トップ :: A 生活必需品 :: A01 農業;林業;畜産;狩猟;捕獲;漁業




【発明の名称】 土壌被覆用フィルム
【発明者】 【氏名】黒田 俊也
【住所又は居所】千葉県袖ヶ浦市北袖2−1 住化プラステック株式会社内

【要約】 【課題】ガスバリア性が高く、少量の土壌燻蒸剤で効率よく土壌中の有害生物を防除できる土壌被覆用フィルムを提供する。

【解決手段】土壌燻蒸剤を土壌表面に処理し、その土壌上を被覆する土壌被覆用フィルムにおいて、該被覆用フィルムが、基材層および無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなる塗工層を有することを特徴とする土壌被覆用フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土壌燻蒸剤を土壌表面に処理し、その土壌上を被覆する土壌被覆用フィルムにおいて、該被覆用フィルムが、基材層および無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなる塗工層を有することを特徴とする土壌被覆用フィルム。
【請求項2】
塗工層が、無機層状化合物とポリビニルアルコールとの体積比が(5/95)〜(50/50)の範囲である樹脂組成物からなり、かつ該塗工層が、無機層状化合物を溶媒に膨潤・へき開させた状態で樹脂溶液中に分散させた塗工液を、その分散状態を保ちながら基材層に塗布した後、溶媒を系から除去して形成された層であることを特徴とする請求項1に記載の土壌被覆用フィルム。
【請求項3】
酸素透過度が0.2cc/m・day・atm(23℃、50%RH)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の土壌被覆用フィルム。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、土壌燻蒸において土壌燻蒸剤の大気中への拡散を防ぐ土壌被覆用フィルムである。
【0002】
【従来の技術】
従来から農作物に被害を及ぼす有害生物を防除するために、土壌消毒用に使用される農薬成分、例えばアンモニアメチルチオカーバメート(メタム−アンモニウム)、ソジウムメチルチオカーバメイト(メタム−ソジウム)、テトラヒドロ−3,5−ジメチル−1,3,5−チアジアジン−2−チオン(ダゾメット)およびこれらの混合物を含む土壌燻蒸剤を土壌に注入・潅注、あるいは混和して土壌燻蒸を行なってきた。しかしながらこの方法では、農薬成分が大気中に拡散してしまうため、十分に土壌を消毒するためには多量の農薬成分が必要であった。
このような問題を解決するため、上記土壌燻蒸剤で土壌表面を処理し、該土壌表面をポリエチレンテレフタレート製フィルムのように、樹脂のみからなるガスバリア性フィルムによって被覆する方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかしながら上記特許文献1に記載のガスバリア性フィルムではガスバリア性が不十分であり、土壌中の有害生物を防除するためには多量の燻蒸剤が必要であった。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−325108
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、さらにガスバリア性が高く、少量の土壌燻蒸剤で効率よく土壌中の有害生物を防除できる土壌被覆用フィルムを開発すべく検討の結果、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、土壌燻蒸剤を土壌表面に処理し、その土壌上を被覆する土壌被覆用フィルムにおいて、該被覆用フィルムが、基材層および無機層状化合物を含有する樹脂組成物からなる塗工層を有する土壌被覆用フィルムを提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を具体的に説明する。本発明で使用する土壌燻蒸剤とは、土壌に処理した後、水分、熱、微生物、空気、紫外線などの土壌環境によって分解して揮散性のガス状活性成分となり、該活性成分が土壌中に拡散して、農作物に害を及ぼす昆虫などの有害生物、病原菌、雑草等を防除するものである。活性成分としては例えばメタム−アンモニウム、メタム−ソジウム、ダゾメットなどが挙げることができ、このような活性成分を含む土壌燻蒸剤の具体例としては、市販のキルパー(サンケイ化学社製、メタム−ソジウム30%液剤)、NCS(東京有機化学社製、メタム−アンモニウム50%液剤)、バスアミド微粒剤(アグロ・カネショウ社製、ダゾメット98%粉粒剤)など挙げられる。有害生物、病原菌、雑草などを防除する活性成分を有していればこれらの例に限定されるものではなく、また、1種類または2種類以上の燻蒸剤を併用してもよい。該燻蒸剤は液体であってもよく、錠剤であってもよい。
【0007】
また、燻蒸剤は必要に応じて活性成分以外の他の成分を含んでいてもよい。含有する成分としては、水、有機溶剤、界面活性剤、吸油性樹脂、ゲル化剤、固形担体、分解防止剤等が挙げられる。
【0008】
農作物等の有用植物に土壌中あるいは土壌表面で害を及ぼす虫類、病原菌類には、例えばコガネムシ等の幼虫類、ハリガネムシ、ネキリムシ、センチュウ類、けら、シロアリ類等の虫類。苗立枯病、白絹病、黒腐病、つる割病、疫病、根こぶ病、炭そ病、萎黄病、黒根病、青枯病、萎ちょう病の病原菌などが挙げられる。その他、土壌中の養分を吸収して作物の生育を阻害する雑草として畑地の他種類の主に1年生雑草類が挙げられる。
【0009】
本発明の土壌被覆用フィルムにおいて塗工層に含まれる無機層状化合物としては、例えば特開平11−309818に記載の化合物を使用することができ、粘土系鉱物であることが好ましい。粘土系鉱物は、天然物でも合成品でも特に問わない。
【0010】
上記粘土系鉱物の中でも、スメクタイト族、バーミキュライト族、およびマイカ族の粘土系鉱物が好ましく、気体遮断性と柔軟性の観点からスメクタイト族とマイカ族が好ましい。スメクタイト族の好ましい粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ソーコナイト、スチブンサイト、ヘクトライト、これらの粘土系鉱物を有機物で処理したもの(以下、有機修飾粘土鉱物と称する場合がある)などが挙げられる。柔軟性の観点からモンモリロナイトがより好ましい。
【0011】
粘土系鉱物の中でも、分散媒中で膨潤および/または劈開するものが好ましい。具体的には、下記の膨潤性試験による膨潤値が5以上のものが好ましく、膨潤値が20以上のものがより好ましい。また、下記の劈開性試験による劈開値が5以上のものが好ましく、劈開値が20以上のものがより好ましい。
【0012】
〔膨潤性試験〕
100mlメスシリンダーにイオン交換水100mlを入れ、これに無機層状化合物2gを徐々に加える。23℃にて24時間静置後、上記メスシリンダー内における無機層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(膨潤値)が大きい程、膨潤性が高いことを示す。
【0013】
〔劈開性試験〕
無機層状化合物30gをイオン交換水1,500mlに徐々に加え、分散機(浅田鉄工株式会社製、デスパMH−L、羽根径52mm、回転数3,100rpm、容器容量3L、底面−羽根間の距離28mm)にて、周速8.5m/分、23℃で90分間分散させた後、この分散液100mlをメスシリンダーに採取する。60分静置後、上記メスシリンダー内における層状化合物分散層と上澄みとの界面の目盛から無機層状化合物分散層の体積(ml)を読む。この数値(劈開値)が大きい程、劈開性が高いことを示す。
【0014】
塗工層中の無機層状化合物は、5μm以下の平均粒径であることが好ましい。また、無機層状化合物の平均粒径は3μm以下が好ましく、1μm以下がより好ましい。平均粒経が5μmを超えると、柔軟性に劣る。また無機層状化合物は、ガスバリア性と柔軟性とのバランスの観点より200〜3000の範囲内のアスペクト比を有することが好ましい。アスペクト比が200未満であれば、フィルムのガスバリア性が低下する傾向があり、3000より大きい場合はフィルムの柔軟性が低下する傾向がある。
【0015】
塗工層を構成する樹脂は特に限定されないが、高水素結合性樹脂が好ましい。高水素結合性樹脂としては、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メタクリル酸メチル共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン/アジピン酸縮重合体、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン等のハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂が使用できる。さらに好ましくはポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂が使用できる。
【0016】
高水素結合性樹脂とは、架橋性官能基である水素結合性基またはイオン性基を有する樹脂である。該高水素結合性樹脂中の水素結合性基またはイオン性基の含有量(両者を含む場合には両者の合計量)は、通常は20wt%〜60wt%の範囲内であり、好ましくは30wt%〜50wt%の範囲内である。これら水素結合性基およびイオン性基の含有量は、核磁気共鳴(例えば、H−NMR、13C−NMR等)によって測定することができる。
【0017】
上記高水素結合性樹脂が有する水素結合性基とは水素結合が可能な基であり、具体的には、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基などが挙げられる。また、イオン性基とはイオン結合が可能な基であり、具体的には、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、燐酸イオン基、アンモニウム基、ホスホニウム基などが挙げられる。これら水素結合性基およびイオン性基の中でも特に好ましいのは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルボキシレート基、スルホン酸イオン基、アンモニウム基などである。
【0018】
上記高水素結合性樹脂の具体例としては、ポリビニルアルコール(PVA)およびその変性体、多糖類、エチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)およびその変性体、ポリアクリル酸およびそのエステル類、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリスチレンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンおよびその4級アンモニウム塩、ポリビニルチオール、ポリグリセリン等を挙げらることができる。
【0019】
上記のPVAとしては、例えば、酢酸ビニル重合体の酢酸エステル部分を加水分解ないしエステル交換(けん化)して得られるポリマー;トリフルオロ酢酸ビニル重合体、ギ酸ビニル重合体、ピバリン酸ビニル重合体、t−ブチルビニルエーテル重合体、トリメチルシリルビニルエーテル重合体等をけん化して得られるポリマー等が挙げられる。PVAの詳細については、例えば、ポバール会編の「PVAの世界」(1992年、(株)高分子刊行会)および「ポバール」(1981年、(株)高分子刊行会、長野等著)に記載されている。
【0020】
PVAのけん化率は、70モル%以上であることが好ましく、85モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上であることが特に好ましく、完全けん化物であることが最も好ましい。また、PVAの重合度は、100〜20000の範囲内であることが好ましく、200〜5000の範囲内であることがより好ましい。また、上記のPVAは、少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。
【0021】
上記多糖類とは、種々の単糖類の縮重合によって合成される高分子であり、本発明では、該高分子に化学修飾を施したものも含まれる。かかる多糖類としては、セルロース、セルロース誘導体(ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロースなど)、アミロース、アミロペクチン、プルラン、カードラン、ザンタン、キチン、キトサンなどが挙げられる。
【0022】
また、上記のエチレン/ビニルアルコール共重合体(EVOH)としては、ビニルアルコール分率が40モル%〜80モル%の範囲内のものが好ましく、ビニルアルコール分率が45モル%〜75モル%の範囲内ものが特に好ましい。該EVOHのメルトインデックス(MI)は、特に限定されるものではないが、温度190℃、荷重2.160gの条件下で、0.1g/10分〜50g/10分であることが好ましい。EVOHは、少量の共重合モノマーで変性されていてもよい。
【0023】
これら樹脂は、一種類のみを用いてもよく、二種類以上を組み合せて用いてもよい。これらの樹脂の中でも、PVAおよびその変性体、多糖類、EVOHおよびその変性体が好適であり、特にPVAが好ましい。
また、例えば特開平3−93542号公報に記載された分子内にシリル基を有する化合物の少なくとも一種で変性されたポリビニルアルコール系樹脂も好ましい。
【0024】
上記高水素結合性樹脂は、それ単独で用いられてもよいが、共重合可能な他の単量体との共重合体としたり、混合可能な他の樹脂と併用することができる。併用可能な樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂などを挙げることができる。
【0025】
また、高水素結合性樹脂に架橋剤を作用させることができる。架橋構造の形成において、架橋剤の使用量に限定は特になく、有効量の架橋剤を使用すればよい。
【0026】
塗工層を構成する樹脂組成物において、無機層状化合物と樹脂との体積比は、無機層状化合物/樹脂=5/95〜50/50であることが好ましい。無機層状化合物の含有量が5vol%より小さい場合には、フィルムのガスバリア性が不十分となる傾向があり、50vol%より大きい場合には柔軟性に劣るフィルムとなる傾向がある。
【0027】
塗工液の調製においては、無機層状化合物と樹脂を別々に、あるいは予め混合した後、溶媒(分散媒)に添加してもよいが、例えば、(1)樹脂を溶媒に溶解させてなる溶液と、無機層状化合物を予め分散させた分散液とを混合する方法、(2)無機層状化合物を分散させた分散液を樹脂に添加し、樹脂を上記分散液に溶解させる方法、(3)樹脂を溶媒に溶解させてなる溶液に無機層状化合物を添加し、上記無機層状化合物を上記の溶液中に分散させて塗工液とする方法が好適に用いられる。
【0028】
本発明の土壌被覆用フィルムは、基材層と、該基材層に塗工液を塗布して形成された塗工層とを有する。塗工液を基材層に塗布する方法は特に制限はない。農場で土壌を被覆した基材層にスプレーにより直接塗工液を塗布してもよいし、土壌への被覆前に工場などで公知の方法で基材層に塗工液を塗布してもよい。公知の塗布方法としては、ダイレクトグラビア法、リバースグラビア法、マイクログラビア法等のグラビア法;2本ロールビートコート法、ボトムフィード3本リバースコート法等のロールコーティング法;ドクターナイフ法;ダイコート法;ディップコート法;バーコーティング法;スプレーコート法;スピンデップ法あるいはこれらを組み合わせたコーティング法などが挙げられる。
【0029】
塗工層は、無機層状化合物を溶媒に膨潤・へき開させた状態で、樹脂を溶媒に溶解した溶液(樹脂溶液)中に分散させた塗工液を、その分散状態を保ちながら基材層に塗布した後、乾燥により溶媒を系から除去して形成された層であることがガスバリア性の点から好ましい。
【0030】
塗工層の厚みは特に限定されないが、0.1μm〜5μmであることが好ましい。ガスバリア性とフィルムの柔軟性のバランスの観点より好ましくは0.2μm〜1.0μmである。0.1μm以下であるとガスバリア性が不十分となる傾向があり、5μm以上の場合はフィルムの柔軟性が低下する傾向がある。
【0031】
土壌被覆用フィルムの基材層として使用される樹脂としては特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン(低密度、高密度)、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/ヘキセン共重合体、エチレン/オクテン共重合体、ポリプロピレン、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/メチルメタクリレート共重合体、アイオノマー樹脂等のポリオレフィン系樹脂;ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエステルカーボネート等のポリエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン/アジピン酸縮重合体、ポリアミドウレタン、ポリメチルメタクリルイミド等のアミド系樹脂;ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、スチレン/アクリロニトリル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/ブタジエン共重合体、ポリアクリロニトリル等のスチレン/アクリロニトリル系樹脂;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロース等の疎水化セルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン等のハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン/ビニルアルコール共重合体、セルロース誘導体等の水素結合性樹脂;天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、1,2−ポリブタジエンゴム,クロロプレンゴム,ブチルゴム,スチレンブタジエンゴム,ニトリルゴム,エチレンプロピレンゴム,クロロスルホルン化ポリエチレン,エピクロロビドリンゴム,アクリルゴム,多硫化ゴム,シリコーンゴム,フッ素ゴム,ウレタンゴムなどのゴム;熱可塑性エラストマー;ポリカーボネート樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、液晶樹脂等のエンジニアリングプラスチック系樹脂;ポリウレア系樹脂などが挙げられる。基材層は、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルやポリビニルアルコールなど、生分解性を有する樹脂からなることが好ましい。基材層、塗工層ともに生分解性樹脂からなる土壌被覆用フィルムとすることによって、使用後に該フィルムを取り除く手間をなくすことができる。
【0032】
塗工層と基材層との密着性を向上させるため、コーティング前の基材層の表面を脱脂処理、コロナ処理、フレームプラズマ処理、オゾン処理、電子線処理、アンカー処理等の表面処理を施してもよい。
【0033】
本発明の土壌被覆用フィルムの酸素透過度は、0.2cc/m・day・atm(23℃、50%RH)以下であることが好ましく、0.1cc/m・day・atm(23℃、50%RH)以下であることがより好ましい。燻蒸剤の活性成分の透過量は、該活性成分の透過度で表現することが好ましいが、通常活性成分透過度を酸素透過度で評価することができる。すなわち酸素ガスの透過の少ない(ガスバリア性の高い)フィルム程、土壌燻蒸剤活性成分の透過も少ない。
【0034】
【発明の効果】
本発明の土壌被覆用フィルムは、ガスバリア性が高く、少量の土壌燻蒸剤で効率よく土壌中の有害生物を防除できるものである。
【0035】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[測定方法]
[厚み測定]
厚みは、重量分析法(一定面積のフィルムの重量測定値をその面積で除し、更に高分子組成物の比重で除した)またはIR法により実際の塗膜の膜厚とIR吸収との検量線を作成し、検量線より求めた。
[平均粒径測定]
レーザー回折・散乱式粒度分布測定装置(LA910、堀場製作所(株)製)を使用し、フローセル法により、無機層状化合物の平均粒径(体積基準のメジアン径)を測定した。
[酸素透過度の測定]
酸素透過度測定装置(OX−TRAN 10/50A、MOCON社製)を用いて、温度23℃、50%RHで積層体の酸素透過度を測定した。
【0036】
[実施例1]
分散釜(商品名:デスパMH−L;浅田鉄工(株)製)に、イオン交換水(比電気伝導率0.7μs/cm以下)1300gと、ポリビニルアルコール(商品名:PVA117H;(株)クラレ製;ケン化度=99.6%;重合度=1,700)130gとを仕込み、低速撹拌下(1500rpm、周速度=4.1m/分)で95℃に昇温した。該混合系を同温度で30分間撹拌してポリビニルアルコールを溶解させたのち、60℃に冷却し、ポリビニルアルコール水溶液を得た。
上記ポリビニルアルコール水溶液(60℃)を前記同様の条件で攪拌しながら、そこにイソプロピルアルコール122g、1−ブタノール122gおよびイオン交換水520gを混合してなるアルコール水溶液を5分間かけて滴下した。滴下終了後、高速撹拌(3000rpm、周速度=8.2m/分)に切替え、該攪拌系に高純度モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製、クニピアG)65gを徐々に加え、添加終了後、60℃で60分間攪拌を続けた。その後、さらにイソプロパノール243gを15分間かけて加え、次いで該混合系を室温まで冷却し、樹脂組成物分散液を得た。この分散液に対し、非イオン性界面活性剤 ポリジメチルシロキサン−ポリオキシエチレン共重合体(商品名:SH3746、東レ・ダウコーニング(株)製)0.1wt%(前記分散液の重量を基準とする)を添加し、さらにこれを高圧分散装置(商品名:超高圧ホモジナイザーM110−E/H、Microfluidics Corporation 製)を用いて1100kgf/cmの条件で処理し、ポリビニルアルコールとモンモリロナイトとからなる塗工液を得た。
このとき、劈開したモンモリロナイトの平均粒径は560nm、粉末X線回折から得られるa値は1.2156nmであり、アスペクト比(Z)は460であった。
基材層として厚さ60μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(商品名:トレファンNO;東レ(株)製)を用いて、その基材層の片面にコロナ処理を施し、その処理面に塗工液を乾燥膜厚が0.2μmとなるように卓上コーターで塗工した。得られた塗工フィルムの酸素透過度は、0.1cc/m・day・atmであった。該塗工フィルムは燻蒸剤のバリア性に優れており、土壌被覆用フィルムとして使用した場合には、少量の燻蒸剤でも効率よく土壌を消毒することができる。
【0037】
[比較例1]
エチレンビニルアルコール(EVOH)共押出フィルム(ECO−BQ2フィルム,構成:ポリプロピレン/EVOH/ポリプロピレン、20μm;二村化学(株)製)の酸素透過度は3cc/m・day・atmであった。該塗工フィルムは燻蒸剤のバリア性に劣り、土壌被覆用フィルムとして使用した場合には、土壌を消毒するために多量の燻蒸剤を必要とするものである。
【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学工業株式会社
【住所又は居所】大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号
【出願日】 平成15年1月24日(2003.1.24)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之

【公開番号】 特開2004−222626(P2004−222626A)
【公開日】 平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願番号】 特願2003−15767(P2003−15767)