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【発明の名称】 植生マット及びそれを用いる法面の緑化方法
【発明者】 【氏名】森島 広雪
【住所又は居所】愛知県安城市今池町3−1−36 株式会社イノアックコーポレーション安城事業所内

【氏名】尾島 正則
【住所又は居所】岡山県岡山市門田文化町2丁目11番51号 株式会社山都屋内

【要約】 【課題】急勾配の法面における作業者の負担を軽減できる植生マットと法面緑化方法を提供する。

【解決手段】イソシアネート基末端プレポリマーを水と反応させて得られたウレタン発泡体に、有機物質と土壌成分が80:20〜20:80の重量比率で含まれた構成の植生マット10とし、前記植生マット10の裏面11には凹部13を設け、前記植生マット10の表面17には前記凹部13に通じる貫通穴19を設けると共に、前記植生マット10の側面21から前記凹部13及び貫通穴19に通じる切れ込み23を形成して、前記切れ込み23を介して植物の根元部及び茎部を前記凹部13及び貫通穴19に収容可能にした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレタン発泡体に有機物質が分散してなる植生マット。
【請求項2】
前記ウレタン発泡体は、イソシアネート基末端プレポリマーを水と反応させて得られたものであることを特徴とする請求項1に記載の植生マット。
【請求項3】
前記ウレタン発泡体には、有機物質と土壌成分が80:20〜20:80の重量比率で含まれていることを特徴とする請求項1又は2に記載の植生マット。
【請求項4】
前記植生マットの裏面には凹部が設けられ、前記植生マットの表面には前記凹部に通じる貫通穴が形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載の植生マット。
【請求項5】
前記貫通穴の内径が前記凹部の内径よりも小であることを特徴とする請求項4に記載の植生マット。
【請求項6】
前記植生マットには側面から前記凹部及び前記貫通穴に通じる切れ込みが形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の植生マット。
【請求項7】
前記貫通穴は植物の茎部が収容可能とされ、前記凹部は植物の根元部が収容可能とされたことを特徴とする請求項4から6の何れか一項に記載の植生マット。
【請求項8】
前記植生マットの裏面に対し、前記凹部及び前記貫通穴が互いに同一方向へ傾斜していることを特徴とする請求項4から7の何れか一項に記載の植生マット。
【請求項9】
前記植生マットの裏面は法面への載置面とされ、前記凹部及び前記貫通穴は、前記植生マットが法面へ載置された際に前記植生マットの裏面から表面へ上向きとなるように形成されていることを特徴とする請求項8に記載の植生マット。
【請求項10】
前記切れ込みを通って前記貫通穴へ植物の茎部が収容された後及び前記凹部へ植物の根元部が収容された後に、前記切れ込みの形成されている側面に、かすがいが前記切れ込みの先端を跨ぐように打ち込まれて、前記切れ込みの拡開が防止されることを特徴とする請求項6から9の何れか一項に記載の植生マット。
【請求項11】
請求項1から10の何れか一項に記載の植生マットを、前記植生マットの裏面が法面側となるようにし、前記植生マットで植物の根元部が覆われるようにして前記法面に載置し固定することを特徴とする法面の緑化方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、植生マット及びそれを用いる法面の緑化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速道路等の設置工事によって生じる切土の法面(傾斜地)は、法面の乱開発を防止すると共に、用地買収費用の軽減等を目的として急勾配化する傾向にあり、30度以上の傾斜とされることが一般的である。しかし、前記法面を急勾配にした場合、法面が崩落する可能性が高くなる。これを防ぐためにコンクリート等を打ち付け、法面を被覆することが行われている。また、前記法面を緑化することが環境保全、国の緑化政策等から求められており、コンクリートの法枠内に植物(樹木の苗木等)を植生することが行われている。
【0003】
法面の緑化方法として、植物を法面上の植え付け場所まで搬送し、その場所の土を掘り起こして植物を直接植え付けることが考えられる。しかし、植物を法面上の植え付け場所まで搬送し、土を掘り起こして植え付ける作業は、手間が掛かる問題がある。さらに、前記のように急勾配の法面にあっては、作業者は安全のために命綱を付けて植物の搬送及び土掘り作業をしなければならず、負担が多い。又、法面を金網で覆った後に種子(芝、樹木等)を吹き付ける方法もあるが、種子の吹き付けはコストが高く、しかも種子の発芽が不安定であると共に導入植物の選定に制限がある。
【0004】
このような事情から、土壌が詰められ且つ植物の根が貫通可能な植生袋(土嚢)を法面の植物植え付け場所まで搬送し、アンカーピンで固定することが提案されている(例えば特許文献1,2等参照。)。前記植生袋(土嚢)に植えられた植物は成長と共に根が植生袋(土嚢)を破り、法面で根付く。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−38487号公報
【特許文献2】
特開2001−73375号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前記土壌が詰められた植生袋(土嚢)は約20kgの重さがあり、急勾配の法面において命綱を付けて植生袋(土嚢)を運ぶ作業は、相変わらず作業者に対する負担が大きい問題がある。
【0007】
この発明は前記の点に鑑みなされたもので、急勾配の法面における作業者の負担を軽減でき、しかも植物が法面で根付き易い軽量な植生マットと法面緑化方法の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ウレタン発泡体に有機物質が分散してなる植生マットに係る。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1において、前記ウレタン発泡体が、イソシアネート基末端プレポリマーを水と反応させて得られたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、前記ウレタン発泡体には、有機物質と土壌成分が80:20〜20:80の重量比率で含まれていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1から3の何れか一項において、前記植生マットの裏面には凹部が設けられ、前記植生マットの表面には前記凹部に通じる貫通穴が形成されていることを特徴とする。
【0012】
請求項5の発明は、請求項4において、前記貫通穴の内径が前記凹部の内径よりも小であることを特徴とする。
【0013】
請求項6の発明は、請求項4又は5において、前記植生マットには側面から前記凹部及び前記貫通穴に通じる切れ込みが形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7の発明は、請求項4から6の何れか一項において、前記貫通穴が植物の茎部を収容可能とされ、前記凹部が植物の根元部を収容可能とされたことを特徴とする。
【0015】
請求項8の発明は、請求項4から7の何れか一項において、前記植生マットの裏面に対し、前記凹部及び前記貫通穴が互いに同一方向へ傾斜していることを特徴とする。
【0016】
請求項9の発明は、請求項8において、前記植生マットの裏面は法面への載置面とされ、前記凹部及び前記貫通穴は、前記植生マットが法面へ載置された際に前記植生マットの裏面から表面へ向かう上向きとなるように形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項10の発明は、請求項6から9の何れか一項において、前記切れ込みを通って前記貫通穴へ植物の茎部が収容された後及び前記凹部へ植物の根元部が収容された後に、前記切れ込みの形成されている側面に、かすがいが前記切れ込みの先端を跨ぐように打ち込まれて、前記切れ込みの拡開が防止されることを特徴とする。
【0018】
請求項11の発明は、請求項1から10の何れか一項に記載の植生マットを、前記植生マットの裏面が法面側となるようにし、前記植生マットで植物の根元部が覆われるようにして前記法面に載置し固定することを特徴とする法面の緑化方法に係る。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明に係る一実施形態の植生マットの斜視図、図2は図1の2−2切断端面図、図3は図1の3−3切断端面図、図4は図1の植生マットを法面に載置固定した状態の断面図、図5は図4の載置固定状態における植生マットを示す斜視図である。
【0020】
図1から図3に示すこの発明の一実施形態に係る植生マット10は、図4及び図5に示すように高速道路等の設置工事により生じた切土の法面(傾斜地)40を緑化するために、前記法面40に載置固定されるものである。
【0021】
前記植生マット10は、ウレタン発泡体に有機物質が分散してなる所要サイズの平板状からなる。この例では、40cm×40cm×10cmの平面視正方形の板状体からなる。なお、前記植生マット10の裏面11は、前記法面40への載置面とされる。
【0022】
前記ウレタン発泡体は、イソシアネート基末端プレポリマーを水と反応させて得られたもの(いわゆる水ウレタン)からなる。前記組成からなるウレタン発泡体は、軽量であり、しかも保水性が良好であり、降雨等の水分を保持して植物に必要な水分を供給するのに好都合のものである。
【0023】
前記イソシアネート基末端プレポリマーは、有機イソシアネートとポリオールとから、公知のプレポリマー製造方法にしたがって合成されたものである。前記イソシアネート基末端プレポリマーは、公知の市販品を使用するのが簡便である。
【0024】
前記イソシアネート基末端プレポリマーの製造に使用される有機イソシアネートとしては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、脂環族イソシアネート、それらの変性物等を挙げることができる。前記芳香族イソシアネートとしては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、キシレン−1,4−ジイソシアネート、キシレン−1,3−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリフェニレンポリメチレンポリイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,2’−ジフェニルプロパン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、4,4’−ジフェニルプロパンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシジフェニル−4,4’−ジイソシアネート等を挙げることができる。また、前記脂肪族イソシアネートとしては、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族イソシアネートとしては、イソホロンジイソシアネート、水添加トリレンジイソシアネート、水添加キシレンジイソシアネート、水添加ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
前記イソシアネート基末端プレポリマーの製造に使用されるポリオールとしては、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカプロラクトン系、ポリカーボネート系等、公知のものを使用できる。
【0026】
さらに、前記イソシアネート基末端プレポリマーの製造に際して、反応性調整剤や酸化防止剤等の安定剤、添加剤を添加しても差し支えない。また、水との相溶性を改善するために整泡剤が適宜使用されることもある。整泡剤としては通常のウレタンフォームに使われる界面活性剤を使用することができ、特には植生に悪影響を与えないものとし、ノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0027】
また、触媒が使用されることもある。前記触媒としては、ウレタンの発泡・硬化を促進するものであればよく、公知の金属触媒やアミン触媒が使用できる。特にはアミン触媒が好ましい。金属触媒としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、オクトエート鉛等を挙げることができる。アミン触媒としては、エチレンジアミン、トリエチレンジアミン、ピリジン、N−メチルモルフォリン等を挙げることができる。前記水としては、通常の水、純水あるいはイオン交換水が使用される。
【0028】
また、前記ウレタン発泡体を所望の物性とするため、必要に応じて、有機鎖延長剤を添加してもよい。前記有機鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ジエタノールアミン等の脂肪族短鎖ジオール、ハイドロキノンビスヒドロキシエチルエーテル等の芳香族ジオール、4,4’−ジアミノジフェニルメタン等の芳香族ジアミン、ビスフェノールA、ビスフェノールFのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0029】
前記有機物質としては、バーク堆肥、牛堆肥、鶏糞、稲藁、籾殻、雑草を発光・熟成させたもの、木炭、竹炭、木質チップなど、市販の一般に使用されているものを使用できる。また、前記有機物質は、一種類に限られず複数種類を使用してもよい。特にはバーク堆肥と牛堆肥の併用が好ましい。
【0030】
さらに前記ウレタン発泡体には、前記有機物質の他に土壌成分が含まれているのが好ましい。前記土壌成分としては、黒土、赤土等を挙げることができる。前記黒土は、腐植質を含む黒色又は黒褐色の肥沃な土壌であり、それに対して前記赤土は、鉄分を多く含む赤色の粘土質の土壌をいう。特には黒土が好ましい。前記有機物質と土壌成分の重量比率は、植物の生育等の観点から80:20〜20:80、特には50:50が好ましい。さらに、前記植生マット10の形成原料全体を100重量%とした場合、前記植生マット形成原料に含まれる有機物質と土壌成分の合計重量%は、50〜95重量%が好ましい。
【0031】
前記有機物質及び土壌成分が分散したウレタン発泡体は、公知のモールド成形によって製造される。すなわち、前記イソシアネート基末端プレポリマー、整泡剤、触媒、水等と共に、前記有機物質及び土壌成分を混合して混合原料を調製し、その混合原料を所要サイズの成形型内に投入して発泡させ、発泡後脱型する、いわゆるモールド成形により前記ウレタン発泡体が製造される。モールド成形することで、スキン層と言われる表皮層がウレタン発泡体の表面に形成される。そのため、保水した水が蒸発しにくい利点がある。表皮層は、ウレタン樹脂をモールド成形することによって得られるインテグラルフォームのスキン層であってもよいし、熱可塑性フィルムを成形型のキャビティに装着して一体に成形したものでもよい。なお、前記混合原料には固形肥料を所要量混合して、得られるウレタン発泡体に固形肥料39を含むようにしてもよい。また、前記固形肥料39は、ウレタン発泡体の所要位置に小孔を開け、その小孔に埋入してもよい。
【0032】
また、前記植生マット10の裏面11には、ほぼ中央部に凹部13が形成されている。この凹部13は、図4に示すように、植物Pの根元部P1を収容するためのもので、この例では前記植生マット10の表面17へ向けて形成された筒状からなる。前記凹部13のサイズは、適宜とされる。例えば、内径d1を7〜10cm、深さLを7〜10cmにする等である。
【0033】
前記植生マット10の表面17には、前記凹部13に通じる貫通穴19が形成されている。この貫通穴19は、図4に示すように、植物Pの茎部P2を挿通して収容するためのものである。前記貫通穴19は、適宜のサイズとされるが、図3に示すように、前記凹部13の内径d1よりも前記貫通穴19の内径d2を小にして、前記凹部13から植物Pの根元部P1が植生マット10の表面17側へ抜けないようにし、かつ根元部P1から水分の蒸発を防ぐのが好ましい。前記貫通穴19の内径d2の例として2〜4cm程度を挙げる。
【0034】
前記凹部13及び貫通穴19は、前記植生マット10の裏面11に対して互いに同一方向へ傾斜して設けられる。前記凹部13及び貫通穴19の傾斜は、図4に示すように、前記植生マット10の裏面11が傾斜法面40に載置固定された際に、前記凹部13及び前記貫通穴19が前記裏面11から表面17へ向けて上向きUとなるように形成される。このように前記凹部13及び前記貫通穴19を上向きUとなるように形成しておけば、前記凹部13及び前記貫通穴19に根元部P1及び茎部P2の収容された植物Pは、上向きで法面40に保持されることになり、植物Pの素直な成長に好ましいのみならず、植物Pの傾きによって植生マット10が持ち上げられて法面40との間に隙間を生じるのを防ぐことができ、植物Pを法面40に根付き易くできる。
【0035】
この実施例では、前記凹部13及び前記貫通穴19は、中心軸線Cを一致させて形成されている。前記凹部13及び前記貫通穴19の傾斜角度aは、前記植生マット10が載置される法面40の傾斜角度bに応じて設定されるのが最も好ましいが、一般的には30〜55度の範囲に設定すれば、一般的な法面40に前記植生マット10を載置した場合に、前記凹部13及び前記貫通穴19が垂直に近づいた上向きになり易く、前記植生マット10の汎用性が高まる。
【0036】
また、前記植生マット10には、一の側面21から前記凹部13及び前記貫通穴19に通じる切れ込み(スリット)23が形成されている。前記切れ込み23は、前記植生マット10の裏面11から表面17まで形成されて前記側面21で開閉可能となっている。前記切れ込み23は、前記植物Pの根元部P1及び茎部P2を前記凹部13及び前記貫通穴19へ収容する際に開かれる。そして、前記開かれた切れ込み23を通って前記植物Pの根元部P1及び茎部P2が前記凹部13及び前記貫通穴19に収容された後、かすがいとして略U字形のピン31が前記切れ込み23の先端23aを跨ぐように前記側面21に打ち込まれ、前記切れ込み23の拡開が防止される。前記略U字形のピン31は、かすがいとして機能するものであれば、制限なく使用でき、正確なU字状に限られるものではなく、コの字状等であってもよい。
【0037】
前記植生マット10を用いる法面の緑化方法は、次のようにして行われる。まず、前記植生マット10は、図4及び図5に示すように、前記法面40の植樹予定位置に搬送され、前記植生マット10の裏面11が前記法面40側となるようにして前記法面40に載置される。前記植物Pは、前記法面40へ植生マット10を載置する前あるいは載置後に前記切れ込み23を利用して根元部P1及び茎部P2が前記植生マット10の凹部13及び貫通穴19に収容される。その後に前記切れ込み23の先端23aを跨ぐようにして前記かすがいとしての略U字形のピン31が前記側面21に打ち込まれる。前記法面40に載置された植生マット10は、前記切れ込み23が横向き、すなわち前記切れ込み23が横方向(水平方向)Hに伸びて切れ込み先端23aが植生マット10の上下方向に位置しないようにされ、その後に下側固定用アンカーピン33と上側固定用アンカーピン35で前記法面40に固定される。前記切れ込み23の先端23aが上方に位置すると前記切れ込み23に異物が侵入し易く、それにより前記切れ込み23が開き易くなる。また前記切れ込み23の先端23aが下方に位置すると、前記植物Pの重み等によって前記切れ込み23が開いたり、前記根元部P2の水分が切れ込み23を通って流出し易くなり、さらには前記植生マット10における略U字形のピン(かすがい)31の打ち込み部分が万一破壊されて前記切れ込み23が開いた場合に、植物Pが植生マット10から外れて落下したりするおそれがある。
【0038】
前記植物Pの根元部P1は、生分解性樹脂からなるポットに収容された状態で、前記植生マット10の凹部13に収容されるのが好ましいが、前記ポットから外した状態で前記凹部13に収容されてもよい。
【0039】
前記下側固定用アンカーピン33は、金属、樹脂等からなり、頭部33aがL字形に屈曲している。前記下側固定用アンカーピン33は、前記植生マット10の下面を支持するように前記法面40に打ち込まれ、前記屈曲頭部33aと法面40間で前記植生マット10の下部を挟む。さらに図示の例は、前記下側固定用アンカーピン33の頭部33aが当接する前記植生マット10の表面と下面の境界に、断面L字形の保護用部品34が配置され、前記保護用部品34を介して前記下側固定用アンカーピン33で前記植生マット10の下部が支持固定される。
【0040】
前記上側固定用アンカーピン35は、前記下側固定用アンカーピン33と同様に頭部35aがL字形に屈曲した形状からなり、前記植生マット10の上部表面17から前記法面40に打ち込まれる。さらにこの実施例では、前記上側固定用アンカーピン35が打ち込まれる前記植生マット10の表面17には、ワッシャ36が配置され、前記ワッシャ36を介して前記植生マット10の上部が前記上側固定用アンカーピン35の頭部35aで押圧される。なお、前記植生マット10の法面40への固定方法は、前記の方法に限られるものではない。例えば前記植生マット10の下部については、前記下側アンカーピン33を、前記植生マット10の下部表面17から前記法面40に打ち込んで固定してもよい。
【0041】
【実施例】
整泡剤(レンデル社製、BRIJ58)の1重量部を水100重量部に添加した整泡剤含有水を、1200g用意する。一方、イソシアネート基末端プレポリマーとして、レンデル社製、OPTIPOL、1160g用意し、有機物質としてバーク堆肥1400g、土壌成分として黒土1400gを用意し、混合攪拌して混合原料を調製した。この混合原料と前記整泡剤を含有する水を、ともに25℃に温調し、注入機で混合攪拌し、40℃に加温した成形型(内面寸法:40cm×40cm×10cm)内に速やかに全量充填し、常温で乾燥して3600gのウレタン発泡体を製造した。2800÷3600×100=77.7%が、前記ウレタン発泡体にしめる有機物質の比率である。なお、前記成形型は下型と上型とよりなり、前記上型内面には前記植生マット10の凹部13及び貫通穴19を形成するための段形状の突部が設けられていて、前記脱型されたウレタン発泡体に、前記凹部13と貫通穴19が一連に形成されている。前記成形型の突部は、前記凹部13に対応する部分の径が8cm、前記貫通穴19に対応する部分の径が2cmである。また、前記上型内面における前記突部の傾斜角度(前記傾斜角度aに対応する角度)は45度、前記凹部13の深さLに相当する長さは8cmである。
【0042】
前記のようにして得られたウレタン発泡体の一側面21から前記凹部13及び貫通穴19に至る前記切れ込み23をカッターで形成して、図1と同様の植生マット10を得た。
【0043】
さらに、前記植生マット10の側面に小孔を2個開けて、その小孔に粒状固形肥料をそれぞれ1個収容した。
【0044】
【発明の効果】
以上図示し説明したように、この発明の植生マットは、ウレタン発泡体に有機物質が分散したものからなるため、従来の植生袋(土嚢)に比べて極めて軽量であり、急勾配の法面に対しても作業が容易になる。
【0045】
また、前記ウレタン発泡体が、イソシアネート基末端プレポリマーを水と反応させて得られたものであるため、植生マットの保水性が良好になり、植物に対する給水不足を生じ難くなって、植物の根付き率を高めることができる。
【0046】
さらに、前記ウレタン発泡体に、有機物質と土壌成分が80:20〜20:80の重量比率で含まれるようにすれば、植物の生育に一層適した植生マットになる。
【0047】
また、前記植生マットの裏面には凹部を設け、前記植生マットの表面には前記凹部に通じる貫通穴を設ければ、前記凹部に植物の根元部を収容し、前記貫通穴に植物の茎部を収容することができるため、植物の根元部を確実かつ容易に植生マットで覆うことができ、植物の根元部の乾燥を防ぐことができると共に植物を法面に保持するのが容易になる。
【0048】
さらに、前記貫通穴の内径を前記凹部の内径よりも小にすれば、植物の根元部を確実に植生マットで覆うことができると共に植物を植生マットから外れにくくでき、一層確実に法面に保持することができるようになる。
【0049】
また、前記植生マットの側面から前記凹部及び前記貫通穴に通じる切れ込みを形成すれば、前記切れ込みを利用して植物の根元部及び茎部を前記凹部及び前記貫通穴に収容することができ、植生マットへの植物のセットが容易になる。
【0050】
また、前記凹部及び前記貫通穴を、前記植生マットの裏面に対し互いに同一方向へ傾斜させて設ければ、前記植生マットを傾斜法面に載置する際に前記凹部及び前記貫通穴を上向きにすることができ、植物の良好な生育を確保することができる。
【0051】
さらに、前記貫通穴へ植物の茎部を収容後及び前記凹部へ植物の根元部を収容後に、前記切れ込みの先端を跨ぐようにして側面にかすがいを打ち込むようにすれば、前記植生マットを法面に載置固定後、前記切れ込みが拡開して植物が落下したり、植物の根元部が乾燥したりするのを防止することができる。
【0052】
また、この発明の法面の緑化方法によれば、前記軽量な植生マットを、前記植生マットの裏面が法面側となるようにし、前記植生マットで植物の根元が覆われるようにして前記法面に載置し固定するため、急勾配の法面に対する作業が従来よりも容易に行えるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係る一実施形態の植生マットの斜視図である。
【図2】図1の2−2切断端面図である。
【図3】図1の3−3切断端面図である。
【図4】図1の植生マットを法面に載置固定した状態の断面図である。
【図5】図4の載置固定状態における植生マットを示す斜視図である。
【符号の説明】
10 植生マット
11 裏面
13 凹部
17 表面
19 貫通穴
21 側面
23 切れ込み
31 略U字形のピン(かすがい)
33 下側固定用アンカーピン
34 保護用部品
35 上側固定用アンカーピン
36 ワッシャ
40 法面
a 凹部
【出願人】 【識別番号】000119232
【氏名又は名称】株式会社イノアックコーポレーション
【住所又は居所】愛知県名古屋市中村区名駅南2丁目13番4号
【識別番号】592242051
【氏名又は名称】株式会社山都屋
【住所又は居所】岡山県岡山市門田文化町2丁目11番51号
【出願日】 平成15年1月28日(2003.1.28)
【代理人】 【識別番号】100098752
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 吏規夫

【公開番号】 特開2004−229505(P2004−229505A)
【公開日】 平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願番号】 特願2003−18258(P2003−18258)