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【発明の名称】 人工軽量土壌及びその製造方法
【発明者】 【氏名】石黒 義久

【氏名】前田 直己

【氏名】笹原 勢一郎

【氏名】蒔田 律郎

【氏名】林 敏和

【要約】 【課題】剪定枝,流木,木屑,樹皮,間伐材,木の葉などの木質廃材を再利用することができ、使用目的を達成した後は産業廃棄物にならないばかりか、良質の土壌改良材となる人工軽量土壌を提供することにある。

【解決手段】高温高圧蒸気処理を施した木質系チップ材からなることを特徴とする人工軽量土壌。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高温高圧蒸気処理を施した木質系チップ材からなる人工軽量土壌。
【請求項2】
木質系チップ材を、蒸気温度170〜190℃,蒸気圧力10〜13気圧,時間1〜3時間、高温高圧蒸気処理を施すことを特徴とする人工軽量土壌の製造方法。
【請求項3】
高温高圧蒸気処理を、コンクリートパイル用のオートクレーブを使用することを特徴とする請求項2記載人工軽量土壌の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物の生育環境に適した性能を有し、しかも環境負荷の少ない人工軽量土壌及びその製造方法に関する。
【0002】
人工軽量土壌は、ガーデニングでの植物栽培用資材或いは法面などの緑化用基材として種々開発されており、例えば、特開平5ー271655号公報には、独立気泡を有する熱可塑性樹脂発泡体の被粉砕物の少なくとも一部が形状を残すように摩擦熱により減容化され、表面に凹凸部を有し、且つ独立気泡が残存したものからなる土壌改良材が、特開平6ー30656号公報には、熱可塑性プラスチックの連続気泡体を親水化した植物培地用土壌がそれぞれ開示されている。
【0003】
また、特開2002ー51637号公報には、感温吸排水性樹脂粒子を含有した連続気泡型多孔体または繊維圧縮成型体からなる植生資材が、特開2002ー233238号公報には、酸変性ポリオレフィン樹脂の発泡体を含有してなる人工軽量土壌がそれぞれ開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のような従来の人工軽量土壌は、その殆どが樹脂を主成分とする構成のものであるから、栽培した植物を収穫した後、或いは植生した植物が枯れた後でも、前記樹脂発泡体は腐らずにそのまま残ることになる。したがって、人工軽量土壌を繰り返して使用する場合はあまり問題はないが、例えば、この人工軽量土壌を鉢或いは木箱などの容器に入れて使用する場合には、枯れた植物を除去して新しい植物に植え替える時或いは模様替えのために新しい鉢植えと交換する時に、土として使用したこの人工軽量土壌も一緒に廃棄する場合が多い。しかし、廃棄する場合にこれを土の中に埋めても腐らないので、産業廃棄物となり、地球環境の負荷になるといった問題点がある。
【0005】
本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、植物生育に適した保水性,透水性,通気性などに優れ、しかも植物生育に適するPHを有する土壌であって、且つ地球環境への負荷が少ないこと、更には、ダイオキシンの発生源として焼却が禁止されていて処理に困ってる間伐材,樹皮,木屑等の木質廃材を有効活用できる人工軽量土壌及びその製造方法を提供することを目的としたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明は、高温高圧蒸気処理を施した木質系チップ材からなる人工軽量土壌である。この構成により、軽量で且つ植物の生育に求められる根の固定性能,保水性能,透水性能などを十分に満たしており、PH値も植物の発芽,生育に支障のないものが得られるとゝもに、廃棄時にも植物生育に適した土壌改良用の資材となり、環境負荷が少ない。しかも、木質系チップ材には高温高圧蒸気処理が施されているため改めて消毒,殺菌処理を改めて施す必要がないとゝもに、剪定枝,流木,木屑,樹皮,間伐材,木の葉などの木質廃材をも有効利用することができる。
【0007】
更に上記の目的を達成するため、本願の請求項3に係る発明は、高温高圧蒸気処理をコンクリートパイル用のオートクレーブを使用することにより製造することが出来るため、既存の設備をそのまま使用できる。したがって、新たな設備投資が不要であるとゝもに、本願の請求項2に係る発明にあっては、高温高圧蒸気処理及び加熱処理は前記通常のコンクリートパイル用のオートクレーブにおいて設定できる範囲のものであり、作業が容易である。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明すると、木質系材料を切断又はチッピングし、この木質系チップ材に高温高圧蒸気処理を施す。木質系チップ材としては、伐採現場や製材所等から排出される間伐材,剪定枝,木屑,樹皮,木の葉,流木等の天然木材を使用する。その大きさは約1〜200mm程度の範囲内が好ましい。
【0009】
さらに、本発明では、前記木質系チップ材に高温高圧蒸気処理を施すが、この処理にはコンクリートパイル製造用のオートクレーブを転用し、既存設備の有効利用を図っている。この高温高圧蒸気処理の条件は、好ましくは約170〜190℃,10〜13気圧,1〜3時間とする。この条件で前記木質系チップ材を処理した場合、約180℃といった比較的低温領域で炭素の繊維を主体とした処理済みチップ材、すなわち、本発明に係る人工軽量土壌が得られる。
【0010】
上記の処理済みチップ材は、高温高圧蒸気処理自体およびこのときの熱分解によって生成される木酢液により殺菌,消毒が施された状態のものとなるので、事後の殺菌,消毒処理が不要となる。したがって、植物を病原菌から保護し、良好な植物生育環境を維持することが出来るとゝもに、製造が簡単であるため廉価に製造することが出来る。
【0011】
また、この種の人工土壌には、草木類の植物を植生,繁茂させるに適正なものであることが要求される。すなわち、土壌に求められる性能として、保水性,透水性,PHなどが挙げられるが、本発明に係る人工軽量土壌は、主に軟化した植物の繊維質からなるものであるから、適度な透水性を具備しているとゝもに、測定結果から、保水性は約75%,PH値は約5.7〜6%の値が得られた。したがって、人工土壌に求められる上記の諸要求性能を十分にみたしており、植物の発芽,育成に何らの支障もない。
【0012】
しかも、本発明に係る人工軽量土壌の見かけ比重は約0.3であり、軽量ポーラスコンクリートの場合は2.0程度、従来の人工軽量土壌の場合でも0.5程度であるので、これらのものと比較しても格段に軽量である。したがって、建築物の構造設計上、設置重量には一定の制約がある屋上緑化用土壌として格段に有利に使用することができる。
【0013】
また、使用終了後に廃棄する場合に、これを地表に敷設すればマルチング材となり、土と混合することにより良質の腐葉土と同様の性能を発揮する。したがって、環境負荷が少ないばかりか、むしろ土壌改良に寄与することとなる。
【0014】
本発明に係る人工軽量土壌の使用方法は、現場で土の代わりに使用したり、紙または木の箱に入れて或いはメッシュの袋に入れて使用する。また、土を全く使用せず、この人工軽量土壌のみをベッドに充填し、上方から養液を点滴する養液栽培に使用することもできるが、この場合には、高温高圧蒸気処理自体およびこのときの熱分解によって生成される木酢液により殺菌,消毒が施された状態のものとなるので、事後の殺菌,消毒処理が不要となる。
【0015】
【発明の効果】
本発明は上記のような構成であるから、処理に困ってる剪定枝,流木,木屑,樹皮,間伐材,木の葉などの木質廃材を有効利用できるとゝもに、廃棄する場合にも、地球環境の負荷とならないばかりか良質の土壌改良材として機能する。また、本発明の製造には既存のコンクリートパイル製造用オートクレーブをそのまま転用することができるため新たな設備投資を要することがないとゝもに、その処理はこのオートクレーブの機能の範囲内であるため、作業が容易であるといった諸効果がある。
【出願人】 【識別番号】000201504
【氏名又は名称】前田製管株式会社
【出願日】 平成15年4月7日(2003.4.7)
【代理人】 【識別番号】100066094
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 武志

【識別番号】100123146
【弁理士】
【氏名又は名称】米屋 崇

【公開番号】 特開2004−305085(P2004−305085A)
【公開日】 平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願番号】 特願2003−102877(P2003−102877)