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【発明の名称】 土中観測器具及びそれを使用した土中観測方法
【発明者】 【氏名】古賀 潤

【要約】 【課題】植物の根を痛めることなく、根の生育および土中の含有水分量を常に観測できる器具を提供する。

【解決手段】畝および畝間を形成する際に、土中観測器具3をイチゴの苗4の中心部から30cm程離れた畝間に垂直に埋設する。普段は蓋部材33は閉めておく。灌水時の観測用開口部31からの水の浸入、及び、土観測用開口部32から露出した部分の土の乾燥防止のためである。イチゴの根41を観測する際は、蓋部材33を開けて観測用開口部31から覗き、本体部30の内面に表れている根を観測する。土中の水分含有量を観測する際は、観測用開口部31から目視により、あるいは、手を差し入れて土観測用開口部32から直接土を触り、または土を掬いだして観測し分析する。この結果、適切な量の灌水及び施肥を行うことができる。観測終了後は再度蓋部材33を閉める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明の素材で筒状に形成されており、
本体部(10、20、30)の上部(11、21、31)及び底部(12、22、32)には開口部を有し、
上部の開口部(11、21、31)を開閉する手段(13、23、33)を備えていることを特徴とする、
土中観測器具。
【請求項2】
底部の開口部(22)を開閉する手段(223)が設けられていることを特徴とする、
請求項1記載の土中観測器具。
【請求項3】
埋設した場所から取り出す為の手段(15、25、35)を備えていることを特徴とする、
請求項1または2記載の土中観測器具。
【請求項4】
土中観測器具を、植物の根の生育を阻害しない程度の間隔を開けて土中に埋設し、
埋設した透明な本体部(10、20、30)を通して、本体部(10、20、30)に当接した植物の根の生育状況を観測し、
上記根の生育状況を観測と共に、或いは単独で本体部(10、20、30)及び底部の開口部(12、22、32)に表れた土の含有水分量を観測或いは分析できるようにしたことを特徴とする、
土中観測方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は土中観測器具及びそれを使用した土中観測方法にかかり、更に詳しくは、土中に埋設して、必要なときはすぐに植物の根の生育状態および土中の水分含有量を観測することができる器具及びそれを使用した土中観測方法に関する。
【0002】
【従来技術】
根は土の状態の影響を直接受け、根の状態は茎や葉の成長に影響を与える。
通常、健全な根は太くて真っ直ぐ伸びており、白い根には真っ白な毛根が生えている。しかし、根全体あるいは根の先端部が痛むと、栄養分であるリン酸等微量成分の栄養分の吸収が悪くなる。その結果として、生育が悪くなって根が変色したり、最悪の場合は根腐れすることがある。
従って植物の根の状態を常に観察または観測(本明細書では「観測等」という)し、早期に必要な処置(灌水、施肥等)を行うことは、農作物の多収穫を得る上で重要なことである。
【0003】
従来、農業における植物(農作物)の生育の判断は、圃場で栽培する植物を引き抜き、根の生育具合を観測等することにより行われていた。
しかし、観測等のために根を一度引き抜いてしまうと根は相当傷んでしまい、植物の生育にとって好ましくない。
【0004】
このようなことから、植物の根を引き抜かずに観測等できる器具として、下記の特許文献1に示すものが提案されている。
特許文献1に記載されているものは、ある程度成長した植物の近傍に棒状体を打ち込んで引き抜いた後あるいは直接管状の観測用器具を挿入して、その管状の観測用器具に内視鏡等を挿し入れて観測するものである。
【0005】
【特許文献1】
特開昭53−81342号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、根の近くに根の生育後に異物を挿入すると、根を傷める危険性が大きい。
また、観測に使用する内視鏡は高価であるため、一般の農家が購入するには負担が大きすぎる。
更に、根を観測するのに、毎回道具を用意して観測のためのセッティングをするのは面倒でもある。
【0007】
更にまた、土中の水分の含有状態は、灌水を行う際に重要な情報となりうるが、特許文献1の観測用器具は、先端部が閉じられているため、土中の水分の含有状態までは充分に知ることができない。
【0008】
(発明の目的)
そこで本発明の目的は、植物の根を痛めることなく、かつ、観測の都度セッティングを行う面倒がなく、必要なときはいつでも根の生育を観測できる器具を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、土中の含有水分量を必要なときはいつでも観測でき、あるいは直接土を触って判断することができる器具を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために講じた本発明の手段は次のとおりである。
第1の発明にあっては、
透明の素材で筒状に形成されており、
本体部の上部及び底部には開口部を有し、
上部の開口部を開閉する手段を備えていることを特徴とする土中観測器具である。
【0010】
第2の発明にあっては、
底部の開口部を開閉する手段が設けられていることを特徴とする、
第1の発明に係る土中観測器具である。
【0011】
第3の発明にあっては、
埋設した場所から取り出す為の手段を備えていることを特徴とする、
第1または第2の発明に係る土中観測器具である。
【0012】
第4の発明にあっては、
土中観測器具を、植物の根の生育を阻害しない程度の間隔を開けて土中に埋設し、
埋設した透明な本体部を通して、本体部に当接した植物の根の生育状況を観測し、
上記根の生育状況を観測と共に、或いは単独で本体部及び底部の開口部に表れた土の含有水分量を観測或いは分析できるようにしたことを特徴とする、
土中観測方法である。
【0013】
本発明において、土中観測器具の素材としては、透明なアクリル樹脂が好適に使用されるが、これに限定するものではなく、他の素材、例えば、透明なポリカーボネイト等の合成樹脂、ガラス等の透明な素材を好適に使用することもできる。
【0014】
本発明において、土中観測器具の形状は、アクリル樹脂等で筒状体を形成したものが好適に使用される。具体的には、三角筒、四角筒等の多角筒状体、または円筒、長円筒等の筒状体に形成したものが好ましい。
【0015】
本発明において、上部に形成されている開口部を開閉する手段は、防水性および遮光性を有する素材が使用される。合成樹脂が好適に使用されるが、他の素材、例えば、木材、ステンレススチール等の金属、ゴム等であってもよい。
【0016】
本発明において、開閉手段としては、蓋部材に操作棒を取着したものが好適に使用されるが、これに限定するものではなく、例えば、金属チェーン、合成樹脂製の紐、ワイヤ等の索条体であってもよい。
【0017】
本発明において、埋設した場所から取り出す為の手段としては、本体部側部に合成樹脂製のフランジ体縁部を形成し、このフランジ体縁部の一部を方形に突出させて突出部を形成し、該突出部の中央部分に方形の窓孔を形成して設けられた、取手部材を挙げることが出来る。本体部に取り付けたステンレススチール製のコの字状に形成された取手部材、または、観測用開口部周縁近傍にフランジ状に形成された取手部材が好適に使用されるが、これらに限定するものではない。
【0018】
埋設した場所から取り出す為の手段の素材は、他の素材、例えば、木材、アルミニウム合金、銅等の金属、硬質ゴム、ポリカーボネイト樹脂、ABS(Acrylonitrile‐Butadiene‐Styrene)樹脂その他の合成樹脂等で形成されたものであってもよい。
また、埋設した場所から取り出す為の手段の形状は、他の形状、例えば、本体部に取り付けた取手部材の形状はL字状、U字状であってもよいし、観測用開口部周縁近傍をフランジ状に形成し、その一部を切り欠いて取手部を形成したもの等であってもよい。
【0019】
(作用・効果)
土中観測器具は、畝および畝間を形成する際に埋設される。具体的には畝の間に植物の生長を阻害しないように植物から一定の間隔を開けて所要の深さに穴を掘り、その穴に土中観測器具を埋設する。その後畝に植物を植える。植物は根を張りながら生育するが、根が土中観測器具に到達しても、土中観測器具をよけながら生育する。従って土中観測器具を事後的に埋設する場合と異なり、植物の根を痛めることがなく、または、痛めにくく、必要なときはいつでも観測できる。
【0020】
また、土中観測器具の底部に開口部を有し、好ましくは開閉手段を有する開口部を有しているものにあっては、底部の開口部に表れた土を見ることによって、土中の含有水分量を判断することができる。また、直接手で触れて判断することもできる。更にまた、底部の開口部に表れた土を取り出すか或いはそのままの状態で成分分析をすることもできる。
【0021】
更に、土中観測器具において、上部の開口部を開閉する手段である蓋部材を備えているものにあっては、器具底部で露出した土が乾燥するのを防止できる。また、底部の開口部を開閉する手段である底部蓋部材を備えると、より充分に土の乾燥防止を図ることができるため、土の水分含有量の計測に影響を与えるのを防止することができる。
更にまた、収穫が終わって圃場を整備するときには、作業の邪魔になるために土中観測器具を取り除く必要がある。この場合に、土中観測器具において、埋設した場所から取り出す為の手段を備えているものにあっては、土を掘り起こす手間を掛けずに埋設した場所から容易に取り出すことができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づき更に詳細に説明する。
図1は本発明にかかる土中観測器具の、第一の実施の形態を示す斜視図、
図2は本発明にかかる土中観測器具の、第二の実施の形態であって、その一部を切り欠いた斜視説明図である。
【0023】
図1において、土中観測器具1は、本体部10、蓋部材13、把手部材15から構成されている。
本体部10は、透明なアクリル樹脂を円筒状に形成したものであり、上部及び底部には、開口部を有している。
上部の開口部は観測用開口部11であり、底部の開口部は土を観測するための土観測用開口部12である。
【0024】
本体部10の高さは、観測対象植物の性質に合わせて必要な高さに形成される。根を浅く張る植物であれば、埋設する部分である本体部10の高さは20cm程度で足りるし、根を深く張る植物であれば、埋設する部分である本体部10の高さは1m位必要となる。
【0025】
本体部10の内径は、15cm以上であることが望ましい。
本体部10の埋設部分が浅い場合は、観測用開口部11から直接覗き込み、また、土観測用開口部12から土に直接手を触れて土の状態を触診するため、観測者の手が入る程度の内径(例えば15cm程度以上)を有するのが好ましい。
また、本体部10の埋設部分が深い場合は、観測用開口部11に上半身、特に懐中電灯等を持った手と顔を入れて覗き込める程度の内径(おおむね35cm以上)を有するのが好ましい。
なお、本実施の形態では、本体部の形状は円筒状であるが、その形状は特に限定されるものではなく、角筒状であってもよい。
【0026】
蓋部材13は、高さが低い逆有底円筒状に形成されている。蓋部材13は合成樹脂で形成されており、防水性および遮光性を有する。蓋部材13によって太陽光が射し込むことによって土観測用開口部12から露出した部分の土が乾燥することを防止して、本来その深さに位置する土と同じ状態を保持するようにしている。
蓋部材13の内径は本体部10の外径とほぼ同じであり、密着して被せられるよう形成されている。
そして蓋部材13は、連結片14によって本体部10に開閉可能に取り付けられている。
【0027】
連結片14は、柔軟性または可曲性を有する合成樹脂で形成されている。
連結片14の一端側は蓋部材13の高さ方向中央近傍に、他端側は本体部10のフランジ体に接着されている。
なお、本実施の形態では、連結片14は柔軟性または可曲性を有する合成樹脂素材で形成されているが、これに限定するものではなく、例えば、蝶番、チェーン、ゴムまたは合成樹脂製の紐等によって本体部10と蓋部材13を取り付けてもよい。
また、本実施の形態では、蓋部材13は、連結片14によって本体部10に取り付けられているが、これに限定するものではなく、例えば、蓋部材13は本体部10と分離可能であってもよい。この場合、蓋部材13および本体部10に係る観測用開口部11近傍を螺合可能に形成してもよいし、嵌合させることによって取り付ける構造に形成してもよい。
【0028】
把手部材15は、本体部10とは別部品である板状の合成樹脂で形成されており、一方側が円弧形状に形成され、他方側が四角形状に形成されている。
円弧形状部分は、周縁部を残して中央部に取付孔152が形成され、取付孔152の大きさは本体部10の外径とほぼ同じであり、本体部10に密着して取り付けられるように形成されている。
四角形状部分は、周縁部を残して中央部に略四角形の差入口151が形成されている。
把手部材15は、取付孔152を本体部10に嵌め入れた後、本体部10外周部の観測用開口部11縁部よりやや下方に位置させ、接着されている。
【0029】
図2を参照する。土中観測器具2は、本体部20、蓋部材23、把手25、操作棒223から構成されている。
本体部20は、透明なアクリル板を四角筒状に形成し、上部及び底部は、開口部を有している。
上部の開口部は正方形に形成されており、観測用開口部21として使用される。
底部の開口部は正方形に形成されており、土を観測するための土観測用開口部22として使用される。
【0030】
本体部20の高さは、観測対象植物の性質に合わせて必要な高さに形成される。根を浅く張る植物であれば、埋設する部分である本体部20の高さは20cm程度で足りるし、根を深く張る植物であれば、埋設する部分である本体部20の高さは1m位必要となる。
【0031】
上部開口部21は、一辺が15cm以上であることが望ましい。
本体部20の埋設部分が浅い場合は、観測用開口部21から直接覗き込み、また、土観測用開口部22から土に直接手を触れて土の状態を触診するため、観測者の手が入る程度(例えば一辺が15cm程度以上)に開口していることが望ましい。
また、本体部20の埋設部分が深い場合は、開口部の一辺が35cm以上であることが望ましい。観測用開口部21に上半身、特に懐中電灯等を持った手と顔を入れて覗き込める程度(おおむね一辺が35cm以上)に開口していることが望ましい。
なお、本実施の形態の本体部の形状は四角筒状であるが、前述したようにその形状は特に限定されるものではなく、円筒状、多角筒状であってもよい。
【0032】
土観測用開口部22には、土観測用開口部22とほぼ同一の形状及び大きさの底部蓋部材221が、底部蓋部材軸着部225によって土観測用開口部22縁部の一辺に取着されて回動可能に設けられている。
底部蓋部材軸着部225に正対した底部蓋部材221の縁部中央近傍には、操作棒取着部222が設けられている。操作棒取着部222は、半円の板状体が2枚所要の間隔を開けた形状に形成されている。そして底部蓋部材221には、操作棒223が取着している。
操作棒223の下部側端部は、操作棒取着部222に回動可能に取り付けられている。
操作棒223の上部側端部には、鉤手部224がL字状に形成されている。
なお、本実施の形態では操作棒223を使用しているが、当該手段に限定するものではなく、例えば、金属チェーン、合成樹脂樹脂製の紐、ワイヤ等の索条体であってもよい。
【0033】
蓋部材23は、高さが低い逆有底四角筒状に形成されている。蓋部材23は第1の実施の形態の場合と同様に、防水性および遮光性を有する合成樹脂で形成されている。
蓋部材23の内側周縁部は、観測用開口部21および軸受部24の外側周縁部の大きさとほぼ同じであり、密着して被せられるように形成されている。
蓋部材23は、軸受部24の部分で本体部20に開閉可能に取り付けられている。
軸受部24は側面視で半円形状に形成されており、本体部20の長手方向とほぼ同じ長さに形成されている。
軸受部24は横方向に貫通した軸受孔が形成されており、蓋部材23の、軸受部24に形成された軸受孔に対応する位置には、軸受孔が形成されている。
蓋部材23および軸受部24に形成された軸受孔に取付軸241が挿通され、蓋部材23は回動可能に取り付けられている。
なお、本実施の形態に係る蓋部材の取付方法は、第1の実施の形態の場合と同様に、これに限定するものではない。
【0034】
把手25は、観測用開口部21縁部近傍に回動可能に設けられている。
把手25は、ステンレススチール製の棒状体をコの字状に形成したものであり、両端部は外側に向けてL字状に曲げられている。
把手25を取着するための取着孔251、252は、本体部20の両側部であって、観測用開口部21縁部よりやや下方に、貫通して形成されている。
把手部材25のL字状に曲げられた両端部分を、取着孔251、252に挿入することにより、回動可能に取着される。
【0035】
(作 用)
図3は第三の実施の形態にかかる土中観測器具を使用した状態を示す説明図、
図4は第二の実施の形態にかかる土中観測器具を使用した状態を示す説明図である。
図3ないし図4を参照して、本実施の形態で示す土中観測器具の作用を説明する。
【0036】
図3を参照する。図3は、土中観測器具3を畑の畝間に埋設した状態を示しており、農作物はイチゴの株4である。
図3に示す土中観測器具3は、図1に示す土中観測器具と本体部及び把手の部分を除きほぼ同様の構造に形成されたものである。
なお、イチゴの根41は浅く根を張るため、観測に使用する土中観測器具3にかかる本体部分30の高さは30cm程度に形成されている。また、観測用開口部31の内径は15cmに形成されている。
また、本実施の形態のように浅く埋設する場合は土圧があまりかからず、撤去の際引き抜くのに力があまり必要でないため、把手部材35は把手を有さない簡易なフランジ体に形成されている。
【0037】
農業において、農作物の作付け前には、まず定植前に畑を耕し、その際に畝および畝間を形成する。土中観測器具3は、畝および畝間を形成する際に、畝間の所要の場所に所要の深さに穴を掘り、その穴に埋設する。
詳しくは、土中観測器具3を、イチゴの株4と30cm程の間隔を開けて、畝間に垂直に埋設する。
なお、図3では、土中観測器具3を垂直に埋設しているが、植物の根の形状や埋設場所が限定される場合等は、斜めに埋設してもよい。
【0038】
なお、埋設場所及び埋設間隔は、任意の位置、距離であって観測対象物であるイチゴの株4周囲であれば、特に制限はない。但し、イチゴ苗の極端な近傍は根の成長を阻害するおそれがあるため、また、極端な遠方は根の観測が不可能なため、好ましくない。観測対象植物が根を張る平均的な範囲を鑑みて、埋設場所を検討するのが好ましい。
なお、イチゴの場合は、苗の中心部から20〜50cm程離れた畝間等の場所に埋設するのが好ましい。
埋設数は、図3では一ヶ所であるが、任意で選んだ二以上の多数箇所に埋設してもよい。
【0039】
観測の方法は以下の通りである。
普段は蓋部材33は閉めておく。イチゴの株4に給水する際に、観測用開口部31から水が入らないようにするためである。また、土観測用開口部32により露出している部分の土が乾燥しないようにするためでもある。
イチゴの根41を観測するときには、蓋部材33を開けて観測用開口部31から覗き、本体部30の内面に表れている根を観測する。
また、土中の水分含有量を観測する際は、観測用開口部31から目視により、あるいは、手を差し入れて土観測用開口部32から直接土を触り、または土を掬い出して、観測する。
【0040】
また、施肥を行う際にも、表土と土内部では養分含有量が異なる場合も考えられ、観測器具3の土観測用開口部32の位置の土の養分含有量を採取して分析することにより、適切な量の施肥を行うことができる。
観測終了後は、再度蓋部材33を閉める。
【0041】
図4を参照する。図4は、土中観測器具2を畑の畝間に埋設した状態を示しており、農作物はトマトの苗木5である。
図4で示す本実施の形態で使用する器具は、土中観測器具2である。
なお、トマトの根51は深く根を張るため、本実施の形態において使用する土中観測器具2は、本体部分20の高さが1m程度に形成されている。また、観測用開口部21は一辺が35cmの正方形に形成されている。上記数値は、観測者の体格等を勘案して、好適な大きさに変更することもできる。
【0042】
図3の場合と同様に、形成した畝および畝間に、土中観測器具2をトマトの苗木5と適当な間隔を開けて埋設する。
なお、埋設場所及び埋設間隔は、図3に係るイチゴの場合と同様に特に制限はないが、トマトが根を張る平均的な範囲を鑑みて、苗木の茎のあたりから40〜80cm程離れた畝間等の場所に埋設するのが好ましい。
埋設数は、図4では二ヶ所であるが、任意で選んだ一あるいは三以上の多数箇所に埋設しても良い。
【0043】
観測の方法は以下の通りである。
普段は蓋部材23は閉めておき、トマトの根51を観測するときには、蓋部材23を開けて観測用開口部21から覗き、本体部20の内面に表れている根を観測する。
トマトの根51は、深さ方向に成長していくため、観測用開口部21から自然光が届かず奥部が見にくい場合は、懐中電灯等で照らしながら、覗き込んで観測してもよい。
【0044】
なお、土中観測器具2の底部には、底部蓋部材221が設けられているため、これを開けて土を観測する。
この際、操作棒223を上部に引っ張ると、底部蓋部材221が開口する。開口後は、操作棒223上部に設けられた鉤手部224を、蓋部材23の縁部に引っ掛ける(これらの点は、図4の左側に位置する土中観測器具2を参照のこと)。
これにより、土観測用開口部22部分で露出した土の観測及び採取を行いやすくなる。
【0045】
土の水分含有量は表土を観測するだけでは必ずしも正しく判断できない。表土のみ濡れて、根の末端が位置する深さまで給水した水が到達していない場合が考えられるからである。
本願発明にかかる土中観測器具を使用すれば、一定の位置にかかる土の水分含有量が観測できるのみでなく、その中間位置の水分含有量もおおよそ予測可能である。
例えば、観測用開口部21近傍の表土(図4左端のA部分)にかかる水分含有量を10とし、土観測用開口部22の位置の土(図4左端のF部分)にかかる水分含有量を5だとする。その中間位置の土(図4左端のB、C、DあるいはE部分)の水分含有量はおおむね5以上10以下であると考えられる。
また、表土が乾燥していても、本体部20の内面に表れている土を観測したり、土観測用開口部22から土に直接手を触れて土の状態を触診することで得られた水分含有量の情報から、中間位置の土(図4左端のB、C、DあるいはE部分)の水分含有量が推測される。
【0046】
また、施肥を行う際にも、表土と土内部では養分含有量が異なる場合も考えられ、観測器具の土観測用開口部の位置の土の養分含有量を採取して分析することにより、適切な量の施肥を行うことができる。
上記の方法により水分含有量の数値を予測することで、適度な灌水を行うことができる。また、施肥においても同様である。
【0047】
観測終了後は、蓋部材23の縁部に引っ掛けた鉤手部224を外して底部蓋部材221を閉め、蓋部材23を閉める。
【0048】
本実施の形態では、根の観測は直接目視で行うが、これに限定するものではなく、他の手段、例えば、手鏡、鏡体を取着した棒状体等で間接的に目視してもよい。また、フィルムを使用したカメラまたはビデオ、デジタルカメラ、デジタルビデオ等の情報記録装置を使用して観測してもよい。
特に、デジタルカメラ等により記録した根の画像をパソコン内に保存・編集した場合、生育状況等のデータを分析するのに便利である。
【0049】
本明細書で使用している用語と表現は、あくまでも説明上のものであって、なんら限定的なものではなく、本明細書に記述された特徴およびその一部と等価の用語や表現を除外する意図はない。また、本発明の技術思想の範囲内で、種々の変形態様が可能であるということは言うまでもない。
【0050】
【発明の効果】
本発明は上記構成を備え、次の効果を有する。
(1)土中観測器具は、畝および畝間を形成する際に埋設される。具体的には畝の間に植物の生長を阻害しないように植物から一定の間隔を開けて所要の深さに穴を掘り、その穴に土中観測器具を埋設する。その後畝に植物を植える。植物は根を張りながら生育するが、根が土中観測器具に到達しても、土中観測器具をよけながら生育する。従って土中観測器具を事後的に埋設する場合と異なり、植物の根を痛めることがなく、または、痛めにくく、必要なときはいつでも観測できる。
(2)土中観測器具の底部に開口部を有し、好ましくは開閉手段を有する開口部を有しているものにあっては、底部の開口部に表れた土を見ることによって、土中の含有水分量を判断することができる。また、直接手で触れて判断することもできる。更にまた、底部の開口部に表れた土を取り出すか或いはそのままの状態で成分分析をすることもできる。
(3)土中観測器具において、上部の開口部を開閉する手段である蓋部材を備えているものにあっては、器具底部で露出した土が乾燥するのを防止できる。また、底部の開口部を開閉する手段である底部蓋部材を備えると、より充分に土の乾燥防止を図ることができ、植物に乾燥による影響を与えるのを防止することができる。
(4)また、収穫が終わって圃場を整備するときには、作業の邪魔になるために土中観測器具を取り除く必要がある。この場合に、土中観測器具において、埋設した場所から取り出す為の手段を備えているものにあっては、土を掘り起こす手間を掛けずに埋設した場所から容易に取り出すことができる。
(5)本発明に係る土中観測器具は、簡易な構造のため、コストが安い。また、器具埋設のための施工が容易であり、農作業従事者への負担が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる土中観測器具の、第一の実施の形態を示す斜視図。
【図2】本発明にかかる土中観測器具の、第二の実施の形態であって、その一部を切り欠いた斜視説明図。
【図3】第三の実施の形態にかかる土中観測器具を使用した状態を示す説明図。
【図4】第二の実施の形態にかかる土中観測器具を使用した状態を示す説明図。
【符号の説明】
1 土中観測器具
10 本体部
11 観測用開口部
12 土観測用開口部
13 蓋部材
14 連結片
15 把手部材
151 差入口
2 土中観測器具
20 本体部
21 観測用開口部
22 土観測用開口部
221 底部蓋部材
222 操作棒取着部
223 操作棒
224 鉤手部
225 底部蓋部材軸着部
23 蓋部材
24 軸受部
241 取付軸
25 把手
251 取着孔
252 取着孔
3 土中観測器具
30 本体部
31 観測用開口部
32 土観測用開口部
33 蓋部材
34 連結片
35 把手部材
4 イチゴの株
41 イチゴの根部分
5 トマトの苗木
51 トマトの根部分
【出願人】 【識別番号】397052789
【氏名又は名称】古賀 潤
【出願日】 平成15年4月1日(2003.4.1)
【代理人】 【識別番号】100085327
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 克彦

【公開番号】 特開2004−305003(P2004−305003A)
【公開日】 平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願番号】 特願2003−98577(P2003−98577)