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【発明の名称】 植生基材ネットと該ネットを用いた壁面緑化構造
【発明者】 【氏名】安達 譲治
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号 株式会社ヌルハウス内
【氏名】吉井 康雄
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号 株式会社ヌルハウス内
【氏名】岡田 一弥
【住所又は居所】東京都目黒区自由が丘1丁目8番9号 岡田ビル404号 セダム株式会社内
【課題】植栽物を持する植性ネットを用意し、該ネットより栄養分の供給と降雨時の雨水による潅水を可能とした、植性基材ネットと該ネットを用いた壁面緑化構造を提供をする。

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面やまたは傾斜面に行う壁面緑化での植栽物を支持するために使用される植生ネットであって、
該ネットが繊維の束を撚り合せてなる撚糸から構成され、該撚糸に肥料を含着させたことを特徴とする植生基材ネット。
【請求項2】
前記ネットを形成する前記撚糸が水含浸性を有する素材より構成され、
前記肥料の含浸処理によって前記撚糸に前記肥料を含着させたことを特徴とする請求項1記載の植生基材ネット。
【請求項3】
前記ネットを形成する前記撚糸の表面に肥料を付着させたことを特徴とする請求項1記載の植生基材ネット。
【請求項4】
前記ネットに含着させる前記肥料は、遅効性肥料や緩効性肥料や即効性肥料の複合肥料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の植生基材ネット。
【請求項5】
建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面または傾斜面を植栽物で覆う壁面緑化のための緑化構造であって、
繊維の束を撚り合せてなる撚糸から構成され、該撚糸に肥料を含着させた植生基材ネットと、
該植生基材ネットを壁面の全域にわたり、壁面より適当間隔を開けて展張させる壁面より突出した腕部材に支持され等間隔に設けられた水平フレーム群よりなる横桟状多段枠と、
前記ネットより含着肥料の供給を受け緑化面を形成する植栽物と、
からなるなることを特徴とする壁面緑化構造。
【請求項6】
前記ネットより含着肥料の供給を受ける植栽物は、該ネットより含着肥料を付着根により吸収することができるネット伸長植物からなることを特徴とする請求項5記載の壁面緑化構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面または傾斜面に行う壁面緑化に使用する植生基材ネットと該ネットを使用した壁面緑化構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
都市建築の高層化に伴い、その外壁面、屋上、屋根等の壁面緑化と、それに伴う美観の向上が要求されている。またこれらの緑化は、ヒートアイランド現象の緩和防止、大気汚染防止、住宅の遮熱・断熱による室内冷房の省エネルギー化、に多大大気汚染防止等の多大な効果をもたらすことからも、前記緑化に使用する植栽基盤、植生ネット、緑化方法に対する幾多の開発努力がされている。
【0003】
上記建物の鉛直面の壁面緑化に対する植生ネットの使用例は無く、人工傾斜地形に行う法面緑化に使用する植生ネットについては従来より種々の提案がある。
例えば、図5に示す植生ネットに係わる提案がある。(技術文献1参照。)
上記提案は、異種の植生を共存させるためになされたものである。
従来より法面の侵食防止を目的とした法面の緑化工事がなされ、該緑化には比較的土壌保全力が強く、また、播種時期を選ばないこと、しかも生育速度が速いなどの観点より使用される植栽物は牧草が採用されることが多いが、景観の面からは、牧草類と併せて草花類、木本類等が導入される傾向にある。ところで、草花、木本類と牧草とは生理・生態的性質が異なり施工時期によっては、いずれか一方の種が被圧されてしまう。例えば牧草の生育の旺盛な春・秋に施工を行なった場合には牧草種が草花・木本類を被圧し、逆に夏季のように草花・木本類の生育の旺盛な時期には前記牧草類が被圧される。
【0004】
本提案は上記問題点の解決のためになされたもので、図3(A)(B)に示すようにネット31に対して、牧草種を封入した牧草種植生基材33と、これと競り合う競合種植生基材32を棲み分け可能な適切な間隔をおいて幅方向に沿って配置する。これによって両植生基材32、33によってもたらされる植生の間には裸地35が介在され、結果として異なる植生32a、33aが人為的に区画された状態で成立する。この場合、両植生基材32、33の間には、雑草の侵入を防止する除草剤を封入した抑制基材37や肥料袋36の配設も考えられている。上記本提案は、異種植栽物を法面上に適切な間隔の元に植栽し共存させるため、異種の植生基材32、33をネットの上下の縦目1b、1bとの間に挟み、且つ図3(B)に見るように横目31aと縦目31bとによる角目のネット31を形成している。
【0005】
また、下記に記載する別の提案がある。該提案は、例えば図4に示す(技術文献2参照。)ように、網状の緑化用植生基体61に植生種子、肥料、保水剤、土壌改良剤の一種以上を収容した植生基材63を縦方向(法面の傾斜方向)に所定間隔を置いて係止する構成とし、前記緑化用植生基体61の網状体を防腐処理された腐食性素材で構成し、植生種子が繁茂して法面の緑化保護が達成された土と同質化させ、植生物の発育性や根付き性を良化させている。
【0006】
また、上記提案とは異なるネットの組成を持つ提案がある、例えば(技術文献3参照。)図5に示すように、上面ネット71と下面ネット72の間に、肥料を混入した肥料帯73、73、73をサンドイッチ状態とし、下面ネット72のの底面に種子75を貼着した種子板74をを一体化させて植生ネット76を構成する。
上記構成のもとに前記一体化させたものを法面に張設し、種子75が法面上で発芽し、肥料帯73からの肥料の供給を受け、法面上に植物が育成され、緑化される。
ところで、本提案においては、前記植生ネットを生分解性樹脂で構成し、自然環境下で残留することの無い自然に優しい植生ネットを提供している。
【0007】
また、壁面緑化におけるネットに係わる提案としては、植生ネットとしての使用例は無く、植栽物を壁面全域に誘導する格子状立面体に係わる提案がなされている。該提案は例えば(技術文献4参照。)図6に示すように、建物81の壁面82から、壁面を覆うことによる室内冷房の省エネルギー化を発揮し得る範囲内で、かつ、手入れ用空間を得るのに必要な一定の距離Dだけ離して、格子状の立面体83を立設し、これに蔓植物84を絡まり登らせて壁面を覆うようにしたものである。
また、誘導ネットの提案がある。該提案は、蔦性植物を、水、養分を供給する潅水管を有する緑化基盤材に植え込んでビニールハウス内で育成し、蔦性植物がが十分に生育した後、前記緑化基盤材を植物ユニットとして建物壁面に取り付け、前記植物ユニットの潅水管に水分、養分を供給する供給管を配設するとともに、蔦性植物の前記壁面全域に誘導する誘導ネットを設ける構成としたものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平07−026562号公報
【特許文献2】
特開平05−148848号公報
【特許文献3】
特開平10−266216号公報
【特許文献4】
特開平09−144129号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の特許文献1、2、3は法面緑化に使用する植性ネットに係わるもので、特許文献1は、法面の侵食防止を目的とするとともに、美観保持の意味から法面緑化に最適の牧草の一種に限定することなく、草花類、木本類の異種植生の共存を可能とする植性ネットを用意したもので、植栽に必要な培土は法面の土壌を使用するとともに、前記ネットに対し、それぞれ異種の植栽物に対しその植生を可能とする植生基材、肥料袋、成長抑制基材、を設ける構成を特徴としたもので、少なくとも植生に必要な培土、潅水以外の種子を含む植生基材袋、肥料袋の付設を必要としたものである。
また、特許文献2は、植栽物の植生に必要な土壌、潅水以外の植生種子、肥料、保水材、土壌改良の一種以上を収容した植生基材袋を用意するとともに、該植生基材を支持する網状植性ネットを腐食性素材により編織して、長年月の後には風雨による風化により土と同質とする特徴としたものである。
また、特許文献3は、上面ネットと71と下面ネット72の間に、肥料を混入した肥料帯73、73、73をサンドイッチ状態とし、下面ネット72の底面に種子75を貼着した種子板74をを一体化させて植生ネット76を構成するとともに、前記上下のネットを形成する素材を生分解性樹脂から構成し、自然環境下で分解され残留を許さない自然に優しい植生ネットの提供を特徴としたものである。
上記従来技術における植生ネット自体については、緑化植生に必要な種子は別として肥料供給及び水の補給に関する自己管理可能の機能は見受けられない。
【0010】
また、前記文献4記載の従来技術は壁面の緑化技術に係わるもので、該技術においては、植栽植物には付着面の凹部に侵入する付着根、付着盤を持つ蔓植物84を使用し、該植栽植物の登坂に必要な建物81の壁面82より適当間隔Dを置いて設けられた格子状立面体83を介して壁面緑化を行う構成を特徴としたものである。しかし、この場合においても、植栽に必要な肥料の供給と潅水の問題は壁面下部のプランタン82により行う構成にしてある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、建造物の壁面を緑化する場合、蔓性植物等、壁面を這って生育する植物を建造物の頂部や壁面の下部に植栽し、これを育成する緑化方法と、それ以外の建物壁面緑化方法として、予め緑化植物を別途植栽した緑化基盤材を壁面に取り付ける方法がある。
前記蔓性植物等の緑化植栽物を建物の頂部や壁面の下部に植栽する壁面緑化方法は、緑化の達成に要する期間が植栽物の成長に左右されるため、緑化達成に長期間を要する問題点がありる。なおこの場合の施肥と潅水は建屋の頂部と基部に設けられた植栽基盤(プランタン)により行なわれる。
また、予め緑化植栽物を植栽した基盤材を壁面に取り付ける方法では、緑化後の緑化植物への潅水や施肥に高所作業を要するなど、緑化植物の維持管理に多大な労力と経費を要する問題点がある。
【0012】
則ち、上記従来の方法、工法により植栽物を植栽した場合、該植栽物に供給される水分、栄養分は自然降雨による程度で育成に十分とは言えず、成長の遅れや或いは枯死も止むを得ない状況に置かれる。そのため人為的に前記水分、栄養分の補給手段を必要としていた。
【0013】
本願発明は、上記壁面緑化における問題点に鑑みなされたもので、植栽物を支持する植性ネットを用意し、該ネットより栄養分の供給と降雨時の雨水による潅水を可能とした、植性基材ネットと該ネットを用いた壁面緑化構造の提供を目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明の植性基材ネットは、
建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面または傾斜面での植栽物を支持するために使用される植性ネットであって、
該ネットが繊維の束を撚り合せてなる撚糸から構成され、該撚糸に肥料を含着させたことを特徴とする。
【0015】
上記本発明の植栽基材ネットは、
建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面や傾斜面に行う壁面緑化における緑化植物である植栽物を支持する植生ネットに係わるもので、本発明は前記植栽物の狭義の意味での支持のみに限定されることなく、植栽物の植生に必要な物質の入った肥料を含浸させ又は付着させる(以下、含着という)処理をして、含着した肥料をネットより供給出来るようにしたものである。
ところで、壁面緑化法には、下記方法がある。
a、ネット伸長植物の壁面を這って生育する性質を持つ植物を建造物の天端や外壁下部に植栽し、この緑化植物を生育させ、壁面の全域に誘導緑化する方法と、
b、予め緑化植物を別途植栽した緑化基盤材を壁面に配設取り付ける方法、
上記a項の、ネット伸長植物等の植栽物に対しては、特に付着根植物には有効で、また、外壁下部の植栽基盤に対しては降雨時、ネットの含着肥料が降雨により適宜溶かされ、下部に滴り落ち追肥の効果を持つ。
また、上記b項の緑化基盤材を使用する緑化方法においても、該基盤表面を適当メッシュの本願ネットを使用して覆えば、前記同様、降雨時には追肥の効果を持ち、維持管理費の削減に貢献する。
【0016】
なお、本発明の植生基材ネットは、上記壁面緑化に限定されることなく法面緑化にも有効である。
また前記植生基材ネットの形状は、格子状はもちろんのこと、これに限らず蜘蛛の巣状(放射状に配置した糸の間に、該糸を横切るように他の糸を張り巡らせたもの)や蜂の巣状(六角形状)などであっても良い。
【0017】
また、前記本発明の植性基材ネットにおける、
前記ネットを形成する前記撚糸は、水含浸性を有する素材より構成され、
前記肥料の含浸処理によって前記撚糸に前記肥料を含着させてなる構成が好ましい。
【0018】
また、前記本発明の植性基材ネットにおける、
前記ネットを形成する前記撚糸の表面に肥料を練り付け、練り込み、塗布、吹き付けなどにより付着させる構成が好ましい。
【0019】
また、前記本発明の植性基材ネットにおいて含着させる肥料は、遅効性肥料や緩効性肥料や即効性肥料の複合肥料である構成が好ましい。
【0020】
上記発明は、本発明の植栽物基材ネットに含着させる肥料の構成について記載したものである。ここで遅効性肥料とは、主に水に難溶性または非水溶性の肥料であり、即効性肥料とは、水(少量の酸を加えた水を含む)によく溶ける肥料である。肥料含浸処理には有機、無機の肥料を使用する。ここで、無機物は石灰、燐酸以外は比較的容易に水に溶け、給水を介しての給肥が可能であり肥料として一般的に即効性があるが、有機物はそのままでは吸収されず、一旦無機物に分解されて後給肥されることから、肥料としては一般的に遅効性である。
上記効果を応用して有機肥料と無機肥料を複合して肥効の時間調節をする。この際、好ましくは水溶性肥料を前記撚糸に含浸させ、非水溶性または難溶性の肥料を撚糸の表面に付着させることにより、水溶性肥料の降雨などによる流出を防ぎながら肥効の時間調整が可能となる。
また、ネット伸長植物による壁面緑化の場合は枝、葉の育成に効果のある窒素、マグネシウムを多く配合した肥料の含着使用により、壁面緑化の時間的問題を解決する。
【0021】
そして、本発明の植栽基材ネットを使用した壁面植栽構造は、
建物の屋根、壁面、フェンス、門、又は扉等の鉛直面または傾斜面を植栽物で覆う壁面緑化のための緑化構造であって、
繊維の束を撚り合せてなる撚糸から構成され、該撚糸に肥料を含着させた植生基材ネットと、
該植生基材ネットを壁面の全域にわたり、壁面より適当間隔を開けて展張させる壁面より突出した腕部材に支持され等間隔に設けられた複数の水平フレームよりなる横桟状の多段取り付け枠と、
前記ネットより含着肥料の供給を受けて緑化面を形成する植栽物と、からなるなることを特徴とする。
【0022】
則ち、壁面の左右両側より複数の腕部材を壁面に直角に突出させ、該腕部材を介して壁面より適当間隔を開けて等間隔に設けた複数の水平フレームよりなる横桟状多段取り付け枠を設け、
該横桟状の多段取り付け枠に取り付けられ、前記壁面の全域を展張する植生基材ネットを設け、該ネットに沿い展開する植栽物を設け前記ネットより含着肥料の供給を受け壁面緑化を形成する。
【0023】
また、上記壁面構造体における、
前記ネットより含着肥料の供給を受ける植栽物は、該ネットより含着肥料を付着根により吸収するネット伸長植物である構成が好ましい。
【0024】
すなわち、本発明に用いられる植物は、通常壁面緑化に用いられる蔓性植物はもちろんのこと、これに限らず、蔓状のバラ、蔓状のブドウ、キウイなど、ネットに絡みつくことができる植物(本発明においては、これをネット伸長植物という)に適用できるが、より好ましくは付着根を有するネット伸長植物がよい。付着根を介して含着肥料の供給を追肥状に受け、生育状態を維持して壁面緑化を迅速に形成するからである。
【0025】
なお、上記壁面緑化構造体における、
前記ネットより含着肥料の供給を受ける植栽物は、前記ネット伸長植物にのみ限定されるものでなく、前記横桟状多段枠に格納固定された複数の植生マットに植栽された植栽物でも対応できる。
【0026】
則ち、前記横桟状の多段取り付け枠群の枠間に格納可能の植生マットを用意し、該マットに例えば外気温度や水分の環境変化に対し高い耐久性を持つ苔類等を使用し、適当の保水性を持つ植生マットを使用すると良い。
そして、この場合は格納した植生マットの育成土壌の表面間近に本発明の肥料を含着させた植生基材ネットを展張し、降雨時には雨水により含着肥料を溶かし、肥料を雨水とともにマット内に流れ込むようにして追肥と潅水効果を上げるようにして、壁面緑化を形成しても良い。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明の植生基材ネットを使用した壁面緑化構造の概略を示す図で、図2は図1に使用する植生基材ネットの経線、緯線を形成する撚糸への肥料含着の状況を示す図である。
【0028】
図1に示すように本発明の壁面緑化構造は、建造物50の鉛直面を形成する壁面50aに設けた横桟状多段枠20と植生基材ネット11とネット伸長植物10とより構成する。
前記横桟状多段枠20は、壁面50aに垂直に突出させ先端が壁面より所定間隔Dを開け、且つ高さ方向に等間隔に壁面の左右鉛直稜線に沿い設けた複数の腕部材13、13、…と、左右の腕部材の先端に設けた水平フレーム14、14、…とより構成する。
なお、上記壁面よりの所定間隔Dにより、緑化面が形成された壁面への植栽物の気根や吸着によるコンクリート壁面の損傷を防止している。また、植栽物の手入れを十分行うことができるようにしてある。
【0029】
そして、前記植生基材ネット11は、前記横桟状多段枠20の最上段水平フレームより最下端水平フレームに掛け展張され、菱目状に取り付けられたラッセル織りネットで構成する。
上記植生基材ネット11を形成する経線15a、緯線15bを形成する撚糸15は、図2に見るように、ビニロンを素材とする繊維16aよりなる繊維束16を撚り合せ撚糸15を形成するとともに、前記繊維束16に肥料の含浸を行い、前記撚糸15の撚り面の凹凸面に肥料の練り付けなどによる付着処理を行い、肥料の含着をした撚糸15を得て、前記植生基材ネットを構成する。ここで、16bは含浸処理によって撚糸に含着された肥料、15cは撚糸に付着された肥料である。
【0030】
上記植性基材ネット11に含着させる肥料には有機肥料、無機の化学合成肥料を使用する。
無機物は石灰、燐酸以外は比較的容易に水に溶け、潅水を介しての給肥が可能であるが、有機物はそのままでは吸収されないため、一旦無機物に分解されて後給肥される。
上記効果を応用して有機肥料と無機肥料を複合して肥効の時間調節をするようにしてある。則ち、ネット伸長植物による壁面緑化の場合は枝、葉の育成に効果のある窒素、マグネシウムを多く配合した肥料を含着使用し、壁面緑化の時間的問題を解決する。
【0031】
前記ネット伸長植物10は、図1に示すように建物の基部に沿ってプランタン51、51、…を設けるか、または直植して、前記植生基材ネット11上を這い上がらせ、ネット面の全域を覆うように誘導して緑化面を形成する。
上記ネット伸長植物のうち付着根の多いもの(例えばオオイタビ、イワガラミ、サネカヅラ、テイカカヅラ、キヅタヘデラ、ヘリックスヘデラ、カナリエンシス、アケビ、ツルアジサイ、ナツヅタ、ノウセンカヅラ等)を使用の場合は、図に示すように付着根10aがネットの経線15aか緯線15bの中に侵入して撚糸15を形成する繊維束16に絡み付き、含着された肥料を栄養分として雨水等でしみ込まれた水分とともに太い実線矢印Aに示すように追肥として吸収する。なお、降雨時雨水とともに前記撚糸15よりしみ出た含着肥料は実践矢印Bに示すように当該ネット伸長植物の植生基盤を形成する地面、プランタン51に滴下する。
なお、ネット伸長植物の場合、垂らすように配置する場合は、建物の頂部にプランタン等の植生基盤を設ける。
【0032】
なお上記ネット伸長植物の内、スイカズラ(巻蔓)、イワガラミ(付着根)、ツルアジサイ(付着根)、テリハイバラ(這性)の植物には付着根からの肥料吸収が可能であるため特に効果があるが、その他のネット伸長植物の場合であっても、上記したようにネットに含浸した肥料分が雨水や潅水とともに溶出して土壌にも肥料分が行き渡り根から矢印Cに示す吸収の効果もある。
【0033】
また、壁面緑化に使用する植栽物には、前記ネット伸長植物にのみ限定されるものでなく、前記横桟状多段枠に格納固定された複数の植生マットに植栽された植栽物でも対応できる。
則ち、前記横桟状の多段取り付け枠群の枠間に格納可能の植生マットを用意し、該マットに例えば外気温度や水分の環境変化に対し高い耐久性を持つ苔類等を使用し、適当の保水性を持つ植生マットを使用すると良い。
そして、この場合は格納した植生マットの育成土壌の表面間近に本発明の肥料を含着させた植生基材ネットを展張し、降雨時には雨水により含着肥料を溶かし、肥料を雨水とともにマット内に流れ込むようにして追肥と潅水効果を上げるようにして、壁面緑化を形成しても良い。
【0034】
また本発明にかかる植生基材ネットは既に建築済みの建物に使用されるに限らず、他の実施方法として、この植生基材ネットを工事現場の保護ネットとして利用することもできる。
【0035】
【発明の効果】
本発明は、上記構成により下記効果を奏する。
a、植栽物の植生に必要な肥料を含着させた撚糸よりなる植生基材ネットの使用により付着根を有するネット伸長植物を使用する壁面緑化には、壁面の早期全面被覆を可能とする。
b、肥料を含着させた植生基材ネットの使用により、追肥、潅水等の壁面緑化の維持管理に要する労力や費用の削減を図ることができる。
c、壁面より適当間隔をおいて、緑化面を形成させたたため、壁面への植栽物の気根や吸着によるコンクリート壁面の損傷を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の植生基材ネットを使用した壁面緑化構造の概略図である。
【図2】図1に使用する植生基材ネットのを経線、緯線を形成する撚糸への肥料含着の状況を示す概念図である。
【図3】従来の法面緑化に使用する植栽ネットの別の一例を示す概略構成を示す図で、(A)は法面に沿っての断面図で(B)はネットの正面図である。
【図4】従来の法面緑化に使用する植栽ネットの概略構成図である。
【図5】図4と同じく従来の法面緑化に使用する植栽ネットの別の一例を示す概略構成を示す分解斜視図である。
【図6】従来の壁面緑化方法をの概略図である。
【符号の説明】
10 ネット伸長植物
10a 付着根
11 植生基材ネット
13 腕部材
14 水平フレーム
15 撚糸
15a 経線
15b 緯線
16 繊維束
16 繊維
20 横桟状多段枠
【出願人】 【識別番号】596037208
【氏名又は名称】株式会社ヌルハウス
【住所又は居所】東京都豊島区高田1丁目36番22号
【識別番号】503101253
【氏名又は名称】セダム株式会社
【住所又は居所】東京都目黒区自由が丘1丁目8番9号 岡田ビル404号
【出願日】 平成15年3月20日(2003.3.20)
【代理人】 【識別番号】100083024
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 昌久

【識別番号】100103986
【弁理士】
【氏名又は名称】花田 久丸

【公開番号】 特開2004−283075(P2004−283075A)
【公開日】 平成16年10月14日(2004.10.14)
【出願番号】 特願2003−78969(P2003−78969)