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【発明の名称】 気耕栽培装置
【発明者】 【氏名】中本 重陽
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【氏名】廣瀬 徹
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器産業株式会社内

【要約】 【課題】気密性を確保して、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現した気耕栽培装置を実現することを目的とするものである。

【解決手段】植物を支持する支持手段6と、植物の根部を囲む略気密空間を構成する容器7と、養分となる培養液8を前記容器7内に噴霧する噴霧手段9と、前記容器7に空気を供給する空気供給手段10を有するもので、噴霧手段9による培養液8の噴霧と容器7の気密性によって湿度を維持しながら、空気供給手段10で強制的に空気を送り込むことによって必要な酸素を供給し、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現することができるものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物を支持する支持手段と、植物の根部を囲む略気密空間を構成する容器と、養分となる培養液を前記容器内に噴霧する噴霧手段と、前記容器に空気を供給する空気供給手段とを有し、土壌を使わずに空中に根を露出させて植物を栽培する気耕栽培装置。
【請求項2】
容器内に表面を開放した液溜めを設け、空気供給手段の空気吐出口を前記液溜め内に設けて、空気を液溜め内の培養液の中を通過させて、前記容器内に空気を供給する請求項1に記載の気耕栽培装置。
【請求項3】
噴霧手段は、空気供給手段の空気吐出口を吸い上げ式エアースプレイのノズルに接続し培養液を吸い上げて空気とともに噴霧する請求項2に記載の気耕栽培装置。
【請求項4】
噴霧手段は、超音波加湿手段によって空中に浮遊する粒径の培養液を供給する請求項1に記載の気耕栽培装置。
【請求項5】
空気供給手段は、気体分離膜によって酸素濃度の高い酸素富化空気を供給する請求項1に記載の気耕栽培装置。
【請求項6】
支持手段は、気密性と可撓性と弾力性を有する請求項1に記載の気耕栽培装置。
【請求項7】
空気供給手段は空気を送るエアーポンプを有し、エアーポンプの送風能力を制御することによって空気流量を制御して、空気流量を少なくして空気のみを送る送風モードと空気流量を多くして培養液を吸い上げて空気とともに噴霧する噴霧モードを備えた制御手段を有する請求項3に記載の気耕栽培装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌を使わずに空中に根を露出して植物を栽培する気耕栽培装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の気耕栽培装置は植物収納構造体内に培養液を噴霧するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図7は、前記特許文献1に記載された従来の気耕栽培装置の部分断面の斜視図である。図7において、従来の装置はモジュール構造になっており、栽培される植物を収納するための複数の側部パネル1と、この側部パネル1が各インターロック連結2により接合される複数の平坦ベース3とを備え、側部パネル1が凸状キャップ4によって上部凸状ラインに沿って連結されてほぼ逆V字状に形づけられた構造を形成して、図示されていないポンプユニットと噴霧装置5が収納構造内へ培養液を霧化して送るために設けられている。
【0004】
【特許文献1】
特表2000−517195号公報(図2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、植物を空気中で育てるには、適度な水分と養分と酸素の供給が必要であり、また、根に対して乾燥しないように、比較的乾燥に強いエアープランツと呼ばれる植物においても相対湿度60%以上が望ましく、通常の植物の場合には100%近い環境で常時湿度を維持する必要があるが、前記従来の構成では、培養液を噴霧する手段しかなく、培養液の噴霧で湿度を上げることは可能であるが、養分を与えすぎずに湿度を維持するには気密性が必要である。気密性を高めると酸素が不足し、酸素を供給するために通気性をよくすると適度の湿度に維持しにくいという二律背反した課題を有していた。
【0006】
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現した気耕栽培装置を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の気耕栽培装置は、植物の根部を囲む略気密空間を構成する容器と、養分となる培養液を前記容器内に噴霧する噴霧手段と、前記容器に空気を供給する空気供給手段を有するものである。これによって、容器の気密性によって湿度を維持しながら、強制的に空気を送り込むことによって必要な酸素を供給できるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
請求項1に記載の発明は、植物を支持する支持手段と、植物の根部を囲む略気密空間を構成する容器と、養分となる培養液を前記容器内に噴霧する噴霧手段と、前記容器に空気を供給する空気供給手段とを有し、土壌を使わずに空中に根を露出して植物を栽培する気耕栽培装置とするもので、培養液の噴霧と容器の気密性によって湿度を維持しながら、強制的に空気を送り込むことによって必要な酸素を供給し、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、容器内に表面を開放した液溜めを設け、空気供給手段の空気吐出口を前記液溜め内に設けて、空気を前記液溜め内の培養液の中を通過させて、前記容器内に空気を供給するもので、培養液の中を通過させて湿気を空気に与え、外部からの低湿空気の導入による容器内の湿度の低下を少なくすることができ、湿度の維持が容易になる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、特に、請求項2に記載の噴霧手段は、空気供給手段の空気吐出口を吸い上げ式エアースプレイのノズルに接続し培養液を吸い上げて空気とともに噴霧するもので、噴霧手段として別途必要とされる培養液を押し出すポンプ等が空気供給手段のポンプ等と共用化されて、安価に湿度の維持と酸素の供給ができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、特に、請求項1に記載の噴霧手段は、超音波加湿手段によって空中に浮遊する粒径の培養液を供給するもので、微粒の養分は長く空気中に滞在して植物の根に付着が容易で、養分を与えやすい。また、微粒の水分は空気との接触が多く蒸発しやすく、空気の湿度上昇を容易にすることができる。
【0012】
請求項5に記載の発明は、特に、請求項1に記載の空気供給手段は、気体分離膜によって酸素濃度の高い酸素富化空気を供給するもので、通常空気よりも根からの吸収をよくすることができる。
【0013】
請求項6に記載の発明は、特に、請求項1に記載の支持手段は、気密性と可撓性と弾力性を有する材料を使用したもので、植物の茎や球根をその形状に沿って保持することができため、気密性を損なうことが少なく、湿度維持が容易になる。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、空気供給手段は空気を送るエアーポンプを有し、エアーポンプの送風能力を制御することによって空気流量を制御して、空気流量を少なくして空気のみを送る送風モードと空気流量を多くして培養液を吸い上げて空気とともに噴霧する噴霧モードを備えた制御手段を有するもので、空気供給手段と噴霧手段を1つのエアーポンプで実現するとともに、酸素濃度維持のための送風モードと湿度維持や養分補給のための噴霧モードを容器内の湿度や酸素濃度の状態に応じて切り換えることが可能となり、容器内の湿度と酸素濃度を個別に維持調整することができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。
【0016】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1における気耕栽培装置の側断面図である。図1において、6は植物を支持する支持手段、7は植物の根部20を囲む略気密空間を構成する容器、9は養分となる培養液8を前記容器7内に噴霧する噴霧手段、10は前記容器7に空気を供給する空気供給手段である。支持手段6は植物の茎部21や球根部22を挟持して植物の根部20を容器7内に設けている。噴霧手段9は、吸水ポンプ11と液溜め14内の培養液8中に開口した吸水パイプ12と容器7内に開口して培養液8を霧化する噴霧ノズル13を有している。空気供給手段10は、エアーポンプ15と外気に開口した吸気パイプ16と容器7に開口したエアーノズル17を有している。18は培養液を入れた給水タンクである。19は液戻しパイプで、液戻しパイプ19の一端は容器7の略底面部に開口し、他端は液溜め14に開口している。
【0017】
以上のように構成された気耕栽培装置について、以下、その動作、作用を説明する。
【0018】
養分が必要な場合や湿度が低下すると吸水ポンプ11を作動し、液溜め14内の培養液を吸い上げ、噴霧ノズル13から容器7内に噴霧する。噴霧された培養液8は植物の根部20に付着して吸収され、水分の一部は蒸発して容器7内の空気を加湿する。残った培養液8は容器7の底面部に集まり、液戻しパイプ19から液溜め14に戻る。液溜め14の水位が下がれば液が給水タンク18から供給される。
【0019】
容器7内の酸素濃度が低下すれば、エアーポンプ15を作動する。吸気パイプ16から外気が吸い込まれてエアーノズル17から容器7内に吐出される。
【0020】
上記構成によれば、噴霧手段9による培養液8の噴霧と容器7の気密性によって湿度を維持しながら、空気供給手段10で強制的に空気を送り込むことによって必要な酸素を供給し、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現することができる。
【0021】
なお、噴霧手段9が噴霧する液は培養液だけでなく水の場合もあり、培養液と水を都度切り換えて噴霧することも可能であり、1種類に限定するものではない。
【0022】
(実施例2)
図2は本発明の実施例2における気耕栽培装置の側断面図である。なお、前記実施例1と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0023】
図2において、容器7内に表面を開放した液溜め23を設け、空気供給手段10の空気吐出口24を液溜め23内に設けている。
【0024】
上記構成によれば、空気を液溜め23内の培養液8の中を通過させて、前記容器7内に空気を供給するもので、培養液8の中を通過させて湿気を空気に与え、外部からの低湿空気の導入による容器7内の湿度の低下を少なくすることができ、湿度の維持が容易になる。
【0025】
(実施例3)
図3は本発明の実施例3における気耕栽培装置の側断面図である。なお、前記実施例1、2と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0026】
図3において、噴霧手段25は、空気供給手段のエアーポンプ26の空気吐出口27を吸い上げ式エアースプレイノズル28に接続し培養液8を吸い上げて空気とともに噴霧するものである。空気供給手段のエアーポンプ26を作動させれば、吸気パイプ16から外気を吸い込み、空気吐出口27からエアースプレイノズル28へと空気が勢いよく通過する。このため、吸水パイプ12内の気圧が低くなり、培養液8は吸い上げられてパイプ上端からノズル先端へ細かい霧になって噴霧される。
【0027】
上記構成によれば、噴霧手段25として別途必要とされる培養液8を押し出すポンプ等が空気供給手段26のポンプ等と共用化されて、空気と培養液の噴霧が同時にできて、安価に湿度の維持と酸素の供給ができるものである。
【0028】
(実施例4)
図4は本発明の実施例4における気耕栽培装置の側断面図である。なお、前記実施例1〜3と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0029】
図4において、噴霧手段34は、超音波振動素子29を有する超音波加湿手段である。超音波振動素子29を作動させると振動によって表面の培養液8を霧化する。
【0030】
本構成によって、空中に浮遊する様な粒径の培養液を供給するもので、微粒の養分は長く空気中に滞在して植物の根部20に付着が容易で、養分を与えやすい。また、微粒の水分は空気との接触が多く蒸発しやすく、容器7内の空気の湿度上昇を容易にすることができるものである。
【0031】
(実施例5)
図5は本発明の実施例5における気耕栽培装置の側断面図である。なお、前記実施例1〜4と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0032】
図5において、空気供給手段30は、気体分離膜31によって酸素濃度の高い酸素富化空気を供給するもので、気体分離膜31の一面が、送風機33によって矢印Aの外気が通過する大気圧であるのに対して、反対面は真空ポンプ32によって減圧された空間に面しており、この圧力差によって酸素が優先的に気体分離膜31を透過して、矢印Bの酸素富化の空気としてエアーノズル17から容器7内に吐出される。一方の外気は矢印Cの窒素富化空気となって送風機33から放出される。
【0033】
本構成によって、容器7内は通常空気よりも酸素濃度の維持が容易で、植物の根からの酸素吸収もよくすることができる。
【0034】
また、気体分離膜によっては、窒素に比べて酸素を優先的に透過させるだけでなく、水蒸気も優先的に透過させるものがあり、外気よりも酸素富化で湿度の高い空気を供給することができるため、容器7内の酸素濃度だけでなく湿度の維持にも効果的である。さらに、気体分離膜31を通すことによって外気中のカビの胞子や雑菌が分離され、しかも容器7内の圧力が正圧になるため周囲からも容器7内にカビや雑菌が入りにくく、通常の空気供給手段よりも容器7内をクリーンに維持できる。
【0035】
(実施例6)
本発明の実施例6における気耕栽培装置の支持手段6は、図1に示すように、植物の茎部21や球根部22を挟持して植物の根部20を容器7内に設けるもので、独立発泡ウレタン樹脂のような気密性と可撓性と弾力性を有するスポンジ状材料を使用したもので、植物の茎や球根をその形状に沿って保持することができるため、気密性を損なうことが少なく、湿度維持が容易になる効果がある。
【0036】
(実施例7)
図6は本発明の実施例7の制御手段による制御を示すフローチャートである。なお、前記実施例1〜6と同じ構成のものは同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0037】
実施例3の図3における空気供給手段のエアーポンプ26に対して、制御手段は、エアーポンプ26の送風能力を制御することによって空気流量を制御して、空気流量を少なくして空気のみを送る送風モードと空気流量を多くして培養液を吸い上げて空気とともに噴霧する噴霧モードを備えた制御手段を行う。
【0038】
図6において、ステップST1で養分を与えるかを判断し、Yesで必要があれば培養液を噴霧するため、ステップST2に進み噴霧モードにする。ステップST3で空気供給手段のエアーポンプを制御して空気風量を所定値以上にする。空気が勢いよく通過するため、培養液8は吸い上げられてノズル先端から噴霧される。ステップST1でNoと判断した場合は、ステップST4で容器7内の湿度を確認する。湿度が所定値以下の場合は加湿が必要なため、Noと判断して、ステップST2の噴霧モードとする。湿度が所定値以上の場合は、ステップST4でYesと判断して、ステップST5で酸素濃度を確認する。酸素濃度が所定値以下ならば空気の供給が必要なため、Noと判断してステップST6の送風モードとする。送風モードでは、ステップST7で空気供給手段のエアーポンプを制御して空気風量を所定値以下にする。空気流量が少ないため、培養液8は吸い上げられず、ノズルからは空気のみが吐出される。
【0039】
空気供給手段と噴霧手段を1つのエアーポンプで実現するとともに、酸素濃度維持のための送風モードと湿度維持や養分補給のための噴霧モードを容器内の湿度や酸素濃度の状態に応じて切り換えることが可能となり、容器内の湿度と酸素濃度を個別に維持調整することができる。
【0040】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1〜7に記載の発明によれば、必要な養分を与えつつ植物の根に適した湿度と酸素のある環境空間を実現した気耕栽培装置を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1における気耕栽培装置の側断面図
【図2】本発明の実施例2における気耕栽培装置の側断面図
【図3】本発明の実施例3における気耕栽培装置の側断面図
【図4】本発明の実施例4における気耕栽培装置の側断面図
【図5】本発明の実施例5における気耕栽培装置の側断面図
【図6】本発明の実施例7における制御手段のフローチャート
【図7】従来の気耕栽培装置の斜視図
【符号の説明】
6 支持手段
7 容器
9、25、34 噴霧手段
10、26、30 空気供給手段
11 吸水ポンプ
13 噴霧ノズル
14、23 液溜め
15 エアーポンプ
16 吸気パイプ
17 エアーノズル
24、27 空気吐出口
28 エアースプレイノズル
29 超音波振動素子
31 気体分離膜
32 真空ポンプ
33 送風機
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【住所又は居所】大阪府門真市大字門真1006番地
【出願日】 平成15年4月3日(2003.4.3)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100103355
【弁理士】
【氏名又は名称】坂口 智康

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【公開番号】 特開2004−305036(P2004−305036A)
【公開日】 平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願番号】 特願2003−99984(P2003−99984)