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【発明の名称】 緑化用苔植物担持体および緑化用苔植物担持体の製造方法
【発明者】 【氏名】山本 喜正
【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内

【氏名】野口 和裕
【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内

【氏名】藤原 真也
【住所又は居所】滋賀県蒲生郡竜王町大字鏡字谷田731−1 積水樹脂株式会社内

【要約】 【課題】建造物の屋上や壁面、法面等の緑化に好適に用いることができる緑化用苔植物担持体およびその製造方法を提供する。

【解決手段】水溶性物質と非水溶性繊維が混合されたシートを少なくとも上下どちらか一方に用いて苔植物配偶体をシート間に挟持させることで長期に渡り苔の脱落を防止した苔植物担持体を得ることができる。また、繊維シートと吸水性ポリマーシート間に苔植物配偶体を挟持させることで、降雨が無い期間でも水分を供給して苔植物の生育を促すことのできる苔植物担持体を得ることができる。また、水溶性繊維と非水溶性繊維と苔植物配偶体とを水に分散させて、透水性のある基材の上へ流し込むことにより、繊維と苔植物配偶体とが良好に絡み合った、苔植物が脱落しにくい苔植物担持体を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
苔植物配偶体が、2枚のシートの間に介装されており、前記シートの少なくとも1方が、水溶性物質と非水溶性繊維とを備えたシートであることを特徴する緑化用苔植物担持体。
【請求項2】
水溶性物質はポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項3】
シートは、不織布であることを特徴とする請求項1または2に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項4】
緑化用苔植物担持体には、苔植物配偶体を介装する2枚のシートを貫くように人工芝のパイルが直接タフティングされて人工芝が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項5】
苔植物配偶体が、繊維シートと吸水性ポリマーシートとの間に介装されていることを特徴とする緑化用苔植物担持体。
【請求項6】
吸水性ポリマーシートは、生分解性を有することを特徴とする請求項4に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項7】
緑化用苔植物担持体には、苔植物配偶体を介装する2枚のシートを貫くように人工芝のパイルが直接タフティングされて人工芝が形成されていることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項8】
透水性を有するシート上に、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った状態で設けられていることを特徴とする緑化用苔植物担持体。
【請求項9】
透水性を有するシート上に、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った状態で設けられた上から、水溶性シートを載置したことを特徴とする請求項8に記載の緑化用苔植物担持体。
【請求項10】
水溶性繊維と水溶性シートは、ポリビニルアルコールから成ることを特徴とする緑化用苔植物担持体。
【請求項11】
水溶性繊維と非水溶性の繊維とを水に分散させ、そこに苔植物配偶体を混入して苔植物配偶体を細分化して分散させた後、透水性のシート上面に注いで、苔植物配偶体と繊維と透水性シートとを絡み合わせて苔植物配偶体を透水性基材に固定することを特徴とする緑化用苔植物担持体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建造物の屋上や壁面、法面等を苔植物により緑化するのに好適に用いることができる緑化用苔植物担持体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
夏場において、とりわけ大都市においては、都心の温度が郊外と比べ4〜6度も高くなる、いわゆるヒートアイランド現象が問題視されており、例えば東京都においては、既に条例により建造物の占める面積に対し、一定の割合で緑化を義務づける条例が施工されている区も出てきている。
【0003】
建造物において、緑化を行うのであれば、緑化が可能な部位は、屋上か壁面に限られる。これらの箇所に樹木や芝生等の土壌を必要とする植物を用いて緑化を行うのでは、屋上においては土壌の重量を建造物が支えることが出来ない場合には緑化できないということになり、壁面においては植栽枡を設ける等、複雑な機構を必要とするものとなる。
【0004】
苔植物を用いて緑化を行うことで、従来用いられてきた例えば樹木や芝生、セダム等の多肉植物などとは異なり、殆ど土壌を必要とすることなく生育させて構造物の屋上や壁面等を緑地とすることができる、また、苔植物は、保水性が高く、保持した水分や、その水分の蒸散により、建造物の温度を下げてヒートアイランド現象の軽減を図ることができる。
【0005】
また苔植物は乾燥状態が続いても仮死状態となるだけで枯死することがなく、降雨などにより再度水が与えられると再生することから潅水する必要がなく、従って潅水にかかわる設備も必要としない。さらには、光合成の効率も樹木や芝生と大差ないものであるから、炭酸ガスの固定化にも高いレベルで貢献できるものである。
【0006】
これらの苔植物の特性を活用し、緑化に用いるべく種々の発明が提案されてきており、シート状やマット状に苔植物担持体を形成し、それらを屋上や壁面に取り付けたり、また苔植物を含有した塗料を、壁面や法面に吹き付けるといった方法が提案されてきている。
【0007】
例えば、苔植物を紙繊維に固定した緑化用固定物(特許文献1)や、苔植物を基板平面状に縫製部によって固定した緑化用基板(特許文献2)が提案されている。 また、苔植物を保持したシート上に空間部を設けて苔植物の生育を保護するように工夫されたものもある。(特許文献3)これらのシート状の緑化用固定物や緑化用シートは、対象物に貼着等により固定しておくことで容易に緑化が可能なものであり、屋上や壁面、法面等に好適に用いることができるものである。
【0008】
【特許文献1】
特開平7―227142
【特許文献2】
特開平7―227143
【特許文献3】
特開2002―153120
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、苔植物を紙繊維に固定したり、縫製部により固定する方法では、苔植物が緑化用固定物や基板から脱落する恐れがある。特に設置した直後は、苔植物の密度も低い状態であり脱落が起こりやすい。逆にしっかりと苔植物を固定し、過度に保護すると、日光が当たらなくなったり、苔植物の生育を阻害することもありうる。
【0010】
また、苔植物は緑化に対して、前述のように非常に有用であるが、一般的な外観の印象はあまり良好ではなく、特に初期においては、苔の密度も低いため外観上も好ましくない。
【0011】
そこで本発明は上記の如き問題点に鑑みてなされたものであり、建造物の屋上や壁面、法面等の緑化に好適に用いることができる緑化用苔植物担持体およびその製造方法を提供せんとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は次のような構成としている。すなわち、苔植物配偶体が、2枚のシートの間に介装されており、前記シートの少なくとも1方が、水溶性物質と非水溶性繊維とを備えたシートであることを特徴とするものである。
【0013】
本発明によれば、まず2枚のシートの間に苔植物配偶体を挟み込むことにより、苔植物配偶体がシート状に担持される。シート状に担持された苔植物配偶体は、屋上や壁面、法面等の緑化対象物に取り付けられるが、シートに含まれる水溶性物質が適度に水分を含んだ際に発現する粘着性により、苔植物配偶体が脱落し易い配置初期において、苔植物配偶体がシートから脱落するのを防止することができ、また水溶性物質が雨等で漸進的に溶解して消失するので、苔植物が緑化対象物に付着するのが容易である。さらに、シートに非水溶性繊維を含ませているので、雨等で水溶性物質が完全に流されてしまっても、シート状に繊維が若干残り、苔植物の脱落を長期に渡り防ぐことが出来る。この時、繊維シートから水溶性繊維が消失しているので、繊維の目が適度に粗くなり、苔植物がシートの網目を通りやすくなっており、苔植物の生育を妨げない。
【0014】
従って、苔植物配偶体が挟み込まれるシートを緑化対象物に取り付けた場合、表面に露出する面のシートには、少なくとも非水溶性繊維が混合されていれば、多量の降雨があっても苔植物の脱落を長期に渡り防ぐことができ、苔植物が生育するのに適度な網目構造となる。
【0015】
また、水溶性物質はポリビニルアルコール(PVA)であることを特徴とするものである。ポリビニルアルコールは、水溶したときに中性を示し、苔植物の生育に害与えることが無いため、好適である。また、PVAが繊維状のものであれば、非水溶性繊維と容易に混合されて、シート化できる。ここで、非水溶性繊維は、特に限定されるものではなく、例えば、レーヨンなどの合成繊維でもよいし、天然繊維や、それらの混合繊維でもよい。
【0016】
また、シートは、不織布であることを特徴とするものである。用いられるシートの形態は、苔植物が生育する際に、仮根が侵入できたり、シートの目の間を通って苔植物が成長できるようなものであれば、特に限定されるものではないが、PVAのような水溶性物質と非水溶性繊維とが十分に混合されて絡み合った不織布が好適である。
【0017】
また、緑化用苔植物担持体には、苔植物配偶体を介装する2枚のシートを貫くように人工芝のパイルが直接タフティングされて人工芝が形成されていることを特徴とするものである。
【0018】
苔植物配偶体を担持したシートに、太陽光の入射が妨げられない程度に人工芝を取り付けることで、苔植物の生育や光合成を妨げることなく、人工芝により見た目が青々とした良好な外観を具備させたものとなる。また、人工芝を取り付けることで、苔植物の外力からの保護、乾燥の抑制、風からの保護等を図ることができ、苔植物の定着や生育を促進することができる。また、苔植物配偶体を介装したシートを貫くように人工芝のパイルをシートに直接タフティングして人工芝を形成することによって、シートを強固に挟み込むことができ、シートの剥がれ、苔植物配偶体の脱落や偏りを防ぐことができる。また、人工芝用の基材も不要であるから、材料費も安価に出来る。 また、人工芝に生分解性をもたせておいてもよい。人工芝を形成する材料に生分解性を有するものを用いれば、苔植物が十分に発育したときに、人工芝が消滅するようにすることもできる。苔植物が十分に発育すれば、人工芝の役割である美観性の維持や苔植物の保護、苔植物の担持などが不要になる。
【0019】
また、苔植物配偶体が、繊維シートと吸水性ポリマーシートとの間に介装されていることを特徴とするものである。
【0020】
本発明によれば、不織布などの繊維シートの上に苔植物配偶体を載置して、その上から吸水性を有するポリマーシートを被せて、苔植物配偶体をシート間に挟持させる。この時、ポリマーシートがメッシュ状や網目状のものを用いれば、苔植物へ太陽光が十分にあたり生育を促すことが出来る。またシートの目の間から苔植物が生育し易いため好ましい。シートで苔植物を挟み込むことにより、苔植物の脱落を防止することができ、また、吸水性のポリマーシートを用いることにより、苔植物の生育に必要な水分を十分に供給することができる。例えば防音壁や壁面等の垂直面や傾斜面に苔植物担持体を施工した場合、水分は壁に沿って流れてしまい、無降雨期間が続いてもポリマーシートが水分を蓄えており、保持している水を徐々に蒸散して苔植物に与えるるため、苔植物の生育を常に促進することが出来る。また、吸水性のポリマーシートを下部にして、その上に苔植物配偶体を載置し繊維シートを被せてもよい。
【0021】
また、吸水性ポリマーシートは、生分解性を有することを特徴とするものである。吸水性ポリマーに生分解を有するものを用いて、苔植物の発育にしたがって消滅するようにしておくとよい。表面を覆うシートは施工初期において、脱落防止や成長促進を促すものであり、十分に生育した後は不要となる。したがって、シートを生分解性として最終的に消滅するようにしておけば、外観も美麗であり好ましい。
【0022】
また、繊維シートは特に限定されず、苔植物が生育する際に、仮根が侵入できたり、シートの目の間を通って苔植物が成長できるようなものであればよく、素材は合成繊維、天然繊維、それらが混合された繊維でもよい。また不織布状のものでも良いし織布でも用いることが出来る。
【0023】
緑化用苔植物担持体には、苔植物配偶体を介装する2枚のシートを貫くように人工芝のパイルが直接タフティングされて人工芝が形成されていることを特徴とするものである。
【0024】
苔植物を担持したシートに、太陽光の入射が妨げられない程度に人工芝を取り付けることで、苔植物の生育や光合成を妨げることなく、人工芝により見た目が青々とした良好な外観を具備させたものとなる。また、人工芝を取り付けることで、苔植物の外力からの保護、乾燥の抑制、風からの保護等を図ることができ、苔植物の定着や生育を促進することができる。また、苔植物を介装したシートを貫くように人工芝のパイルをシートに直接タフティングして人工芝を形成することによって、シートを強固に挟み込むことができ、シートの剥がれ、苔植物の脱落や偏りを防ぐことができる。また、人工芝用の基材も不要であるから、材料費も安価に出来る。
【0025】
また、透水性を有するシート上に、苔植物と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った状態で設けられていることを特徴とするものである。
【0026】
まず、水溶性繊維と非水溶性繊維とを適量水に分散させ、さらに苔植物配偶体を溶液中に加えて、ミキサーで十分に攪拌する。この苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とを含んだ懸濁液を、透水性のある基材の上から流し込むと、水分は基材を通過して流れ落ち、繊維成分と苔植物配偶体が基材の上面に残る。このとき、透水性の基材上に型枠を置いて、その中に流し込むと良い。型枠を取り外して、これを乾燥させると、透水性の基材上にほぼ均一の厚さで、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った苔植物担持体を得ることができる。
【0027】
この方法によると、苔植物配偶体と繊維質を簡単に且つ良好に絡み合わせることができ、さらに、基材へも繊維質が入り込み易いため、基材から苔植物配偶体が脱落しにくく、好適に基材上へ苔植物配偶体を担持できる。また繊維質も少量で担持できるため、苔植物の発芽や生育を妨げることがない。
【0028】
また、透水性を有するシート上に、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った状態で設けられた上から、水溶性シートを載置したことを特徴とするものである。
【0029】
前記の、透水性基材上に苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とを絡ませて担持しているシート上に、更に水溶性シートを被せて少量の水をかけると、水溶性シートが一部溶解して、苔植物配偶体の上に被さり、苔植物をさらに強固に担持することが出来る。またこの上部から被せる水溶性シートに、非水溶性の繊維を含ませておいてもよく、雨等で、水溶性成分が流れ落ちても繊維質が担持体表面を覆っているので、苔の脱落を長期に渡って、防止することができる。
【0030】
また、水溶性繊維と水溶性シートは、ポリビニルアルコールから成ることを特徴とするものである。ポリビニルアルコールは、水溶したときに中性を示し、苔植物の生育に害与えることが無いため、好適である。
【0031】
非水溶性繊維は、特に限定されるものではなく、例えば、レーヨンなどの合成繊維でもよいし、天然繊維や、それらの混合繊維でもよい。また、透水性のシートは、特に限定されるものではないが、適度な空隙を有しており、苔植物が根付くようなものがよく、例えば不織布やスポンジ等が挙げられる。このとき、透水性のシートに保水性があれば、降雨の少ないときでも苔植物に水分を供給することができ、苔植物の生育を促すことができる。
【0032】
また、水溶性繊維と非水溶性の繊維とを水に分散させ、そこに苔植物配偶体を混入して苔植物配偶体を細分化して分散させた後、透水性のシート上面に注いで、苔植物配偶体と繊維と透水性シートとを絡み合わせて苔植物配偶体を透水性基材に固定することを特徴とするものである。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。図1は、本発明の苔植物担持体の実施の一形態を示す説明図である。非水溶性繊維の不織布シート11と水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布シート12との間に、適度に裁断された苔植物配偶体2が介装されている。水溶性物質は、ポリビニルアルコール(PVA)が好適であり、水をかけると粘接着性が発現し、苔植物配偶体を好適に担持できる。苔植物配偶体を二枚のシートに介装したあとに、少量の水をシートにかけることによって、PVAの一部が溶解して粘接着性を示し、苔植物配偶体を強固にシートに担持することができる。
【0034】
苔植物担持体は、屋上や壁面、法面等へ配置された直後の設置初期段階において、苔植物が脱落し易いが、PVAを含んだシートを用いることによって、その粘着性により、苔植物の脱落を防止することができる。また、PVAは降雨等で漸進的に溶出し、消滅するので、苔植物の生育を妨げない。また、PVAは溶解しても中性を示すため、アルカリ成分などで苔植物の生育を妨げることもない。
【0035】
水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布シート12は、非水溶性繊維の割合が5〜30%程度が好ましく、さらに言及すれば10%〜30%程度が好ましい。非水溶性繊維の割合が多いと、水溶性物質が溶解したあとに苔植物上部に残存する繊維が多くなり、苔植物を覆ってしまう。そのため苔植物の生育を妨げることもあり、また均一に成長しないため、美観上も好ましくない。逆に、非水溶性繊維の配合量が少ないと、水溶成分が溶出したあとに、苔植物を覆う繊維成分が少なく、苔植物が脱落し易くなる。
【0036】
非水溶性繊維は特に限定されるものではなく、合成繊維や天然繊維、もしくはそれらの混合繊維が用いられる。また、非水溶性繊維の不織布シートに用いられる繊維と、水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布に用いられる繊維は、異なっていてもよい。水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布に用いられる非水溶性繊維としては、例えば合成繊維であるレーヨンなどが好適に用いられる。
【0037】
また、図2は、図1のシートを基材として人工芝のパイルを直接タフティングした実施の形態の断面図である。苔植物配偶体2を介装した2枚のシートを貫くように人工芝のパイル3をタフティングしてある。このようにすることで、苔植物配偶体を介装しているシートどうしを強固に固定することができ、シートが剥がれ落ちることがない。また、人工芝用の基材も不要であるから、材料費も安価に出来る。
【0038】
また、人工芝に生分解性をもたせておいてもよい。人工芝を形成する材料に生分解性を有するものを用いれば、苔植物が十分に発育したときに、人工芝が消滅するようにすることもできる。苔植物が十分に発育すれば、人工芝の役割である美観性の維持や苔植物の保護、苔植物の担持などが不要になるため、このように生分解性を保持させておくとよい。
【0039】
図3は、本発明の苔植物担持体の別の実施の一形態を示す断面図である。繊維シート13と吸水性ポリマーシート14との間に適度に細断された苔植物配偶体2を介装している。繊維シートは、苔植物が生育する際に根が絡み、苔植物が脱落しにくくなるようなものであれば特に限定されるものではなく、不織布でも織布でもよい。素材も特に限定されるものではなく、合成繊維や天然繊維、もしくはそれらの混合繊維のものが用いられる。
【0040】
また、吸水性ポリマーシートは、苔植物に日光が当たり、苔植物の脱落を防止できる形態であれば特に限定されるものではないが、例えば、メッシュ状のシートであっても良い。メッシュ状のシートの場合、その間隔は、3mm〜10mm程度が好適であり、間隔が広いと苔植物が脱落しやすく、間隔が狭いと、日光を遮り、苔植物の生育を阻害する恐れがある。
【0041】
ポリマーシートは、生分解性であると良く、十分に苔植物が生育し、シートが不要となった場合でも自然に消滅し、残存すつことが無いため、回収や廃棄の手間も省くことができ、表面には苔植物のみが残るため、外観上も好ましい。
【0042】
また、図2と同様に、図4に示すように苔植物担持体を基材として人工芝のパイルを直接タフティングすることができる。苔植物配偶体2を介装した2枚のシートを貫くように人工芝のパイル3をタフティングしてある。このようにすることで、苔植物を介装しているシートどうしを強固に固定することができ、シートが剥がれ落ちることがない。また、人工芝用の基材も不要であるから、材料費も安価に出来る。
【0043】
また、人工芝に生分解性をもたせておいてもよい。人工芝を形成する材料に生分解性を有するものを用いれば、苔植物が十分に発育したときに、人工芝が消滅するようにすることもできる。苔植物が十分に発育すれば、人工芝の役割である美観性の維持や苔植物の保護、苔植物の担持などが不要になるため、このように生分解性を保持させておくとよい。
【0044】
また図5は、本発明の苔植物担持体の別の実施の一形態を示す断面図である。透水性基材15上に苔植物配偶体2と非水溶性繊維と水溶性繊維とが、絡み合った状態4で設けられている。苔植物配偶体の一部や繊維の一部は、透水性基材にも絡みあっているため、苔植物配偶体が脱落しにくい。図6では、透水性基材15上に苔植物配偶体2と非水溶性繊維と水溶性繊維とが、絡み合った状態4で設けられており、さらにその上から水溶性シート16を重ねている。水溶性シートを重ねた状態で、上から水をかけることにより、水溶性シートの一部が溶解し、粘着性が発現して、苔植物配偶体をさらに強固に基材へ担持する。
【0045】
水溶性繊維や水溶性シートは、PVAのものが好ましく、PVAは降雨等で漸進的に溶出し、消滅するので、苔植物の生育を妨げない。また、PVAは溶解しても中性を示すため、アルカリ成分などで苔植物の生育を妨げることもない。また、非水溶性繊維は、特に限定されるものではなく、合成繊維でもよいし、天然繊維や、それらの混合繊維でもよく、例えば、合成繊維のレーヨンが好適に用いられる。また、透水性基材は、適度な空隙を有しており、苔植物が根付くようなものがよく、例えば不織布やスポンジ等が挙げられる。
【0046】
前記苔植物担持体の製造方法は、まず、水溶性繊維と非水溶性繊維とを適量水に分散させ、さらに苔植物配偶体を溶液中に加えて、ミキサーで十分に攪拌する。この苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とを含んだ懸濁液を、透水性のある基材の上から流し込むと、水分は基材を通過して流れ落ち、繊維成分と苔植物配偶体が基材の上面に残る。このとき、透水性の基材上に型枠を置いて、その中に流し込むと良い。型枠を取り外して、これを乾燥させると、透水性の基材上にほぼ均一の厚さで、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った苔植物担持体を得ることができる。具体的に以下に実施例で示す。
【0047】
(実施例)
水100部に、水溶性繊維としてPVAを10部、非水溶性繊維としてレーヨン2部を、十分に細かくして入れ、十分に分散するまで混錬し、繊維が分散した懸濁液を作成する。この懸濁液に、苔植物配偶体を20部投入し、ミキサーで十分に攪拌する。このとき苔植物配偶体は、長さが5mm程度にまで細断される。透水性基材として、合成繊維の不織布を用いた。網の目が1cm程度の金網の上に、不織布を載置し、不織布上に樹脂製の型枠を置いた。この型枠内に、前記の苔植物配偶体を含む懸濁液を、型枠内で均等になるように流し込みしばらく放置した。流し込む量は、苔植物配偶体が一面を均等に覆う量を流し込む。水分は、不織布を通過し金網から下へ通り抜ける。懸濁液中の苔植物配偶体と繊維成分が不織布上に残る。その後、不織布上に残った苔植物配偶体と繊維成分を手で均等な厚さにならして、型枠を取り外し、自然乾燥させた。十分に乾燥させたあと、苔植物配偶体が載っている部分のみを切り取って苔植物担持体とする。乾燥は、苔植物配偶体にダメージを与えない範囲であれば、加熱してもよい。
【0048】
上記のように作成したシート状の様々な形態の苔植物担持体は、接着剤や両面テープなどを裏面にとりつけることにより、そのまま壁面や屋上等の設置面へ取り付けてもよいし、裏面にフェルトやスポンジなどの保水材を取り付けて設置してもよい。また、適度な大きさにカットして、樹脂製のユニットトレイ等に貼り付けてユニット化すれば、簡便に施工ができる緑化資材を提供することができる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、苔植物配偶体を2枚のシートの間に介装し、前記シートの少なくとも1方が、水溶性物質と非水溶性繊維が混合されてなるシートとすることで、水溶性物質の粘着性により、苔植物が脱落し易い配置初期において、苔植物がシートから脱落するのを防止することができ、また水溶性物質が雨等で漸進的に溶解して消失するので、苔植物が生育するにあたって、苔植物が緑化対象物に付着するのが容易である。さらに、シートに非水溶性繊維を含ませているので、雨等で水溶性物質が完全に流されてしまっても、シート状に繊維が若干残り、苔植物の脱落を長期に渡り防ぐことが出来る。
【0050】
また、不織布などの繊維シートの上に苔植物配偶体を載置して、その上から吸水性を有するポリマーシートを被せて、苔植物配偶体をシート間に挟持させることで、シートで苔植物配偶体を挟み込むことにより、苔植物配偶体の脱落を防止することができ、苔植物の生育に必要な水分を降雨が無い期間でも十分に供給して苔植物の生育を促すことができる。
【0051】
また、上記の苔植物担持体らに、太陽光の入射が妨げられない程度に人工芝を取り付けることで、苔植物の生育や光合成を妨げることなく、人工芝により見た目が青々とした良好な外観を具備させたものとなる。また、人工芝を取り付けることで、苔植物の外力からの保護、乾燥の抑制、風からの保護等を図ることができ、苔植物の定着や生育を促進することができる。また、苔植物を介装したシートを貫くように人工芝のパイルをシートに直接タフティングして人工芝を形成することによって、シートを強固に挟み込むことができ、シートの剥がれ、苔植物の脱落や偏りを防ぐことができる。また、人工芝用の基材も不要であるから、材料費も安価に出来る。
【0052】
また、水溶性繊維と非水溶性繊維と苔植物配偶体とを水に分散させて、透水性のある基材の上へ流し込むことによって、苔植物配偶体と水溶性繊維と非水溶性繊維とが混合され絡み合った苔植物担持体を得ることができ、このようにして形成された苔植物担持体は、繊維と苔植物配偶体どうしが良好に絡み合っているため、脱落が少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる実施の一形態を示す説明図である。
【図2】本発明に係わる実施の一形態を示す断面図である。
【図3】本発明に係わる実施の一形態を示す断面図である。
【図4】本発明に係わる実施の一形態を示す断面図である。
【図5】本発明による実施の一形態を示す断面図である。
【図6】本発明による実施の一形態を示す断面図である。
【符号の説明】
11 非水溶性繊維の不織布シート
12 水溶性物質と非水溶性繊維が混合された不織布シート
13 繊維シート
14 吸水性ポリマーシート
15 透水性基材
16 水溶性シート
2 苔植物配偶体
3 人工芝のパイル
4 苔植物配偶体と非水溶性繊維と水溶性繊維が絡み合ったもの
【出願人】 【識別番号】000002462
【氏名又は名称】積水樹脂株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市北区西天満2丁目4番4号
【出願日】 平成15年1月27日(2003.1.27)
【代理人】
【公開番号】 特開2004−222662(P2004−222662A)
【公開日】 平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願番号】 特願2003−17017(P2003−17017)