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【発明の名称】 温室用フィルム開閉装置
【発明者】 【氏名】有田 孝信
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【氏名】小野沢 克夫
【住所又は居所】栃木県下都賀郡国分寺町柴262−10 株式会社誠和小金井工場内

【要約】 【課題】温室用フィルムの破損や伸びを抑制する。

【解決手段】駆動部10に付設される移動機構20が、ガイド用棒状部材50を挟んで巻き取り軸30の略反対側に配置される係合部としてのガイドローラ22,23と、該ガイドローラ22,23と巻き取り軸30とを共にガイド用棒状部材50に押し付ける方向に付勢する弾性部材としての一対のバネ部211,212とを有して構成される。駆動部10の荷重を、一対のバネ部211,212によりガイド用棒状部材50に押圧されるガイドローラ22,23と巻き取り軸30との抵抗により分担支持することができ、温室用フィルムの負荷を低減することができ、温室用フィルムの破損や伸びを抑制することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温室用フィルムを巻き取り又は巻き戻しして開閉する巻き取り軸を回転させる駆動部を備えた温室用フィルム開閉装置であって、
前記駆動部が、ガイド用棒状部材に沿って移動可能な移動機構を備えており、
該移動機構が、付勢手段によって、前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢される係合部を有して構成されることを特徴とする温室用フィルム開閉装置。
【請求項2】
前記係合部が、前記巻き取り軸とにより、前記ガイド用棒状部材を挟む位置関係で設けられ、前記付勢手段が、該係合部を前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付ける方向に付勢する弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項3】
前記弾性部材は、基端が前記駆動部のケーシングに連結され、他端が常態において互いに拡開方向に付勢される一対のバネ部を備えて構成されることを特徴とする請求項2記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項4】
前記弾性部材が、略M字状に屈曲されたバネ材からなり、外側に位置する各直線部により前記一対のバネ部が構成され、各直線部同士を連結する中間部と各直線部との交差部が、前記基端として、前記駆動部のケーシングに連結されていることを特徴とする請求項3記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項5】
前記一対のバネ部の各他端が、前記ガイド用棒状部材を挟んで巻き取り軸の略反対側に位置するように屈曲されてガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢され、該各他端が前記係合部を構成していることを特徴とする請求項3又は4記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項6】
前記一対のバネ部の各他端に、前記ガイド用棒状部材を挟んで巻き取り軸の略反対側に位置するガイドローラを設け、該ガイドローラが前記係合部を構成してガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢されていることを特徴とする請求項3又は4記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項7】
前記付勢手段が、前記駆動部のケーシングに連結され、前記巻き取り軸とにより、前記ガイド用棒状部材を挟む位置関係で前記係合部を支持する取り付けフレームと、
前記取り付けフレームに支持された係合部をガイド用棒状部材に近接させるように動作させ、該係合部を前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付ける係合部可動部材と
を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項8】
前記係合部可動部材が、前記取り付けフレームに支持され、前記係合部をガイド用棒状部材に近接させる方向に動作可能なネジ部材、弾性部材、又はネジ部材と弾性部材との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項7記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項9】
前記巻き取り軸のうち、前記付勢手段によって前記係合部と共にガイド用棒状部材に押し付けられる部位に、巻き取り軸の外面よりも摩擦抵抗の高い素材からなる筒部材が装着されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項10】
前記筒部材の外径が、巻き取り軸の移動範囲において、温室用フィルムを巻き取った際の温室用フィルムを含む巻き取り軸の実質上の最大外径と、温室用フィルムを巻き戻した際の実質上の最小外径との間の略中間の値に設定されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項11】
前記筒部材が、一方の端部から他方の端部までの間で外径差を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項12】
前記筒部材は、一方の端部から他方の端部に向かって外径が大きくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項11記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項13】
前記筒部材は、少なくともいずれか一方の端部と略中心部との間で外径差を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置。
【請求項14】
前記筒部材は、略中心部の外径が小さく、各端部の外径が大きい形状に形成されていることを特徴とする請求項13記載の温室用フィルム開閉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、温室の側面や谷部等に配設され、換気のために開閉される温室用フィルムを巻き取り又は巻き戻しして開閉するための温室用フィルム開閉装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、温室の側面に換気用に設けられる巻き上げ式の温室用フィルムを開閉する装置としては、温室用フィルムの端部や中間部に固定された巻き取り軸を、ハンドルを用いて手動で回転させる装置や、モータを利用して回転駆動させる装置がある。但し、いずれにしても、駆動部の回転を巻き取り軸に伝達するためには、これらの装置には、駆動部の自転を防止する回り止め手段が必要となる。回り止め手段としては、特許文献1〜3に示されているように、例えば、地面にガイド用棒状部材を立設し、このガイド用棒状部材の周面に沿って上下に移動するガイドローラや車輪を備えた移動機構を駆動部に付設することが行われている。移動機構を構成するガイドローラや車輪がガイド用棒状部材に接することにより駆動部の自転が防止され、駆動部の回転力が巻き取り軸に伝達されるものである。このような移動機構を用いた場合には、駆動部は、温室用フィルムの巻き取り軸への巻き取り量に応じて、巻き取り軸と共にガイド用棒状部材に沿って上下動する。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−128563号公報
【特許文献2】
実開平5−91297号公報
【特許文献3】
実開平6−6696号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1〜3に開示された装置は、上記のように、移動機構を備えた駆動部が、巻き取り軸と共にガイド用棒状部材に沿って上下動するが、これは、いずれも巻き取り軸に巻き付けられる温室用フィルムに牽引されて上下するものである。このため、温室用フィルムのうち、特に駆動部側に近い部位において、駆動部の重さに伴う破損や伸びが発生し易い。特許文献1では、駆動部を構成するモータとして直流モータを用いて駆動部の軽量化を図り、温室用フィルムの破損や伸びを軽減しているが、それでもなお、駆動部の重さがそのまま温室用フィルムの負荷となる点で変わりはない。また、特許文献3では、バランス用のウェイト部材を配設することにより、駆動部の重さ相殺し、温室用フィルムに加わる負荷を軽減しているが、ウェイト部材を配設するに当たっては、駆動部とウェイト部材とを結ぶワイヤや、該ワイヤを巻き掛ける滑車をガイド用棒状部材に設けなければならないなど、構造が複雑で、製造コストが高くなる。
【0005】
また、例えば、巻き取り軸に温室用フィルムを巻き取っていくと、温室用フィルムを巻き取った状態での実質上の外径は、フィルムの厚さの積算分太くなっていく。このため、巻き取り軸の移動速度は、実質上の外径が太くなるほど、速くなる。これに対し、駆動部は、巻き取り軸の移動速度の影響を受けないとすれば、一定の速度でガイド用棒状部材に沿って移動しようとする。従って、温室用フィルムを巻き取り又は巻き戻すことによる巻き取り軸の移動速度と、駆動部の移動速度との間には、ずれがあり、このずれが巻き取り軸を蛇行させ、温室用フィルムに無理な力が加わる原因の一つとなっている。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたものであり、手動であるか電動であるか、あるいは直流モータであるか交流モータであるといった駆動部の種類に拘わらず、温室用フィルムに加わる駆動部の荷重に伴う負荷を軽減し、温室用フィルムの破損や伸びを抑制できる温室用フィルム開閉装置を提供することを課題とする。また、本発明は、簡易な構造で、駆動部の荷重に伴う温室用フィルムへの負荷を軽減できる温室用フィルム開閉装置を提供することを課題とする。また、本発明は、駆動部の移動速度と巻き取り軸の移動速度との間のずれを小さくし、巻き取り軸の蛇行を抑制できる温室用フィルム開閉装置を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、温室用フィルムを巻き取り又は巻き戻しして開閉する巻き取り軸を回転させる駆動部を備えた温室用フィルム開閉装置であって、
前記駆動部が、ガイド用棒状部材に沿って移動可能な移動機構を備えており、該移動機構が、付勢手段によって、前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢される係合部を有して構成されることを特徴とする温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記係合部が、前記巻き取り軸とにより、前記ガイド用棒状部材を挟む位置関係で設けられ、前記付勢手段が、該係合部を前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付ける方向に付勢する弾性部材からなることを特徴とする請求項1記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記弾性部材は、基端が前記駆動部のケーシングに連結され、他端が常態において互いに拡開方向に付勢される一対のバネ部を備えて構成されることを特徴とする請求項2記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記弾性部材が、略M字状に屈曲されたバネ材からなり、外側に位置する各直線部により前記一対のバネ部が構成され、各直線部同士を連結する中間部と各直線部との交差部が、前記基端として、前記駆動部のケーシングに連結されていることを特徴とする請求項3記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記一対のバネ部の各他端が、前記ガイド用棒状部材を挟んで巻き取り軸の略反対側に位置するように屈曲されてガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢され、該各他端が前記係合部を構成していることを特徴とする請求項3又は4記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項6記載の本発明では、前記一対のバネ部の各他端に、前記ガイド用棒状部材を挟んで巻き取り軸の略反対側に位置するガイドローラを設け、該ガイドローラが前記係合部を構成してガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢されていることを特徴とする請求項3又は4記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記付勢手段が、前記駆動部のケーシングに連結され、前記巻き取り軸とにより、前記ガイド用棒状部材を挟む位置関係で前記係合部を支持する取り付けフレームと、
前記取り付けフレームに支持された係合部をガイド用棒状部材に近接させるように動作させ、該係合部を前記巻き取り軸と共に前記ガイド用棒状部材に押し付ける係合部可動部材と
を備えて構成されることを特徴とする請求項1記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項8記載の本発明では、前記係合部可動部材が、前記取り付けフレームに支持され、前記係合部をガイド用棒状部材に近接させる方向に動作可能なネジ部材、弾性部材、又はネジ部材と弾性部材との組み合わせから構成されることを特徴とする請求項7記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項9記載の本発明では、前記巻き取り軸のうち、前記付勢手段によって前記係合部と共にガイド用棒状部材に押し付けられる部位に、巻き取り軸の外面よりも摩擦抵抗の高い素材からなる筒部材が装着されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項10記載の本発明では、前記筒部材の外径が、巻き取り軸の移動範囲において、温室用フィルムを巻き取った際の温室用フィルムを含む巻き取り軸の実質上の最大外径と、温室用フィルムを巻き戻した際の実質上の最小外径との間の略中間の値に設定されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項11記載の本発明では、前記筒部材が、一方の端部から他方の端部までの間で外径差を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項12記載の本発明では、前記筒部材は、一方の端部から他方の端部に向かって外径が大きくなるテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項11記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項13記載の本発明では、前記筒部材は、少なくともいずれか一方の端部と略中心部との間で外径差を有する形状に形成されていることを特徴とする請求項9記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
請求項14記載の本発明では、前記筒部材は、略中心部の外径が小さく、各端部の外径が大きい形状に形成されていることを特徴とする請求項13記載の温室用フィルム開閉装置を提供する。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、図面に示した実施形態に基づき本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明の一の実施形態にかかる温室用フィルム開閉装置1を示す概略斜視図である。
【0009】
本実施形態の温室用フィルム開閉装置1は、駆動部10、移動機構20及び巻き取り軸30を有して構成される。駆動部10は、駆動源となるモータ11と、該モータ11を支持すると共に、内部にモータ11の回転駆動力を伝達するギア機構(図示せず)等が内蔵されたケーシング12とを備えて構成される。ケーシング12は、モータ11の下部に位置する前部フレーム121とその後方に突出させた後部フレーム122とを備えてなる。ケーシング12の前部フレーム121には、巻き取り軸30が該前部フレーム121を厚み方向に貫通するように配設され、上記したギア機構を介して該巻き取り軸30を正転又は逆転方向に回転可能に支持している。また、モータ11を駆動させる操作スイッチ13が該前部フレーム121に設けられている。なお、前部フレーム121の左右に、モータ11によって回転する出力軸(図示せず)を突出させ、該出力軸に対し、すなわち、ケーシング12の外部において、巻き取り軸30を連結する場合もあるが、かかる場合には、本明細書においては、該出力軸も巻き取り軸に含めて取り扱うものとする。
【0010】
移動機構20は、駆動部10に付設される。この移動機構20は、本実施形態において付勢手段を構成する弾性部材としてのバネ材21と、係合部としてのガイドローラ22,23とを備えて構成される。バネ材21は、外側に位置する2つの直線部からなる一対のバネ部211,212と、この直線部からなる各バネ部211,212同士を連結する略U字状の中間部213とを備え、全体として略M字状に屈曲形成されている。そして、各バネ部211,212と中間部213との各交差部214,215が、ケーシング12の後部フレーム122の側面にボルト123によって固定される。これにより、各交差部214,215がケーシング12に連結される各バネ部211,212の基端を構成し、各バネ部211,212は、地面に立設するなどして配置したガイド用棒状部材50に沿って上下方向に離間して位置することになる。
【0011】
上記した一対のバネ部211,212は、各他端216,217が拡開する方向に付勢される弾性を備えていると共に、各他端216,217が、後部フレーム122の位置するガイド用棒状部材50の一方側から他方側に至るまで延びる長さを有している。また、各他端216,217は、ガイド用棒状部材50の側方を通過した後、他方側においてガイド用棒状部材50に近接する方向に屈曲されており、屈曲された各他端216,217にガイド用棒状部材50に係合する係合部を構成するガイドローラ22,23が支持されている。係合部としては、バネ部211,212の各他端216,217を、例えば略円弧状に形成して、ガイド用棒状部材50に直接接触させることも可能であるが、この場合には、駆動部10が移動する際の摺動抵抗が大きくなるため、本実施形態のようにガイドローラ22,23を配設して係合部を構成する方が、より滑らかな動作を実現するために好ましい。
【0012】
一方、ケーシング12の前部フレーム121を左右に貫通して配設された巻き取り軸30は、ガイド用棒状部材50の一方側に位置するように設けられる。この結果、上記した係合部を構成するガイドローラ22,23は、ガイド用棒状部材50を挟んで、平面視で、巻き取り軸30の略反対側に位置することになる。そして、かかるガイドローラ22,23は、一対のバネ部211,212の各他端216,217に支持されていることにより、基端となっている各交差部214,215を中心として互いに広がる方向に付勢されているため、ガイド用棒状部材50の他方側に対して常に押し付けられている。一対のバネ部211,212がこのように他端216,217を拡開させる方向に付勢する弾性を有しているということは、ガイドローラ22,23を上記のようにガイド用棒状部材50に他方側から押し付ける一方で、ガイド用棒状部材50を挟んで反対側に位置する巻き取り軸30をガイド用棒状部材50に一方側から押し付けることになる。すなわち、一対のバネ部211,212は、ガイド用棒状部材50を挟んで一方側と他方側に位置する巻き取り軸30とガイドローラ22,23とを、共にガイド用棒状部材50に押し付ける方向に付勢する機能を有する。
なお、係合部を構成するガイドローラ22,23は、必ずしも、平面視で巻き取り軸30の略反対側に配置されていなくてもよく、ガイド用棒状部材50の側方に偏った位置に設け、ガイド用棒状部材50を斜めに挟む位置関係で設けてもよい。また、例えば、ガイドローラ22,23として、それぞれ略そろばん玉状のローラ部材(図示せず)を2個ずつ用い、各そろばん玉状のローラ部材をガイド用棒状部材50の側方に偏った位置で接するように設けることもできる。いずれにしても、巻き取り軸30と、ガイドローラ22,23などから構成される係合部とによって、略反対方向からあるいは斜めに、ガイド用棒状部材50を挟むことが可能な位置関係で設けられればよい。但し、略反対方向から挟むような位置関係で設けることにより、ガイドローラ22,23と巻き取り軸30とを、より簡易な構成でかつ確実にガイド用棒状部材50に押し付けることができる。
【0013】
上記したように、移動機構20は、バネ材21と、ガイドローラ22,23と、バネ材21によりガイドローラ22,23と共にガイド用棒状部材50に圧接される巻き取り軸30の一部とから構成してもよいが、巻き取り軸30のうち、ガイド用棒状部材50に圧接される部位には、ゴムやウレタン材等から構成され、巻き取り軸30と共に回転する筒部材24を装着することが好ましい。巻き取り軸30は、通常、金属製のパイプから形成されるため、ゴムやウレタン材等から構成される筒部材24を用いることにより、ガイド用棒状部材50との間の摩擦抵抗を、巻き取り軸30を直接接触させる場合よりも高めることができる。駆動部10から巻き取り軸30に回転力が伝達された際に、上記したバネ材21の弾性力により、筒部材24がガイドローラ22,23と共にガイド用棒状部材50に押し付けられながら上下動するが、その際、ガイド用棒状部材50に対して確実に密接できるため、駆動部10の自重をより確実に支持でき、温室用フィルムの負荷の低減効果が大きい。
【0014】
筒部材24は、図1及び図2(a)に示したように、外径が長手方向一方の端部から他方の端部までほぼ同じ円筒状に形成してもよいが、この場合の外径は、巻き取り軸30の移動範囲において、温室用フィルムを最も巻き取った際の温室用フィルムを含む巻き取り軸30の実質上の外径(温室用フィルムを巻き付けている場合の最も外側の径)と、最も巻き戻した際の実質上の外径との間の略中間の値に設定することが好ましい。温室用フィルムを含んだ巻き取り軸30の実質上の外径は、温室用フィルムを巻き戻した際と巻き取った際とでは、巻き取り量に応じて変化し、温室用フィルムを巻き取っていくに従って実質上の外径が太くなると、巻き取り軸30の移動速度(上下動速度)が増し、巻き戻していくに従って実質上の外径が細くなると移動速度が低下していく。これに対し、上記した移動機構20を介して上下動する駆動部10は、巻き取り軸30の移動速度の変化の影響を受けないとすれば、ほぼ一定の速度で移動しようとする。従って、両者間には、温室用フィルムの巻き取り量により移動速度にずれが生じるが、上記のように、筒部材24の外径を巻き取り軸30の実質上の外径の最大時と最小時との略中間に設定することで、巻き取り軸30と駆動部10との移動速度のずれが、いずれか一方に移動した際に偏って大きくなることを防止でき、移動速度のずれに伴う巻き取り軸30の蛇行を抑制することができる。
【0015】
筒部材24は、外径が一方の端部から他方の端部までほぼ同じである場合には、上記のような巻き取り軸30の実質上の外径の最大時と最小時との略中間の外径に設定することが好ましいが、一方の端部から他方の端部までの間で外径差を有する形状に形成することが、巻き取り軸30と駆動部10との移動速度のずれを抑制する上で、より好ましい。また、そのうち、最も細い部位の外径が、巻き取り軸30の実質上の外径の最小時に近く、最も太い部位の外径が、巻き取り軸30の実質上の外径の最大時に近いことが、さらに好ましい。
【0016】
筒部材24に外径差を設ける場合の形状としては、例えば、図2(b)に示したように、一方の端部24aから他方の端部24bに向かって順次外径が大きくなるテーパ状に形成することができる。また、少なくともいずれか一方の端部と略中心部との間で外径差を備えた形状とすることもでき、例えば、図2(c)に示したように、略中心部24cの外径が小さく、各端部24a,24bの外径が大きい形状とすることができる。
【0017】
このような外径差を設けることにより、例えば、図2(c)に示した筒部材24を用いると、温室用フィルムを巻き戻す際には、図3(a)に示したように、巻き取り軸30の実質上の外径が細くなるに従って、筒部材24とガイド用棒状部材50との接点が、外径の細い略中心部24cへと移動する。巻き取る際には、図3(b)に示したように、筒部材24とガイド用棒状部材50との接点が、巻き取り軸30の実質上の外径が太くなるに従って、筒部材24のうち外径の大きいいずれかの端部24bへと移動する。これにより、巻き取り軸30の移動速度と駆動部10の移動速度とのずれをより小さくできる。
【0018】
本実施形態の温室用フィルム開閉装置1は、例えば、温室の妻面付近に立設したガイド用棒状部材50に対し、巻き取り軸30に装着した筒部材24とガイドローラ22,23とが、該ガイド用棒状部材50を挟んで略反対側に位置するように配設する。巻き取り軸30には、例えば、温室の側面を開閉する温室用フィルムの端部を巻き付け固定しておく。温室用フィルムを巻き取る際には、操作スイッチ13を操作して駆動部10のモータ11を一方向に回転駆動させる。駆動部10は、移動機構20を構成する筒部材24とガイドローラ22,23とがガイド用棒状部材50に互いに略反対方向から密接しているため、自転せずに、巻き取り軸30を巻き取り方向に回転させ、温室用フィルムを順次巻き取り、温室の側面に設けた換気部を開放していく。
【0019】
温室用フィルムが巻き取られると、巻き取り軸30がそれに伴って上昇するため、移動機構20を構成する筒部材24とガイドローラ22,23とがガイド用棒状部材50に沿って上方向に移動する。この際、本実施形態によれば、バネ材21の一対のバネ部211,212の弾性力によって、筒部材24とガイドローラ22,23とを互いに反対方向からガイド用棒状部材50に押し付ける面圧を発生させるため、駆動部10は移動機構20を介してガイド用棒状部材50に沿って自走することになり、駆動部10の荷重が該移動機構20及びガイド用棒状部材50によって分担される。このため、温室用フィルムによって分担すべき駆動部10の荷重負担が軽減され、負荷が小さくなり、温室用フィルムの破損や伸びを抑制することができる。
【0020】
また、筒部材24として、上記したように、巻き取り軸30の実質上の外径の最大時と最小時との略中間の外径に設定されたものや、一方の端部と他方の端部との間で外径差を有するものを用いることにより、巻き上げ時に巻き取り軸30の実質上の外径が太くなることによる駆動部10の移動の遅れを抑え、それに伴う巻き取り軸30の蛇行を抑制でき、さらに、巻き取り軸30の蛇行に伴って温室用フィルムに無理な力が加わることを抑制することができる。
【0021】
一方、温室の側面に形成した換気部を閉鎖する際には、操作スイッチ13を操作して、駆動部10のモータ11を上記と逆方向に回転駆動させる。これにより、巻き取り軸30が上記と逆に回転し、温室用フィルムを巻き戻していく。この場合も、移動機構20を構成する筒部材24とガイドローラ22,23とが一対のバネ部211,212の弾性によってガイド用棒状部材50に互いに略反対方向から圧接されるため、駆動部10の荷重が分担され、温室用フィルムの負荷となる駆動部10の荷重負担が軽減される。
【0022】
温室用フィルムの開閉動作の中途において、あるいは、上死点又は下死点において、駆動部10の駆動を停止した場合、従来であれば、駆動部10の荷重がそのまま温室用フィルムの負荷となっていたが、本実施形態によれば、その場合でも、筒部材24とガイドローラ22,23とを互いに反対方向からガイド用棒状部材50に押し付ける面圧が発生するため、その摩擦抵抗によって駆動部10の荷重を分担支持でき、温室用フィルムに加わる負荷を軽減することができる。
【0023】
なお、本発明の温室用フィルム開閉装置は、上記した実施形態に限定されるものではない。上記した実施形態では、係合部であるガイドローラ22,23をガイド用棒状部材50に押圧する弾性部材として、略M字状のバネ材21を用いているが、ガイドローラ22,23を拡開方向に付勢してガイド用棒状部材50に対し、巻き取り軸30と略反対方向から押し付けられる一対のバネ部を備えていればよい。従って、一対のバネ部をそれぞれ別々のバネ材から構成することもできる。但し、上記のように略M字状の1本のバネ材21を用いれば、ガイドローラ22,23を拡開方向に付勢する一対のバネ部を容易に形成することができる。また、図1においては、駆動部10をガイド用棒状部材50の右側に、すなわち温室用フィルムが配設されている側に設け、バネ材21、ガイドローラ22,23及び筒部材24から構成される移動機構20を、駆動部10の左側に設けているが、ガイド用棒状部材50の設置場所や温室との距離等を考慮して、駆動部10をガイド用棒状部材50の左側に位置させ、バネ材21をケーシング12の右側の側面に取り付けるなどして、移動機構20を駆動部10の右側に配設する構成とすることもできる。
【0024】
また、係合部を構成するガイドローラ22,23をガイド用棒状部材50に押し付ける付勢手段としては、上記した弾性部材に代えて、図4に示したような構造のものを用いることもできる。図4に示した付勢手段は、駆動部10のケーシング12に連結される取り付けフレーム60と、この取り付けフレーム60に支持される係合部可動部材としてのネジ部材70とを備えて構成される。
【0025】
取り付けフレーム60は、ケーシング12の前部フレーム121から前方に突出し、ガイド用棒状部材50を挟んで巻き取り軸30の略反対側に至った後、折り曲げられた折り曲げ板部61を備えている。この折り曲げ板部61に、係合用可動部材としてのネジ部材70を支持させ、該ネジ部材70を、ガイドローラ22,23を回転可能に保持する保持フレーム(図示せず)に当接又は連結している。これにより、ネジ部材70を締め込むことにより、ガイドローラ22,23をガイド用棒状部材50に近接させ、押し付けることができる。このようにして、ガイドローラ22,23をガイド用棒状部材50に押し付けると、巻き取り軸30に装着された筒部材24と該ガイドローラ22,23との距離が短くなるため、筒部材24も、ガイド用棒状部材50に押し付けられることになる。従って、ネジ部材70の締め付け量を調整することによって、筒部材24(巻き取り軸30)及びガイドローラ22,23を、適宜の押し付け力で、ガイド用棒状部材50に押し付けることができ、図1に示した実施形態と同様に、駆動部10の荷重を分担支持することができる。
【0026】
なお、係合部可動部材としては、図4に示したネジ部材70に代えて、コイルスプリング等のバネ部材やゴムなどの弾性部材を折り曲げ板部61とガイドローラ22,23との間に配設して、ガイドローラ22,23を付勢することもできる。また、ネジ部材70の周囲にコイルスプリングを設けるなどして、ネジ部材70と弾性部材とを併用することもできる。いずれにしても、付勢手段としては、ガイドローラ22,23等からなる係合部をガイド用棒状部材50に押し付けることができるものであれば、どのようなものであってもよい。但し、より簡易にかつ安価に製作できる点で、図1に示したような一対のバネ部211,212を備えた弾性部材を用いることが好ましい。
【0027】
また、上記実施形態では、駆動部10としてモータ11を具備した電動式のものを示しているが、特許文献2に開示されたような手動式のハンドルを備えた駆動部を有するものであっても、本発明を適用可能であることはもちろんである。また、上記した説明では温室の側部に設けられる換気用の温室用フィルムを開閉する場合について説明しているが、連棟式の温室における谷部の換気を行うための温室用フィルムやその他のフィルムであって、駆動部をガイド用棒状部材に案内させて巻き取り軸によって巻き取り又は巻き戻しする装置であれば、本発明を適用することができる。また、ガイド用棒状部材としては、図1に示したような断面略円形のパイプ材が一般的であるが、断面形状が略角形、略H字状のものであっても本発明を適用可能である。
【0028】
【発明の効果】
本発明の温室用フィルム開閉装置は、付勢手段によって、巻き取り軸と共にガイド用棒状部材に押し付けられる方向に付勢される係合部を有する移動機構が、駆動部に付設されている。従って、駆動部の荷重をガイド用棒状部材に押圧される係合部と巻き取り軸との抵抗により分担支持することができ、温室用フィルムの負荷を低減することができ、温室用フィルムの破損や伸びを抑制することができる。しかも、ガイド用棒状部材に、付勢手段によって、巻き取り軸と共に押し付けられる係合部を備えていればよく、極めて簡易な構造で、安価に提供することができる。また、付勢手段によって、係合部と共に、ガイド用棒状部材に押し付けられる筒部材を巻き取り軸に装着すると共に、その外径を所定の外径に設定し、あるいは、該筒部材に外径差を設けることにより、駆動部の移動速度と巻き取り軸の移動速度とのずれを小さくでき、巻き取り軸の蛇行を抑制し、それによって生じる温室用フィルムの破損や伸びを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態にかかる温室用フィルム開閉装置を示す概略斜視図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、巻き取り軸に装着される筒部材の具体例を示す図である。
【図3】図3(a)〜(b)は、図2(c)で示した筒部材の作用を説明するための図である。
【図4】図4は、他の例に係る付勢手段を取り付けた温室用フイルム開閉装置の実施形態を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
1 温室用フイルム開閉装置
10 駆動部
11 フレーム
12 ケーシング
121 前部フレーム
122 後部フレーム
20 移動機構
21 バネ材
211,212 バネ部
213 中間部
22,23 ガイドローラ
24 筒部材
30 巻き取り軸
50 ガイド用棒状部材
60 取り付けフレーム
70 ネジ部材
【出願人】 【識別番号】390010814
【氏名又は名称】株式会社誠和
【住所又は居所】東京都中央区八丁堀1−6−1
【出願日】 平成15年1月21日(2003.1.21)
【代理人】 【識別番号】100101742
【弁理士】
【氏名又は名称】麦島 隆

【公開番号】 特開2004−222563(P2004−222563A)
【公開日】 平成16年8月12日(2004.8.12)
【出願番号】 特願2003−12856(P2003−12856)