方に同物質を分泌する植物体を置き、そして他方には同物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、もしくは、他方には被検資材を撹拌混合し、これに同物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、または(ロ)アレロパシー物質放出体を被検資材を混合した同物質の滲透可能な媒体で重層包埋し、その上に同物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、播種植物の生育状況により該被検資材に同物質の吸着除去機能があるか否かを判断するアレロパシー物質吸着性能評価方法。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 アレロパシー物質の滲透可能な媒体を被検資材の層により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方にはアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法。 【請求項2】 アレロパシー物質の透過可能な材料で作られかつ被検資材を充填したときに層状となってアレロパシー物質の滲透可能な媒体を2分する部材を具備した、該媒体を収容することのできる容器からなることを特徴とする請求項1記載の評価方法を実施するためのアレロパシー物質吸着性能評価装置。 【請求項3】 アレロパシー物質の滲透可能な媒体をアレロパシー物質の透過可能な材料の隔壁により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方には被検資材を撹拌混合し、これにアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法。 【請求項4】 アレロパシー物質放出体を被検資材を混合したアレロパシー物質の滲透可能な媒体で重層包埋し、その上にアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法。 【請求項5】 アレロパシー物質の滲透可能な媒体(源)、該媒体で被疑アレロパシー物質放出体を重層包埋する容器、および、必要に応じてアレロパシーの作用を受けることが知られている植物の種子からなることを特徴とするアレロパシーの簡易判定キット。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、ある資材がアレロパシー物質を吸着する機能があるかどうかを評価する方法、およびある植物体などがアレロパシー物質を放出するかどうかを判定する方法に関し、更に詳しくは、アレロパシーを分泌する植物体とそのアレロパシー物質により生育阻害を受ける植物を利用して、ある資材がアレロパシー物質吸着除去機能を有するか否かを評価する方法およびその方法に使用する装置、ならびにアレロパシー物質により生育阻害を受ける植物を利用して、アレロパシー物質を放出するか否かが未知の被疑アレロパシー物質放出体のアレロパシー物質放出作用の有無を簡易に判定することのできるキットに関する。 【0002】 【従来の技術】 【非特許文献1】藤井義晴著「アレロパシー」(社)農山漁村文化協会2000年3月31日発行、別章「アレロパシーの証明、検定方法」中、第179〜189頁 アレロパシー(他感作用)は、「ある植物から放出される化学物質が、他の植物や微生物に何らかの影響を及ぼす現象」を意味する。アレロパシーは、自然生態系においては、植生の遷移要因のひとつであり、農業生産の場においては作物の生育阻害や、畑作物や果樹など永年性作物における連作障害(忌地現象)の原因のひとつと考えられている。自然界においては、光や水、栄養素の競合や、そのほかの物理的あるいは生物的相互作用とアレロパシーを識別することが困難な場合が多く、そのため、アレロパシーを的確に評価し、これを実際の農業に役立てた研究はきわめて少ない。 【0003】 ユリ科の多年生宿根性植物であるアスパラガスは、アレロパシー活性が最も強い作物のひとつであり、最近の本発明者らの研究から「活性炭フロアブル剤」(大塚化学(株))または特殊活性炭資材「HJA−40Y」もしくは「HJA−100CW」(味の素ファインテクノ(株))を壌土に散布・混和することで、アレロパシーを軽減できることが分かっており((ィ)園芸学会雑誌第69巻別冊1、’00[野菜]、元木他「アスパラガスのアレロパシーに関する研究」、(第1報)活性炭フロアブル剤のアレロパシー軽減効果、(ロ)園芸学会雑誌別冊1、’01[ポ野菜]、元木他「アスパラガスのアレロパシーに関する研究、(第3報)活性炭フロアブル剤の現地適応性、など)、アスパラガスへの活性炭処理は全国的に増加する傾向である。 【0004】 しかし、その一方で、これらの活性炭に吸着する化学物質は同定されていない。また、活性炭や炭、そのほか類似資材など、これら3資材以外の資材については評価されておらず、従来技術を用いて、現場に普及するまでには、研究の進んでいるアスパラガスで本発明者らの手法(藤井義晴著「アレロパシー」((社)農山漁村文化協会2000年3月31日発行、別章「アレロパシーの証明、検定方法」中、第189〜第179頁(非特許文献1))に記載のプラントボックス法およびサンドイッチ法)でアレロパシー活性を評価し、上掲元木他の手法で土壌への影響を調べて活性炭処理の適否を評価する方法で検討しても、少なくとも3〜5年を必要とする。また、ほかの作物については、水耕栽培で少ない知見はあるものの、土耕栽培では活性炭の処理の適否については分かっておらず、現在、アレロパシーに関与すると考えられる作物が数種あり、その作物に活性炭を添加しようと試みているところであり、アスパラガスを除いて、現場で活性炭が利用されている例は無い。 【0005】 ここで、従来法によるアレロパシーの軽減試験を、アスパラガスを例にして説明すると、連作障害が起きた場合、(1)光や水の影響する可能性の除去、(2)栄養素の競合が影響する可能性の除去、(3)病害虫が影響する可能性の除去、(4)腐植質や栄養分の過不足が影響する可能性の除去、(5)連作によるpHの異常が影響する可能性の除去、(6)圧密層の発生や土壌硬度の上昇など物理的な影響の可能性の除去、などを行ったうえで、アレロパシーによる連作障害の可能性が考えられる場合には、(7)活性炭などの資材の中から化学物質を吸着する資材を選び出し、(8)さらに様々な処理量、処理濃度を検討し、(9)効果があった場合でも、その効果の持続性やほかへの影響を考慮し、(10)さらに再現性試験を経て、(11)数年をかけてようやく普及に移る。 【0006】 従来のアレロパシーに関する研究報告の多くは、生育阻害や促進などの現象面の観察と植物の体内成分の分析がおもであり、両者を結びつけて候補物質が実際に作用していることを証明した研究はきわめて少ない。それは、アレロパシーと栄養素や光などの競合との区別が困難で、特異的な評価法がなかったためであり、本発明者らが開発したプラントボックス法は、寒天培地中に混植し、生きている植物の根から滲出される物質による作用を特異的に検出する手法として、アレロパシー候補植物の探索とその活性の評価、および作用物質の実証の点で画期的である。 【0007】 因みに、プラントボックス法は、例えば次のようにして行なうことができる。すなわち、根の乾物重量が100〜500mg程度の植物の根を、直径32mmのセルロース透析膜、または同形のナイロン製網を張った筒に入れ、組織培養用プラントボックス(Magenta社製、60×60×100mm)の隅に置き、40〜45℃の0.5%(W/V)寒天を満たし、氷水で急冷してゲル化させる。寒天上の10mm間隔の格子点にレタス(Great lakes 366)を穿刺播種し、播種後5日目に、幼根長、下胚軸長を測定する。根からの距離が近いほど、検定植物(ここではレタス)の根の伸長が抑制されていることがわかる。そこで、アレロパシー活性の測定には、仕切り筒の網からの距離を横軸に、伸長を縦軸にとったグラフを作成し、一次回帰式を求め、直線の傾きと網に接した点における伸長からアレロパシー活性を求める。前掲藤井著「アレロパシー」第189〜186頁参照。なお、後掲第1図に、プラントボックス法の概要を同書から引用して示す。 【0008】 一方、サンドイッチ法は、アレロパシーの作用経路のなかでも、とくに葉からの溶脱(滲出)を特異的に検出する手法である。落葉を寒天培地にサンドイッチ状に包埋し、そのうえで検定植物を栽培することによって、通常下へ溶脱(滲出)される物質を上へ移動させ、そこに栽培したレタスなどの検定植物の生育に及ぼす影響を調べることにより、アレロパシーを特異的に検出しようとするものである。 【0009】 因みに、サンドイッチ法は、例えば次のようにして行なうことができる。すなわち、材料は、主として樹木の葉とし、一部の作物・雑草の落葉・落枝も対象にできる。自然に落ちた枯葉で、できるだけ新鮮なものを、秋(11〜12月)に採取したものを供試する。用具は、ヌンク社製の6穴の組織培養用マルチディッシュを用いる。方法は、落葉を秤量し、ディッシュに入れ、まず、オートクレーブ後、45℃とした寒天、5mlを添加して葉を浮かせた状態でゲル化させる。そのうえに、さらに5mlの寒天を加えて葉をサンドイッチ状に重層包埋する(このため、本手法をサンドイッチ法と称する)。この上に検定植物を播種し、暗黒下に培養して、幼根長、下胚軸長を測定する。検定植物としては、主にレタス(Great Lakes 366)を用いるが、どのような植物にも適用可能である。前掲藤井著「アレロパシー」第186〜181頁参照。なお、後掲第2図に、サンドイッチ法の確立されたスキームを同書から引用して示す。 【0010】 【発明が解決しようとする課題】 このような状況のなかで、本発明は、上記の従来技術に鑑みて、活性炭などの資材を使ったアレロパシー軽減技術を簡易に評価し、評価の高い資材の現場への普及の短縮化をはかることを目的とする。 【0011】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、前項記載の目的を達成すべく、鋭意研究を積み重ねた結果、プラントボックス法とサンドイッチ法に活性炭などの資材を充填し(上に説明したプラントボックス法におけるセルロース透析膜またはナイロン製網などを張った複数の枠の内部に被検資材を充填する)、または添加撹拌する(上に説明したプラントボックス法で筒の外側の寒天に被検資材を添加撹拌または上に説明したサンドイッチ法で寒天に被検資材を添加撹拌する)ことにより、活性炭や炭、そのほか類似資材などを同様の手法で評価することができることを見出し、このような知見に基いて本発明を完成するに至った。 【0012】 すなわち、本発明は、アレロパシー物質の滲透可能な媒体を被検資材の層により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方にはアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法、およびこのような評価方法に使用する装置、アレロパシー物質の滲透可能な媒体をアレロパシー物質の透過可能な材料の隔壁により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方には被検資材を撹拌混合し、これにアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法、アレロパシー物質分泌植物体を被検資材を混合したアレロパシー物質の滲透可能な媒体で重層包埋し、その上にアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法、ならびにアレロパシー物質の滲透可能な媒体(源)、該媒体で被疑アレロパシー物質放出体を重層包埋する容器、およびアレロパシーの作用を受けることが知られている植物の種子からなることを特徴とするアレロパシーの簡易判定キットに関する。 【0013】 【発明の実施の形態】 以下、本発明を順次詳細に説明する。 【0014】 先ず、本発明の、アレロパシー物質の滲透可能な媒体を被検資材の層により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方にはアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法(本発明の態様その1)について説明する。 【0015】 ここで、アレロパシー物質の滲透可能な媒体としては、寒天ゲル、ゼラチン、粘土、デキストランその他を挙げることができるが、生育阻害がないこと、透明であり、根の観察が容易であること、低い濃度でゲル化できることから寒天ゲルが好ましい。アレロパシー物質を分泌する植物体としては、ムクナ、ソラマメ、エンドウ、ダイズ、ヘアリーベッチ、ベニバナインゲン、ライマビーン、レンゲなどの豆類、ライムギ、エンバク、コムギ、ケンタッキーブルーグラスなどのイネ科、ソバなどのタデ科、トマト、ナス、サトイモ、スイカ、キュウリ、アスパラガスなどの野菜、キンセンカ、シンテッポウユリ、トルコギキョウ、チドリソウ、カーネーション、ストック、ポピー、ゴテチャ、トリテリア、キンギョソウ、ホワイトレースフラワーなどの花卉、クルミ、モモ、リンゴ、サクラ、イチジクなどの果樹、その他に牧草、薬草、雑草、地衣類などの植物が挙げられ、例えばアスパラガスを例にとると、アスパラガスは根を洗って2分された媒体の一方に根の部分を媒体に浸るようにして挿入する。アスパラガスのアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物としては、例えばシロクローバー、カラシナ、レタスなどを挙げることができ、この種を2分された媒体の他方に被検資材の層からの距離を異ならしめて適当粒数、例えば穿刺播種する。 【0016】 アレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを検定すべき被検資材としては、炭、活性炭、その類似資材などを挙げることができる。一口に、炭や活性炭といっても、原料、製造法、形状などにより微細構造などに差が生じ、延いてはアレロパシー物質の吸着除去機能に大きな差が生ずる。従って、これらの資材を実際に圃場において使用する場合は、使用しようとする資材が当該圃場に有効か否かを予め検定しておくことが必要である。本発明によれば、被検資材を例えばセルロース透析膜やナイロン製網を張った枠に収容し、これを層状隔壁として上記媒体を2分するように媒体中に置かれる。この層の被検資材も上記媒体に浸っている。 【0017】 このようにセットして穿刺播種したレタスの生長を図る。被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があれば、発芽したレタスの生長、例えば幼根長には、差がない。これに対し、被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能がなければ、被検資材層を透過し、媒体内に滲透したアレロパシー物質によりレタスの幼根は順次その伸長を阻害される、すなわち、被検資材層に近い程早く伸長を阻害され、遠い程遅く伸長を阻害される。この状況を後掲第3図に模式的に示す。 【0018】 なお、このような本発明の態様その1の実施にあたっての細目は、当業者であれば、前掲非特許文献1や後掲実施例を参照して適宜容易に決めることができる。 【0019】 上に説明したところから理解されるように、播種したレタスの生長が一様に順調で差がなければ被検資材にアレロパシー物質吸着除去機能があり、レタスの幼根の伸長が被検資材層に近いところから順次停止または鈍化しているようであればその被検資材にはアレロパシー物質吸着除去機能がないか、その機能が低いと評価することができる。 【0020】 次に、上に説明したアレロパシー物質吸着性能評価方法の実施に使用する装置、すなわち、アレロパシー物質の透過可能な材料で作られかつ被検資材を充填したときに層状となってアレロパシー物質の滲透可能な媒体を2分する部材を具備した、該媒体を収容することのできる容器からなることを特徴とする、上に説明した評価方法を実施するためのアレロパシー物質吸着性能評価装置(本発明の態様その2)について説明する。 【0021】 ここで、アレロパシー物質の透過可能な材料で作られ、かつ被検資材を充填したときに層状となってアレロパシー物質の滲透可能な媒体を2分するのに使用する部材としては、前記のセルロース透析膜やナイロン製網を張った枠を挙げることができる。容器の材質はレタスのようなアレロパシー物質の作用を受ける植物の幼根の伸長状況を観察することのできる透明なものが好ましく、例えばアクリル製容器が好適である。この装置における容器や枠のサイズなど、その製作に当っての細目は、当業者であれば前掲非特許文献1や後掲実施例を参照して適宜容易に決めることができる。 【0022】 本発明のアレロパシー物質の滲透可能な媒体をアレロパシー物質の透過可能な材料の隔壁により2分し、その一方にアレロパシー物質を分泌する植物体を置き、そして他方には被検資材を撹拌混合し、これにアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法(本発明の態様その3)についての説明は次の通りである。 【0023】 この方法は、アレロパシー物質の滲透可能な媒体を、本発明の態様のその1におけると異なり、被検資材の層で2分する代わりに、アレロパシー物質の透過可能な材料の隔壁で2分し、その一方に被検資材を撹拌混合しておくというものである。アレロパシー物質の透過可能な隔壁の材料としては前記のセルロース透析膜やナイロン製の網地を挙げることができる。 【0024】 被検資材を混合しなかった場合(対照)に較べて、例えばレタスの生長、例えば根の伸長が劣れば該資材にはアレロパシー吸着性能がないと判断することができ、同等であれば該資材にはアレロパシー吸着性能があると判断することができる。 【0025】 本発明のアレロパシー物質を分泌する植物体を被検資材を混合したアレロパシー物質の滲透可能な媒体で重層包埋し、その上にアレロパシー物質の作用を受けることが知られている植物を播種し、その生育状況により該被検資材にアレロパシー物質の吸着除去機能があるか否かを判断することを特徴とするアレロパシー物質吸着性能評価方法(本発明の態様その4)についての説明は次の通りである。 【0026】 この評価方法は、少なくとも上層の媒体に被検資材を撹拌混合することを除いては、前掲非特許文献1に記載のサンドイッチ法に準じて実施することができる。この方法は、媒体に被検資材を混合する点で上に説明した本発明の態様その3と同じで、いわば本発明のこの態様において水平になっているものを垂直にしたのが上記本発明の態様その3ということもできる。本発明の態様その3に関して説明したと同じく、被検資材を混合しなかった場合(対照)に較べて、例えばレタスの生長、例えば根の伸長が劣れば該資材にはアレロパシー吸着性能がないと判断することができ、同等であれば該資材にはアレロパシー吸着性能があると判断することができる。 【0027】 本発明のこの態様の実施状況を後掲第4図に模式的に示す。 【0028】 本発明の、アレロパシー物質の滲透可能な媒体(源)、該媒体で被疑アレロパシー物質放出体を重層包埋する容器、および、必要に応じて、アレロパシーの作用を受けることが知られている植物の種子からなることを特徴とするアレロパシーの簡易判定キット(本発明の態様その5)についての説明は次の通りである。 【0029】 ここに、アレロパシー物質の滲透可能な媒体としては、例えば寒天ゲルを挙げることができる。しかし、寒天ゲルが嵩ばるなどのために不便なときは、例えば乾燥寒天(粉末)の形でキットに加えておき(媒体源の意味)、これに用時水を加えて寒天ゲルとする。アレロパシーの作用を受けることが知られている植物の種子としては、例えばレタス、シロクローバー、カラシナなどの種子を挙げることができる。なお、容器などは、前掲非特許文献1に記載のサンドイッチ法のそれらに準ずることができる。 【0030】 また、被疑アレロパシー物質放出体には、生きた植物体の他に、枯れ葉や落ち葉、あるいは、例えばアスパラガスの改植に当り土壌に鋤込んだアスパラガスの茎葉、根、延いてはこれらから分泌されたアレロパシー物質を含有するおそれのある土壌なども包含される。また、前述のアレロパシーを分泌する植物体が1年生植物であれば、連作によりその土壌はアレロパシー物質を含有するおそれがでてくる。従って、これらの土壌も、作付けに際しアレロパシー物質で汚染されているか否かを知ることが必要となることがあるからである。 【0031】 このキットには、研究者、技術者、農業生産者などが容易に本発明を利用して被疑アレロパシー物質放出体に実際にアレロパシーがあるか否かを判定することができるというメリットがある。 【0032】 【実施例】 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。 【0033】 実施例1:粒状活性炭の評価 アスパラガスは2001年8月21日播種、136セルトレイに育苗、9月28日7.5cm黒ポリ鉢に移植した。アクリル製の容器(40×160×100mm)を用い、セルロース透析膜を張った枠(40×10×100mm)に活性炭を充填した(枠内は28×10×90mm)。アスパラガス1本を水洗し、枠により仕切られた一方の部分(40×30×100mm)に、水洗したアスパラガスの根を入れ、40〜45℃の0.5%(W/V)寒天を満たし、氷水で急冷してゲル化させた。寒天上に10mm間隔の格子点にレタスを穿刺播種し、根の部分を黒ポリポットで遮光して、インキュベータ25/20℃(12/12h)で5日間生育させ、幼根長、胚軸長、草丈、生体重、乾物重を測定した。 【0034】 試験区は3区制で、味の素ファインテクノ(株)製「HJA−40Y」(中和無しおよび35%HClまたは75%H3PO4で中和)、「Y−10」、「CL−K」および「CL−H」、武田薬品工業(株)製顆粒状活性炭、および活性炭の代わりにガラスビーズを入れた区で行ない、アスパラガスだけの無処理区と寒天のみの対照区を設けた。 【0035】 結果を下記第1表にまとめて示す。 【0036】 【表1】
【0037】 実施例2:「活性炭フロアブル剤」および粉末活性炭の評価 大塚化学(株)製「活性炭フロアブル剤」および味の素ファインテクノ(株)製粉末活性炭「HJA−100CW」および「F−17W」を用い、「活性炭フロアブル剤」は25倍液(40ml/l)、粉末活性炭はいずれも8g/lをオートクレーブ前の寒天に混和させた。 【0038】 試験区は3区制で、実施例1におけると同様の条件および暗黒条件で3日間生育させて測定した。比較として「活性炭フロアブル剤」をオートクレーブ後に添加した区、アスパラガスを植えて資材を添加しなかった無処理区、「活性炭フロアブル剤」を添加しアスパラガスを植えなかった区を1〜2区設け、対照として寒天のみの区をそれぞれに設けた。その他については実施例1に準じた。 【0039】 結果を下記第2表にまとめて示す。 【0040】 【表2】
【0041】 <結果及び考察> アレロパシー活性の強いとされる‘ムクナ’の根伸長率は10%程度、‘ヘアリーベッチ’は30%程度であることから、アスパラガスはアレロパシー活性の強い作物であることが判る。粒状活性炭はガラスビーズに比べて根伸長率が高く、何らかの生長阻害物質(アレロパシー物質)を吸着していると考えられる。「HJA−40Y」と「Y−10」を除き、供試した粒状活性炭はいずれもアスパラガスのアレロパシーによる生長阻害を回復させる働きがあったが、「HJA−40Y」も中和することにより、アレロパシー物質の吸着が強くなった。このように、プラントボックス法において、実際の土壌における栽培と比較し、極めて簡単に且つ短時間に活性炭のアレロパシー物質吸着性能の評価を行なうことが可能である。 【0042】 【発明の効果】 本発明によれば、活性炭などの資材によるアレロパシーの軽減技術を、現場に近い形で行うことにより、従来アレロパシーの評価から現場への普及までに少なくとも3〜5年はかかっていたものを、早ければ数週間で評価でき、従来技術による所要期間を大幅に短縮することができる。換言すれば、アレロパシー活性の高い検定植物に対するアレロパシー軽減効果のある資材を容易にスクリーニングできるため、1年生や越年生草本はもちろんのこと、永年性作物や果樹、花木など、圃場試験だと時間がかかるアレロパシー軽減技術の評価期間が顕著に短縮できる。 【図面の簡単な説明】 【図1】プラントボックス法(従来技術)の概要を示す。 【図2】サンドイッチ法(従来技術)の確立されたスキームを示す。 【図3】本発明の態様の1つの実施状況を模式的に示す。 【図4】本発明の他の態様の実施状況を模式的に示す。
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| 【出願人】 |
【識別番号】302060306 【氏名又は名称】大塚化学株式会社 【識別番号】000000066 【氏名又は名称】味の素株式会社
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| 【出願日】 |
平成15年4月14日(2003.4.14) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100064687 【弁理士】 【氏名又は名称】霜越 正夫
【識別番号】100102668 【弁理士】 【氏名又は名称】佐伯 憲生
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| 【公開番号】 |
特開2004−313037(P2004−313037A) |
| 【公開日】 |
平成16年11月11日(2004.11.11) |
| 【出願番号】 |
特願2003−108671(P2003−108671) |
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